特許第6019039号(P6019039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019039
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電気光学流量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/10 20060101AFI20161020BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 21/47 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 15/12 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 33/49 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   G01N15/10 A
   G01N15/14 D
   G01N15/14 P
   G01N15/14 C
   G01N15/14 G
   G01N21/47 A
   G01N21/49 Z
   G01N15/12 H
   G01N15/14 K
   G01N15/12 E
   G01N21/27 B
   !G01N33/49 A
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-552238(P2013-552238)
(86)(22)【出願日】2011年11月15日
(65)【公表番号】特表2014-508925(P2014-508925A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】FR2011052643
(87)【国際公開番号】WO2012104496
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】1150930
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508000537
【氏名又は名称】ホリバ アベイクス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メルシェ、ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】クルミアン、ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ウランカー、アレクサンドラ
【審査官】 渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/004173(WO,A1)
【文献】 特開平07−151671(JP,A)
【文献】 特開平03−233344(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/103920(WO,A1)
【文献】 特開昭60−260830(JP,A)
【文献】 特開2010−085194(JP,A)
【文献】 実開昭63−084554(JP,U)
【文献】 米国特許第04730922(US,A)
【文献】 特表2011−525981(JP,A)
【文献】 特表2003−510557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子の特性化のための電気光学流量測定装置であって、
前記電気光学流量測定装置は、
第1の光軸を備え、その第1の光軸の一端から他端に向かい、
第1の光源(S1)と、
前記第1の光源(S1)によって放射されるビームを成形することが可能な放射ガン(CE)と、
特性化すべき流体の流れが循環する測定チャンバ(CUM)と、
第1の光源(S1)によって放射された信号を収集することが可能な受光ガン(CR)と、
第1の検出器(D1)とが配置され、前記第1の光源(S1)及び第1の検出器(D1)は第1の光軸の両端において互いに対向して配置され、
前記第1の光軸に直交する第2の光軸を備え、その第2の光軸の一端から他端に向かい、
第2の光源(S2)と、
前記測定チャンバ(CUM)とが配置され、前記測定チャンバ(CUM)が前記第1の光軸と第2の光軸との交差部において前記第1の光軸に沿って配置され、
前記第1の光軸に直交する第3の光軸を備え、その第3の光軸の一端から他端に向かい、
第2の検出器(D3)と、
前記放射ガン(CE)内に配置された第1のダイクロイックミラー(ME)とが配置され、
前記第1の光軸に直交する第4の光軸を備え、その第4の光軸の一端から他端に向かい、
第3の検出器(D2)と、
前記受光ガン(CR)内に配置された第2のダイクロイックミラー(MR)とを備え、
前記放射ガン(CE)は、
第1の光源(S1)によって放射されたビームの成形を行い、光のビームをその光路の一部にわたって平行にするためのビーム成形光学系(OM)と、前記第1のダイクロイックミラー(ME)とを含み、その第1のダイクロイックミラー(ME)は、光のビームが平行にされる光路の一部に配置され、それにより、前記第2の光源(S2)と、前記第3の光軸に沿って第2の検出器(D3)に向かう流れの中の粒子との間の相互作用によって生じるビームを部分的に反射するものであり、
前記受光ガン(CR)は、
前記第1の光源(S1)と、前記第1の検出器(D1)に向かう流れの中の粒子との相互作用によって生じるビームを集め、それにより、伝達された光のビームがその光路の一部にわたって平行にされる集光光学系(OC)と、前記第2のダイクロイックミラー(MR)とを含み、その第2のダイクロイックミラー(MR)は光のビームが平行にされる光路の一部において前記受光ガン(CR)内に配置され、それにより、前記第2の光源(S2)と、前記第4の光軸に沿って前記第3の検出器(D2)に向かう流れの中の粒子との相互作用によって生じる光のビームを部分的に反射するものであり、
抵抗率を測定するための装置(RES)を備え、
前記第1、第2、第3、及び第4の光軸は第1の平面内に配置され、
前記第2の光源(S2)は前記第1の光軸に対して一側に配置され、前記第2の検出器(D3)及び前記第3の検出器(D2)は前記第1の光軸に対して他側に配置され、
特性化すべき前記微粒子を含む前記流体が、前記各光軸によって形成された前記第1の平面に直交して前記測定チャンバ(CUM)内において循環し、
前記第1、第2、及び第3の検出器(D1、D2、D3)はそれぞれ光学パラメータの測定を可能にし、光学パラメータは、蛍光性、吸光度、広角回折、及び、小角回折の中から選択されたものであり、
第1及び第2の光源(S1、S2)は異なるスペクトルゾーンを有し、第1の光源(S1)は最小のコヒーレントであって、最長の波長を有し、第2の光源(S2)は最大のコヒーレントであって、最短の波長を有する装置。
【請求項2】
前記第1の検出器(D1)は、一方が吸光度測定(EXT)であり、他方が回折(SSC,FSC)および蛍光性(FL)の中から選択される2種類の測定を実行するように構成された切り替え可能な利得を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の検出器(D1)は吸光度測定(EXT)を実行し、前記第2の検出器(D2)は広角回折測定(SSC)を実行し、前記第3の検出器(D3)は蛍光性測定(FL1)を実行することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の検出器(D1)は吸光度測定(EXT)を実行し、前記第2の検出器(D2)は蛍光性測定(FL2)を実行し、前記第3の検出器(D3)は蛍光性測定(FL1)を実行することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記2つのダイクロイックミラー(MR,ME)は、前記第2の光源(S2)の前記波長よりも長くかつ前記第1の光源(S1)の前記波長よりも短い波長の全反射を生じさせる同一の光学特性を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの他のダイクロイックミラーが、前記放射ガン(CE)および前記受光ガン(CR)のうちの少なくとも一方の内に付加されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記測定チャンバ(CUM)は多角形であり、少なくとも4つの辺を有し、そのうちの少なくとも2つが互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの平行な辺は前記第1の光軸に直角になるように配置されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のダイクロイックミラー(ME)と前記第2の検出器(D3)との間において、前記第3の光軸上に帯域通過フィルタ(F3)がさらに配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のダイクロイックミラー(ME)と前記第2の検出器(D3)との間において、前記第3の光軸上に追加的な光学系(OE)がさらに配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のダイクロイックミラー(MR)と前記第3の検出器(D2)との間において、前記第4の光軸上に帯域通過フィルタ(F2)がさらに配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のダイクロイックミラー(MR)と前記第3の検出器(D2)との間において、前記第4の光軸上に追加的な光学系(OR)がさらに配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記受光ガン(CR)は、前記第1の光源(S1)によって放射された波長の分光フィルタリングのためのフィルタ(F1)をさらに備える請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特性化すべき流体の流れが循環し、および特性化すべき細胞が収容される測定チャンバを備え、微粒子、特に生体細胞を特性化するための電気光学流量測定装置の全体的な分野に関する。この分野は、分析すべきサンプル中に含まれる細胞を計数および識別する電気的測定および光学的測定を用いた分析法に基づいている。本発明は、より具体的には、細胞の計数および特性化のためのマルチパラメータ電気光学流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特性化すべき流体は、好ましくは、血液サンプルであるが、脳脊髄液、骨髄等の他の種類の生体液であってもよい。また、サンプルは、識別および計数すべきどんな種類の流体を含有していてもよい。
【0003】
より具体的には、本発明は、少なくとも2つの光源と、比抵抗測定装置と、光学パラメータの測定、典型的には、吸光測定および側方散乱測定を可能にするいくつかの検出器とを具備する装置に関する。
【0004】
これらの測定は、流体に含まれている生体細胞の特性化を可能にする。
造血細胞に関して、当業者は、消炎現象および吸収現象を含む、容積測定または回折法によって得られた細胞の形態学的分析が、赤血球、血小板および白血球を含む主要細胞株間の識別を可能にすることを認識している。この最後の集団自体は、いくつかのカテゴリー、例えば、リンパ球、単球、好中球、好酸球および好塩基球に細分化される。
【0005】
ある程度までは、例えば、本出願人によって出願された特許文献1に記載されているように、それらの細胞の容積と、白色光における見掛けの吸収を同時に測定することによって、細胞の成熟度を評価することが可能である。近単色光用に開発された装置の実施形態は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0006】
細胞成熟度のこの評価は、迅速な診断を実行可能にするため重要である。一般的には、何らかの病変がない限り、循環血液中に存在する細胞の大部分は、成熟細胞である。
上述した細胞種の各々に対しては、異なる成熟度が分かっている。例えば、赤血球は、まず、前赤芽球の形態で、次いで、好塩基性赤芽球の形態、そして、多染性赤芽球の形態で作られる。多染性赤芽球は、好酸性赤芽球に成長した後、網状赤血球に成長する。循環血液中に入った時点で、最終的に赤血球に分化するのがそれらの網状赤血球である。
【0007】
白血球は、骨髄芽球という第1の形態で骨髄から生じる。そして、それらの骨髄芽球は、後に、好塩基性、好酸性または好中性の顆粒球に変化することになる、最初は分葉していないが、その後、成熟するにつれてそれらの核が次第に分葉する前顆粒球を生じさせる。
【0008】
それらの同じ骨髄芽球は、単芽球、前単球を生じさせ、その後、末梢血に入ることになる単球を生じさせる単球株の元でもある。
また、骨髄芽球が生じる多能性幹細胞は、その細胞株の一部、すなわち、Tリンパ細胞株が、胸腺でその成熟を続け、その他の部分は、Bリンパ細胞株を与えるために骨髄内に留まることになるリンパ幹細胞の形態での分化を経てリンパ細胞株を生じさせる。一旦、プラズマ細胞のかたちで活性化されたこれらのBリンパ球は、病原性抗原に対抗するための抗体を生成する。
【0009】
血小板は、巨核芽球から生じ、その巨核芽球は、骨髄芽球がそこから生じ、および一旦、最終的な成熟段階に達すると、すなわち、血小板減少性巨核球になると、それらの細胞質の崩壊によって血小板を生成する骨髄始原細胞から生じる。幼若な血小板、すなわち、網状血小板は、それらの起源細胞の残りであるRNA含量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5138181号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/053960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
いくつかの病状の診断は、循環血液中の造血細胞に関する極めて微細に調整された計数および特性化を要する。具体的には、赤血球の未熟形である網状赤血球および赤芽球等の特定の集団を明らかにすることができることが重要になってきている。同様に、未熟細胞、すなわち、白血球の前駆細胞(未熟なリンパ球、単球または顆粒球と呼ばれる)を明らかにすることが、次第により重要になってきている。また、活性化されたリンパ球または網状血小板の分類および計数は、患者の診断に際して真の改善をもたらすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特性化すべき流体の流れが循環する測定チャンバと、別々のスペクトルの少なくとも2つの光源と、抵抗率を測定するための装置と、各々が、光学パラメータの測定を可能にする少なくとも3つの他の検出器であって、それらの光学パラメータは、蛍光性、吸光度、広角回折(側方散乱)および小角回折(前方散乱)から選択される検出器とを具備し、電気光学流量測定装置は、最長の波長を有し、および最小のコヒーレントの第1の光源が、粒子の流れに直角な主光軸を画成し、主光軸は、一方が、第1の光源によって放射されたビームを成形できるようになっている放射ガンであり、他方が、第1の光源から放射された信号を集められるようになっており、および測定チャンバの後方に配置されている受光ガンである、チャンバの両側に配置された2つの光学アセンブリを有し、最短の波長を有し、および最大のコヒーレントの第2の光源が、主光軸と交差し、および粒子の流れに垂直である第2の光軸を画成し、第1の検出器が、受光ガンの先端において、第1の光源に対向して配置され、そのため、光照射野機能を有しており、受光ガンが、第1の光源と、第1の検出器に向かう流れの中の粒子との相互作用によって生じたビームを集める集光光学系を具備し、これらの集光光学系は、その光路の一部にわたって、伝達される光ビームが実質的に平行ビームになるようになっており、第1のダイクロイックミラーが、第2の光源と、部分的に反射したビームの光路上に配置された第2の検出器に向かう流れの中の粒子との相互作用によって生じた光ビームを部分的に反射するように、光ビームが実質的に平行になっている光路の部分に、第1のダイクロイックミラーが受光ガン内に配置され、放射ガンは、第1の光源によって放射されたビームを成形するビーム成形光学系を具備し、これらのビーム成形光学系は、その光路の一部にわたって、光ビームが実質的に平行になり、第2の光源と、部分的に反射したビームの光路上に配置された第3の検出器に向かう、流れ中の粒子との相互作用によって生じたビームを部分的に反射するように、光ビームが実質的に平行になっている光路の部分において、第1の光源とチャンバとの間の放射ガン内に第2のダイクロイックミラーが配置されるように構成され、微粒子の特性化のための電気光学流量測定装置を提案することによって、サンプル中に含まれる特定の集団の各々に関する改善された識別、すなわち、より良好な計数を可能にする分析装置および関連する方法の開発に関する。
【0013】
そのため、装置は、従来と同様に、粒子がそこを通過し、それによって、抵抗率に関する第1の測定を実施するマイクロオリフィスを具備している。2つの光源の一方が、短いコヒーレンス時間を有する2つの光源によって、装置は、少なくとも3つの追加的な測定経路を用いて、少なくとも3つの他の測定を実現できる。
【0014】
本発明による装置は、追加的な測定を可能にするダイクロイックミラーから成る系の放射ガン内への挿入によって、追加的な測定経路を具備している。この新機軸は、装置をモジュラー式にし、および少数の装置アイテムを用いた、限られたスペース内での多数の測定を可能にしている。加えて、測定されたパラメータは、同じ構造要素を維持しながら、必要に応じて修正することができる。得られた粒子分類の結果は、公知の装置を用いて得られたものよりも明らかに優れている。実際に、利用しやすいパラメータの多様性およびモジュール性によって、本発明による装置は、分類結果に関して高精度で万能的な特に優れたパフォーマンスを示している。
【0015】
本発明による装置は、使いやすく、低コストであり、また、多くの測定、すなわち、多くの細胞特性を得られるようになっている。
本発明による装置は、より多くのパラメータ測定を可能にすることにより、血液サンプルを含む生体サンプル中に含まれる細胞の特性化、識別および確かな計数を可能にする。また、光源が分離されているため、これらを結合することまたは結合しないことが容易である。具体的には、この特徴は、蛍光色素に関して測定を行った場合に、潜在的な補正の問題を克服することを可能にする。
【0016】
記載されている光学アセンブリを大幅に変更することなく、追加的な測定を実現することが容易に可能である。例えば、小角回折測定および蛍光性測定は、使用するコヒーレントな光源の数だけ実現することができ、それによって、検査する粒子の特性に関する追加的な情報を提供することができる。
【0017】
本発明による装置は、全く異なる種類であってもよい多くのパラメータを実現できるという点で、モジュール式である。例えば、吸光度測定、広角回折測定および蛍光性測定を実現することが可能である。この測定の組み合わせは、測定チャンバ内を循環する粒子の非常に良好な特性化を容易かつ迅速に実現することを可能にする。
【0018】
行う測定に適応させることにより、本発明は、各赤血球群の細胞内ヘモグロビン含有量の非常に高精度な測定を可能にする。拡大解釈すれば、本発明による装置および方法は、サンプル中の白血球の分析の向上を可能にする。
【0019】
一つの具体的な特徴によれば、回折/散乱検出器は、測定チャンバの他方の側で、第2の光源に対向して配置される。この特徴は、いくつかの特定の場合における細胞分類に貢献する際に、または、より一般的には、光学測定を開始する際に有用である可能性がある。
【0020】
本発明の一つの有利な特徴によれば、第1の検出器は、一方が吸光度で、他方が回折性および蛍光性から選択される2種類の測定を実行できるようにする切り替え可能な利得を有している。
【0021】
この特徴によって、大きく異なる光強度を伴う2つのパラメータ測定、典型的には、吸光度測定と蛍光性測定とに対して単一の検出器を用いることが可能である。そのため、この特徴は、放射ガンに測定を追加させることを可能にする。この結果、第1の検出器を、吸光度測定に、または、別の光学パラメータの測定に用いることができるため、本発明による装置は、なおさらモジュール式である。したがって、同じスペクトル帯内でのこの二重測定の存在は、このスペクトル帯内に蛍光性があり、および細胞の分類のために有利に使用できるのであれば、測定装置を変更することなく、細胞分類のためのパラメータを追加することを可能にする。このことは、蛍光性測定のための明らかに異なる経路を設ける必要性を回避する。一つの特定の適用によれば、第1の検出器は、吸光度測定を実行し、第2の検出器は、広角回折測定を実行し、第3の検出器は、蛍光性測定を実行する。
【0022】
このようにして実行された測定は、分析サンプルと、測定が行われた後に実施された結果の分析とに依存する有核細胞の、または、免疫表現型検査の8つの集団の計数および識別を可能にする。
【0023】
本発明による別の特定の適用によれば、第1の検出器は、吸光度測定を実行し、第2の検出器は、蛍光性測定を実行し、第3の検出器は、蛍光性測定を実行する。このようにして実行された測定は、例えば、蛍光色素によって光を発するようないくつかの粒子の検出、または、分析サンプルと、測定が行われた後に実施された結果の分析とに関連する免疫表現型検査を可能にする。
【0024】
好適な特徴によれば、2つのダイクロイックミラーは、第2の光源の波長よりも長く、かつ第1の光源の波長よりも短い波長の全反射を生じさせる同一の光学特性を有している。この特徴によって、本発明による装置の物理的構造を変えることなく、各検出器に関連する測定を任意に変更することが可能である。
【0025】
本発明の一つの特定の特徴によれば、少なくとも1つの他のダイクロイックミラーが、放射ガンおよび受光ガンのうちのすくなくとも1つに付加される。ガンのうちの少なくとも一方における特性に適応されている第2のダイクロイックミラーの付加は、主光軸から90°において、別の測定の付加を可能にする。そのため、本発明による動作原理は、受光ガンおよび放射ガンの各々のうちの少なくとも一方に、いくつかのダイクロイックミラーを付加することによって達成することができる。したがって、測定の多様性をさらに増すことができ、かつ、粒子の分類は、より多くの種類を潜在的に含むことによって、より緻密になる。
【0026】
本発明のその他の特徴および効果は、全く限定していない本発明の実施形態の一実施例を示す添付図面を参照すれば、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による装置を示す。
図2】病変のない血液サンプルについて、本発明による装置を用いて得られ、および抵抗率RESおよび吸光度EXTというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図3】赤芽球を含む血液サンプルについて、本発明による装置を用いて得られ、抵抗率RES、吸光度EXTおよび蛍光性FL1=TOというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図4】好塩基球を含む血液サンプルについて、本発明による装置を用いて得られ、抵抗率RES、吸光度EXT、蛍光性FL1=TO、および側方散乱SSCというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図5】未熟顆粒球を含む血液サンプルについて、本発明による装置を用いて得られ、抵抗率RES、吸光度EXT、蛍光性FL1=TO、および側方散乱SSCというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図6】未熟細胞を含む血液サンプルについて、本発明による装置を用いて得られ、抵抗率RES、吸光度EXT、および蛍光性FL1=TOというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図7】リンパ性白血病について、本発明による装置を用いて得られ、抵抗率RES、吸光度EXT、蛍光性FL1=TO、および側方散乱SSCというパラメータを用いて得られた細胞分類を示す。
図8a】抵抗率RES、吸光度EXT、および蛍光性FL1=TOというパラメータを用いた骨髄異形成症候群の血液について、本発明による装置および従来の装置を用いて得られた共通のマトリクスを示す。
図8b】抵抗率RES、吸光度EXT、および蛍光性FL1=TOというパラメータを用いた骨髄異形成症候群の血液について、本発明による装置および従来の装置を用いて得られた共通のマトリクスを示す。
図8c】側方散乱測定SSCという新たなパラメータを用いて、本発明による装置のみを用いて得られたマトリクスを示す。
図9】非常に低い屈折率を有する好中球を有する血液を示し、この図は、吸光度測定EXTによって得られている。
図10】その好中球が、吸光度測定EXTに基づいて識別された2つの異なる屈折率を有する血液を示す。
図11】側方散乱測定SSCに基づく、低分葉好中球を有する血液の場合を示す。
図12】側方散乱測定SSCに基づく、血中の未熟細胞のリンパ芽球特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による装置の構造的原理および機能的原理を概略的に示す。光学装置は、集束ノズル(図示せず)と、測定チャンバ内で結合してもしなくてもよい、および異なるスペクトルゾーンで放射することが可能であっても可能でなくてもよい少なくとも2つの光源S1およびS2とを具備している。
【0029】
2つの光源のうち一方の光源S1は、中心波長650nmで、コヒーレンス長Lc<100μmの場合、時間的コヒーレンスが弱いものである。それは、第1の光軸を画成する。
【0030】
光源S1の光軸から90°の箇所に配置された第2の光軸S2は、以下に記載された選択された構成に従って、典型的には、FL1,FL2で示される3パラメータの光学蛍光検出および広角回折SSC(側方散乱ともいう)のうちの少なくとも一方に用いられるもの等の1つ以上の単色光源を具備している。光源S2は、有利には、チアゾールオレンジで標識された細胞上で蛍光現象を発生させることが可能な488nmの波長を有するレーザダイオードを具備する。
【0031】
測定チャンバCUMは、2つの光源S1およびS2の光軸の交点に配置されている。
一つの有利な実施形態においては、毛細管が、マイクロオリフィスを備える集束ノズル内に細胞懸濁液を案内する。第2の流体は、測定オリフィスの交差部を通って、細胞懸濁液のセンタリングに入る。このオリフィスは、電気的方法、典型的には、抵抗率測定を用いた容積測定を実施するのに用いられる。一定の電流がこのオリフィスを流れる。細胞がオリフィスを通過すると、流路の抵抗率が変わって、計数オリフィスの端子において、電圧変動を生じさせる。この電圧は、細胞の容積に比例する。この測定法は、「コールター原理」として知られており、その実施のための電子的設備は、この文書には記載しない。
【0032】
次に、細胞は、可能な限り均一な光強度レチクルを測定チャンバCUM内に投影することによって得られた光学分析ウィンドウ内に運ばれる。粒子によって回折され、反射され、または吸収される光は、光伝播を摂動させ、このことは、本発明による装置によって検出される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、2つの光学要素が、光源S1の光軸上に配置され、すなわち、光源S1と測定チャンバCUMとの間に放射ガンCEが配置され、測定チャンバCUMと検出器D1との間に受光ガンCRが配置されている。
【0034】
測定チャンバは、円形断面を有していてもよい。しかし、このことは、本発明による装置を製造するコストを増すというかなりの光学補正を生じさせる。一つの有利な実施形態において、測定チャンバは、多角形であり、およびそのうちの少なくとも2つが互いに平行である少なくとも4つの辺を有している。これら2つの平行な辺は、光源S1の光軸に直角になるように配置されている。第2の光源S2の光軸は、測定チャンバCUMの別の辺に直角になっている。
【0035】
第2の光源S2の光軸が、第1の光源S1の光軸に対して直角になっている好適な実施形態は、有利には、4つの辺を有する測定チャンバを用いている。このことは、本発明による装置の非常に簡単で低コストの製造を可能にする。この場合、実際には、チャンバの壁部の通過のために行われる光学補正が容易になり、光軸の方向が最適になる。
【0036】
放射ガンCEは、ビーム成形光学系OMを具備している。これらの光学系OMは、ノズルによって放出され、および測定チャンバCUM内に存在するサンプルストリーム上にレチクルを投影する。ビーム成形光学系OMは、光ビームが、CMで示されている光路の部分で平行になるようになっている。
【0037】
受光ガンは、検出器D1に向かっているレチクルのイメージを集める集光光学系OCを具備している。吸光度測定が必要でない場合を除いて、検出器D1は、吸光度測定EXTを実行する。本発明によれば、集光光学系OCは、光ビームが、CCで示されている光路の部分で平行になるようになっている。
【0038】
ビーム成形光学系OMは、測定チャンバCUMにおいて、集束光ビームの開口数が、ON1=n×sin uと等しくなるようになっており、ただし、nは、空気の光学指数であり(すなわち、n=1)、uは、ビーム成形光学系OMへの入力における半開口角である。
【0039】
照明の均一性は、通常、ケーラー型アセンブリによって得られる。ケーラー照明の原理は、光源S1の集光光学系OC内での結像を伴う。このことは、第一に、集光光学系OCの瞳内で、光源S1の単一の像を有することを、および第二には、レチクルの像内で、均一な配光を得ることを可能にする。
【0040】
光源S1は、有利には、共振空洞を伴う発光ダイオードである。これらのダイオードは、特性化すべき細胞によって吸収された波長で、明確に測定されたスペクトルを呈するという利点を有している。そのため、吸光度測定の場合、スペクトルピークが650nmにあり、および40nmの帯域幅を有する共振空洞を有する発光ダイオードによって、有好に利用される。しかし、このようなダイオードは、赤色で放射するが、緑色で高調波を有することが分かっている。そのため、この緑色成分が、バックグラウンドノイズを生じることによって、蛍光性測定等の他の測定を妨げることを防ぐために、放射ガンCE内に帯域通過フィルタを配置することが必要である。有利には、受光ガンは、吸光度信号を考慮するためだけに、同じフィルタを具備する。
【0041】
照明系は、本出願人による国際公開第2006/053960号に示されているように適合された光ファイバの利用に基づいている。
一般に、光学ベンチの寸法形状は、所望の光学ウィンドウのサイズに基づいており、計数細胞または測定チャンバ内でのビーム角に基づいている。レチクルの像は、典型的には、矩形状であり、また、その寸法は、2つの制約によって設定される。その最大寸法は、シース流体のサイズによって決まり、この直径は、実質的に、容積測定に用いられるオリフィスの直径である。そのため、直径は、約100μmに固定される。最小寸法は、2つの非常に近接した細胞を識別するための能力である、測定の空間分解能を決める。理想的には、この寸法は、可能な限り小さくなければならない。生物学的粒子が、速度vで、照明されたウィンドウを通過する場合、ウィンドウの最小寸法は、細胞の光の流れへの曝露時間、すなわち、光軸に沿った物理的吸光および回折現象に対応する電気的パルスの持続期間を決める。実際には、この寸法は、30μm程度である。そのため、分析ウィンドウのアスペクト比は、3程度になることに留意すべきである。また、受光光学系のビームの開口数は、照明ビームの開口数に等しいことに留意すべきである。このことは、ON2=ON1を示している。
【0042】
有利には、装置が、検出器D1を用いた吸光度モードEXTで作動する場合、照明ビームは、1°〜60°の角度の開口部を有し、および容積の範囲、屈折率、および検査される粒子の細胞質内成分に関連して選択される。ビームは、選択された中心波長を有している。また、ビームは、平行六面体の測定容積a×b×cにおいて、10%以上の照明均一性を有し、この場合、a×bは、そのアスペクト比a/bが4よりも小さいビームの矩形断面であり、cは、その出力が、10%以上変化しない測定点周辺での幾何学的間隔として定義される被写界深度である。この間隔の値は、典型的には、500μm±250μmの範囲である。
【0043】
第2の光源S2に関しては、この光軸が第1の光源S1の光軸に交差する場合、その光軸の位置決めが特に有利である。実際には、約650nmの中心波長で放射し、および典型的には、吸光度測定に用いられる、最小コヒーレントの光源S1の光軸は、典型的には、フォトダイオードである光検出器D1の光軸に位置合わせされている。同時に、蛍光励起および回折励起のうちの少なくとも一方のための光源S2の光軸は、検出器D1の光源および他方の光源S1の光軸に垂直になっている。ここでは、これらの光軸の90°という明確な角度での交差も、記載されている利点を得ることを可能にするということに留意されたい。
【0044】
この特徴は、さらに、吸光度、蛍光性および回折のうちの1つのパラメータの測定に検出器D1を用いることが重要な場合、これらのパラメータに対して、検出器D1の良好な作動を可能にする。検出器D1が吸光度モードで作動し、それによって、検出器D1が吸光度パラメータEXTを測定する場合、検出器D1が、光源に対向して良好に配置されることが保障される。したがって、検出は、光バックグランドを背景にして行われる。有利には、光源S1によって放射された波長の分光フィルタリングのために、フィルタF1を用いることができる。
【0045】
細胞が、検出器D1に垂直な光路上を通過するときに、細胞の上または中に存在するマーカーまたは染料の蛍光を誘起するために、典型的には、レーザである最大コヒーレントの光源S2を配置することによって、検出器D1を蛍光性測定に用いる場合、本発明による装置の構造は、黒色背景を背景にして測定を行うことを可能にする。このことは、蛍光検出が吸光周波数帯域で実行される場合に、事実上重要である。この場合、FL2の検出は、吸光周波数帯域で実行され、光源S1は、オフにされている。しかし、90°で位置決めすることは、本発明による装置に対称性を与えるという利点がある。加えて、このことは、実施を大幅に容易にする。ここで、この場合、本出願人に対する仏国特許第2933192号明細書に示されているように、検出器D1は、有利には、検出器が大きく変化する光強度を測定することを可能にする切り替え可能な可変利得を有することに留意されたい。
【0046】
本発明によれば、装置は、測定されることが所望されるパラメータに関連して適切に選択された2つのダイクロイックミラーMRおよびMEを具備している。第1のダイクロイックミラーMRは、光ビームが平行になっている箇所で、受光ガンCR内に挿入されている。第2のダイクロイックミラーMEは、放射ガンCE内に挿入され、および独自の方法で、光の逆戻りの原理を利用している。
【0047】
本発明の好適な実施形態において、2つのミラーMRおよびMEは、同一である。これらは、90°で配置された光源の最短波長以上の波長の全反射、および第1の光源S1の波長よりも短い波長の全反射を引き起こす。それにより、本発明による装置の製造コストが制限される。したがって、記載されている実施例において、これらのミラーMRおよびMEは、第1の光源S1によって放射された赤色成分の98%の通過を可能にし、および蛍光FL1の青色成分および緑色成分を反射する。
【0048】
ミラーMRおよびMEは、有利には、SSCで示される広角回折成分と、光源S2によって放射された光と観察している細胞との相互作用によって生じた蛍光成分と、のうちの少なくとも一方の分離を可能にする。したがって、この光学アセンブリは、これまでは未知であった単一の装置内でのパラメータ測定の多様性を実現できるため、特に、細胞集団、例えば、全血検体中の有核細胞から成る8つの集団の容易な分離を可能にする。
【0049】
本発明によれば、光学アセンブリは、従来の装置よりも単純である。光の逆戻りの原理の利用は、装置の全体構造を変更することなく、および単にダイクロイックミラーを追加するだけで、広角回折測定または蛍光測定を追加することを可能にする。
【0050】
これらの測定を実行するために、光源S2が作動される。光源S2によって放射された光は、吸光測定に関する平面に垂直な平面内で、収束レンズL2を用いることによって焦点が合わされる。測定点で得られたイメージは、前述したような同じ理由で、約100μm×30μmの楕円である。光源S2は、レーザダイオードであり、そのため、1/3の出力比を有するように予め選択された楕円ビームを有しているため、当業者には周知のように、一般的にかなり高価な、ビームを成形するための光学系を挿入する必要がない。
【0051】
光源S2によって放射された光と、細胞との間の相互作用によって生じた光は、放射ガン内の逆の光路をたどる。その回折成分は、放射ガン内に配置されたダイクロイックミラーMEによって、吸光成分から分離される。蛍光によって生じた光は、受光ガン内に配置されたダイクロイックミラーMRによって、吸光成分から分離される。
【0052】
広角回折光SSCは、光の逆戻りの原理に従って、放射ガンCEのビーム成形光学系OMによって集光される。ビーム成形光学系OM内に挿入されているダイクロイックミラーMEは、この成分を、吸光軸から検出器D3に向かって90°反射できるようになっている。
【0053】
蛍光は等方性であるため、すなわち、空間内の全方向に均一に光線を放射するため、光源S2の波長に中心を置くF3で示す帯域通過フィルタは、検出器Dによって実行された広角回折測定からの蛍光成分の除去を可能にする。フィルタF3は、有利には、蛍光成分に対して10−6の遮断を伴う488nmに中心がある帯域通過フィルタである。ビーム成形光学系OMと、フィルタF3と、検出器Dの連携は、広角回折測定SSCを実行できるようにする。有利には、ダイクロイックミラーMEと検出器Dとの間で、このミラーの後ろに、OEで示される追加的な光学系が配置される。これらの光学系OEは、ダイクロイックミラーMEから来る回折ビームの焦点を検出器Dに合わせることを可能にする。
【0054】
蛍光FL1は、受光ガンCRの集光光学系OCによって集光される。集光光学系OC内に挿入されているダイクロイックミラーMRは、この成分を、光源S1の光軸から検出器Dに向かって90°反射できるようにする。その回折成分を分離するために、FL1の予想蛍光ピークが中心である帯域通過フィルタF2が、ダイクロイックミラーMRと検出器Dとの間の光路内に挿入されている。フィルタF2は、有利には、チアゾールオレンジマーキングを伴う蛍光成分および第1の光源S1によって生じた赤色成分よりも平均で1000倍多い回折成分を、10−8の遮断によって除去するダブルノッチフィルタに関連する530nmが中心である帯域通過フィルタである。集光光学系OCと、フィルタF2と、検出器Dの関連は、FL1で示される蛍光測定を実行できるようにする。有利には、ダイクロイックミラーMRと検出器Dとの間で、このミラーの後ろに、ORで示される追加的な光学系が配置される。この光学系ORは、ダイクロイックミラーMRによって生じた蛍光ビームの焦点を検出器D2に合わせられるようにする。
【0055】
本発明によるアセンブリの構造は、蛍光FL1および広角回折SSCが、吸光測定EXTも意図された光学系の一部によって集光されるようになっている。このアプローチによって、本発明の特徴である最適な統合レベルが得られる。したがって、製造コストの低減および容易な実施は、本発明の主要な効果である。
【0056】
このような装置によって、各細胞は、4つのパラメータ、すなわち、抵抗率、吸光度、蛍光性および広角回折のパラメータで測定される。
したがって、本発明による装置は、レチクル像の波長フィルタリングを実行できるフィルタF1に関連する光学系OCと、光源S2によって放射された光と、観察している細胞との相互作用によって生じた広角回折SSCを集光し、光源S2の波長が中心である帯域通過フィルタF3に関連する光学系OEと、光学系ORと、蛍光ピークに中心を置き、かつ、光源S2によって放射された光と細胞との相互作用によって生じた蛍光を集光する帯域通過フィルタF2と、第一に、回折成分と吸光成分との分離を、第二には、蛍光成分と吸光成分との分離を可能にする2つのダイクロイックミラーMRおよびMEと、3つのフォトダイオードであるか、または好ましくは、それぞれ、2つのフォトダイオードと1つの可変利得アバランシェフォトダイオードである3つの検出器D1,D2およびD3とを具備している。
【0057】
従来、蛍光および回折光は、それらのスペクトル特性に基づいて分離される。このため、一般的には、多層誘電体形の光学干渉フィルタF1,F2,F3、すなわち、異なる屈折率を有する2つ以上の透明材料を交互に堆積することによって得られたフィルタが用いられる。有利には、フィルタは、非常に良好な帯域外遮断および非常に良好な透過率を与えるイオン衝撃フィルタである。これらのフィルタF1,F2,F3は、所望の測定に従って、測定チャンバCUMと検出器D1,D2,D3との間に設けられる。予想蛍光波長と実施される照明波長とに関連して、様々なフィルタを用いることができる。
【0058】
したがって、本発明による装置は、意図した用途、すなわち、白血球の計数および識別、サンプルに含まれる細胞集団のいくつかの特定の特性の免疫表現型検査または検出等に対して最も関連のあるパラメータを抽出するように選択することにより、調整することができる。実際には、吸光は、細胞の屈折/回折現象の干渉を相当引き起こす。チアゾールオレンジを使用した場合、蛍光性は各細胞のRNA含有量を特性化する。そして、広角回折SSCは細胞の小葉性を反映する。この測定のセットは、高精度で、検査した細胞集団に固有の結果をもたらす十分な量の高い信頼性のデータを得ることを可能にする。
【0059】
調整は、例えば、
・有核細胞の8つの集団の計数および識別のための抵抗率RES、吸光度EXT、広角回折SSCおよび蛍光性FL1と、
・例えば、蛍光色素によって分かるようないくつかの特殊性の検出のための抵抗率RES、吸光度EXT、2つの蛍光性FL1およびFL2と、
・免疫表現型検査への適用のための抵抗率RES、吸光度EXTまたは1つの蛍光性FL2、広角回折SSC、および1つの蛍光性FL1と、
を含むことができる。
【0060】
広角測定SSCを第2の蛍光性FL2に代える場合、光源S2の波長に中心を置く帯域通過フィルタは、蛍光性FL2の発光ピークに中心を置く同じ種類のフィルタと置き換えられる。S1およびS2によって放射されたビームは、その後、測定点で結合させなければならないことに留意すべきである。この場合、蛍光測定に用いられる2つの単色光源S2およびS3によって放射された蛍光性FL1およびFL2の測定のタイムシフトを利用し、後者の光源S3が光源S2と同じ位置に配置されることが賢明であろう。第2の蛍光性の測定は、放射ガンCEの側に配置された検出器D3で実行することができ、または、測定は、吸光度測定にも用いられるD1で実行することができる。この場合、検出器D1は、桁違いに異なる強度を測定できるようにするために、切り替え可能な利得を有している。
【0061】
第2の蛍光性は、有利には、CD45型の白血球マーカーに対する蛍光性である。このマーカーは、第1の光源S1を形成するダイオードの帯域幅に相当する約665nmで蛍光を引き起こすという特徴を有している。この蛍光性の場合、検出器D1に向かう光路上のフィルタを変えなければならないということを回避することが可能である。実際には、検出器D1での蛍光性測定にアクセスするため、唯一の負担は、CD45で標識した際に、第1の光源S1をオフにすることである。そして、この第2の蛍光性の測定は、アバランシェモードに切り替えられた検出器D1によって実施される。
【0062】
別の構成において、帯域通過フィルタF3は、蛍光ピークFL2に中心を置く同じ種類のフィルタと置き換えることができる。この場合、光源S1の光軸から90°に位置している第2の単色光源の追加は、第2の蛍光性を測定できるようにする。この場合、蛍光性測定は、当業者には公知の補償現象を防ぐために、タイムシフトされることが好適であることに留意すべきである。
【0063】
いくつかの用途では、(前方散乱FSCとしても知られている)小角回折を測定する第5のパラメータを、レーザの光軸内に検出器を配置することによって追加することができる。この検出器は、光学測定を行うのに用いることができることに留意すべきである。そのため、有利には、絶対計数に加えて、容積測定データを得るために、抵抗率測定がそれと関連付けられる。これらのパラメータもまた、同じ装置を用いて、血小板(血液中で最小の要素)を特性化できるようにする。
【0064】
上述した装置は、赤芽球の識別および特性化と、7つの白血球集団、すなわち、リンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球、未熟顆粒球および未熟細胞の識別および特性化に用いられる。
【0065】
生体液を分析するためのこの装置は、n=4の物理的パラメータ、すなわち、抵抗率高さRES、高さSSC、吸光度高さEXTおよび高さFL1に相当する測定データを受け容れるための受け容れ手段に接続される。有利には、チアゾールオレンジの場合の蛍光性パラメータFL1=TOは、チアゾールオレンジで標識された後の蛍光性に相当する。その基本的なバージョンにおいて、“Fluowhite”(仏国特許第2821428号明細書の主題、およびホリバメディカルによって製造されている)という試薬は、全血に含まれる全ての有核細胞を保存し、および有核細胞をチアゾールオレンジで標識するとともに、赤血球の全体的な溶解を可能にする。これらのn個のパラメータは、事象を定義する。
【0066】
その後、各事象は、上述した8つの細胞集団のうちの1つに分類される。観察手段は、マトリクス、すなわち、各々が2つの測定パラメータを用いる直交空間である。
この観察を可能にする4つの通常のマトリクスは、一般に、RES×EXT,SSC×FL1,EXT×FL1およびEXT×SSCである。
【0067】
何の病状も呈していない血液の場合、測定RESおよびEXTは、リンパ球L、単球M、好中球Nおよび好酸球Eの集団の完全な識別にたいして十分なものである。
図2は、何の病状も呈していない血液の場合の細胞分類を示す。しかし、これらの測定は、好塩基球、赤芽球、未熟顆粒球および未熟細胞の識別を可能にはしない。それらの集団は、多くの場合、特定の病状に関連しているため、それらを識別できること、および見込まれる最も正確な計数を得ることが重要である。
【0068】
本発明による装置は、本発明によって可能な蛍光性測定FL1によって、赤芽球の正確な識別を可能にする。赤芽球は、リンパ球を同じ抵抗率高さ、同じ吸光度高さおよび同じSSC高さを示す可能性がある。しかし、サンプルを、核酸に固有のチアゾールオレンジで培養した後、赤芽球は、リンパ球よりも弱い蛍光応答を有している。したがって、蛍光性FL1の測定は、赤芽球の正確な識別にとって重要である。図3は、丸で囲んだ黒いドットERBで示される赤芽を含む血液の場合のこの利点を示す。ここでは、およびこの説明の残りにおいて、丸で囲まれた領域内に見えるドットの一部のみが、識別された集団を表し、それらが黒いドットであることに留意すべきである。丸で囲んだ領域は、図式的理由でのみ用いられる。
【0069】
サンプルをチアゾールオレンジで培養した後、装置は、蛍光性測定FL1および広角回折測定SSCによって、好塩基球の正確な識別を可能にする。好塩基球は、RES×EXTのマトリクスにおいて、高い散乱位置を有し、およびリンパ球、単球および好中球と混同される可能性がある。そのため、好塩基球が存在する事象において、測定RESおよびEXTを単独で用いたそれらの集団の識別は不可能である。一方、好塩基球は、図4に示すように、SSC×FL1のマトリクスでは、容易に識別可能である。好塩基球は、丸で囲んだ黒いドットBASで示されている。
【0070】
装置は、マトリクスEXT×FL1によって、未熟顆粒球の正確な識別を可能にする。ここでもまた、チアゾールオレンジを伴う蛍光性測定FL1は、測定すべき顆粒球、好中球または未熟顆粒球の成熟を可能にする。未熟顆粒球は、単球と同じ抵抗率高さSSCおよびFL1を有している可能性がある。そのため、その完全な識別のためには、吸光度EXTおよび蛍光性FL1の測定が必要である。マトリクスSSC×FL1は、識別力があまりないが、好中球および未熟顆粒球の低顆粒という事象に用いられる。
【0071】
図5は、血液サンプルが、丸で囲んだ黒いドットIGで示されている未熟顆粒球を含むケースの場合のこの利点を示す。
本発明による装置は、ここでもまた、チアゾールオレンジを伴う蛍光性測定によって、未熟細胞の正確な識別を可能にする。未熟細胞は、成熟細胞よりも多くのRNAを含んでいるため、より高い蛍光応答を示す。図6は、この利点を示している。丸で囲んだ粒子CIMの中で計数されている黒いドットによって示された未熟細胞は、図(ABS,RES)よりも図(SSC,TO)でより良好に識別されていることが図を見て分かる。しかし、採用されている2つの図は、ともに良好な識別を可能にしている。
【0072】
装置はさらに、測定SSCによって、リンパ球の病変の場合における未熟細胞の正確な識別を可能にする。リンパ芽球は、単球と同じ抵抗率、吸光度およびFL1高さを有している。そのため、その完全な識別のためには、追加的な測定SSCが必要である。図7は、リンパ性白血病の場合のこの利点を示す。リンパ芽球は、ここでは、丸で囲んだ黒いドットCIM−Lで示されている。
【0073】
装置は、7つの白血球集団の識別と、正常な血液サンプルおよび病変血液サンプル中の赤芽球の識別を可能にする。加えて、図は、成熟細胞でよく見られる病変に対するその優位性を示している。
【0074】
図8Aおよび図8Bは、骨髄異形成血液サンプル中の抵抗率RES、吸光度EXT、蛍光性FL1=TOのパラメータに対して、本発明による装置および従来の装置を用いて得られた共通のマトリクスを示す。これらのマトリクスにおいては、単球およびリンパ球と合体される脱顆粒好中球NDGを識別することは不可能である。対照的に、図8Cは、脱顆粒好中球NDGの識別を可能にする広角回折SSCという新たな測定パラメータを用いた、本発明による装置のみを用いて得られたマトリクスを示す。
【0075】
本発明による装置はさらに、吸光度測定EXTによって、好中球の顆粒の特性化を可能にする。顆粒の存在は、吸光度高さEXTを増加させ、それは、好中球および好酸球が、顆粒を有していないリンパ球および単球よりも高い吸光度EXTを有しているためである。そのため、顆粒指数を定義することが可能である。これは、好中球の屈折率の平均として計算される。図9は、丸で囲んだ黒いドットNEUによって示された好中球が、非常に低い屈折率を有する血液サンプルを示す。
【0076】
本発明による装置は、正常な好中球の集団と、脱顆粒好中球の集団とを含む血液サンプルの「警告」も可能にする。これは、2つの異なる屈折率を有する好中球の存在として解釈する。このことは、吸光度測定EXTを用いることによって検出することが可能である。図10は、丸で囲んだ黒いドットNEUおよびNDGによって示されたその好中球が、2つの異なる屈折率を有する血液サンプルを示す。
【0077】
本発明による装置は、細胞の内部構造に対して感度が高く、そのため、核の形状を反映している測定SSCによって、好中球の小葉性を特性化できるようにする。したがって、核葉の数が多くなればなるほど、SSC高さはより高くなり、逆もまた同様である。そのため、小葉性指数を、好中球のSSC高さの平均として定義することが可能である。図11は、丸で囲んだ黒いドットNHYによって示されている低分葉好中球を有する血液サンプルの場合を示す。
【0078】
本発明による装置は、測定SSCによって、未熟細胞の種類を特性化することを可能にする。未熟細胞のSSCの平均が小さければ小さいほど、それらがリンパ芽球である可能性が高い。リンパ芽球の場合のSSCの平均は、245の辺りであり、単球の場合は、約644であり、HRC(高RNA含有量)の場合は、約322である。図12は、血液サンプル中の未熟細胞のリンパ芽球の特性を示す。リンパ芽球は、丸で囲んだ黒いドットLYMで示されている。
【0079】
この装置は、異なる形状およびサイズから成る赤血球を発光させることも可能にする。そのため、例えば、封入体、鎌状細胞等を有する赤血球を発光させることが可能である。そうするために、本発明による装置は、異なる照明波長で行われる2つの蛍光性測定を含む。この場合、特別なフィルタが使用される。
【0080】
臨床生物学におけるフローサイトメトリー(FCM)による免疫表現型検査の利点は、多くの分野、特に、
・血液、骨髄および異なる臓器中の正常な集団の分類記載、
・白血球識別の抗原の分析、
・細胞の誕生、一生および死の研究、
・細胞情報伝達のメカニズムおよび異なる細胞機能の分類記載、
・免疫病理学がテーマの研究、すなわち、免疫不全症の診断およびモニタリング、自己免疫疾患の診断およびモニタリング、移植組織や移植片の免疫学、リンパ増殖性疾患、過敏性、
・多くの血液病の診断への寄与、および、
・がん腫学の分野における、腫瘍に対する宿主反応および免疫療法の経過観察の評価、
にとって重要である。
【0081】
核酸、細胞周期および倍数性の研究に関連する細胞抗原のフローサイトメトリーによる実行可能な識別は、様々な病気の生理病理学的メカニズムの研究において、大きく前進してきた。
【0082】
本発明による装置を免疫表現型検査に適用する場合、吸光度を検出できるようになっているフォトダイオードは、内部アバランシェ利得を抑制することが可能な分極回路に接続されたアバランシェフォトダイオードと取り替えられる。この実施によって、アバランシェフォトダイオードの作用を、従来の吸光度測定EXTに用いられているような従来の単一利得のフォトダイオードの作用まで低減することが可能である。利得抑制がない場合に、高光度を用いる吸光度測定に使用されると、アバランシェフォトダイオードは、飽和するであろう。この方法は、本出願人に対する仏国特許第2933192号明細書に記載されている。
【0083】
最後に、様々な実施形態が、本発明による原理を用いることができることに注目されたい。具体的には、測定チャンバから生じる光ビームを、他の測定を行う検出器の方へ屈折させるために、他のダイクロイックミラーを、本発明による装置の受光ガンおよび放射ガン内に直列に設けることができる。その結果、それらのダイクロイックミラーは、光のフローの成分を各検出器へ案内するように、全て異なったものになるであろう。しかし、利用可能な測定の数をさらに増やすこの実施形態には、使用する必要があるミラーの多様性および精度のために、実施するにはコストがかかるという欠点がある。また、記載されている実施例における数よりも多い辺の数、例えば、6つまたは8つの辺を有する測定チャンバの使用は、本発明による原理に従って、測定の増加を可能にするであろう。
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