(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019035
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】タイヤ補修用シーリング組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
C09K3/10 A
C09K3/10 Q
C09K3/10 Z
【請求項の数】21
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-545615(P2013-545615)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公表番号】特表2014-505137(P2014-505137A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】IB2011055878
(87)【国際公開番号】WO2012085869
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】TO2010A001031
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】61/434,888
(32)【優先日】2011年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508375387
【氏名又は名称】テク・グローバル・エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】TEK GLOBAL S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】ロッリ, セルジオ
【審査官】
井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/104050(WO,A1)
【文献】
特開2008−189896(JP,A)
【文献】
特開2010−043155(JP,A)
【文献】
特開2005−170973(JP,A)
【文献】
特開2011−225768(JP,A)
【文献】
特開2007−056057(JP,A)
【文献】
特開2003−082327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10− 3/12
C08K 3/00−101/14
B29C 67/00− 73/34
B29D 1/00 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ラテックスを15%〜80%と、
合成ラテックスを5〜50%と、
プロピレングリコール及びエチレングリコールからなる群より選択されるグリコールを10〜60%と
を含むタイヤ補修用シーリング組成物において、
フィロシリケート及びシリカからなる群より選択される鉱物を0.05〜5%含むと共に、
前記合成ラテックスの粒子の直径が、0.05〜0.3μmの範囲の平均粒度分布を有している
ことを特徴とするシーリング組成物。
【請求項2】
前記鉱物がフィロシリケートである
ことを特徴とする請求項1に記載のシーリング組成物。
【請求項3】
前記フィロシリケートがカオリンである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシーリング組成物。
【請求項4】
前記鉱物がシリカである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項5】
前記鉱物の平均粒度分布が5〜95nmの範囲にある
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記鉱物の平均粒度分布が10〜30nmの範囲にある
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項7】
前記合成ラテックスの粒子の前記直径が、0.1μmの平均粒度分布を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項8】
前記天然ラテックスが40〜70%の範囲の量で存在する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項9】
前記合成ラテックスが10〜20%の範囲の量で存在する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項10】
前記グリコールが20〜50%の範囲の量で存在する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項11】
天然ラテックスを30〜35%と、
合成ラテックスを32〜37%と、
プロピレングリコールを25〜31%と、
粒度分布が10〜30nmの範囲にあるシリカを0.4〜0.7%と
を含む
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項12】
前記天然ラテックスが脱タンパク天然ラテックスである
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項13】
前記合成ラテックスが、スチレン−ブタジエン及びカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックスからなる群より選択される
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項14】
前記グリコールがプロピレングリコールである
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項15】
ポリウレタンラテックスを含む
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項16】
ポリウレタンラテックスを0.5%〜10%含む
ことを特徴とする請求項15に記載のシーリング組成物。
【請求項17】
ポリウレタンラテックスを1%〜4%含む
ことを特徴とする請求項15又は16に記載のシーリング組成物。
【請求項18】
酸化防止剤及び安定化剤を含む
ことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項19】
前記酸化防止剤を0.1〜2.5%、前記安定化剤を0.5〜4%含む
ことを特徴とする請求項18に記載のシーリング組成物。
【請求項20】
JIS−K6387によるマロン式機械的安定度試験に従い測定した前記合成ラテックスのゲル化率が、少なくとも25%である
ことを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載のシーリング組成物。
【請求項21】
JIS−K6387によるマロン式機械的安定度試験に従い測定した前記合成ラテックスのゲル化率が50%を超える
ことを特徴とする請求項20に記載のシーリング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ補修用シーリング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤがパンクした場合、シーリング組成物を使用することが現在一般的である。内側からパンクを補修するために該組成物をタイヤの中に注ぎ、それによりタイヤの気密シールを確保する。
【0003】
ゴムラテックス、一般的には天然ゴムを接着剤及び凍結防止剤と混合した種々のシーリング組成物が知られている。
【0004】
しかしながら、該組成物では、長期間保存された場合にラテックス粒子と接着剤粒子との間に凝集現象が生じ易く、その結果、該組成物がクリーム状の外観となってしまうことが欠点である。一般的には、その結果、該クリーム状の組成物を分取する際に、組成物がディスペンサのバルブを閉塞し、パンクを適切に補修することができない。
【0005】
本発明者等が行った研究によって、このディスペンサのバルブの閉塞の原因のひとつが、約1ミクロンと大きい天然ゴム粒子のサイズとそれら粒子の不均一で不安定な粒度分布にあるであろうことが示されている。
【0006】
接着剤を含まない組成物も知られている。しかしながら、該組成物もまたディスペンサのバルブの閉塞を引き起こす。
【0007】
従って、本技術分野においては、上述の既知の組成物が有する欠点がない新規なタイヤ補修用シーリング組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/104050号パンフレット
【特許文献2】特許第4525839号公報
【特許文献3】特開2008−189896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、ゴムラテックス粒子がディスペンサのバルブの閉塞を引き起こす凝集現象を起こしにくく長期間安定であるが、同時にシーリング能力を保っているシーリング組成物を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
該目的は、請求項1に記載のシーリング組成物により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
フィロシリケートとは、各四面体が他の3つの四面体と酸素による架橋により結合する傾向にある四面体対称の層構造を特徴とするシリケートである。一般に、この集団に属するものは、明確な劈開性を伴い薄板状又は鱗片状の外見を有する。これらは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、鉄、リチウム、又はバリウムシリケートである。これらは低比重の軟らかい鉱物であり、劈開シートは可撓性又は弾性を有しうる。
【0012】
特に、シーリング組成物に添加されるフィロシリケート及びシリカの粒子は、以下の2つの作用をもたらす。即ち、組成物への潤滑作用をもたらし、天然ラテックスの粒子の凝集を減らすことにより、ディスペンサのバルブを容易に通過できるようにする。また、同時に、これら粒子は、重合中にラテックス混合物中に入り込み機械的補強作用を示すため、パンクのシーリング中に補助剤作用をもたらす。
【0013】
好ましくは、前記鉱物はシリカ又はカオリンである。
【0014】
好適には、使用される鉱物は5〜95nmの範囲の平均粒度分布を有し、特に好適には10〜30nmの範囲である。
【0015】
好適な一実施形態によれば、前記合成ラテックスは、0.05〜0.3μmの範囲の平均粒度分析を有し、シーリング組成物の製造に好適に用いられるものである。このような組成により、シーリング組成物を著しく安定化することができ、それにより、天然ラテックスに基づく組成物の最適なシーリング力特性を保ちながらも、粒子の凝集を回避することができる。
【0016】
更に、合成ラテックスの粒子の直径が0.05〜0.3μmの範囲の平均粒度分布を有するものであることがより好ましく、0.1の粒度分布であることが更に好ましい。
【0017】
本発明の好適な一実施形態によれば、前記シーリング組成物は、40〜70%の範囲の量の天然ラテックスと、10〜20%の範囲の量の合成ラテックスと、20〜50%の範囲の量のエチレングリコールとを含む。より好ましくは、前記組成物は、天然ラテックスを30〜35%と、合成ラテックスを32〜37%と、プロピレングリコールを25〜31%と、粒度分布が10〜30nmの範囲にあるシリカを0.4〜0.7%とを含む。
【0018】
JIS−K6387によるマロン式機械的安定度試験に従い測定した前記合成ラテックスのゲル化率は、少なくとも25%であることが好ましく、50%を超えることがより好ましい。また、前記合成ラテックスは、好適にはスチレン−ブタジエン及びカルボキシル化スチレン−ブタジエンからなる群より選択される。
【0019】
更に、使用される前記天然ラテックスは、脱タンパク化されている場合に、優れた結果をもたらしている。
【0020】
前記シーリング組成物はさらにポリウレタンラテックス含んでもよい。ポリウレタンラテックスは、更なる安定化効果を有し、0.5%〜3%、好ましくは1〜2%の範囲の量で添加される。
【0021】
最後に、前記シーリング組成物は、酸化防止剤や安定化剤のような添加剤をも含んでもよい。酸化防止剤の量は好ましくは0.05〜3%であり、より好ましくは0.1〜1.5%である。安定化剤の量は好ましくは0.2〜3であり、より好ましくは0.5〜2%である。
【0022】
本発明の更なる特徴は、以下のいくつかの実施例の記載から明らかになるであろう。なお、これら実施例は、単に例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【実施例】
【0023】
実施例1
シリカを含むシーリング組成物の化学的−物理的キャラクタリゼーション
本発明に従い、表1に示した組成物を製造した。
【0024】
【表1】
【0025】
異なるバッチの表1に示した組成物の粘度、pH、及び比重(SpG)を評価した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
実施例2
凝固試験
低温、特に−40°Cにおいてもシーリング組成物の性質が保たれるかを確認するため、実施例1に示した上記3バッチの組成物に対し凝固試験を行った。
【0028】
シーリング組成物50mlをガラスのビーカーに入れ。その後、そのビーカーを冷凍庫に入れ、−40°Cで8時間保存した。
【0029】
分析した3バッチ全てのシーリング組成物のサンプルには、表面の凝固又は結晶生成は見られなかった。
【0030】
実施例3
シーリング力評価テスト
直径6mmの鋼鉄釘で溝の間をパンクさせたフォードタイヤ(ES8S43−19L523−AA)に対する組成物のシーリング力を評価した。
【0031】
線形収縮速度をkPa/min単位で求めるために測定した30秒後のタイヤ圧力減少は、50kPa超であった。
【0032】
その後、タイヤをシャトルバスに取り付け、コンプレッサーと接続した。実施例1のシーリング組成物をタイヤに注入し、その後タイヤを約240kPaまで膨張させた。
【0033】
シャトルバスを、最低速度30km/h、最高速度80km/hで10分間運転し、タイヤの圧力を測定し、3分後、5分後、7分後の圧力減少によりシーリング力を評価し、パンクからの漏れを調べた。
【0034】
その後、シャトルバスを停止し、1時間後及び2時間後に再度圧力を測定した。
【0035】
得られた結果を表3に示す。
【0036】
このシーリング組成物が、5分後でさえ、雰囲気温度でだけでなく、70°C及び−40°Cでもタイヤをシーリングする能力を有することが証明されたことが分かる。低温では、シーリング組成物を分散させるための時間がかなり長くなるが、それでも、最初の5分以内にシーリングは行われる。
【0037】
【表3】
【0038】
実施例4
カオリンを含むシーリング組成物の化学的−物理的キャラクタリゼーション
本発明に従い表4に示した組成物を製造した。
【0039】
【表4】
【0040】
異なるバッチの表4に示した組成物の粘度、pH、及び比重(SpG)を評価した。結果を表5に示す。
【0041】
【表5】