特許第6018924号(P6018924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6018924-空調システム及び建物 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018924
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】空調システム及び建物
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20161020BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20161020BHJP
   F24F 1/02 20110101ALI20161020BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F24F7/10 101B
   E04H1/02
   F24F1/02 441Z
   F24F7/08 101G
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-792(P2013-792)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134295(P2014-134295A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】平野 宝
(72)【発明者】
【氏名】竹内 清
(72)【発明者】
【氏名】朝桐 大介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 滋康
(72)【発明者】
【氏名】船木 伸彦
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−092323(JP,A)
【文献】 特開2012−154623(JP,A)
【文献】 特開2005−241080(JP,A)
【文献】 特開2003−254560(JP,A)
【文献】 特開2010−164241(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0134600(US,A1)
【文献】 特開2012−163247(JP,A)
【文献】 特開2003−042484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
E04H 1/02
F24F 1/02
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部が、断熱手段により、断熱領域と非断熱領域とに区画されており、
前記断熱領域内の温調装置設置用空間に、前記断熱領域内の被空調空間を、温調用ダクトを介して少なくとも冷房可能な吹出型の温調装置が設置されており、
前記非断熱領域内の換気装置設置用空間に、前記断熱領域内の被空調空間を、換気用ダクトを介して換気可能な換気装置が設置されていることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記温調装置設置用空間は、小屋裏収納空間であることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記換気装置設置用空間は、前記小屋裏収納空間外の小屋裏空間であることを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記小屋裏収納空間の直下の被空調空間の天井には、該小屋裏収納空間の前記温調装置の吸込部と連通する温調用空気排気口が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記建物は複数階から成り、下階の被空調空間を温調する温調用ダクト及び下階の被空調空間を換気する換気用ダクトは、上階の壁内を通っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空調システムを備えていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システム、及びこの空調システムを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物全体の換気と温調を効率良く行うための空調システムの技術は多く提案され、実施に供されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1をはじめとした従来の空調システムでは、いかに換気と冷暖房などの温調とを複合して効率良くすることは考慮しているものの、建物内部の断熱領域と非断熱領域とをいかに合理的に使い分けるかについてまでは考慮されたものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、建物内部の断熱領域と非断熱領域とを合理的に使い分けることを考慮した空調システム、及びこの空調システムを備えた建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の空調システムは、建物の内部が、断熱手段により、断熱領域と非断熱領域とに区画されており、前記断熱領域内の温調装置設置用空間に、前記断熱領域内の被空調空間を、温調用ダクトを介して少なくとも冷房可能な吹出型の温調装置が設置されており、前記非断熱領域内の換気装置設置用空間に、前記断熱領域内の被空調空間を、換気用ダクトを介して換気可能な換気装置が設置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記温調装置設置用空間は、小屋裏収納空間であるとよい。
【0008】
また、前記換気装置設置用空間は、前記小屋裏収納空間外の小屋裏空間であるとよい。
【0009】
さらに、前記小屋裏収納空間の直下の被空調空間の天井には、該小屋裏収納空間の前記温調装置の吸込部と連通する温調用空気排気口が設けられているとよい。
【0010】
また、前記建物は複数階から成り、下階の被空調空間を温調する温調用ダクト及び下階の被空調空間を換気する換気用ダクトは、上階の壁内を通っていてもよい。
【0011】
本発明の建物は、上記した本発明の空調システムを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明の空調システムは、建物の内部が、断熱手段により、断熱領域と非断熱領域とに区画されており、断熱領域内の温調装置設置用空間に、断熱領域内の被空調空間を、温調用ダクトを介して少なくとも冷房可能な吹出型の温調装置が設置されており、非断熱領域内の換気装置設置用空間に、断熱領域内の被空調空間を、換気用ダクトを介して換気可能な換気装置が設置された構成とされている。
【0013】
上記した構成なので、特に夏場において、温調用ダクトの表面は、温調装置による冷房時には、断熱領域に配置しないと結露し易く、換気用ダクトは、換気装置による換気時にも、断熱領域と非断熱領域のいずれに配置しても結露し難いため、断熱領域内の空調装置設置用空間に空調装置を設置し、非断熱領域内の換気装置設置用空間に換気装置を設置することにより、非断熱領域を広くとる分、断熱領域を狭くすることができるため、用いる断熱手段が少なくて済み、低コストで実施することができる。
【0014】
ここで、温調装置設置用空間は、小屋裏収納空間である場合は、特に冷房時に、温調用空気である冷気は自然と上から下に流れるので、温調装置からの吹出力を小さくでき、省エネルギーとなる。
【0015】
また、換気装置設置用空間は、小屋裏収納空間外の小屋裏空間である場合は、比較的高価な小屋裏収納空間を不要に広げなくて済むうえに、換気装置を所謂デッドスペースに設置することができ、さらには、温調装置と換気装置とが近傍に設置されるので、温調用ダクトと換気用ダクトとの配管が略同時に行え、施工性が良い。
【0016】
さらに、小屋裏収納空間の直下の被空調空間の天井には、小屋裏収納空間の温調装置の吸込部と連通する温調用空気排気口が設けられている場合は、温調用空気を排気するための温調用ダクトを配管する必要がないため、施工性が良く、低コストで実施することができる。
【0017】
また、建物は複数階から成り、下階の被空調空間を温調する温調用ダクト及び下階の被空調空間を換気する換気用ダクトは、上階の壁内を通っている場合は、温調用ダクト及び換気用ダクトが建物の内部空間に露出することがないので、見栄えを良くすることができる。
【0018】
このような本発明の建物は、上記した本発明の空調システムを備えた構成とされている。
【0019】
上記した構成なので、上記した本発明の空調システムの効果を奏する建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例の空調システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0022】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0023】
図1は、実施例の空調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0024】
この実施例の建物1は、図1に示したように、内部空間2として、小屋裏収納空間21と、小屋裏空間22と、被空調空間しての、1階の室内空間23,24,25と2階の室内空間26,27,28とを有している。
【0025】
なお、室内空間25,28は、階段の図示は省略したが、階段ホールとされている。
【0026】
そして、小屋裏空間22と室内空間23〜28の周囲には、断熱材や高断熱性能の建材などから成る断熱手段3が設けられ、その内側に断熱領域A1が形成され、その外側に非断熱領域A2が形成されている。
【0027】
ここで、小屋裏収納空間21内には、吹出部4aと吸込部4bとを有する吹出型の温調装置としての冷暖房機能を有するエアコンディショナ4が設置されている。
【0028】
そして、温調用空気(冷気又は暖気)が、吹出部4aから温調用ダクト5を介して、被空調空間としての室内空間23〜28の上部(天井又は壁)にそれぞれ設けられた温調用空気給気口10から給気可能とされている。
【0029】
なお、1階の室内空間23,24,25に温調用空気を給気するための温調用ダクト5は、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0030】
また、被空調空間としての室内空間23〜28を温調した後の温調用空気は、小屋裏収納空間21の直下の被空調空間しての2階の室内空間28の天井に設けられた温調用空気排気口7から排気され、温調装置としてのエアコンディショナ4の吸込部4bから吸い込まれる。
【0031】
なお、図示省略のドアの隙間や階段の上部空間などが温調用空気の排気経路となる。
【0032】
さらに、小屋裏収納空間21の外側の小屋裏収納空間21内には、換気装置としての熱交換換気扇8が設置されている。
【0033】
そして、吸入口13から吸入された外気が、換気用空気として、換気用ダクト9Aを介して、被空調空間としての室内空間23,24,26,27の上部(天井)にそれぞれ設けられた換気用空気給気口11から給気可能とされている。
【0034】
なお、1階の室内空間23,24,25に換気用空気を給気するための換気用ダクト9Aは、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0035】
また、被空調空間としての室内空間23〜28を換気した後の換気は、被空調空間としての1階の室内空間25及び2階の室内空間28の天井にそれぞれ設けられた換気用空気排気口12から換気用ダクト9Bを介して排気され、吐出口14から屋外に排出される。
【0036】
なお、図示省略のドアの隙間などが換気用空気の排気経路となる。
【0037】
また、1階の室内空間23,24,25を換気した後の換気用空気を排気するための換気用ダクト9Bも、2階の壁6内及び1階の室内空間25の天井裏を通っている。
【0038】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0039】
このような実施例の空調システムは、建物1の内部が、断熱手段3により、断熱領域A1と非断熱領域A2とに区画されており、断熱領域A1内の温調装置設置用空間である小屋裏収納空間21に、断熱領域A1内の被空調空間としての室内空間23〜28を、温調用ダクト5を介して冷暖房可能な吹出型の温調装置としてのエアコンディショナ4が設置されており、非断熱領域A2内の換気装置設置用空間である小屋裏空間22に、断熱領域A1内の被空調空間としての室内空間23〜28を、換気用ダクト9A,9Bを介して換気可能な換気装置としての熱交換換気扇8が設置された構成とされている。
【0040】
上記した構成なので、特に夏場において、温調用ダクト5の表面は、温調装置としてのエアコンディショナ4による冷房時には、断熱領域A1に配置しないと結露し易く、換気用ダクト9A,9Bは、換気装置としての熱交換換気扇8による換気時にも、断熱領域A1と非断熱領域A2のいずれに配置しても結露し難いため、断熱領域A1内の温調装置設置用空間である小屋裏収納空間21に温調装置としてのエアコンディショナ4を設置し、非断熱領域A2内の換気装置設置用空間である小屋裏空間22に換気装置としての熱交換換気扇8を設置することにより、非断熱領域A2を広くとる分、断熱領域A1を狭くすることができるため、用いる断熱手段3が少なくて済み、低コストで実施することができる。
【0041】
ここで、温調装置設置用空間は、小屋裏収納空間21である。
【0042】
このため、特に冷房時に、温調用空気である冷気は自然と上から下に流れるので、温調装置としてのエアコンディショナ4からの吹出力を小さくでき、省エネルギーとなる。
【0043】
また、換気装置設置用空間は、小屋裏収納空間21の外の小屋裏空間22である。
【0044】
このため、比較的高価な小屋裏収納空間21を不要に広げなくて済むうえに、換気装置としての熱交換換気扇8を所謂デッドスペースに設置することができ、さらには、温調装置としてのエアコンディショナ4と換気装置としての熱交換換気扇8とが近傍に設置されるので、空調用ダクト5と換気用ダクト9A,9Bとの配管が略同時に行え、施工性が良い。
【0045】
さらに、小屋裏収納空間21の直下の被空調空間としての2階の室内空間28の天井には、小屋裏収納空間21の温調装置としてのエアコンディショナ4の吸込部4bと連通する温調用空気排気口7が設けられている。
【0046】
このため、温調用空気を排気するための温調用ダクトを配管する必要がないため、施工性が良く、低コストで実施することができる。
【0047】
また、建物1は2階から成り、1階の被空調空間としての室内空間23,24,25を温調する温調用ダクト5及び1階の被空調空間としての室内空間23,24,25を換気する換気用ダクト9A,9Bは、2階の壁6内を通っている。
【0048】
このため、温調用ダクト5及び換気用ダクト9A,9Bが建物1の内部空間2に露出することがないので、見栄えを良くすることができる。
【0049】
このような実施例の建物1は、上記した実施例の空調システムを備えた構成とされている。
【0050】
上記した構成なので、上記した実施例の空調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【0051】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0052】
例えば、上記した実施例では、建物1を2階建てにして実施したが、これに限定されず、1階建てや3階建て以上の建物にして実施してもよい。
【0053】
また、上記した実施例では、温調装置設置用空間を小屋裏収納空間21として実施したが、これに限定されず、例えば、温調装置設置用空間を床下空間などにして実施してもよい。
【0054】
さらに、上記した実施例では、温調装置としてのエアコンディショナ4に冷暖房可能なものを用いて実施したが、これに限定されず、冷房のみ可能なものを用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 建物
2 内部空間
21 小屋裏収納空間(温調装置設置用空間)
22 小屋裏空間
23 室内空間(被空調空間)
24 室内空間(被空調空間)
25 室内空間(被空調空間)
26 室内空間(被空調空間)
27 室内空間(被空調空間)
28 室内空間(被空調空間)
A1 断熱領域
A2 非断熱領域
3 断熱手段
4 エアコンディショナ(温調装置)
4a 吹出部
4b 吸込部
5 温調用ダクト
6 壁
7 温調用空気排気口
8 熱交換換気扇(換気装置)
9A 換気用ダクト
9B 換気用ダクト
10 温調用空気給気口
11 換気用空気給気口
12 換気用空気排気口
13 吸入口
14 吐出口
図1