特許第6019085号(P6019085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019085
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】カーペット固定構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20161020BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20161020BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B62D25/04 B
   B60N3/04 B
   B62D25/08 K
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-214358(P2014-214358)
(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-78756(P2016-78756A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】竹下 直利
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】末定 怜
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−137411(JP,A)
【文献】 実開昭55−009796(JP,U)
【文献】 実開平2−051954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
B60N 3/04
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びて車体側部のドア開口部の縦縁部を構成するとともに、ピラーアウタ部及び該ピラーアウタ部の車幅内側に接合されるピラーインナ部によって閉断面を構成するピラーと、
一対の前記ピラーの間で車幅方向に延びるとともに、車体フロアの後端から上方且つ後方に向かって傾斜するキックアップ部を備えるセンターバルクと、
前記車体フロアから前記キックアップ部に亘って設けられるカーペットと、
を備えるカーペット固定構造であって、
前記ピラーアウタ部及び前記ピラーインナ部は、それぞれ前記ドア開口部の開口周縁部を構成するとともに互いに重なり合うアウタフランジ及びインナフランジを備え、
前記アウタフランジは、平坦な面を構成する平坦面を備え、
前記インナフランジは、前記平坦面に対応する部位に、前記アウタフランジから離間する方向に膨出して前記平坦面との間に隙間を形成する膨出部を備え、
前記カーペットは、車幅方向外側の端部に、前記隙間に装着されるフックを備える、
ことを特徴とするカーペット固定構造。
【請求項2】
前記アウタフランジ及び前記インナフランジを覆うオープニングトリムを備え、
前記インナフランジは、前記膨出部において端部が切り欠けられて形成されるインナ切欠き部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカーペット固定構造。
【請求項3】
前記アウタフランジは、前記インナフランジの前記インナ切欠き部に対応する部位に、前記インナ切欠き部よりも大きく切り欠けられて形成されるアウタ切欠き部を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のカーペット固定構造。
【請求項4】
前記アウタフランジ及び前記インナフランジを覆うオープニングトリムを備え、
前記オープニングトリムは、前記カーペットと前記フックを締結する締結部を覆うリップ部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のカーペット固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーペット固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体フロア上に敷かれるカーペット11をスカーフプレート7により上方から押させつけて固定する車体構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−089396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る車体構造によれば、スカーフプレートはサイドシルに設けられる部品であり、サイドシルが存在しない部分においてカーペットを固定することはできない。しかしながら、サイドシル後端側からピラーに亘るキックアップ部のように傾斜角度が大きい部位では、カーペットを固定しないとカーペットが落ちてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車体フロア上に敷かれるカーペットを適正に固定することが可能なカーペット固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るカーペット固定構造は、上下方向に延びて車体側部のドア開口部の縦縁部を構成するとともに、ピラーアウタ部及び該ピラーアウタ部の車幅内側に接合されるピラーインナ部によって閉断面を構成するピラーと、一対の前記ピラーの間で車幅方向に延びるとともに、車体フロアの後端から上方且つ後方に向かって傾斜するキックアップ部を備えるセンターバルクと、前記車体フロアから前記キックアップ部に亘って設けられるカーペットと、を備えるカーペット固定構造であって、前記センタピラーアウタ部及び前記センタピラーインナ部は、それぞれ前記ドア開口部の開口周縁部を構成するとともに互いに重なり合うアウタフランジ及びインナフランジを備え、前記アウタフランジは、平坦な面を構成する平坦面を備え、前記インナフランジは、前記平坦面に対応する部位に、前記アウタフランジから離間する方向に膨出して前記平坦面との間に隙間を形成する膨出部を備え、前記カーペットは、車幅方向外側の端部に、前記隙間に装着されるフックを備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載のカーペット固定構造は、前記アウタフランジ及び前記インナフランジを覆うオープニングトリムを備え、前記インナフランジは、前記膨出部において端部が切り欠けられて形成されるインナ切欠き部を備える。
【0008】
(3)上記(2)に記載のカーペット固定構造は、前記アウタフランジは、前記インナフランジの前記インナ切欠き部に対応する部位に、前記インナ切欠き部よりも大きく切り欠けられて形成されるアウタ切欠き部を備える。
【0009】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載のカーペット固定構造は、前記アウタフランジ及び前記インナフランジを覆うオープニングトリムを備え、前記オープニングトリムは、前記カーペットと前記フックを締結する締結部を覆うリップ部を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)に記載の態様に係るカーペット固定構造によれば、傾斜角度が大きいキックアップ部においても、フックをアウタフランジとインナフランジとの間の隙間に装着することで確実にカーペットを固定することができる。また、アウタフランジの平坦面とインナフランジの膨出部により隙間が形成されるため、ドア開放時等に意匠面に露出するアウタフランジを膨出させる場合に比べて見栄えを良くすることができる。
【0011】
さらに、上記(2)の場合、インナフランジのインナ切欠き部によって膨出部におけるフランジ端末を他の部位におけるフランジ端末よりも凹ませることができ、膨出部にフックを取り付けた際にフックの厚み分だけフックが他の部位のフランジ端末から突出することを防ぐことができる。これによりフックが存在する部位と存在しない部位とにオープニングトリムを取り付ける際の取付安定性を向上させることができる。
【0012】
さらに、上記(3)の場合、予めカーペットに取り付けられるフックをアウタフランジとインナフランジとの間の隙間に装着する際の組付け作業を容易化して、作業性を向上させることができる。つまり、フックを車幅内側に引き込む際に、インナ切欠き部よりもアウタ切欠き部が大きく切り欠かれているため、フックの先端がアウタ切欠き部を超えた後にインナ切欠き部に引っ掛けることができる。
【0013】
さらに、上記(4)の場合、カーペットとフックを締結する締結部を、オープニングトリムのリップ部で覆うことによって隠すことができるため、簡単な構造で見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造を車幅方向外側の上方から見た斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造を車幅方向外側の上方から見た分解斜視図。
図3図1に示すカーペット固定構造の一部の拡大図。
図4図3に示すカーペット固定構造の一部の拡大図においてフックを省略して示す図。
図5】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造の一部を車幅方向外側から見た斜視図。
図6図5に示すVI−VI断面の断面図。
図7】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造の一部においてオープニングトリムを追加して示す図。
図8】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造においてフックを装着する第1工程を示す斜視図。
図9】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造においてフックを装着する第2工程を示す斜視図。
図10】本発明の実施形態に係るカーペット固定構造においてフックを装着する第3工程を示す斜視図。
図11図6に示すカーペット固定構造の一部の拡大図においてオープニングトリムを追加して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るカーペット固定構造について添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
実施形態のカーペット固定構造10は、図1および図2に示すように、車体側部11に設けられている。車体側部11は、意匠面を構成するアウタパネル13と、アウタパネル13の後方側で意匠面を構成するリヤフェンダ15と、アウタパネル13の車室内側に設けられるインナパネル17およびスティフナ19と、を備えている。
【0017】
カーペット固定構造10は、アウタパネル13のセンタピラーアウタ部13aとインナパネル17のセンタピラーインナ部17aとによって形成されるピラー21を備えている。センタピラーアウタ部13aとセンタピラーアウタ部13aの車幅内側に接合されるセンタピラーインナ部17aとは閉断面を構成する。ピラー21は、車体側部11のドア開口部22の縦縁部23を構成する。
カーペット固定構造10は、一対のピラー21の間で車幅方向に延びるセンターバルク24を備えている。センターバルク24は、車体フロア25の後端から上方且つ後方に向かって傾斜するキックアップ部26を備えている。カーペット固定構造10は、車体フロア25からキックアップ部26に亘って配置されるカーペット27を備えている。
【0018】
センタピラーアウタ部13a及びセンタピラーインナ部17bは、図2から図6に示すように、それぞれドア開口部22の開口周縁部28を構成するとともに互いに重なり合うアウタフランジ31及びインナフランジ51を備えている。アウタフランジ31は、平坦な面を構成する平坦面32を備えている。インナフランジ51は、アウタフランジ31の平坦面32に対向する部位に、アウタフランジ31から離間する方向に膨出して平坦面32との間に隙間53を形成する膨出部52を備えている。
【0019】
カーペット27は、車幅方向外側の端部に、膨出部52を車幅方向の両側から挟み込むように隙間53に装着されるフック29を備えている。フック29の外形は、U字状に湾曲する板状に形成されている。フック29は、湾曲部29aと、湾曲部29aから車幅方向内側に向かって延びるとともに、カーペット27の車幅方向外側の端部が締結される板状部29bと、を備えている。
【0020】
インナフランジ51は、図5および図7に示すように、膨出部52において端部が切り欠けられて形成されるインナ切欠き部54を備えている。インナ切欠き部54は、膨出部52および隙間53に装着されるフック29が、フック29の厚み分だけインナフランジ51の膨出部52以外における他の部位のフランジ端末から突出しないように、他の部位よりも凹んでいる。
アウタフランジ31は、インナフランジ51のインナ切欠き部54に対応する部位に、インナ切欠き部54よりも大きく切り欠けられて形成されるアウタ切欠き部33を備えている。
【0021】
フック29が膨出部52および隙間53に装着される際には、先ず、図8に示すように、カーペット27が車体フロア25に載置される際に、湾曲部29aがアウタフランジ31の膨出部52およびインナフランジ51の平坦面32を車幅方向の両側から挟み込む状態となる。
次に、フック29が上方側に移動させられ、図9に示すように、湾曲部29aの先端がアウタ切欠き部33を超えると、フック29が車幅方向内側に移動させられ、湾曲部29aが膨出部52のみを車幅方向の両側から挟み込む状態となる。
次に、フック29が下方側に移動させられ、図10に示すように、湾曲部29aが膨出部52を挟み込みつつ隙間53に装着される状態となる。
【0022】
カーペット固定構造10は、図7に示すように、アウタフランジ31及びインナフランジ51を覆うオープニングトリム30を備えている。オープニングトリム30は、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成されている。オープニングトリム30は、図11に示すように、カーペット27の車幅方向外側の端部とフック29の板状部29bとを締結する締結部40を覆うリップ部30aを備えている。
【0023】
上述したように、実施形態によるカーペット固定構造10によれば、傾斜角度が大きいキックアップ部26においても、フック29をアウタフランジ31とインナフランジ51との間の隙間53に装着することで確実にカーペット27を固定することができる。また、アウタフランジ31の平坦面とインナフランジ51の膨出部52により隙間53が形成されるため、ドア開放時等に意匠面に露出するアウタフランジ31を膨出させる場合に比べて見栄えを良くすることができる。
【0024】
さらに、インナフランジ51のインナ切欠き部54によって膨出部52におけるフランジ端末を他の部位におけるフランジ端末よりも凹ませることができ、膨出部52にフック29を取り付けた際にフック29の厚み分だけフック29が他の部位のフランジ端末から突出することを防ぐことができる。これによりフック29が存在する部位と存在しない部位とにオープニングトリム30を取り付ける際の取付安定性を向上させることができる。
【0025】
さらに、予めカーペット27に取り付けられるフック29をアウタフランジ31とインナフランジ51との間の隙間53に装着する際の組付け作業を容易化して、作業性を向上させることができる。つまり、フック29を車幅内側に引き込む際に、インナ切欠き部54よりもアウタ切欠き部33が大きく切り欠かれているため、フック29の先端がアウタ切欠き部33を超えた後にインナ切欠き部54に引っ掛けることができる。
【0026】
さらに、カーペット27とフック29を締結する締結部40を、オープニングトリム30のリップ部30aで覆うことによって隠すことができるため、簡単な構造で見栄えを良くすることができる。
【0027】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0028】
10…カーペット固定構造、11…車体側部、13…アウタパネル、13a…センタピラーアウタ部(ピラーアウタ部)、15…リヤフェンダ、17…インナパネル、17a…センタピラーインナ部(ピラーインナ部)、19…スティフナ、21…ピラー、22…ドア開口部、23…縦縁部、24…センターバルク、25…車体フロア、26…キックアップ部、27…カーペット、28…開口周縁部、29…フック、30…オープニングトリム、30a…リップ部、31…アウタフランジ、33…アウタ切欠き部、40…締結部、51…インナフランジ、52…膨出部、53…隙間、54…インナ切欠き部
図1
図2
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