(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
−構成−
まず、
図1を参照して、本実施形態によるシート巻取装置100の構成について説明する。このシート巻取装置100は、上流側から搬送される搬送シート150を巻き取るとともに、その搬送シート150を巻き取る巻芯11を切り替え可能に構成されている。また、シート巻取装置100は、搬送シート150を巻き取る際に、その搬送シート150に保護シート160が積層された状態で巻き取ることにより、巻き取られた搬送シート150の間に保護シート160が挿入されるようになっている。さらに、シート巻取装置100は、搬送シート150の下面が内側に配置されるように巻き取る上巻取りと、搬送シート150の上面が内側に配置されるように巻き取る下巻取りとを行うことが可能である。
【0018】
なお、搬送シート150は、上流側の処理装置(図示省略)によって処理が施された帯状シートであり、処理装置から一定の速度(たとえば、10m/min)でシート巻取装置100に供給されるようになっている。保護シート160は、巻き取られる搬送シート150を保護するための帯状シート(合紙)である。搬送シート150は、たとえば、複層(2層)であり、厚みが100μm程度のフィルム状物品である。保護シート160は、たとえば、単層であり、厚みが25μm程度のフィルム状物品である。なお、搬送シート150が単層であってもよいし、保護シート160が複層であってもよい。搬送シート150および保護シート160は、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂製であり、密着性が低く、互いに滑りやすい。また、
図1において、Y1方向側が上流側であり、Y2方向側が下流側である。
【0019】
具体的には、シート巻取装置100は、
図1に示すように、ターレット機構1と、供給機構2と、切断機構3および4と、アキューム機構5と、搬送ローラ61およびダンサーローラ62と、搬送ローラ71およびダンサーローラ72とを備えている。なお、ターレット機構1は、本発明の「巻取機構」の一例である。
【0020】
[ターレット機構]
ターレット機構1は、複数(本実施形態では2つ)の巻芯11が着脱可能に装着され、装着された巻芯11を回転可能に構成されている。そして、ターレット機構1では、タッチローラ12により搬送シート150および保護シート160が巻取位置P1の巻芯11に押圧され、巻取位置P1の巻芯11により搬送シート150および保護シート160を巻き取るようになっている。タッチローラ12は、巻取位置P1の巻芯11に巻き付けられた搬送シート150および保護シート160の巻径に応じて揺動するように構成されている。
【0021】
また、ターレット機構1は、回動軸1aを中心にして回動(旋回)可能であり、搬送シート150および保護シート160を巻き取る巻芯11を交換する場合に、巻取位置P1の巻芯11を交換位置P2に退避させるとともに、巻取位置P1に新しい巻芯11を搬送するように構成されている。なお、巻取位置P1は、搬送シート150および保護シート160を巻き取るための位置である。交換位置P2は、巻芯11の交換時に巻取位置P1の巻芯11を退避させるための位置であり、巻取位置P1よりも下流側に配置されている。
【0022】
[供給機構]
供給機構2は、ターレット機構1に保護シート160を供給するために設けられている。この供給機構2は、保護シート160の原反161が着脱可能に装着され、その原反161から保護シート160を繰り出すようになっている。また、供給機構2は、ターレット機構1よりも上流側に配置されるとともに、搬送シート150の搬送経路よりも下方に配置されている。
【0023】
[上巻取り用の切断機構]
切断機構3は、上巻取り時における巻芯11の交換時に、搬送シート150および保護シート160を切断するために設けられている。この切断機構3は、巻取位置P1の巻芯11の上方に配置されており、切断刃31と、押さえローラ32と、ガイドローラ33と、ガイド面34と、これらを回動させるアーム35とを含んでいる。
【0024】
切断刃31は、巻芯11の交換時に搬送シート150および保護シート160の幅方向に走行することにより、搬送シート150および保護シート160を切断するように構成されている。ガイドローラ33は、巻芯11の交換時に、巻取位置P1の新しい巻芯11から引き出される搬送シート150および保護シート160の向きを設定するために設けられている。
【0025】
押さえローラ32およびガイド面34は、切断刃31による搬送シート150および保護シート160の切断時に、搬送シート150および保護シート160がはねるのを防止するために設けられている。また、押さえローラ32は、切断された搬送シート150および保護シート160を巻取位置P1の新しい巻芯11に押圧するように構成され、ガイド面34は、切断された搬送シート150および保護シート160の先端を案内する機能を有する。
【0026】
[下巻取り用の切断機構]
切断機構4は、下巻取り時における巻芯11の交換時に、搬送シート150および保護シート160を切断するために設けられている。この切断機構4は、巻取位置P1の巻芯11の下方に配置されており、切断刃41と、押さえローラ42と、ガイドローラ43と、ガイド面44と、これらを回動させるアーム45とを含んでいる。なお、切断刃41、押さえローラ42、ガイドローラ43およびガイド面44は、それぞれ、上記した切断刃31、押さえローラ32、ガイドローラ33およびガイド面34とほぼ同様に構成されている。
【0027】
[アキューム機構]
アキューム機構5は、ターレット機構1の上流側に配置され、巻芯11の交換時に搬送シート150を一時的に貯留するために設けられている。このアキューム機構5は、作動時に搬送シート150の搬送経路長を長くすることにより、上流側から供給される搬送シート150を下流側のターレット機構1に送ることなく一時的に貯留するようになっている。なお、貯留された搬送シート150は、搬送経路長が短くされる(元に戻される)ことにより、排出されるようになっている。
【0028】
また、アキューム機構5は、下側のローラ51a〜51cと、上側のローラ52a〜52cとを含んでおり、搬送シート150がそれらに交互に巻き掛けられている。具体的には、搬送シート150は上流側から下流側に向けて、ローラ51a、52a、51b、52b、51cおよび52cの順に巻き掛けられている。そして、下側のローラ51a〜51cが下方に移動されるとともに、上側のローラ52a〜52cが上方に移動されることにより、搬送シート150の搬送経路長が長くなるようになっている。
【0029】
[搬送シートの搬送経路]
搬送シート150の搬送経路には、アキューム機構5に加えて、搬送ローラ61と、ダンサーローラ62と、ガイドローラ63a〜63cとが設けられている。
【0030】
搬送ローラ61は、アキューム機構5とターレット機構1との間に配置されており、アキューム機構5から供給される搬送シート150を巻取位置P1の巻芯11に搬送するために設けられている。搬送ローラ61には、押さえローラ61aにより搬送シート150が押し付けられている。
【0031】
ダンサーローラ62は、搬送ローラ61とターレット機構1との間に配置されている。このダンサーローラ62は、揺動可能に設けられており、搬送シート150の張力を制御するために設けられている。
【0032】
ガイドローラ63aは、アキューム機構5の上流側に配置され、ガイドローラ63bは、アキューム機構5と搬送ローラ61との間に配置され、ガイドローラ63cは、ダンサーローラ62とターレット機構1との間に配置されている。
【0033】
[保護シートの搬送経路]
保護シート160の搬送経路には、搬送ローラ71と、ダンサーローラ72と、ガイドローラ73aおよび73bとが設けられている。なお、保護シート160の搬送経路は、搬送シート150の搬送経路の下方に配置されている。
【0034】
搬送ローラ71は、供給機構2とターレット機構1との間に配置されており、供給機構2から供給される保護シート160を巻取位置P1の巻芯11に搬送するために設けられている。搬送ローラ71には、押さえローラ71aにより保護シート160が押し付けられている。
【0035】
ダンサーローラ72は、搬送ローラ71とターレット機構1との間に配置されている。このダンサーローラ72は、揺動可能に設けられており、保護シート160の張力を制御するために設けられている。
【0036】
ガイドローラ73aは、搬送ローラ71とダンサーローラ72との間に配置され、ガイドローラ73bは、ダンサーローラ72とターレット機構1との間に配置されている。
【0037】
−動作−
次に、
図1〜
図16を参照して、本実施形態によるシート巻取装置100の動作について説明する。なお、以下では、
図1〜
図8を参照して、シート巻取装置100が上巻取りを行う場合について説明するとともに、
図9〜
図16を参照して、シート巻取装置100が下巻取りを行う場合について説明する。
【0038】
[上巻取り]
(定常運転時)
まず、
図1に示すように、上流側から供給される搬送シート150が、ガイドローラ63a、非作動状態のアキューム機構5およびガイドローラ63bを介して搬送ローラ61に送られる。そして、その搬送シート150が、ダンサーローラ62およびガイドローラ63cを介して巻取位置P1の巻芯11とタッチローラ12との間に送られる。
【0039】
また、供給機構2から繰り出される保護シート160が、搬送ローラ71、ガイドローラ73a、ダンサーローラ72およびガイドローラ73bを介して巻取位置P1の巻芯11とタッチローラ12との間に送られる。なお、保護シート160は、搬送シート150の下面側から供給されている。
【0040】
そして、巻取位置P1の巻芯11が巻取方向(R1方向)に回転されることにより、その巻芯11に搬送シート150および保護シート160が巻き取られる。このとき、搬送シート150および保護シート160がタッチローラ12の下側を通っており、搬送シート150および保護シート160の下面が内側に配置されるように巻き取られる。また、積層された状態の搬送シート150および保護シート160のうち、保護シート160が内側(巻取位置P1の巻芯11側)に配置される。
【0041】
ここで、定常運転時では、巻取位置P1の巻芯11と、搬送ローラ61および71と、供給機構2とが駆動回転される。そして、基準となる搬送ローラ61の搬送速度(表面速度)は、定常速度であり、上流側から供給される搬送シート150の搬送速度とほぼ同じである。なお、巻取位置P1の巻芯11の回転速度は、搬送ローラ61の回転速度に応じて設定されるとともに、ダンサーローラ62の位置に応じてフィードバック制御される。また、搬送ローラ71の回転速度は、巻取位置P1の巻芯11の回転速度に応じて設定されるとともに、ダンサーローラ72の位置に応じてフィードバック制御される。
【0042】
そして、搬送シート150および保護シート160の巻き取りに起因して巻径が増大すると、
図2に示すように、その巻径の増大に応じてタッチローラ12が上流側に移動される。
【0043】
(巻芯の交換時)
そして、巻芯11の交換が開始されると、まず、ターレット機構1が回動軸1aを中心にしてR2方向に回動される。これにより、
図3に示すように、巻取位置P1に位置していた巻芯11が所定の位置に退避され、その退避された巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻き取りが停止される。すなわち、退避された巻芯11、搬送ローラ61、71および供給機構2の駆動回転が停止される。なお、基準となる搬送ローラ61の回転が停止されることにより、退避された巻芯11の回転が停止されるとともに、搬送ローラ71の回転が停止される。
【0044】
そして、アキューム機構5が作動されることにより、下側のローラ51a〜51cが下方に移動するとともに、上側のローラ52a〜52cが上方に移動することから、上流側から供給される搬送シート150がアキューム機構5に貯留される。これにより、巻芯11による搬送シート150の巻き取りが停止されても、上流側から供給される搬送シート150の搬送速度は一定のままである。
【0045】
その後、ターレット機構1が回動軸1aを中心にしてR2方向に回動されることにより、
図4に示すように、巻き取りを行っていた巻芯11が交換位置P2に退避されるとともに、巻取位置P1に新しい巻芯11が搬送される。そして、切断機構3のアーム35が下方(
図3のR3方向)に回動される。
【0046】
これにより、切断機構3では、
図5に示すように、押さえローラ32が、巻取位置P1の新しい巻芯11の上方(ほぼ真上)に配置され、搬送シート150および保護シート160を介して新しい巻芯11に接触される。また、ガイドローラ33が、巻取位置P1の新しい巻芯11と交換位置P2の巻芯11との間に配置されるとともに、新しい巻芯11に対して下流側の下方に配置される。このようにガイドローラ33が配置されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11を介して出てくる搬送シート150および保護シート160の方向がほぼ真下になる。
【0047】
また、ガイド面34が、巻取位置P1の新しい巻芯11の近傍に配置されるとともに、その新しい巻芯11に対して下流側に配置される。また、切断刃31が、ガイド面34とガイドローラ33との間に配置されるとともに、巻取位置P1の新しい巻芯11に対して下流側の斜め下方に配置される。ここで、巻取位置P1の新しい巻芯11の外周面には、下流側の斜め下方に接着材11aが設けられている。
【0048】
そして、切断刃31が、搬送シート150および保護シート160の幅方向に走行することにより、
図6に示すように、搬送シート150および保護シート160が切断される。なお、搬送シート150および保護シート160は、巻取位置P1の新しい巻芯11と交換位置P2の巻芯11との間における、新しい巻芯11の近傍で切断される。つまり、搬送シート150および保護シート160は、新しい巻芯11よりも下流側で切断される。
【0049】
その後、押さえローラ32が回転不能に固定されることにより、押さえローラ32側(新しい巻芯11に対して外側)の搬送シート150が保持される。この状態で搬送ローラ71が逆方向に回転されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11側(新しい巻芯11に対して内側)の保護シート160が搬送シート150および新しい巻芯11に対して滑り、その保護シート160が上流側(D1方向)に搬送される。これにより、
図7に示すように、切断された搬送シート150および保護シート160の先端がずらされる。したがって、新しい巻芯11に対して保護シート160の外側に配置されることにより、新しい巻芯11に対して隠れていた搬送シート150の先端が露出される。なお、このシートのずらし量は、接着材11aの周方向における長さよりも小さくなっている。たとえば、シートのずらし量は10mmであり、接着材11aの周方向における長さは20mmである。
【0050】
その後、押さえローラ32が回転可能に設定されるとともに、巻取位置P1の新しい巻芯11が巻取方向とは逆方向(R4方向)に回転されることにより、切断された搬送シート150および保護シート160が上流側に搬送される。なお、押さえローラ32およびタッチローラ12は、新しい巻芯11の回転によって連れ回される。これにより、
図8に示すように、切断された搬送シート150および保護シート160の先端が、巻取位置P1の新しい巻芯11のほぼ真上まで逆送される。このため、押さえローラ32により、切断された搬送シート150および保護シート160の先端が巻取位置P1の新しい巻芯11に押さえ付けられ、搬送シート150の先端および保護シート160の先端がそれぞれ接着材11aに貼り付けられる。
【0051】
そして、巻取位置P1の新しい巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻き取りが開始される。具体的には、搬送ローラ61が回転されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11が巻取方向(R1方向)に回転されるとともに、搬送ローラ71が回転される。これにより、アキューム機構5から新しい巻芯11に向けて搬送シート150が搬送されるとともに、供給機構2から新しい巻芯11に向けて保護シート160が搬送され、搬送シート150および保護シート160が新しい巻芯11に巻き取られる。その後、切断機構3が回動されて元の位置(
図1の位置)に戻されるとともに、交換位置P2の巻芯11が取り外されて新しい巻芯11が装着される。
【0052】
ここで、新しい巻芯11による巻き取りの再開後には、搬送ローラ61の搬送速度が定常速度以上に設定されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻取速度が定常速度以上に設定される。これにより、アキューム機構5に貯留されていた搬送シート150が排出(吸収)される。このとき、アキューム機構5では、下側のローラ51a〜51cが上方に移動されるとともに、上側のローラ52a〜52cが下方に移動される。そして、貯留されていた搬送シート150が全て排出され、ローラ51a〜51cおよび52a〜52cが元の位置に戻り、アキューム機構5が非作動状態になると、搬送ローラ61の搬送速度が定常速度に設定されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11の巻取速度が定常速度に設定される。なお、搬送ローラ71の回転速度は、巻取位置P1の新しい巻芯11の回転速度に応じて設定される。
【0053】
以上の動作が繰り返し行われることにより、連続的に供給される搬送シート150に保護シート160を積層しつつ上巻取りしながら、巻芯11の切り替えが自動的に行われる。
【0054】
[下巻取り]
(定常運転時)
まず、
図9に示すように、上流側から供給される搬送シート150が、ガイドローラ63a、非作動状態のアキューム機構5およびガイドローラ63bを介して搬送ローラ61に送られる。そして、その搬送シート150が、ダンサーローラ62およびガイドローラ63cを介して巻取位置P1の巻芯11とタッチローラ12との間に送られる。
【0055】
また、供給機構2から繰り出される保護シート160が、搬送ローラ71、ガイドローラ73a、ダンサーローラ72およびガイドローラ73bを介して巻取位置P1の巻芯11とタッチローラ12との間に送られる。なお、保護シート160は、搬送シート150の下面側から供給されている。
【0056】
そして、巻取位置P1の巻芯11が巻取方向(R11方向)に回転されることにより、その巻芯11に搬送シート150および保護シート160が巻き取られる。このとき、搬送シート150および保護シート160がタッチローラ12の上側を通っており、搬送シート150および保護シート160の上面が内側に配置されるように巻き取られる。また、積層された状態の搬送シート150および保護シート160のうち、搬送シート150が内側(巻取位置P1の巻芯11側)に配置される。
【0057】
ここで、定常運転時では、巻取位置P1の巻芯11と、搬送ローラ61および71と、供給機構2とが駆動回転される。そして、基準となる搬送ローラ61の搬送速度(表面速度)は、定常速度であり、上流側から供給される搬送シート150の搬送速度とほぼ同じである。なお、巻取位置P1の巻芯11の回転速度は、搬送ローラ61の回転速度に応じて設定されるとともに、ダンサーローラ62の位置に応じてフィードバック制御される。また、搬送ローラ71の回転速度は、巻取位置P1の巻芯11の回転速度に応じて設定されるとともに、ダンサーローラ72の位置に応じてフィードバック制御される。
【0058】
そして、搬送シート150および保護シート160の巻き取りに起因して巻径が増大すると、
図10に示すように、その巻径の増大に応じてタッチローラ12が上流側に移動される。
【0059】
(巻芯の交換時)
そして、巻芯11の交換が開始されると、まず、ターレット機構1が回動軸1aを中心にしてR12方向に回動される。これにより、
図11に示すように、巻取位置P1に位置していた巻芯11が所定の位置に退避され、その退避された巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻き取りが停止される。すなわち、退避された巻芯11、搬送ローラ61、71および供給機構2の駆動回転が停止される。なお、基準となる搬送ローラ61の回転が停止されることにより、退避された巻芯11の回転が停止されるとともに、搬送ローラ71の回転が停止される。
【0060】
そして、アキューム機構5が作動されることにより、下側のローラ51a〜51cが下方に移動するとともに、上側のローラ52a〜52cが上方に移動することから、上流側から供給される搬送シート150がアキューム機構5に貯留される。これにより、巻芯11による搬送シート150の巻き取りが停止されても、上流側から供給される搬送シート150の搬送速度は一定のままである。
【0061】
その後、ターレット機構1が回動軸1aを中心にしてR12方向に回動されることにより、
図12に示すように、巻き取りを行っていた巻芯11が交換位置P2に退避されるとともに、巻取位置P1に新しい巻芯11が搬送される。そして、切断機構4のアーム45が上方(
図11のR13方向)に回動される。
【0062】
これにより、切断機構4では、
図13に示すように、押さえローラ42が、巻取位置P1の新しい巻芯11の下方(ほぼ真下)に配置され、保護シート160および搬送シート150を介して新しい巻芯11に接触される。また、ガイドローラ43が、巻取位置P1の新しい巻芯11と交換位置P2の巻芯11との間に配置されるとともに、新しい巻芯11に対して下流側の上方に配置される。このようにガイドローラ43が配置されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11を介して出てくる搬送シート150および保護シート160の方向がほぼ真上になる。
【0063】
また、ガイド面44が、巻取位置P1の新しい巻芯11の近傍に配置されるとともに、その新しい巻芯11に対して下流側に配置される。また、切断刃41が、ガイド面44とガイドローラ43との間に配置されるとともに、巻取位置P1の新しい巻芯11に対して下流側の斜め上方に配置される。ここで、巻取位置P1の新しい巻芯11の外周面には、下流側の斜め上方に接着材11aが設けられている。
【0064】
そして、切断刃41が、搬送シート150および保護シート160の幅方向に走行することにより、
図14に示すように、搬送シート150および保護シート160が切断される。なお、搬送シート150および保護シート160は、巻取位置P1の新しい巻芯11と交換位置P2の巻芯11との間における、新しい巻芯11の近傍で切断される。つまり、搬送シート150および保護シート160は、新しい巻芯11よりも下流側で切断される。
【0065】
その後、押さえローラ42が回転不能に固定されることにより、押さえローラ42側(新しい巻芯11に対して外側)の保護シート160が保持される。この状態で搬送ローラ61が逆方向に回転されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11側(新しい巻芯11に対して内側)の搬送シート150が保護シート160および新しい巻芯11に対して滑り、その搬送シート150が上流側(D11方向)に搬送される。これにより、
図15に示すように、切断された搬送シート150および保護シート160の先端がずらされる。したがって、新しい巻芯11に対して搬送シート150の外側に配置されることにより、新しい巻芯11に対して隠れていた保護シート160の先端が露出される。なお、このシートのずらし量は、接着材11aの周方向における長さよりも小さくなっている。たとえば、シートのずらし量は10mmであり、接着材11aの周方向における長さは20mmである。
【0066】
その後、押さえローラ42が回転可能に設定されるとともに、巻取位置P1の新しい巻芯11が巻取方向とは逆方向(R14方向)に回転されることにより、切断された搬送シート150および保護シート160が上流側に搬送される。なお、押さえローラ42およびタッチローラ12は、新しい巻芯11の回転によって連れ回される。これにより、
図16に示すように、切断された搬送シート150および保護シート160の先端が、巻取位置P1の新しい巻芯11のほぼ真下まで逆送される。このため、押さえローラ42により、切断された搬送シート150および保護シート160の先端が巻取位置P1の新しい巻芯11に押さえ付けられ、搬送シート150の先端および保護シート160の先端がそれぞれ接着材11aに貼り付けられる。
【0067】
そして、巻取位置P1の新しい巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻き取りが開始される。具体的には、搬送ローラ61が回転されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11が巻取方向(R11方向)に回転されるとともに、搬送ローラ71が回転される。これにより、アキューム機構5から新しい巻芯11に向けて搬送シート150が搬送されるとともに、供給機構2から新しい巻芯11に向けて保護シート160が搬送され、搬送シート150および保護シート160が新しい巻芯11に巻き取られる。その後、切断機構4が回動されて元の位置(
図9の位置)に戻されるとともに、交換位置P2の巻芯11が取り外されて新しい巻芯11が装着される。
【0068】
ここで、新しい巻芯11による巻き取りの再開後には、搬送ローラ61の搬送速度が定常速度以上に設定されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11による搬送シート150および保護シート160の巻取速度が定常速度以上に設定される。これにより、アキューム機構5に貯留されていた搬送シート150が排出(吸収)される。このとき、アキューム機構5では、下側のローラ51a〜51cが上方に移動されるとともに、上側のローラ52a〜52cが下方に移動される。そして、貯留されていた搬送シート150が全て排出され、ローラ51a〜51cおよび52a〜52cが元の位置に戻り、アキューム機構5が非作動状態になると、搬送ローラ61の搬送速度が定常速度に設定されることにより、巻取位置P1の新しい巻芯11の巻取速度が定常速度に設定される。なお、搬送ローラ71の回転速度は、巻取位置P1の新しい巻芯11の回転速度に応じて設定される。
【0069】
以上の動作が繰り返し行われることにより、連続的に供給される搬送シート150に保護シート160を積層しつつ下巻取りしながら、巻芯11の切り替えが自動的に行われる。
【0070】
−効果−
本実施形態では、上記のように、巻芯11の交換時に、切断された搬送シート150および保護シート160の先端をずらし、その先端を新しい巻芯11に設けられた接着材11aに押し付けることによって、切断された搬送シート150および保護シート160の両方を新しい巻芯11に貼り付けることができる。したがって、作業者の手作業によらず搬送シート150および保護シート160を巻き取る巻芯11を切り替えることができるので、積層された搬送シート150および保護シート160が巻き取られる場合であっても巻芯11の交換を自動化することができる。
【0071】
また、アキューム機構5を設けることによって、巻芯11の交換時に搬送シート150の巻き取りが停止されているときに、上流側から搬送される搬送シート150を一時的に貯留することができるので、シート巻取装置100に供給される搬送シート150の搬送速度を一定のままに維持することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上巻取り用の切断機構3および下巻取り用の切断機構4を設けることによって、上巻取りを行うとともに、下巻取りを行うことができる。そして、上巻取りおよび下巻取りのいずれの場合であっても、巻芯11の交換を自動化することができる。
【0073】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0074】
たとえば、本実施形態では、上巻取り用の切断機構3および下巻取り用の切断機構4が設けられる例を示したが、これに限らず、上巻取り用の切断機構および下巻取り用の切断機構のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、保護シート160が搬送シート150の下面側から供給される例を示したが、これに限らず、保護シートが搬送シートの上面側から供給されるようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、ターレット機構1に2つの巻芯11が装着される例を示したが、これに限らず、ターレット機構に3つ以上の巻芯が装着されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、保護シート160の原反161が供給機構2に1つ設けられる例を示したが、これに限らず、保護シートの原反が供給機構に複数設けられ、原反を自動的に継ぐようにしてもよい。また、供給機構で保護シートを成膜してその保護シートを供給するようにしてもよい。