(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコンパクト容器では、操作性に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させることができるコンパクト容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るコンパクト容器は、内容物が収容される収容部および前記収容部を開閉する蓋部を有する容器本体と、前記容器本体に、径方向に移動可能に外嵌された操作枠体と、を備え、前記容器本体の外周縁部には、前記収容部と前記蓋部とを固定可能な3つ以上の固定部が、周方向に間隔をあけて配置され、前記固定部には、前記収容部および前記蓋部に各別に設けられ、容器軸方向に前記操作枠体を挟み込むとともに互いに磁着可能な一対の磁着体が備えられ、前記操作枠体は、前記蓋部を閉止姿勢に保持する保持位置と、その保持を解除する解除位置と、の間を、前記一対の磁着体間の離間間隔を調整しながら径方向に移動させられ、前記保持位置に位置する前記操作枠体は、容器軸と同軸に配置されるとともに、前記3つ以上の固定部それぞれにおける前記離間間隔を、互いに同等にし、前記解除位置に位置する前記操作枠体は、前記保持位置から径方向に、周方向に隣り合う一対の前記固定部側に向けて移動させられているとともに、これらの両固定部における前記離間間隔を、前記両固定部以外の前記固定部における前記離間間隔よりも小さくすることを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作枠体が保持位置に位置するときには、3つ以上の固定部それぞれにおける一対の磁着体間の離間間隔が、互いに同等となっていることから、一対の磁着体同士が磁着し合う強さである固定部の固定強度を、全ての固定部において互いに同等として、蓋部を閉止姿勢に安定して保持することができる。
蓋部を開けて収容部を開放するときには、操作枠体を径方向に、周方向に隣り合う一対の固定部側に向けて移動させ、保持位置から解除位置に移動させる。このとき、3つ以上の固定部のうち、径方向に沿った移動側に位置する両固定部における一対の磁着体間の離間間隔が、これらの両固定部以外の固定部における一対の磁着体間の離間間隔よりも小さくなり、両固定部の固定強度を確保しつつ、両固定部以外の固定部の固定強度を、両固定部の固定強度よりも弱くすることができる。したがって、蓋部のうち、径方向に沿った反移動側に位置する部分を、容器軸方向に沿った収容部に対する蓋部側である上側に向けて移動させることで、蓋部を、前記両固定部を通過する回動軸回りに回動させ、収容部を開放することができる。
以上より、このコンパクト容器によれば、蓋部の回動の中心となる一対の固定部を適宜選択し、これらの両固定部側に向けて操作枠体を保持位置から解除位置に移動させることで、蓋部を多様な方向に開閉することが可能になり、操作性を向上させることができる。
【0008】
また、前記操作枠体は、前記容器本体に、容器軸に直交するとともに互いに直交し合う第1方向および第2方向の両方向に移動可能に外嵌され、前記固定部は、前記第1方向に延在する一対の第1辺部および前記第2方向に延在する一対の第2辺部により形成された矩形状における4つの角部分を構成するように、周方向に間隔をあけて4つ配設され、前記解除位置に位置する前記操作枠体は、前記保持位置から前記第1方向または前記第2方向に、周方向に隣り合う一対の前記固定部側に向けて移動させられていてもよい。
【0009】
この場合、操作枠体を保持位置から解除位置に移動させるときには、操作本体を第1方向または第2方向に移動させる。
操作枠体を第1方向に移動させると、第1方向のどちら側に移動させた場合であっても、第1方向に沿った移動側に位置する2つの固定部における一対の磁着体間の離間間隔が、第1方向に沿った反移動側に位置する2つの固定部における一対の磁着体間の離間間隔よりも小さくなり、反移動側の両固定部の固定強度を、移動側の両固定部の固定強度よりも弱くすることができる。したがって、蓋部のうち、反移動側に位置する部分を上側に向けて移動させることで、蓋部を、移動側の両固定部を通り第2方向に延在する回動軸回りに回動させることができる。これにより、操作枠体を移動させる第1方向の向きを適宜変更することで、蓋部を第1方向の両側から開けることができる。
また、操作枠体を第2方向に移動させると、第2方向のどちら側に移動させた場合であっても、第2方向に沿った移動側に位置する2つの固定部における一対の磁着体間の離間間隔が、第2方向に沿った反移動側に位置する2つの固定部における一対の磁着体間の離間間隔よりも小さくなり、反移動側の両固定部の固定強度を、移動側の両固定部の固定強度よりも弱くすることができる。したがって、操作枠体を第1方向に移動させたときと同様に、蓋部のうち、反移動側に位置する部分を上側に向けて移動させることで、蓋部を、移動側の両固定部を通り第1方向に延在する回動軸回りに回動させることができる。これにより、操作枠体を移動させる第2方向の向きを適宜変更することで、蓋部を第2方向の両側からも開けることができる。
以上より、このコンパクト容器によれば、操作枠体を、容器本体に、第1方向および第2方向の両方向に移動可能に外嵌することで、蓋部を、単に第1方向の片側や第2方向の片側のみから開閉可能にするのではなく、第1方向の両側および第2方向の両側から開閉可能にすることができるので、蓋部を多様な方向に開閉させつつ、このコンパクト容器の構造が複雑になるのを抑えることができる。
【0010】
また、前記操作枠体は、前記容器本体のうちの前記収容部に外嵌され、前記一対の磁着体のうち、前記蓋部に設けられた上磁着体は、前記蓋部から、容器軸方向に沿う収容部側である下側に向けて突出し、前記上磁着体において下側を向く表面は、前記操作枠体において、容器軸方向に沿う蓋部側である上側を向く表面に当接するとともに、下側に向けて凸となる凸球面状に形成されていてもよい。
【0011】
この場合、蓋部を第1方向から開けるため、操作枠体を保持位置から解除位置に向けて第1方向に移動させて蓋部を回動軸回りに回動させるときに、第1方向の移動側に位置する両固定部の各上磁着体を、この上磁着体の表面を操作枠体の表面に当接させながら操作枠体上で第1方向の移動側に向けて倒れ込ませることで、蓋部を回動軸回りに円滑に回動させることができる。
また、蓋部を第2方向から開けるため、操作枠体を保持位置から解除位置に向けて第2方向に移動させて蓋部を回動軸回りに回動させるときも同様に、第2方向の移動側に位置する両固定部の各上磁着体を、この上磁着体の表面を操作枠体の表面に当接させながら操作枠体上で第2方向の移動側に向けて倒れ込ませることで、蓋部を回動軸回りに円滑に回動させることができる。
以上より、このコンパクト容器によれば、上磁着体の表面が、下側に向けて凸となる凸球面状に形成されていることで、蓋部を第1方向および第2方向のいずれの方向から開けるときにも、蓋部を回動軸回りに円滑に回動させることが可能になり、操作性をより向上させることができる。
【0012】
また、前記操作枠体の表面には、前記上磁着体が配置された配置凹部が設けられ、前記配置凹部の壁面には、前記第1方向の内側を向く第1外側壁面と、前記第2方向の内側を向く第2外側壁面と、が備えられ、前記操作枠体が前記保持位置に位置する状態で、前記第1外側壁面は、前記上磁着体に前記第1方向の外側から対向するとともに、前記第2外側壁面は、前記上磁着体に前記第2方向の外側から対向し、前記第1外側壁面および前記第2外側壁面はそれぞれ、下側に向けて凹となる凹曲面状に形成されていてもよい。
【0013】
この場合、蓋部を第1方向から開けるため、操作枠体を保持位置から解除位置に向けて第1方向に移動させるときに、第1方向の反移動側に位置する両固定部の各上磁着体の表面を、配置凹部の第1外側壁面に当接させながら、操作枠体が第1方向に移動することで、上磁着体の上昇移動が第1外側壁面により案内されて上磁着体が徐々に上昇し、一対の磁着体間の離間間隔が円滑に調整される。その後、蓋部を回動軸回りに回動させ、第1方向の移動側に位置する両固定部の各上磁着体を、操作枠体上で第1方向の移動側に向けて倒れ込ませると、上磁着体の表面が呈する凸球面状が、配置凹部の第1外側壁面が呈する凹曲面状に沿うように上磁着体が倒れ込む。これにより、上磁着体が第1外側壁面により支持されて、蓋部を開放姿勢に安定にして保持することができる。
また、蓋部を第2方向から開けるため、操作枠体を保持位置から解除位置に向けて第2方向に移動させるときに、第2方向の反移動側に位置する両固定部の各上磁着体の表面を、配置凹部の第2外側壁面に当接させながら、操作枠体が第2方向に移動することで、上磁着体の上昇移動が第2外側壁面により案内されて上磁着体が徐々に上昇し、一対の磁着体間の離間間隔が円滑に調整される。その後、蓋部を回動軸回りに回動させ、第2方向の移動側に位置する両固定部の各上磁着体を、操作枠体上で第2方向の移動側に向けて倒れ込ませると、上磁着体の表面が呈する凸球面状が、配置凹部の第2外側壁面が呈する凹曲面状に沿うように上磁着体が倒れ込む。これにより、上磁着体が第2外側壁面により支持されて、蓋部を開放姿勢に安定して保持することができる。
以上より、このコンパクト容器によれば、第1外側壁面および第2外側壁面がそれぞれ、下側に向けて凹となる凹曲面状に形成されていることで、蓋部を第1方向および第2方向のいずれの方向から開けるときにも、蓋部を円滑に開けるとともに蓋部を開放姿勢に安定して保持することが可能になり、操作性をより一層向上させることができる。
【0014】
また、前記配置凹部の壁面には、前記第1方向の外側を向く第1内側壁面と、前記第2方向の外側を向く第2内側壁面と、が備えられ、前記操作枠体が前記保持位置に位置する状態で、前記第1内側壁面は、前記上磁着体に前記第1方向の内側から対向するとともに、前記第2内側壁面は、前記上磁着体に前記第2方向の内側から対向してもよい。
【0015】
この場合、配置凹部の壁面に、第1内側壁面および第2内側壁面が備えられているので、蓋部を第1方向および第2方向のうちのいずれの方向から開ける場合であっても、上磁着体が配置凹部から第1方向の内側に抜け出ることを第1内側壁面により規制するとともに、上磁着体が配置凹部から第2方向の内側に抜け出ることを第2内側壁面により規制することができる。したがって、例えば、蓋部を開けるために上磁着体を倒れ込ませるときに、上磁着体が配置凹部から抜け出ることを規制して、この上磁着体を配置凹部内に留めておくことが可能になり、蓋部を回動軸回りに円滑に回動させること等ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコンパクト容器によれば、操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の一実施形態に係るコンパクト容器を説明する。コンパクト容器10は、例えば化粧料などの内容物を収容する携帯用の蓋付容器であり、平面視角型形状、図示の例では平面視矩形状の扁平容器である。
図1および
図2に示すように、コンパクト容器10は、容器本体11と、容器本体11に、径方向に移動可能に外嵌された操作枠体12と、を備えている。
【0019】
容器本体11は、平面視矩形状に形成されている。以下、平面視において容器本体11の中心を通る容器本体11の軸線を容器軸Oといい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。容器本体11は、容器軸Oに直交するとともに互いに直交し合う第1方向D1および第2方向D2の両方向に延在する平面視矩形状に形成されている。容器本体11の外周縁部は、第1方向D1に延在する一対の第1縁部と、第2方向D2に延在する一対の第2縁部と、が互いに連結されてなる矩形状をなす。
【0020】
容器本体11は、内容物が収容される収容部13と、収容部13上に配置され収容部13を開閉する蓋部14と、を備えている。収容部13および蓋部14は、このコンパクト容器10の平面視において、互いに同形同大の矩形状に形成されている。
【0021】
収容部13は、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)などの合成樹脂材料、磁石に磁着しない非磁性の材料で形成されている。収容部13は、扁平な矩形箱状に形成されている。収容部13は、容器軸O方向を向く板状の底壁部15と、底壁部15の外周縁部に立設された環状の周壁部16と、を備えている。
【0022】
底壁部15は、平面視矩形状に形成されている。周壁部16は、底壁部15の外周縁部のうち、辺部分15aでは直線状に延在し、角部分15bでは径方向の内側に向けて窪む平面視十二角形状に形成されている。周壁部16のうち、前記角部分15bに配設された窪み部分16aは、径方向の内側に向けて窪んでいる。
【0023】
窪み部分16aの外周面は、径方向の内側に向けて凹となる凹曲面状に形成されている。窪み部分16aの外周面は、前記角部分15b上に角空間S1を画成している。角空間S1は、第1方向D1の外側および第2方向D2の外側それぞれに向けて開口している。
周壁部16の外周面には、周溝16bが形成されている。周溝16bは、周壁部16の全周にわたって延在している。
【0024】
収容部13内には、中皿17が配置されている。中皿17には、上側に向けて開口する収容空間S2が形成されている。収容空間S2には、例えば内容物や、内容物を被塗布部に塗布する塗布具などが収容される。収容空間S2は、周方向に間隔をあけて複数、図示の例では4つ配置されている。収容空間S2は、平面視において、底辺部が前記辺部分15aに沿って延在する二等辺三角形状に形成されている。
なお図示の例では、中皿17は、複数(4つ)の中皿片17aにより構成されていて、中皿片17aには、前記収容空間S2が各別に1つずつ形成されている。
【0025】
図2に示すように、蓋部14は、蓋本体18と、上蓋19と、を備えている。蓋本体18および上蓋19はそれぞれ、収容部13と同様に合成樹脂材料、磁石に磁着しない非磁性の材料で形成されている。
蓋本体18は、容器軸O方向を向く板状の頂壁部20と、頂壁部20の外周縁部に配設された環状の側壁部21と、を備えている。頂壁部20および側壁部21は、平面視矩形状に形成されている。
【0026】
頂壁部20は、前記底壁部15に容器軸O方向に対向している。頂壁部20の外周縁部は、側壁部21の容器軸O方向の中央部に連結されている。側壁部21内のうち、頂壁部20よりも下側に位置する部分には、鏡体22が配設され、頂壁部20よりも上側に位置する部分内には、前記上蓋19が嵌合されている。鏡体22は、頂壁部20の下面に接合されている。上蓋19は、容器軸O方向を向く板状に形成され、前記頂壁部20の上面に接合されている。
【0027】
ここで
図1に示すように、容器本体11の外周縁部には、収容部13と蓋部14とを固定可能な3つ以上の固定部23が、周方向に間隔をあけて配置されている。固定部23は、第1方向D1に延在する図示しない一対の第1辺部と、第2方向D2に延在する図示しない一対の第2辺部と、により形成された矩形状における4つの角部分を構成するように、周方向に間隔をあけて4つ配設されている。4つの固定部23は、平面視において容器本体11が呈する矩形状の角部分に各別に配設されていて、周方向に同等の間隔をあけて配置されている。
【0028】
図3から
図5に示すように、固定部23には、収容部13および蓋部14に各別に設けられ、操作枠体12を容器軸O方向に挟み込むとともに互いに磁着可能な一対の磁着体24、25が備えられている。一対の磁着体24、25には、収容部13に設けられた下磁着体24と、蓋部14に設けられた上磁着体25と、が備えられている。
【0029】
下磁着体24は、例えば容器軸O方向に磁化された永久磁石により構成されている。下磁着体24は、前記底壁部15の角部分15bに配設され、前記角空間S1の真下に位置している。底壁部15の角部分15bには、下側および径方向の外側に向けて開口する切欠き部15cが設けられていて、下磁着体24は、この切欠き部15c内に配置されている。下磁着体24は、切欠き部15cに配設された固定部材26により底壁部15に固定されている。固定部材26は、底壁部15との間に下磁着体24を容器軸O方向に挟持している。下磁着体24は、底壁部15の上面に形成された開口を通して、底壁部15から前記角空間S1に露出している。
【0030】
上磁着体25は、蓋部14から下側に向けて突出していて、上磁着体25において下側を向く表面は、操作枠体12において上側を向く表面に当接している。上磁着体25は、突端部に向かうに従い漸次縮径する先細り形状に形成されている。上磁着体25の表面は、下側に向けて凸となる凸球面状に形成されている。上磁着体25は、蓋部14の外周縁部のうちの角部分に配設され、この角部分から前記角空間S1内に進入している。
【0031】
上磁着体25は、蓋本体18に一体に形成された外郭部27と、外郭部27内に収容された本体部28と、により構成されている。外郭部27は、蓋本体18における頂壁部20と側壁部21との連結部分から下側に向けて突出している。外郭部27の突端部の表面は、下側に向けて凸となる凸球面状に形成されていて、この表面が、上磁着体25の表面を構成している。外郭部27は、内部が上側に向けて開口する中空状に形成されている。本体部28は、例えば容器軸O方向に磁化された永久磁石により構成されている。
【0032】
一対の磁着体24、25は、互いに異極が向き合うように容器軸O方向に対向していて、例えば、下磁着体24の表面の磁極がS極(第1極)となり、上磁着体25の表面(本体部28の下側)の磁極がN極(第2極)となっている。
【0033】
図1から
図5に示すように、操作枠体12は、収容部13と同様に合成樹脂材料、磁石に磁着しない非磁性の材料で形成されている。操作枠体12は、容器本体11のうちの収容部13に、第1方向D1および第2方向D2の両方向に移動可能に外嵌されている。操作枠体12は、第1方向D1および第2方向D2の両方向に延在する平面視矩形状に形成されていて、収容部13の前記周溝16bに遊嵌されている。操作枠体12は、一対の磁着体24、25の間に位置する4つ(3つ以上)の当接部29と、周方向に隣り合う当接部29同士を連結する連結部30と、を備えている。
【0034】
当接部29は、底壁部15の前記角部分15b上に配置されていて、図示の例では平面視矩形状に形成されている。当接部29(操作枠体12)の表面には、上磁着体25が配置された配置凹部31が設けられている。
図3から
図5に示すように、配置凹部31の壁面には、上磁着体25の表面が当接している。
【0035】
配置凹部31の壁面は、容器軸O方向および第1方向D1の両方向に沿う縦断面視、並びに容器軸O方向および第2方向D2の両方向に沿う縦断面視のいずれにおいても、下側に向けて凹となる凹曲面状に形成されている。配置凹部31の壁面は、上側を向く底壁面32と、底壁面32の外周縁から立ち上がる周壁面33と、を備えている。
【0036】
周壁面33は、底壁面32の外周縁の全周にわたって連続して延設されている。周壁面33は、第1外側壁面33aと、第2外側壁面33bと、第1内側壁面33cと、第2内側壁面33dと、を備えている。第1外側壁面33aは、第1方向D1の内側を向き、第2外側壁面33bは、第2方向D2の内側を向き、第1内側壁面33cは、第1方向D1の外側を向き、第2内側壁面33dは、第2方向D2の外側を向いている。
【0037】
第1外側壁面33a、第2外側壁面33b、第1内側壁面33cおよび第2内側壁面33dはそれぞれ、下側に向けて凹となる凹曲面状に形成されている。第1内側壁面33cの曲率は、第1外側壁面33aの曲率よりも小さく、第2内側壁面33dの曲率は、第2外側壁面33bの曲率よりも小さくなっている。
図1に示すように、連結部30は、第1方向D1または第2方向D2に直線状に延在している。連結部30には、径方向の外側に突出する操作片30aが設けられている。
【0038】
前記操作枠体12は、蓋部14を閉止姿勢に保持する
図3に示すような保持位置と、その保持を解除する
図6に示すような解除位置と、の間を、一対の磁着体24、25間の離間間隔を調整しながら径方向に移動させられる。保持位置に位置する操作枠体12は、容器軸Oと同軸に配置され、解除位置に位置する操作枠体12は、保持位置から径方向に、本実施形態では第1方向D1または第2方向D2に、周方向に隣り合う一対の固定部23側に向けて移動させられている。
【0039】
操作枠体12が保持位置に位置する状態では、コンパクト容器10は、容器軸Oを基準として点対称に形成されている。また、当接部29および連結部30は、容器本体11の径方向の内側に位置していて、容器本体11から径方向の外側に突出していない。さらに、配置凹部31の底壁面32は、上磁着体25の表面に当接し、第1外側壁面33aは、上磁着体25に第1方向D1の外側から対向し、第2外側壁面33bは、上磁着体25に第2方向D2の外側から対向し、第1内側壁面33cは、上磁着体25に第1方向D1の内側から対向し、第2内側壁面33dは、上磁着体25に第2方向D2の内側から対向している。これにより、当接部29のうち、上磁着体25に第1方向D1の外側から連なる部分は、第1方向D1の外側に向かうに従い漸次厚肉になり、上磁着体25に第2方向D2の外側から連なる部分は、第2方向D2の外側に向かうに従い漸次厚肉になっている。
【0040】
そして保持位置に位置する操作枠体12は、3つ以上の固定部23それぞれにおける一対の磁着体24、25間の離間間隔を、互いに同等にしている。これにより、操作枠体12が保持位置に位置する状態では、一対の磁着体24、25同士が磁着し合う強さである固定部23の固定強度を、全ての固定部23において互いに同等とすることが可能になり、蓋部14を閉止姿勢に安定して保持することができる。
【0041】
前記コンパクト容器10において、蓋部14を開けて収容部13を開放するため、操作枠体12を保持位置から解除位置に移動させるときには、操作枠体12を第1方向D1または第2方向D2に、周方向に隣り合う一対の固定部23側に向けて移動させる。このとき
図6に示すように、3つ以上の固定部23のうち、第1方向D1または第2方向D2に沿った移動側に位置する両固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔が、これらの両固定部23以外の固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔よりも小さくなる。
【0042】
例えば、操作枠体12を第1方向D1に移動させた場合には、第1方向D1のどちら側に移動させた場合であっても、第1方向D1に沿った移動側に位置する2つの固定部23における上磁着体25の表面が、配置凹部31の第1内側壁面33cに当接しながら、操作枠体12が第1方向D1に移動することで、上磁着体25の上昇移動が第1内側壁面33cにより案内されて上磁着体25が徐々に上昇する。またこのとき、第1方向D1に沿った反移動側に位置する2つの固定部23の上磁着体25の表面が、配置凹部31の第1外側壁面33aに当接しながら、操作枠体12が第1方向D1に移動することで、上磁着体25の上昇移動が第1外側壁面33aにより案内されて上磁着体25が徐々に上昇する。
【0043】
ここで前述のように、第1内側壁面33cの曲率が、第1外側壁面33aの曲率よりも小さくなっていることにより、第1方向D1の反移動側に位置する上磁着体25が、第1方向D1の移動側に位置する上磁着体25よりも大きく上昇する。これにより、第1方向D1に沿った移動側に位置する2つの固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔が、第1方向D1に沿った反移動側に位置する2つの固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔よりも小さくなる。その結果、移動側の両固定部23の固定強度を確保しつつ、反移動側の両固定部23の固定強度を、移動側の両固定部23の固定強度よりも弱くすることができる。
【0044】
したがって
図7に示すように、その後、蓋部14のうち、第1方向D1の反移動側に位置する部分を上側に向けて移動させることで、蓋部14を、第1方向D1の移動側の両固定部23を中心としこれらの両固定部23を通過する回動軸回りに回動させ、収容部13を開放することができる。
このとき、移動側に位置する両固定部23の各上磁着体25を、この上磁着体25の表面を操作枠体12の表面に当接させながら操作枠体12上で移動側に向けて倒れ込ませることで、蓋部14を回動軸回りに円滑に回動させることができる。またこのとき、上磁着体25の表面が呈する凸球面状が、配置凹部31の第1外側壁面33aが呈する凹曲面状に沿うように上磁着体25が倒れ込み、上磁着体25が配置凹部31の第1外側壁面33aにより支持されて、蓋部14を開放姿勢に安定して保持することができる。さらにこのとき、上磁着体25が第1内側壁面33cに当接することで、上磁着体25が配置凹部31から第1方向D1に抜け出るのを規制することができる。
【0045】
一方、操作枠体12を第2方向D2に移動させた場合には、第2方向D2のどちら側に移動させた場合であっても、第2方向D2に沿った移動側に位置する2つの固定部23における上磁着体25の表面が、配置凹部31の第2内側壁面33dに当接しながら、操作枠体12が第2方向D2に移動することで、上磁着体25の上昇移動が第2内側壁面33dにより案内されて上磁着体25が徐々に上昇する。またこのとき、第2方向D2に沿った反移動側に位置する2つの固定部23の上磁着体25の表面が、配置凹部31の第2外側壁面33bに当接しながら、操作枠体12が第2方向D2に移動することで、上磁着体25の上昇移動が第2外側壁面33bにより案内されて上磁着体25が徐々に上昇する。
【0046】
ここで前述のように、第2内側壁面33dの曲率が、第2外側壁面33bの曲率よりも小さくなっていることにより、第2方向D2の反移動側に位置する上磁着体25が、第2方向D2の移動側に位置する上磁着体25よりも大きく上昇する。これにより、移動側に位置する2つの固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔が、反移動側に位置する2つの固定部23における一対の磁着体24、25間の離間間隔よりも小さくなる。その結果、移動側の両固定部23の固定強度を確保しつつ、反移動側の両固定部23の固定強度が、移動側の両固定部23の固定強度よりも弱くすることができる。
【0047】
したがって、その後、蓋部14のうち、第2方向D2の反移動側に位置する部分を上側に向けて移動させることで、蓋部14を、第2方向D2の移動側の両固定部23を中心としこれらの両固定部23を通過する回動軸回りに回動させ、収容部13を開放することができる。
このとき、移動側に位置する両固定部23の各上磁着体25を、この上磁着体25の表面を操作枠体12の表面に当接させながら操作枠体12上で移動側に向けて倒れ込ませることで、蓋部14を回動軸回りに円滑に回動させることができる。またこのとき、上磁着体25の表面が呈する凸球面状が、配置凹部31の第2外側壁面33bが呈する凹曲面状に沿うように上磁着体25が倒れ込み、上磁着体25が配置凹部31の第2外側壁面33bにより支持されて、蓋部14を開放姿勢に安定して保持することができる。さらにこのとき、上磁着体25が第2内側壁面33dに当接することで、上磁着体25が配置凹部31から第2方向D2に抜け出るのを規制することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るコンパクト容器10によれば、蓋部14の回動の中心となる一対の固定部23を適宜選択し、これらの両固定部23側に向けて操作枠体12を保持位置から解除位置に移動させることで、蓋部14を多様な方向に開閉することが可能になり、操作性を向上させることができる。
【0049】
また操作枠体12を、容器本体11に、第1方向D1および第2方向D2の両方向に移動可能に外嵌することで、蓋部14を、単に第1方向D1の片側や第2方向D2の片側のみから開閉可能にするのではなく、第1方向D1の両側および第2方向D2の両側から開閉可能にすることができるので、蓋部14を多様な方向に開閉させつつ、このコンパクト容器10の構造が複雑になるのを抑えることができる。
【0050】
また上磁着体25の表面が、下側に向けて凸となる凸球面状に形成されていることで、蓋部14を第1方向D1および第2方向D2のいずれの方向から開けるときにも、蓋部14を回動軸回りに円滑に回動させることが可能になり、操作性をより向上させることができる。
【0051】
さらに第1外側壁面33aおよび第2外側壁面33bがそれぞれ、下側に向けて凹となる凹曲面状に形成されていることで、蓋部14を第1方向D1および第2方向D2のいずれの方向から開けるときにも、蓋部14を円滑に開けるとともに蓋部14を開放姿勢に安定して保持することが可能になり、操作性をより一層向上させることができる。
【0052】
そして配置凹部31の壁面に、第1内側壁面33cおよび第2内側壁面33dが備えられているので、蓋部14を第1方向D1および第2方向D2のうちのいずれの方向から開ける場合であっても、上磁着体25が配置凹部31から第1方向D1の内側に抜け出ることを第1内側壁面33cにより規制するとともに、上磁着体25が配置凹部31から第2方向D2の内側に抜け出ることを第2内側壁面33dにより規制することができる。したがって、例えば、蓋部14を開けるために上磁着体25を倒れ込ませるときに、上磁着体25が配置凹部31から抜け出ることを規制して、この上磁着体25を配置凹部31内に留めておくことが可能になり、蓋部14を回動軸回りに円滑に回動させること等ができる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば鏡体22、操作片30aおよび外郭部27はなくてもよい。
【0054】
また前記実施形態では、中皿17は、4つの中皿片17aにより構成されているものとしたが、これに限られない。例えば、一体に形成された中皿に、4つの収容空間が形成されていてもよい。また収容空間S2も、4つに限られず、3つ以下や5つ以上形成されていてもよい。
【0055】
また前記実施形態では、下磁着体24および本体部28がいずれも磁石により構成されているものとしたが、これに限られない。例えば、下磁着体および本体部のうちの一方が永久磁石により構成され、他方が永久磁石に磁着可能な磁性体により構成されていてもよい。
【0056】
また前記実施形態では、配置凹部31の壁面には、第1内側壁面33cと第2内側壁面33dとが備えらえているものとしたが、これらはなくてもよい。つまり配置凹部が、第1方向の内側および第2方向の内側にそれぞれ開口していてもよい。
【0057】
また、操作枠体12と収容部13との間に付勢部材を配設し、解除位置に移動させられた操作枠体12を、この付勢部材によって保持位置に向けて付勢してもよい。この場合、蓋部を開けるときに、例えば、操作枠体を保持位置から解除位置に移動させ、蓋部を回動軸回りに開放姿勢に向けて回動させるまでは、操作枠体が解除位置に位置するようにこの操作枠体を支持しておき、その後、この支持を解除すること等により、前記付勢部材の付勢力によって操作枠体を解除位置から保持位置に向けて復元移動させることができる。したがってその後、開放姿勢の蓋部を回動軸回りに下側に向けて回動させ、全ての上磁着体を当接部に当接させるという簡便な作業で、蓋部を閉止姿勢に保持することが可能になり、操作性を一層向上させることができる。なお前記付勢部材は、例えば樹脂ばね、金属ばね(コイルスプリング等)、ゴム製部材、エラストマー樹脂製部材などにより構成することが可能であるとともに、例えば容器本体や操作枠体などと一体に成形することも可能である。
【0058】
また前記実施形態では、操作枠体12が、容器本体11のうちの収容部13に外嵌され、上磁着体25の表面が、操作枠体12の表面に当接するものとしたが、これに限られない。例えば操作枠体が、蓋部に外嵌され、下磁着体が、収容部から上側に向けて突出し、下磁着体の表面が、操作枠体の下面に当接してもよい。
【0059】
また前記実施形態では、固定部23は、一対の第1辺部および一対の第2辺部により形成された矩形状における4つの角部分を構成するように、周方向に間隔をあけて4つ配設されているものとしたが、これに限られない。例えば、周方向に間隔をあけて3つ配置され、平面視において三角形状の3つの角部分を構成するように配置されていたり、周方向に間隔をあけて5つ配置され、平面視において五角形状の5つの角部分を構成するように配置されていたりしてもよい。さらに例えば、平面視において角型形状の角部分を構成するように、周方向に間隔をあけて3つ以上配設されていてもよい。
【0060】
また前記実施形態では、容器本体11は、平面視角型形状に形成されていているものとしたが、これに限られない。例えば容器本体が、平面視円形状に形成されていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。