【実施例】
【0022】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0023】
図1は、実施例の空調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0024】
この実施例の建物1は、
図1に示したように、内部空間2として、小屋裏収納空間21と、小屋裏空間22と、被空調空間しての、1階の室内空間23,24,25と2階の室内空間26,27,28とを有している。
【0025】
なお、室内空間25,28は、階段の図示は省略したが、階段ホールとされている。
【0026】
そして、小屋裏空間22と室内空間23〜28の周囲には、断熱材や高断熱性能の建材などから成る断熱手段3が設けられ、その内側に断熱領域A1が形成され、その外側に非断熱領域A2が形成されている。
【0027】
ここで、小屋裏収納空間21内には、吹出部4aと吸込部4bとを有する吹出型の温調装置としての冷暖房機能を有するエアコンディショナ4が設置されている。
【0028】
そして、温調用空気(冷気又は暖気)が、吹出部4aから温調用ダクト5を介して、被空調空間としての室内空間23〜28の上部(天井又は壁)にそれぞれ設けられた温調用空気給気口10から給気可能とされている。
【0029】
なお、1階の室内空間23,24,25に温調用空気を給気するための温調用ダクト5は、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0030】
また、被空調空間としての室内空間23〜28を温調した後の温調用空気は、小屋裏収納空間21の直下の被空調空間しての2階の室内空間28の天井に設けられた温調用空気排気口7から排気され、温調装置としてのエアコンディショナ4の吸込部4bから吸い込まれる。
【0031】
なお、図示省略のドアの隙間や階段の上部空間などが温調用空気の排気経路となる。
【0032】
さらに、小屋裏収納空間21の外側の小屋裏収納空間21内には、換気装置としての熱交換換気扇8が設置されている。
【0033】
そして、吸入口13から吸入された外気が、換気用空気として、換気用ダクト9Aを介して、被空調空間としての室内空間23,24,26,27の上部(天井)にそれぞれ設けられた換気用空気給気口11から給気可能とされている。
【0034】
なお、1階の室内空間23,24,25に換気用空気を給気するための換気用ダクト9Aは、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0035】
また、被空調空間としての室内空間23〜28を換気した後の換気は、被空調空間としての1階の室内空間25及び2階の室内空間28の天井にそれぞれ設けられた換気用空気排気口12から換気用ダクト9Bを介して排気され、吐出口14から屋外に排出される。
【0036】
なお、図示省略のドアの隙間などが換気用空気の排気経路となる。
【0037】
また、1階の室内空間23,24,25を換気した後の換気用空気を排気するための換気用ダクト9Bも、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0038】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0039】
このような実施例の空調システムは、建物1の内部が、断熱手段3により、断熱領域A1と非断熱領域A2とに区画されており、断熱領域A1内の温調装置設置用空間である小屋裏収納空間21に、断熱領域A1内の被空調空間としての室内空間23〜28を、温調用ダクト5を介して冷暖房可能な吹出型の温調装置としてのエアコンディショナ4が設置されており、非断熱領域A2内の換気装置設置用空間である小屋裏空間22に、断熱領域A1内の被空調空間としての室内空間23〜28を、換気用ダクト9A,9Bを介して換気可能な換気装置としての熱交換換気扇8が設置された構成とされている。
【0040】
上記した構成なので、特に夏場において、温調用ダクト5の表面は、温調装置としてのエアコンディショナ4による冷房時には、断熱領域A1に配置しないと結露し易く、換気用ダクト9A,9Bは、換気装置としての熱交換換気扇8による換気時にも、断熱領域A1と非断熱領域A2のいずれに配置しても結露し難いため、断熱領域A1内の温調装置設置用空間である小屋裏収納空間21に温調装置としてのエアコンディショナ4を設置し、非断熱領域A2内の換気装置設置用空間である小屋裏空間22に換気装置としての熱交換換気扇8を設置することにより、非断熱領域A2を広くとる分、断熱領域A1を狭くすることができるため、用いる断熱手段3が少なくて済み、低コストで実施することができる。
【0041】
ここで、温調装置設置用空間は、小屋裏収納空間21である。
【0042】
このため、特に冷房時に、温調用空気である冷気は自然と上から下に流れるので、温調装置としてのエアコンディショナ4からの吹出力を小さくでき、省エネルギーとなる。
【0043】
また、換気装置設置用空間は、小屋裏収納空間21の外の小屋裏空間22である。
【0044】
このため、比較的高価な小屋裏収納空間21を不要に広げなくて済むうえに、換気装置としての熱交換換気扇8を所謂デッドスペースに設置することができ、さらには、温調装置としてのエアコンディショナ4と換気装置としての熱交換換気扇8とが近傍に設置されるので、空調用ダクト5と換気用ダクト9A,9Bとの配管が略同時に行え、施工性が良い。
【0045】
さらに、小屋裏収納空間21の直下の被空調空間としての2階の室内空間28の天井には、小屋裏収納空間21の温調装置としてのエアコンディショナ4の吸込部4bと連通する温調用空気排気口7が設けられている。
【0046】
このため、温調用空気を排気するための温調用ダクトを配管する必要がないため、施工性が良く、低コストで実施することができる。
【0047】
また、建物1は2階から成り、1階の被空調空間としての室内空間23,24,25を温調する温調用ダクト5及び1階の被空調空間としての室内空間23,24,25を換気する換気用ダクト9A,9Bは、2階の壁6内を通っている。
【0048】
このため、温調用ダクト5及び換気用ダクト9A,9Bが建物1の内部空間2に露出することがないので、見栄えを良くすることができる。
【0049】
このような実施例の建物1は、上記した実施例の空調システムを備えた構成とされている。
【0050】
上記した構成なので、上記した実施例の空調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【0051】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0052】
例えば、上記した実施例では、建物1を2階建てにして実施したが、これに限定されず、1階建てや3階建て以上の建物にして実施してもよい。
【0053】
また、上記した実施例では、温調装置設置用空間を小屋裏収納空間21として実施したが、これに限定されず、例えば、温調装置設置用空間を床下空間などにして実施してもよい。
【0054】
さらに、上記した実施例では、温調装置としてのエアコンディショナ4に冷暖房可能なものを用いて実施したが、これに限定されず、冷房のみ可能なものを用いて実施してもよい。