特許第6018920号(P6018920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018920小型光混合LED光エンジン、及び小型光混合LED光エンジンを用いた高CRIの狭ビーム白色LEDランプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018920
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】小型光混合LED光エンジン、及び小型光混合LED光エンジンを用いた高CRIの狭ビーム白色LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/233 20160101AFI20161020BHJP
   F21K 9/62 20160101ALI20161020BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20161020BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20161020BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20161020BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20161020BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161020BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161020BHJP
【FI】
   F21K9/233
   F21K9/62
   F21V3/00 320
   F21V3/02 500
   F21V7/04 500
   F21V5/04 400
   F21V5/04 650
   H01L33/00 L
   F21Y115:10
【請求項の数】15
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-548131(P2012-548131)
(86)(22)【出願日】2011年1月7日
(65)【公表番号】特表2013-516744(P2013-516744A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】US2011020442
(87)【国際公開番号】WO2011085146
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】12/685,287
(32)【優先日】2010年1月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ゲーリー・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウェーヴァー,スタントン・イー,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】モルダー,アール・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥディック,デイヴィッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキ,マーク・イー
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0296384(US,A1)
【文献】 特開2009−140778(JP,A)
【文献】 特開2003−005677(JP,A)
【文献】 特開2009−049239(JP,A)
【文献】 特開平04−226095(JP,A)
【文献】 特開2008−218089(JP,A)
【文献】 特開2010−251213(JP,A)
【文献】 特開2009−158178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00
F21V 3/00−3/02
F21V 5/04
F21V 7/04
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子を含む1以上のLED装置を含むディスク光源と、
前記光源からの光を整形して光ビームにするように構成された、ビーム形成光学系と、
を備え、
前記光学系が、
前記光源から光を受ける入射開口と、前記入射開口よりも大きい出射開口とを有する円錐リフレクタと、
前記円錐リフレクタの出射開口に設けられたレンズと、
前記光ビームを拡散するように配置された光混合ディフューザと、
を備え、
前記円錐リフレクタが、円錐整形物と平面反射シートとを備え、
前記円錐整形物が、円錐形状の内部空間を形成する第1の部分と、前記光源が配置される円筒形状の内部空間を形成し、反射性側壁を有する第2の部分とを備え、
前記光混合ディフューザが、前記円錐リフレクタの入射開口に設けられる第一ディフューザと、前記円錐リフレクタの出射開口に、前記レンズと共に設けられる第二ディフューザとから成り、
前記平面反射シートが、円錐台の形状を規定し、前記円錐整形物の第1の部分内に挿入され、
前記光源、前記ビーム形成光学系、及び前記光混合ディフューザが、単一のランプとして一緒に固定されている、指向性ランプ。
【請求項2】
前記光混合ディフューザが、前記光ビームに対して10%未満の後方反射を有する単パスディフューザを含む、請求項1に記載の指向性ランプ。
【請求項3】
前記単パスディフューザが、インターフェースディフューザを含む、請求項2に記載の指向性ランプ。
【請求項4】
前記単パスディフューザが、約40°以下の半値全幅(FWHM)を有する角度分布となるように平行入力光を散乱させる、請求項2に記載の指向性ランプ。
【請求項5】
前記光混合ディフューザが、前記ビーム形成光学系のレンズの主面となるように形成されたインターフェースディフューザを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項6】
前記光混合ディフューザが、前記レンズを通過した後の前記光源からの光を受けるように設置される、請求項1乃至5のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項7】
前記1以上のLED装置が、
回路基板と、
前記回路基板上に設けられた、前記回路基板を通じて電力供給される、前記LED素子と、
から成る、請求項1乃至6のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項8】
前記1以上のLED装置が、少なくとも2つの異なる色のLED素子を含み、
前記光混合ディフューザが、FWHMビーム角の範囲内の色度のばらつきをCIE1976u’v’色空間図上の加重平均点から0.006以内まで減少させる効果がある、請求項7に記載の指向性ランプ。
【請求項9】
前記LED素子が、前記円錐リフレクタの入射開口の領域全体に分布する、複数の空間的個別発光ダイオード素子を含み、
前記光混合ディフューザによる前記光ビームの拡散が、前記個別発光ダイオード素子の空間的分離に因るビームパターン中の光強度の空間的不均一性を、実質的に低減又は排除する、請求項1乃至8のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項10】
前記光源を、前記レンズに対する焦点ずれ位置に、前記ビーム形成光学系の光軸に沿って位置決めすることにより、焦点ずれを引き起こし、
前記焦点ずれに伴う、前記光混合ディフューザからもたらされる光ビームの拡散が、前記複数の空間的個別発光素子に因る多重強度ピークを有する光ビームの空間的強度分布を、前記ビームパターン全体にわたって視覚的に認知可能な局所的な強度のばらつきを有していない光ビームに変換する、請求項9に記載の指向性ランプ。
【請求項11】
前記光源が、前記レンズに対する焦点ずれ位置に、前記ビーム形成光学系の光軸に沿って位置決めされ、前記光混合ディフューザからもたらされる光ビームの拡散に加えて、焦点ずれによっても、前記光ビームの拡散を発生させる、請求項1乃至10のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項12】
前記レンズが、フレネル又は凸レンズである、請求項1乃至11のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項13】
前記円錐リフレクタの反射面が、400nmを超える可視光に対して少なくとも90%の反射率を有する、請求項1乃至12のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項14】
前記円錐リフレクタの出射開口径が、前記円錐リフレクタの入射開口径よりも少なくとも3倍大きい、請求項1乃至1のいずれかに記載の指向性ランプ。
【請求項15】
前記ビーム形成光学系が、前記光源のエタンデュ不変量及びスキュー不変量の両方を満たす、請求項1乃至14のいずれかに記載の指向性ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、照射技術、照明技術、固体照明技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱及びハロゲンランプは従来、全方向性及び指向性光源の両方として使用されている。指向性ランプは、集積LEDランプのエネルギースター適格基準第三案(Energy Star Eligibility Criteria for Integral LED Lamps, draft 3)において、120度の円錐角内にその光出力の少なくとも80%を有するランプ(強度の半値全幅、FWHM)として、米国エネルギー省により定義されている。これらは、例えばFWHM<20°を特徴とするビーム強度分布を有する等、広ビームパターン(フラッドランプ)又は狭ビームパターン(例えば、スポットランプ)を有してもよく、幾つかのランプ規格は6〜10°のFWHMという小さい角度に指定されている。白熱及びハロゲンランプは、小売商品の展示、住宅及びホスピタリティ照明、芸術作品等に良好な光源を提供するために、これらの望ましいビーム特性を、高演色指数(CRI)と組み合わせる。北米の商業用途では、これらのランプは、標準MR−x、PAR−x、又はR−xランプ器具に適合するように設計されており、ここで「x」は8分の1インチ単位で、器具の外径を表す(例えば、PAR38は4.75”〜120mmのランプ径を有する)。別の市場にも、同等の標識命名法がある。これらのランプは、高速応答時間を有し、高い光強度を出力し、特に飽和赤色(例えばR9 CRIパラメータ)において、良好なCRIを有するが、効率に乏しく、ランプ寿命が比較的短い。更に高強度では、高輝度放電(HID)ランプを使用するが、ランプをオンにした後のウォームアップ段階の間に液体又は固体分量を加熱する必要があるので、応答時間の短縮と引き換えに、一般的には色品質が低下し、コストが上昇し、ランプ寿命が1万〜2万時間と、中程度になる。
【0003】
これら既存のMR/PAR/Rスポットライト技術は、一般的に許容可能な性能を備えるものの、性能及び/又は色品質の更なる強化、及び/又は製造コストの削減、及び/又は壁コンセントエネルギー効率の上昇、及び/又はランプ寿命及び信頼性の向上が、望ましいだろう。この目的のため、発光ダイオード(LED)技術等の固体照明技術の開発に向けて努力がなされてきた。白熱及びハロゲンスポットランプの望ましい特性には、色品質、色均一性、ビーム制御、及び低い取得原価を含む。望ましくない特性には、乏しい効率、短い寿命、過剰な発熱、及び高いライフサイクル動作コストを含む。
【0004】
MR/PAR/Rスポットライト用途では、LED素子技術は、白熱及びハロゲンランプと代替として満足のいくものではなかった。LED素子技術を用いて、スポットランプに良好な色及び良好なビーム制御の両方を同時に実現することは、困難であった。LEDベースの狭ビームスポット照明は、適切なレンズ又はその他の平行化光学部品と結合された点光源として白色LEDを用いて、実現されてきた。このタイプのLED素子は、MR/PAR/R器具仕様に適合するランプエンベロープの狭FWHMを備えて作製可能である。とはいえ、これらのランプは、白色LEDに対応するCRI特性を有するものの、幾つかの用途においてはこれが不十分である。例えば、このようなLED素子は一般的に、30未満のR9値、及び80〜85のCRI(100が理想の値)を生じるが、これは製品展示、劇場、及び博物館照明、レストラン及び住宅照明等のスポットライト用途には向かない。
【0005】
その一方で、スポット照明以外のLEDベースの照明用途では、一般的な白色LED素子の赤色が欠けたスペクトルを補償する赤色LED素子を白色LED素子に組み合わせることによって、高CRIの達成に成功した。例えば、Van De Venらによる米国特許第7,213,940号を参照されたい。白色及び赤色LED素子からの光の混合を確実にするために、赤色及び白色LED素子のアレイを包含する大面積ディフューザを採用している。この技術に基づくランプは、良好なCRIを提供してきたが、通常100°程度又はそれ以上の大きいビームFWHM値のため、スポット照明を発生しなかった。
【0006】
ビームの色品質を良好にし、ビーム制御を良好にし、照度及び色を均一にすることの両立も、キャビティ吸収による光損失の増加及びランプサイズの増大という犠牲を払ってではあるが、光の多重反射を生じる深い(又は長い)色混合キャビティ、又はLEDアレイとディフューザ板との間の長い距離を用いて、達成されている。
【0007】
これらの技術を組み合わせることも、提案されている。例えば、Harbersらによる米国特許出願公開第2009/0103296A1号は、複合放物面型集光器の小開口端部に設けられた拡張平面基板上に設けられたLED素子のアレイを含む色混合キャビティを組み合わせることを開示している。このような設計の計算は、十分に小さい開口の色混合キャビティを用いることによって、適宜小さいビームFWHMを理論上は提供するように行われる。例えば、120mmのランプ径を有するPAR38ランプの場合、複合放物面型集光器と結合された32mm径の色混合キャビティが30°のビームFWHMを設けられることが、理論上は予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1995510号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、Harbersらの文献に記載のように、複合放物面型集光器の設計の高さが増大する傾向がある。これは、既存のMR/PAR/Rランプソケットとの互換性を確保するにあたり、MR/PAR/R規制基準によって付与された指定最大長さを有するMR又はPARランプにとって、問題となることもある。Harbersらは、シミュレート済みの複合放物リフレクタの代わりに、先端の長さを切除した、切頂複合放物面型集光器を使用することも提案している。しかし、Harbersらは、先端切除によってビーム角が増大し得ることを示している。Harbersらの文献で提案されている別の手法は、ピラミッド型又はドーム型の中心リフレクタの使用により、部分的に前方向に平行化するように、色混合キャビティを設計することである。しかし、この手法では、各光線が側壁上で跳ね返って色及び空間分布において混合する回数が大幅に減少することから、色混合及びひいてはCRI特性が劣化する可能性があるため、複合放物面型集光器との光結合にも悪影響が及ぶ可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実例として本明細書に開示する幾つかの実施例において、指向性ランプは、光源と、光源からの光を整形して光ビームにするように構成されたビーム形成光学系と、光ビームを拡散するように配置された光混合ディフューザとを備える。光源、ビーム形成光学系、及び光混合ディフューザは、単一のランプとして一緒に固定されている。ビーム形成光学系は、光源から光を受ける入射開口、及び入射開口よりも大きい出射開口を有する集光リフレクタと、集光リフレクタの出射開口に設けられたレンズとを含み、光源は、レンズから、ビーム形成光学系の光軸に沿って、レンズの焦点距離の±10%以内の距離に位置している。
【0011】
実例として本明細書に開示した幾つかの実施例において、指向性ランプは、光源と、光源によって発せられた光を整形して、光軸に沿って配向された光ビームにするように配置されたレンズを備える。この光源は、レンズの焦点距離の±10%以内の距離だけ光軸に沿ってレンズから離間している。ランプは更に、レンズから外れた光源からの光をレンズ内に向かって反射させ、光ビームにもたらすように配置されたリフレクタを備える。光源、レンズ、及びリフレクタは、単一のランプとして一緒に固定されている。
【0012】
実例として本明細書に開示する幾つかの実施例において、照明器具は、光混合キャビティを備え、この光混合キャビティは、平面反射面に設けられた1つ以上の発光ダイオード(LED)素子を備える平面光源と、平面光源と平行な最大横寸法Lを有し、平面光源から間隔Sだけ離間しており、S/L比が3未満である、平面光透過性光散乱ディフューザと、平面光源のペリメータ及びディフューザのペリメータを接続する反射性側壁とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図2】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図3】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図4】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図5】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図6】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図7】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図8】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図9】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図10】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図11】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図12】基板上に対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図13】基板上に非対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図14】基板上に非対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図15】基板上に非対称に配置された、略円形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図16】基板上に非対称に配置された、略多角形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図17】基板上に対称に配置された、略多角形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図18】基板上に対称に配置された、略多角形回路基板上の1つ以上のLEDを含むLEDアレイを、概略的に示す図である。
図19】回路基板上の1つ以上のLEDから成るアレイ、光反射性側壁、及び光学拡散素子を含む、光エンジンの実施例を概略的に示す図である。
図20】回路基板上の1つ以上のLEDから成るアレイ、光反射性側壁、及び光学拡散素子を含む、光エンジンの実施例を概略的に示す図である。
図21】回路基板上の1つ以上のLEDから成るアレイ、光反射性側壁、及び光学拡散素子を含む、光エンジンの実施例を概略的に示す図である。
図22】回路基板上の1つ以上のLEDから成るアレイ、光反射性側壁、及び光学拡散素子を含む、光エンジンの実施例を概略的に示す図である。
図23】光エンジンと円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品とを収容するランプを、概略的に示す図である。
図24A】光エンジンと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品と、光反射性側壁に隣接する光学拡散素子とを収容するランプを、概略的に示す図である。
図24B】光エンジンと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品と、光反射性側壁に隣接する光学拡散素子と、MR/PAR/Rランプの出力開口付近に位置する光学拡散素子とを収容するランプを、概略的に示す図である。
図24C】光エンジンと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品と、MR/PAR/Rランプの出力開口付近に位置する光学拡散素子とを収容するランプを、概略的に示す図である。
図25図23の円錐リフレクタを構築する一手法を示す図である。
図26図23の円錐リフレクタを構築する一手法を示す図である。
図27図23の円錐リフレクタを構築する一手法を示す図である。
図28】LEDアレイの強度分布がFWHM≒120度を有する(即ち、ほぼランバートである)とき、ヒートフィンを有さないMR16、PAR20、PAR30、及びPAR38ランプの最大限の出射開口に対応する、50、63、95、及び120mmのランプ出射開口の範囲に対する、ビーム角(FWHM)対ディスク光源の直径を、近似公式θo≒Ds/Do×θsに従って示すグラフである。
図29】LEDアレイの強度分布がFWHM≒120度を有し(即ち、ほぼランバートである)、且つ、出射開口径が最大限の出射開口径の75%であるとき、出射開口を包囲する一般的なヒートフィンを有するMR16、PAR20、PAR30、及びPAR38ランプの標準的な出射開口に対応する、38、47、71、及び90mmのランプ出射開口の範囲に対する、ビーム角(FWHM)対ディスク光源の直径を、近似公式θo≒Ds/Do×θsに従って示すグラフである。
図30】約120度のFWHMを特徴とするランバート強度分布を光源がほぼ有するとき、ランプ出射開口に対する光源開口の比の関数として、一般的なランプビーム角を示すグラフである。
図31A】レンズの主面を形成する光ディフューザを有するレンズの実施例を示す図である。
図31B】レンズの主面を形成する光ディフューザを有するレンズの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、様々な部分及び部品の配置において、並びに様々な処理及び処理構成において実施可能である。図面は、好適な実施例の説明を目的とするものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書では、LEDベースのスポットライトの設計手法を開示する。これは、光エンジンへの光及び熱的アクセスの改善を可能にする、MR/PAR/Rランプのファミリー及び小型LEDモジュールの無数の設計パラメータを満たすことが可能な、柔軟な設計パラダイムを提供する。本明細書に開示するスポットライトでは、ビーム形成光学部品に光学的に結合された、ロープロファイルのLEDベース光源を採用している。ロープロファイルLEDベース光源は通常、1つ以上のLED素子を含み、このLED素子は、回路基板又はその他の担体上に設けられ、場合によりロープロファイル光混合キャビティの内部に設けられる。幾つかの実施例において、光ディフューザが、光混合キャビティの出射開口に設けられる。幾つかの実施例において、光ディフューザがLEDアレイの直近に設けられる。ここで、ロープロファイルLEDベース光源を、本明細書内でピルボックスと称することがある。LED素子を支持する回路基板は、ピルボックスの「底部」であり、出射開口の光ディフューザはピルボックスの「上部」であり、ピルボックスの「側面」は、回路基板のペリメータからディフューザのペリメータまで延在している。光混合キャビティを形成するにあたり、回路基板及びピルボックスの側面は、好ましくは光反射性である。ピルボックスは、ロープロファイルを有するので、ほぼディスク状である。したがって、本明細書で採用するLEDベース光源を、ディスク光源と称することがある。別の実施例において、ディフューザは、ビーム路程のいずれか別の箇所に位置する。例えば幾つかの実施例において、形成された光ビームを操作するために、ディフューザを、ビーム形成光学部品の外側に設置する。この配置は、比較的狭い半値全幅(FWHM)の光ビームで動作するように設計されたディフューザに結合されており、この開示によって実質的な利点が得られる。
【0016】
このランプ設計の第一の態様では、既存の最適なビーム形成光学部品構成を修正する手法を払拭する。むしろ、本明細書に開示の手法は、光学設計の第一原理に基づく。例えば、本明細書に示すように、点灯したディスク光源の制御は、ディスク光源のエタンデュ及びスキュー不変量の組み合わせを満たすビーム形成光学部品によって最適に行うことができる。このような設計の1つでは、レンズ(例えば、フレネル又は凸レンズ)を含むビーム形成光学部品を採用する。ここでは、ディスク光源がレンズ焦点に配置されており、ディスク光源を無限に「撮像」し、さもなければ撮像レンズから外れてしまう光線を捕捉するための集光リフレクタに結合される。幾つかの変形実施例において、ディスク光源は、例えば焦点距離の±10%以内のビーム軸に沿って、僅かに焦点ずれした位置に配置される。光がビームFWHMの外側に漏れている限り、焦点ずれによって、ビーム形成がより不完全になるが、幾つかの実用設計においては、このような光漏れは美観的に望ましい。また、焦点ずれによって、光源が個別発光素子(例えばLED素子)を含むとき、及び/又はこれらの個別素子が異なる色であるか或いは有利に混合される異なる光出力特性を有するときに有利な、何らかの光混合も生じる。付加的又は代替的に、FWHMの外側で設計された量の光漏れを、及び/又はビーム内で設計された量の光混合を得るために、光混合ディフューザを追加してもよい。
【0017】
光ビーム性能の定量化は、通常は遠距離場(通常は、ランプの出射開口サイズの少なくとも5〜10倍の距離、或いはランプから約50cm又はそれ以上離れると考えられる)で測定される幾つかの特性によって可能である。以下の定義は、通常は光軸からビームのエッジ及びそれを超えて外向きに移動する、強度の減少を伴い、ランプの光軸上で、ビームの中心付近でピークに達するビームパターンに関する。第一の性能特性は最大ビーム強度であり、これは最大ビーム強度(MBCP)と称されるか、又はMBCPは通常は光軸上又はその付近に見られるので、中心ビーム強度(CBCP)とも称される。これは、ビームパターンの最大値又は中心で感知される明度を測定する。第二は半値全幅(FWHM)によって表されるビーム幅であり、ビームにおける最大強度(MBCP)の半分に等しい強度におけるビームの角度幅である。FWHMに関連するのはビームルーメンであり、これはビームの中心から、最大強度の半分を有する強度輪郭までの外向きのルーメンの積分、つまりビームのFWHMに向かって積分されるルーメンとして、定義される。更に、ルーメンの積分が最大強度の10%を有する強度輪郭までビーム内で外向きに継続する場合、積分されたルーメンは、フィールドルーメンと称されることがある。最後に、ビームパターン中のルーメンの全て、即ちビーム生成ランプの面から発生する光の全てが積分された場合、その結果はランプのフェースルーメンと称される。通常、殆ど又は全く、光がランプの出力開口又は面以外を通じてランプから光が発せられないので、フェースルーメンは通常、積分球内で測定された通りの、総ルーメンとほぼ同じである。
【0018】
更に、ビーム中の強度分布及び色の均一性の定量化も可能である。以下、半径r、極角θ、及び方位角φの円筒形座標方向を含む、従来の円筒形座標系を用いて、MR/PAR/Rランプを説明する(ランプが光エンジンLE並びに円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品BFを含む、図24A、24B、及び24Cに示される円筒形座標系参照)。一方では、殆どの照明用途において、一般的にビームパターン内の光の強度は軸上でピークに達し、極角(θ)方向へ単調に軸から離れていく強度になることが好ましいが、他方では、直交(方位角「φ」)方向への強度変化はないことが一般的に好ましく、ビームの色がビームパターン全体を通じて均一であることも一般的に好ましい。人間の目は通常、約20%を超える強度不均一性を検出できる。したがって、ビーム強度は、極角θの方向に、軸上で100%(θ=0)からFWHMで50%、ビームの「エッジ」で10%、ビームのエッジを超えてゼロ強度まで減少するものの、強度は好ましくは、ビームにおける所定の極角輪郭で、方位角(φ)方向の周りで±20%の範囲内に収まるべきである。加えて、人間の目は通常、1931ccy−ccy又は1976u’−v’CIE色座標で約0.005〜0.010、又は2700から6000Kの範囲内のCCTで約100〜200KのCCTを超える色差を、識別できる。したがって、ビームパターン全体にわたる色均一性は、ビームの平均CCTから、約±0.005から0.010のDu’v’又はDxy、又は同等に±100から200K以下の範囲内に収まるべきである。
【0019】
一般的に、ランプへの所定の電気入力に対して、ビーム中の光のフェースルーメン(総ルーメン)を最大化することが望ましい。ランプへの入力電力に対する総フェースルーメン(積分球測定値)の比は、ワットあたりルーメン(LPW)で表される効率である。ランプの効率を最大化するために、エタンデュとして知られる光学パラメータ(「範囲」又は「アクセプタンス」又は「ラグランジュ不変量」又は「光学不変量」とも称される)が、光源(白熱ランプの場合はフィラメント、又はアーク放電ランプの場合はアーク、又はLEDベースのランプの場合にはLED素子等)と、ランプの出力開口(通常はリフレクタの開放面、或いは屈折、反射、又は回折ビーム形成光学部品の出力面に取り付けられた、レンズ又はカバーガラス)との間で適合すべきであることが、知られている(Non−Imaging Optics、Roland Winstonら、Elsevier Academic Press、2005年、11ページ参照)。エタンデュ(E)は、光が通過する(その伝播方向に対して垂直)開口の表面積(A)と光が伝播する立体角(Ω)との積、E=AΩとして、近似的に定義される。エタンデュは、面積及び角度において光がどのように「広がる」のかを定量化する。
【0020】
最も標準的な光源は、円筒の表面から発せられる均一な輝度を有する直円筒によって近似が可能であり(例えば、白熱又はハロゲンフィラメント、或いはHID又は蛍光ランプのアーク等)、光源のエタンデュ(光学系の入射開口)はE=AsΩsによって近似値が求められる。このとき、Asは光源円筒の表面積(As=πRL、R=半径、L=長さ)であり、Ωは通常、一般的に10srの、4π(12.56)ステラジアンという大きい割合であり、光が全ての方向においてほぼ均一に放射されることを意味する。より良い近似は、光がランバート強度分布で放射されること、或いは放射光は実際に測定された空間及び角度6次分布関数によって表せるが、均一な分布が説明し易い。例えば、R=0.7mm、L=5mm、Ω=10srの一般的なハロゲンコイルは、100mm2−sr〜1cm2−srのエタンデュEsを有する。同様に、コイル及びアークの形状が異なっていても、HIDアークがハロゲンコイルの何倍ものルーメンを放出することができても、R=1mm及びL=3.5mmのHIDのアークは100mm2−sr〜1cm2−srのEsを有する。エタンデュは「光学範囲」、即ち空間的及び角度的寸法の両方における光源のサイズである。エタンデュは、光源の「明度」又は「輝度」と混同されるべきではない。輝度は、光源の光学範囲及び光の量(ルーメン)の両方を説明する、異なる定量的尺度である。
【0021】
指向性リフレクタランプの出力面の場合、出射開口は全体を通じて均一な輝度を有する丸いディスクによって近似が可能であり、エタンデュはE=AoΩoによって近似値が求められる。ここで、Aoはディスクの面積(πRo2、Ro=半径)及びΩoは通常2πステラジアンの小さな割合であり、光のビームの半角、θo=FWHM/2=HWHM(半値半幅)を特徴とし、ここで、Ωo=2π(1−cos(θo))、例えばθo=90°ではΩo=2π、θo=60°ではΩo=π、θo=30°ではΩo=0.84、θo=10°ではΩo=0.10である。
【0022】
いずれか所定の光学系を通じて光が伝播するとき、エタンデュは増加するだけであっても一定のままでもよく、これが「光学不変量」という用語の所以である。無損失及び無散乱の光学系では、エタンデュが一定のままとなるが、光の散乱又は拡散を呈するいずれの現実の光学系においても、エタンデュは通常、光がシステムを通じて伝播するにつれて大きくなる。エタンデュの不変性は、熱力学系におけるエントロピー(又はランダム性)の保存との光学的類似物である。光が光学系を通じて伝播する際にE=AΩが小さくなり得ないという命題は、光分布の立体角を減少させるために、光が通過する開口を拡大しなければならないことを意味する。したがって、出力開口Aoを有する指向性ランプから放射される最大ビーム角は、Eo=AoΩo=AsΩs=Esによって求められる。Ωo=2π(1−cos(θo))を整理して代入すると、
cos(θo)=1−Es/2πAo
となる。θo<<1ラジアン(つまり、θo<<57°)では、余弦関数はcos(θo)≒1−θ2によって近似が可能であり、θはラジアンで表される。上記の式を組み合わせると、以下の出力ビーム半角となる。
【0023】
【数1】
数(1)の半角θoを2倍にすると、ビームFWHMとなる。
【0024】
例えば円形の出力開口を有するPAR38ランプの場合、ランプの面における最大光学的開口の面積は、ランプ面の直径=4.75”=12cmによって決定されるので、最大許容可能Aoは114cm2である。ハロゲンコイル又はHIDアークに上記のエタンデュの例を当てはめると、Es〜1cm2−srを有する光源によって作動するPAR38ランプからの最小可能半角θoは、θo〜0.053〜3.0°なので、ビームのFWHMは6.0°となる。実際には、PAR38ランプで利用可能な最も細いビームは、通常は6〜10°のFWHMを有する。ランプの面において利用可能な開口(即ちレンズ又はカバーガラス)を小さくする場合には、ビーム角は、数(1)による面開口の直径の減少に比例して大きくなる。
【0025】
直径Doの円形面開口を備えるランプ及び直径Dsの平らなディスクである光源の場合、ビームの出力半角θoは、以下に従って数(1)によって与えられる。
【0026】
【数2】
LED素子、或いは従来の白熱、ハロゲン、又はアーク光源を用いるランプにおいて狭スポットビームを供給するためには、光源のエタンデュを小さくするべきである。実際には、通常は0.5〜2.0mmの線寸法の正方形の発光領域を有する単一のLEDチップ(As〜0.25−4.0mm2)、概ねランバート強度分布(Ωs〜π)を提供する任意のカプセル封止、及び任意の波長変換蛍光体を含むLED素子は通常、各LED素子に小型の個別ビーム形成光学部品を設けることによって狭ビームが生成可能な、約1〜10mm2−srの小さいエタンデュを有する。追加光が必要な場合には、各々が個別の光学部品を備える、追加LED素子を追加してもよい。これは、狭ビームLEDランプを実現するための、周知の設計手法である。この手法の問題は、個々のLED素子からの光が十分に混合されないことである。市販のLED PAR/MRランプにおいて、個々のLEDは、一般的に85以下のCRIに限定されているので、この設計方法論では、一般的に色品質が比較的低くなる(例えばCRIが低くなる)。この設計方法論の別の問題は、その他の光結合損失と共に、システム光学効率が通常60〜80%までとなるように、ビーム形成光学部品が一般的に80〜90%の効率しか有していないことである。
【0027】
個々のLED素子の色を混合して、均一な照度及び色を有する均質な光源にするにあたり、多数のLED素子の光出力を組み合わせて単一の光ビームにすることが望ましい場合には、光ビームのCRI又はその他何らかの色品質を向上させるために、光混合LED光エンジンを採用してもよい。光混合LED光エンジンは通常、光混合キャビティ内に設けられた複数のLED素子を含む。光混合キャビティを大きく高反射率にして、LED素子を光混合キャビティ内で離間させることによって、LED素子から離間した光を混合するように、光を多重反射させることが可能である。この設計方法論の市販の例は、Cree LLF LR6ダウンライトLEDランプである。これは、110°のFWHMで92のCRIを提供する。スポットビームを形成する能力の欠如に加えて、この設計方法論は、光混合チャンバ内の光の反射又は散乱ごとに、少なくとも5%の光学損失を被る。光の色及び光度の完全な混合のためには、システム光学効率が通常90%未満となるように、幾つかの反射装置を採用する。
【0028】
光混合LED光エンジンのエタンデュは、通常は個々のLEDのエタンデュの合計よりもかなり大きい。隣り合うLEDエミッタからの光の遮断を回避するのに十分であるべき個々のLEDエミッタ間の間隔、並びに光混合キャビティ内の光散乱によって、エタンデュは増加する。例えば、各々1.0×1.0mm2の正方形のLEDチップのアレイが、隣り合うLEDチップの間を1.0mm間隔として構築される場合には、各LEDチップによって占有される有効面積は1mm2から4mm2に増加し、ランプの最小許容可能ビーム角は、数(2)の(有効)Dsにおける増加に伴って、因数2だけ増加する。光学系を通じて光が伝播するときのエタンデュは、単純に増加するか又は一定のままなので、光混合キャビティによって行われる光混合によって、光エンジンの総エタンデュを増大させることができる。したがって、個々のLEDからの光を混合して均質で均一な単一光源にすることにより、一般的にランプの最小達成可能ビーム角が増大する。これらの視点に基づき、本明細書からわかるように、複数のLED素子を含む光混合LED光エンジンから狭スポットビームを供給するために、光エンジンの面積(As)を最小化することが望ましい。色混合LED光エンジンを用いてランプを構築する場合には、ランプ開口のエタンデュも、LED光エンジンのエタンデュに適合すべきである。これらの設計制約は、フェースルーメンに基づいて、色混合LED光エンジンを採用する指向性LEDランプの効率の最大化を確実にする。
【0029】
更に、本明細書からわかるように、光軸の周りの回転対称を有するいずれのリフレクタについても、フェースルーメンに基づく効率の最大化に加えて、ビームルーメンに基づくランプの効率を最大化するために、ランプ開口の不変量を備えるLED光エンジンの、別の光学不変量である、回転的スキュー不変量と適合する必要もある。所定の光線について、回転的スキュー不変量は下記のように定義される。
【0030】
s=nrminsin(γ) ・・・(3)
ここで、nは光線が伝播する媒体の屈折率、rminは光線とランプ又は光学系の光軸との間の最短距離、γは光線と光軸との間の角度である(Non−Imaging Optics、Roland Winstonら、Elsevier Academic Press、2005年、237ページ参照)。スキューの不変性は、機械系における角運動量の保存との光学的類似物である。エネルギー及び運動量の両方が保存されなければならず、機械系の運動においてエントロピーが減少しない機械系と同様に、光学系において、回転対称光学系を通る光線のいずれの損失がない伝播においても、エタンデュ及び回転的スキューの両方の保存が必要である。数(3)では、rminがゼロなので、ランプの光軸を通過するいずれの光線のスキューもゼロである。光軸を通過する光線は、子午光線として知られる。光軸を通過しない光線は、非ゼロスキューを有する。このような光線は、レンズ又はフェースプレートの出射開口を通じてランプを出てもよいものの、光源(入射開口)のスキューがランプの出射開口のスキューとどれほど適合しているかに応じて、ビームルーメン内に閉じ込められても閉じ込められなくてもよい。
【0031】
ディスク出力開口(MR/PAR/Rランプの出力面等)を通る制御された光の最適な光学効率(フェースルーメン及びビームルーメンの両方の効率を最大化する)は、ディスク光源(入射開口)及びランプ出射開口のエタンデュ及びスキュー不変量の両方が適合するように、ディスク光源を用いて達成可能である。ディスク以外のいずれかの幾何学形状では、ハロゲン及びHIDランプの従来的設計においてなされるように、スキュー不変量と関係なく、光源のエタンデュをランプの出力開口に単純に適合させると、最大可能な量の光が出力開口内に向かうかもしれないが、スキュー不変量を同時に満たさないこの割合の光は、ビームの制御部分に含まれるものではなく、制御されたビームよりも大きい角度で発せられることになる。より一般的には、所定の幾何学形状の出力開口を通る被制御光の最適な光学効率は、その発光領域が出力開口と同じ幾何学形状を有する光源を用いることによって、達成可能である。例えば、光出力開口がアスペクト比a/bの長方形幾何学形状を有する場合には、長方形出力開口を通る被制御光の最適な光学効率は、アスペクト比a/bを有する長方形発光領域の光源を用いることによって達成可能である。前述の別の例として、ディスク状の光出力開口では、出力開口を通る被制御光の最適な光学効率は、ディスク幾何学形状の発光領域を備える光源を用いることによって達成可能である。なお、本明細書において使用する際、発光領域幾何学形状は離散化されてもよく、例えば、ディスク光源は、ディスク状回路基板全体に分布する1つ以上の(個別)LED素子を備える光反射ディスク状回路基板を含んでもよい(例えば、図1〜15を参照のこと。例えば、多角形又は長方形の発光領域幾何学形状を形成する離散化光源を備える光源の例については、図16〜18を参照のこと)。
【0032】
このため、本明細書において、両方の光学不変量(エタンデュ及びスキュー)を満たすことによって、ランプのビームは、全効率(フェースルーメン)及びビーム効率(ビームルーメン)の両方について最適化される。これを実行する方法のひとつが、ディスク光源、及び無限でディスク光源を「撮像」するビーム形成光学系を採用することである。より一般的には、このエタンデュ及びスキュー適合条件との良好な近似は、僅かに焦点ずれした条件で達成可能である。例えば、「撮像」ビーム形成光学系がレンズを含み、ディスク光源を撮像レンズの焦点に正確に配置することによって無限での撮像を提供する場合には、完璧なエタンデュ及びスキュー適合の利点の殆どを維持する略エタンデュ及びスキュー適合条件は、例えば焦点距離の±10%以内等、レンズの焦点位置に近い焦点ずれ位置へのディスク光源の配置によって、達成可能である。
【0033】
スキュー不変量に因り、ロッド状の光源から最適なビーム効率を実現することは不可能である。白熱コイル又はHIDアークはほぼロッド状の光源なので、やはりスキュー不変性のため、白熱又はHIDランプにおいて最適なビーム効率を実現することは不可能である。実際には、有限長回転対称光学系によって棒状光源から形成されたビームは、通常はビームのFWHMの外側の比較的広い光の分布を有する。白熱及びHID光源から得られた平滑なビームエッジが望ましい場合が多いが、多くのスポットビーム用途において、ビームエッジを十分に制御することは不可能なので、かなりのルーメンが、ビームルーメン及びCBCPと引き換えに、ビームエッジの範囲外で無駄になる。それとは対照的に、ディスク状ランプ開口の、この開口に適合したエタンデュ及びスキューを有するディスク状光源の場合、光が殆ど又は全く、ビームFWHMの外側に当たらないように、ビーム内に閉じ込められたフェースルーメンの実質的に全てを有するビームを形成することが可能である。この急峻なビームパターンが特定の用途にとって望ましくない場合には、ビームパターンの遠端のルーメンを無駄にすることなく、ビームの外側の、正確に制御された光量を、ビームパターンのエッジの内側に散乱又は再配向することによって、平滑化が可能である。このことは、例えば光路内に拡散又は散乱素子を追加することによって、或いは光学系を用いてディスク光源を不完全に撮像すること(つまり、焦点をずらすこと)によっても可能である。このようにして、設計されたビームパターンを正確に形成するにあたり、フェースルーメン及びビームルーメンの両方を個々に最適化できる。
【0034】
本明細書からわかるように、例えば円形又はディスク状開口を有する二次元光源の場合、スキュー不変性は有用な設計パラメータである。有利には、フェースルーメン及びビームルーメンの両方の最大効率が得られるように、二次元ディスク光源をリフレクタランプの二次元出射開口と理想的に適合することが可能である。その理由は、このようなランプ幾何学形状を、適合するスキュー及びエタンデュ不変量を有する入射及び出射開口を備えることで、全効率(フェースルーメン)及びビーム効率(ビームルーメン)の両方について最適化された出力ビームを提供するように設計可能だからである。開示の指向性ランプでの使用に適した「ディスク状」光源のその他幾つかの例が、回路基板上にLED素子を含み、LED素子を覆う蛍光体被覆半球状ドームを更に含む光源を開示する、Aanegolaらによる米国特許第7,224,000号に開示されている。このような光源は、例えばランバート発光分布又は大きな発光FWHM角を用いるその他の発光分布を有するもの等、理想的なディスク状(又はその他の拡張発光領域)光源と類似の発光特性を有する。
【0035】
更に、数(2)に示す基準に適合するエタンデュ、及び数(3)に示す基準に適合するスキューは、ビーム形成光学列の長さが最適化におけるパラメータではないことを示している。つまり、ビーム形成光学部品の全長には制約が課されない。実際、唯一の長さ制約は、ビームを形成する光学素子の焦点距離であり、これはフレネル又は凸レンズでは通常、出力開口サイズに匹敵する。例えば、120mmのランプ径DPAR、及び80mmの出射開口Doを有するPAR38ランプの場合には、80mmの焦点距離fを有するフレネル又は凸レンズ等の撮像レンズを選択できる。撮像レンズがランプの出射開口に、ディスク光源から距離S1だけ離れて配置された場合には、光源の画像はレンズの後の距離S2の位置に形成されることになり、これはレンズ式1/f=1/S1+1/S2によって求められる。光源からレンズまでの距離がレンズの焦点距離に等しい、f=S1の特殊なケースでは、レンズからレンズによって形成される光源の画像までの距離は、S2=∞である。光源が均一な輝度及び色を有する円形のディスクである場合には、無限の画像は、均一な輝度及び色を有する丸いビームパターンとなる。実際には、無限のビームパターンは、ランプから少なくとも5f又は10f、或いはPAR38ランプの場合には少なくとも約1/2から1メートル、或いはそれ以上離れた距離の、光遠距離場におけるビームパターンと極めて似ている。レンズがS1/f≒0.9−1.1となるように僅かに焦点ずれしている場合には、無限又は遠距離場におけるビームパターンは、ビームエッジの輝度がビームの中心から離れるにつれて平滑及び単調に減少するように焦点ずれ又は平滑化することになり、例えば個別のLEDの離散性に因り、ビームパターンにおけるいずれの離散不均一性も、平滑化されることになる。焦点位置から光源により近い位置へ、又は光源から更に遠くへ、レンズを移動させることができ、平滑化効果はいずれの場合も同様となる。レンズを光源に近付けると、有利には、より小型のランプが可能になる。レンズが例えばS1/f<0.9又はS1/f>1.1等、大きく焦点ずれしている場合には、かなりの量の光がビームのFWHMの外側でビームエッジの内側に投じられるので、CBCPが無駄に低減し、FWHMが無駄に増加する。ビームエッジ及び不均一性の望ましい僅かな平滑化は、光路内で微弱散乱ディフューザを用いることによっても、又は微弱散乱ディフューザ及び僅かに焦点ずれしたレンズの効果を組み合わせることによっても、達成可能である。
【0036】
更に、ディスク光源の役割を果たす光混合LED光エンジンが、出力ビームにおいて望ましいものに匹敵する色及び照度の均一性を有する場合には、ビーム形成光学部品も可能な限り最高の効率を有することができるように、ディスク光源の外側では付加的な光の混合は必要とされない。ビーム形成光学部品は、円錐リフレクタ、フレネル又は単純なレンズ等、単純な光学部品を用いて構築可能である。
【0037】
ディスク光源の色及び輝度の望ましい均一性が、光混合面との光線の少数の相互作用(反射又は透過)、及び各相互作用における低吸収損失によって得られる場合には、ディスク光源の光学効率も高くなる(図19〜22及び本明細書の関連記述参照)。ビーム形成光学部品の光スループット効率と相まって、これはランプ又は照明装置の全体的に高い光学効率を生じる。変形手法において、LEDの平面における色及び輝度の不均一性を、高効率の単パスディフューザによってランプの出力開口で混合できる場合には、ランプの全体効率を更に大幅に高めることができる。その結果、所望のビームFWHM及び光出射開口サイズに最適なビーム制御及び光学効率を同時に実現しながら、MR/PAR/R設計パラメータを満足するように、光源を構成可能である。光混合は、LEDを包囲する小型のディスク状筺体内で、又はビーム形成光学部品内で、又はビーム形成光学部品を超えた位置で、(例えば、ビーム形成光学部品の外側に位置する単パス光混合ディフューザによって)行うことができる。この設計手法によって、円錐リフレクタが高反射可撓性平面リフレクタ材料のシート、被覆アルミニウムシート、又はその他の反射性シートから任意で構築される、円錐リフレクタ/フレネルレンズの組み合わせを採用する例示的設計等の製造の幅を広げる、簡素化されたビーム形成光学部品の使用も可能になる。
【0038】
開示の幾つかの設計において、光混合LED光エンジン(例えば、図19〜22)は、所望の色特性を実現するために、複数のLED素子からの光を混合する。このような幾つかの実施例において、ディスク状光エンジンは、LEDの直近に、色混合の殆ど又は全てを行うディフューザを含む。その結果、ディスク光源の深さ(又は長さ)を小さくできるので、結果的にMR/PAR/R基準によって課された幾何学的設計制約に準拠する低アスペクト比を容易に生じることができる。幾つかのこのような実施例において、殆どの光が、ディスクチャンバの内部の反射がゼロ又はせいぜい僅かな反射を伴って、ロープロファイル色混合チャンバを出るので、光線相互作用(反射又は透過)損失が低減し、光エンジンが効率的になる。その他幾つかの実施例において(例えば、図24C)、光は混合されずにLEDの平面を出て、LED平面での吸収による光損失を低減するために、ディフューザによって後方散乱された光の殆どが、LEDの平面に戻ることがないように、光学系の内部にあるがLEDから離れている単パスディフューザによる光の散乱又は拡散によって一次的に混合される。このような実施例は、ビーム形成光学部品(円錐又は成形リフレクタ)の反射率が非常に高い場合に(例えば>90%又はより好ましくは>95%)、特に有利である。なお、図19〜22に示すもの等、開示のロープロファイル光混合LED光エンジンは、展示及び商品及び住宅照明用途等のための指向性ランプにおいて有用であるが、棚下周囲照明、一般的な照明用途、照明モジュール用途等、或いは良好なビーム制御及び良好な色品質を兼ね備えた、小型及び軽量であることが重要ないずれかのランプ又は照明システムにおいて等、ロープロファイルの、均一に点灯したディスク光源が有用であろういずれの場合にも、更に様々な用途を見いだせる。本明細書に開示の様々な実施例において、光度及び色の空間的及び角度的不均一性は、材料の選択に応じて、1°から80°のFWHMによって透過光を拡散させる、可視光の85〜92%の透過率を有する、Luminit, LLC製のLight Shaping Diffuser材料等の高効率光ディフューザを通る光の単一の通過によって混合され、十分に均一な分布となる。その他幾つかの実施例において、光ディフューザは、従来のPAR及びMRランプの設計で使用されるような、レンズ又はディフューザの表面の点刻のような形態であってもよい。
【0039】
開示の幾つかの実施例では、拡散素子がLED素子の近くに位置しておらず、ビーム形成光学系のフレネルレンズの外側に位置する。無限でディスク光源の(場合によっては僅かに焦点ずれした)画像を実現するためには、フレネルレンズの焦点は、LEDダイ平面又はその付近にある。十分な光混合を得るために、ピルボックスの前面にのみ位置する単一のディフューザで、重拡散を行うべきである。ピルボックスが低吸収物質で構築されている場合でも、適切な光混合においても、光がディフューザを出る前にピルボックス内で多重反射を伴い、ひいては効率が低下する可能性がある。ピルボックスでの拡散が減少すると、効率は改善するが色混合が劣化する。効率の改善は、ディフューザをピルボックスから取り出すと可能であり、指向性ランプの集光リフレクタをLEDダイレベルまで拡張すると、ピルボックスの側壁の長さを短縮すること又はなくすことができる。しかし、ピルボックスの出射開口にディフューザがないと、指向性ランプのビーム形成光学系によってビームに形成された光を混合することができないか、又は部分的にしか混合できない。更なる光混合を行うために、光整形ディフューザを、例えばビーム形成光学系の出射開口の付近、又はその向こうの、LEDダイ平面から遠位に適切に配置する。ディフューザがビーム形成光学系の出射開口を超える場合には、ディフューザに入射する光線は、ビーム形成光学部品によって実質的に平行化された成形ビームであるので、ディフューザは、平行ビーム用に高効率(92%、又はより好ましくは>95%、又は更に好ましくは>98%)で動作するように設計するべく、選択可能である。最適なディフューザ効率に加えて、反射の数が少ないほど、全体的な光学効率が著しく増大する(>90%)。
【0040】
開示の指向性ランプの設計の別の態様は、放熱に関する。本明細書に開示の光学設計により、(i)ビーム形成光学部品の出力開口のサイズを所定のビーム角に合わせて縮小すること、(ii)光を十分に混合しつつ、ディスク(又はその他の拡張発光領域)光源及びビーム成形光学部品を含むランプの長さを実質的に短縮することができる。後者の利点は、ビーム形成光学部品の長さ制約の削減及び光源のロープロファイルから生じる。これらの利点に因り、良好なビーム制御、高い光学効率、及び十分に混合されたビームの色を備えつつ、ビーム形成光学部品を包囲するフィンを含むヒートシンクと共に、ビーム形成光学部品を含む、ランプアセンブリ全体を実質的に包囲することができる。結果的にヒートシンク表面積が大きくなることの相乗的な利点は、熱放散の改善により、小径のロープロファイルディスク光源を設計でき、更にはビームFWHMを更に低減できることである。
【0041】
開示の設計は、本明細書に開示の設計手法を用いて構築されたLEDベースの指向性ランプの実施における実際の減少を報告することによって本明細書において実証されるように、MR/PAR/R基準の厳しいサイズ、アスペクト比、及びビームFWHM制約を満たすランプの構築を可能にする。実際に構築された指向性ランプは、MR/PAR/R基準に準拠し、優れたCRI特性を備える。更に、開示の設計手法により、MR/PAR/R基準に準拠しつつ、より大きい又は小さいランプサイズ及びビーム幅に見合った拡大縮小を行えるので、異なるサイズ及びビーム幅のMR/PAR/Rランプのファミリーを都合よく開発できる。
【0042】
図1〜15を参照すると、本明細書に開示の照明器具の幾つかの実施例では、平面光源を含む光混合キャビティを採用する。図1〜15に示すように、平面光源は、平面反射面20に設けられた1つ以上の発光ダイオード(LED)素子10、12、14を含む。図1〜15の実施例に示す平面反射面20は、円形のペリメータを有し、例えば、プリント回路基板(PCB)、金属コアプリント回路基板(MC PCB)、又はその他の担体であってもよい。図1〜9は、小型LED素子10の様々な配置を示す。図10は、4つの大型LED素子14の配置を示す。図11及び12は、それぞれ5つの中型LED素子12及び4つの中型LED素子12の配置を示す。図13及び14は、中型及び大型LED素子12、14の配置を示す。色混合の実施例において、異なるLED素子12、14は、異なるタイプであってもよい。例えば、中型LED素子12が青緑色LED素子であり、大型LED素子14が赤色LED素子であってもよいが、その逆であってもよく、青緑色及び赤色スペクトルは、本明細書に記載の強力なディフューザによって色混合されると白色光を供給するように選択される。図13及び14では、異なるタイプ(例えば異なる色)のLED素子12、14が異なるサイズを有しているが、異なるサイズのLED素子が同じサイズを有することも考えられる。図15に示すように、更に別の実施例において、1つ以上のLED素子のパターンは、例えば図15の例として示す、図示の単一の大型LED素子等、単一の少ないLED素子を含むものでもよい。
【0043】
図16〜18を参照すると、光源の別の変形実施例において、平面反射面は円形以外のペリメータを有する。図16は、例として多角形(より具体的には六角形)のペリメータを有する平面反射面22に設けられた3つの大型LED素子を示す。図17は、例として六角形のペリメータを備える平面反射面22に設けられた7つの小型LED素子を示す。図18は、例として四角形のペリメータを有する平面反射面24に設けられた5つの中型LED素子を示す。
【0044】
本明細書で使用する際に、「LED素子」という用語は、無機又は有機LEDのベア半導体チップ、無機又は有機LEDの封入半導体チップ、サブマウント、リードフレーム、表面実装担体等の1つ以上の中間要素上にLEDチップが実装されているLEDチップ「パッケージ」、封入剤有り又は無しの波長変換蛍光体被膜を含む無機又は有機LEDのベア半導体チップの半導体チップ(例えば、合わさって白色光を生成するように設計された、黄色、白色、琥珀色、緑色、橙色、赤色、又はその他の蛍光体で被覆された紫外又は紫色又は青色LEDチップ)、マルチチップ無機又は有機LED素子(例えば、合わさって白色光を発生するように、それぞれ赤色、緑色、及び青色、並びに場合によりその他の色の光を発する3つのLEDチップを含む白色LED素子)等を包含すると理解される。色混合の実施形態の場合には、各色のLED素子の数を、色混合された強度が所望の結合スペクトルを有するように選択する。例として、図13では、赤色光を発するように大型LED素子14を選択し、青系又は青緑系又は白色光を発するようにLED素子12を選択することができる。9つのLED素子12及び1つのみのLED素子14の選択は、色混合出力が所望のスペクトル分布を有する白色光となるように、LED素子12に比べてLED素子14に、かなり高い強度出力を適切に反映するものでよい。
【0045】
図19及び20を参照すると、ピルボックスディスクの図示の実施例は、LEDの直近にあるロープロファイル光混合キャビティを含む。図7に示すような平面光源28は、ピルボックスの「底部」を形成し、最大横寸法Lの平面光透過性の光散乱ディフューザ30は、平面光源と平行に、平面光源28から間隔Sだけ離間して配置されており、ピルボックスの「上部」を形成している。反射性側壁32は、平面光源28のペリメータとディフューザ30のペリメータを接続している。幾つかの実施例において、ビーム形成光学部品の一部としてフレネルレンズの外側又はどこか別の箇所に位置するディフューザが好まれるので、ディフューザ30を省略する。このような実施例において、反射性側壁32が、ビーム形成光学部品の入射開口で終端してこれを画定するものであっても、反射性側壁32が、そのまま延在して入射開口を画定するものでもよい。図19及び20では、内部部品を見せるために反射性側壁32を透視的に示している。なお、反射性であるのは内部側壁(即ち光混合キャビティ内に面している側壁)である。外部側壁は反射性であっても、反射性でなくてもよい。このように、反射型キャビティは、平面光源28の反射面20及び反射性側壁32によって画定される。この反射型キャビティは、その出力開口を塞ぐディフューザ30を有する。言い換えると、光はディフューザ30を経由して反射型キャビティを出る。図19は、反射型キャビティの出力開口の上に設けられた、これを塞ぐディフューザ30を含む、組み立て済み光混合キャビティを示しており、図20は、反射型キャビティの出力開口34が見えるように、ディフューザ30を取り外した反射型キャビティを示している。
【0046】
図示の光混合キャビティは、図7に示す平面光源28を採用している。しかし、図1〜18のいずれに示すいずれの平面光源も、光混合キャビティの構築において同様に使用可能である。図16及び17の平面光源の場合、ディフューザは選択的に、六角形の反射面22の六角形のペリメータと適合する六角形のペリメータを有し、側壁は、反射面22の六角形のペリメータをディフューザの六角形のペリメータと接続する六角形の構成を適切に有し、或いはディフューザ及び側壁が、ランプの出射開口と適合する円形構造を有してもよい。同様に、図19の平面光源の場合、ディフューザは選択的に、反射面24の長方形又は正方形のペリメータと適合する長方形又は正方形のペリメータを有し、側壁は反射面22の長方形又は正方形のペリメータをディフューザの長方形又は正方形のペリメータと接続する長方形又は正方形の構成を適切に有し、或いはディフューザ及び側壁が、ランプの出射開口と適合する円形構造を有してもよい。
【0047】
既存の光混合キャビティ(本明細書では記載しない)は一般的に、光混合を実現するために、多数の光反射に依存している。この目的のために、既存の光混合キャビティでは、光線が光混合キャビティを出る前に、平均して多数の反射を行えるように、光源と出力開口との間に相当な距離をもたせる。幾つかの既存の光キャビティでは、光線が光混合キャビティを出る前に反射する数が平均して増加するように、追加の反射性錐体又はその他の反射性構造を採用すること、及び/又は出力開口を小さく作製することができる。既存の光混合キャビティはまた、大抵は「長尺」に作製されており、即ち大きいDspc/Ap比を有している。Dspcは光源と開口との間の距離であり、Apは開口サイズである。大きなDspc/Ap比は、従来から有利であると見なされてきた2つの効果を有する。即ち、(i)Dspc/Ap比が大きいと多重反射が促進されるので光混合を増加させ、(ii)スポットランプ又はその他の指向性ランプの場合、大きなDspc/Ap比が、光混合キャビティの反射性側壁による光の部分的な平行化を促進し、部分的平行化がビーム形成光学部品の動作を助けると思われる。言い換えると、大きなDspc/Ap比は、細柱の「底部」に光源を有し、細柱の「上部」に出力開口を有する、細柱状の光混合キャビティを意味する。細い反射柱により、光が多数の反射によって部分的に平行になる。
【0048】
本明細書に開示の光混合キャビティは、異なる手法を採用しており、ディフューザ30が主要な光混合素子である。この目的のため、ディフューザ30は比較的強力なディフューザでなければならない。例えば、スポットランプ等の幾つかの実施例では、ディフューザは少なくとも5〜10度の拡散角を有し、投光ランプ等の幾つかの実施例では、20〜80度の拡散角を有する。拡散角が大きいほど、光混合が良好になる傾向があるが、ディフューザ角が大きくなると、光キャビティ内に戻る光の後方散乱がより強力になり、吸収損失がより大きくなる可能性がある。ロープロファイルの光混合キャビティの場合、反射面20及び側壁32によって形成された反射型キャビティは、光混合の実質的な原因ではない。実際、各反射は表面の不完全な反射性に因り、ある程度の光学損失を生じるので、例えば平均でゼロ、又は1、又はせいぜい数回の反射等、反射型キャビティ内で少ない平均数の光線反射を有することは、有利である。別の利点は、反射型キャビティをロープロファイルで作製できること、即ちS/L比を小さくできることである。S/L比を小さくすることにより、側壁からの平均反射数が減少する。幾つかの実施例において、S/L比は3未満である。幾つかの実施例において、S/L比は1.5未満又は1.5前後である(ここでは、ゼロと1の間の光線あたりの平均反射数が得られるように見積もられている)。幾つかの実施例において、S/L比は1.0未満又は1.0前後である。
【0049】
少ない反射数は、低S/L比を有するロープロファイルの光混合キャビティによって達成され、「より長尺な」反射型キャビティによって実現される光の部分的平行化を、低減又は排除する。従来、このことは、スポットランプ又はその他の指向性ランプにとって問題であると考えられている。
【0050】
引き続き図19を参照しつつ、更に図21及び22を参照すると、ピルボックス型の3つの変形光混合キャビティが示されている。図19は、中程度のS/L比を有する光混合キャビティを示す。図21は、ディフューザ30と平面光源28との間の間隔S’がより大きい分、より大きいS’/L比を生じる光混合キャビティを示す。図22は、ディフューザ30と平面光源28との間の間隔S’’がより小さい光混合キャビティを示す。
【0051】
一般的に、ピルボックス型光混合キャビティからの光学効率を高くするには、S/L<3、及びより好ましくは約1.5以下のS/L(通常は平均して光線あたり約0〜1回の反射を生じる)、及び更に好ましくは約1.0以下のS/Lが望ましい。図22に示すような、S/L比の更に小さい値も考えられる。S/L比の最小値は、輝度の空間的及び角度的均一性、並びに光混合キャビティの出力における色によって決まるが、これはLED素子の間隔及びディフューザ30の拡散角によって制限される。有利なことに、LED素子によって発生する輝度の角度分布は一般的には比較的広い。例えば、典型的なLED素子は一般的に、その半値半幅(HWHM)が60°(即ちcos(60°)=0.5)の、ランバート(即ちcos(θ))輝度分布を有する。図1〜14又は16〜18に示すもの等の、適度に接近して離間したLED素子では、約5〜10°又はそれ以上の拡散角を備えるディフューザは、S/Lが約1.0以上であれば、反射型キャビティ内の多数の光線反射に依存することなく、ディフューザ30の領域にわたって多数のLED素子からの均一な照明出力を提供するのに十分である。図15の単一LED素子実施例では、S/L比の最小値は好ましくは、ディフューザ30の領域にわたって均一な照明出力を発生するように、単一のLED素子14がディフューザ30の全域を照射することを保証するように選択される。単一のLED素子がほぼランバート強度分布を有する光を放射する場合にも、やはり約1.0以上のS/Lで十分である。
【0052】
図1〜22を参照して本明細書に開示される光混合キャビティは、実質的に出力光の平行化を伴わずに、広い側面積にわたって均一な照明を発生する、ロープロファイルの光源が有用ないずれの用途における使用にも適している。これらの光混合キャビティは、異なる色又は色温度のLED素子(この場合は白色LED素子)が、白色光、又は特定の演色指数(CRI)、色温度等を有する白色光等、所望のスペクトルを実現するために色混合される、このようなディスク光源を提供するためにも有用である。図1〜22を参照して本明細書に開示される光混合キャビティは、ロープロファイルであり(即ち、s/L<3、及びより好ましくは約1.5以下のS/L、及び更に好ましくは約1.0以下のS/Lを有する)、棚下照明、劇場の床照明等の用途で、又は良好なビーム制御及び良好な色品質と組み合わせた小型サイズ及び軽量が重要ないずれかのランプ又は照明システムにおいて、有用である。
【0053】
図23を参照すると、図1〜22を参照して本明細書に開示される光混合キャビティは、指向性ランプでの使用に適している。図23は、平面光源28、ディフューザ30、及びビーム形成光学部品40への光入力の役割を果たす接続反射性側壁32(例えば、図19により詳細に示す)によって形成された、ロープロファイル光混合キャビティを含む。ビーム形成光学部品40は、ディフューザ30によって塞がれるか又は画定される入射開口42を含む。入射開口42は、ディフューザ30の最大横寸法Lとほぼ同じ最大横寸法Dsを有する。ビーム形成光学部品40は、最大横寸法Doを有する出射開口44も有する。図23の例示的指向性ランプは、光軸OAの周りに回転対称を有し、開口42、44は円形ペリメータを有し、入射開口42のペリメータはディフューザ30の円形ペリメータと実質的に適合する。したがって、最大横寸法Ds、Do、及びLは全て、この図示の実施例の直径である。例示的なビーム形成光学部品40は、入射開口42から出射開口44まで延在している円錐集光リフレクタ46、及び出力開口44に設けられたフレネルレンズ48(場合により凸レンズ、ホログラフィックレンズ等、別のタイプのレンズに置き換えが可能)を含む。より正確には、円錐リフレクタ46は、円錐台の形状、つまり、2つの平面即ち入射及び出射開口42、44の平面で円錐を切断した形状を有する。或いは、円錐集光リフレクタ46を、放物線、複合放物線、又はその他の円錐曲線リフレクタに置き換えてもよい。ほぼ理想的なディスク光源に因り、ビームは、ランプの出力開口にあるフレネル又はその他のレンズを用いてディスク光源を撮像して光遠距離場にすることによって、高効率で良好なビーム制御において形成可能である。無限でのディスク光源の撮像を実現するためには、ディスク光源が撮像レンズ48の焦点に位置すべきである。このような配置は、フェースルーメンの全てを理想的な状態のビームルーメン内に、又はフェースルーメンの殆ど全てを実際のランプのビームルーメン内に閉じ込めるビームを形成し、急峻なエッジを有するビームパターンを提供する。代わりに、例えばレンズ焦点距離から±10%以内の距離だけ撮像レンズ48から離れているが正確にレンズ焦点距離ではない位置にあるディスク光源を用いて、配置が僅かに焦点ずれしている場合には、焦点ずれは、まだ狭いFWHMを有しているが明度のエッジが平滑化又は除去されている光ビームを生成する。LEDの角輝度の略ランバート分布に因り、光の大部分が円錐リフレクタからの反射を伴わずにランプ開口に到達するので、リフレクタの主要目的は、高角度から少量の光を集めることになる(言い換えると、レンズ48を外れた光源からの光をレンズ48内に向けて反射し、光ビームにもたらすように配置される)。対照的に、従来のビーム形成光学部品のリフレクタの主要目的は、ビームパターンを形成することである。図23のリフレクタ46の主要目的は、ビーム形状の一次制御を行うことではなく、高角度光を集めることなので、従来的な放物線又はCPCを、図示の円錐リフレクタ46等の比較的複雑ではない設計に置き換えてもよい。そうすると円錐が、非常に高い光反射性(90%以上)を備える、平坦で安価な様々な被覆材料から構築されるという利点がある。
【0054】
本明細書で使用する際、「ビーム形成光学部品」又は「ビーム形成光学系」は、入射開口42からの照明出力を、ビームの半値全幅(FWHM)によって表される指定ビーム幅、FWHM内のビームにわたるルーメンの積分である指定ビームルーメン、指定最小CBCP等、指定された特性を備えるビームに変換するように構成された、1つ以上の光学素子を含む。
【0055】
図23の指向性ランプは、放熱を更に含む。高輝度光ビームを得るためには、LED素子10が高出力LED素子でなければならず、これには通常、LEDチップあたり100から1000mA程度、又はそれ以上の高電流で駆動されるLEDチップを含む。LEDは通常、約75から150LPW(即ち、ワットあたりルーメン)の非常に高い発光効率を有するものの、これはまだ、約300LPWを提供するであろう理想的な光源の効率の、4分の1から2分の1に過ぎない。光として照射されないLEDにもたらされるいずれのパワーも、LEDから熱として放散される。結果として、通常は各LEDにもたらされるパワーの2分の1から4分の3の、かなりの量の熱が、平面光源28で発生する。更に、LED素子を白熱又はハロゲンフィラメントに比べて温度感受性が高く、LED素子10の動作温度を約100〜150℃に、又は好ましくはより低く、制限するべきである。更に、この低動作温度は、ひいては放射及び対流冷却の効果を低減する。これらの厳しい動作温度パラメータを満たすための十分な放射及び対流冷却を行うには、本明細書において、平面光源28の周りにのみ設けられたヒートシンクでは不十分と思われる。したがって、図23に示すように、放熱は、平面光源28付近に(即ち「下方に」)設けられた主要放熱体50、及びビーム形成光学部品の外側に放射状に延在するヒートシンクフィン(場合により、放熱ロッド又はその他の広い表面積を有する構造に置き換えられる)を含む。LEDからの熱の除去を促進するために、ファン、ブロワ、又は相変化液等の形態の能動冷却を用いたとしても、熱除去量は通常、LEDを包囲する伝熱素子の利用可能な表面積に比例するので、広い伝熱面積を備えることが一般的に望ましい。
【0056】
図23の例示的指向性ランプはMR/PAR/R設計であり、この目的のために、対になるねじ込み型ソケットで機械的及び電気的に接続するように設計されたねじ込み金口54を含む。或いは、金口は差し込み式の金口、又は選択されたソケットに適合するように選択されたその他の標準金口であってもよい。MR/PAR/R基準がランプ径DMR/PAR/Rに上限を課す限り、一方ではヒートシンクフィン52の横方向範囲LFと、他方では光学出射開口44の直径Doとの間にトレードオフがあることは、理解できよう。
【0057】
本明細書に開示の指向性ランプは、入射及び出射開口42、44のエタンデュ及びスキュー不変量を適合させるように、数(2)及び(3)に基づいて構築される。言い換えると、本明細書に開示される指向性ランプは、(i)入射開口42によって出力される光源光分布、及び(ii)出射開口44から発せられる光ビームについて、エタンデュ及びスキュー不変量を適合するように、数(2)及び(3)に基づいて構築される。
【0058】
第一にエタンデュ不変性を考慮して、数(2)は4つのパラメータ、即ち、ビームの出力半角θo(所望のFWHM角の半分である)、入射開口42における光分布の半角θs、並びに入射及び出射開口径Ds、Doを含む。これらのうち、ビームの出力半角θoは、指向性ランプが生成しようとする標的ビーム半角なので、これをその他3つのパラメータの結果と見なすことができる。出射開口Doは、効果的な冷却を促進するためにヒートシンクフィン52の横方向範囲LFを最大化させるため、実現可能な限り小さくすべきである。入射開口42における光分布の半角θsは、通常約60°(ほぼランバート強度分布に対応する)なので、光学系に対して最も影響力のある設計パラメータは、θsと共に、光源エタンデュ、及び出射開口径Doを決定する、入射開口径Dsとなる。狭ビーム角では、光源エタンデュを可能な限り小さくすべきであり、即ちDs及びθsを最小化するべきであり、出射開口径Doを最大化するべきである。しかし、これらの設計パラメータの最適化は、MR/PAR/R直径基準DMR/PAR/Rによって課せられる最大開口径Doと、フィン横方向範囲LFに最小値を課す、所望の光ビーム強度を生成するのに十分なLED素子10の熱負荷の放熱と、平面反射面20上でLED素子10がどれほど近接して離間できるかという、熱的、機械的、電気的、及び光学的制限によって課される入射開口径Dsの最小値制約と、多重反射による又はLED強度分布自体による部分的平行化を提供しないロープロファイルの光混合源によって課せられる光源半角θsの下限を含む制約の下で行われるべきである。
【0059】
スキュー不変性に戻ると、ディスク光源(つまり、反射回路基板又はその他の担体上に設けられた1つ以上の個別LED内に任意で離散した、ディスク状発光領域を有する光源)の使用により、出射開口44とのスキュー不変性の正確な適合が可能になるので、フェースルーメンの全てを理想的な状態のビームルーメン内に、又はフェースルーメンの殆ど全てを実際のランプのビームルーメン内に閉じ込めることができ、ビームのエッジに急峻なカットオフを備えたビームパターンが可能になる。出射開口を塞いて円錐リフレクタ46(又はその他の集光リフレクタ)と連係するフレネルレンズ48(又は凸レンズ、ホログラフィックレンズ、積分レンズ等)は、ビームエッジに鋭いカットオフを備えるビームパターンを生成するために、入射開口42における照明出力の光遠距離場に画像を形成するために使用されてもよい。或いは、円錐リフレクタ46(又はその他の集光リフレクタ)と連係するフレネルレンズ(又は凸レンズ、ホログラフィックレンズ、積分レンズ等)を使用して、遠距離場で焦点をずらした照明出力の画像を入射開口42に形成し、ビームエッジになだらかなカットオフを備えるビームパターンを生成することができる。LEDどうしの間の隙間空間が、隣り合うLEDからの光によって埋められるべき遠距離場ビームパターンに現れるように、このように遠距離場で個別LED光源の画像の焦点を外すので、フレネルレンズ48の焦点ずれ配置を用いて、主にディフューザによって行われる光混合を補うことができる。
【0060】
なお、設計において考慮する点に、光軸OAに沿ったランプの「高さ」又は「長さ」に対するいかなる制限も含まない(光軸OAは、ビーム形成光学系、具体的には図23の実施例における撮像レンズ48の光軸によって、画定される)。高さ又は長さに課せられる唯一の制限は、レンズ48の焦点距離によるものであり、これはフレネルレンズ又は短焦点距離凸レンズでは小さくできる。また、リフレクタ46の形状に課せられる制限はない。例えば、図示の円錐リフレクタ46は、放物面型集光器、複合放物面型集光器等に置き換え可能である。
【0061】
引き続き図23を参照すると、幾つかの実施例において、ディフューザ30’が、ピルボックスからの光がフレネルレンズ48を通じてディフューザ30’に到達するように、フレネルレンズ48の外側に設けられている。前述のように、入射開口42の(つまりピルボックスの「上部」の)ディフューザ30を単独で使用する場合には、適切な光混合を実現するために、通常は重拡散を採用する。しかし、これではディフューザ30’からの後方反射と、結果的には光損失の増加を招く。フレネルレンズ48の外側に位置するディフューザ30’を追加すると、更なる光混合が行われ、入射開口42におけるディフューザ30の拡散強度を低減できる。或いは、ディフューザ30’で、全ての必要な光混合を行い、入射開口42のディフューザ30を省略してもよい。フレネルレンズ48の外側に位置するディフューザ30’では、入射光線がほぼ平行化されているので、平行入力光に対して高効率(92%、及びより好ましくは>95%、及び更に好ましくは>98%)で動作するように設計されたディフューザとなるように、ディフューザ30’を選択できる。例えば、ディフューザ30’のみを採用するがディフューザ30を採用しない幾つかの実施例において、光度及び色の空間的及び角度的不均一性は、単パス光ディフューザであるディフューザ30’によって混合され、実質的に均一な分布になる。選択された出力(拡散)光散乱分布FWHMを提供するように設計された幾つかの適切な単パス光ディフューザは、材料の選択に応じて、85〜92%の可視光の透過率を有し、1°から80°のFWHMの間の光散乱分布を有する透過光の拡散(平行入力光で)を提供する、Luminit, LLC製のLight Shaping Diffuser(登録商標)材料を含む。その他の適切なディフューザ材料は、ACEL(商標)光拡散材料(Bright View Technologiesより入手可能)である。これらの例示的な設計された単パス光ディフューザ材料は、光散乱粒子が光透過性結合剤に分散しているバルクディフューザではなく、入力平行光に目的の光散乱分布を提供するように設計された光散乱及び/又は屈折微細構造を有する設計インターフェースにおいて光拡散が発生するインターフェースディフューザである。このようなディフューザは、比較的小さいFWHMの光ビームを通すディフューザ30’としての使用に、非常に適している(対照的に、殆ど平行化されていない、このような設計ディフューザに入射する光線の方が、望ましいよりも高角に散乱されやすいだろう)。言い換えると、(i)比較的小さいFWHMの入力ビームを受けるように、撮像レンズ48の後にディフューザ30’を配置すること、及び(ii)設計インターフェースディフューザ又は有利な低後方反射を有するその他の単パスディフューザを使用することには、相乗的な利点がある。ビーム形成光学部品の向こう側に位置するディフューザ30’によって提供され、設計された光散乱分布FWHMを提供するように設計された、最適なディフューザ効率に伴って反射が低減した結果、全体的な光学効率が大幅に向上する(>90%)。幾つかの実施例において、ディフューザ30は含まれるが、ディフューザ30’は省略される。幾つかの実施例において、両方のディフューザ30、30’が含まれる。
【0062】
更に別の実施例において、入射開口42のディフューザ30は省略され、フレネルレンズ48の外側にあるディフューザ30’は含まれる。ディフューザ30を省略するこれらの実施例において、リフレクタ46の円錐は、任意でLEDダイレベルまで延在する。つまり、平面光源28は、任意で入射開口42と一致して配置され、反射性側壁32はディフューザ30の省略と共に任意で省略される。このような実施例では、光混合を提供するにあたり、ディフューザ30’に依存している。いずれの実施例においても、更なる光混合を行うために、レンズの焦点をずらすこともできる。
【0063】
これらの様々な配置を、図24A、24B、及び24Cに更に示す。図24Aは、光エンジンLEと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品BFと、光反射性側壁に隣接して位置する光学拡散素子30とを収容するランプを概略的に示す。この実施例において、光学拡散素子30は強いディフューザであり、出力開口にはディフューザはない。図24Bは、光エンジンLEと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品BFと、(i)光反射性側壁に隣接して位置する光学拡散素子30及び(ii)MR/PAR/Rランプの出力開口の付近に位置する光学拡散素子30’の両方と、を収容するランプを概略的に示す。この実施例において、ランプの出力開口にある光成形ディフューザ30’によって更なる拡散がもたらされるので、光学拡散素子30は弱いディフューザである。図24Cは、光エンジンLEと、円錐リフレクタ及びレンズを含むビーム形成光学部品BFと、MR/PAR/Rランプの出力開口の付近に位置する光整形光学拡散素子30’とを収容するランプを概略的に示す。図24Cの実施例では、光拡散素子30を省略している。
【0064】
図25〜27を参照すると、図示の円錐リフレクタ46の利点は、製造を簡素化し、コストを削減し、効率を向上させることである。例えば、図25〜27は、円錐リフレクタ46がどのように、円錐整形物の内側円錐面を覆う平面反射シートになり得るかを示す。図25は、それぞれ入射及び出射開口42、44に対応する丸みを帯びた下部及び上部辺、並びに側辺64、66を有する平面反射シート46pを示す。図26に示すように、平面反射シート46pを丸めて、側辺64、66が接続部68で接合された状態で(場合により側辺64、66のある程度の重複を含んでもよい)、円錐リフレクタ46を形成し、これをその後、図27に示すように、円錐整形物70に挿入できる。図23に戻って参照すると、円錐整形物70は、例えば、ヒートシンクフィン52も支持する円錐放熱構造70であってもよい。製造の簡素化及びコスト削減に加えて、円錐リフレクタによって、約92〜98%の可視反射率を有する、ALANOD Aluminium−Veredlung GmbH & Co.KG製のMiroという名称の被覆アルミニウム材料、又は97〜98%の可視反射率を有する3M製のVikuitiという名称のポリマー膜等、可視領域において非常に高い光反射性を有する被覆リフレクタ材料の使用も、可能になる。
【0065】
図28及び29は、度数で表すビームパターンのFWHM角(縦軸)対様々なMR/PAR/Rランプ設計の入射開口径Ds(横軸)の計算値を示す。図28では、ランプの出射開口はランプエンベロープ自体の直径に等しい最大可能値Do=DMR/PAR/R、例えばPAR38ランプではDo=120mmを有することを前提とし、図29では、ビーム形成光学部品40の周りにおいて、ヒートシンクフィン52(図23参照)、又は放射及び対流による熱除去を促進するその他の高表面積構造のための環状空間を持たせるために、ランプの出射開口が、例えばPAR38でDo=90mm等、最大可能値の75%しかないことを前提とする。図28及び29では、MR16、PAR20、PAR30、及びPAR38のグラフを示し、ここでの数字は、8分の1インチ単位でMR/PAR/Rランプの直径を示す(したがって、例えばMR16は、16/8=2インチの直径を有する)。グラフは、LEDアレイのランバート強度分布に対応して、θs=120°を前提とする。
【0066】
図30は、縦軸のビーム出力角FWHM(即ち2×θo)に対する横軸のDs/Do(又は同等に、L/Do)比のグラフを描画する。このグラフも、LEDアレイのランバート強度分布に対応して、θs=120°を前提とする。
【0067】
図31A及び31Bを参照すると、幾つかの実施例において、集光リフレクタ46の出射開口に位置するフレネルレンズ48及びディフューザ30’は、単一の光学素子に組み込まれている。図31Aにおいて、光学素子100は、レンズ側102と光拡散側104を含み、レンズ側102は、光入力側であり、且つ、フレネルレンズ48として適切に機能するフレネルレンズを形成する、レーザエッチング又はその他のパターニング法によって作製されており、光拡散側104は、光出口側であり、且つ、光混合ディフューザ30’として適切に機能する単パスインターフェースディフューザを形成する、レーザエッチング又はその他のパターニング法によって作製されている。言い換えると、光混合ディフューザは、ビーム形成光学系のレンズ100の主面内に向かって形成されたインターフェースディフューザ104を含む。図31Aの構成において、拡散側104は、レンズ側102によってビーム形成された後の光を有利に透過させる。或いは、図31Bに示すように、光学素子110は光学素子100と同じ構造を有するが、光拡散側104が光入力側として配置され、レンズ側102が光出口側として配置されている。
【0068】
好適な実施例を図示及び説明した。明らかなように、上記の詳細な説明を読んで理解すると、修正及び変形が想到されよう。本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある限りにおいて、そのような修正及び変形の全てを包含すると解釈されることを意図している。
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