特許第6019092号(P6019092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019092
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電線コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   H01R4/48 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-247978(P2014-247978)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-110862(P2016-110862A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000162342
【氏名又は名称】リズム協伸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 芳一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−010272(JP,U)
【文献】 実開昭58−130369(JP,U)
【文献】 特開2014−216148(JP,A)
【文献】 特開2002−151171(JP,A)
【文献】 特開平07−326400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁材料から形成された端子ホルダと、
該端子ホルダに保持され、電線と配線基板との間を電気的に接続するにあたり、前記電線の芯線を挟持する開閉可能な電気接点を含む導電性の接続端子と、
前記端子ホルダに設けられ、前記電気接点を開操作させる操作子と
備えた電気コネクタであって、
前記端子ホルダが、
ホルダ本体と、
前記ホルダ本体を一方向に貫通し、前記ホルダ本体の一端面に開口した電線挿入口及び前記ホルダ本体の他端面に開口した窓を有し、前記電線の挿通を許容する通路と、
前記ホルダ本体を前記一方向と直交する方向に貫通し、前記通路を前記電線挿入口側の第1挿通孔及び前記窓側の第2挿通孔とに分断するセンタボアと
を含み、
前記電気接点が、
前記センタボア内に配置された接点板と、
前記接点板との間に前記通路軸線を挟んで配置され、前記接点板と協働して前記芯線を弾性的に挟持可能な挟持片と
を含む、電線コネクタにおいて、
前記接点板は、前記通路軸線に沿い前記第2挿通孔に向けて先細状にして延び、前記芯線の挿通を案内する断面円弧形状のガイド溝を有し、
前記第2挿通孔は、
前記センタボアに連なり且つ前記窓に向けて先細状をなすテーパ孔部と、
該テーパ孔部と前記窓との間を接続し、前記芯線が嵌合可能なストレート孔部とを有する、
ことを特徴とする電線コネクタ。
【請求項2】
前記第1挿通孔は、
前記電線挿入口から前記センタボアに向けて先細状をなすテーパ穴部と、
前記テーパ穴部と前記センタボアに開口する前記第1挿通孔の内端との間を接続し、前記芯線が嵌合可能なストレート穴部とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電線コネクタ。
【請求項3】
前記操作子は、該操作子と前記センタボアの内周縁とを接続し、前記電気接点に向けて前記操作子の押し込みを可能にするヒンジと、前記操作子の押し込みに伴い、前記接点板と前記挟持片との間に食い込んで前記接点板と前記挟持片との間の間隔を拡開させる楔とを有する、請求項1又は2に記載の電線コネクタ。
【請求項4】
前記ヒンジは、前記楔が前記接点板と前記挟持片との間に食い込む際に前記接点板を不動とし、該接点板から前記挟持片を離間させるべく前記操作子の傾動を許容するヒンジ軸線を有することを特徴とする請求項3に記載の電線コネクタ。
【請求項5】
前記ホルダ本体は、前記1挿通孔を有する第1ホルダ半体と、前記第2挿通孔を有する第2ホルダ半体とから形成され、これら第1及び第2ホルダ半体は互いに組み合わされて前記センタボアを規定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電線コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と配線基板との間の電気的な接続に使用される電線コネクタに係わり、特に芯線が撚り線である電線との接続に好適した電線コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電線コネクタは種々のタイプが開発され、その中でも芯線を撚り線とした電線に適用される電線コネクタが例えば、以下の特許文献1に開示されている。特許文献1の電線コネクタは、端子本体内に配置された端子板及びばね板を含み、電線の芯線は端子板とばね部材との間に挟持され、端子板に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-326400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電線コネクタの場合、電線の芯線は撚り線であるためにばらけ易く、端子本体内に挿通された芯線を端子板上の所望の位置に導くことが困難となる。しかも、特許文献1では芯線のばらけを許容しているので(図3,4参照)、芯線と端子板との間での安定した電気的接続が担保されない。
更に、電線コネクタから電線が引き抜かれた後、芯線の先端はばらけた状態のままであるので、端子本体への芯線の再挿通には芯線の撚り直しが要求され、芯線の取り扱いが容易ではない。
【0005】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは芯線が撚り線であっても、電線に対する安定した電気的な接続が担保され、芯線の取り扱いが容易となる電線コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、本発明の請求項1の電線コネクタによって達成され、該電線コネクタは、電気絶縁材料から形成された端子ホルダと、該端子ホルダに保持され、電線と配線基板との間を電気的に接続するにあたり、電線の芯線を挟持する開閉可能な電気接点を含む導電性の接続端子と、端子ホルダに設けられ、電気接点を開操作させる操作子とを備えている。
【0007】
請求項1の端子ホルダは、ホルダ本体と、該ホルダ本体を一方向に貫通し、ホルダ本体の一端面に開口した電線挿入口及びホルダ本体の他端面に開口した窓を有し、電線の挿通を許容する通路と、ホルダ本体を一方向と直交する方向に貫通し、通路を電線挿入口側の第1挿通孔及び窓側の第2挿通孔とに分断するセンタボアとを含み、
一方、請求項1の電気接点は、センタボア内に配置された接点板と、該接点板の間にて通路軸線を挟んで配置され、接点板と協働して芯線を弾性的に挟持可能な挟持片と含む。
【0008】
そして、請求項1の電線コネクタは、接点板が通路軸線に沿い第2挿通孔に向けて先細状にして延び、芯線の挿通を案内する断面円弧形状のガイド溝を有し、第2挿通孔が前記センタボアに連なり且つ窓に向けて先細状をなすテーパ孔部と、該テーパ孔部と窓との間を接続し、芯線が嵌合可能なストレート孔部とを有することに特徴付けられる。
上述の請求項1の電線コネクタによれば、操作子を介して接続端子の電気接点が開操作された状態で、電線の芯線が端子ホルダの前記通路に挿通され、芯線は第1挿通孔及び接点板のガイド溝を経て第2挿通孔のストレート孔部までに導かれる。
【0009】
この際、ガイド溝が断面円弧形状で且つ先細状をなし、そして、第2挿通孔が上述のテーパ孔部とストレート孔部の組合せから形成されているので、ガイド溝は芯線のばらけを抑制しつつ芯線の先端を案内し、更に、第2挿通孔のテーパ孔部は芯線の先端にばらけが生じていても、ここでのばらけを纏めながらストレート孔部に導き、該ストレート孔部に嵌入させる。それ故、芯線の先端はその全周がストレート孔部にて拘束され、芯線における先端のばらけは回避される。
【0010】
この後、操作子による開操作が解除されれば、芯線はガイド溝と挟持片との間にて弾性的に挟持されるので、芯線は接点板(ガイド溝)に面接触した状態で、芯線と接続端子との間の電気的な接続が達成され、この場合、芯線は電気接点と前記ストレート孔部との2箇所で支持される。
例えば、上述の第1挿通孔もまた、電線挿入口からセンタボアに向けて先細状をなすテーパ穴部と、テーパ穴部とセンタボアに開口する第1挿通孔の内端との間を接続し、芯線が嵌合可能なストレート穴部とを有することができる(請求項2)。
【0011】
請求項2の電線コネクタによれば、第1挿通孔内に芯線を挿通する前に芯線の先端が多少、ばらけていても、ここでのばらけは芯線の先端がテーパ穴部を通過する過程で纏められ、この後、芯線はストレート穴部に嵌入しながらで、前述したようにガイド溝を経て第2挿通孔に導かれる。この場合、芯線は、ストレート穴部を加えた3箇所で支持される。
一方、前述の操作子は、該操作子とセンタボアの内周縁とを接続し、電気接点に向けて操作子の押し込みを可能にするヒンジと、操作子の押し込みに伴い、接点板と挟持片との間に食い込んで接点板と挟持片との間の間隔を拡開させる楔とを有する(請求項3)。この場合、ヒンジは、楔が接点板と挟持片との間に食い込む際に接点板を不動とし、該接点板ら挟持片を離間させるべく操作子の傾動を許容するヒンジ軸線を有しているのが好ましい(請求項4)。
【0012】
請求項3の電線コネクタによれば、操作子の押し込み操作だけで、電気接点の開操作が行われる。そして、請求項4の電線コネクタによれば、電気接点の開操作に拘わらず、接点板が不動であるので、接点板のガイド溝は前述した通路軸線に対して所定の位置に維持される。
更に、ホルダ本体は、第1挿通孔を有する第1ホルダ半体と、第2挿通孔を有する第2ホルダ半体とから形成され、これら第1及び第2ホルダ半体が互いに組み合わされてセンタボアを規定するのが望ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の電線コネクタは、電気接点における接点板のガイド溝と、テーパ孔部とストレート孔部とからなる第2挿通孔とを備えたことで、芯線が撚り線であっても、電線に対する安定した電気的な接続が担保されるとともに、芯線の取り扱いを容易にする。
なお、本発明の他の特徴については後述の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電気コネクタを示した斜視図である。
図2図1の電気コネクタの分解斜視図である。
図3図1の電気コネクタの縦断面図である。
図4図2の接続端子の端面図である。
図5図1の操作子を一部破断して示す端面図である。
図6図5の操作子が休止位置から押し込まれ状態を示す図である。
図7】(A)電線の挿通前の電気コネクタを示した水平縦断面図、(B)その横断面図である。
図8】(A)電線の挿通直前の電気コネクタを示した水平縦断面図、(B)その横断面図である。
図9】(A)電線の挿通後の電気コネクタを示した水平縦断面図、(B)その横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係る電線コネクタが示されている。この電線コネクタは電線Cとプリント配線基板(図示せず)との間の電気的な接続を中継するために使用され、長尺なブロック形状をなす端子ホルダ10を備えている。この端子ホルダ10は例えばプラスチック材料等の電気絶縁材料から形成されている。
端子ホルダ10はホルダ本体12を含み、本実施形態の場合、ホルダ本体12はホルダ半体14,16を組み合わせて形成されている。
【0016】
図2から明らかなようにホルダ半体14からは一対のガイドアーム18がホルダ半体16に向けて互いに平行に延びている。一方、ホルダ半体16からは一対の結合アーム20がホルダ半体14に向けて互いに平行に延び、その先端には係止爪22がそれぞれ形成されている。
図2に示す状態からホルダ半体14,16が互いに近接する方向に移動されると、結合アーム20は対応する側のガイドアーム18上を案内され、その先端の係止爪22がホルダ半体14側の係合穴(図示せず)に嵌り込むことで、ホルダ半体14,16は互いに結合し、ホルダ本体12を形成する。このようにして形成されたホルダ本体12はその中央にセンタボア24(図1参照)を有し、このセンタボア24はホルダ半体14,16間にて形成され、図1でみてホルダ本体12を上下方向に貫通する。ここで、上下方向とは、電線コネクタがプリント配線基板上に実装されたとき、プリント配線基板の基板面と直交する方向である。
【0017】
また、ホルダ本体12が形成されるとき、ホルダ本体14,16間にて導電性を有した接続端子26が挟み込まれ、この接続端子26の電気接点28がセンタボア24内に位置付けられる。図3から明らかなようにホルダ本体12に接続端子26が保持された状態にあるとき、接続端子26はホルダ本体12の底面から露出し、この露出面の一部がプリント配線基板との電気的な接続に使用される。なお、接続端子26の詳細については後述する。
【0018】
図3から明らかなようにホルダ本体12内には一方向、即ち、その長手軸線(通路軸線)A上に通路30が形成されている。この通路30はホルダ本体12を貫通して延び、電線Cの芯線Sの挿通を許容する。ここで、本実施形態の場合、芯線Sは撚り線である。ホルダ本体12は前述したセンタボア24を有しているので、通路30はセンタボア24によって、ホルダ半体14内の第1挿通孔32と、ホルダ半体16内の第2挿通孔34とに分断されている。
【0019】
第1挿通孔32はホルダ本体12の一端面に開口した電線挿入口36と、センタボア24に連なる内端との間にて2つの領域に区分されている。具体的には、第1挿通孔32は電線挿入口36からセンタボア24に向けて先細状をなすテーパ穴部38と、このテーパ穴部38とセンタボア24とを接続するストレート穴部40とに区分されている。電線挿入口36は電線Cの外径よりも十分に大きな内径を有するのに対し、ストレート穴部40は長手軸線Aに沿い芯線Sの直径にほぼ等しい一定の内径を有する。それ故、芯線Sがストレート穴部40を通過する際、芯線Sはストレート穴部40に嵌入した状態となる。
【0020】
また、第2挿通孔34はホルダ本体12の他端面に開口した窓42と、センタボア24に連なる開口44との間にて2つの領域に区分されている。即ち、第2挿通孔34は開口44から窓42に向けて先細状をなすテーパ孔部46と、このテーパ孔部46と窓42とを接続するストレート孔部48とに区部されている。開口44は電線挿入口36の内径と電線Cの外径との間の内径を有し、ストレート孔部48は前述のストレート穴部40の内径と同一の内径を有する。
【0021】
再度、図2を参照すれば、前述した接続端子26は長手軸線Aに沿う長尺な導電性のばねプレートから一体に成形されている。具体的には、接続端子26は前述したようにホルダ本体12の底面に露出するベース50を有し、このベース50にはその中央及びホルダ半体16側の端部に一対ずつの側壁片52,54が設けられている。これら側壁片52,54はベース50の対応する側の側縁からそれぞれ立ち上げられている。なお、側壁52,54は前述したホルダ本体12を形成すべくホルダ半体14,16が組み合わされるとき、対応する側のホルダ半体の穴に差し込まれることで、そのホルダ半体と係合される。
【0022】
ベース50の一方の側縁に位置する側壁片52,54間には、前述した電気接点28の一部を構成する接点板56が設けられ、この接点板56はベース50の一部を切り起こすことで形成されている。なお、接点板56は図3に示されるようにホルダ本体12内にて第2挿通孔34に隣接して位置付けられる。
詳しくは、接点板56と長手軸線Aとの間には所定の間隔が確保され、接点板56は長手軸線A側の面にガイド溝58を有する。このガイド溝58は長手軸線Aに沿って延び断面円弧形状をなし、芯線Sの挿通を案内する。更に、ガイド溝58は前述した第2挿通孔34に向けて先細状に形成され、それ故、ガイド溝58の溝幅は第2挿通孔34に近付くに連れて徐々に減少されている。
【0023】
更に詳しくは、ガイド溝58は長手軸線A上を中心とした曲率半径を有し、第2挿通孔34に隣接したガイド溝58の端での曲率半径は芯線Sの外径の1/2であるが、第1挿通孔32側のガイド溝58の端での曲率半径は芯線Sの外径の1/2よりも大である。
また、接点板56の上縁はベース50の一方の側縁側に折り返されたフランジ60を形成している。
【0024】
一方、ベース50の他方の側縁に位置した側壁片52には、接点板56側の端縁に細長の挟持片62が設けられており、この挟持片62は電気接点28の残部を構成する。挟持片62は接点板56に向けて斜めに延び、その先端は長手軸線Aを横切り、図4に示されるように接点板56の前記面との間に所定のギャップを存して位置付けられている。
ここで、挟持片62における根元の幅は、長手軸線Aに沿う接点板56の長さよりも十分に短く、挟持片62が接点板56に比べ、その根元を中心にその復元力に抗して回動し易い、つまり、弾性変形し易いことに留意すべきである。
【0025】
また、挟持片62の上縁にもフランジ64が設けられており、このフランジ64の端縁は接点板56のフランジ60との間に長手軸線Aに沿う一定幅のギャップGを形成する。
前述した接点板56及び挟持片62からなる電気接点28が図4に示す状態にあるとき、電気接点28、即ち、挟持片62は前述の通路30を閉じた閉位置にある。
電気接点28を閉位置から開作動させるため、一実施形態の端子ホルダは操作子66を一体に有し、この操作子66について以下に説明する。
【0026】
操作子66は矩形の押しボタン68を備え、この押しボタン68は図1及び図3から明らかなように電気接点28を上方から覆うように配置され、前述のセンタボア24内に侵入可能なサイズを有する。押しボタン68からは支持アーム70がセンタボア24の内縁、具体的にはホルダ半体14に向けて延び、この支持アーム70はセルフヒンジ72を介してホルダ半体14に接続されている。
【0027】
図3を参照すればより明らかなように、セルフヒンジ72は支持アーム70に比べて十分に薄い肉厚を有する。それ故、押しボタン68が押圧されたとき、支持アーム70はセルフヒンジ72を中心に回動し、これにより、押しボタン68が電気接点28に向けて押し込まれる。
押しボタン68の下面、即ち、電気接点28と対向する面には楔74が突出されている。この楔74は断面でみて三角形状をなし、長手軸線Aに沿って延びている。詳しくは、押しボタン68が押圧されていないとき、図4に示されるように押しボタン68はその楔74の尖端が電気接点28の前述したギャップGの直上に位置した休止位置に位置付けられている。
【0028】
更に、本実施形態の場合、楔74は二等辺三角形でなく、不等辺三角形であることに留意すべきである。具体的には、楔74の三角形状を規定する2つの辺のうち、電気接点28の挟持片62側に位置した一方の辺74aと楔74の尖端を通過する押しボタン68の縦断面とがなす角度は他方の辺74bと縦断面とがなす角度に比べて大となっている。
押しボタン68が前述の休止位置から押し込まれたとき、楔74はギャップGに侵入する。ここでの楔74の侵入に伴い、電気接点28にあっては、挟持片62が根元を中心として接点板56から離間する方向に復元力に抗して回動する。この結果、挟持片62の尖端と接点板56との間の間隔が拡開し、電気接点28は閉位置から開位置に位置付けられる。
【0029】
ここで、前述したように挟持片62は接点板56に比べて弾性変形し易いことから、電気接点28が開操作される際、挟持片62のみが弾性変形するだけで、接点板56に弾性変形が生じることはなく、接点板56は実質的に不動である。それ故、電気接点28が開位置に位置付けられても、長手軸線Aと接点板56のガイド溝58との位置関係が変化することはない。
【0030】
また、本実施形態の場合、図5に示されるように前述のセルフヒンジ72のヒンジ軸線73は押しボタン68の平坦な上面と平行ではなく、楔74の傾斜面74b側の部位が下方となるように傾斜されている。つまり、図5でみて、ヒンジ軸線73は右下がりにして傾斜されている。
このようにヒンジ軸線73が傾斜されていれば、押しボタン68が図6中の矢印Bで示すように押し込まれたとき、押しボタン68は図6中の矢印Nで示すように傾動する。このような押しボタン68の傾動及び前述した不等辺三角形の楔74は互いに協働して、押しボタン68の押し込みストロークLに対して接点板56と挟持片62との間の拡開幅Wを大きく確保する。
【0031】
次に、図7図9を参照しながら前述の電気コネクタと電線Cとの接続について説明する。なお、図7図9は端子ホルダを一体成形品として示している。
図7(A),(B)は電気接点28が閉位置にあって、電線Cの芯線Sが電気コネクタの端子ホルダ10内に挿通される前の段階を示す。この場合、図7(B)に示されるように、押しボタン68は閉位置にある電気接点28の直上に配置されている。
【0032】
図7に示す状態から押しボタン68が押し込まれると、図8(A),(B)に示されるように、電気接点28は閉位置から開位置に位置付けられる。この時点で、電線Cを挿通させるための通路30が開かれる。
そして、電気接点28を開位置に保持した状態で、端子ホルダ10の電線挿入口36から電線Cの芯線Sが挿入されていき、挿入された芯線Sは第1挿通孔32及び電気接点28のガイド溝58を経て第2挿通孔34内までに導かれ、図9(A)に示されるように芯線Sの先端は第2挿通孔34内に位置付けられる。
【0033】
この後、押しボタン68による押し込みが解除されれば、押しボタン68はそのボタンアーム70の復元力により休止位置に復帰する一方、電気接点28の挟持片62もまた復元力により接点板56に向けて復帰し、図9(B)に示されるように挟持片62はガイド溝58との間にて芯線Sを弾性的に挟持する。この時点で、電線Cと電気接点28との間の電気的な接続が確立される。
【0034】
本実施形態の場合、芯線Sは撚り線であるためにばらけ易い。しかしながら、端子ホルダ10の第1挿通孔32はその電線挿入口36に連なる部位がテーパ穴部38として形成されているため、たとえ芯線Sの先端がばらけていても、先端を第1挿通孔32内に容易に挿通させることができる。
この後、芯線Sの先端がテーパ穴部38内を更に進行する過程で、先端のばらけは絞り込まれていき、そして、芯線Sの先端が第1挿通孔32のストレート穴部40を通過する際、先端のばらけはストレート穴部40の内周によって綺麗に纏められる。
【0035】
それ故、芯線Sの先端がストレート穴部40から抜け出しても、そのばらけは既に纏められているので、芯線Sの先端は接点板56のガイド溝58に円滑に導かれ、このガイド溝58に案内された後、第2挿通孔34内に更に導かれる。
ここで、前述したように電気接点28が開位置にあっても、接点板56、即ち、ガイド溝58は芯線Sの挿通ラインを規定する長手軸線Aに対して変位しないので、芯線Sの先端を安定して案内することができる。
【0036】
この際、芯線Sはガイド溝58に案内されない半周側にてばらける虞があるものの、第2挿通孔34もまたその入口側の部位がテーパ孔部46として形成されているので、芯線Sの先端は第2挿通孔34内に円滑に導かれ、そして、先端が第2挿通孔34のストレート孔部48に位置付けられることで、先端のばらけはストレート孔部48にて再度纏められ、解消される。
【0037】
上述したように本実施形態の電気コネクタは芯線Sが撚り線であっても、端子ホルダ10内への芯線Sの挿通が容易となり、芯線Sの取り扱い性に優れる。
また、電気接点28にて、芯線Sはガイド溝58に嵌り合った状態にあるので(図9(B)参照)、芯線Sと接点板56(ガイド溝58)との密着が良好となり、電線Cと電気接点28との電気的な接続を安定させるうえでも好適する。
【0038】
更に、本実施形態の場合、端子ホルダ10内に挿通された芯線Sは、電気接点28での支持に加えて、第1挿通孔32のストレート穴部40及び第2挿通孔34のストレート孔部48でも支持されることから、電気接点28と芯線Sとの間の電気的な接続を維持するうえでも更に好適する。
最後に、本実施形態の電気コネクタの場合、前述の説明から既に明らかであるように、端子ホルダ10からの芯線Sの引き抜き、また、その芯線Sの再挿通もまた容易であることは言うまでもない。
【0039】
本発明は上述の一実施形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、端子ホルダ10のホルダ本体12は一体成形品として形成することも可能であるが、ホルダ半体14,16を別々に成形し、これらホルダ半体14,16を組合せてホルダ本体12とする方が、ホルダ本体12を容易に得ることができる。
また、端子ホルダ10、接続端子26、操作子66の具体的な形状に関しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更可能であり、更に、本発明の電気コネクタは芯線が単線である電線にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 端子ホルダ
12 ホルダ本体
14,16 ホルダ半体
24 センタボア
28 電気接点
30 通路
32 第1挿通孔
34 第2挿通孔
38 テーパ穴部
40 ストレート穴部
36 電線挿入口
42 窓
46 テーパ孔部
48 ストレート孔部
56 接点板(電気接点)
58 ガイド溝
62 挟持片
66 操作子
68 押しボタン
70 支持アーム
72 セルフヒンジ
73 ヒンジ軸線
74 楔
A 長手軸線(通路軸線)
電線 C
芯線 S
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9