【文献】
CATT,Details of discovery signal design,3GPP TSG RAN WG1 Meeting # 74bis R1-134115,2013年10月 7日
【文献】
Qualcomm Incorporated,Techniques for D2D Discovery,3GPP TSG-RAN WG1 #74 R1-133600,2013年 8月19日
【文献】
LG Electronics,D2D Discovery Signal Format,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #74bis R1-134415,2013年10月 7日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記CP長は、第1サイクリックプレフィクス(CP)及び/又は前記第1CPよりも長い第2サイクリックプレフィクス(CP)であることを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
前記送信部は、前記CP長構成情報に基づいて決定される送信電力で、前記端末間発見信号を送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のユーザ端末。
前記CP長は、第1サイクリックプレフィクス(CP)及び/又は前記第1CPよりも長い第2サイクリックプレフィクス(CP)であることを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、端末間通信(D2D通信)が行われる無線通信システムの一例の説明図である。
図1Aに示すように、無線通信システムは、無線基地局(eNB:eNodeB)と、無線基地局によって形成されるセル内のユーザ端末(UE:User Equipment)#1−#3と、を含んで構成される。なお、
図1Aにおいて、無線基地局は複数であってもよく、ユーザ端末数も3に限られない。
【0012】
図1Aに示す無線通信システムにおいて、無線基地局は、ユーザ端末#1−#3に対して、DS送信期間を示す情報(例えば、サブフレームオフセット、当該DS送信期間の周期、当該DS送信期間のサブフレーム数など)を通知する。なお、当該通知は、例えば、SIB(System Information Block)シグナリング、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)などを用いて行われる。
【0013】
ここで、DS送信期間とは、所定周期のディスカバリー信号の送信期間である。例えば、
図1Bに示すように、DS送信期間(Uplink resource allocation for D2D discovery、D2D discovery resource)は、上りリソースとして所定周期で配置され、例えば、複数のサブフレームで構成される。
【0014】
また、ディスカバリー信号は、ユーザ端末#1−#3間で互いを発見するための端末間発見信号である。ディスカバリー信号は、例えば、104ビットで構成され、DS送信期間を周波数分割(FDM)又は/及び時間分割(TDM)した所定のリソース単位(例えば、少なくとも一つのPRB(Physical Resource Block)ペア)に割り当てられる。
【0015】
各ユーザ端末は、無線基地局から通知されたDS送信期間内のリソース単位(例えば、少なくとも一つのPRBペア)において、ディスカバリー信号を送信する。なお、当該リソース単位は、DS送信期間内においてランダムに選択されたリソース単位であってもよいし(Type-1、衝突型)、ユーザ端末毎に無線基地局から指定されたリソース単位であってもよい(Type-2、非衝突型)。
【0016】
各ユーザ端末は、DS送信期間内において他のユーザ端末から送信されるディスカバリー信号を検出して、他のユーザ端末を発見(認識)する。なお、各ユーザ端末は、DS送信期間外の上りリソースでは、無線基地局との上り通信を行う。
【0017】
図2を参照し、DS送信期間における端末間発見(D2D discovery)を詳述する。
図2は、端末間発見の一例の説明図である。
図2では、無線基地局からユーザ端末#1−#3に対して、DS送信期間の開始タイミング(タイミングT1)、時間長(タイミングT1からT6までの時間長)及び周期が通知されているものとする。また、
図2では、DS送信期間が3サブフレームで構成されるものとするが、これに限られない。
【0018】
例えば、
図2に示すように、ユーザ端末#1がサブフレーム(SF)1でディスカバリー信号を送信し、ユーザ端末#2がサブフレーム(SF)2でディスカバリー信号を送信する場合を考える。かかる場合、ユーザ端末#1からのディスカバリー信号は、ユーザ端末#1及び#3間の伝搬遅延やタイミング誤差により、サブフレーム1の開始タイミングT1から所定時間遅れたタイミングT2でユーザ端末#3に到着する。
【0019】
このように、サブフレーム1の開始タイミングT1と、ユーザ端末#3におけるユーザ端末#1からのディスカバリー信号の到着タイミングT2との間には、時間差(タイミングオフセット(TO1))が生じる。このTO1により、ユーザ端末#3は、サブフレーム2に一部重畳する形で、ユーザ端末#1からのディスカバリー信号を受信することになる。
【0020】
同様に、サブフレーム2の開始タイミングT3と、ユーザ端末#3におけるユーザ端末#2からのディスカバリー信号の到着タイミングT4との間には、時間差(タイミングオフセット(TO2))が生じる。ここで、ユーザ端末#2及び#3間の距離は、ユーザ端末#1及び#3間の距離よりも短いので、TO2は、TO1よりも短くなる。このため、ユーザ端末#3がタイミングT4においてユーザ端末#2からのディスカバリー信号を受信しようとすると、タイミングT4とT5との間において、ユーザ端末#1からのディスカバリー信号による干渉(シンボル間干渉)を受けることになる。
【0021】
このようなタイミングオフセットを軽減する方法としては、無線基地局から通知されるタイミングアドバンス(TA:Timing Advanced)を用いることも考えられる。TAとは、上り信号を所望のタイミングに到着させるために、上り信号の送信タイミングを遡らせる時間を指定するものである。
【0022】
しかしながら、TAは、コネクティッド(Connected)状態のユーザ端末に対して、無線基地局から通知されるが、アイドル(Idle)状態のユーザ端末に対しては通知されない。このため、ユーザ端末#1及び#2がアイドル状態である場合は、上述のTO1及びTO2を回避できない恐れがある。また、TAは、無線基地局とユーザ端末との間の伝搬遅延に基づく補正値であるため、ユーザ端末間での伝搬遅延により生じるTO1及びTO2を十分に回避できない恐れがある。
【0023】
ところで、DS送信期間は、例えば、複数のサブフレームで構成され、各サブフレームは、サイクリックプレフィクス(CP:Cyclic Prefix)(ガードインターバルともいう)を含む複数のOFDMシンボルで構成される。サイクリックプレフィクスは、冗長信号、具体的には、OFDMシンボルの後半の一定時間分をコピーして、OFDMシンボルの先頭に張り付けたものである。
【0024】
例えば、
図2において、ユーザ端末#3は、ユーザ端末#2からのディスカバリー信号の先頭OFDMシンボルとして、到着タイミングT4からCP長分の長さの信号を切り捨てて、残りの部分を検出する。このため、
図2において、ユーザ端末#1からのディスカバリー信号とユーザ端末#2からのディスカバリー信号との重複時間(すなわち、タイミングT4とT5との間の時間長)がCP長より短ければ、上述のシンボル間干渉を除去できる。
【0025】
図3を参照し、サイクリックプレフィクス(CP)を詳述する。
図3は、通常CP(Normal CP)と拡張CP(Extended CP)の説明図である。
図3に示すように、1サブフレームは、2スロットで構成され、1サブフレームは、1msであり、1スロットは、0.5msである。各スロットは、複数のOFDMシンボルで構成され、各OFDMシンボルの先頭には、CPが付加されている。なお、
図3に示すCP長、OFDMシンボル長、OFDMシンボル数は一例にすぎず、これらに限られない。
【0026】
通常CPの場合、1スロットに7OFDMシンボルが配置され、第1OFDMシンボルのCP長は、5.1μsであり、第2OFDMシンボル以降のCP長は、4.7μsである。一方、拡張CPの場合、1スロットに6OFDMシンボルが配置され、各OFDMシンボルのCP長は、通常CPよりも長い16.7μsである。
【0027】
拡張CPでは、通常CPよりもCP長が長い。このため、遅延時間が大きい状況下においても、直前のサブフレームからの遅延信号との重複時間(例えば、
図2におけるタイミングT4及びT5間の時間長)が拡張CPのCP長よりも短ければ、当該遅延信号によるシンボル干渉を除去できる。
【0028】
一方で、拡張CPでは、通常CPよりもCP長が長いので、オーバーヘッド量が増加する。このため、直前のサブフレームからの遅延信号との重複時間が通常CPのCP長より短ければ、通常CPを用いることが望まれる。
【0029】
そこで、本発明者らは、端末間発見(D2D Discovery)における様々なシナリオや要求条件に応じたCP長を適用することで、シナリオや要求条件に応じたオーバーヘッド量を許容しながら、シンボル間干渉を除去することを着想し、本発明に至った。
【0030】
本発明に係る無線通信方法は、各ユーザ端末がディスカバリー信号(端末間発見信号)を所定周期のDS送信期間において送信する無線通信システムで用いられる。本発明に係る無線通信方法では、無線基地局は、DS送信期間において用いられるCP長構成を決定し、決定したCP長構成を示すCP長構成情報を送信する。各ユーザ端末は、CP長構成情報に基づいて、ディスカバリー信号を送信する。
【0031】
(CP長構成)
図4を参照し、本発明に係る無線通信方法で用いられるCP長構成を説明する。CP長構成により、DS送信期間が、どのCP長のOFDMシンボルのサブフレームで構成されるかが特定される。具体的には、CP長構成は、DS送信期間が通常CPサブフレーム又は/拡張CPサブフレームで構成されるかによって、区別される。
【0032】
ここで、通常CPサブフレーム(第1サブフレーム)とは、通常CP(第1CP)が挿入されるOFDMシンボルで構成されるサブフレームである(
図3参照)。また、拡張CPサブフレーム(第2サブフレーム)とは、通常CPよりも長い拡張CP(第2CP)が挿入されるOFDMシンボルで構成されるサブフレームである(
図3参照)。
【0033】
図4は、本発明に係る無線通信方法で用いられるCP長構成の説明図である。
図4Aに示すように、CP長構成1(第1CP長構成)では、DS送信期間が、通常CPサブフレームを複数含んで(すなわち、サブフレームセットで)構成される。具体的には、各DS送信期間が、複数の通常CPサブフレーム(例えば、
図4Aでは、5つの通常CPサブフレーム)で構成される。CP長構成1では、通常CPが付加されたディスカバリー信号がユーザ端末から送信される。通常CPは、相対的にCP長が短いので、屋内など短距離の端末間発見に適する。
【0034】
また、
図4Bに示すように、CP長構成2(第2CP長構成)では、DS送信期間が、拡張CPサブフレームを複数含んで(すなわち、サブフレームセットで)構成される。具体的には、CP長構成2では、各DS送信期間が、複数の拡張CPサブフレーム(例えば、
図4Bでは、5つの拡張CPサブフレーム)で構成される。CP長構成2では、拡張CPが付加されたディスカバリー信号がユーザ端末から送信される。拡張CPは、通常CPよりもCP長が長いので、異なるセルの端末間発見や、長距離の端末間発見に適する。
【0035】
また、
図4C及び4Dに示すように、CP長構成3(第3CP長構成)では、DS送信期間が、通常CPサブフレームと拡張CPサブフレームとの双方を含んで構成される。CP長構成3は、
図4Cに示すように、各DS送信期間に通常CPサブフレームと拡張CPサブフレームとが割り当てられるCP長構成3−1(第1構成)と、
図4Dに示すように、通常CPサブフレームで構成される第1DS送信期間(第1送信期間)及び拡張CPサブフレームで構成される第2DS送信期間(第2送信期間)が割り当てられるCP長構成3−2(第2構成)とを含んでもよい。
【0036】
図4Cに示すように、CP長構成3−1では、各DS送信期間が、3つの通常CPサブフレームと2つの拡張CPサブフレームとで構成される。なお、各DS送信期間に含まれる通常CPサブフレームと拡張CPサブフレームの数は、
図4Cに示すものに限られない。
【0037】
また、
図4Dに示すように、CP長構成3−2では、第1DS送信期間と第2DS送信期間とが交互に設けられるが、これに限られない。例えば、第1DS送信期間と第2DS送信期間とは、1対n又はn対1(n≧2)の割合で設けられてもよい。
【0038】
(CP長構成情報)
図4A−
図4Dに示すようなCP長構成のいずれを用いるかは、無線基地局で決定され、決定されたCP長構成を示すCP長構成情報がユーザ端末に通知される。
図5を参照し、本発明の無線通信方法で用いられるCP長構成情報について詳述する。
図5は、CP長構成情報の一例を示す図である。
図5に示すように、CP長構成情報は、パターン識別子であってもよいし(
図5A)、構成タイプ識別子とサイズ構成識別子とを含んでもよい(
図5B)。
【0039】
図5Aは、CP長構成情報としてのパターン識別子の説明図である。パターン識別子は、CP長構成1、2、3(3−1、3−2を含む)における通常CPサブフレーム及び/又は拡張CPサブフレームの割り当てパターンを識別する識別子である。
【0040】
図5Aに示すように、パターン識別子は、例えば、3ビットで構成される。
図5Aでは、「000」がCP長構成1(
図4A)を示し、「001」がCP長構成2(
図4B)を示し、「010」〜「111」がCP長構成3(
図4C、
図4DのCP長構成3−1、3−2を含む)を示す。CP長構成3では、通常CPサブフレームと拡張CPサブフレームとの割り当てによって、複数の割り当てパターンが想定される。このため、CP長構成3の複数の割り当てパターンを識別できるように、複数の値「010」〜「111」が確保される。
【0041】
図5Bは、CP長構成情報としての構成タイプ識別子とサイズ識別子との説明図である。構成タイプ識別子は、CP長構成1、2、3(3−1、3−2を含む)を識別する識別子である。サイズ構成識別子(割り当て識別子)は、構成タイプ識別子がCP長構成3を示す場合に、通常CPサブフレーム及び拡張CPサブフレームの割り当てパターン(サイズ)を識別する識別子である。サイズ構成識別子(割り当て識別子)は、リソース割り当て情報(resource allocation information)、リソース割り当て識別子などと呼ばれてもよい。
【0042】
図5Bに示すように、構成タイプ識別子は、例えば、2ビットで構成される。
図5Bでは、「00」がCP長構成1(
図4A)を示し、「01」がCP長構成2(
図4B)を示し、「10」がCP長構成3−1(
図4C)を示し、「11」がCP長構成3−2(
図4D)を示す。
【0043】
また、サイズ構成識別子は、例えば、2ビットで構成される。構成タイプ識別子がCP長構成3−1を示す(「10」である)場合、サイズ構成識別子は、各DS送信期間に含まれる通常CPサブフレーム又は拡張CPサブフレームの数の識別子であってもよい。例えば、
図4Cの場合、サイズ構成識別子により、3つの通常CPサブフレームと2つの拡張CPサブフレームとの組み合わせが識別される。
【0044】
一方、構成タイプ識別子がCP長構成3−2を示す(「11」である)場合、サイズ構成識別子は、通常CPサブフレームで構成される第1DS送信期間と拡張CPサブフレームで構成される第2DS送信期間との配置(周期)の識別子であってもよい。例えば、
図4Dの場合、サイズ構成識別子により、第1DS送信期間と第2DS送信期間とが交互に設けられることが識別される。
【0045】
なお、サイズ構成識別子は、構成タイプ識別子がCP長構成3を示す(先頭ビットが「1」である)場合にのみ、設けられてもよいか、有効(valid)となってもよい。CP長構成1、2の場合、通常CPサブフレーム及び拡張CPサブフレームの割り当てパターンの識別は、不要であるためである。
【0046】
(無線通信方法)
図6を参照し、以上のCP長構成とCP長構成情報が用いられる本発明の無線通信方法の詳細動作を説明する。なお、本発明に係る無線通信方法は、複数のユーザ端末でクラスタが形成される場合にも適用可能である。クラスタが形成される場合、無線基地局の代わりに特定のユーザ端末(Cluster Head)が他のユーザ端末を制御してもよい。以下では、無線基地局とユーザ端末とを含む無線通信システムを一例として説明する。
【0047】
図6は、本発明に係る無線通信方法の説明図である。
図6Aを参照し、本発明の無線通信方法における無線基地局の動作を説明する。なお、上述のクラスタが形成される場合、当該無線基地局の動作は、特定のユーザ端末(Cluster Head)によって行われてもよい。
【0048】
図6Aに示すように、無線基地局は、ユーザ端末からの測定報告、タイミングオフセット情報、位置情報の少なくとも一つに基づいて、CP長構成を決定する(ステップS101)。
【0049】
ここで、測定報告には、DS送信期間における他のユーザ端末からの信号の受信品質、受信電力(受信強度)、ディスカバリー信号の検出成功率(失敗率)などが含まれる。また、測定報告には、無線基地局からの参照信号(例えば、CRS:Cell-specific Reference Signal、CSI−RS:Channel State Information-Reference Signal)の受信品質又は受信電力(受信強度)などが含まれてもよい。また、タイミングオフセット情報とは、DS送信期間における各サブフレームの開始タイミングと、他のユーザ端末からのディスカバリー信号の到着タイミングとの間のタイミングオフセット(タイミング差)を示す情報である。また、位置情報は、ユーザ端末の位置を示す情報であり、例えば、GPS(Global Positioning System)による測位位置であってもよい。
【0050】
具体的には、無線基地局は、測定報告に含まれる受信品質又は受信電力(受信強度)に基づいて、CP長構成を決定してもよい。例えば、無線基地局は、受信品質又は受信電力(受信強度)が所定の閾値よりも良い場合、通常CPが用いられるCP長構成1(
図4A)を決定してもよい。また、無線基地局は、受信品質又は受信電力(受信強度)が所定の閾値よりも悪い場合、拡張CPが用いられるCP長構成2(
図4B)を決定してもよい。また、無線基地局は、受信品質又は受信電力(受信強度)が所定の閾値よりも良いユーザ端末と悪いユーザ端末とが混在する場合、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3(
図4C、4D)を決定してもよい。なお、上述のように、当該受信品質又は受信電力(受信強度)は、他のユーザ端末からのディスカバリー信号の受信品質又は受信電力(受信強度)であってもよいし、無線基地局からの参照信号の受信品質又は受信電力(受信強度)であってもよい。
【0051】
また、無線基地局は、ディスカバリー信号の検出成功率(又は失敗率)に基づいて、CP長構成を決定してもよい。例えば、無線基地局は、検出成功率が所定の閾値よりも高い場合、通常CPが用いられるCP長構成1(
図4A)を決定してもよい。また、無線基地局は、検出成功率が所定の閾値よりも低い場合、拡張CPが用いられるCP長構成2(
図4B)を決定してもよい。また、無線基地局は、検出成功率が所定の閾値よりも高いユーザ端末と低いユーザ端末とが混在する場合、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3(
図4C、4D)を決定してもよい。
【0052】
また、無線基地局は、タイミングオフセット情報に基づいて、CP長構成を決定してもよい。例えば、無線基地局は、タイミングオフセットが通常CPよりも短い場合、通常CPが用いられるCP長構成1(
図4A)を決定してもよい。また、無線基地局は、タイミングオフセットが通常CPよりも長い場合、拡張CPが用いられるCP長構成2(
図4B)を決定してもよい。また、無線基地局は、タイミングオフセットが通常CPよりも短いユーザ端末と長いユーザ端末とが混在する場合、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3(
図4C、4D)を決定してもよい。
【0053】
また、無線基地局は、位置情報に基づいて算出されるユーザ端末間の距離に基づいて、CP長構成を決定してもよい。例えば、無線基地局は、ユーザ端末間の距離が所定の閾値よりも小さい場合、通常CPが用いられるCP長構成1(
図4A)を決定してもよい。また、無線基地局は、ユーザ端末間の距離が所定の閾値よりも大きい場合、拡張CPが用いられるCP長構成2(
図4B)を決定してもよい。また、無線基地局は、あるユーザ端末との距離が所定の閾値よりも小さいユーザ端末と大きいユーザ端末とが混在する場合、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3(
図4C、4D)を決定してもよい。
【0054】
無線基地局は、以上のように決定されたCP長構成を示すCP長構成情報を、SIB(System Information Block)を用いて報知する(ステップS102)。なお、CP長構成情報は、RRCシグナリングやPBCHなどを用いて通知されてもよい。また、上述のように、CP長構成情報は、パターン識別子であってもよいし(
図5A)、構成タイプ識別子とサイズ構成識別子(割り当て識別子)とを含んでもよい(
図5B)。
【0055】
次に、
図6Bを参照し、本発明に係る無線通信方法におけるユーザ端末の動作を説明する。なお、
図6Bにおいて、ユーザ端末は、DS送信期間を示す情報(例えば、サブフレームオフセット、当該DS送信期間の周期、当該DS送信期間のサブフレーム数など)を受信し、当該情報に基づいて、DS送信期間を特定しているものとする。
【0056】
図6Bに示すように、ユーザ端末は、無線基地局からSIBを用いて報知されるCP長構成情報を受信(取得)する(ステップS201)。
【0057】
ユーザ端末は、無線基地局からのCP長構成情報が、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3を示すか否かを判定する(ステップS202)。例えば、CP長構成情報がパターン識別子である場合(
図5A)、ユーザ端末は、パターン識別子が「010」〜「111」であるか否かを判定してもよい。また、CP長構成情報が構成タイプ識別子とサイズ構成識別子(割り当て識別子)とを含む場合、ユーザ端末は、構成タイプ識別子の1ビット目が「1」であるか否かを判定してもよい。
【0058】
CP長構成情報がCP長構成3を示さない(CP長構成1又は2を示す)場合、本動作は、ステップS204に進む。一方、CP長構成情報がCP長構成3を示す場合、ユーザ端末は、自端末の要求条件に従って、通常CPサブフレーム又は拡張CPサブフレームのいずれでディスカバリー信号を送信するかを決定する(ステップS203)。なお、要求条件は、例えば、より遠くのユーザ端末に自端末を発見させるか否かなどである。
【0059】
ユーザ端末は、通常CPサブフレーム又は拡張CPサブフレームの決定結果に基づいて、ディスカバリー信号を送信する(ステップS204)。
【0060】
また、ユーザ端末は、無線基地局からのCP長構成情報に基づいて決定される送信電力でディスカバリー信号を送信してもよい。具体的には、ユーザ端末は、通常CPサブフレームでディスカバリー信号を送信する場合、相対的に低い送信電力を用いてもよい。また、ユーザ端末は、拡張CPサブフレームでディスカバリー信号を送信する場合、通常CPサブフレームよりも大きい送信電力を用いてもよい。
【0061】
本発明に係る無線通信方法によれば、無線基地局が、CP長構成を決定し、当該CP長構成を示すCP長構成情報を送信し、各ユーザ端末が、当該CP長構成情報に基づいてディスカバリー信号を送信する。このため、伝搬遅延やタイミング誤差などによりディスカバリー信号が遅延する場合であっても、当該遅延によるシンボル間干渉の影響を軽減できる。具体的には、直前のサブフレームからの遅延信号との重複時間(例えば、
図2におけるタイミングT4及びT5間の時間長)が、決定されたCP長構成のCP長よりも短ければ、当該遅延信号によるシンボル干渉を除去できる。
【0062】
(無線通信システム)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムについて、詳細に説明する。この無線通信システムでは、上述の無線通信方法が適用される。なお、本実施の形態に係る無線通信システムは、無線基地局とユーザ端末とを含む無線通信システムであってもよいし、無線基地局を含まずに複数のユーザ端末でクラスタが形成される無線通信システムであってもよい。以下では、一例として、無線基地局とユーザ端末を含む無線通信システムについて説明する。
【0063】
図7は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
図7に示すように、無線通信システム1は、セルCを形成する無線基地局10と、ユーザ端末20と、無線基地局10が接続されるコアネットワーク30と、を含んで構成される。なお、無線基地局10、ユーザ端末20の数は
図7に示すものに限られない。
【0064】
無線基地局10は、所定のカバレッジを有する無線基地局である。なお、無線基地局10は、相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局(eNodeB、マクロ基地局、集約ノード、送信ポイント、送受信ポイント)であってもよいし、局所的なカバレッジを有するスモール基地局(スモール基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、HeNB(Home eNodeB)、RRH(Remote Radio Head)、マイクロ基地局、送信ポイント、送受信ポイント)であってもよい。
【0065】
ユーザ端末20は、LTE、LTE−A、FRAなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。ユーザ端末20は、無線基地局10と下り/上り通信を行うとともに、他のユーザ端末20と端末間(D2D)通信/検出を行う。
【0066】
また、無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)と、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel、EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control Channel)、報知チャネル(PBCH)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。PDCCH、EPDCCHにより、下り制御情報(DCI)が伝送される。
【0067】
また、無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、無線通信システム1では、上りリンクにおいて、ユーザ端末20間で互いを発見するためのディスカバリー信号(端末間発見信号)が送信される。
【0068】
図8及び9を参照し、無線基地局10、ユーザ端末20の全体構成を説明する。
図8は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成図である。
図8に示すように、無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103(送信部、受信部)と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
【0069】
下りリンクにおいて、無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、コアネットワーク30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0070】
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理、CP挿入処理などが行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号(参照信号、同期信号、報知信号などを含む)に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0071】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
【0072】
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
【0073】
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、CP除去処理、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介してコアネットワーク30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0074】
図9は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203(送信部、受信部)と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。なお、ユーザ端末20は、1つの受信回路(RF回路)により、受信周波数を切り替えてもよいし、複数の受信回路を有していてもよい。
【0075】
下り信号については、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、CP除去処理、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下り信号に含まれるユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0076】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ(Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理、CP挿入処理等が行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
【0077】
次に、
図10及び11を参照し、無線基地局10、ユーザ端末20の機能構成を説明する。
図10に示す無線基地局10の機能構成は、主に、
図8のベースバンド信号処理部104によって構成される。また、
図11に示すユーザ端末20の機能構成は、主に、
図9のベースバンド信号処理部204によって構成される。
【0078】
図10は、本実施の形態に係る無線基地局10の機能構成図である。なお、複数のユーザ端末20によりクラスタが形成される場合、以下の無線基地局10の機能構成を特定のユーザ端末20(Cluster Head)が具備してもよい。
図10に示すように、無線基地局10は、CP長構成決定部(決定部)301と、CP長構成情報生成部302を具備する。
【0079】
CP長構成決定部301は、DS送信期間で用いられるCP長構成を決定する。具体的には、CP長構成決定部301は、
図4Aに示すように、DS送信期間が通常CPサブフレーム(第1サブフレーム)を複数含んで構成されるCP長構成1(第1CP長構成)と、
図4Bに示すように、DS送信期間が拡張CPサブフレーム(第2サブフレーム)を複数含んで構成されるCP長構成2(第2CP長構成)と、DS送信期間が通常CPサブフレームと拡張CPサブフレームとの双方を含んで構成されるCP長構成3(第3CP長構成)とのいずれかに、CP長構成を決定する。
【0080】
なお、CP長構成3は、
図4Cに示すように、各送信期間に通常CPサブフレーム及び拡張CPサブフレームが割り当てられるCP長構成3−1(第1構成)と、
図4Dに示すように、通常CPサブフレームで構成される第1DS送信期間(第1送信期間)と拡張CPサブフレームで構成される第2DS送信期間(第2送信期間)とが割り当てられるCP長構成3−2(第2構成)と、を含んでもよい。
【0081】
また、CP長構成決定部301は、ユーザ端末20からの測定報告、タイミングオフセット情報、位置情報の少なくとも一つに基づいて、CP長構成を決定してもよい。なお、測定報告、タイミングオフセット情報、位置情報の少なくとも一つを用いたCP長構成の決定の詳細は、
図6のステップS101で述べた通りである。
【0082】
CP長構成情報生成部302は、以上のように決定されたCP長構成を示すCP長構成情報を生成する。上述のように、CP長構成情報は、パターン識別子であってもよいし(
図5A)、構成タイプ識別子とサイズ構成識別子(割り当て識別子)とを含んでもよい(
図5B)。生成されたCP長構成情報は、送受信部103からSIBを用いて報知されてもよい。或いは、CP長構成情報は、RRCシグナリングやPBCHなどを用いて送受信部103からユーザ端末20に通知されてもよい。
【0083】
図11は、本実施の形態に係るユーザ端末20の機能構成図である。
図11に示すように、ユーザ端末20は、DS送信期間特定部401、CP長決定部402、ディスカバリー信号(DS)生成部403、送信電力決定部404、端末間発見処理部405を具備する。
【0084】
DS送信期間特定部401は、無線基地局10からのDS送信期間を示す情報(例えば、サブフレームオフセット、当該DS送信期間の周期、当該DS送信期間のサブフレーム数など)に基づいて、DS送信期間を特定する。上述のように、当該情報は、例えば、SIB、RRCシグナリング、報知チャネルなどにより、無線基地局10からユーザ端末20に通知されてもよい。
【0085】
CP長決定部402は、無線基地局10からのCP長構成情報に基づいて、ディスカバリー信号の送信に用いるCP長を決定し、決定結果をDS生成部403及び送信電力決定部404に出力する。上述のように、当該CP長構成情報は、例えば、SIB、RRCシグナリング、報知チャネルなどにより、無線基地局10からユーザ端末20に通知されてもよい。
【0086】
具体的には、CP長決定部402は、CP長構成情報が、通常CPと拡張CPとの双方が用いられるCP長構成3を示すか否かを判定する。例えば、CP長構成情報がパターン識別子である場合(
図5A)、CP長決定部402は、パターン識別子が「010」〜「111」であるか否かを判定してもよい。また、CP長構成情報が構成タイプ識別子とサイズ構成識別子(割り当て識別子)とを含む場合(
図5B)、CP長決定部402は、構成タイプ識別子の1ビット目が「1」であるか否かを判定してもよい。
【0087】
CP長構成情報がCP長構成1を示す場合、CP長決定部402は、通常CPを用いて(通常CPサブフレームで)ディスカバリー信号を送信することを決定する。一方、CP長構成情報がCP長構成2を示す場合、CP長決定部402は、拡張CPを用いて(拡張CPサブフレームで)ディスカバリー信号を送信することを決定する。
【0088】
また、CP長構成情報がCP長構成3を示す場合、CP長決定部402は、自端末の要求条件に従って、通常CP又は拡張CPのいずれを用いて(通常CPサブフレーム又は拡張CPサブフレームのいずれで)ディスカバリー信号を送信するかを決定する。なお、要求条件は、例えば、より遠くのユーザ端末に自端末を発見させるか否かなどである。
【0089】
DS生成部403は、CP長決定部402による決定結果に基づいて、ディスカバリー信号を生成する。具体的には、DS生成部403は、CP長決定部402による決定結果に従って、通常CP又は拡張CPのいずれかを用いて、ディスカバリー信号を生成する。
【0090】
送信電力決定部404は、CP長決定部402による決定結果に基づいて、ディスカバリー信号の送信電力を決定する。具体的には、送信電力決定部404は、通常CPが用いられる場合、相対的に小さい送信電力でディスカバリー信号を送信することを決定する。一方、送信電力決定部404は、拡張CPが用いられる場合、相対的に大きい送信電力でディスカバリー信号を送信することを決定する。
【0091】
端末間発見処理部405は、端末間発見処理を行う。具体的には、端末間発見処理部405は、DS送信期間特定部401によって特定されたDS送信期間において、他のユーザ端末20からのディスカバリー信号を検出し、当該ディスカバリー信号に基づいて他のユーザ端末20を発見する。
【0092】
本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、無線基地局10が、CP長構成を決定し、当該CP長構成を示すCP長構成情報を送信し、各ユーザ端末20が、当該CP長構成情報に基づいてディスカバリー信号を送信する。このため、伝搬遅延やタイミング誤差などによりディスカバリー信号が遅延する場合であっても、当該遅延によるシンボル間干渉の影響を軽減できる。具体的には、直前のサブフレームからの遅延信号との重複時間(例えば、
図2におけるタイミングT4及びT5間の時間長)が、決定されたCP長構成のCP長よりも短ければ、当該遅延信号によるシンボル干渉を除去できる。
【0093】
以上、上述の実施の形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施の形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。