特許第6019097号(P6019097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019097
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20161020BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20161020BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20161020BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B60C11/12 B
   B60C5/00 H
   B60C11/03 100C
   B60C11/13 C
   B60C11/12 A
   B60C11/12 D
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-256280(P2014-256280)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-117304(P2016-117304A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】大場 亮
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−208507(JP,A)
【文献】 特開2009−113652(JP,A)
【文献】 特開2009−292253(JP,A)
【文献】 特開2005−119415(JP,A)
【文献】 特開2010−274846(JP,A)
【文献】 特開2001−105808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/12
B60C 5/00
B60C 11/03
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンを備えたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤが車両に装着されたときに車両外側に位置する外側トレッド端と、
最も前記外側トレッド端側でタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝と、
前記外側ショルダー主溝と前記外側トレッド端との間に区分された外側ショルダー陸部とを含み、
前記外側ショルダー陸部には、
前記外側ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ互いに離間した複数本の外側ショルダー傾斜溝と、
前記外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのびる外側ショルダーサイプとが設けられており、
前記外側ショルダー傾斜溝は、タイヤ軸方向外側に向かってタイヤ周方向に対する角度αが漸減するように湾曲し、
前記外側ショルダーサイプは、前記外側ショルダー傾斜溝と逆方向に傾斜して前記外側ショルダー傾斜溝に連通することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外側ショルダー傾斜溝のタイヤ軸方向の各外端は、タイヤ周方向で隣接する他の外側ショルダー傾斜溝に近接して設けられ、
前記外側ショルダーサイプは、前記各外側ショルダー傾斜溝の前記外端近傍を通って前記他の外側ショルダー傾斜溝に連通する複数の第1外側ショルダーサイプを含む請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記外側ショルダーサイプは、タイヤ周方向に隣接する前記第1外側ショルダーサイプの間に設けられた第2外側ショルダーサイプを含む請求項2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記外側ショルダー傾斜溝の幅は、2.0〜3.0mmであり、前記外側ショルダーサイプの幅は2.0mm未満である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記トレッド部は、タイヤ赤道と前記外側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる外側センター主溝と、前記外側ショルダー主溝と前記センター主溝との間で区分された外側ミドル陸部とを含み、
前記外側ミドル陸部には、
前記外側ショルダー主溝と前記外側センター主溝とをつなぐ複数の外側ミドルサイプが設けられ、
前記外側ミドルサイプは、前記外側ショルダー傾斜溝と同じ向きに傾斜するとともに、タイヤ周方向に対する角度βが前記外側センター主溝に向かって漸減するように湾曲している請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記外側ミドルサイプは、長手方向の中央部での深さが、前記外側ショルダー主溝及び前記外側センター主溝に連通する両端部での深さよりも大きい請求項5記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記外側ミドルサイプの幅は、2.0mm未満である請求項5又は6に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷雪路における旋回性能を高めることができる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部にタイヤ周方向に連続してのびるショルダー主溝が設けられることにより、ショルダー主溝とトレッド端との間に区分されたショルダー陸部を具える空気入りタイヤが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ショルダー陸部に、トレッド端からタイヤ軸方向内側にのびるショルダーラグ溝と、ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびるショルダーサイプとを有する空気入りタイヤが提案されている。ショルダーラグ溝とショルダーサイプとは、タイヤ周方向に対して互いに同じ向きに傾斜している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−139193号公報
【0005】
しかしながら、上記空気入りタイヤでは、ショルダーラグ溝とショルダーサイプとが、同じ向きに傾斜しているため、右旋回又は左旋回のいずれかにおいて、ショルダーラグ溝及びショルダーサイプののびる方向が、タイヤ進行方向に垂直な方向と一致することがある。このような場合、ショルダーラグ溝及びショルダーサイプによってタイヤ進行方向に垂直な方向でのエッジ効果が十分に得られないため、氷雪路での旋回性能が低下するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、右旋回又は左旋回のいずれにおいても、氷雪路での旋回性能を高めることができる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンを備えたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、前記トレッド部は、タイヤが車両に装着されたときに車両外側に位置する外側トレッド端と、最も前記外側トレッド端側でタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝と、前記外側ショルダー主溝と前記外側トレッド端との間に区分された外側ショルダー陸部とを含み、前記外側ショルダー陸部には、前記外側ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ互いに離間した複数本の外側ショルダー傾斜溝と、前記外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのびる外側ショルダーサイプとが設けられており、前記外側ショルダー傾斜溝は、タイヤ軸方向外側に向かってタイヤ周方向に対する角度αが漸減するように湾曲し、前記外側ショルダーサイプは、前記外側ショルダー傾斜溝と逆方向に傾斜して前記外側ショルダー傾斜溝に連通することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記外側ショルダー傾斜溝のタイヤ軸方向の各外端は、タイヤ周方向で隣接する他の外側ショルダー傾斜溝に近接して設けられ、前記外側ショルダーサイプは、前記各外側ショルダー傾斜溝の前記外端近傍を通って前記他の外側ショルダー傾斜溝に連通する複数の第1外側ショルダーサイプを含むことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記外側ショルダーサイプは、タイヤ周方向に隣接する前記第1外側ショルダーサイプの間に設けられた第2外側ショルダーサイプを含むことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記外側ショルダー傾斜溝の幅は、2.0〜3.0mmであり、前記外側ショルダーサイプの幅は2.0mm未満であることが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部は、タイヤ赤道と前記外側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる外側センター主溝と、前記外側ショルダー主溝と前記センター主溝との間で区分された外側ミドル陸部とを含み、前記外側ミドル陸部には、前記外側ショルダー主溝と前記外側センター主溝とをつなぐ複数の外側ミドルサイプが設けられ、前記外側ミドルサイプは、前記外側ショルダー傾斜溝と同じ向きに傾斜するとともに、タイヤ周方向に対する角度βが前記外側センター主溝に向かって漸減するように湾曲していることが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記外側ミドルサイプは、長手方向の中央部での深さが、前記外側ショルダー主溝及び前記外側センター主溝に連通する両端部での深さよりも大きいことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記外側ミドルサイプの幅は、2.0mm未満であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気入りタイヤは、外側ショルダー陸部に、外側ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ互いに離間した複数本の外側ショルダー傾斜溝と、外側トレッド端からタイヤ軸方向内側にのびる外側ショルダーサイプとが設けられている。外側ショルダー傾斜溝は、タイヤ軸方向外側に向かってタイヤ周方向に対する角度αが漸減するように湾曲しているので、旋回時のスリップ角に応じて、外側ショルダー傾斜溝によってタイヤ進行方向に垂直な方向でのエッジ効果が得られる。これにより、氷雪路での旋回性能が向上する。
【0015】
一方、外側ショルダーサイプは、外側ショルダー傾斜溝と逆方向に傾斜するので、右旋回又は左旋回のいずれにおいても、外側ショルダー傾斜溝又は外側ショルダーサイプのいずれかによって、タイヤ進行方向に垂直な方向でのエッジ効果が得られる。従って、氷雪路での旋回性能をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施形態のトレッド部の展開図である。
図2図1のトレッド部のA−A線断面図である。
図3図1のトレッド部のショルダー陸部の拡大展開図である。
図4図1のトレッド部のミドル陸部の拡大展開図である。
図5】本発明の空気入りタイヤの別の実施形態のトレッド部の展開図である。
図6】本発明の空気入りタイヤのさらに別の実施形態のトレッド部の展開図である。
図7】本発明の空気入りタイヤのさらに別の実施形態のトレッド部の展開図である。
図8】本発明の空気入りタイヤのさらに別の実施形態のトレッド部の展開図である。
図9】本発明の空気入りタイヤのさらに別の実施形態のトレッド部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(全体不図示)のトレッド部2の展開図である。図2は、図1のトレッド部2のA−A線断面図である。図1及び図2に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤは、例えば乗用車用のタイヤとして好適に利用され、車両への装着の向きが指定された非対称のトレッドパターンを具える。車両への装着の向きは、例えばサイドウォール部(図示せず)に、文字等で表示される。
【0018】
トレッド部2は、タイヤが車両に装着されたときに車両外側に位置する外側トレッド端Teoと、車両内側に位置する内側トレッド端Teiとを有している。
【0019】
ここで、上記「トレッド端」Teo、Teiは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷である正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として、車両外側及び内側の2カ所が定められる。そして、この外側トレッド端Teoと内側トレッド端Tei間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWとして定められる。また、タイヤの各部の寸法等は、特に断りがない場合、上記正規状態での値とする。
【0020】
また、上記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" とする。
【0021】
また、上記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
【0022】
さらに上記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
【0023】
本実施形態のタイヤのトレッド部2には、タイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝3A、3Bと、センター主溝3A、3Bのタイヤ軸方向外側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝4A、4Bとが設けられている。外側センター主溝3Aは、タイヤ赤道Cよりも車両外側に位置され、内側センター主溝3Bは、タイヤ赤道Cよりも車両内側に位置される。外側ショルダー主溝4Aは、最も外側トレッド端Teo側に位置され、内側ショルダー主溝4Bは、最も内側トレッド端Tei側に位置される。
【0024】
これにより、トレッド部2は、外側センター主溝3Aと内側センター主溝3Bとに挟まれるセンター陸部5と、外側センター主溝3Aと外側ショルダー主溝4Aとに挟まれる外側ミドル陸部6Aと、内側センター主溝3Bと内側ショルダー主溝4Bとに挟まれる内側ミドル陸部6Bと、外側ショルダー主溝4Aと外側トレッド端Teoとに挟まれる外側ショルダー陸部7Aと、内側ショルダー主溝4Bと内側トレッド端Teiとに挟まれる内側ショルダー陸部7Bとに区分される。
【0025】
センター主溝3A、3B及びショルダー主溝4A、4Bは、タイヤ周方向に直線状にのびる。このようなセンター主溝3A、3B及びショルダー主溝4A、4Bは、トレッド部2の排水性能を高めるとともに、タイヤ周方向のエッジ成分によって、氷雪路における優れた旋回性能を発揮する。
【0026】
外側センター主溝3Aの幅W1は、例えば、トレッド幅TWの4〜7%が好ましい。上記幅W1がトレッド幅TWの4%未満の場合、トレッド部2の排水性能が低下するおそれがある。また、雪路における雪柱剪断力が低下して、旋回性能に影響を及ぼすおそれがある。一方、上記幅W1がトレッド幅TWの7%を超える場合、トレッド部2の剛性が低下して操縦安定性能が低下するおそれがある
【0027】
同様に、外側ショルダー主溝4Aの幅W2は、例えば、トレッド幅TWの4〜6%が好ましい。また、ウエット性能と操縦安定性能の観点から、外側センター主溝3Aの幅W1は、外側ショルダー主溝4Aの幅W2よりも大であるのが好ましい。
【0028】
外側センター主溝3A及び外側ショルダー主溝4Aの深さD1は、例えば、6〜10mmが好ましい。上記深さD1が6mm未満の場合、トレッド部2の排水性能が低下するおそれがある。また、雪路での雪柱剪断力が低下して、旋回性能に影響を及ぼすおそれがある。一方、上記深さD1が10mmを超える場合、トレッド部2の剛性が低下して操縦安定性能が低下するおそれがある。内側センター主溝3B及び内側ショルダー主溝4Bの深さについても、上記と同様である。
【0029】
外側ショルダー陸部7Aの幅W5とセンター陸部5の幅W3との比W5/W3は、例えば、好ましくは2.57以上、より好ましくは2.68以上であり、好ましくは2.89以下、より好ましくは2.84以下である。上記比W5/W3が2.57未満の場合、外側ショルダー陸部7Aの剛性が不足して、ドライ路面での旋回性能が低下するおそれがある。一方、比W5/W3が2.89を超える場合、センター陸部5の剛性が不足して、ドライ路面におけるステアリングの入力に対する応答性能が低下するおそれがある。同様の観点から、内側ショルダー陸部7Bの幅とセンター陸部5の幅W3との比は、例えば、好ましくは2.57以上、より好ましくは2.64以上であり、好ましくは2.89以下、より好ましくは2.80以下である。
【0030】
外側ミドル陸部6Aの幅W4とセンター陸部5の幅W3との比W4/W3は、例えば、1.40〜1.72が望ましい。上記比W4/W3が1.40未満の場合、外側ミドル陸部6Aの剛性が不足して、ドライ路面における旋回性能が低下するおそれがある。一方、比W4/W3が1.72を超える場合、センター陸部5の剛性が不足して、ドライ路面におけるステアリングの入力に対する応答性能が低下するおそれがある。内側ミドル陸部6Bの幅とセンター陸部5の幅W3との関係についても、上記と同様である。
【0031】
図3は、外側ショルダー陸部7Aの拡大図である。外側ショルダー陸部7Aには、複数本の外側ショルダー傾斜溝31と、複数本の外側ショルダーサイプ32とが設けられている。
【0032】
外側ショルダー傾斜溝31は、外側ショルダー主溝4Aからタイヤ軸方向外側にのびる。外側ショルダー傾斜溝31によって雪路での雪柱剪断力が得られ、旋回性能が向上する。各外側ショルダー傾斜溝31は、互いに連通することなく離間して設けられている。このような外側ショルダー傾斜溝31によって、外側ショルダー陸部7Aの剛性が確保され、ドライ路面における旋回性能が向上する。
【0033】
外側ショルダー傾斜溝31は、外側トレッド端Teoに連通することなく、外側ショルダー陸部7A内にタイヤ軸方向の外端31eを有している。各外側ショルダー傾斜溝31の各外端31eは、タイヤ周方向で隣接する他の外側ショルダー傾斜溝31に近接して設けられている。
【0034】
外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ周方向に対する角度αは、タイヤ軸方向外側に向かって漸減している。これにより、外側ショルダー傾斜溝31は、湾曲して形成され、外側ショルダー傾斜溝31の外端31e近傍では、角度αはゼロに近づく。このような外側ショルダー傾斜溝31によって、旋回時のスリップ角に応じて、タイヤ進行方向に垂直な方向でエッジ効果が得られる。これにより、氷雪路での旋回性能が向上する。特に本実施形態では、外端31e近傍で外側ショルダー傾斜溝31は、ほぼタイヤ周方向に沿って形成されているので、タイヤ軸方向のエッジ成分が大きい。従って、タイヤ軸方向で大きなエッジ効果が得られ、氷雪路での高い旋回性能が得られる。
【0035】
外側ショルダー傾斜溝31の幅W31は、例えば、2.0〜3.0mmが望ましい。上記幅W31が2.0mm未満の場合、雪路における雪柱剪断力が低下して、旋回性能に影響を及ぼすおそれがある。一方、上記幅W31が3.0mmを超える場合、外側ショルダー陸部7Aの剛性が低下して、ドライ路面における旋回性能が低下するおそれがある。
【0036】
外側ショルダー傾斜溝31の深さD31(図2参照)は、外側ショルダー主溝4Aの深さD1の64〜72%が望ましい。上記深さD31が上記深さD1の64%未満の場合、雪路における雪柱剪断力が低下して、旋回性能に影響を及ぼすおそれがある。一方、上記深さD31が上記深さD1の72%を超える場合、外側ショルダー陸部7Aの剛性が低下して、ドライ路面における旋回性能が低下するおそれがある。
【0037】
外側ショルダーサイプ32は、外側トレッド端Teoからタイヤ軸方向内側にのびている。このような外側ショルダーサイプ32は、外側ショルダー陸部7Aのタイヤ軸方向剛性の減少を抑制し、ドライ路面における旋回性能の低下を抑制する。
【0038】
外側ショルダーサイプ32は、外側ショルダー傾斜溝31と逆方向に傾斜して、外側ショルダー傾斜溝31に連通している。外側ショルダーサイプ32のタイヤ周方向に対する角度は、タイヤ軸方向内側に向かって緩やかに漸減している。これにより、外側ショルダーサイプ32は、湾曲して形成されている。このような外側ショルダーサイプ32は、直線状のサイプと比較するとより大きなエッジ効果を発揮する。
【0039】
外側ショルダーサイプ32は、外側ショルダー傾斜溝31と逆方向に傾斜するので、右旋回又は左旋回のいずれにおいても、外側ショルダー傾斜溝31又は外側ショルダーサイプ32のいずれかによって、タイヤ進行方向に垂直な方向でのエッジ効果が得られる。従って、氷雪路での旋回性能をより一層高めることができる。このような氷雪路での旋回性能に優れた空気入りタイヤは、タイヤチェーンが装着されない非駆動輪、例えば、前輪駆動車の後輪に好適に用いられる。
【0040】
外側ショルダーサイプ32の幅W32は、2.0mm未満が望ましい。このような外側ショルダーサイプ32は、急減速又は急加速時に外側ショルダー陸部7Aに大きな前後力が付与されたとき閉塞し、外側ショルダー陸部7Aの剛性を高め、ドライ路面での操縦安定性能の向上に貢献する。
【0041】
外側ショルダーサイプ32は、複数本の第1外側ショルダーサイプ33を含んでいる。各第1外側ショルダーサイプ33は、隣接する外側ショルダー傾斜溝31の外端31e近傍を通って他の外側ショルダー傾斜溝31に連通する。このような第1外側ショルダーサイプ33によって、隣り合う外側ショルダー傾斜溝31が第1外側ショルダーサイプ33を介して連通しないので、外側ショルダー陸部7Aの剛性低下を抑制できる。これにより、ドライ路面での操縦安定性能が向上する。
【0042】
外側ショルダーサイプ32は、複数本の第2外側ショルダーサイプ34を含んでいる。第2外側ショルダーサイプ34は、タイヤ周方向に隣接する第1外側ショルダーサイプ33の間に設けられている。このような第2外側ショルダーサイプ34は、外側ショルダー陸部7Aの剛性分布を適正化して、偏摩耗等を抑制する。
【0043】
図4は、外側ミドル陸部6Aの拡大図である。外側ミドル陸部6Aには、複数の外側ミドルサイプ21が設けられている。外側ミドルサイプ21は、外側ショルダー主溝4Aと外側センター主溝3Aとをつなぐ。外側ミドルサイプ21は、外側ショルダー傾斜溝31と同じ向きに傾斜する。外側ミドルサイプ21の外端は、外側ショルダー主溝4Aを挟んで、外側ショルダー傾斜溝31の内端に対してタイヤ周方向にほぼ1/2ピッチずれて設けられている。このような外側ミドルサイプ21の配置によって、外側ミドル陸部6A及び外側ショルダー陸部7Aの剛性分布が均一化され、偏摩耗が抑制される。
【0044】
外側ミドルサイプ21のタイヤ周方向に対する角度βは、外側センター主溝3Aに向かって、すなわちタイヤ軸方向内側に向かって漸減している。これにより、外側ミドルサイプ21は、湾曲して形成される。このような外側ミドルサイプ21によって、旋回時のスリップ角に応じて、タイヤ進行方向に垂直な方向でエッジ効果が得られる。これにより、氷雪路での旋回性能が向上する。
【0045】
外側ミドルサイプ21の幅W21は、例えば、2.0mm未満が望ましい。このような外側ミドルサイプ21は、急減速又は急加速時に外側ミドル陸部6Aに大きな前後力が付与されたとき閉塞し、外側ミドル陸部6Aの剛性を高め、操縦安定性能の向上に貢献する。
【0046】
外側ミドルサイプ21の深さD21は、外側ショルダー主溝4Aの深さD1の67〜75%が望ましい。上記深さD21が上記深さD1の67%未満の場合、雪路におけるエッジ効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記深さD21が上記深さD1の75%を超える場合、外側ミドル陸部6Aの剛性が低下して、ドライ路面における旋回性能が低下するおそれがある。
【0047】
外側ミドルサイプ21は、長手方向の中央部21aと、外側センター主溝3Aに連通する端部21bと、外側ショルダー主溝4Aに連通する端部21cとを有している。
外側ミドルサイプ21は、中央部21aでの深さが、両端部21b、21cでの深さよりも大きい。このような外側ミドルサイプ21は、摩耗末期に近づくまで中央部21aでより大きいエッジ効果が発揮される。また、両端部21b、21cの近傍での偏摩耗を抑制できる。
【0048】
以上、本発明の空気入りタイヤが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【0049】
図5乃至図9は、図1に示される空気入りタイヤの別の実施形態を示している。
【0050】
図5に示される空気入りタイヤは、図1の空気入りタイヤに対して、外側ミドルサイプ21が、外側ショルダー主溝4Aを挟んで、外側ショルダー傾斜溝31から略連続的につながる位置に設けられている。このような外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31によって排水性能が高められる。
【0051】
図6に示される空気入りタイヤは、図5の空気入りタイヤに対して、外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ軸方向成分が小さく設定されている。このような外側ショルダー傾斜溝31によって、氷雪路での旋回性能及び排水性能が高められる。
【0052】
図7に示される空気入りタイヤは、図5の空気入りタイヤに対して、外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ周方向のピッチが1/2に設定されている。このような外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31によって、氷雪路での旋回性能及び排水性能が高められる。
【0053】
図8に示される空気入りタイヤは、図7の空気入りタイヤに対して、外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ軸方向成分が小さく設定されている。また、外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ周方向成分が大きく設定されている。このような外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31によって、氷雪路での旋回性能及び排水性能が高められる。
【0054】
図9に示される空気入りタイヤは、図6の空気入りタイヤに対して、外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31のタイヤ周方向のピッチが1/2に設定されている。このような外側ミドルサイプ21及び外側ショルダー傾斜溝31によって、氷雪路での旋回性能とトラクション性能がバランスよく高められる。
【実施例】
【0055】
図1のトレッドパターンを有するサイズ205/60R16の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、氷雪路旋回性能及び操縦安定性能がテストされた。テスト方法は、以下の通りである。
【0056】
<氷雪路旋回性能>
リム16×6.0Jに装着された試供タイヤが、内圧240kPaの条件にて、排気量2000ccの乗用車の全輪に装着され、氷雪雪路面テストコースをドライバー1名乗車で走行し、旋回性能がドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、氷雪路旋回性能が優れていることを示す。
【0057】
<操縦安定性能>
上記車両が、ドライアスファルト路面のテストコースに持ち込まれ、80〜120km/hの速度範囲で、ステアリングの手応え、応答性に関する特性が、ドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性能が優れていることを示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、比較例に比べて氷雪路旋回性能が有意に向上していることが確認できた。
【符号の説明】
【0060】
2 トレッド部
3A 外側センター主溝
4A 外側ショルダー主溝
6A 外側ミドル陸部
7A 外側ショルダー陸部
21 外側ミドルサイプ
31 外側ショルダー傾斜溝
32 外側ショルダーサイプ
33 第1外側ショルダーサイプ
34 第2外側ショルダーサイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9