特許第6018952号(P6018952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018952
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】軒樋構成体
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20161020BHJP
   E04D 13/064 20060101ALI20161020BHJP
   E04D 13/068 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E04D13/072 A
   E04D13/072 Y
   E04D13/064 501B
   E04D13/068 502Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-42871(P2013-42871)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-169599(P2014-169599A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100154313
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100140615
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 弘
(72)【発明者】
【氏名】古川 英治
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−19626(JP,U)
【文献】 実開平4−31922(JP,U)
【文献】 特開平5−33440(JP,A)
【文献】 実開平3−18326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/072
E04D 13/064
E04D 13/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に凹段部を有する軒樋支持部材と、
前面部、底面部及び後面部を備えて略々U字断面形状に形成されていて前記凹段部に係合する下向きの凸段部を有する吊り片部が前記後面部の上部に設けられてなる軒樋本体と、
前記軒樋本体をその軸方向に対して45度の傾斜角度で切断して形成された一対の軒樋部材同士を接続して構成された外曲り又は内曲りとを備え、
前記軒樋本体と外曲り又は内曲りは、それぞれ屋根の軒側端部に沿って取り付けられた軒樋支持部材の凹段部に吊り片部の凸段部を係合させて支持され、且つ吊り片部を軒樋支持部材と軒先部材とにそれぞれ固着具で留め付けて軒に固定された構成を有することを特徴とする軒樋構成体。
【請求項2】
軒樋本体と外曲り又は内曲りが、屋根の側端部に沿って取り付けられた軒樋支持部材の凹段部に吊り片部の凸段部を係合させて支持され、且つ吊り片部を軒樋支持部材の重合面部と破風板の重合面部とにそれぞれ固着具で留め付けて屋根側端部に固定された構成を有することを特徴とする請求項1に記載の軒樋構成体。
【請求項3】
屋根勾配Aの屋根に取り付けられる請求項1又は2に記載の軒樋構成体であって、
軒樋本体の前面部の上端と吊り片部の上端にそれぞれ開口部側へ突出した前側天面部と後側天面部が設けられ、両天面部は同一仮想平面上に配置さているとともに、この仮想平面と軒樋本体の底面部の前端を前方へ延長した仮想面との交差角度が前記屋根勾配Aと同じとなるように軒樋本体が形成されたことを特徴とする軒樋構成体。
【請求項4】
前面部と前側天面部が直交するように設けるとともに、前面部と平行な傾斜面部を吊り片部に設けて軒樋本体が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の軒樋構成体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の軒先に軒樋を取り付ける構造に係り、軒樋吊り具に代えて軒樋支持部材を軒先に取り付けて軒樋を固定する構造のものに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の軒先に軒樋を取り付けるにあたり、軒の前面に複数の軒樋吊り具を所定の間隔を開けて設置し、軒樋の前後両面部を各軒樋吊り具に係合させて取り付けることが従来から行われている(例えば特許文献1参照)。
また、外壁の角部である出隅や入隅には、例えば図11に示されるような屈曲形成された軒樋曲り継手100を取り付け、この軒樋曲り継手100を介して角部の両側の軒樋を接続するようにしている(例えば特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−88273号公報
【特許文献2】特開2008−214967号公報
【特許文献3】特開2003−247309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウム製の樋は、強度が高く耐久性に優れるものの合成樹脂製のものと比べて高価であり、これまで主に公共施設や商業施設、マンションなどの大規模建物の雨水排水用竪樋などとして使用されていたが、近時、アルミ素材の持つ質感が醸し出す意匠性に着目して戸建て住宅の軒樋への使用も検討されつつある。
【0005】
かかるアルミ軒樋は、合成樹脂製の軒樋と同様に軒樋吊り具を用いて設置することが可能であるが、軽量で弾性を有する合成樹脂製の軒樋と異なり、アルミ軒樋は合成樹脂製のものよりは重くて硬いため、これを複数の軒樋吊り具に係合させただけでは設置位置に安定的に保持することできない。アルミ軒樋を軒樋吊り具で吊下げただけでは、強風時に軒樋が軒にぶつかって衝撃音を発したり、軒樋吊り具から取り外れたりする虞がある。設置位置に確実に固定するために各軒樋吊り具に軒樋をネジ留めしたのでは、設置に要する作業工数が多大となる。
【0006】
軒樋吊り具を用いずに、アルミ軒樋を直に軒に固定すれば軒樋吊り具を取り付ける作業が不要となって部品点数も減るが、その反面、軒樋の固定作業にあたり事前に軒樋の固定位置を精密に特定しておかなければならず、また、軒樋を固定位置に水平に支持する者と軒樋をネジ留めする者とが共同で作業する必要があるため、作業工数は多くならざるを得ない。アルミ軒樋は重量なため、一人の作業者では、これを軒に沿って支持しながら固定操作することはできない。
【0007】
また、アルミ軒樋とともに出隅や入隅に取り付ける曲り継手や、屋根側端部の破風に沿って取り付ける樋がアルミニウム製であれば、屋根廻りの樋全体が、質感が統一されたデザインとなって意匠性が向上するが、専用の曲り継手やケラバ側の継手を成形したのでは加工コストが嵩張り、屋根の軒先廻りの施工コストの低廉化は図れない。
【0008】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、アルミニウム製のような重量で硬い材質の軒樋を軒に沿って少ない作業工数で所定の位置に固定できるようにすること、及び屋根廻りの軒樋構成体を部材の加工コストの削減を図りつつ統一性があるデザインのものに構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明の軒樋構成体は上部に凹段部を有する軒樋支持部材と、前面部、底面部及び後面部を備えて略々U字断面形状に形成されていて前記凹段部に係合する下向きの凸段部を有する吊り片部が前記後面部の上部に設けられてなる軒樋本体と、前記軒樋本体をその軸方向に対して45度の傾斜角度で切断して形成された一対の軒樋部材同士を接続して構成された外曲り又は内曲りとを備え、
前記軒樋本体と外曲り又は内曲りは、それぞれ屋根の軒側端部に沿って取り付けられた軒樋支持部材の凹段部に吊り片部の凸段部を係合させて支持され、且つ吊り片部を軒樋支持部材と軒先部材とにそれぞれ固着具で留め付けて軒に固定された構成を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、軒樋本体を軸方向に対して45度の傾斜角度で切断して、端部が傾斜した形状の軒樋部材を複数形成しておき、出隅や入隅に沿った屈曲形状になるように、一対の軒樋部材の傾斜端部同士を接続することで、外曲りや内曲りが形成される。
軒樋構成体の施工は、先ず、軒樋支持部材を、その凹段部が軒の前方へ突出するように配置して、軒に沿って取り付ける。次いで、軒樋の吊り片部に設けた凸段部を軒樋支持部材の凹段部に係合させて軒樋本体を軒樋支持部材に支持させ、軒に沿って軒樋を仮留めした状態で固定位置を調整する。固定位置の調整は、軒樋を軒樋支持部材に沿ってスライドさせて行う。そして、固定位置を特定したならば、軒樋本体の吊り片部と軒樋支持部材の重合面部をドリルネジや留めネジ、ビスなどの固着具で留め付け、さらに吊り片部を鼻隠しなどの軒先部材に固着具で留め付けることにより、軒樋本体が軒に沿って取り付けられる。
これと同様にして、屋根の出隅や入隅についても、予め軒に沿って取り付けられた軒樋支持部材に、前記の如く形成した外曲りや内曲りを支持させ、外曲り又は内曲りの吊り片部を軒樋支持部材と軒先部材に固着具でそれぞれ留め付けることにより、外曲りや内曲りを固定することができる。
これによれば、予め軒に取り付けた軒樋支持部材に軒樋本体や外曲り、内曲りを支持させて仮留めしておくことができるので、仮留めした状態でその固定位置の調整が可能であり、軒樋本体などを複数人の作業者で支持することは不要であり、一人の作業者により仮留めした軒樋本体や外曲り、内曲りを正確な取り付け位置に固定することができる。
軒樋本体同士や、軒樋本体と外曲り又は内曲りを接続するには、端部同士の継ぎ目部分に跨るようにして内継手を嵌め合せ、これを接着固定することにより行うことができる。
【0011】
前記構成の軒樋構成体は、屋根のケラバの棟側から軒側に亘って取り付けることができる。この場合に軒樋本体と外曲り又は内曲りは、屋根の側端部に沿って取り付けられた軒樋支持部材の凹段部に吊り片部の凸段部を係合させて支持され、且つ吊り片部を軒樋支持部材の重合面部と破風板の重合面部とにそれぞれ固着具で留め付けて屋根の側端部に固定することができる。外曲りと内曲りは屋根の側端部の角部に沿って取り付けられる。
これによれば、軒に沿って取り付けられる軒樋本体を屋根の側端部に取り付ける樋として使用することで、専用に成形された樋が不要となって部材の加工コストを削減することができる。また、軒側と屋根側端部側に同じ樋を取り付けることで、屋根の周辺部分を統一性のある見栄えの良い外観のものに収めることができる。
【0012】
前記構成の軒樋構成体において、屋根勾配Aの屋根に取り付ける場合に、軒樋本体は、その前面部の上端と吊り片部の上端にそれぞれ開口部側へ突出した前側天面部と後側天面部が設けられ、両天面部は同一仮想平面上に配置さているとともに、この仮想平面と軒樋本体の底面部の前端を前方へ延長した仮想面との交差角度が前記屋根勾配Aと同じとなるように形成されていることが好ましい。
このように軒樋本体が形成されていれば、軒に取り付けた状態で、軒樋本体の上面の勾配と屋根の勾配とが略面一に揃って恰も軒樋本体が屋根の軒先部分に一体に組み込まれた如きすっきりとした外観のものとなり、屋根の軒廻りの見栄えが向上する。
【0013】
また、前記構成の軒樋本体を、その前面部と前側天面部が直交するように設けるとともに、前面部と平行な傾斜面部を吊り片部に設けて形成することができる。このように形成された軒樋本体は、これを屋根の側端部に取り付けるときは、吊り片部と軒樋支持部材の重合面部と前記傾斜面部と破風板の重合面部をそれぞれ固着具で留め付けて固定される。
固定された軒樋本体は、その開口が屋根の勾配に沿った面内に配置されて屋根の側端部の側方へ張り出し、屋根側端部の下方の地上面に雨水を滴下することなく、樋内部に確実に集水して集水器器介して竪樋内部に流し落とすことができる。
【0014】
なお、本発明の軒樋構成体は、アルミニウム製のような重量で硬い材質の軒樋を軒に沿って取り付ける場合に特に効果的であるが、各部材の材質はアルミニウムに限定されず、合成樹脂など他の材質のものにも適用が可能である。各部材の材質がアルミニウムの場合、部材同士の連結や軒への固定に用いる固着具としてはドリルネジが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の軒樋構成体の軒樋の全体構成を示した外観図である。
図2図1の軒樋構成体による軒先の施工断面図である。
図3図2に示した軒樋支持部材の断面図である。
図4図1に示した軒樋本体の断面図である。
図5図1に示した軒樋本体の形態を説明するための図である。
図6】軒樋本体を切断して形成される軒樋部材の構成を説明するための図である。
図7】(A)は外曲りの外観図、(B)は内曲りの外観図である。
図8】(A)及び(B)は図1の軒樋構成体の施工手順を説明するための図である。
図9図1の軒樋構成体を屋根の側端部に取り付ける場合の軒樋の全体構成を示した外観図である。
図10】屋根の側端部に取り付けられる軒樋構成体の施工断面図である。
図11】出隅に取り付けられる従来の樋曲りの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は出隅と入隅を備えた家屋の屋根の軒に沿って取り付けられる軒樋の全体構成を示した図、図2は軒樋を取り付けた軒先の施工断面図であり、図中、符号1は軒樋構成体、2は軒樋支持部材、3は軒樋本体、4は外曲り、5は内曲り、6は垂木、7は鼻隠し、8A,8Bは上部水切りと下部水切り、9は屋根材、10は落ち葉除け板である。
前記軒樋構成体1を構成する軒樋支持部材2と軒樋本体3はアルミ形材により形成されており、後述するように、外曲り4と内曲り5は軒樋本体3を所定形状に切断してなる軒樋部材3A,3A同士を一体に接続して形成してある。
【0017】
軒樋支持部材2は、鼻隠し7の端部に沿って取り付けられる長尺な部材であり、図3に示されるように、鼻隠し7の上面と前面に接合する断面L字形に屈曲した端部被覆面21を有し、端部被覆面21の前面に横向きU字形に折り返した屈曲面部22を突出させ、この屈曲面部22の上部に下向きに凹んだ凹段部23を設けて形成してある。
【0018】
軒樋本体3は、図4に示されるように、前面部31、底面部32及び後面部33を有して上部を開口部34とした略々U字断面形状をなし、後面部33の上部に、軒樋支持部材2の凹段部23に係合する凸段部35gを有する吊り片部35を設けて形成してある。
詳しくは、軒樋本体3の前面部31は底面部32の前端から斜め上方へ屈曲して立ち上がっており、前面部31の上端には、軒樋本体3の開口部34側へ折れて突出した前側天面部31aが設けられ、この前側天面部31aの端部に凹状の折り返し部31bを設けてある。
軒樋本体3の後面部33は底面部32に対して直角に上方に折れ曲がっており、後面部33の上部に設けた吊り片部35は、後面部33の上端から前方へ直角に折れた前方屈曲部35aと前方屈曲部35aの前端から上方へ直角に折れた受け面部35bと受け面部35bの上端から上方斜め前方へ折れた傾斜面部35cと傾斜面部35cの上端から開口部34側へ折れた前方折れ部35dとを連ね、さらに、前方折れ部35dの上面に上方へ折れた上方折れ部35eを設けるとともに、この上方折れ部35eの上端に一端が開口部34側へ折れて突出し、他端が後方へ突出した後側天面部35fを設け、且つ後側天面部35fの面内に下向きに突出した凸段部35gを設けた形状としてある。
【0019】
さらに、軒樋本体3は、図5に示されるように、その前面部31の上端の前側天面部31aと、吊り片部35の上端の後側天面部35fが、同一の仮想平面T上に配置されており、この仮想平面Tと、軒樋本体3の底面部32の前端を前方へ延長した仮想面Bとの交差角度aが、軒樋構成体1を施工する家屋の屋根勾配Aと同じとなるように構成してある。
本形態では、屋根勾配1/2(26.5度の角度勾配;図2参照)の家屋の屋根に対応させて、前記交差角度aを26.5度に設定してある。
また、図5に示されるように、軒樋本体3は、その前面部31とその上端の前側天面部31aとが直交するように設け、且つこの前面部31と後面部33上方の傾斜面部35cが平行となるように設けてある。
【0020】
外曲り4と内曲り5は、図6に示されるように、軒樋本体3をその軸方向(O−O方向)に対して45度の傾斜角度で切断して複数の軒樋部材3A,3Bを形成し、一対の軒樋部材3A,3Bの傾斜端部同士を一体に継ぎ合わせて形成してある。
図7(A)に示されるように、外曲り4は、前面部31が直角に外折れするように軒樋部材3A,3Aの傾斜端部を継ぎ合わせ、折れ部となる継ぎ目部分の内面に継手部材41,42を接着固定することにより、軒樋部材3A,3Aを一体に接続して形成してある。
また、同図(B)に示されるように、内曲り5は、前面部31が直角に内折れするように軒樋部材3B,3Bの傾斜端部を継ぎ合わせ、折れ部となる継ぎ目部分の内面に継手部材51,52を接着固定することにより、軒樋部材3B,3Bを一体に接続して形成してある。
【0021】
これらの部材からなる軒樋構成体1の施工は、例えば以下の作業手順により行うことができる。
図8に示されるように、先ず、軒樋支持部材2を鼻隠し7の端部に沿って取り付ける(同図(A))。
取り付けは、垂木6の下側に取り付けられる下部水切り8Bの上端に軒樋支持部材2の屈曲した端部被覆面21を重ねて鼻隠し7の上面と前面の角部にあてがい、端部被覆面21の上方からドリルネジ11を鼻隠し7の上面にねじ込んで行う。鼻隠し7の取り付けられた軒樋支持部材2は、その凹段部23が軒の縁部に沿って前方へ突出した位置に設置される。
【0022】
軒に沿って軒樋支持部材2を取り付けたならば、軒樋本体3を軒樋支持部材2に支持させて取り付ける(同図(B))。
軒樋本体3の支持は、軒の前方に持ち上げた軒樋本体3を、その吊り片部35が軒樋支持部材2に被さるように操作して、吊り片部35の凸段部35gを軒樋支持部材2の凹段部23に係合させることにより行うことができる。
軒樋本体3を軒樋支持部材2に支持させた状態で、軒樋本体3は、その吊り片部35の上方折れ部35eが軒樋支持部材2の屈曲面部22の前面に重合するとともに、後面部33上端の前方屈曲部35aとの角部と傾斜面部35cとが鼻隠し7の前面に接合する。
軒樋本体3を軒樋支持部材2に支持させたならば、軒に沿って軒樋本体3をスライドさせながら固定位置を調整し、固定位置を特定したならば、前記吊り片部35の上方折れ部35eと軒樋支持部材2の屈曲面部22との重合面部にドリルネジ11をねじ込んで一体に接続し、さらに受け面部35bの前方からねじ込んだドリルネジ11を鼻隠し7に留め付けて軒樋本体3を軒に固定する。ドリルネジ11による留め付けは、軒に沿って複数箇所で行われる。
【0023】
外曲り4と内曲り5の取り付けも、前記と同様にして、軒に沿って取り付けられた軒樋支持部材2に外曲り4、内曲り5を支持させ、それぞれの吊り片部35を軒樋支持部材2と鼻隠し7にドリルネジ11で留め付けることにより行われる。外曲り4と内曲り5の、軒樋本体3との接続は、互いに端部同士を突き合わせ、継ぎ目部分に跨るようにして内継手(図示せず)を嵌め合せ、これを接着固定することにより行うことができる。
【0024】
軒に沿って軒樋本体3、外曲り4及び内曲り5を取り付けたならば、鼻隠し7の上部に上部水切り8Aを取り付け、次いで、屋根材9を取り付ける屋根工事を行った後、軒樋本体3、外曲り4及び内曲り5の開口部34上に落ち葉除け板10を取り付けて屋根廻りの工事が完了する。
【0025】
図9及び図10は出隅と入隅を備えた家屋の屋根の側端部に沿って樋を取り付ける形態を示しており、この場合も、前記軒樋本体3、外曲り4及び内曲り5を用い、これらを前記形態と同様の作業手順により取り付けることができる。
すなわち、先ず、軒樋支持部材2を破風板12の端部に沿って、棟側から軒側に亘り取り付け、次いで、軒樋本体3をその吊り片部35の凸段部35gを軒樋支持部材2の凹段部23に係合させて、軒樋支持部材2に支持させる。
図10に示されるように、軒樋支持部材2に支持させた状態で、軒樋本体3は、その開口部34が破風板12の側方に張り出し、その吊り片部35の上方折れ部35eが軒樋支持部材2の屈曲面部22の前面に重合するとともに、傾斜面部35cが破風板11の側面に接合する。
【0026】
そして、軒樋本体3の固定位置を調整した後、吊り片部35の上方折れ部35eと軒樋支持部材2の屈曲面部22との重合面部にドリルネジ11をねじ込んで一体に接続し、さらに傾斜面部35cをドリルネジ11で破風板12に固定する。を鼻隠し7に留め付けて軒樋本体3を軒に固定する。
外曲り4と内曲り5も同様にして取り付けられ、それぞれの端部が内継手により軒樋本体3の端部に接続される。その後、上部水切り板8Aを取り付けて屋根材9の取り付け工事が行われ、各樋の開口部34上に落ち葉除け板10を取り付けて屋根側端部の工事が完了する。
【0027】
なお、図示した軒樋構成体1の各構成部材は本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、軒樋を取り付ける建物の軒の形状や寸法などに応じて、他の適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 軒樋構成体、2 軒樋支持部材、23 凹段部、3 軒樋本体、34 開口部、35 吊り片部、37g 凸段部、3A,3B 軒樋部材、4 外曲り、5 内曲り、6 垂木、7 鼻隠し、8A,8B 上下水切り、9 屋根材、10 落ち葉除け板、11 ドリルネジ、12 破風板

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11