特許第6019087号(P6019087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイションの特許一覧

特許6019087高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法
<>
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000005
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000006
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000007
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000008
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000009
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000010
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000011
  • 特許6019087-高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019087
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】高ブライトネスで高ダイナミックレンジのディスプレイのための画像処理における適応ガンマの適用のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20161020BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20161020BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/34 J
   G09G3/20 641Q
   G09G3/20 641P
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-227135(P2014-227135)
(22)【出願日】2014年11月7日
(62)【分割の表示】特願2011-530098(P2011-530098)の分割
【原出願日】2009年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-84101(P2015-84101A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】61/101,584
(32)【優先日】2008年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウォレナー、ダミール
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ルイス
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/050614(WO,A1)
【文献】 特開2004−159986(JP,A)
【文献】 特開2003−150953(JP,A)
【文献】 特開2005−295417(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/013308(WO,A1)
【文献】 特許第5756404(JP,B2)
【文献】 医用画像システムにおけるDisplay Consistencyの開発 システム全体での画像の見え方整合性の実現,コニカミノルタ技術レポート,日本,コニカミノルタホールディングス,2004年 2月,Vol.1(2004),pp.127-130,http://www.konicaminolta.jp/about/research/technology_report/2004/pdf/introduce_016.pdf
【文献】 Helge SEETZEN et al,“High Dynamic Range Display Systems”,Proceeding ACM SIGGRAPH 2004,2004年,pp.760-768
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源変調層(21A)ディスプレイ変調層(21B)、および前記光源変調層(21A)および前記ディスプレイ変調層(21B)に接続されたプロセッサを有するディスプレイ(21)で画像を表示する方法であって、前記光源変調層(21A)は、空間的に変調された光源を含む方法(100、200、300)において、前記プロセッサが
線形化された一つのフレームの画像データ(23A)を受け取るか、または線形化された一つのフレームの画像データ(23B)を受け取ること、
フレームを表示しつつ、受け取った非線形化された一つのフレームの画像データ(23または線形化された一つのフレームの画像データ(23B)に少なくとも基づいて、前記光源変調層(21A)の前記空間的に変調された光源を駆動するために光源変調器制御値(25A)を決定すること(104、204、304)、
前記光源変調器制御値(25A)に少なくとも部分的に基づいて前記光源変調層(21A)により放射され、かつ前記ディスプレイ変調層(21B)により受け取られた最小輝度(53)および最大輝度(52)を推定すること、
ディスプレイ曲線(29)を選択することであって、前記ディスプレイ曲線(29)の二次元表現は、第1の軸が輝度データの線形化された表現に対応するディスプレイ入力値を表し、第2の軸が高輝度ディスプレイ及び高ダイナミックレンジディスプレイのうちの少なくとも一つのために希望される出力輝度値を表して、前記ディスプレイ入力値から前記出力輝度値へのマッピングを提供するように定義されている、前記ディスプレイ曲線(29)を選択すること、
前記ディスプレイ曲線(29)の前記第2の軸により表され、かつ推定された前記最小輝度と前記最大輝度との間に広がる輝度値の範囲(10)に対応する前記ディスプレイ曲線(29)のセクション(12)を抽出すること(108,208)、
前記ディスプレイ曲線(29)の抽出された前記セクション(12)からフレームに対する希望トータル応答曲線(28)を決定することであって、該希望トータル応答曲線(28)の二次元表現は、第1の軸(LIN)が前記ディスプレイ変調層(21B)に対するディスプレイ変調器制御値(25B)の利用可能な範囲(14)を表し、第2の軸(Y)が前記ディスプレイ曲線(20)の抽出された前記セクション(12)に対応する輝度値の範囲(10)を表して、希望輝度値から前記ディスプレイ変調器制御値(25B)へのマッピングを提供するように定義されている、前記希望トータル応答曲線(28)を決定すること、
受け取った前記画像データ(23)のフレームおよび前記希望トータル応答曲線(28)に少なくとも基づいて前記ディスプレイ変調層(21B)のためのディスプレイ変調器制御値(25B)を決定すること、
前記ディスプレイ変調器制御値(25B)を前記ディスプレイ変調層(21B)に出力すると共に光源変調器制御値(25A)を前記光源変調層(21A)に出力することによって画像を表示すること
を含む方法。
【請求項2】
前記プロセッサがディスプレイ変調器制御値(25B)を前記ディスプレイ変調層(21B)に加えることによって校正データ(33)を得ることを含み、ディスプレイ変調器制御値(25B)を決定すること(112,212,312)は、前記校正データに基いて前記希望トータル応答曲線を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ディスプレイ変調器制御値を決定することは(21)、入力画像データ値を出力ディスプレイ変調器制御値(25B)に関連させるエンコード曲線(31)を得るために前記校正データ(33)に基づいて前記希望トータル応答曲線(28)を調整すること(208)、前記画像を表示するために使用される前記ディスプレイ変調器制御値(25B)を得るために前記エンコード曲線(31)を前記画像データ(23)に適用すること(214)とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ディスプレイ曲線(29)の前記抽出されたセクションをディスプレイ変調器制御値の前記利用可能な範囲(14)にマッピングすることは、(i)ディスプレイ曲線の抽出された前記セクション(12)を引き伸ばすために補間を用いること、または(ii)ディスプレイ曲線(29)の抽出された前記セクション(12)を圧縮するためのダウンサンプリングすることを含む、請求項1−3のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイ曲線の抽出された前記セクション(12)をディスプレイ変調器制御値(25B)の前記利用可能な範囲(14)にマッピングすることは、前記希望トータル応答曲線を[0,1]の範囲内のディスプレイ変調器制御値(25B)に対応するようにスケーリングすることを含むこと、および
前記ディスプレイ曲線の抽出された前記セクション(12)をディスプレイ変調器制御値(25B)の前記利用可能な範囲(14)にマッピングすることは、前記ディスプレイ曲線(29)の抽出された前記セクション(12)オフセットすることを含むこと
のうちの少なくともいずれか一方である、請求項1−4のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサがディスプレイ変調器制御値(25B)を前記ディスプレイ変調層(21B)に加えることによって校正データ(33)を得ること、および
前記プロセッサが前記ディスプレイ曲線に前記校正データを前もって組み込むこと
のうちの少なくとも一方である、請求項1−5のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記ディスプレイ曲線(29)を、前記ディスプレイにとってアクセス可能なデータ記憶装置内のルックアップテーブルとして表現することを含む、請求項1−5のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記校正データ(33)を、前記ディスプレイ(21)にとってアクセス可能なメモリ内のルックアップテーブルとして表現することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記エンコード曲線(31)を、前記ディスプレイ(21)にとってアクセス可能なメモリ内のルックアップテーブルとして表現することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記ディスプレイ変調層において受け取られる前記最小輝度を推定することに代えて、前記プロセッサが前記最小輝度(53)を定数値にセットすることを含む、請求項1−9のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記ディスプレイ曲線(29)はDICOM曲線であり、前記ディスプレイ入力値は、弁別閾(JND)値である、請求項1−9のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)を推定すること、前記ディスプレイ曲線の前記セクション(12)を抽出すること、および前記ディスプレイ曲線(29)の抽出された前記セクション(12)をマッピングすることは、前記一つのフレームの画像データ(23)の複数の部分に対して実行されること、および
推定された前記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)は、前記光源変調器制御値(25A)に少なくとも基づいて前記ディスプレイ変調層で受け取られる前記光源変調層からの光の最小期待輝度および最大期待輝度であること
のうち少なくとも一方である、請求項1−10のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
推定された前記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)は前記光源変調器制御値(25A)に少なくとも基づいて前記ディスプレイ変調層で受け取られるべき前記光源変調層からの光の最小理想的輝度および最大理想的輝度であるか、
推定された前記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)は、画像データ(23)に少なくとも基づいて前記ディスプレイ変調層で受け取られるべき前記光源変調層からの光の最小理想的輝度および最大理想的輝度であり、最小理想的輝度および最大理想的輝度を推定することは、前記光源変調層(21A)および前記ディスプレイ変調層(21B)が同じ解像度を有するという仮定に基づいて前記最小理想的輝度および前記最大理想的輝度を推定することを含むか、または
推定された前記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)は、画像データ(23)に少なくとも基づいて前記ディスプレイ変調層で受け取られるべき前記光源変調層からの光の最小理想的輝度および最大理想的輝度であり、最小理想的輝度および最大理想的輝度を推定することは、前記光源変調層(21A)の各要素が前記光源変調層(21A)の他の要素から独立しているという仮定に基づいて前記最小理想的輝度および前記最大理想的輝度を推定することを含む、請求項1−10のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記最小理想的輝度および前記最大理想的輝度に応じて前記希望トータル応答曲線(28)を引き伸ばすか、または圧縮することによって前記希望トータル応答曲線を調整することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
受け取った一つのフレームの画像データが複数の部分に分割され、
方法が各部分について行われ、
隣接する部分間の不連続性を低減するために部分間の境界において前記希望トータル応答曲線が調整される、請求項1−14のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記ディスプレイ(21)はブライトネス制御を有し、
記最小輝度(53)および前記最大輝度(52)を推定することは、前記ブライトネス制御の設定値に対応する最小理想的輝度および最大理想的輝度を推定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
二重変調器ディスプレイシステム(20)であって、
光源変調層(21A)およびディスプレイ変調層(21B)を有するディスプレイ(21)と,
ディスプレイ曲線(29)のためのデータを格納するためのデータ記憶装置と;
画像データ源から画像データ(23)を受け取り、前記データ記憶装置からデータを受け取り、前記ディスプレイ(21)に駆動制御値(25A,25B)を送るように接続されているプロセッサ(22)とを含み、前記プロセッサ(22)は請求項1−16の方法のうちのいずれかを実行するように構成されている、二重変調器ディスプレイシステム。
【請求項18】
前記プロセッサ(22)により実行されるとき、前記プロセッサ(22)に請求項1−16の方法のうちのいずれかを行わせる命令が記録されたコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、参照によりその全体がここに組み込まれる、2008年9月30日に出願された米国特許仮出願第61/101,584号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は画像を処理および/または表示するためのシステムおよび方法に関する。本発明の特定の実施態様は、高ブライトネスおよび/または高ダイナミックレンジ(highdynamic range(HDR))ディスプレイのための画像データを処理するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイの電圧応答は、通例、非線形である。在来のディスプレイでは、ディスプレイの出力輝度Yは次のように冪関数あるいはガンマ曲線によって入力値(例えば、入力電圧Vなどの、印加された信号または制御値)に関連付けられることができ:
【0004】
【数1】
ここでガンマ値γ(冪関数の指数の数値)は通例1.8ないし3.5の範囲内にあり、Yは所与の方向に投射される単位面積当たりの光度であり、通例cd/mまたはニトで表される。慣習的に、Yは、通例ディスプレイについての最大輝度に対応する白色基準の輝度に関して1に正規化され得る(例えば、200cd/mの輝度の白色基準を有するディスプレイについては、Y=1は200cd/mの輝度値を指す)。同様に、入力値は、最大入力値に関して1に正規化され得る。正規化された輝度値および正規化された入力値は、それぞれ、相対輝度値および相対入力値と称され得る。
【0005】
国際電気通信連合(InternationalTelecommunication Union(ITU))のRec.709規格は2.2のガンマ値を使用する。2.2のガンマ値を有するディスプレイの期待電圧応答の補償に資するように、画像データは、ガンマ値の逆数でガンマエンコードまたはガンマ補正され得る(すなわち、約1/2.2=0.45のガンマ値でエンコードされる)。図1は、2.2のガンマ値を有するガンマ曲線8(ディスプレイの電圧応答を表す)と、1/2.2のガンマエンコード値を有するガンマエンコード曲線9とを示す。図1の図示例に示されているように、Y=0.218で画像要素(例えばピクセル)を表示したい場合には、V=0.218のオリジナル入力値は、矢6により示されているようにガンマ補正された輝度値
【0006】
【数2】
を与えるようにガンマエンコード曲線9を用いてガンマ補正される。該画像要素を表示したいとき、ディスプレイは、対応するガンマ補正された入力値V=0.5で駆動される。非線形表示応答曲線8の故に、入力値V=0.5は、矢7により示されているように、希望される出力輝度Y=Vγ=(0.5)2.2=0.218を与える。
【0007】
通例およそ100ないし200cd/mまでの輝度レベルを有する在来のディスプレイでは、ディスプレイの非線形応答をその輝度範囲にわたって近似するために単一の冪法則ガンマ曲線(例えば方程式(1)の形の)が使用され得る。そのような輝度レベルでは、人間視覚システム(humanvisual system(HVS))は、偶然に、おおよそディスプレイのガンマ曲線の逆数である非線形の仕方で光を知覚する。
【0008】
およそ4000cd/mあるいはそれ以上の高さのピーク輝度を有する高ブライトネスおよび/または高ダイナミックレンジ(highdynamic range(HDR))ディスプレイが発達している。200cd/mを越え、4000cd/m以上に近くなる輝度レベルでは、単純な冪法則ガンマエンコード曲線はHVSのブライトネス知覚のためにはだんだん不適切となるが、それは、HVSがブライトネスの変化を高輝度レベルでは低輝度レベルでとは異なるように知覚するからである。
【0009】
高ブライトネスおよび/またはHDRディスプレイは、PCT特許出願公開第WO02/069030号、第WO03/077013号、第WO2006/010244号および第WO2008/092276号に記載されているものなどの、空間的に変調される光源を組み込むことができる。そのようなディスプレイは光源変調層(例えば、空間的に変調されるバックライト)およびディスプレイ変調層を含む。光源変調層は、後にディスプレイ変調層に提供される画像の割合に低解像度の表現を生じさせるように駆動され得る。その低解像度表現は、観察者に見られる、より高い解像度の画像を提供するためにディスプレイ変調層によってさらに変調される。光源変調層は、例えば発光ダイオード(lightemitting diode(LED))などの、能動的に変調される光源のマトリックスを含むことができる。ディスプレイ変調層は、光源変調層から光を受けるように配置および/または整列させられ得るものであるが、液晶ディスプレイ(liquidcrystal display(LCD))を含むことができる。従って、ディスプレイ変調層上のピクセルのブライトネスは、光源変調層における可変局所ブライトネスによる影響を受ける。
【0010】
光源変調層は画像の割合に低い解像度の表現を生じさせ得るので、駆動値が光源変調層に印加されたときにディスプレイ変調層で提供される期待輝度パターンは、ディスプレイ変調層の解像度で割合にゆっくりと変化し得る。従って、より低い解像度で期待輝度パターンを計算して、顕著なアーチファクトを導入せずに該期待輝度パターンを希望されるより高い解像度(例えば、ディスプレイ変調層の解像度)までスケーリングすることが可能である。
【0011】
異なる解像度を有する二重の変調層の使用は、二重変調器ディスプレイにおける画像データと出力輝度値との単純な1対1マッピングを妨げ得る。
高ブライトネスおよび/またはHDRディスプレイのために画像データを処理するシステムおよび方法が一般的に求められている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の非限定的実施態様を示す図面において、従来技術のガンマ曲線およびガンマエンコード曲線のグラフである。
図2A】ウェブサイトmedical.nema.orgで公開されている「医学におけるデジタルイメージングおよび通信(DigitalImaging andCommunications in Medicine)」規格により定義されているグレースケール標準ディスプレイ曲線のグラフであり、輝度Y(Y軸上の)は対数目盛りで示されている。
図2B図2の曲線の1つのセクションである。
図2C】二重変調ディスプレイのディスプレイ変調層のための入力制御値を出力制御値にマッピングする正味伝達関数のグラフである。
図3】本発明の1つの実施例に従う方法のフローチャートである。
図4】本発明の他の1つの実施例に従う方法のフローチャートである。
図5】本発明のさらに他の1つの実施例に従う方法のフローチャートである。
図6図3、4および5の方法を実行するために使用され得るシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次の記述の全体において、より完全な理解を当業者に提供するために具体的な詳細が説明される。しかし、周知の要素は、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳しくは示されず記述されなかったかもしれない。従って、説明および図面は、限定ではなく例示的意味に解されるべきである。
【0014】
上で論じられたように、在来のディスプレイは、入力値(例えば、電圧などの、印加された信号または制御値)を出力輝度値に関連させる冪関数(例えば、ガンマ曲線)によりモデル化され得る非線形伝達関数を示す。ディスプレイの非線形応答を補償するべく画像データをエンコードするためにガンマエンコード曲線が使用され得る。ピクセルがRGBトリプレットにより表現されるシステムでは、カラーチャネルの各々(すなわち、R、GおよびB値の各々)は、独立してガンマエンコードされ得る(すなわち、入力値を出力R、GおよびB値にマッピングするために冪法則が使用され得る)。また、HVSは、在来のディスプレイの輝度レベルにおいてほぼ該冪関数の逆数である非線形の仕方で光を知覚する。しかし、HVSのブライトネスの知覚のための冪関数近似は、高ダイナミックレンジを有するディスプレイ(HDRディスプレイ)あるいは高ブライトネスを有するディスプレイのためには役に立たない。
【0015】
本発明の特定の実施態様では、在来の冪法則ガンマエンコード曲線の代わりに、画像データをエンコードするために代替エンコード曲線または関数が適用され得る。そのエンコード曲線は、知覚曲線の一部分を抽出することによって確定され得る。知覚曲線の抽出される部分は、知覚曲線の輝度範囲の部分集合を含むことができる。知覚曲線の該部分は、画像データの特定のフレームの輝度データの範囲に、または画像データのフレームの特定の部分集合の輝度データの範囲に対応する輝度範囲の部分集合を含むことができる。知覚曲線の該部分は、ディスプレイ固有の補正情報に配慮して調整され得る。
【0016】
ここで使用されるとき、画像データをエンコードするということは、1つ以上の関数(例えばマッピング(1つまたは複数))を画像データに適用するプロセスを指す。次に、エンコードされた画像データは、ディスプレイを駆動するために使用される適切な制御値を提供するために使用され得る。特定の実施態様では、そのような制御値は、二重変調ディスプレイのディスプレイ変調層に出力される変調層制御値を含むことができる。1つの特定の実施態様では、エンコード曲線を生成するために使用される知覚曲線は、医学におけるデジタルイメージングおよび通信(DICOM)のPS3.14グレースケール標準ディスプレイ曲線(PS3.14Grayscale StandardDisplay Curve)(図2)である。DICOMPS3.14グレースケール標準ディスプレイ曲線(ここではDICOM曲線と称される)は、参照によりここに組み込まれる全米電気機器製造業者協会(NationalElectrical Manufacturer’s Association)により発行されたDICOM規格の2006年12月刊行物のパート14に記載されている。DICOM曲線は、様々の表示装置上での画像の現れ方により良い視覚的整合性を与えることを目的としてHVSの実証的研究に基づいてDICOM規格委員会により開発された。DICOM曲線などの知覚曲線は、入力値(例えば、入力電圧、デジタル駆動レベル等の、ディスプレイの印加信号または制御値)と出力輝度値または出力カラーチャネル値との間をマッピングするために使用され得る。DICOM知覚曲線という特定の場合には、DICOM曲線は弁別閾(just−noticeabledifference(JND))値を出力輝度値にマッピングする。単一のJND値のインクリメントは、平均的な観察人がやっと知覚できる所与目視条件下での所与ディスプレイの輝度の対応する変化が存在する入力値(例えば、電圧またはデジタル駆動レベル)のインクリメントを意味する。DICOM曲線は、入力値(例えばJND値および/またはディスプレイ入力値)と出力輝度値との関係を指定する上で光のHVS知覚を考慮する知覚曲線の例である。他の実施態様では、エンコード曲線を生成するためにDICOM曲線の代わりに他のタイプの曲線(知覚曲線であっても良いしそうでなくても良い)が使用され得る。
【0017】
図2に示されているように、DICOM曲線は、対応するJND値が0−1023の範囲(すなわち[0,210−1])内に存在する0.05−4000cd/mの輝度範囲について定められている。好都合なことに、或る高ブライトネスおよび/またはHDRのディスプレイも、4000cd/mの近くに最大輝度値を有する。或るディスプレイでは、ディスプレイのピーク輝度は、4000cd/mとは異なる輝度値にユーザ調整可能(あるいは別の方法で調整可能)であり得る。DICOM曲線は、次の解析関数:
【0018】
【数3】
によって表現されることができ、ここでLnは自然対数であり、jはJNDの輝度レベルLのインデックス(1−1023)を表し、係数は:a=−1.3011877、b=−2.5840191E−2、c=8.024636E−2、d=−1.0320229E−1、e=1.3646699E−1、f=2.8745620E−2、g=−2.5468404E−2、h=−3.1978977E−3、k=1.2992634E−4、およびm=1.3635334E−3によって与えられる。
【0019】
低い輝度レベルでは、ディスプレイの冪関数応答(方程式(1)により表される)はDICOM曲線に類似することがある。しかし、高い輝度レベルでは、該冪関数はDICOM曲線および/またはHVS応答から変化することがある。例えば、冪関数をDICOM曲線の輝度範囲において引き伸ばすと(すなわち冪関数をY=0の範囲からY=4000cd/mの範囲へプロットすることにより)、該冪関数は高い方の輝度レベルでDICOM曲線から逸れる。
【0020】
画像処理のための現行の規約は、通例、画像輝度(あるいは画像データのカラーチャネル)を表すために8ビットを使用する。そのような規約は、DICOM曲線の1024個の利用可能な輝度値に対する入力値の1対1マッピングに役立つことはできない。DICOM曲線の利用可能な出力輝度値の全てを表現する(すなわち、入力値とDICOM輝度値との間の1対1マッピングを提供する)ためには10ビットの輝度データが必要である。さらに、DICOM曲線はディスプレイ上に単一のピーク・ブライトネスを想定する。しかし、二重変調ディスプレイでは、光源変調層は空間的に変調された光をディスプレイ変調層に提供するので、ピーク・ブライトネスはディスプレイ変調層において局所的に変化する。さらに、或る二重変調ディスプレイでは、光源変調層はディスプレイ変調層とは異なる解像度を有し、それは画像データと出力輝度値との間の1対1マッピングを妨げる。
【0021】
本発明の特定の実施態様では、DICOM曲線などの知覚曲線のセクションが、画像データの各フレームのために、そのフレームの期待される輝度範囲に基づいて抽出される。該知覚曲線の該セクションは、該フレームの輝度範囲における輝度値(または他のピクセル値(例えば、R、GおよびBピクセル値))を該ディスプレイのための利用可能な制御値にマッピングするために使用され得る。このようにして決定されるマッピングは希望トータル応答曲線(desired−totalresponse curve)を表現することができる。特定のディスプレイでは、ディスプレイ変調器駆動値をディスプレイ変調器出力に関連させるためにディスプレイ固有の校正データが得られあるいは決定され得る。ディスプレイ固有の校正データは、各カラーチャネルについて得られあるいは決定され得る。エンコード曲線またはエンコード・マッピング関数は、既知のディスプレイ固有校正データを組み込むために希望トータル応答曲線を調整することによって得られ得る。すなわち、エンコード曲線は、該エンコード曲線を画像データに適用し、次にその結果としてのエンコードされた画像データをディスプレイ変調層に適用すると希望トータル応答が生じることとなるように該希望トータル応答曲線を予め調整することによって、該希望トータル応答曲線から得られ得る。このようにして得られたエンコード曲線は、画像データをエンコードする(すなわち、ディスプレイを駆動するための制御値を決定する)ために使用され得る。エンコード曲線は個々のカラーチャネルに適用され得る。
【0022】
画像データが二重変調ディスプレイで表示される或る実施態様では、画像データのエンコードはディスプレイ変調層のピクセルを駆動するために使用され得るディスプレイ変調器制御値を決定する。或る実施態様では、エンコードするプロセスは画像フレームのサブセクションに適用され得る。或る実施態様では、知覚曲線は、ディスプレイ固有の応答に配慮するために該知覚曲線を調整することによって予め校正され得る。このようにして、予め校正された知覚曲線のセクションからエンコード曲線が直接得られ得る。
【0023】
図6は、本発明の特定の実施態様に従う二重変調ディスプレイシステム20を示す。ディスプレイシステム20は画像データ23を表示するように動作することができる。ディスプレイシステム20は、本発明の方法を実行するように構成され得る。ディスプレイシステム20は、高ブライトネスおよび/またはHDRのディスプレイなどのディスプレイ21を含む。図示されている実施態様では、ディスプレイ21は、光源変調層21Aおよびディスプレイ変調層21Bを有する二重変調ディスプレイを含む。
【0024】
システム20はプロセッサ22も含み、これは、中央処理装置(CPU)、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のFPGA、あるいは、ここに記載されているように機能することのできるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む他の任意の適切な処理装置(単数または複数)を含むことができる。プロセッサ22は、光源変調層21Aを駆動するための光源変調器制御値25Aと、ディスプレイ変調層21Bを駆動するためのディスプレイ変調器制御値25Bとを生成するために画像データ23を処理する。特定の実施態様では、光源変調層21AはLEDのマトリックスを含む。そのような実施態様では、光源変調層21Aに提供される制御値25Aは、アナログLED駆動値(例えば電圧)に変換され得るデジタルLED駆動値を含むことができる。或る実施態様では、ディスプレイ変調層21BはLCDピクセルのアレイを含む。そのような実施態様では、ディスプレイ変調層21Bに提供される制御値25Bは、対応するLCDピクセル駆動値を含むことができ、それはアナログLCD駆動値に変換され得る。
【0025】
或る実施態様では、画像データ23は、既に在来のガンマエンコード方式に従ってエンコードされている。そのような実施態様では、システム20は、プロセッサ22による処理の前に(あるいはその一部として)画像データ23をデコードあるいは別の方法で線形化するための任意的な画像データデコーダ24を含むことができる。画像データデコーダ24は明瞭性を目的として別個の構成要素として示されているけれども、これは必要ではない。他の実施態様では、画像データデコーダ24は、プログラムメモリ26または他の適切な記憶場所に格納されている適切なソフトウェア命令を実行し得るプロセッサ22によって実現され得る。
【0026】
プロセッサ22は、ソフトウェア機能27により提供されるソフトウェア命令を実行することによって本発明の実施態様に従う方法を実行することができる。図示されている実施態様では、ソフトウェア機能27はプログラムメモリ26に格納されているけれども、それは必要なことではなくて、ソフトウェア機能27は、プロセッサ22の中のあるいはプロセッサ22にとってアクセス可能な他の適切な記憶場所に格納され得る。或る実施態様では、ソフトウェア機能27の部分は、代わりに、適切に構成されたハードウェアによって実行され得る。プロセッサ22は、図示されている実施態様で示されているように適切なデータ記憶装置に格納され得る知覚曲線データ29にもアクセスを有する。知覚曲線データ29は、入力値を出力輝度値にマッピングするために使用されるDICOM曲線または他の知覚曲線に対応する情報を含むことができる。図示されている実施態様では、プロセッサ22はディスプレイ固有校正データ33へのアクセスも有し、これは適切なデータ記憶装置に格納され得る。校正データ33は、ディスプレイ21の出力をディスプレイ変調層21Bの駆動値25Bに関連させることができる。図示されている実施態様では、以下でさらに詳しく説明されるように、プロセッサ22は希望トータル応答曲線28とエンコード曲線31とを生成し、それは適切なデータ記憶装置(単数または複数)に格納され得る。知覚曲線データ29、ディスプレイ固有校正データ33、希望トータル応答曲線データ28および/またはエンコード曲線データ31は、1つまたは複数のルックアップテーブル(lookup table(LUT))の形で提供され得る。
【0027】
図3は、本発明の特定の実施態様に従って画像データ23をエンコードしおよび/または表示する方法100を示す。方法100は、二重変調ディスプレイ21(図6)での表示のためにディスプレイシステム20により実行され得る。方法100は、他の適切な画像処理ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実行され得る。図示されている方法100は、画像データ23の単一のフレームを処理し表示する方法を表す。方法100は、画像データ23の多数のフレームを処理しおよび/または表示するために反復され得る。
【0028】
方法100は、画像データ23のフレームを受け取ることにより始まる。画像データ23は、例えば、非線形にエンコードされているデータ23A(例えば、在来の方法でガンマエンコードされているデータ23A)または線形にエンコードされているデータ23Bを含むことができる。画像データ23が、受け取られた時にガンマエンコードされているかあるいは別の仕方で非線形にエンコードされている画像データ23Aであるならば、その非線形にエンコードされている画像データ23Aは、線形化されている画像データ23Bを提供するためにブロック102で任意に線形化され得る。画像データ23(非線形にエンコードされている23Aまたは線形化されている23B)はブロック104で受け取られる。ブロック104は、光源変調層21Aのための適切な制御値25A(例えばLED駆動値)を決定するために画像データ23を使用することを含む。光源変調層制御値25Aを得るためのブロック104の手続きは、当業者に知られている適切な手法を用いることを含み得る。そのようなブロック104の手法は、最近接補間等を含むことができ、画像データ23の強度またはカラーなどの要素に基づくことができる。ブロック104は、適切なソフトウェア機能27A(図6)を実行するプロセッサ22によって行われ得る。
【0029】
方法100は次にブロック106に進み、これは、光源変調層21Aを介してディスプレイ変調層21Bで受け取られる期待輝度プロファイルに関する情報を決定することを含む。ブロック106の決定は、少なくとも部分的にブロック104の光源変調層制御値25Aに基づくことができる。非限定的な例を挙げると、ディスプレイ変調層21Bで受け取られる期待輝度を決定する方法がPCT公開第WO03/077013号、第WO2006/010244号および第WO2008/092276号に記載されており、これらは参照によりここに組み込まれる。ブロック106は、適切なソフトウェア機能27B(図6)を実行するプロセッサ22により行われることができる。
【0030】
特定の実施態様では、ブロック106は、画像データ23の特定のフレームまたは画像データ23のフレームの特定のサブセクションについて期待輝度プロファイルの最大輝度値52(YMAX)および最小輝度値53(YMIN)を推定するために光源変調層制御値25Aを使用することを含む。最小輝度YMINおよび最大輝度YMAXは、知覚曲線29(例えばDICOM曲線)から対応するセクション12を抽出するためにブロック108で使用され得る。知覚曲線29からセクション12を抽出するブロック108の手続きの特定の例が図2および2Aに示されている。図示されている例では、画像データ23は、最大輝度値52(YMAX≒100cd/m)および最小輝度値53(YMIN≒10cd/m)を有する輝度範囲10を持つように決定される(ブロック106で)。従って、ブロック108で抽出される知覚曲線29のセクション12は、図2Aに示されているように、YMIN≒10cd/mとYMAX≒100cd/mとの間の知覚曲線29のセクションである。
【0031】
輝度範囲10内の知覚曲線29のセクション12に対応するマッピング値は、解析関数(例えば方程式(2)のDICOM解析関数)を用いて計算されることができ、あるいは、プロセッサ22にとってアクセス可能であり得る適切なLUTから抽出されることができる。ブロック108は、適切なソフトウェア機能27C(図6)を実行するプロセッサ22によって行われ得る。方法100の残りの部分を記述する目的のために、該方法の一般性を限定すること無く、図2、2Aの知覚曲線29のセクション12はブロック108で抽出されるということが想定される。
【0032】
図2を参照すると、知覚曲線29のセクション12は輝度範囲10と、関連する制御値範囲14(例えば、DICOM曲線29の場合にはJND値の範囲14)とを有する。ブロック110は、ディスプレイ変調層21Bに対応するディスプレイ変調器制御値25Bの利用可能な範囲の中の制御値のこの範囲14をスケーリングすること、オフセットすることおよび/または他の仕方でマッピングすることを含む。例えば図2Aに示されているように、特定のディスプレイ変調層21Bのためのディスプレイ変調器制御値25Bが8ビット(すなわち[0,255])で表されるならば、ブロック110は、知覚曲線29のセクション12の制御値範囲14を該範囲[0,255]にマッピングすることと、該範囲[0,255]内の利用可能なディスプレイ変調器制御値25Bの各々に輝度範囲10内の(例えば、図示されている例の場合には、YMIN≒10cd/mとYMAX≒100cd/mとの間の)対応する輝度値Yを割り当てることとを含むことができる。ブロック110のマッピングは、知覚曲線29のセクション12を引き伸ばすために適切な補間手法または類似の数学的手法を含むことができる。ブロック110のマッピングは、必要ならば知覚曲線29のセクション12を圧縮するために適切なダウンサンプリング手法または類似の数学的手法を含むことができる。好ましくは、ブロック110のマッピングは、知覚曲線29のセクション12の形状を維持する。ブロック110は、適切なソフトウェア機能27D(図6)を実行するプロセッサ22により行われ得る。
【0033】
特定の例が図2Aに示されているブロック110のマッピングの出力は、(i)(図示されている曲線の横軸(x軸)上の変数LINにより表される)特定のディスプレイ変調層21Bの利用可能なディスプレイ変調器制御値25Bと(ii)ブロック106の最小輝度値(YMIN)および最大輝度値(YMAX)の間の輝度範囲10の中の(図示されている曲線の縦軸(y軸)上の変数Yにより表される)希望輝度値との関係を表す曲線である。ブロック110の曲線は、ここでは画像データ23のフレームのための希望トータル応答曲線28と称されて良い。ブロック110のマッピングのための値は、LUTから取り出されることができ、あるいは、知覚曲線29を表す解析関数を用いて計算されることができる。ブロック110の一部として、希望トータル応答曲線28は、そのx軸値および/またはy軸値が0から1に及ぶように、正規化され得る。正規化は、スケーリングおよび、場合により、オフセットすることを含むことができる。例えば、希望トータル応答曲線28のx軸上の利用可能なディスプレイ変調器制御値25Bが0から255に及ぶならば、希望トータル応答曲線28のディスプレイ変調器制御値25Bは、255で割る(すなわちスケーリングする)ことによって正規化され得る。
【0034】
ブロック110から出力される希望トータル応答曲線28は、ディスプレイ変調器制御値25B(LIN)および出力輝度値(Y)の間の希望されるマッピングを表す。しかし、方法100が実行されるそれぞれのディスプレイ変調層21Bは、それ自体の特定の出力を入力ディスプレイ変調器制御値25B(LIN)に関連させるそれ自体の(通例、非線形の)応答を有するであろう。特定のディスプレイ変調層21Bの応答は、ディスプレイ固有校正データ33によって表され得る。非限定的な例を挙げると、ディスプレイ固有校正データ33は、特定のディスプレイ変調層21Bについてディスプレイ変調器制御値25B(LIN)を対応する出力値あるいは対応する部分出力値に関連させるLUTを含むことができる。ディスプレイ固有校正データ33を構成する部分出力値は、例えば、希望される応答あるいは線形応答の一部分を含み得る。特定の実施態様では、ディスプレイ固有校正データ33は、各カラーチャネルまたは各三刺激チャネルのために提供され得る。他の実施態様では、ディスプレイ固有校正データ33は、カラーチャネルまたは三刺激チャネルの何らかの組み合わせとして提供され得る。
【0035】
1つの特定の非限定的例では、ディスプレイ固有校正データ33は、既知の駆動信号を光源変調層25Aに、次に、ディスプレイ21の対応する出力を確かめながら変化するディスプレイ変調器制御値25Bをディスプレイ変調層21Bに加えることによって、得られ得る。当業者に理解されるであろうように、ディスプレイ変調層21Bに関する校正情報33を得るために使用され得る種々様々な手法が存在する。
【0036】
ブロック112は、(ディスプレイ固有校正データ33により表される)ディスプレイ固有の偏差に配慮し、これによりエンコード曲線31を生成するために希望トータル応答曲線28を修正することを含む。エンコード曲線31の例が図2Bに示されている。図示されている実施態様では、エンコード曲線31は、(x軸上の)画像データ値を(y軸上の)エンコードされた画像値に関連させる。(エンコード曲線31のy軸上の)エンコードされた画像値は、ディスプレイ変調器制御値25Bを含むことができる(あるいは、それを生成するために使用されることができる)。図2Bに図示されている実施態様では、エンコード曲線31は、そのx軸およびy軸の両方の上で0から1に及ぶように正規化されている。
【0037】
図示されている実施態様では、ブロック112は、ディスプレイ固有校正データ33の効果を希望トータル応答曲線28に組み入れることによってエンコード曲線31を得ることを含む。より具体的には、ブロック112は、エンコード曲線31を画像データ23に適用し、次に、その結果としてのエンコードされた画像データ(すなわち、ディスプレイ変調器制御値25B)を特定のディスプレイ変調層21Bに適用すれば、希望トータル応答曲線28により予測される希望出力輝度が生じることとなるように、エンコード曲線31を生成することを含むことができる。或る実施態様では、ディスプレイ固有校正データ33は各カラーチャネルまたは各三刺激チャネルのために得られあるいは別の仕方で入手可能であり、その場合には、ブロック112は、各カラーチャネルまたは各三刺激チャネルのためにエンコード曲線31を得ることを含むことができる。ブロック112は、適切なソフトウェア機能27E(図6)を実行するプロセッサ22により行われ得る。
【0038】
二重変調器ディスプレイシステム20(図6)のディスプレイ21などの二重変調器ディスプレイでは、ディスプレイ変調層21Bにおいて受け取られる光は光源変調層21Aに起因して空間的に変化している。それゆえ、画像データ23は、この空間的に変化している光パターンに配慮するためにブロック117で調整され得る。ブロック117のプロセスは、ディスプレイ変調層21B内の各々のピクセルまたはピクセルのグループで受け取られる光をシミュレートあるいはモデル化すること、および、受け取られると期待される光の量を生じさせるために各々のピクセルまたはピクセルのグループに対応する画像データ23をスケーリング(あるいは他の仕方で調整)することを含むことができる。光源変調層21Aにより導入される光の空間的変化に配慮するために画像データ23を調整するブロック117のプロセスを実行するための種々の手法がPCT公開第WO03/077013号、第WO2006/010244号および第WO2008/092276号に記載されている。図示されている実施態様では、ブロック117のプロセスは線形化されている画像データ23Bに対して実行され、その結果は、調整され線形化された画像データ23Cである。
【0039】
ブロック114は、エンコード曲線31を画像データ23に適用することを含む。図示されている実施態様では、エンコード曲線31は、ブロック117から出力された調整され線形化された画像データ23Cに適用される。上で論じられたように、画像データ23Cに対するエンコード曲線31の適用は、ディスプレイ変調器制御値25Bを含み得る(あるいは、それを生成するために使用され得る)エンコードされた画像データ値を提供するために画像データ23Cをマッピングすることを含むことができる。ディスプレイ変調器制御値25Bは、ディスプレイ変調層21Bに対して出力され得る。或る実施態様では、各カラーチャネルまたは各三刺激チャネルのためにそれぞれエンコード曲線31が存在し、ブロック114は、調整され線形化された画像データ23Cの各々のカラーチャネルまたは三刺激チャネルに対してエンコード曲線31を適用することを含むことができる。他の実施態様では、単一のエンコード曲線31が全てのカラーチャネルまたは三刺激チャネルに適用され得る。或る実施態様では、ブロック114は、エンコード曲線31を輝度値に適用し、次に必要ならばその調整済み輝度値を逆にカラーチャネル値に変換することを含む。ブロック114のプロセスの結果は、ディスプレイ変調層21Bのピクセルを駆動するために使用され得るディスプレイ変調器制御値(エンコードされた画像データ)25Bのセットである。ブロック114は、適切なソフトウェア機能27F(図6)を実行するプロセッサ22により行われ得る。
【0040】
その後、ディスプレイ21(図6)での画像データ23のフレームの表示は、光源変調器値25Aを光源変調層21Aに出力することとディスプレイ変調器制御値25Bをディスプレイ変調層21Bに出力することとを含むことができる。
【0041】
図4は、本発明の他の実施態様に従う画像データ23をエンコードおよび/または表示する方法200を示す。方法200は、二重変調ディスプレイ21(図6)での表示のためにディスプレイシステム20により実行され得る。方法200の示されている図は、画像データ23の単一のフレームを処理し表示する方法を表す。方法200は、画像データ23の多数のフレームを処理し表示するために反復され得る。方法200は、幾つかの点で方法100と類似する。方法200においては参照数字の最初に“1”の代わりに“2”が付けられていることを除いて、方法200の、方法100の点と同一または類似の点には類似する参照数字が与えられている。
【0042】
方法200は、画像データ23のフレームを受け取ることにより始まる。画像データ23は、非線形にエンコードされている画像データ23A(例えば、在来の方法でガンマエンコードされている画像データ)または線形エンコードされている画像データ23Bを含むことができる。必要とされる程度まで、非線形にエンコードされている画像データ23Aは、線形化された画像データ23Bを提供するためにブロック202で線形化され得る。ブロック204で、光源変調層21Aのための適切な制御値25A(例えば、LED駆動値)が、ガンマエンコードされているデータ23Aまたは線形化されているデータ23Bから生成され得る。ブロック205は、ディスプレイ変調層21Bに提供されるべき理想的輝度プロファイルを決定するために非線形にエンコードされている画像データ23Aまたは線形化されている画像データ23Bを使用することを含む。ブロック205の理想的輝度プロファイルは、光源変調層21Aの制約を無視することを含み得る。非限定的な例を挙げると、ブロック205は、光源変調層21Aの解像度がディスプレイ変調層21Bの解像度と同じであるという−すなわち、あたかもディスプレイ変調層21Bの各ピクセルがそれ自体の独立した光源を有するかのような−想定を含むことができる。ブロック205の結果は、理想化最小輝度52A(理想的YMIN)および理想化最大輝度53A(理想的YMAX)である。ブロック206は、(光源変調層21Aの固有の制約を考慮に入れて)光源変調層21Aにより放射される光からディスプレイ変調層21B上の期待輝度のプロファイルを決定することを含む。ブロック206は、ブロック106と実質的に同様であり得、期待最小輝度52(YMIN)および期待最大輝度53(YMAX)を生じさせ得る。ブロック206の決定は、少なくとも部分的にはブロック204の光源変調層制御値25Aに基づくことができる。
【0043】
ブロック208は、ブロック205の理想化最小輝度値52A(理想的YMIN)および理想化最大輝度値53A(理想的YMAX)に基づいて知覚曲線29(例えばDICOM曲線)の対応するセクション12を抽出することを含む。ブロック208は、期待最小輝度値52(YMIN)および期待最大輝度値53(YMAX)の代わりに理想化最小輝度値52A(理想的YMIN)および理想化最大輝度値53A(理想的YMAX)が用いられることを除いて、上記のブロック108と実質的に同様であり得る。
【0044】
ブロック210において、知覚曲線29の抽出されたセクション12は、ディスプレイ変調層21Bに対応するディスプレイ変調器制御値25Bの利用可能な範囲にマッピングされる。ブロック210は、上記のブロック110と実質的に同様であり得る。ブロック210で決定されるマッピングは、画像データ23のフレームのための希望トータル応答曲線28を表す。
【0045】
ブロック209は、調整済み希望トータル応答曲線28Aを提供するためのブロック210の希望トータル応答曲線28の任意的調整を含む。希望トータル応答曲線28に対するブロック209の調整は、ブロック208における知覚曲線29のセクション12を抽出するための理想化輝度値52A、53A(理想的YMIN、理想的YMAX)の使用から生じているかもしれない擬似結果を除去することを含むことができる。ブロック210のマッピングを調整するブロック209のプロセスは、ブロック205で得られた理想化最小輝度値52A(理想的YMIN)および理想化最大輝度値53A(理想的YMAX)とブロック206で得られた期待最小輝度値52(YMIN)および期待最大輝度値53(YMAX)との差に基づくことができる。例えば、もしそれらの差がスレショルド値を超えたならば、ブロック210の希望トータル応答曲線28の値は、該差を小さくするために(例えば、理想化輝度プロファイルまたは期待輝度プロファイルの輝度範囲において希望トータル応答曲線28を引き伸ばしまたは圧縮することによって)調整され得る。もしそれらの差がスレショルド値を超えなければ、ブロック210の希望トータル応答曲線28は調整されなくても良い。
【0046】
希望トータル応答曲線28がブロック210で得られて、任意的にブロック209で調整されると、方法200はブロック212および214に進み、それらは、希望トータル応答曲線28、28Aおよびディスプレイ固有校正情報33に基づいてエンコード曲線31を生成することと、その後に、エンコードされた画像データ(すなわちディスプレイ変調器駆動値25B)を生成するために線形化され調整された画像データ23Cにエンコード曲線31を適用することとを含む。ブロック212、214、217は、上記のブロック112、114、117と実質的に同様であり得る。ブロック204で得られた光源変調器駆動値25Aおよびブロック214で得られたディスプレイ変調器制御値25Bは、ディスプレイ21で画像を表示するために光源変調器21Aおよびディスプレイ変調器21Bに供給されることができる。
【0047】
図5は、本発明の別の1つの実施態様に従って画像データ23をエンコードおよび/または表示する方法300を示す。方法300は、二重変調ディスプレイ21(図6)での表示のためにディスプレイシステム20により実行され得る。図示されている方法300は、画像データ23の単一のフレームを処理し表示する方法を表す。方法300は、画像データ23の多数のフレームを処理し表示するために反復され得る。方法300は、幾つかの点で方法100と類似する。方法300においては参照数字の最初に“1”の代わりに“3”が付けられていることを除いて、方法300の、方法100の点と同一または類似の点には類似する参照数字が与えられている。
【0048】
方法300は画像データ23のフレームを受け取ることにより始まり、それは(必要ならば)線形化された画像データ23Bを提供するためにブロック302で線形化され得る。ブロック304は、画像データ23の該フレームのために光源変調器制御値25Aを決定することを含む。ブロック304は、上記のブロック104と実質的に同様であり得る。方法300は、その後、ブロック303に進み、これは、画像データ23の該フレームを、その特定のフレームのための画像データ23の部分集合をそれぞれ含む複数の領域50に分割することを含む。ブロック303の領域50は、画像データ23のフレームの任意の適切な部分集合を含み得る。例えば、該画像フレームは、フレーム当たりに合計M×N個の領域50が存在するように、N個の領域をそれぞれ有するM個の行に分割されることができる。
【0049】
ブロック307で、各領域50のためのマッピングが決定される。各領域50について、ブロック307のマッピングは図2Aと同様であって良く、(図2Aのx軸上のLINにより表される)ディスプレイ変調層制御値25Bを(図2Aのy軸上のYにより表される)出力輝度値に関連させることができる。或る実施態様では、ブロック307は、各領域50について、方法100(図3)のブロック106ないし110のそれと同様の、あるいは方法200(図4)のブロック205ないし210のそれと同様の、ステップを実行することを含むことができる。ブロック307のマッピングが各領域50について決定された後、平滑化された希望トータル応答曲線28Bを決定するためにブロック311において領域50間の平滑化操作(例えば、双線形補間、フィルタリングあるいは他の適切な平滑化手法(単数または複数))が実行され得る。平滑化された希望応答曲線28Bは、画像データ23のフレーム全体のための希望応答曲線を含むことができ、あるいは複数のフレーム固有希望応答曲線を含むことができる。ブロック311の平滑化操作は、ブロック307における領域50間マッピングの不連続性を除去するために有益であり得る。ブロック311で平滑化された希望トータル応答曲線28Bが得られると、方法300は進行し、ディスプレイ固有校正情報33を組み入れることによってエンコード曲線31を得(ブロック312)、エンコードされた画像データ/ディスプレイ変調器制御値25Bを得るために線形化され調整された画像データ23Cにエンコード曲線31を適用する(ブロック314)。ブロック312、314および317は、上記のブロック112、114および117と実質的に同様であり得る。ブロック304で得られた光源変調器駆動値25Aおよびブロック314で得られたディスプレイ変調器制御値25Bは、ディスプレイ21で画像を表示するために光源変調器21Aおよびディスプレイ変調器21Bに提供され得る。
【0050】
図6に見られるように、ディスプレイシステム20は、本発明に従う方法を実行するように構成され得る。図示されている実施態様では、プロセッサ22は、光源変調層制御値(例えばLED駆動値)を導出する機能27A、ディスプレイ変調層21Bにおける輝度を推定する機能27B、知覚曲線29のセクション12を抽出する機能27C、抽出された曲線セクション12とディスプレイ変調器制御値25Bとの間のマッピングを決定する機能27D、校正情報33を組み入れることによってエンコード曲線31を得る機能27E、およびディスプレイ変調層21Bのピクセルを駆動するための制御値25Bを決定するためにエンコード曲線31を用いて画像データ23をエンコードする機能27Fなどのソフトウェア機能27を呼び出す。
【0051】
或る実施態様では、機能27は、プロセッサ22にとってアクセス可能なプログラムメモリ26に包含されるソフトウェアとして実現され得る。プロセッサ22は、プログラムメモリ26に包含されているソフトウェアにより提供されるソフトウェア命令を実行することによって図3、4または5の方法を実行することができる。他の実施態様では、機能27のうちの1つ以上あるいは機能27の部分は、適切に構成されたデータ処理ハードウェアによって実行され得る。
【0052】
本発明のいろいろな態様はプログラム製品の形でも提供され得る。該プログラム製品は、データプロセッサにより実行されると該データプロセッサに本発明の方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読情報のセットを保持している任意の媒体を含み得る。本発明に従うプログラム製品は多様な形のいずれでもあり得る。該プログラム製品は、例えば、フロッピーディスケット、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CDROM、DVDを含む光学データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM等を含む電子データ記憶媒体などの物理的媒体を含むことができる。該プログラム製品上のコンピュータ可読情報は、任意に圧縮あるいは暗号化され得る。
【0053】
叙上においてコンポーネント(例えばデバイス、プロセッサ、LED、LCD、光源変調層、ディスプレイ変調層、ディスプレイなど)が言及される場合、別様に指摘されない限り、そのコンポーネントへの言及(“手段”への言及を含む)は、本発明の図示された代表的実施態様においてその機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないコンポーネントを含めて、その記載されたコンポーネントの機能を実行する任意のコンポーネント(すなわち、機能的に同等であるもの)をそのコンポーネントの同等物として含むと解されるべきである。
【0054】
前記の開示にかんがみて当業者にとって明らかであろうように、本発明を実施するとき、その趣旨あるいは範囲から逸脱せずに多くの改変および変更が可能である。例は次のとおりである。
【0055】
ここに記載された方法は、静止画像データ(例えばスチルカメラから取り出された)に適用され得る。
例が上で提供されており、そこではディスプレイ変調器制御値25Bは8ビットにより提供される範囲[0,255]を有するものとして記載されている。これは必要なことではない。一般的に、ディスプレイ変調器制御値25Bは任意の適切なビット深さを含み得る。
【0056】
ディスプレイ変調層制御値を出力輝度値にマッピングするためにDICOM曲線の代わりに他の適切な曲線(知覚的であっても非知覚的であっても良い)が使用され得る。
上記の実施態様では、ディスプレイ固有校正情報33を組み入れ、これによりエンコード曲線31を得るために独立の手続きが希望トータル応答曲線28を調整する(例えば上記のブロック112を参照)。例を挙げるという目的のためには有益であるけれども、これは必要なことではない。或る実施態様では、(例えばブロック108で)抽出され(例えばブロック110で)ディスプレイ変調層制御値25Bの利用可能な範囲にマッピングされる知覚曲線29のセクション12がディスプレイ固有トータル希望応答曲線であるように、ディスプレイ固有校正情報33は知覚曲線29に前もって組み入れられても良い。非限定的な例を挙げると、別々の輝度範囲のために幾つかの前もって校正された知覚曲線が提供されて良く、その前もって校正された知覚曲線のうちの特定の1つが期待輝度値(例えばYMAX、YMIN等)に基づいて選択され得る。
【0057】
上記の実施態様では、知覚曲線の抽出される曲線セクションは、最小および最大の期待輝度値または理想輝度値(例えばYMIN、YMAX)の両方の推定値に基づき、光源変調器制御値25Aに基づいて決定される。或る実施態様では、最小輝度値(YMIN)の推定は固定され得る(例えば、期待または理想最小輝度(YMIN)の推定値はYMIN=0または他の何らかの適切な定数に等しいYMINにセットされ得る)。
【0058】
上記の実施態様では、画像を表示する方法は二重変調器ディスプレイと関連して記載されており、その特定の例が図6に示されている。他の実施態様では、本発明は、変調器を1つだけ有するけれどもいわゆる“ブライトネス”制御(例えばユーザ設定可能なブライトネス入力)を有するディスプレイにおいて実施され得る。そのような実施態様では、知覚曲線の対応するセクションの抽出は、該ブライトネス制御の特定の設定値に対応する最小期待輝度値および最大期待輝度値(例えばYMIN、YMAX)を推定することに基づくことができる。知覚曲線の抽出されたセクションは、次に、ディスプレイ変調器制御値の利用可能な範囲にマッピングされ、エンコード曲線を生成するために校正され、上記実施態様と同様の仕方でディスプレイ変調器制御値を生成するために画像データに適用され得る。
【0059】
叙上の全体にかんがみて、本発明は多くの態様を有する。それらの態様は、限定無しで、下記を含む。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6