【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るジョイントコネクタは、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1) 後端に位置するベース部と、該ベース部から前方に延びる複数の端子部と、を有するジョイント端子金具と、
周壁及び該周壁の内側に設けられた端子収容室と、後端部に設けられた、後方から前方に向けて挿入される前記ジョイント端子金具のベース部を収容する収容凹部と、前端面に設けられた、前記端子収容室内に突出した前記ジョイント端子金具の端子部に導通接続される相手側接続端子の挿入用開口と、を有する樹脂製のハウジングと、
を備えるジョイントコネクタであって、
前記ハウジングの周壁の後端外周に着脱自在に嵌合することで、前記収容凹部の後面開口を塞ぐ樹脂製のキャップと、
前記ハウジングと前記キャップとを一体に連結する樹脂製の可撓連結片と、
を更に備え、
前記ハウジングには、該ハウジングの周壁の外周面に、前記キャップが前記ハウジングの周壁の後端外周に嵌合した際に前記キャップの周壁前端と近接対向する環状リブが突設されている、
こと。
(2) 上記(1)の構成のジョイントコネクタであって、
前記ハウジングには、前記端子収容室が前記ハウジングの前端から後端まで貫通して設けられ、
前記キャップには、前記ハウジング内部に浸入した水の抜け孔が設けられている、
こと。
(3) 上記(2)の構成のジョイントコネクタであって、
前記ハウジングには、各端子収容室の内部に、前記相手側接続端子が前記ハウジングの各端子収容室の内部に前方から挿入されて各端子収容室内に突出した前記ジョイント端子金具の各端子部に接続された際に、前記相手側接続端子を係止する可撓性のランスが設けられている、
こと。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つの構成のジョイントコネクタであって、
前記ハウジングには、前記環状リブの少なくとも一部に、前記キャップが前記ハウジングの周壁の後端外周に嵌合した際に前記キャップの周壁前端が挿入される凹所が設けられている、
こと。
(5) 上記(4)の構成のジョイントコネクタにおいて、
前記ハウジングの周壁及び前記キャップの周壁が、一方の対向壁の周方向の幅を広く設定し、他方の対向壁の周方向の幅をそれより狭く設定した扁平四角筒状に形成されており、
幅が広く設定された一方の対向壁を上下の対向壁とし、幅が狭く設定された他方の対向壁を左右の対向壁とする場合、
前記ハウジングの周壁を構成する上下の対向壁のうちの一方の壁である上壁の外周に形成された前記環状リブの突出端に、帯板状に形成された前記可撓連結片の基端が連結され、帯板状に形成された前記可撓連結片の先端が、前記キャップの周壁を構成する上下の対向壁のうちの一方の壁である上壁の後端側に連結され、
前記ハウジングの周壁を構成する上壁の外周に突設された前記環状リブの根元部分に、前記キャップの周壁前端の挿入される前記凹所が設けられていること。
(6) 上記(5)の構成のジョイントコネクタにおいて、
前記ジョイント端子金具のベース部の左右側縁が前記ハウジングの収容凹部の左右内壁に対し圧入されていること。
【0007】
上記(1)の構成のジョイントコネクタによれば、キャップをハウジングの後端部に嵌めることにより、ハウジング内部に水や埃などが浸入しないようにすることができ、ハウジング内部を保護することができる。従って、ジョイント端子金具の端子部と相手側接続端子との接触導通部(以下、「接点部」という)への水の浸入を防ぐことができ、接点部の腐食を回避して、接点部の接触不良リスクを減らすことができる。また、キャップを嵌めた状態で、ハウジングの周壁の外周面に突設した環状リブが、キャップの周壁前端に近接対向するので、環状リブが鍔の役目をする。これにより、ハウジングの外周に水がかかった際に水を外方にはじくことができ、キャップとハウジングの隙間から水や埃などがハウジング内部に浸入するのを防ぐことができる。また、環状リブは、外力が加わった際のキャップの外れ防止の役目も果たす。また、キャップをハウジングに嵌めることにより、ジョイント端子金具の絶縁確保と抜け防止を図ることができる。また、キャップはハウジングに可撓連結片を介して一体化されているので、取り扱いが容易であり、紛失のおそれもない。
上記(2)の構成のジョイントコネクタによれば、ハウジング内に水が浸入した場合でも、水がキャップの抜け孔から抜けるようになっている。このため、ハウジング内部に水が溜まらなくなり、接点部の腐食の軽減を図ることができる。また、端子収容室がハウジングの前端から後端まで貫通して設けられているので、被水環境で使用した場合でも、水の抜けを良くすることができる。つまり、コスト面などからハウジングの前部に防水構造を設けないでも、水の通り抜けを良くすることで、接点部の腐食のリスクを減らすことができる。また一方で、ハウジングの後端に嵌めたキャップにより、ハウジングの後端からの水の浸入を防ぐことができるので、ハウジングの前部や後部を完全防水としないでも、水の浸入からできるだけ接点部を保護することができ、ジョイントコネクタを長期の使用に耐えるようにすることができる。従って、被水による端子腐食が頻繁に発生したとしてもコネクタとしての機能が長持ちすればよいという考えに基づいて設計される二輪車に適用するのに好適なジョイントコネクタを提供できる。
上記(3)の構成のジョイントコネクタによれば、各端子収容室の内部に相手側接続端子を係止するランスが設けられているので、前記ハウジングに嵌合するコネクタハウジングを使用せずに直接、相手側接続端子をジョイントコネクタを用いて相互に電気接続することができる。このように、相手側接続端子を収容するコネクタハウジングを使用しない場合は、相手側接続端子が挿入されるハウジングの前側を防水構造にすることが困難となるので、防水構造にしないのが普通である。しかし、そうした場合、被水環境で使用すると、ハウジングの前側(相手側接続端子の挿入用開口)から水が浸入する可能性が出てくる。しかし、ハウジングの内部にたとえ水が浸入した場合であっても、キャップに設けた抜け孔から水が抜けるようになっているので、ハウジング内部に水が溜まることがなく、接点部の腐食リスクを軽減することができる。
上記(4)の構成のジョイントコネクタによれば、環状リブの根元部分に形成された凹所にキャップの周壁前端を挿入することにより、水の浸入経路を迂回させることができる、つまり、長い浸入経路を確保できるので、水を浸入経路に留め水の浸入を遅らせることができる。
上記(5)の構成のジョイントコネクタによれば、ハウジング及びキャップの上壁側から水がかかった場合に、有効にハウジング内への水の浸入を防ぐことができる。即ち、帯板状の可撓連結片がキャップとハウジングの上壁間の隙間を覆っていることに加え、上壁の外周の環状リブの根元部分に形成された凹所にキャップの周壁前端が挿入されていることで、キャップとハウジングの間の水の浸入経路が迂回させられているので、ハウジング内への水の浸入を有効に防ぐことができる。
上記(6)の構成のジョイントコネクタによれば、ジョイント端子金具をハウジングの後部に圧入しているので、キャップと共にジョイント端子金具の抜け防止を図ることができる。