(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器には、幅広い用途に対応させることについて改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、幅広い用途に対応させることができるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るトリガー式液体噴出器は、噴出器本体と、前記噴出器本体の前端に設けられ、噴出孔が形成されたノズルと、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在する吸い上げ筒部と、前記吸い上げ筒部から前方に向けて延設された収容筒部と、前記収容筒部内に後方付勢状態で前方摺動可能に収容され、内部が前記噴出孔に連通する摺動筒部と、前後方向に揺動可能に垂設されたトリガーと、内部が前記収容筒部内に連通し、この内部が、前記トリガーの前後動に伴って減圧および加圧されるシリンダを有する往復ポンプと、を備え、前記トリガーは、後方に揺動されることで、前記シリンダ内の液体を前記収容筒部内に圧送し、前記収容筒部および前記摺動筒部には、互いに係止することで前記摺動筒部の前記摺動筒部に対する前進を規制する規制部が各別に設けられ、前記摺動筒部は、前記収容筒部に対して回転させられることで、前記規制部を互いに係止させる規制位置と、その係止を解除させる解除位置と、の間を移動させられるように、前記収容筒部内に回転可能に収容されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、摺動筒部を規制位置に位置させた状態で、トリガーを後方に揺動させてシリンダ内の液体を収容筒部内に圧送すると、この液体により、摺動筒部が収容筒部内で前方に向けて付勢されるものの、規制部が互いに係合し合っているので、摺動筒部が収容筒部内を前方に向けて摺動することは規制される。したがって、摺動筒部が前後方向に同等の位置に維持されながら、液体が摺動筒部内を通して噴出孔から噴出される。
その後、トリガーの後方への揺動を停止したり、トリガーを前方に揺動させたりすることで、シリンダ内から収容筒部内への液体の圧送を停止すると、液体の噴出が停止される。
このように、摺動筒部を規制位置に位置させた状態では、トリガーを後方に揺動させたときには、液体が噴出され、トリガーを前方に揺動させたときには、液体の噴出が停止される。したがって、液体を短時間に限定して噴出させることができる。
【0008】
一方、摺動筒部を解除位置に位置させた状態で、トリガーを後方に揺動させると、規制部の係止が解除されているので、収容筒部内に圧送された液体によって、収容筒部内において摺動筒部よりも後側に形成される蓄圧液室が拡大され、摺動筒部が、この摺動筒部に作用する後方への付勢力に抗して収容筒部内で前方に摺動させられながら、液体が、摺動筒部内を通して噴出孔から噴出される。
その後、シリンダ内から収容筒部内への液体の圧送を停止すると、摺動筒部に作用する付勢力により、摺動筒部が収容筒部内で後方に摺動され蓄圧液室が縮小する。これにより、蓄圧液室内の液体が加圧されて摺動筒部内に圧送され、噴出孔から噴出される。
このように、摺動筒部を解除位置に位置させた状態では、トリガーを後方および前方のいずれに揺動させる場合においても、液体を噴出孔から噴出させることができる。したがって、トリガーを前後方向に交互に揺動させることで液体を噴出孔から噴出させ続けることが可能になり、液体を長時間にわたって継続して噴出させることができる。
【0009】
以上より、このトリガー式液体噴出器によれば、摺動筒部に規制位置と解除位置との間を回転移動させることで、液体が噴出される態様を異ならせ、液体が噴出される時間の長さを調整することが可能になり、このトリガー式液体噴出器を幅広い用途に対応させることができる。
【0010】
また、前記ノズルは、前記摺動筒部に連結されていてもよい。
【0011】
この場合、ノズルが摺動筒部に連結されているので、摺動筒部が解除位置に位置している状態で、ノズルを摺動筒部に連係させて前後方向に移動させることが可能になり、ノズルの噴出器本体に対する前方への移動量に基づいて、摺動筒部の収容筒部内での前方への摺動量を判別し、蓄圧液室の前後方向の大きさを認識することができる。これにより、例えばトリガーを前方に揺動させているときに、蓄圧液室内の液体が摺動筒部内に圧送されて噴出孔から噴出される残時間を認識すること等が可能になり、液体を長時間にわたって確実に継続して噴出させることができる。
またノズルが、摺動筒部に連結されているので、ノズルを、収容筒部の周方向に回転させることで、摺動筒部を収容筒部に対して回転させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、前記ノズルにおいて、前記収容筒部の周方向に沿った一部分には、前記ノズルを前記周方向に回転させる操作片が設けられていてもよい。
【0013】
この場合、ノズルに操作片が設けられているので、この操作片を介してノズルを前記周方向に回転させることで、摺動筒部を収容筒部に対して回転させることが可能になり、このトリガー式液体噴出器の操作性を一層向上させることができる。
また操作片が、ノズルにおいて、前記周方向に沿った一部分に設けられているので、操作片の前記周方向の位置を認識することで、摺動筒部が規制位置に位置するか解除位置に位置するかを判別することができる。これにより、実際にノズルを後方に揺動させて液体を噴出孔から噴出させることなく、液体が噴出される態様を知得することが可能になり、このトリガー式液体噴出器の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、前記収容筒部および前記摺動筒部の少なくとも一方には、前記摺動筒部が、前記規制位置および前記解除位置のうちの一方から他方に移動させられたときに、前記規制部に係止することで前記摺動筒部の前記収容筒部に対する更なる回転を規制するストッパ部が設けられていてもよい。
【0015】
この場合、収容筒部および摺動筒部の少なくとも一方に、規制部に係止するストッパ部が設けられているので、構造の複雑化を抑えつつ、摺動筒部が収容筒部に対して過度に回転するのを規制することが可能になり、このトリガー式液体噴出器の操作性を向上させることができる。
【0016】
また、前記噴出器本体には、前記シリンダ内と前記収容筒部内とを連通する連通空間と、前記連通空間から前記収容筒部内への液体の流通を許容し、その逆に向けた液体の流通を規制する逆止弁と、が設けられていてもよい。
【0017】
この場合、噴出器本体に逆止弁が設けられているので、摺動筒部が解除位置に位置している状態で、トリガーが前方に揺動して摺動筒部が収容筒部内で後方に摺動するときに、蓄圧液室内の液体を、連通空間内に流出させることなく蓄圧液室内で効果的に加圧することが可能になり、この液体を噴出孔から確実に噴出させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、幅広い用途に対応させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
図1に示すように、トリガー式液体噴出器10は、図示しない容器体に装着される噴出器本体11と、噴出器本体11の前端に設けられ、噴出孔12aが形成されたノズル12と、を備えている。このトリガー式液体噴出器10は、前記容器体内に収容された液体を、噴出孔12aから例えば霧状に噴出する。
【0021】
噴出器本体11は、上下方向Zに延在する吸い上げ筒部21と、吸い上げ筒部21から前方に向けて延設された収容筒部22と、収容筒部22内に後方付勢状態で前方摺動可能に収容され、内部が噴出孔12aに連通する摺動筒部23と、前後方向Xに揺動可能に垂設されたトリガー24と、内部が収容筒部22内に連通し、この内部が、トリガー24の前後動に伴って減圧および加圧されるシリンダ25aを有する往復ポンプ25と、を備えている。
【0022】
吸い上げ筒部21は、多段筒状に形成されていて、大径部21aと、大径部21aから上方に延びる小径部21bと、を備えている。なお以下では、小径部21bの軸線を第1軸線O1といい、第1軸線O1に沿う方向を上下方向Zという。また上下方向Zに沿って、当該トリガー式液体噴出器10に対して前記容器体が装着される方向を下側といい、その反対方向を上側という。
【0023】
大径部21aには、前記容器体の口部に装着される装着筒部26が設けられている。小径部21bの外周面は、段状に縮径していて、小径部21bの上部の外径は、小径部21bの下部の外径よりも小さくなっている。
図2に示すように、小径部21bの上端縁には、この小径部21bの径方向に延在する連通溝27が形成されている。なお連通溝27は、小径部21bの周方向に間隔をあけて複数配置されていてもよく、1つだけ配置されていてもよい。
【0024】
小径部21bには、テーパ筒部28と、吸い込み弁29と、パイプ30と、が設けられている。テーパ筒部28は、前記第1軸線O1と同軸に配置され、小径部21bの内周面に連結されている。テーパ筒部28は、下方に向かうに従い漸次縮径している。
吸い込み弁29は、球状に形成され、テーパ筒部28内に配置されている。吸い込み弁29は、テーパ筒部28の内周面に上方に向けて離反可能に着座している。
パイプ30は、小径部21bにおいてテーパ筒部28よりも下側に位置する部分に嵌合されている。パイプ30の下端開口部は、装着筒部26を前記口部に取り付けた状態で、前記容器体内の底部に位置する。
【0025】
小径部21bには、有頂筒状の外嵌筒部31が外嵌されている。外嵌筒部31の頂壁部は、小径部21bの上端縁上に位置するとともに、外嵌筒部31の下端部は、小径部21bの下部に外嵌していて、外嵌筒部31の内周面と、小径部21bの上部の外周面と、の間には、連通空間32が設けられている。連通空間32は、前記連通溝27および吸い上げ筒部21内を通してパイプ30内に連通可能となっている。
【0026】
収容筒部22は、吸い上げ筒部21の上端部に配設されている。収容筒部22は、外嵌筒部31の上端部から前方に向けて突設され、収容筒部22内は、外嵌筒部31に形成された第1連通孔31aを通して連通空間32に連通している。
【0027】
ここで収容筒部22の軸線は、前記第1軸線O1に直交する直交面に沿って延在している。以下では、収容筒部22の軸線を第2軸線O2といい、第2軸線O2に沿う方向を前後方向Xといい、前後方向Xに沿って、吸い上げ筒部21に対して収容筒部22が位置する方向を前側といい、その反対方向を後側という。さらに、上下方向Zおよび前後方向Xの両方向に直交する方向を左右方向Yという。
【0028】
収容筒部22は、二重筒状に形成されていて、内筒部34と、外筒部35と、フランジ部33と、を備えている。内筒部34の後端部は、外嵌筒部31の外周面に一体に連結されている。外筒部35は、内筒部34に外嵌されている。フランジ部33は、外筒部35の前端部に配設されている。フランジ部33は、前記第2軸線O2と同軸の環状に形成され、フランジ部33の内径は、内筒部34の内径よりも小さくなっている。
【0029】
フランジ部33は、内周部33aが外周部33bに対して後側に窪んでいる。フランジ部33の外周部33bは、内筒部34の前端開口縁上に位置し、内周部33aは、内筒部34内に位置している。
フランジ部33には、前方に向けて突出する突出部36が設けられている。突出部36は、表裏面が上下方向Zを向く板状に形成されていて、フランジ部33の外周部33bのうち、下側に位置する部分に配設されている。
【0030】
外筒部35の内筒部34に対する前方に向けた移動は、固定部37により規制されている。固定部37は、前記第2軸線O2と同軸に配置された筒状に形成され、外嵌筒部31から前方に向けて突設されている。固定部37は、外嵌筒部31と一体に形成され、外筒部35の後端部に外装されている。固定部37の内周面および外筒部35の外周面には、係合部38が各別に形成されていて、これらの係合部38が互いに係合し合うことで、外筒部35の内筒部34に対する前方に向けた移動が規制されている。係合部38は、前記第2軸線O2回りに沿う周方向(収容筒部の周方向)に複数設けられていてもよい。
【0031】
収容筒部22内には、台座部39と、逆止弁40と、が設けられている。台座部39は、前記第2軸線O2と同軸の環状に形成されていて、収容筒部22の後端部内に嵌合されている。台座部39は、外嵌筒部31の外周面に前方から当接していて、台座部39の径方向の内側には、前記第1連通孔31aが位置している。台座部39の内周面は段状に縮径していて、台座部39の前部の内径は、台座部39の後部の内径よりも小さくなっている。台座部39の前部の内周面と、台座部39の後部の内周面と、は、前方を向く環状の段部を介して連結されている。
【0032】
逆止弁40は、連通空間32から収容筒部22内への液体の流通を許容し、その逆に向けた液体の流通を規制する。逆止弁40は、前記第1連通孔31aを開閉可能に閉塞している。逆止弁40は、台座部39内に配置されていて、図示の例では、台座部39に弾性連結片を介して連結されたいわゆる一点弁や三点弁とされている。
【0033】
摺動筒部23は、前記第2軸線O2と同軸に配置されている。摺動筒部23は、収容筒部22内を前後方向Xに摺動することで、収容筒部22の前端部から収容筒部22(噴出器本体11)の外部に対して出没する。摺動筒部23は、前後方向Xの両側に開口する筒状の本体部41および摺動部42を備えている。
本体部41の後端部は、前記台座部39に、前方に向けて離反可能に着座している。本体部41の前端部は、前記フランジ部33内に位置している。本体部41は、二重筒状に形成され、筒状の内装体41aおよび外装体41bを備えている。
【0034】
摺動部42は、本体部41よりも前後方向Xに小さく、本体部41の後端部に外装されている。摺動部42の内周面は、本体部41の外周面に連結されている。摺動部42の外周面は、収容筒部22の内周面上を前後方向Xに摺動する。摺動筒部23の外周面のうち、摺動部42の外周面のみが収容筒部22の内周面上を摺動し、本体部41の外周面は、収容筒部22の内周面上を摺動せずに内周面から離間している。
【0035】
摺動部42の後端面および前端面にはそれぞれ、前記第2軸線O2と同軸に配置された環状溝42aが各別に形成されている。摺動部42の外周面は、前後方向Xの中央部から前後方向Xの両側に向かうに従い漸次拡径している。摺動部42のうち、この摺動部42の外周面と、両環状溝42aと、により画成された外フランジ部分における前後方向Xの両端部42bは、前記第2軸線O2に直交する径方向(収容筒部の径方向)に弾性変形可能となっている。摺動部42は、外フランジ部分における前後方向Xの両端部42bが収容筒部22の内周面に押し付けられることにより、液密状態で収容筒部22内を前後方向Xに摺動する。
【0036】
摺動筒部23は、第1付勢部材43により後方に付勢される。第1付勢部材43は、収容筒部22と、摺動筒部23と、の間に介装されている。第1付勢部材43は、例えばコイルスプリング等により形成され、摺動筒部23に外装されている。第1付勢部材43は、本体部41のうち、摺動部42よりも前側に位置する部分に外装されている。第1付勢部材43の前端部は、前記フランジ部33の内周部33aの後面上に配置され、第1付勢部材43の後端部は、両環状溝42aのうち、前側に位置する環状溝42a内に配置されている。
【0037】
シリンダ25aは、前記外嵌筒部31から前方に突設されていて、シリンダ25a内は、外嵌筒部31に形成された第2連通孔31bを通して前記連通空間32に連通している。シリンダ25aは、収容筒部22に対して上下方向Zにずらされて配置されている。シリンダ25aは、前方に向けて開口している。
【0038】
前記往復ポンプ25は、シリンダ25a内に前後方向Xに摺動可能に嵌合されたプランジャ25bをさらに備えている。プランジャ25bは、シリンダ25aの前端開口部からシリンダ25a内に嵌合されている。プランジャ25bは、シリンダ25a内に配置された第2付勢部材44により、前方に向けて付勢される。
【0039】
トリガー24は、収容筒部22から下方に向けて延在している。トリガー24の上端部は、収容筒部22の外周面に、左右方向Yに延在する揺動軸回りに揺動可能に連結されている。トリガー24は、前記プランジャ25bの前端部に連結されていて、トリガー24の前後動に伴ってプランジャ25bがシリンダ25aに対して前後動させられることにより、シリンダ25a内が減圧および加圧される。
【0040】
ノズル12は、摺動筒部23の前端に連結され、噴出器本体11の外部に配置されている。ノズル12は、噴出器本体11の前端面である前記フランジ部33の前面に、前方から当接している。ノズル12は、前記突出部36の上方に位置している。ノズル12はいわゆる蓄圧式であり、外郭体45と、開閉弁46と、を備えている。
【0041】
外郭体45は、前記第2軸線O2と同軸に配置された筒状に形成されている。外郭体45は、後部材45aと、前部材45bと、を備えている。後部材45aは、前記内装体41aに一体に連結されている。前部材45bは、後部材45aに外装されている。前部材45bには、前記噴出孔12aが形成されていて、この外郭体45内には、前記摺動筒部23内と噴出孔12aとを連通可能な連通路47が形成されている。
【0042】
開閉弁46は、連通路47を通した摺動筒部23内と噴出孔12aとの連通、およびその遮断を切り替える。開閉弁46は、前部材45bに設けられた弁座部に離反可能に着座していて、連通路47を、後側の後通路47aと、前側の前通路47bと、に区画している。開閉弁46と、後部材45aに設けられた支持部と、の間には、前後方向Xに弾性変形可能な第3付勢部材48が設けられていて、開閉弁46は前記弁座部に、前方付勢状態で後方に離反可能に着座している。開閉弁46は、後通路47a内の液圧が所定圧まで到達すると、第3付勢部材48の付勢力に抗して後方に向けて移動して開弁する。
【0043】
なお図示の例では、後部材45aおよび前部材45bには、互いに係合し合う回り止め部45cが設けられている。回り止め部45cは、互いに係合し合うことで、前部材45bが後部材45aに対して前記第2軸線O2回りに回動することを規制する。
【0044】
ここで本実施形態では、
図1から
図5に示すように、収容筒部22および摺動筒部23には、互いに係止し合う規制部51、52が各別に設けられている。そして摺動筒部23は、収容筒部22内に前記周方向に回転可能に収容されていて、収容筒部22に対して前記周方向に回転させられることで、規制部51、52を互いに係止させる
図5に示すような規制位置と、その係止を解除させる
図4に示すような解除位置と、の間を移動させられる。
【0045】
規制部51、52は、互いに係止することで摺動筒部23の収容筒部22に対する前進を規制する。規制部51、52には、摺動筒部23に設けられた第1規制部51と、収容筒部22に設けられた第2規制部52と、が備えられている。
図2に示すように、第1規制部51は、前後方向Xを向く板状に形成され、摺動筒部23から、図示の例では本体部41の前端部から、前記径方向の外側に向けて突設されている。第1規制部51は、フランジ部33の内周部33aの前面上に配置され、フランジ部33の外周部33bよりも後側に位置している。
図4に示すように、第1規制部51は、前記第2軸線O2を間に挟んで一対配設されている。一対の第1規制部51は、前記周方向に同等の間隔をあけて配置されている。
【0046】
図2に示すように、第2規制部52は、前後方向Xを向く板状に形成され、フランジ部33の外周部33bから、前記径方向の内側に向けて突設されている。第2規制部52と、フランジ部33の内周部33aと、の間には、第1規制部51が配置される前後方向Xの第1隙間S1が設けられている。
図4に示すように、第2規制部52は、前記第2軸線O2を間に挟んで一対配設されている。一対の第2規制部52は、前記周方向に同等の間隔をあけて配置されていて、一対の第2規制部52同士の間には、前記周方向の第2隙間S2が設けられている。一対の第2規制部52が前記周方向に並ぶことで形成される規制部列52aは、前記第2軸線O2と同軸の環状に形成され、規制部列52aの径方向の内側には、摺動筒部23が通過可能な通過孔52bが形成されている。
【0047】
図5に示すように、摺動筒部23が規制位置に位置する状態では、第1規制部51は、第1隙間S1内に配置されている。
図4に示すように、摺動筒部23が解除位置に位置する状態では、第1規制部51は、第1隙間S1から前記周方向に抜け出されていて、第2隙間S2を通して前方に向けて露出している。
【0048】
ここで、収容筒部22および摺動筒部23の少なくとも一方には、ストッパ部53が設けられている。ストッパ部53は、摺動筒部23が、規制位置および解除位置のうちの一方から他方に移動させられたときに、規制部51、52に係止することで摺動筒部23の収容筒部22に対する更なる回転を規制する。本実施形態では、ストッパ部53は、収容筒部22に設けられており、第1規制部51に係止する。ストッパ部53は、第1隙間S1内に配置されていて、第2規制部52と、フランジ部33の内周部33aと、を前後方向Xに連結している。
【0049】
また
図3に示すように、ノズル12には、ノズル12を前記周方向に回転させる操作片54が設けられている。操作片54は、ノズル12において、前記周方向に沿った一部分に設けられていて、噴出器本体11およびノズル12から外部に露出している。操作片54は、ノズル12から前記径方向の外側に向けて突設されている。操作片54は、前記突出部36と前記周方向の位置を異ならせていて、このトリガー式液体噴出器10では、ノズル12が回転するときに、操作片54と突出部36とが前記周方向に係止し合うことが回避されている。
【0050】
この
図1に示すようなトリガー式液体噴出器10を前記容器体に装着した初期状態では、パイプ30内から噴出孔12a内に至るまでのトリガー式液体噴出器10の内部に空気が存在していることから、まずトリガー24を一回または複数回操作することで空気を外部に排出し、このトリガー式液体噴出器10の内部を液体で満たす。
【0051】
その後、摺動筒部23を規制位置に位置させた状態で、例えばトリガー24を後方に手で牽引する等して、トリガー24を、第2付勢部材44の付勢力に抗して後方に揺動させると、シリンダ25a内の液体が加圧される。このとき、吸い込み弁29が閉弁して連通空間32とパイプ30内との連通が遮断され、シリンダ25a内の液体が、逆止弁40を開弁させて収容筒部22内に圧送される。
するとこの液体により、摺動筒部23が収容筒部22内で前方に向けて付勢されるものの、規制部51、52が互いに係合し合っているので、摺動筒部23が収容筒部22内を前方に向けて摺動することは規制される。したがって、摺動筒部23が前後方向Xに同等の位置に維持されながら、液体が摺動筒部23内を通して噴出孔12aから噴出される。
【0052】
その後、例えばトリガー24から手を離す等して、トリガー24の後方への揺動を停止すると、トリガー24が、第2付勢部材44の弾性復元力により前方に揺動させられ、シリンダ25a内から収容筒部22内への液体の圧送が停止されて液体の噴出が停止される。またこのとき、シリンダ25a内が減圧され、吸い込み弁29が開弁して前記容器体内の液体が、パイプ30内、吸い上げ筒部21内および連通空間32内を流通してシリンダ25a内に供給される。
【0053】
このように、摺動筒部23を規制位置に位置させた状態では、トリガー24を後方に揺動させたときには、液体が噴出され、トリガー24を前方に揺動させたときには、液体の噴出が停止される。したがって、液体を短時間に限定して噴出させることができる。
【0054】
一方、摺動筒部23を解除位置に位置させた状態で、トリガー24を後方に揺動させると、規制部51、52の係止が解除されているので、
図6に示すように、収容筒部22内において摺動筒部23よりも後側に、液体で満たされた蓄圧液室49が形成され、この蓄圧液室49が拡大すると、摺動筒部23が、第1付勢部材43の付勢力に抗して、収容筒部22内で前方に摺動させられる。このとき、第1規制部51が前記第2隙間S2を通過するとともに、摺動筒部23の本体部41が通過孔52bを通過することで、本体部41が収容筒部22から前方に突出し、ノズル12が摺動筒部23とともに前進する。
【0055】
また収容筒部22内に圧送された液体は、摺動筒部23内を通して後通路47aにも流入する。後通路47a内の液圧が前記所定圧まで到達すると、開閉弁46が開弁して後通路47aと前通路47bとが連通され、収容筒部22内に圧送された液体が、摺動筒部23内および連通路47を通して噴出孔12aから噴出する。噴出孔12aから噴出する液体は、収容筒部22内に圧送される液体よりも少なくなっていて、その結果、摺動筒部23が収容筒部22内で前方に摺動されながら、液体が噴出孔12aから噴出される。
【0056】
その後、例えばトリガー24から手を離す等して、トリガー24を前方に揺動させながら収容筒部22内への液体の圧送を停止すると、第1付勢部材43の弾性復元力により、摺動筒部23が収容筒部22内で後方に摺動され、蓄圧液室49が縮小する。このとき、収容筒部22内から連通空間32への液体の流通が逆止弁40により規制されることから、蓄圧液室49内の液体が、連通空間32内に流出することなく効果的に加圧されて摺動筒部23内に圧送され、摺動筒部23内および連通路47を通して噴出孔12aから噴出される。
【0057】
このように、摺動筒部23を解除位置に位置させた状態では、トリガー24を後方および前方のいずれに揺動させる場合においても、液体を噴出孔12aから噴出させることができる。したがって、トリガー24を前後方向Xに交互に揺動させることで液体を噴出孔12aから噴出させ続けることが可能になり、液体を長時間にわたって継続して噴出させることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器10によれば、摺動筒部23に規制位置と解除位置との間を回転移動させることで、液体が噴出される態様を異ならせ、液体が噴出される時間の長さを調整することが可能になり、このトリガー式液体噴出器10を幅広い用途に対応させることができる。
【0059】
また、ノズル12が摺動筒部23に連結されているので、摺動筒部23が解除位置に位置している状態で、ノズル12を摺動筒部23に連係させて前後方向Xに移動させることが可能になり、ノズル12の噴出器本体11に対する前方への移動量に基づいて、摺動筒部23の収容筒部22内での前方への摺動量を判別し、蓄圧液室49の前後方向Xの大きさを認識することができる。これにより、例えばトリガー24を前方に揺動させているときに、蓄圧液室49内の液体が摺動筒部23内に圧送されて噴出孔12aから噴出される残時間を認識すること等が可能になり、液体を長時間にわたって確実に継続して噴出させることができる。
【0060】
またノズル12が、摺動筒部23に連結されているので、ノズル12を、前記周方向に回転させることで、摺動筒部23を収容筒部22に対して回転させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
また、ノズル12に操作片54が設けられているので、この操作片54を介してノズル12を前記周方向に回転させることで、摺動筒部23を収容筒部22に対して回転させることが可能になり、このトリガー式液体噴出器10の操作性を一層向上させることができる。
【0061】
また操作片54が、ノズル12において、前記周方向に沿った一部分に設けられているので、
図3に示すように、操作片54の前記周方向の位置を認識することで、摺動筒部23が規制位置に位置するか解除位置に位置するかを判別することができる。これにより、実際にノズル12を後方に揺動させて液体を噴出孔12aから噴出させることなく、液体が噴出される態様を知得することが可能になり、このトリガー式液体噴出器10の利便性を向上させることができる。
【0062】
さらに、収容筒部22および摺動筒部23の少なくとも一方に、規制部51、52に係止するストッパ部53が設けられているので、構造の複雑化を抑えつつ、摺動筒部23が収容筒部22に対して過度に回転するのを規制することが可能になり、このトリガー式液体噴出器10の操作性を向上させることができる。
【0063】
また、噴出器本体11に逆止弁40が設けられているので、摺動筒部23が解除位置に位置している状態で、トリガー24が前方に揺動して摺動筒部23が収容筒部22内で後方に摺動するときに、蓄圧液室49内の液体を、連通空間32内に流出させることなく蓄圧液室49内で効果的に加圧することが可能になり、この液体を噴出孔12aから確実に噴出させることができる。
【0064】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記突出部36、操作片54がなくてもよい。また前記実施形態では、ノズル12はいわゆる蓄圧式であるものとしたが、蓄圧式でなくてもよい。また逆止弁40も前記実施形態に示したものに限られない。
【0065】
また前記実施形態では、ストッパ部53は、収容筒部22に設けられ、第1規制部51に係止されるものとしたが、ストッパ部は、収容筒部および摺動筒部の少なくとも一方に設けられた他の構成に適宜変更してもよい。例えばストッパ部が、摺動筒部に設けられ、第2規制部に係止されてもよい。
【0066】
また前記実施形態では、往復ポンプ25は第2付勢部材44を備えるものとしたが、備えていなくてもよい。この場合、第2付勢部材に代えて、トリガーと収容筒部との間に配置され、トリガーを後方に向けて付勢する第4付勢部材が設けられていてもよい。またこれらの付勢部材を設けずに、トリガーを後方に向けて揺動させた後、例えば手動で前方に向けて揺動させるように構成してもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。