(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019032
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】食品および植物の防護のための植物由来の粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20161020BHJP
A23B 7/02 20060101ALI20161020BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20161020BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20161020BHJP
A23L 2/38 20060101ALI20161020BHJP
A21D 2/36 20060101ALI20161020BHJP
A23G 3/00 20060101ALI20161020BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20161020BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20161020BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20161020BHJP
A23L 21/10 20160101ALI20161020BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20161020BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20161020BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20161020BHJP
A23L 7/00 20160101ALI20161020BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20161020BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20161020BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20161020BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20161020BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23B7/02
A23L29/206
A23L2/00 F
A23L2/38 C
A21D2/36
A23G3/00
A23G3/00 101
A23L13/00 A
A23L17/00 A
A23L21/10
A23L23/00
A23L27/00 D
A23L35/00
A23L7/00
A01M1/20 A
A01M21/00 Z
A01N65/00 Z
A01P7/04
A01P13/00
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-538243(P2013-538243)
(86)(22)【出願日】2011年11月7日
(65)【公表番号】特表2013-544092(P2013-544092A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】ES2011070760
(87)【国際公開番号】WO2012062947
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】P201031661
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】504339734
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ビグエラ,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】モレノ フェルナンデス,ディエゴ アー.
(72)【発明者】
【氏名】カルバハル アルカラス,ミカエラ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス バジェスタ,マリア カルメン
【審査官】
竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−107894(JP,A)
【文献】
特開2009−073804(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/064703(WO,A1)
【文献】
特開2006−034262(JP,A)
【文献】
特開2009−000039(JP,A)
【文献】
特開2007−070274(JP,A)
【文献】
特開2006−262794(JP,A)
【文献】
特開2006−115813(JP,A)
【文献】
Food Bioprod. Process., 1994, 72(C2), pp.73-78
【文献】
Dry. Technol., 1993, 11(5), pp.1025-1052
【文献】
J. Food Eng., 2010, 98(2), pp.266-272 (Published online: 7 Jan 2010)
【文献】
Soil Biol. Biochem., 2008, 40(7), pp.1689-1697
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00−19/20
A23L 3/00−3/54
A23B 7/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜粉末としてのブロッコリー粉末の製造方法であって、
a.50℃から100℃の間の温度で、5時間から10時間の間の時間に渡って、15mから50mの間の長さのトンネル乾燥機に洗浄された野菜であるブロッコリーを導入する工程、および、
b.工程aから得られた生成物を粉砕する工程、
を含み、
上記トンネル乾燥機における入口の温度が75℃から80℃の間の温度であり、出口の温度が60℃から65℃の間であることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記トンネル乾燥機の長さが25mから35mの間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記トンネル乾燥機における持続時間が、7時間から8時間の間であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用される上記野菜は、植物全体または、種子、芽、葉、茎、根、未成熟な花またはこれらの任意の組み合わせを含むリストから選択されることができる植物の一部であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記植物全体または上記植物の一部が、乾燥重量を基準として、
少なくとも0.5%のグルコシノレート、
少なくとも1.5%のフェノール化合物、ならびに、
少なくとも、2%のカルシウム、2.7%のカリウム、0.7%のナトリウム、0.4%のマグネシウム、0.03%の鉄、0.01%のマンガンおよび0.004%の亜鉛の内容量のミネラルを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ブロッコリー粉末が他の添加物をさらに含むことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のブロッコリー粉末の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のブロッコリー粉末の製造方法を使用する、食料製品の製造方法であって、
上記食料製品は、食用の製品、飲料、食餌補強物または食品添加物であることを特徴とする食料製品の製造方法。
【請求項8】
上記食料製品は、ジュース、ミルクシェーキ、煎じ汁、乳製品、アイソトニック飲料、スープ、ソース、サラダ、野菜濃縮物、酢、油、塩、クッキー、穀物食品、パン、他のパンおよび菓子の製品、揚げ物、ゼリー、飴、肉製品、魚製品、キャビアの代用品、他の食用の製品、ならびに、動物用の食餌補助物および食品添加物を含むリストから選択されることを特徴とする請求項7に記載の食料製品の製造方法。
【請求項9】
上記食料製品が乳製品であることを特徴とする請求項8に記載の食料製品の製造方法。
【請求項10】
上記食料製品がパンまたは菓子の製品であることを特徴とする請求項8に記載の食料製品の製造方法。
【請求項11】
請求項1から6の何れか一項に記載のブロッコリー粉末の製造方法を使用する植物の除草剤または殺虫剤の製造方法。
【請求項12】
上記ブロッコリー粉末の重量%が、上記食料製品の作製に対する使用した材料の総重量の1%から8%の間であることを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載の食料製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、食料品としての使用および植物の防護における使用のための植物由来の粉末の製造方法に関する。好ましくは、上記粉末は、アブラナ科(アブラナ科植物(Crucifers))の野菜から得られる。さらに、好ましくはブロッコリー(Brassica oleacearea)から得られる。さらに、本発明は、本発明における工程を介して得られる上記粉末の食料品および植物の防護における使用にも関する。
【0002】
〔技術状況〕
乾燥工程を用いる果物および野菜の保存のために、今日において、種々の方法が利用可能である。上記の多数の方法の中には、例えば、伝統的な天日乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、吸湿乾燥による低エネルギー空気乾燥、浸透圧脱水、および凍結乾燥(freeze-drying)/凍結乾燥(lyophilizing)から、泡沫乾燥、改良された大気乾燥、低圧蒸気乾燥、衝撃乾燥(熱風または熱蒸気を用いた)または“refractance Windows”(登録商標)乾燥のような伝統的でない方法まである。乾燥果実および乾燥野菜の栄養分および生理活性物質の割合は、かなりの程度、乾燥工程に依存し、温度および乾燥時間が重要な要因となる(Santos et al. Drying Technology 26:1421-1437)。
【0003】
食料品および健康への利用のための植物由来の抽出物の製造において、現在までに、有機溶媒および水のような他の抽出溶媒を使用することを続けることによって、割合において変化が生じやすい状態で生理活性物質を取得してきた。例えば、溶媒抽出によるブロッコリーからのグルコラファニン(脂肪族グルコシノレート、生理活性イソチオシアネートスルフォラファンの親化合物、有益な性質を備える)を豊富に含む成分の抽出が記載されている(US2008/0131578)。一旦乾燥した植物素材を、野菜が再水和すると元々の物質と同様な外観を取り戻すような特定の性質を有するとともに脱水した物質の保存にも関与する調製物質に浸すことによって、一旦乾燥した植物素材の維持に関与する物質を添加することも一般的である(US4832969, WO92/10940)。凍結乾燥は、野菜および特にブロッコリーの乾燥方法として記載されている。植物粉末を得ることに関して、植物素材の調製、ならびに、濾過の工程、抽出の工程、濃縮の工程および化学抽出の工程によるグルコラファニンに富んだブロッコリーからの濃縮粉末が記載されている。50℃と100℃の間の温度と所定の速度とを組み合わせた空気の流れによるブロッコリーの乾燥も記載されている(Mrkic et al. 2010. Acta Alimentaria 39:167-174; Mrkic et al. 2006. Journal of the Science of Food and Agriculture 86:1559-1566)。
【0004】
最近の研究では、果実および野菜の成分が、人体に対して有益な因子を含むために、栄養上の水準および衛生上の水準において有益であり得ることが示されている。健康、食糧および繊維に対する作物の開発の概念は、薬およびバイオテクノロジーのために変化している。植物と健康との間の結合は、新しい世代の栄養上および健康上の利用に基づく植物性の製品を開始することの原点である。それらは、美味しいこと、安全であること、および、消費しやすいことが求められる、なぜなら、これらの製品の多くは、健康の状態および特定の一般的な疾病の発病のリスクの軽減を補助するための消費者の処置および食事を補うからである。栄養上の食品および健康が記載されており、それらは消費者の要求に対する製品に基づいた新しい科学を開発する機会を提供する(Raskin et al. 2002. Trends in Biotechnology 20: 522-531)。飲料における栄養上の補助としての野菜の使用も記載されており(US2009110789)、パンにおけるブロッコリー粉末の補助と同様に、特に、ブロッコリー粉末が記載されており、飼料に対する植物の構成物および動物のエサに対する植物の構成物の使用も記載されている。上記の構成物は凍結乾燥によって得られる。
【0005】
化粧品産業においても植物由来の成分が使用される。例えば、種々の果実、ベリー類およびアブラナ科の植物(ブロッコリーを含む)の芽または発芽種子抽出物を使用することによって、ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、ジェル、抗加齢製品および皮膚関連疾病における皮膚解毒効果に利用する(US2009/0306219)。ブロッコリーを含む野菜およびその添加物としての生理活性は、植物抽出物を固形粉末、錠剤、カプセルまたは、油質の沈殿物として使用することによって、抗加齢製剤において使用されており、ある場合においては、全重量の0.1%から10%に達し得る(US 2009/0324522)。
【0006】
多くの疫学の研究は、ブロッコリー(Brassica oleraceae)を含むアブラナ科の食品が、植物2次代謝に由来する生理活性化合物に富んだ資源であることを示しており、窒素および硫黄、グルコシノレート、フェノール天然抗酸化物質(フラボノイド、アントシアニンおよびフェノール酸)、ビタミン(A、C、E、Kなど)ならびに必須のミネラル(N、P、K、Ca、Fe、Mn、Mg、Zn、Cu、Seなど)に富む(Fahey et al. 2001. Phytochemistry 56: 5-51; Moreno et al. 2006. J. Pharmaceutical Biomedical Analysis 41:1508-1522)。これらの野菜および由来製品の消費は、慢性の疾病の予防における有益な効果に関与している。例えば、上記慢性の疾病は心血管疾患の病状の進行およびガンである(Moreno et al., 2006. Journal of Pharmaceutical and Biomedical analysis 41:1508-1522; Jahangir et al. 2009. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety 8:31-43)。それ以外には、アブラナ属の作物残物(副産物)の除草剤としての使用も実証されている(Hoagland et al. 2008, Soil Biology and Biochemistry 40:1689-1697)。
【0007】
アブラナ科(アブラナ科植物)は、約3500の植物種を有する。それらのうちのいくつかは、世界中の高い消費と経済的に関連している。アブラナ科の多くの野菜は、繊維質であり、低カロリーであることに加え、キャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、チンゲン菜(pack-choi、bok-choi)、マスタード、ハツカダイコンおよびカブのように、栄養分および有益な生理活性化合物を備える。アブラナ科の野菜の消費と種々の疾病のリスクの軽減との間の積極的な関与を示す証拠、および、これらの野菜が食事にいかに価値を付加するかを示す証拠は、全般的な人口におけるその消費を増加させる便宜となる(Jahangir et al. 2009. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety 8:31-43)。
【0008】
製品または食品における化学物質または人工添加物を含んでいない天然の成分への現在の要求は、産業において指数関数的に増大している。上記の産業は、例えば、より良い保存性を備えており、消費者により訴えそして魅了し、産業活動および農産物において共製品(co-product)の使用または副産物を減らすことを補助できる食品および飲料、食品補助剤、健康的な添加物、ならびに、より高い栄養学的な完全性および感覚器を刺激することを許容できる食品を必要とする産業である。
【0009】
〔発明の記述〕
本発明は、植物粉末を得るための手順に関する。上記植物粉末は、100%天然の食品成分、高い水準の生理活性化合物および栄養分を備え、種々の媒体(水、水性アルコールなど)に適した溶解性、食品および薬品に適した特性を備え、化学物質または有機溶媒を含まず、元々における本来のおよび天然の植物素材に存在しない成分や生産工程中に存在しない他のいかなる成分をも含まない。
【0010】
したがって、本発明の第1の側面は、植物資源粉末を得るための工程に関し、上記工程は、
a.50℃から100℃の間の温度で、5時間から10時間の間の時間に渡って、15mから50mの間の長さのトンネル乾燥機に洗浄された野菜を導入する工程、および、
b.工程aから得られた生成物を粉砕する工程を含む。
【0011】
ここで、この工程を「本発明の工程」と名付ける。この工程によって得られた植物資源粉末を「本発明の植物粉末」と名付ける。
【0012】
好ましくは、本発明の工程は、25メートルから35メートルの間の長さのトンネル乾燥機を備え、素材の入口の温度が75−80℃に設定されており、素材の出口の温度が60−65℃の間であり、トンネルにおける持続(permanence)時間は、7−8時間よりも短い。これらの条件を理由に、本発明のトンネル乾燥機の好ましい設定は、25メートルから35メートルの長さである。他の好ましい実施において、入口の温度は、75℃−80℃の間である。また、異なる好ましい実施において、出口の温度は、60℃−65℃の間である。また、異なる好ましい実施において、トンネルにおける持続時間は、7時間−8時間の間である。
【0013】
本発明において、発明の上記手順に使用された植物素材は、植物全体を含んでもよいし、または、植物の一部であってもよい。植物の一部は、種子、発芽種子、芽、葉、茎、根、花、花序または任意の可能な組み合わせであり得る。
【0014】
作物の商業生産における農業事業によって生じる副産物は、本発明の工程の一部に成り得る。なぜなら、それらは栄養分および潜在的に機能的な成分の良好な資源であるからである。「副産物(byproduct)」の用語は、市場向きでない植物の一部や、好ましくない環境条件や生育条件において得られる商業向きでない植物製品であって、市場に対する質の基準を満たしておらず、商業の活用において収穫の損失を表すもの、として理解される。しかし、それは生理活性化合物を保持している。
【0015】
本発明において、「生理活性化合物」は、生物、哺乳類やヒトにおいて生理活性機能を発揮する植物起源の化合物として理解される。本発明において、「生理活性化合物」は、グルコシノレート(例えば、グルコラファニン)、フェノール化合物、ミネラルなどに富んだ化合物のことをいう。本発明の工程は、熱を使用するので、植物のミロシナーゼを排除する。上記ミロシナーゼは、グルコシノレートをイソチオシアネート(例えば、スルフォラファン)に加水分解し、本発明の植物粉末においても、植物素材に天然に存在しているグルコシノレートを保持している。
【0016】
生理活性化合物および栄養分の内容量は、植物由来の粉末において重要であるので、本発明の工程のトンネル乾燥機に導入される植物(植物全体または植物の一部)は、少なくとも0.5%のグルコシノレート、1.5%のフェノール化合物、2%のカルシウム、2.7%のカリウム、0.7%のナトリウム、0.4%のマグネシウム、0.03%の鉄、0.01%のマンガンおよび0.004%の亜鉛の含量(乾燥重量基準における)を有することが好ましい。
【0017】
生理活性化合物および栄養分を種々の作物および野菜の植物全体または植物の一部から得てもよい。好ましくは、アブラナ属から得て、また、好ましくは、アブラナ属spp内から得てもよい。好ましい発明の工程の1つの例示として、野菜はアブラナ科植物である。他の好ましい実現においては、野菜は、カブ、クレソン、コールラビ、キャベツ、赤キャベツ、ルタバガ、ブリュッセル芽キャベツ、マスタード、多種多様のブロッコリー(ブロッコリーニ、ブロッコリー、ロマネスコブロッコリー、白または紫ブロッコリーなど)、セージ、コロハ、玉ねぎ、またはニンニクのような他の野菜の根、葉または花序である。それは、それらの天然の任意の生理活性化合物を含む。さらに他の好ましい実現においては、植物はブロッコリーである。
【0018】
本発明において、ブロッコリーは、任意の成長条件および任意の環境条件において発育させたものであり、また、感覚器を刺激する性質および栄養となる性質を好む作物学的な条件においてミネラルの豊富な培地で栄養価を高めてもよい、任意の多様なブロッコリー(Brassica oleracea)として理解される。
【0019】
本発明の第2の側面は、本発明の工程によって得られる植物粉末に関する。発明の植物粉末は、有効量の生理活性化合物を含む。
【0020】
本発明において、「有効量」は、本発明の工程を用いて得られた粉末を受け入れた動物およびヒトに対して栄養上水準および衛生上水準の効力を有するのに十分な生理活性化合物の量として理解される。または、上記「有効量」は、害虫および捕食者に対して効力を有する(除草剤、殺虫剤)のに十分な生理活性化合物の量として理解される。
【0021】
本発明の第2の側面の好ましい実現の一例は、添加物を混ぜた込んだ植物起源の粉末である。上記添加物は、好ましくは化学薬品および有機溶媒でない。ブロッコリー粉末を含む粉末の感覚器を刺激する性質の改良に貢献するための甘味料を混ぜた本発明の粉末は、本発明の一部である。
【0022】
本発明の第3の側面は、食用の食品、飲料、食餌の補強物または食品添加物における食料製品を製造するための本発明の工程において得られる植物粉末の使用に関する。好ましくは、本発明の植物粉末の使用は、下記に示すものの作製において使用されてもよい。食料品の飲料、以下のリストから選ばれる食餌の補強物および食品添加物。上記リストは、ジュース、ミルクシェーキ、スムージー、香草のお茶および
煎じ汁、アイソトニック飲料、乳製品、チーズ、ヨーグルト、スープ、ソース、ドレッシング、野菜凝縮物、酢、油、塩、クッキー、穀物製品、パン、パンおよび菓子の製品およびその前処理混合物、パティセリー(patisseries)、ケーキおよびスィーツ、揚げ物、ゼリー、飴、肉または魚製品、調製物および前処理混合物、キャビアの代用品
、摂食用の他の製品、ならびに、食料品に対する補強物および添加物を含む。好ましくは、植物粉末の使用方法として、例えば、チーズおよびヨーグルトなどの乳製品に混ぜる。他の好ましい本発明は、パン、ブレッドスティック、スナック菓子、マフィン、ケーキおよびカップケーキのようなパンおよび菓子の製品における本発明の第2の側面の植物粉末の使用である。
好ましくは、本発明の植物粉末の使用は、丸薬、錠剤、カプセル、スプレーの作製において使用されてもよい。
【0023】
本発明の第4の側面は、本発明の工程において得られる植物粉末の、植物の有害生物制御製品(除草剤または殺虫剤)の製造のための使用に関する。
【0024】
本発明の第5の側面は、本発明の工程において得られる植物粉末を混合した食料品に関する。上記食料品は、食用、飲料、食餌の補強物または食品添加物である。
【0025】
種々の食料製品(乳製品、パンおよび菓子)は、本発明の第1の側面において詳細に記されている手順に続いて得られる植物粉末を用いて合成される。どのような場合においても、食料製品の適切な製造に影響すること無しに、いかなる種々の粉砕サイズにおいても食糧製品が総重量の1%から8%の間の植物粉末を含み得ることが確定した。このことから、本発明の第5の側面の好ましい実現の一例は、食品の製造において使用される成分の重量の1%から8%の間の内容量を表す、本発明の植物粉末を含む食品に関する。
【0026】
本発明の第6の側面は、本発明の植物粉末を含む植物有害生物制御(除草剤または殺虫剤)に関する。
【0027】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ブロッコリーの粉砕から得る植物由来粉末である。
【0028】
図に示されるブロッコリー粉末は、ブロッコリーの茎および葉を石の製粉機において粉砕後、得られた。A.第1の粉砕において得られた粉末。B.第2の粉砕において得られた粉末。C.第3の粉砕において得られた粉末。
【0029】
〔実施例〕
次に、発明者によって実施した試験によって本発明を例証し、本発明の手順および本発明の手順に従って得られる植物粉末の利用を示す。
【0030】
〔実施例1.ブロッコリー粉末を得るための手順〕
ブロッコリー粉末を、ブロッコリーの葉を丸ごと使用することによって製造した。作製の手順は、産地からの植物素材の採集、洗浄およびトンネル乾燥機への導入から成っていた。上記トンネルは、25と35mの間の長さを有し、先頭の温度が75−80℃であり、60−65℃の出口であった。トンネルにおける持続の時間は、7−8時間であった。得られた生成物を、石の粉砕機を使用して、所望のきめの粉末のために種々の小片の大きさに粉砕した(
図1のA,BおよびC)。高栄養価の食品補強物または植物有害生物制御(除草剤または殺虫剤)用として種々の示されているような使用を意図して、得られた粉末を直接光から保護する密封バッグに保存した。
【0031】
〔実施例2.ブロッコリー粉末からの生物活性化合物〕
表1において、本発明の植物粉末がグルコシノレートを分解するミノシナーゼ活性を欠いていることがわかる。本発明由来の植物粉末は、より多くの生理活性化合物を備え、グルコシノレートに対する分解酵素を有さない唯一の組成である。本発明の植物粉末は、一般的に植物抽出物を得るために使用される、生成工程中に加えられる有機溶媒のようないかなる外部薬品または化学薬品をも含まない。表において、生理活性化合物の分量を示す、上記の分量はmg/gで示す。(--)の記号は、特定の生理活性化合物に対して未解析であることを表す。
【0032】
【表1】
〔実施例3.本発明の植物粉末を混ぜ込んだ食料製品〕
食料製品の作製におけるブロッコリー粉末の使用の試験を目的として、実施例1に記載された本発明の植物粉末を含む種々の食品を製造した。全ての場合において、伝統的および再現可能な方法に従って、専門家によって食料製品を作成した。より栄養価が高い、および、より健康的な食料製品を得た。上記食料製品は以下のような本発明の植物粉末の生理活性化合物および栄養分を含む。
【0033】
3.1.−本発明の植物粉末を混ぜ込んだ乳製品の実施例
乳製品の場合、新鮮なコテージチーズを製造した。上記コテージチーズは、上述した本発明の手順に従って得られるブロッコリー粉末を2%含んでいた。乳清からの凝乳の分離後にブロッコリー粉末を加えた。
【0034】
3.2.−本発明の植物粉末を混ぜ込んだパンおよび菓子製品の実施例
本実施例においては、2.5%のブッロコリー粉末を含む新鮮な焼いたパン、5%のブッロコリー粉末を含むブレッドスティック、ならびに、2%のブッロコリー粉末を含むケーキおよびマフィンを得ている。全ての場合において、焼く前に、本発明のブロッコリー粉末を全ての材料と共に加えた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ブロッコリーの粉砕から得る植物由来粉末を示す図である。