特許第6019061号(P6019061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019061
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】シート巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/28 20060101AFI20161020BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B65H19/28 A
   B65H18/10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-124586(P2014-124586)
(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-3113(P2016-3113A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3041042(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3139575(JP,U)
【文献】 実開平1−126358(JP,U)
【文献】 特開昭61−130164(JP,A)
【文献】 米国特許第5383622(US,A)
【文献】 国際公開第2015/092078(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0129708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00−19/30
B65H 21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻芯が着脱可能に装着されており、供給されるシートを巻取位置の巻芯により巻き取るように構成され、かつ、シートを巻き取る巻芯を切り替える場合に、前記巻取位置の巻芯を退避させるとともに、切替位置に新しい巻芯を搬送するように構成された巻芯駆動機構と、
巻芯を切り替えるときにシートを切断する切断機構と、
前記切断機構により切断されたシートをガイドするガイド機構とを備え、
前記切断機構は、前記切替位置の新しい巻芯の外周面上を切断刃が軸方向に移動することにより、前記巻取位置から退避された巻芯に巻き取られているシートが、前記切替位置の新しい巻芯に接触された部分で切断されるように構成され、
前記ガイド機構は、前記切替位置の新しい巻芯と離間するガイドローラを含み、
前記ガイドローラは、シートの搬送速度よりも表面速度が高くなるように駆動されており、前記切替位置の新しい巻芯から切断されたシートが離れようとしたときに、そのシートを前記切替位置の新しい巻芯側に搬送するように構成されていることを特徴とするシート巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート巻取装置において、
前記ガイドローラは、シートの幅方向に沿って複数設けられており、
前記切断刃が移動する際の移動始点側のガイドローラは、前記切断刃が移動する際の移動終点側のガイドローラに比べて、前記切替位置の新しい巻芯との離間距離が短くなるように配置されていることを特徴とするシート巻取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート巻取装置において、
前記ガイド機構は、エアを噴射する第1噴射孔および第2噴射孔と、前記第1噴射孔および前記第2噴射孔にエアを供給する配管とを含み、
前記第1噴射孔は、噴射されるエアによって切断されたシートを前記切替位置の新しい巻芯に吹き付けるように構成され、
前記第2噴射孔は、噴射されるエアによって前記ガイドローラを駆動するように構成されていることを特徴とするシート巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを巻き取るシート巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の巻芯が着脱可能に装着されたターレット機構を備えるシート巻取装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなシート巻取装置では、前工程から供給されるシートを巻取位置の巻芯により巻き取るように構成されている。そして、シートを巻き取る巻芯が切り替えられる場合には、ターレット機構が回動されることにより、巻取位置の巻芯が退避されるとともに、切替位置に新しい巻芯が供給される。このとき、巻取位置から退避された巻芯により巻き取られるシートは新しい巻芯に接触されており、この状態から、切替位置の新しい巻芯の外周面上を切断刃が軸方向(シートの幅方向)に走行することによって、シートが新しい巻芯に接触された部分で切断される。なお、シートが搬送されながら切断刃が走行されるため、シートの切断端は、シートの幅方向に対して傾斜するようになる。そして、帯電装置によりシートが帯電されていることから、切断されたシートの先端が新しい巻芯に吸着されており、切断されたシートが新しい巻芯に巻き付けられる。これにより、前工程から供給されるシートの搬送を停止させることなく、シートを巻き取る巻芯の切り替えを行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平8−3407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のような従来のシート巻取装置において、シートの厚みが大きく、シートの剛性が高い場合には、帯電によって切断されたシートを新しい巻芯に吸着させることが困難になり、切断されたシートの先端が新しい巻芯から離れやすくなる。そこで、切断されたシートの先端を新しい巻芯に沿ってガイドするように、新しい巻芯の外周面近傍にガイド部材を設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、上述したようにシートの切断端が幅方向に対して傾斜しているため、切断されたシートの先端において、シートの幅方向における一方端部側(切断端が突出している側)が、シートの幅方向における他方端部側(切断端が退避している側)に比べて、ガイド部材に接触されやすくなる。すなわち、切断されたシートの先端において幅方向の一方端部側がガイド部材につかえやすい(行きづまりやすい)ので、切断されたシートが新しい巻芯に対して傾いた状態(新しい巻芯の軸方向と直交する方向に対してシートの搬送方向が傾くような状態)で巻き取られるおそれがある。この場合には、新しい巻芯に巻き付けられたシートの端面(幅方向における端部)が軸方向にずれるなどの巻付不良が発生するという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、シートの厚みが大きく、シートの剛性が高い場合であっても、巻付不良が発生するのを抑制することが可能なシート巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるシート巻取装置は、複数の巻芯が着脱可能に装着されており、供給されるシートを巻取位置の巻芯により巻き取るように構成され、かつ、シートを巻き取る巻芯を切り替える場合に、巻取位置の巻芯を退避させるとともに、切替位置に新しい巻芯を搬送するように構成された巻芯駆動機構と、巻芯を切り替えるときにシートを切断する切断機構と、切断機構により切断されたシートをガイドするガイド機構とを備える。切断機構は、切替位置の新しい巻芯の外周面上を切断刃が軸方向に移動することにより、巻取位置から退避された巻芯に巻き取られているシートが、切替位置の新しい巻芯に接触された部分で切断されるように構成されている。ガイド機構は、切替位置の新しい巻芯と離間するガイドローラを含む。ガイドローラは、シートの搬送速度よりも表面速度が高くなるように駆動されており、切替位置の新しい巻芯から切断されたシートが離れようとしたときに、そのシートを切替位置の新しい巻芯側に搬送するように構成されている。
【0009】
このように構成することによって、シートの厚みが大きく、シートの剛性が高い場合に、新しい巻芯から切断されたシートが離れようとしたときに、そのシートをガイドローラにより新しい巻芯側に送ることができる。これにより、切断されたシートの先端において幅方向の一方端部側(切断端が突出している側)がガイド機構につかえるのを抑制することができるので、切断されたシートが新しい巻芯に対して傾くのを抑制することができる。したがって、シートの厚みが大きく、シートの剛性が高い場合であっても、巻付不良が発生するのを抑制することができる。
【0010】
上記シート巻取装置において、好ましくは、ガイドローラは、シートの幅方向に沿って複数設けられており、切断刃が移動する際の移動始点側のガイドローラは、切断刃が移動する際の移動終点側のガイドローラに比べて、切替位置の新しい巻芯との離間距離が短くなるように配置されている。
【0011】
このように構成すれば、切断されたシートの先端において、シートの幅方向における一方端部側が、シートの幅方向における他方端部側に比べて、ガイドローラにより送られやすくなるので、切断されたシートの先端の搬送を適切に行うことができる。このため、切断されたシートが新しい巻芯に対して傾くのをより抑制することができる。
【0012】
上記シート巻取装置において、好ましくは、ガイド機構は、エアを噴射する第1噴射孔および第2噴射孔と、第1噴射孔および第2噴射孔にエアを供給する配管とを含み、第1噴射孔は、噴射されるエアによって切断されたシートを切替位置の新しい巻芯に吹き付けるように構成され、第2噴射孔は、噴射されるエアによってガイドローラを駆動するように構成されている。
【0013】
このように構成すれば、第1噴射孔から噴射されるエアにより、切断されたシートが新しい巻芯から離れるのを抑制することができる。また、第2噴射孔から噴射されるエアにより、ガイドローラを駆動することができるので、ガイドローラを駆動する駆動力源を別途設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができる。すなわち、切断されたシートを新しい巻芯に吹き付けるためのエアの一部を、ガイドローラの駆動力源に流用することにより、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート巻取装置によれば、シートの厚みが大きく、シートの剛性が高い場合であっても、巻付不良が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるシート巻取装置の概略を示した模式図である。
図2】切断されたシートの先端とガイド機構のガイドローラとの関係を説明するための図である。
図3】シート巻取装置の巻芯の切り替え時における新しい巻芯の近傍を拡大して示した図である。
図4図1のシート巻取装置において巻取位置の巻芯にシートが巻き取られている状態を示した図である。
図5図4のシート巻取装置においてターレット機構が回動された状態を示した図である。
図6図5のシート巻取装置において切断機構およびガイド機構が回動された状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
−構成−
まず、図1図3を参照して、本実施形態によるシート巻取装置100の構成について説明する。なお、シート巻取装置100において、Y2方向側が上流側であり、Y1方向側が下流側である。
【0018】
シート巻取装置100は、図1に示すように、前工程(上流側)から供給される帯状のシート(ウェブ)150を巻き取るとともに、そのシート150を巻き取る巻芯21を切り替え可能に構成されている。このシート巻取装置100では、前工程から供給されるシート150の搬送を停止させることなく、また、切断されたシート150を新しい巻芯21に巻き付けるための接着材を用いることなく、巻芯21の切り替えが行われるようになっている。
【0019】
なお、シート150は、たとえば、硬質PVC(ポリ塩化ビニル)またはPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂製であり、厚みが大きく、剛性が高い(こしが強い)ものである。また、シート150の厚みは、たとえば0.1〜0.5mmである。
【0020】
シート巻取装置100は、ガイドローラ1と、ターレット機構2と、タッチローラ3と、切断機構4と、ガイド機構5とを備えている。なお、ターレット機構2は、本発明の「巻芯駆動機構」の一例である。
【0021】
ガイドローラ1は、前工程から供給されるシート150をターレット機構2にガイドするために設けられている。
【0022】
ターレット機構2は、複数(本実施形態では2つ)の巻芯21が着脱可能に装着されており、装着された巻芯21を回転可能に構成されている。そして、ターレット機構2は、前工程から供給されるシート150を巻取位置P1の巻芯21により巻き取るようになっている。また、ターレット機構2は、回動軸2aを中心にして回動(旋回)可能であり、シート150を巻き取る巻芯21を切り替える場合に、巻取位置P1の巻芯21を退避位置P2(図5参照)に退避させるとともに、切替位置P3(図5参照)に新しい巻芯21を搬送するように構成されている。
【0023】
なお、巻取位置P1は、供給されるシート150を主に巻き取るための位置である。退避位置P2は、巻芯21の切り替え時に巻取位置P1の巻芯21を退避させるための位置であり、巻取位置P1よりも下流側に配置されている。切替位置P3は、新しい巻芯21に切断されたシート150を巻き付けるための位置であり、巻取位置P1の近傍であって巻取位置P1よりも上方に配置されている。
【0024】
タッチローラ3は、ガイドローラ1から供給されるシート150を巻取位置P1の巻芯21に押圧するために設けられている。このタッチローラ3は、巻取位置P1の巻芯21に巻き付けられたシート150の巻径に応じて揺動するように構成されている。
【0025】
具体的には、タッチローラ3は、アーム3bの先端に設けられるとともに、アーム3bに対して回転可能に構成されている。アーム3bは、基端側の回動軸3aを中心にして回動可能であり、下流側(ターレット機構2側)に付勢されている。また、タッチローラ3は、図3に示すように、巻芯21の切り替え時に、新しい巻芯21が切替位置P3に配置されている場合には、シート150を切替位置P3の新しい巻芯21に押圧するように構成されている。
【0026】
切断機構4は、切替位置P3の上方に配置されており、巻芯21の切り替え時に供給されるシート150を切断するために設けられている。この切断機構4は、切断刃41と、帯電装置42と、押さえローラ43と、ガイドローラ44と、これらを回動させるアーム45とを含んでいる。
【0027】
切断刃41は、巻芯21の切り替え時に、切替位置P3の新しい巻芯21の外周面上を軸方向に移動(走行)することにより、搬送されるシート150を切断するように構成されている。なお、図2に示すように、シート150がY3方向に搬送されながら切断刃41がX2方向に走行されるため、シート150の切断端は、シート150の幅方向に対して傾斜するようになる。具体的には、切断刃41が移動する際の移動始点側(X1方向側)から移動終点側(X2方向側)に向けて走行された場合には、切断されたシート150の先端(シート150の流れ方向における上流側の切断端)150aにおいて、シート150の幅方向における一方端部側(切断刃41の移動始点側)が、シート150の幅方向における他方端部側(切断刃41の移動終点側)に比べて突出するようになる。
【0028】
図3に示すように、帯電装置42は、搬送されるシート150を帯電させることにより、シート150を切替位置P3の新しい巻芯21に吸着させるように構成されている。このため、シート150が切断された場合にその切断されたシート150が新しい巻芯21から離れにくくなっている。
【0029】
押さえローラ43は、切断刃41によるシート150の切断を安定して行うとともに、切断時にシート150がはねるのを防止するために設けられている。ガイドローラ44は、巻芯21の切り替え時に、切替位置P3の新しい巻芯21から退避位置P2の巻芯21に向かうシート150の搬送方向を設定するために設けられている。
【0030】
ガイド機構5は、切替位置P3の下方に配置されており、切断機構4により切断されたシート150をガイドするために設けられている。このガイド機構5は、ガイド部材51と、ガイド部材51を回動させるアーム52とを含んでいる。
【0031】
ガイド部材51は、弧状に窪むように形成されたガイド面51aを有する。このガイド面51aは、シート150の幅方向(巻芯21の軸方向)に延びるように形成されている。また、ガイド部材51には、シート150の幅方向に沿って複数(本実施形態では4つ)のガイドローラ53が設けられている。
【0032】
各ガイドローラ53は、たとえばアルミニウム合金製であり、エアを受ける羽根を有する。そして、各ガイドローラ53は、吹き付けられるエアによって回転するとともに、シート150の搬送速度よりも表面速度が高くなるように構成されている。また、各ガイドローラ53は、ガイド面51aから一部が突出(露出)するように配置されるとともに、その突出量を調整可能に構成されている。そして、図2に示すように、切断刃41の移動始点側(X1方向側)のガイドローラ53は、切断刃41の移動終点側(X2方向側)のガイドローラ53に比べて、ガイド面51aに対する突出量が大きくなっており、切替位置P3の新しい巻芯21との離間距離が短くなっている。
【0033】
また、ガイド部材51には、図3に示すように、エアを噴射する第1噴射孔51bおよび第2噴射孔51cと、第1噴射孔51bおよび第2噴射孔51cにエアを供給する配管51dとが設けられている。第1噴射孔51bは、シート150の幅方向および搬送方向に複数設けられており、切断されたシート150を切替位置P3の新しい巻芯21に吹き付けるために設けられている。第2噴射孔51cは、シート150の幅方向に複数設けられており、ガイドローラ53を駆動するために設けられている。配管51dは、シート150の幅方向に延びるように形成されており、第1噴射孔51bおよび第2噴射孔51cに連通されるとともに、エアの発生源に連通されている。
【0034】
−動作−
次に、図1図6を参照して、本実施形態によるシート巻取装置100の動作について説明する。
【0035】
[シートの巻取時]
まず、図1に示すように、前工程(上流側)から供給されるシート150が、ガイドローラ1を介して、巻取位置P1の巻芯21とタッチローラ3との間に搬送される。そして、巻取位置P1の巻芯21がR1方向に回転されることにより、その巻芯21にシート150が巻き取られる。なお、このとき、タッチローラ3は、巻取位置P1の巻芯21に対して上流側の横に配置されるとともに、その巻芯21とほぼ同じ高さ位置に配置されている。また、シート150の搬送速度は、たとえば50〜200m/minである。
【0036】
そして、シート150の巻き取りに起因して巻径が増大すると、図4に示すように、その巻径の増大に応じてタッチローラ3が上流側に移動される。
【0037】
[巻芯の切り替え時]
そして、巻芯21の切り替えが開始されると、まず、ターレット機構2が回動軸2aを中心にしてR2方向に回動される。これにより、図5に示すように、巻取位置P1に位置していた巻芯21が退避位置P2に退避されるとともに、切替位置P3に新しい巻芯21が搬送される。
【0038】
ここで、この巻芯21の切り替え時において、シート150が切替位置P3の新しい巻芯21に巻き付けられるまでは、退避位置P2の巻芯21によりシート150が巻き取られる。すなわち、前工程から供給されるシート150の搬送が停止されることなく、巻芯21の切り替えが行われる。
【0039】
このとき、退避位置P2の巻芯21により巻き取られるシート150は、切替位置P3の新しい巻芯21に接触されている(巻き掛けられている)。また、切替位置P3が巻取位置P1よりも上方であることから、タッチローラ3は、切替位置P3の新しい巻芯21に対して上流側の斜め下方に配置されている。このため、シート150が接触される新しい巻芯21の角度範囲(新しい巻芯21の周方向においてシート150が接触される部分の長さ)が大きくなっている。
【0040】
次に、切断機構4のアーム45がR3方向に回動されるとともに、ガイド機構5のアーム52がR4方向に回動されることにより、図6に示すように、切断機構4が下方に移動されるとともに、ガイド機構5が上方に移動される。
【0041】
これにより、切断機構4では、図3に示すように、切断刃41が、切替位置P3の新しい巻芯21に対して下流側の斜め上方に配置され、帯電装置42が、切替位置P3の新しい巻芯21に対して上流側の斜め上方に配置される。また、押さえローラ43が、切替位置P3の新しい巻芯21の上方(ほぼ真上)に配置され、搬送されるシート150を介して新しい巻芯21に接触される。また、ガイドローラ44が、切替位置P3の新しい巻芯21と退避位置P2の巻芯21との間に配置されるとともに、新しい巻芯21に対して下流側の下方に配置される。このようにガイドローラ44が配置されることにより、切替位置P3の新しい巻芯21を介して出てくるシート150の搬送方向が斜め下方になる。
【0042】
また、ガイド機構5では、ガイド部材51が、切替位置P3の新しい巻芯21の下方に配置されるとともに、タッチローラ3と新しい巻芯21を介して出てくるシート150との間に配置される。具体的には、第1噴射孔51bが新しい巻芯21のほぼ真下に配置され、ガイドローラ53が新しい巻芯21に対して下流側の斜め下方に配置される。このとき、ガイド面51aおよびガイドローラ53は、新しい巻芯21に対して離間されている。
【0043】
なお、各ガイドローラ53は、図2に示すように、ガイド面51aに対する突出量が異なるように設定されているため、新しい巻芯21との離間距離が異なるようになっている。たとえば、切断刃41の移動始点に最も近いガイドローラ53と新しい巻芯21との離間距離は1mmであり、切断刃41の移動始点に2番目に近いガイドローラ53と新しい巻芯21との離間距離は1.2mmであり、切断刃41の移動始点に3番目に近いガイドローラ53と新しい巻芯21との離間距離は1.5mmであり、切断刃41の移動始点に最も遠いガイドローラ53と新しい巻芯21との離間距離は2mmである。
【0044】
このように、図3に示すように、切断機構4およびガイド機構5が切替位置P3の新しい巻芯21の近傍に配置された状態のときには、ガイドローラ1から供給されるシート150は、タッチローラ3と切替位置P3の新しい巻芯21との間を通過するとともに、押さえローラ43と新しい巻芯21との間を通過し、ガイドローラ44を介して退避位置P2の巻芯21により巻き取られる。なお、退避位置P2の巻芯21、および、切替位置P3の新しい巻芯21はR1方向に回転されている。
【0045】
そして、タッチローラ3と押さえローラ43との間に配置される帯電装置42により、搬送されるシート150が帯電される。これにより、搬送されるシート150が新しい巻芯21に吸着されるので、シート150が切断された場合に新しい巻芯21から離れにくくなる。
【0046】
そして、切断刃41が、新しい巻芯21の外周面上を移動始点から移動終点に向けて走行される。これにより、搬送されるシート150が新しい巻芯21に接触された部分で切断される。このとき、図2に示すように、シート150がY3方向に搬送されながら切断刃41がX2方向に走行されるため、シート150の切断端は、シート150の幅方向に対して傾斜するようになる。そして、切断されたシート150の先端150aは、帯電によって新しい巻芯21に吸着されており、新しい巻芯21とガイド面51aとの間の領域に搬送される。なお、切断されたシート150の後端(シート150の流れ方向における下流側の切断端)は、退避位置P2の巻芯21により巻き取られる。
【0047】
また、このとき、配管51dを介して供給されるエアが第2噴射孔51cから噴射されており、ガイドローラ53がR5方向に回転されている。なお、ガイドローラ53の表面速度は、シート150の搬送速度よりも高くなっており、たとえば2倍程度である。このため、シート150の厚みが大きく、剛性が高いことにより、切断されたシート150の先端150aが新しい巻芯21から離れようとしたときに、そのシート150がガイドローラ53により新しい巻芯21側に送られる。したがって、切断されたシート150の先端150a、特に、シート150の幅方向における一方端部側がガイド面51aにつかえるのを抑制することが可能である。
【0048】
また、配管51dを介して供給されるエアが第1噴射孔51bから噴射されており、切断されたシート150の先端150aが、新しい巻芯21の下方を通過する際に、新しい巻芯21側に吹き付けられる。これにより、切断されたシート150の先端150aが新しい巻芯21から離れるのが抑制される。なお、切断されたシート150の先端150aは、新しい巻芯21に接触されていることが好ましいが、新しい巻芯21から離れてしまった場合にはガイド面51aによってガイドされる。
【0049】
そして、切断されたシート150の先端150aが、タッチローラ3により新しい巻芯21に押圧されるシート150と、新しい巻芯21との間に搬送されることにより、切断されたシート150が新しい巻芯21に巻き付けられる。すなわち、接着材を用いることなく、切断されたシート150が新しい巻芯21に巻き付けられる。
【0050】
その後、切断機構4およびガイド機構5が回動され、元の位置(図1の位置)に戻される。そして、ターレット機構2がR2方向とは反対方向に回動されることにより、切替位置P3の巻芯21が巻取位置P1に移動される。また、退避された巻芯21が取り外されて新しい巻芯21が装着される。
【0051】
以上の動作が繰り返し行われることにより、巻芯21の切り替えを行いながら、シート150が連続的に巻き取られる。
【0052】
−効果−
本実施形態では、上記のように、切替位置P3の新しい巻芯21の近傍に、シート150の搬送速度よりも表面速度が高いガイドローラ53を設けることによって、シート150の厚みが大きく、シート150の剛性が高い場合に、新しい巻芯21から切断されたシート150が離れようとしたときに、そのシート150を新しい巻芯21側に送ることができる。これにより、切断されたシート150の先端150aにおいて幅方向の一方端部側(切断端が突出している側)がガイド面51aにつかえるのを抑制することができるので、切断されたシート150が新しい巻芯21に対して傾くのを抑制することができる。したがって、シート150の厚みが大きく、シート150の剛性が高い場合であっても、巻付不良が発生するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、切断刃41が移動(切断)する際の移動始点側のガイドローラ53は、切断刃41が移動する際の移動終点側のガイドローラ53に比べて、新しい巻芯21との離間距離が短くなるように配置されている。このように構成することによって、切断されたシート150の先端150aにおいて、シート150の幅方向における一方端部側が、シート150の幅方向における他方端部側に比べて、ガイドローラ53により送られやすくなるので、切断されたシート150の先端150aの搬送を適切に行うことができる。このため、切断されたシート150が新しい巻芯21に対して傾くのをより抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、切断されたシート150にエアを吹き付ける第1噴射孔51bを設けることによって、切断されたシート150が新しい巻芯21から離れるのを抑制することができる。また、ガイドローラ53にエアを吹き付けて駆動するための第2噴射孔51cを設けることによって、ガイドローラ53を駆動する駆動力源を別途設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができる。すなわち、切断されたシート150を新しい巻芯21に吹き付けるためのエアの一部を、ガイドローラ53の駆動力源に流用することにより、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、ガイドローラ53がアルミニウム合金製であることによって、樹脂などにより形成する場合に比べて重量を大きくすることができるので、切断されたシート150が接触されたときにガイドローラ53の回転が減速されるのを抑制することができる。また、重すぎないので、エアによってガイドローラ53を駆動することができる。
【0056】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、本実施形態では、ターレット機構2に2つの巻芯21が装着される例を示したが、これに限らず、ターレット機構に3つ以上の巻芯が装着されていてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、複数のガイドローラ53が設けられる例を示したが、これに限らず、ガイドローラが1つだけ設けられていてもよい。この場合には、ガイドローラがシートの幅方向における全長にわたって配置されていてもよいし、ガイドローラがシートの幅方向における一部分のみに配置されていてもよい。なお、ガイドローラがシートの幅方向における一部分のみに配置される場合には、切断刃の移動始点側に配置されることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態では、4つのガイドローラ53が設けられる例を示したが、これに限らず、ガイドローラの数はいくつであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、切断刃41の移動始点側のガイドローラ53が、切断刃41の移動終点側のガイドローラ53に比べて、新しい巻芯21との離間距離が短い例を示したが、これに限らず、各ガイドローラと新しい巻芯との離間距離が同じであってもよい。
【0061】
また、本実施形態では、巻取位置P1と切替位置P3とが異なる位置である例を示したが、これに限らず、巻取位置と切替位置とが同じ位置であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
2 ターレット機構(巻芯駆動機構)
4 切断機構
5 ガイド機構
21 巻芯
41 切断刃
51b 第1噴射孔
51c 第2噴射孔
51d 配管
53 ガイドローラ
100 シート巻取装置
150 シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6