(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、配線用遮断器の定格電流を増やすこと無く突入電流による不要なトリップを防止することができる配線用遮断器、保護継電器、配線遮断方法及び配線遮断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の配線用遮断器は、制御に応じて電力の供給を遮断する遮断部と、前記供給される電力の基準周期が第1半周期と第2半周期とからなり、前記供給される電力における電流の定格値より大きい第1閾値と、前記第1閾値より大きい第2閾値とが定められ、前記電流の絶対値において、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出されない場合に、前記遮断部を遮断させないように制御
し、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出された場合に、前記遮断部を遮断するよう制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の配線用遮断器は、前記遮断部の負荷側に変圧器が接続されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の保護継電器は、制御に応じて電力の供給を遮断する遮断器を制御する保護継電器であって、前記供給される電力の基準周期が第1半周期と第2半周期とからなり、前記供給される電力における電流の定格値より大きい第1閾値と、前記第1閾値より大きい第2閾値とが定められ、前記電流の絶対値において、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出されない場合に、前記遮断器を遮断させないように制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の配線遮断方法は、制御に応じて電力の供給を遮断する遮断部を制御部によって制御する際に、前記供給される電力の基準周期が第1半周期と第2半周期とからなり、前記供給される電力における電流の定格値より大きい第1閾値と、前記第1閾値より大きい第2閾値とが定められ、前記制御部が、前記電流の絶対値において、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出されない場合に、前記遮断部を遮断させないように制御
し、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出された場合に、前記遮断部を遮断するよう制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の配線遮断プログラムは、制御に応じて電力の供給を遮断する遮断部を制御部によって制御する際に、前記供給される電力の基準周期が第1半周期と第2半周期とからなり、前記供給される電力における電流の定格値より大きい第1閾値と、前記第1閾値より大きい第2閾値とが定められ、前記制御部が、前記電流の絶対値において、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出されない場合に、前記遮断部を遮断させないように制御
し、前記第1半周期において前記第2閾値を超える値が検出され、かつ、前記第2半周期において前記第1閾値を超える値が検出された場合に、前記遮断部を遮断するよう制御する過程を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、供給電力の第1半周期で電流値が第2閾値を超え、第2半周期で電流値が第1閾値を超えない場合、電力は遮断されない。ここで、電源投入時に変圧器に生じる突入電流は、残留磁束に極性があるためコアに磁気飽和が生じる可能性は電流の極性よって異なる。そのため、突入電流の大きさは第1半周期と第2半周期とで大きく異なる。一方、故障時に生じる過電流や短絡電流は、第1半周期と第2半周期とでそれほどの差は生じない。したがって、突入電流の第2半周期で生じる電流値よりも第1閾値を大きく設定することで、不要なトリップを防止することができる。また、第2閾値は故障時に生じる過電流や短絡電流を検出するための基準値とすることができ、突入電流でない場合には、例えば第2半周期においてトリップさせることができる。よって、トリップ電流の設定値は変更しなくてよい。したがって、本発明によれば、定格電流を増やすこと無く突入電流による不要なトリップを容易に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の配線用遮断器1の構成例を示したブロック図である。
図1に示した配線用遮断器1は、遮断部11と、制御部12と、複数の変流器13と、複数の電源側端子21と、複数の負荷側端子22と、複数のバスバー23と、複数のバスバー24とを備えている。遮断部11は、複数の接点14と、引きはずしコイル15とを備えている。制御部12は、出力部16と、入力部17と、マイクロコンピュータ18とを備えている。
【0014】
複数の電源側端子21は、例えば電線路に接続された引込線に接続される。複数の電源側端子21を介して入力された電力は、複数のバスバー23、複数の接点14及び複数のバスバー24を介して、複数の負荷側端子22から出力される。本実施形態では、複数の負荷側端子22には、少なくとも1つの変圧器の1次側端子が接続されている。この場合、変圧器は、例えば単相変圧器であってもよいし、3相変圧器であってもよい。
【0015】
複数の接点14は、引きはずしコイル15と図示していないバネ、電磁石、トグル機構等と協働し、例えば図示していない取っ手が動かされた場合に接点を閉成し、引きはずしコイル15に電流が流された場合に接点を開放する。引きはずしコイル15には、出力部16が出力した電流が入力される。出力部16は、マイクロコンピュータ18から所定の信号が入力された場合に、引きはずしコイル15を励磁する。複数の変流器13は、複数のバスバー24に流れる電流を所定の変流比でそれぞれ変換して出力する。複数の変流器13から出力された電流は、入力部17に入力される。入力部17は、複数の変流器13が出力した交流電流を例えば全波整流し、さらに所定の電圧値に変換して出力する。
【0016】
マイクロコンピュータ18は、内部に図示していない、CPU(中央処理装置)、揮発性及び不揮発性メモリ、クロック回路、A/D(アナログ・デジタル)変換器、デジタル入出力回路、タイマ回路等を備え、不揮発性メモリに格納されている所定のプログラムを実行することで所定の信号を入出力する。マイクロコンピュータ18は、各変流器13から出力された電流の値に基づき各バスバー24に流れる電流値を検知する。そして、マイクロコンピュータ18は、取得した電流値に基づき、過電流や短絡電流が検知された場合に、出力部16を制御して引きはずしコイル15を励磁し、各接点14を開放する。その際、マイクロコンピュータ18は、瞬時引きはずし制御と、限時引きはずし制御との2種類の制御を行う。瞬時引きはずし制御では、マイクロコンピュータ18は、各変流器13が出力した電流のピーク値が所定の閾値を超えた場合に直ちに引きはずしコイル15を励磁する。例えば短絡電流や所定の値を超える大きな過電流が生じた場合に、瞬時引きはずし制御によって、遮断部11が遮断される。一方、限時引きはずし制御では、マイクロコンピュータ18は、各変流器13が出力した電流のピーク値又は実効値が所定時間、所定の閾値を継続して超えていた場合あるいは検知した電流値と継続時間との積の値に基づいて引きはずしコイル15を励磁する。例えば定格電流の所定倍の電流が所定時間生じた場合に、限時引きはずし制御によって、遮断部11が遮断される。また、以下において、引きはずし制御という場合には、瞬時引きはずし制御と限時引きはずし制御との両者を含むものとする。なお、本実施形態は、瞬時引きはずし制御において、引きはずしを行うか否かを判定する処理に一つの特徴を有している。この点については
図2のフローチャート等を参照して後述する。
【0017】
なお、
図1に示した配線用遮断器1は、端子数を3、接点数を3、すなわち3極3素子の構成としているが、極数及び素子数はこれに限定されない。極数や素子数は、電源側端子21又は負荷側端子22に接続する引込線又は電気機器等の構成に合わせて任意の1又は複数とすることができる。また、複数の変流器13は、複数のバスバー24にそれぞれ設けているが、適宜省略することができる。また、バスバー24に流れる電流は、変流器13に代えて、例えば、ホール素子を用いた電流検知器等の他の検出器を用いて検出してもよい。また、制御部12は、例えば複数の変流器13又は図示していない追加の変流器から出力した電流を電源として動作することができる。
【0018】
また、
図1に示した配線用遮断器1は、遮断部11と、制御部12と、複数の変流器13とを例えば1つの筐体内に備えていてもよいし、それぞれを別構成とすることもできる。その場合、遮断部11は遮断器として構成し、制御部12は保護継電器(すなわち保護リレー)として構成することができる。また、複数の変流器13は遮断部11を構成する遮断器内に設けることもできる。また、複数のバスバー23及び24は、適宜、ケーブル等に代えることができる。
【0019】
なお、本願において配線用遮断器とは、電源側端子と、負荷側端子と、電源側端子と負荷側端子との間の回路に設けられた接点と、同回路に所定の過電流が流れた場合に接点を開放するための構成を備えた遮断器を意味する。この場合に、配線用遮断器は、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)、MCB(Molded Circuit Breaker)、ブレーカー等とも呼ぶことができる。
【0020】
次に、
図2から
図4を参照して、
図1に示した配線用遮断器1の動作例について説明する。
図2は、
図1に示したマイクロコンピュータ18が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図3及び
図4は、
図1に示した1本のバスバー24に流れる電流値I1の絶対値を模式的に示した波形と、マイクロコンピュータ18がプログラムを実行する際に使用するフラグf1の値の変化とを示したタイミンチャートである。また、
図4では、瞬時引きはずし制御において、引きはずしコイル15に励磁電流を流すタイミングもあわせて示している。
【0021】
なお、
図2に示したフローチャートは、説明を単純にするため、1相分の電流値I1に基づく引きはずし制御に係る処理の流れを示したものである。実際には、マイクロコンピュータ18は、複数の変流器13で検出された電流のいずれか1つで過電流又は短絡電流が検出された場合に、各接点14の引きはずし制御を行う。すなわち、マイクロコンピュータ18は、変流器13の個数分、
図2に示したものと同じ処理を順次にあるいは並行的に実行する。
【0022】
各電源側端子21に電源が接続された状態で、各接点14が閉成されると、マイクロコンピュータ18は
図2に示した処理を開始する。まず、フラグf1を0に初期化する(ステップS101)。フラグf1は、電流値I1の絶対値が所定の第2閾値を超えた場合に「1」にセットされ、その後、第1閾値を基準とした判定期間が終了した場合に「0」にリセットされる。フラグf1は、交流周波数の同一半周期内で第2閾値との比較結果に基づく各変数値の設定処理が重複して行われないようにするために使用される。
【0023】
ここで、第1閾値及び第2閾値の意味及びそれらを用いた処理の内容について説明する。第1閾値及び第2閾値は、電流値I1の絶対値の瞬時値に応じた値(すなわち電流値I1を変流器13によって所定の変流比で取り出して所定の電圧値に変換し、さらにA/D変換した値)と比較される値である。また、第1閾値は、配線用遮断器1を介して供給される電力における電流の定格値(すなわち配線用遮断器1の定格電流)より大きい値に対応した値である。また、第2閾値は、第1閾値に対応した電流値よりも大きな電流値に対応した値である。第2閾値は、例えば遮断部11を瞬時に遮断する制御を行う際の閾値となる電流値I1のピーク値に応じた値とすることができる。すなわち、第2閾値は、故障時に瞬時引きはずし電流を検出する際の設定値とすることができる。一方、第1閾値は、負荷側端子22に接続される変圧器の突入電流の特性に合わせて設定することができる。すなわち、変圧器の突入電流の電流波形は、交流周波数の1周期毎に、同一極性でピーク電流が流れる特徴を有する。変圧器の突入電流は、磁気飽和が継続する時間が長くなるほど大きくなるが、残留磁束には極性があるためコアに磁気飽和が生じる可能性は電流の極性によって異なる。変圧器の1次側に流れる電流の極性は交流周波数の半周期毎に変化するため、突入電流の大きさは交流周期の第1半周期と第2半周期とで大きく異なるのである。例えば、第1半周期で大きなピークを生じ、第2半周期では小さなピークとなる。この場合、変圧器の突入電流は、通常、第1半周期で第2閾値を超えるような電流値I1のピークが生じたときでも、次の第2半周期では第2閾値よりも小さな値となる。一方、故障時に生じる過電流や短絡電流は、第1半周期と第2半周期とでそれほどの差は生じない。そこで、第1閾値を第2閾値より小さな値とし、第1半周期で第2閾値を超え、かつ、第2半周期で第1閾値を超えない場合に、遮断動作の制御対象事象から排除することで、突入電流による配線用遮断器1の不要動作を防止することができる。
【0024】
さて、ステップS101でフラグf1を0に初期化した後、マイクロコンピュータ18は変流器13の出力に基づいて電流値I1を取得する(ステップS102)。なお、ステップS102の処理は、所定のサンプリング周期(例えば1ミリ秒毎)で実行される。また、ステップS102の処理で取得される値は、バスバー24に流れる電流値そのものではなく、電流値I1に対応した値であるが、以下、説明を簡単にするため、電流値I1に対応した値を、単に電流値I1として説明する。なお、ステップS102では、電流値I1の絶対値を取得してもよい。
【0025】
次に、マイクロコンピュータ18は、ステップS102で取得した電流値I1の絶対値と第2閾値とを比較し、電流値I1の絶対値が第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップS103)。
【0026】
例えば、電流値I1の絶対値|I1|が
図3に示すように変化する場合に、時刻t11より前の時刻t10において、ステップS102の処理で第2閾値を超えない電流値I1が取得されたとすると、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていないと判定する(ステップS103で「NO」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が1であるか否かを判定する(ステップS109)。この場合、フラグf1はステップS101で0に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は1ではないと判定する(ステップS109で「NO」)。次に、マイクロコンピュータ18は、限時引きはずし制御を実行する(ステップS113)。マイクロコンピュータ18は、ステップS102で取得した電流値I1に基づき、電流値I1のピーク値又は実効値を求め、例えば所定時間継続して、所定の値を超えているか否かを判定する。そして、マイクロコンピュータ18は、所定時間継続して、所定の値を超えていると判定した場合には、引きずしコイル15を励磁して遮断部11を遮断する。一方、マイクロコンピュータ18は、所定時間継続して、所定の値を超えていると判定しなかった場合には、取得した電流値や継続時間の履歴を更新した後、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0027】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t11においてステップS102の処理で第2閾値を超えた電流値I1が取得されたとすると、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていたと判定する(ステップS103で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が0であるか否かを判定する(ステップS104)。この場合、フラグf1はステップS101で0に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は0であると判定する(ステップS104で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、タイマ値を変数ta1に格納し(ステップS105)、変数ta1に定数T1を加算した値を変数ts1に格納し(ステップS106)、変数ta1に定数T2を加算した値を変数te1に格納し(ステップS107)、そして、フラグf1を1に設定する(ステップS108)。ここで、タイマ値とは、一定時間毎に1ずつ増加するカウンタの値である。変数ta1は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えた時刻に対応するタイマ値を格納する変数である。変数ts1は、電流値I1の絶対値と第1閾値との比較を開始する時刻を示す値を格納する変数であり、電流値I1の絶対値が第2閾値を超えた時刻から一定時間Ts後の時刻に対応するタイマ値を格納する。変数te1は、電流値I1の絶対値と第1閾値との比較を終了する時刻を示す値を格納する変数であり、電流値I1の絶対値が第2閾値を超えた時刻から他の一定時間Te後の時刻に対応するタイマ値を格納する。
図3に示した例では、時刻t11で第2閾値を超えた電流値I1が取得された場合に、Ts時間後の時刻t12を電流値I1の絶対値と第1閾値との比較を開始する時刻とし、Te時間後の時刻t13を電流値I1の絶対値と第1閾値との比較を終了する時刻としている。この場合、ステップS106の定数T1は時間Ts分のタイマ値であり、ステップS107の定数T2は時間Te分のタイマ値である。
図3に示した例では、模式的に分かりやすくするためTsを交流電力の周波数の半周期、Teを4分の1周期に設定している。定数T1と定数T2とは、第1閾値を基準とした判定期間を定めるための値であるが、使用する変圧器の特性や変圧器の2次側に接続する電気機器の特性等に合わせて適宜設定することができる。
【0028】
ステップS108でフラグf1を1に設定すると、マイクロコンピュータ18は、上記と同様にして限時引きはずし制御の処理を行い(ステップS113)、遮断部11を遮断しなかった場合、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0029】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t11より後で、時刻t12より前においてステップS102の処理で第2閾値を超えた電流値I1が再度、取得されたとすると、次に、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていたと判定する(ステップS103で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が0であるか否かを判定する(ステップS104)。この場合、フラグf1は時刻t11にステップS108で1に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は0ではないと判定する(ステップS104で「NO」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、ステップS109でフラグf1が1であると判定し(ステップS109で「YES」)、さらに、ステップS110でタイマ値が変数ts1の値より大きくないと判定する(ステップS110で「NO」)。次に、マイクロコンピュータ18は、上記と同様にして限時引きはずし制御の処理を行い(ステップS113)、遮断部11を遮断しなかった場合、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0030】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t11より後で時刻t12より前においてステップS102の処理で第2閾値を超えない電流値I1が取得されたとすると、次に、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていなかったと判定する(ステップS103で「NO」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が1であるか否かを判定する(ステップS109)。この場合、フラグf1は時刻t11にステップS108で1に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は1であると判定する(ステップS109で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きいか否かを判定する(ステップS110)。この場合、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きくないと判定するので(ステップS110で「NO」)、上記と同様にして限時引きはずし制御の処理を行い(ステップS113)、遮断部11を遮断しなかった場合、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0031】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t12以降で時刻t13より前において、ステップS102の処理で第1閾値を超えない電流値I1が取得されたとすると、次に、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていなかったと判定する(ステップS103で「NO」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が1であるか否かを判定する(ステップS109)。この場合、フラグf1は時刻t11にステップS108で1に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は1であると判定する(ステップS109で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きいか否かを判定する(ステップS110)。この場合、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きいと判定するので(ステップS110で「YES」)、次に、タイマ値が変数te1の値より小さいか否かを判定する(ステップS111)。この場合、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数te1の値より小さいと判定するので(ステップS111で「YES」)、次に、電流値I1の絶対値が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップS114)。この場合、マイクロコンピュータ18は、電流値I1の絶対値が第1閾値を超えていないと判定するので(ステップS114で「NO」)、上記と同様にして限時引きはずし制御の処理を行い(ステップS113)、遮断部11を遮断しなかった場合、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0032】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t13以降で時刻t14よりも前において、ステップS102の処理で第2閾値を超えない電流値I1が取得されたとすると、次に、マイクロコンピュータ18は電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていなかったと判定する(ステップS103で「NO」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、フラグf1が1であるか否かを判定する(ステップS109)。この場合、フラグf1は時刻t11にステップS108で1に設定されているので、マイクロコンピュータ18は、フラグf1は1であると判定する(ステップS109で「YES」)。この場合、次に、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きいか否かを判定する(ステップS110)。この場合、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数ts1の値より大きいと判定するので(ステップS110で「YES」)、次に、タイマ値が変数te1の値より小さいか否かを判定する(ステップS111)。この場合、マイクロコンピュータ18は、タイマ値が変数te1の値より小さくないと判定するので(ステップS111で「NO」)、フラグf1を0に設定する(ステップS112)。この場合、マイクロコンピュータ18は、次に、上記と同様にして限時引きはずし制御の処理を行い(ステップS113)、遮断部11を遮断しなかった場合、ステップS102の処理へ戻る。ステップS102でマイクロコンピュータ18は、次のサンプリング時刻において電流値I1を再度取得する。
【0033】
次に、電流値I1の絶対値が
図3に示すように変化する場合に、時刻t14で第2閾値を超える電流値I1の絶対値が取得されたとすると、上述したようにして、時刻t14でフラグf1が1に設定され、時刻t14から時間Ts後の時刻t15から、時刻t14から時間Te後の時刻t16まで電流値I1の絶対値と第1閾値とを比較する処理が行われる。
図3に示した例では、時刻t15から時刻t16までの期間に電流値I1の絶対値は第1閾値を超えないので、ステップS114の判定結果は「YES」とならず、遮断部11を直ちに遮断する制御であるステップS115での瞬時引きはずし制御は実行されない。
【0034】
一方、例えば、電流値I1の絶対値が
図4に示すように変化する場合、時刻t21で絶対値が第2閾値を超えた電流値I1が取得されたとすると(ステップS102)、マイクロコンピュータ18は、変数ts1に時刻t21からTs時間後の時刻t22に対応するタイマ値を格納し(ステップS106)、変数te1に時刻t21からTe時間後の時刻t24に対応するタイマ値を格納し(ステップS107)、そして、フラグf1を1に設定する(ステップS108)。そして、時刻t22から時刻t24までの第1閾値判定期間において、時刻t23においてステップS102で絶対値が第1閾値を超える電流値I1が取得されたとすると、一方、電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていた場合には、ステップS103で「YES」→ステップS104で「NO」→ステップS109で「YES」→ステップS110で「YES」→ステップS111で「YES」となり、他方、電流値I1の絶対値が第2閾値を超えていない場合には、ステップS103で「NO」→ステップS109で「YES」→ステップS110で「YES」→ステップS111で「YES」となる。次に、マイクロコンピュータ18は、電流値I1の絶対値が第1閾値を超えるか否かを判定する(ステップS114)。この場合、マイクロコンピュータ18は、電流値I1の絶対値が第1閾値を超えていると判定するので(ステップS114で「YES」)、次に、瞬時引きはずし制御を行う(ステップS115)。ステップS115でマイクロコンピュータ18は、直ちに引きはずしコイル15を励磁する制御を行い、遮断部11を遮断する。
【0035】
以上のように、本実施形態の配線用遮断器1は、制御に応じて電力の供給を遮断する遮断部11と、遮断部11を遮断する制御を行う制御部12とを備える。そして、制御部12では、遮断部11を介して供給される電力の基準周期を第1半周期と第2半周期とし、供給される電力における電流の定格値より大きい第1閾値と、第1閾値より大きい第2閾値とが設定される。そして、制御部12は、電流の絶対値において、第1半周期において第2閾値を超える値が検出され、かつ、第2半周期において第1閾値を超える値が検出されない場合に、遮断部11を遮断させないように制御する。この構成において、故障時に生じる過電流や短絡電流の大きさよりも第1閾値を小さく、かつ、変圧器の突入電流の第2半周期の電流値よりも第1閾値を大きく設定すれば、故障時に生じる過電流や短絡電流ではトリップさせ、変圧器の突入電流ではトリップしないようにすることができる。また、故障時に生じる過電流や短絡電流によるトリップ電流の設定値は、第2閾値とすることができるので、過電流や短絡電流によるトリップ特性は任意に設定可能である。この場合、突入電流でないときには、第2半周期においてトリップさせることができる。よって、トリップ電流の設定値は変更しなくてよい。したがって、本実施形態によれば、配線用遮断器の定格電流を増やすこと無く突入電流による不要なトリップを容易に防止することができる。
【0036】
次に、
図5を参照して、
図1に示した配線用遮断器1の使用例について説明する。
図5は、
図1に示した配線用遮断器1の使用例を示したブロック図である。
図5において、配線用遮断器1の複数の電源側端子21には単相3線式引込線の電源線L1及びL2と中性線Nとが接続されている。また、複数の負荷側端子22においては、電圧線L1及びL2が接続された各端子22に単相の耐雷トランス3の1次側の各端子31が接続されるとともに、中性線が接続された端子22は接地されている。
【0037】
耐雷トランス3は、1次側に雷サージが侵入した場合に、2次側から出力される雷サージを1/100から1/1000程度に減衰させる特性を有する変圧器である。耐雷トランス3の1次側端子31と2次側端子33とは絶縁され、1次側と2次側とは別々の接地極32及び34によって互いに絶縁された状態で別接地される。また、1次側端子31と他の1次側端子31との間及び各1次側端子31と接地極32との間には、避雷器35が接続されている。また、2つの2次側端子33間にも避雷器35が接続されている。また、耐雷トランス3の2次側端子33には電気機器4が接続されている。
【0038】
図5に示した使用例では、例えば、電気機器4の定格電力等に基づき耐雷トランス3の定格容量を設定することができる。一方、配線用遮断器1の定格電流は、従来は耐雷トランス3の定格容量と突入電流の大きさとに応じて設定しなければならなかったのに対し、本実施形態では、突入電流による遮断部11の不要トリップが防止できるので、使用設備量見合いにできる。そのため、リセットブレーカが省略できるという設備コスト削減と、アンペア数削減による電気料金削減のメリットがある。
【0039】
なお、
図6に、
図5に示した配線用遮断器1の使用例における突入電流波形の計測結果の一例を示した。ただし、
図6に示した波形は、電気機器4を接続していない状態での計測結果である。また、各計測値は、配線用遮断器1の外部に計測器を取り付けることで計測した。
図6に示した計測結果は、
図5に示した各相の電流値I1、I2及びINと、電圧線L1と中性線N間の電圧V1とについて、所定の周期でサンプリングされた各瞬時値の時間変化を示している。縦軸の単位は電流値については200A/DIV、電圧値については200V/DIVである。横軸の単位は25ms/DIVである。また、交流電力の周波数は50Hzである。
【0040】
以上、本発明の配線用遮断器1に一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。本発明の実施形態は、例えば、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。すなわち、マイクロコンピュータ18において、第1閾値及び第2閾値のほかに、第2閾値より大きな第3閾値を設定する。そして、第3閾値を超える電流が検出された場合には、直ちに遮断部11を遮断する。この構成によれば、第3閾値を超える大きな過電流が生じた場合に、第1閾値との比較処理を待たずに遮断部11を遮断することができる。また、第1閾値との判定期間は、次のように変更することもできる。すなわち、上記実施形態では、第2閾値を超える電流値が初めて検出された時刻を基準として、第1閾値の判定期間を設定していた。これに対し、第2閾値を超える電流値が複数回検出された場合、その中で最大値(すなわちピーク値)が検出された時刻を基準として第1閾値の判定期間を設定するようにしてもよい。また、接点14は、機械式に限らず、半導体素子を用いて構成したものであってもよい。その場合、引きはずしコイル15等は省略することができる。
【0041】
なお、マイクロコンピュータ18が実行するプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体又は通信回線を用いて頒布することができる。