(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019100
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】飲料カートリッジおよびフィルタエレメント
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20161020BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
A47J31/06 320
B65D77/00 Z
【請求項の数】35
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-502717(P2014-502717)
(86)(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公表番号】特表2014-516284(P2014-516284A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】US2012030722
(87)【国際公開番号】WO2012135204
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】13/073,647
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508351303
【氏名又は名称】インターコンチネンタル グレート ブランズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バリー エル.ツェラー
(72)【発明者】
【氏名】リック ピー.アピスコパ
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ エー.ワイズマン
(72)【発明者】
【氏名】サリタ ブイ.ポルバンダルワラ
(72)【発明者】
【氏名】トム エー.ギブソン
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−535332(JP,A)
【文献】
特表平10−501453(JP,A)
【文献】
米国特許第04853234(US,A)
【文献】
特開平04−084856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料製造機で使用するための飲料カートリッジであって、該飲料カートリッジは、
a.チャンバであって、上記チャンバは、少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分を有し、上記少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分は、周囲を備える基部と上記基部の上記周囲に結合された壁部を有し、上記チャンバは、その中に非脱気コーヒーを受け入れ、収容する、上記チャンバ、
b.飲料ろ過器具であって、上記飲料ろ過器具は、
i.上記チャンバに作動的に結合され、上記チャンバ内に配置されたフィルタ担持具、
ii.第一の表面および該第一の表面に対向して位置付けられた第二の表面を有するフィルタエレメントであって、上記第二の表面は、上記フィルタ担持具に少なくとも部分的に取り付けられており、上記フィルタエレメントは、該フィルタエレメントを通って配置された複数の微穿孔を有し、上記複数の微穿孔は、上記フィルタエレメントの上記第一の表面から上記第二の表面に延びている、上記フィルタエレメント、
を有する上記飲料ろ過器具、および、
c.上記チャンバの上記壁部上に配置されたシール要素であって、上記飲料カートリッジがシールされ、それにより囲まれる上記シール要素を含み、
上記飲料ろ過器具は、浸出中、上記飲料カートリッジを通って流れる流体の透過性能を向上させることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項2】
請求項1の飲料カートリッジであって、浸出中、上記飲料カートリッジを通って流れる上記流体の透過性能は、上記飲料カートリッジを通って流れる液体を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2の飲料カートリッジであって、浸出中、上記飲料カートリッジを通って流れる上記流体の透過性能は、上記飲料カートリッジを通って流れる気体を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの飲料カートリッジであって、上記飲料ろ過器具は、上記非脱気コーヒーの浸出中、上記飲料カートリッジ中の気体の蓄積を解放するように作用し、上記気体は、上記非脱気コーヒーから生成されることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメント内の上記微穿孔の数は、約2〜約1000の微穿孔の間の範囲であることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項6】
請求項5の飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメント内の上記微穿孔の数は、約10〜約500の微穿孔の間の範囲であることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントの全表面積の約2%より大きい、上記フィルタエレメントの第一表面と第二表面に配置された開口領域を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項8】
請求項7の飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントの上記第一表面と上記第二表面に配置された開口領域は、上記フィルタエレメントの全表面積の約10%より大きいことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項9】
請求項8の飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントの上記第一表面と上記第二表面に配置された開口領域は、上記フィルタエレメントの全表面積の約15%より大きいことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの飲料カートリッジであって、各微穿孔は、約0.1mmから約0.8mmの間の範囲の平均直径を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項11】
請求項10の飲料カートリッジであって、各微穿孔は、約0.2mmから約0.7mmの間の範囲の平均直径を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項12】
請求項11の飲料カートリッジであって、各微穿孔は、約0.3mmから約0.8mmの間の範囲の平均直径を含むことを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかの飲料カートリッジであって、上記非脱気コーヒーは、最大気体含有量を有する非脱気コーヒーであることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項14】
請求項13の飲料カートリッジであって、上記非脱気コーヒーは、上記非脱気コーヒーが、焙煎コーヒー豆を粉砕することにより粉砕された直後に、上記飲料カートリッジ内に包装されて密封され、上記非脱気コーヒーは、上記非脱気コーヒーの包装時に最大近くの気体含有量を有することを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかの飲料カートリッジであって、上記非脱気コーヒーは、深焙りであることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかの飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントは、セルロース材料から形成されていることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかの飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントは、不織材料から形成されていることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかの飲料カートリッジであって、上記フィルタエレメントは、一種類以上の合成繊維から形成されていることを特徴とする飲料カートリッジ。
【請求項19】
好適な飲料浸出器内において焙煎し立ておよび挽き立てのコーヒーと共に使用するコーヒーカートリッジであって、該コーヒーカートリッジは、
a.焙煎し立ておよび挽き立ての非脱気コーヒー、
b.上記焙煎し立ておよび挽き立ての非脱気コーヒーに隣接する膜、
c.浸出中、上記焙煎し立ておよび挽き立ての非脱気コーヒーから気体を解放するために、上記膜内に配置された、いくつかの微穿孔、および、
d.上記膜を封入する半硬質構造体、
を含むことを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項20】
請求項19のコーヒーカートリッジであって、上記膜内の上記いくつかの微穿孔は、約2から約1000までの間の範囲であることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項21】
請求項20のコーヒーカートリッジであって、上記膜内の上記いくつかの微穿孔は、約10から約500までの間の範囲であることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれかのコーヒーカートリッジであって、上記挽き立てのコーヒーは、上記挽き立てのコーヒーが、コーヒー豆を粉砕することにより粉砕されると、すぐに、上記膜内に配置されることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれかのコーヒーカートリッジであって、挽き立てのコーヒーは深焙りであることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれかのコーヒーカートリッジであって、上記膜は、不織材料で形成されていることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項25】
請求項19〜24のいずれかのコーヒーカートリッジであって、上記膜は、一種類以上の合成繊維から形成されていることを特徴とするコーヒーカートリッジ。
【請求項26】
浸出飲料に使用するためのカプセルであって、該カプセルは、フィルタエレメントを封入しており、該フィルタエレメントは、
a.第一の表面、
b.上記第一の表面に対向して配置される第二の表面、
c.上記フィルタエレメントの上記第一の表面から上記第二の表面へ延びる、上記フィルタエレメントを通って配置される複数の微穿孔、および、
d.各々の上記第一の表面と上記第二の表面の全表面積の少なくとも5%の、上記第一の表面および上記第二の表面の開口領域、を含み、
上記フィルタエレメントは、飲料の浸出のために、流体がそこを通って通過することを可能にし、
上記カプセルは、非脱気コーヒーを含むことを特徴とするカプセル。
【請求項27】
請求項26のカプセルであって、上記フィルタエレメントの上記第一の表面と上記第二の表面の上記開口領域は、上記フィルタエレメントの上記全表面積の約10%より大きいことを特徴とするカプセル。
【請求項28】
請求項27のカプセルであって、上記フィルタエレメントの上記第一の表面と上記第二の表面の上記開口領域は、上記フィルタエレメントの全表面積の約15%より大きいことを特徴とするカプセル。
【請求項29】
請求項26〜28までのいずれかのカプセルであって、各々の上記微穿孔は、約0.1mmから約0.8mmの間の範囲の直径を含むことを特徴とするカプセル。
【請求項30】
請求項29のカプセルであって、各々の上記微穿孔は、約0.2mmから約0.7mmの間の範囲の直径を含むことを特徴とするカプセル。
【請求項31】
請求項30のカプセルであって、各々の上記微穿孔は、約0.3mmから約0.8mmの間の範囲の直径を含むことを特徴とするカプセル。
【請求項32】
請求項27〜31のいずれかのカプセルであって、上記いくつかの微穿孔は、約2〜約1000の微穿孔の間の範囲であることを特徴とするカプセル。
【請求項33】
請求項32のカプセルであって、上記いくつかの微穿孔は、約10〜約500の微穿孔の間の範囲であることを特徴とするカプセル。
【請求項34】
請求項27〜33のいずれかのカプセルであって、浸出中、上記フィルタエレメントを通って流れる流体の透過性能は、上記フィルタエレメントを通って流れる液体を含むことを特徴とするカプセル。
【請求項35】
請求項26〜34のいずれかのカプセルであって、浸出中、上記フィルタエレメントを通って流れる流体の透過性能は、上記フィルタエレメントを通って流れる気体を含むことを特徴とするカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年3月28日に出願された米国特許出願第13/073、647号の継続出願であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、飲料を浸出するために使用されるフィルタエレメントに関する。具体的には、フィルタエレメントは、浸出可能な粒子から飲料を浸出するためのフィルタエレメントを通る増加した透過性能を通して浸出を容易にする。フィルタエレメントは、浸出中に、ここにおける封入された浸出具内に蓄積される気体を動かすのに有用であり得る。フィルタエレメントは、開放系において、または、閉鎖系の飲料浸出装置内に挿入可能な、硬質、半硬質または軟質のポッド内において、使用され得る。
【背景技術】
【0003】
その後に飲料の消費のため飲料を浸出するための技能は、何世紀も昔の習慣である。その時点において、浸出具のすべての手法は、そのような浸出を容易にするために作成された。現代において、多くの型と種類の電気機械式の消費者用や業務用の浸出器が、あらゆる種類の紅茶、コーヒー、コーヒー由来製品を含むがこれに限定されない、全ての種類の消費用飲料の容易で効率的な浸出を促進するために創出されている。
【0004】
浸出に使用するろ紙は、古代社会におけるその最初の創造以来、ほとんど変わっていない。それは、浸出用粒子を保持しながら、水がそれを通して通過するときに、そのような粒子から流体の通過を可能にする、薄い基板のままである。そのような流体からの液体は、後で捕捉されると、消費可能な飲料になる。そのような今日広く利用可能なろ紙のための技術は、古代文化において最初に創造されたものとほとんど異なっていない。近代的な浸出器にとっては、開放系であるかまたは閉鎖系であるかで、浸出技術の進歩に対応し強化する、適切なろ紙が必要とされる。
【0005】
そのような新しい革新的なろ紙またはフィルタエレメントの背後にある考え方は、特に、浸出中に濡れる場合、そのようなフィルタエレメントが有する強度を維持しつつ、流体(すなわち、液体や気体)の透過性能の程度を上昇させることに対処すべきというものである。そのような増加した透過率は、浸出プロセスにおいて、および、結局のところ、浸出飲料自体に、多くの利点を提供するであろう。
【0006】
例えば、焙煎されるコーヒー生豆は、焙煎後からまもなく、および、それらの使用と消費の前の長い間、コーヒー豆および/または挽いたコーヒー粒子から拡散する気体を生成することがよく知られている。そのような拡散は、しばしばコーヒー豆が粉砕された後、はるかに速い速度で起こるけれども、それは、なお、コーヒーから拡散する気体の大半にとって、数時間または数日かかり得る。コーヒー製品は、典型的には、それが十分に脱気することを可能にするため、適切な時間保持される。配布および販売のための焙煎コーヒーの包装前に、そのような保持期間を可能にすることが重要である。しかし、いくつかの焙煎コーヒー製品、特に、きわめて深焙りで、低水分、および/または、カフェイン抜きの豆から製造されたものは、脱気するのに非常にゆっくりであることが知られており、特別な処理を必要とせずに、それらが、特定のパッケージまたは用途で使用されることを可能にする程度にガス抜きできないであろう。
【0007】
ソフトポッド、あるいは、要望に応じた圧力において使用するように設計された、「TASSIMO(登録商標)」システムで使用されるT−ディスクカートリッジのような、硬質カプセルまたはカートリッジに、不十分に脱気されたコーヒーを包装することは、浸出中、大量の気体の放出に関連する、問題となる浸出性能をもたらし得る。過度の気体放出は、望ましくない水準にカートリッジ内部の圧力を高め、フィルタエレメントを通る水の流れを制限し、浸出を減速または停止し、ノイズを発生し、不要な飲料の泡を生成し、または、ここにおいて以下に説明されるタイプのT−ディスクカートリッジのようなカートリッジの取り扱いか、カートリッジからの飲料の浸出かのいずれかに関連するその他の問題を引き起こす。
【0008】
浸出中、浸出可能な粒子が液体によって接触されると、フィルタエレメントを通過するより大きい透過性能を促進するフィルタを用いて、浸出能力を高めることが重要である。現存のフィルタは、主に、ろ紙自体に使用する材料、例えば、セルロース系材料および/または繊維材料の使用を選択することによって、液体または気体の透過性能を達成する。そのようなフィルタの構造は、透過性能に対する要因であるが、二次的考慮であった。
【0009】
また、浸出中、高容積の気体放出または排出は望ましくなく、コーヒー浸出器またはコーヒーカートリッジの粗末な技能の認識や、浸出器における浸出器の適切な機能や操作および/またはカートリッジについての懸念につながり得る。しばしば、そのような高容積の気体排出が発生するとき、それは、消費者によって、可聴であり、気づき得る。そのような可聴であり、気づき得る気体排出の発現は、非常に望ましくなく、浸出器における性能の否定的な認識につながり得る。また、開放式または閉鎖式浸出システムにおいて、湿潤時のフィルタエレメントの透過性能の欠如の理由から望ましくないのは、ろ紙中の、および、ろ紙の周りに収集された、過剰の水分、または、水溜まりの存在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7287461号明細書
【特許文献2】米国特許第8207211号明細書
【特許文献3】米国特許第4737376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、開放式または閉鎖式浸出システムにおいて、浸出可能飲料を浸出するためのフィルタエレメントが発見されることが望まれる。驚くべきことに、ここにおいて以下により詳細に説明される本開示は、閉鎖または開放浸出システムのいずれにおいても使用する、そのようなろ紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、この開示は、飲料製造機で使用するための飲料カートリッジを提供し、飲料カートリッジは、
a. 少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分を有するチャンバであって、少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分は、周囲を備える基部、および、基部の周囲に接続された壁を有するチャンバ、
b. チャンバ内に配置された飲料基質;
c. 飲料ろ過器具であって、
i. チャンバに動作可能に接続されたフィルタ担持体器具であって、フィルタ担持体が、チャンバ内に配置されている、フィルタ担持体器具、
ii. 第一の表面および第一の表面に対向する第二の表面を有するフィルタエレメントであって、第二の表面は、少なくとも部分的にフィルタ担持体に取り付けられ、フィルタエレメントは、フィルタエレメントを通して配置された複数の微穿孔を有し、複数の微穿孔は、フィルタエレメントの第一の表面から第二の表面に延在しているフィルタエレメント、を有する飲料ろ過器具、および、
d. チャンバの壁に配置されたシール部材であって、それにより、飲料カートリッジが密封され、取り囲まれるシール部材、を含む。
【0013】
飲料ろ過器具は、浸出中、液体であれ気体であれ、飲料カートリッジを通して流れる流体の透過性能を増大させる。フィルタエレメント内の微穿孔の数は、約2〜約1000の微穿孔の間の範囲である。好ましくは、フィルタエレメント内の微穿孔は、約10から約500の微穿孔の間の範囲である。
【0014】
ここにおいて、飲料カートリッジは、好ましくは、コーヒー豆からの挽き立ての粒子である飲料基質を含む。そのような実践において、挽き立てのコーヒー粒子は、焙煎コーヒーが新しく挽かれた後にすぐ、飲料カートリッジ内で包装され、密封される。挽かれたコーヒー粒子は、挽かれたコーヒー粒子の包装時点で、最大近くの気体含有量を有する。ここにおける一具体例において、挽き立てのコーヒーは、深焙りされ、浸出中、最大の気体含有量を有する。
【0015】
フィルタエレメントは、セルロース材料、不織材料、一つ以上の種類の合成繊維、または、少なくとも二種類の材料の組み合わせから形成され得る。ここにおいて、フィルタエレメントは、その第一の表面と、その第二の表面に位置する、開口領域を含む。要するに、開口領域は、フィルタエレメントの全表面積の約2%より多くを含む。好ましくは、フィルタエレメントの第一および第二の表面上の開口領域は、フィルタエレメントの全表面積の約10%より大きい。最も好ましくは、第一および第二の表面上の開口領域は、フィルタエレメントの全表面積の約15%より大きい。
【0016】
ここにおいて使用される微穿孔は、それぞれ、約0.1mmから約0.8mmの間の範囲の平均直径を有する。好ましくは、各微穿孔は、約0.2mmから約0.7mmの間の範囲の平均直径を含む。最も好ましくは、微穿孔は、約0.3mmから0.6mmの間の範囲の平均直径を含む。
【0017】
ここにおける好ましい飲料基質は、挽き立てのコーヒー粒子である。ここにおいて、挽き立てのコーヒー粒子は、挽き立てのコーヒー粒子が焙煎された直後に、飲料カートリッジ内に包装され、密封され得る。挽かれたコーヒー粒子は、挽かれたコーヒー粒子の包装時に最大に近い気体含有量を有し得る。
【0018】
重要なことには、ここにおいて選り抜きの飲料送達手段は、飲料基質または浸出器内で使用するためのフィルタエレメント自体を含む、剛性カートリッジ、非剛性または半剛性ポッドであり得る。フィルタエレメントは、そこを通る流体の、増加され、強化された透過性能を提供する。
【0019】
本開示は、また、例えば、開放系飲料浸出器において、飲料を浸出するのに使用するためのフィルタエレメントを開示する。フィルタエレメントは、第一の表面、第一の表面に対向して位置する第二の表面、および、フィルタエレメントを通して配置された複数の微穿孔を含む。複数の微穿孔は、フィルタエレメントの第一の表面から第二の表面に延びる。また、開口表面は、フィルタエレメントの第一および第二の表面の全表面積の少なくとも5%を含む、フィルタエレメントの第一および第二の表面上に存在する。
【0020】
本明細書は、本発明を、特に指摘し、明確に主張する本特許請求の範囲をもって結論とするが、ここにおいて説明された具体例は、同様の参照番号が、同様の要素を特定する、添付の図面と併せて、以下の説明からよりよく理解されるであろうと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の好ましい具体例によるカートリッジの断面図である。
【
図2a】ここにおける飲料カートリッジの好ましい具体例の組立平面図である。
【
図2b】
図2aの好ましい具体例の組立底面図である。
【
図3】ここにおける飲料カートリッジの好ましい具体例の分解図である。
【
図4】そこを通して挿入される微穿孔を示す、ここにおけるフィルタエレメントの部分的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここにおける以下の用語の説明は、理解への案内および支援として意図されるが、これらの用語の意味を限定するものとして意図されない。
【0023】
用語「閉鎖浸出システム」は、ここにおいて、少なくとも一つの浸出基質と、取り囲まれた浸出カプセル内に配置されたフィルタエレメントとを含む、取り囲まれた浸出カプセルを使用する浸出器具を意味することを意図される。
【0024】
用語「開放浸出システム」は、ここにおいて、大気圧状態に開放されている浸出チャンバを使用する浸出器具を意味することを意図される。
【0025】
用語「深焙りされた」は、ここにおいて、非常に不透明な色を有するコーヒー豆をもたらす、長く、かつ、高温で焙煎された、焙煎コーヒー豆の生成された結果に言及する。
【0026】
用語「挽き立て」は、ここにおいて、認識可能な粒子へと粉砕されるが、粉末化されていない、すなわち、粉末形態に変換されないコーヒー豆に言及する。
【0027】
用語「最大近くの気体含有量」または「最大気体含有量」は、典型的には、コーヒー豆の焙煎と粉砕直後の、コーヒー豆の最も高い測定気体含有量を意味する。
【0028】
用語「不織材」や「不織布」は、ここにおいて、そのような製造に織りを使用していない繊維性材料や布を作るために使用される繊維を意味する。
【0029】
用語「合成」または「合成繊維」は、ここにおいて、実質的に人工であって、天然に、または、天然物質から生じない、使用のための繊維に言及する。
【0030】
用語「飲料カートリッジ」または「カートリッジ」により、ここにおいて。浸出のための内在する飲料基質を保持する器具が意味される。ここにおいて、カートリッジは、飲料基質に内在する品質や特性から飲料を浸出、生成するために、適切に構成された飲料浸出器具に挿入される。
【0031】
用語「飲料媒質」、「飲料基質」または「飲料粒子」によって、ここにおいて、そこから浸出されるか、さもなければ、生成される飲料の、風味と品質を含む、特定の種類と性質の粒子が意味される。用語「媒質」は、ここにおいて、用語「基質」の複数形として使用されることが留意される。
【0032】
用語「開口領域」により、ここにおけるフィルタエレメントに、一体となって累積の開口領域を形成する、微穿孔を含むフィルタエレメントのそのような部分が、ここにおいて意味される。
【0033】
用語「閉鎖領域」により、ここにおけるフィルタエレメントに、一体となって累積の閉鎖領域を形成する、微穿孔を含まないフィルタエレメントのそのような部分が、ここにおいて意味される。
【0034】
用語「フィルタエレメント」または「ろ紙」により、ここにおいて、そこを通って飲料粒子から飲料が浸出される基材が意味される。
【0035】
用語「飲料フィルタ」により、ここにおいて、ここにおける飲料基質を収容し、それ自体が飲料カートリッジ内に収容される、特定の構造が意味される。
【0036】
用語「浸出可能粒子」または「浸出基質」により、ここにおいて、浸出される飲料の一部として粒子成分を含む飲料を生成するために、そこからの液体の通過が、そこを通って、または、上方で、粒子成分と混合する、飲料粒子または基質が意味される。
【0037】
ここにおいて、一具体例は、飲料製造機で使用するための飲料カートリッジを提供する。飲料カートリッジは、
a. 少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分を有するチャンバであって、少なくとも一つの実質的に取り囲まれた部分は、周囲を備える基部、および、基部の周囲に接続された壁を有するチャンバ、
b. チャンバ内に配置された飲料基質;
c. 飲料ろ過器具であって、
i. チャンバに動作可能に接続されたフィルタ担持具であって、フィルタ担持体は、チャンバ内に配置されているフィルタ担持具、
ii. 第一の表面および第一の表面に対向する第二の表面を有するフィルタエレメントであって、第二の表面は、少なくとも部分的にフィルタ担持体に取り付けられ、フィルタエレメントは、フィルタエレメントを通して配置された複数の微穿孔を有し、複数の微穿孔は、フィルタエレメントの第一の表面から第二の表面に延在しているフィルタエレメント、を有する飲料ろ過器具、および、
d. チャンバの壁に配置されたシール部材であって、それにより、飲料カートリッジが密封され、取り囲まれるシール部材、を含む。
【0038】
実際には、上記の飲料ろ過器具は、浸出中、液体または気体であれ、飲料カートリッジを通して流れる流体の透過性能を増大させる。フィルタエレメント内の微穿孔の数は、約2〜約1000の微穿孔の間の範囲である。好ましくは、フィルタエレメント内の微穿孔の数は、約10から約500の微穿孔の間の範囲である。
【0039】
ここにおいて、飲料カートリッジは、好ましくは、コーヒー豆からの挽き立ての粒子である飲料基質を含む。そのような実践において、挽き立てのコーヒー粒子は、挽き立てのコーヒーが焙煎された後にすぐ、飲料カートリッジ内に包装され、密封される。この時点で、挽かれたコーヒー粒子は、挽かれたコーヒー粒子の包装時に、最大に近い気体含有量を有する。ここにおける一具体例において、挽き立てのコーヒーは、ダークローストされ、浸出中、最大の気体含有量を有する。
【0040】
フィルタエレメントは、セルロース材料、不織材料、一つ以上の種類の合成繊維、または、少なくとも二種の材料の組合せから形成され得る。ここにおいてフィルタエレメントは、フィルタエレメントの全表面積の約2%より大きい、フィルタエレメントの第一の表面および第二の表面に位置する開口領域を含む。好ましくは、フィルタエレメントの第一および第二の表面上の開口領域は、フィルタエレメントの全表面積の約10%より大きい。最も好ましくは、第一および第二の表面上の開口領域は、フィルタエレメントの全表面積の約15%より大きい。
【0041】
ここにおいて使用される微穿孔は、約0.1mmから約0.8mmの間の範囲の平均直径を有して形成される。好ましくは、各微穿孔は、約0.2mmから約0.7mmの間の範囲の直径を含む。最も好ましくは、微穿孔は、約0.3mmから約0.6mmの間の範囲の直径を含む。
【0042】
重要なことには、ここにおいて選り抜きの飲料送達手段は、飲料基質、または、浸出具内で使用するためのフィルタエレメント自体を含む、剛性カートリッジ、非剛性または半剛性ポッドであり得、そのようなフィルタエレメントは、そこを通る流体の増加され、強化された透過性能を提供する。
【0043】
ここにおける開示は、また、浸出飲料において使用するためのフィルタエレメントを提供する。フィルタエレメントは、第一の表面、第一の表面に対向して位置する第二の表面、および、フィルタエレメントを通して配置された複数の微穿孔を含む。複数の微穿孔は、フィルタエレメントの第一の表面から第二の表面に延びる。また、開口表面は、フィルタエレメントの各第一および第二の表面の各々の全表面積の少なくとも5%を含むフィルタエレメントの第一および第二の表面上に存在する。ここにおけるカートリッジは、挽き立てのコーヒーのような、飲料基質を含み得る。そのような実践において、挽き立てのコーヒー粒子は、コーヒー豆が焙煎され、粉砕された直後に、飲料カートリッジ内に包装され、密封される。挽かれたコーヒー粒子は、挽かれたコーヒー粒子の包装時において、最大近くの気体含有量を有する。ここにおける一具体例において、挽き立てのコーヒーは、ダークローストされ、浸出中、最大の気体含有量を有する。フィルタエレメントは、セルロース材料、不織材料、一つ以上の種類の合成繊維、または、少なくとも二種の材料の組合せから形成され得る。
【0044】
図1に開示されるように、カートリッジ1の全体的な形状は、概ね、円形またはディスク形状である。カートリッジ1の直径は、その高さよりも大きい。典型的に、外側部材2の全体の直径は、74.5mm±6mmで、全体的な高さは、16mm±3mmである。また、典型的に、組み立てられたカートリッジ1の容積は、30.2ml±20%である。
【0045】
外側部材2は、一般的に、湾曲した環状壁13、閉鎖頂部11および開放底部12を有する、椀状のシェル10を含む。外側部材2の直径は、その底部12の直径と比べて、その頂部11においてより小さい。これは、人が、閉鎖頂部11から開放底部12へと断面視するとおりの、フレア状の環状壁13に由来する。環状壁13と閉鎖底部11は、一緒に、内部34を有する容器を画定する。
【0046】
ここにおける好ましい具体例において、外側部材2は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、または、二つ以上のそのような類似の材料の積層体またはそのような類似の材料の混合物から、単一の一体部品として形成される。ここにおける使用に好適なポリプロピレンは、DSM UKリミテッド(レディッチ、英国)から入手できる一連のポリマーを含む。外側部材2は、不透明、透明又は半透明であり得る。製造プロセスは射出成形によってもよい。ここにおいて意図される種類の好適なカートリッジは、引用文献1に詳細に記載されており、ここにおいてその特許は、完全に、参照としてここに組み込まれる。
【0047】
図2a及び
図2bは、ここにおける飲料カートリッジ1の組み立てられた、および、好ましい具体例を示す。最も好ましくは、飲料カートリッジ1は、挽いたコーヒーを収容する。しかしながら、飲料カートリッジ1は、ここにおいて上記したとおり、浸出中に気体を放出することが知られている種類の飲料粒子、および、代表的にコーヒー粒子にとって、好適な形状と構造であることが留意される。
【0048】
図2bは、
図2aのカートリッジ1の下側を示す。
図2aおよび2bに示された飲料カートリッジ1は、飲料カートリッジ1の好ましい制作を提供するが、他の好適な設計が、ここにおいて使用し得る飲料カートリッジ1の範囲内であることに留意することが重要である。
【0049】
図3は、ここにおける飲料カートリッジ1の好ましい具体例の分解図を示す。示されるように、飲料カートリッジ1は、粒子室20、フィルタ担持体25、フィルタエレメント30及びシール用積層体35の、4つの主要な要素を含む。
図3は明示的に飲料基質を示さないが、当業者は、そのような飲料基質が、粒子室25内に収容され、フィルタ担持体25とフィルタエレメント30によって適所に保持されるということを理解するであろう。
【0050】
フィルタエレメント30は、好ましくは接着剤で、フィルタ担持体25に取り付けられる。フィルタ担持体25にフィルタエレメント30を取り付けるのに適した接着剤や糊の使用は、当該技術分野でよく知られており、それ自体は、ここにおいて本発明の一部を形成しない。フィルタエレメント30が、フィルタ担持体25に取り付けられている場合、粒子室20内に収容された飲料粒子は、実質的に不動であり、フィルタエレメント30を通って粒子室20からいくらかの飲料基質の移行があり得るが、実質的にフィルタエレメント30を突き抜けないであろう。そのような移行の発生は、軽微である。
【0051】
フィルタエレメント30に関して、フィルタエレメント30内における好適なサイズと数の非常に小さな微穿孔の思慮深い導入が、その包装前に完全に脱気されていないコーヒーの使用によって引き起こされる、浸出中の気体排出の問題を、効果的に軽減または排除し得ることが発見された。
【0052】
好ましくは、穴または微穿孔40が、サブミリの範囲の直径を有する1つ以上のベベルチップ注射針を使用して、フィルタエレメント30に形成され得る。これは、しかし、そのような微穿孔40が、フィルタエレメント30内に配置され得る一つの方法である。当技術分野で公知の他の好適な方法は、微穿孔40自体の一定の特徴が提供される限り、用いられ得る。
【0053】
例えば、微穿孔40は直径1ミクロン未満であることが重要である。また、微穿孔40は、フィルタエレメント30の全深さにわたって延びることが重要である。ここにおける多くの例において、微穿孔40は、その長さ全体にわたって実質的に同一の直径を有する。
実際には、各微穿孔の直径は、気体分子を通過させ得るに十分な大きさであるが、そこを通る飲料基質の、大量の、および/または、視覚的に識別可能な量の通過に抵抗するのに十分な小ささであることが重要である。
【0054】
例えば、円錐形である非円筒形状を有する1つ以上の微穿孔40を設け得る。そのような例において、1つ以上の微穿孔40の直径は、フィルタエレメント30の深さを通して変化する。そのような制作は、大きな飲料基質の捕捉が達成される一方で、なお、浸出中にフィルタエレメント30を通る流体(液体および/または気体)の適切な流れを可能にする例において有用であり得る。
【0055】
飲料浸出用のカートリッジ内のフィルタエレメント30のための上述の設計は、ユニークである。典型的には、濾材を通しての飲料浸出は、その構造により、流体のいくつかの程度の透過性能を提供する、ろ紙を使用して生じる。そのような一般的に知られている濾材(例えば、「MR.COFFEE(登録商標)」コーヒーフィルター)は、湿潤時、そこから液体を吸い出す、そのようなフィルタ基材、すなわち、紙を作成するように用いられる、特定の材料の使用による以外、そこを通る液体の透過性能を強化するために構造的に作成されない。
【0056】
これに対し、ここにおけるフィルタエレメント30は、液体および/または気体のろ過に使用するための公知の材料から構成され得、特に、そこを通る飲料の液体透過性能を高めるために、微穿孔40を備えて物理的に構成される。微穿孔40の含有は、フィルタエレメント30の構造的一体性を犠牲にすることなく生じる。すなわち、ここにおける微穿孔のフィルタエレメント30の湿潤強度は、湿潤時および使用中および後に、その構造的一体性を維持するのに十分である。
【0057】
フィルタエレメント30における微穿孔40の使用に加えて、驚くべきことに、フィルタエレメント30に配置されたフィルタ微穿孔40のサイズおよび数の組み合わせは、非常に高い気体含有量を有する、挽き立て、深焙り、低水分のコーヒーであっても、それらの脱気を可能にするために、包装前にまずはしばらくの間コーヒーを保持することなく、直ちにカートリッジ1内に包装され、浸出され得るように最適化され得ることが見出された。
【0058】
このような即時の包装は、ここにおいて説明される好ましい具体例の重要な利点である。そのような即時のまたは実質的に即時の包装により、カートリッジの製造時間は、劇的に低減され、したがって、飲料カートリッジ1に対するより早い購入アプローチを可能にする。飲料カートリッジ1を使用する飲料メーカーの性能問題を恐れることなく、そのような飲料カートリッジ1の製造は、例えば、挽き立てのコーヒー粒子のような生産された飲料基質から、かなりの脱気時間を削減することによって、促進され得る。
【0059】
さらに、最小の飲料粒子よりも実質的に大きいフィルタ微穿孔40の使用は、最適化された構成での浸出中、フィルタエレメント30を通して脱出する、飲料基質の問題量の通過をもたらさないことが発見された。ここにおける代表的で好ましい飲料カートリッジ1(すなわち、「TASSIMO(登録商標)」T−ディスク)の上方への流れ設計、および、好ましい具体例で作成された微穿孔の比較的小さな総面積は、すべて、フィルタエレメント30を通して通過する粒子の数の制限に寄与すると考えられる。
【0060】
ここにおけるフィルタエレメント30は、好ましくは、セルロース系(すなわち、紙ベース)の材料から形成される。そのようなセルロース系材料は、不織材および/または合成繊維材料と混合され得る。使用される材料またはその組み合わせにかかわらず、作成されて得られたフィルタエレメント30は、フィルタエレメント30の引き裂きや構造破壊に抵抗するための十分な濡れ強度であるだろう。
【0061】
ここにおける一具体例において、フィルタエレメント30は、不織材の構造の繊維マットを含む。用語「不織材の構造」により、ここにおいては、基体における繊維の配置は、ネットまたはネット状の構造に一緒に織られていないことを意味する。そのような設計において、飲料フィルタは、離散的な多孔性を有していない。用語「離散的な多孔性」の使用により、ここにおいて、離散的に多孔性でないフィルタエレメント30は、入口または出口による流体の漏れのための直接のルートを提供しないことを意味する。液体は、したがって、重畳する繊維間の小さな隙間を通る、複雑な経路を取ることによって、そのようなフィルタエレメント30を通過する。
【0062】
しかしながら、直径1ミリメートル未満の少数の微穿孔でさえ、フィルタエレメント30を通過する微穿孔は、実質的の流体の透過性能を高め得る一方で、なお、効果的に、飲料基質を構成する粒子状固形物の通過を制限するであろうことが発見された。また、そのような微穿孔40は、有利に、フィルタエレメント30の構造的一体性または湿潤強度を、著しく弱めないことが発見された。このことは、そのようなフィルタエレメント30の構造的一体性の弱体化を持たないことが、浸出中、特に加圧条件下での浸出中、フィルタエレメント30の裂け、破れを防ぎ得るので、重要な態様である。したがって、フィルタエレメント30における潜在的な実践の過ちが防止された。
【0063】
実際には、フィルタエレメント30は、非穿孔ろ紙より、典型的に、流体への浸透性がはるかに高い。非穿孔ろ紙において、そこを通る液体は、その繊維に常在する隙間を満たし、そして塞ぐ。非穿孔ろ紙が濡れると、その繊維は膨張し、したがって、その湿潤前にろ紙内に常在するいかなる大きな空隙をも崩壊させる。そのような出来事は、非穿孔ろ紙が湿潤されるとき、その透過性能を減少させる。
【0064】
フィルタエレメント30内の微穿孔を使用することにより、その中の飲料粒子から放出される気体は、浸出中に、飲料カートリッジ1からのCO
2の放出のより大きい速度を経験し得ると考えられる。ここにおける微穿孔40を使用することなく、フィルタエレメント30が湿潤化されると、それを通ってCO
2を通過させ得る能力が大幅に減少する。
【0065】
不十分に脱気されたコーヒー粒子は、通常、飲料カートリッジにおいて最適な浸出を提供しないことが知られているが、また、意外にも、非常に高い初期気体含量を有するある種のコーヒーは、長期間気体含有量を低減するように保持した後でさえも、浸出中に強められる、望ましくない圧力を、さらに生み出し得ることが見出された。
【0066】
ここにおいて意図されるタイプおよび種類の好適な飲料粒子は、挽いたコーヒー、茶葉、茶飲料を生成するために用いられる圧縮粒子、ココア、または、浸出中に1つ以上の種類の気体または蒸気を発し得、および/または、浸出中、そのような基質層を通る水の浸透性を減少させ得、および/または、浸出中、そのような粒子と接触するフィルタエレメント30の透過性能を低減させ得る、他の飲料粒子を含むが、これらに限定されない。
【0067】
甘味料、ガム、フレーバー、油、およびクリーム、および、飲料の浸出用に当業者に知られている他のタイプの含有物を含むが、これらに限定されない、含有物が、また、使用され得る。ここにおける含有物の使用は、飲料を生成するため、フィルタエレメント30を通過する液体の増大された透過性能の増強であることが、ここにおいて留意されるべきである。
【0068】
消費のためのコーヒーの調製は、よく知られている。これから先は、そのプロセスの典型的な詳説である。最初に、コーヒー豆が、焙煎器で焙煎される。焙煎器が、製造するために意図された焙煎コーヒーの種類(例えば、軽い焙煎からダークローストまで)に関連する温度に設定される。例えば、そのような焙煎器の温度プロファイルは、約370°Fから約540°F(すなわち、約188℃から約282℃)の範囲であり得、豆は、約3分から約30分の範囲の時間の間、焙煎される。
【0069】
多くの異なるメカニズムが、より良い味のコーヒーを生成するよう、コーヒーを焙煎するために開発されてきた。コーヒーを焙煎する、これらの方法のほぼすべては、同一の基本的方法を用いる。初期状態において、緑色のコーヒー豆が焙煎することによって加熱される。そのような加熱は、それ以前に、そこに閉じ込められていた水の蒸発を通して、コーヒー豆の乾燥をもたらす。一度、コーヒー豆が、約320°F(160℃)に達すると、外因性の化学反応が起こる。これらの反応は、428°F(220℃)あたりで、最大の可能性に達する。
【0070】
焙煎コーヒー豆内の圧力のさらなる増大は、それらから二酸化炭素(CO
2)と水蒸気を放出し、コーヒー豆の密度の低下を出現させる。CO
2の放出は、大きさにおいてコーヒー豆の拡大と、よく知られている豆の割れおよび破裂につながる。豆が十分に長く(典型的には、必要とされる焙煎に応じて、約8分から約12分)焙煎されると、それは、冷却器において、水と冷たい空気を用いて急速に冷却される。
【0071】
コーヒーを焙煎するプロセスは、コーヒー豆の外見に多くの変化をもたらす。例えば、コーヒー豆は、焙煎時に適用される熱、圧力、および、時間の量に応じて、緑から茶色に、ほぼ黒に、色を変える。典型的には、緑色のコーヒー豆が、より熱く、および/または、より長く焙煎されると、より色を呈するであろう(例えば、深煎りコーヒー豆に関連する非常に濃い色)。焙煎した結果、コーヒー豆の密度は約20〜40%減少する。また、焙煎コーヒー豆は、平均して、容積における増加(多くの場合、50%以上で)を経験し、一方、水分含量の大幅な損失(最大85%まで)を経験する。
【0072】
焙煎中に、コーヒー豆は、水平回転ドラムまたは垂直回転ドラムのいずれかに配置され得る。その中のコーヒー豆は、その後、ドラムに入ることで、450℃までの温度に達することができる高温気体にさらされる。そのような気体は、コーヒー豆と混合されると、冷える。コーヒー豆は、通常、気体よりもはるかに冷たく、それによって、ドラム内に温度勾配を生起させる。コーヒー豆は、最も通常の冷却プロセスにおいて、それらが予め指定された焙煎特性(例えば、容量、色、強度など)に到達するまで、約8分から約12分の間、ドラム内に留まる。
【0073】
商業的なコーヒー焙煎の中で最も一般的な方法の一つは、流動層焙煎である。流動層焙煎では、コーヒー豆は、下から高速気体のバーストを与えられる。これは、制御された方法で、豆が流動層を横切って移動することを可能にし、かつ高品質の最終製品をもたらす。焙煎プロセス中、コーヒー豆はサイズを増加させるので、均一な焙煎を確実にするため、気体が流動層を通して流れる速度を変更することが、それゆえに不可欠である。好適なコーヒー焙煎方法は、引用文献2および引用文献3に説明されており、双方は、ここにおいて参照として組み込まれる。
【0074】
流動層での焙煎後、豆は冷却される。この冷却プロセスはクエンチングと呼ばれる。焙煎豆はまた、粉砕プロセスで特定のものにされた後、脱気のために保持され得る。脱気は、包装および消費前に、最近焙煎されたコーヒー豆から過剰気体を取り除くことを意図されたプロセスである。脱気に続いて、典型的なプロセスにおいて、焙煎された豆や挽いたコーヒー粒子は包装される。ここにおける開示において、ここにおいて意図され、示されたタイプの飲料カートリッジ1は、浸出中、微穿孔40の存在により、後続の効率的な気体排出を可能にするので、この脱気工程が、好ましくは排除されるか、または、実質的に省略される。
【実施例】
【0075】
1kgの分量の「アラビカ」コーヒー豆(「セントラル」と「ブラジル」の半々のブレンド)が、「Probat Probatino」焙煎器中で、13分間焙煎され、空気が、焙煎色4.9(ランゲ博士)および1.0%水分を有する深焙りコーヒーを提供するためにクエンチされた。焙煎豆は、通気ビニール袋に室温で3日間保管され、その後、バー・グラインダーで粉砕され、約830ミクロン(X50)の平均粒径および3.5cc/gの気体含有量を有する挽いたコーヒーを得た。比較のため、問題のある浸出の可能性を最小限にするために、約1.5cc/g、好ましくは、約1cc/g未満の気体含有量まで脱気した後、ここにおいて記載されたT−ディスク型のカートリッジにコーヒーを包装することが望ましい。
【0076】
挽いた後にすぐ、個々の14.5グラムのコーヒーサンプルが、約635平方ミリメートルの面積を有するフィルタエレメントを用いて構築された、市販のT−ディスク内に封入された。フィルタエレメントは、合成および天然繊維を含む紙であり、平方メートル当たり約40グラムの坪量を有する。挽いたコーヒーは、典型的にはT−ディスク内に封入する前に、実質的に脱気を可能にするため、数時間から数日、保持されるが、保持時間は、コーヒー気体含有量および浸出の問題を引き起こす可能性を最大にするために使用されなかった。
【0077】
対照T−ディスクのろ紙は、全く穿孔を有しないが、この実施例の穿孔T−ディスクのろ紙は、0.305ミリメートルの直径を有する、30ゲージの注射針で、281の微穿孔を形成することによって導入された、3%の開口面積を有していた。これらの微穿孔または穴は、不規則に紙に配置されるが、かなり均等に、下方の支持部材によって形成された10のセグメント間に分割された。T−ディスクは、「BOSCH(登録商標)」の「T−45 TASSIMO(登録商標)」圧力浸出器で、20秒の浸出後の休止を提供するための、コード化された標準的なプログラムを用いて浸出された。浸出室は、消費されたT−ディスクを取り除くために、プログラムの終了後すぐに開放された。
【0078】
対照のT−ディスクを浸出した後の室の開放は、騒々しい圧力解放をもたらした。また、対照のT−ディスクの除去は、大量の浸出液と浸出プラットフォームに残されたコーヒーかすを露呈し、これは、最適以下である。明確な対照において、チャンバが、この実施例(すなわち、飲料カートリッジ)のT−ディスクを浸出した後に開かれたとき、ノイズや圧力解放は気づかれず、浸出プラットフォームは、T−ディスクを除去した後、浸出液と飲料粒子の存在しない状態であった。
【0079】
浸出液は、その後、浸出中にT−ディスクから解放された小さなコーヒー粒子を収集するために、真空フラスコ内において、「WHATMAN(登録商標)」ろ紙を通してろ過された。双方の浸出液は、可視の、少量のコーヒー粒子を含み、注意深い観察によって、よりわずかな沈殿物が、この実施例のT−ディスクを使用して浸出されたコーヒーからよりも、ろ過された対照の浸出液から収集されたように見えた。新鮮なコーヒー飲料が味見され、風味、香り、そして全体的な品質において近接していることが判明した。
要約すると、対照と、実施例の飲料カートリッジから生成された浸出物の双方は、確立された品質目標を達成したが、対照T−ディスクのみの浸出性能が、規格外と判断された。また、穿孔ろ紙の開口面積と微穿孔のサイズの他の組み合わせは、対照T−ディスクと比較して、この実施例のT−ディスクの浸出性能の有意な改良に有効であることが判明した。
【0080】
上記の実施例を超えた、種々の焙煎色、粉砕サイズ、および、湿気を有する他の非脱気粉砕コーヒーの評価が、T−ディスク浸出性能を有意に向上させることが可能であることを示した。1%〜25%のフィルタエレメントの開口面積に、約0.1〜約0.8ミリメートルの範囲の微穿孔を有するT−ディスク内のろ紙は、ここにおいて上述された非穿孔の対照T−ディスクと比較し、非脱気の粉砕コーヒーの浸出中、生成される過剰な圧力を低減することにおいて、様々な程度に有効であることが見出された。
【0081】
ここにおいて上述された、飲料カートリッジ1内のフィルタエレメント30に使用されるろ紙は、好ましくは、約2%より大きい、および、特に、約10%または15%より大きい開口面積を有することが見出された。同様に、約0.4mmよりも大きく、特に、約0.6mmから約0.8mmより大きい平均直径を有する微穿孔40の使用は、比較的大きな開口面積をもたらすために用いられる場合、浸出物の濁り、および、沈殿物を潜在的に望ましくないレベルにまで、目に見えて増大させ得ることが見出された。しかし、浸出物の濁りや沈殿物の実質的な量は、エスプレッソスタイルの製品のように、ある製品適用においては、望ましくないことではないかもしれない。
【0082】
フィルタエレメント30の微穿孔40は、様々な好適な方法で形成され得る。一つの方法において、フィルタエレメント30を穿つように構成されたレーザーが、フィルタエレメント30に微穿孔40を穿つために、好ましくは、使用される。理想的なレーザーは、好ましくは、マイクロドリリングを提供する。ここにおける使用のために意図されるタイプの好適なレーザードリルは、「OXFORD LASERS(登録商標)」によって形成される。
【0083】
微穿孔40を形成するための別の方法では、約0.3mmよりも小さい、特に、0.2mmまたは0.1mmよりも小さい直径を有する穿孔針又はワイヤが、フィルタエレメント30内に微穿孔40を配置するために使用され得る。そのような方法の使用は、所望の開口面積を生じさせるための、潜在的に非常に多数の微穿孔の導入をもたらし得る。さらに、穿孔針またはワイヤの直径が減少すると、使用中、それはより壊れやすく、破断または曲げの影響を受けやすくなり得る。あるいは、ホットニードルやレーザー微穿孔形成技術を使用して、好適な微穿孔を作成することは可能かもしれない。
【0084】
フィルタエレメント30の透過性能を増大させる一方で、浸出中に、フィルタエレメント30を通過し得るコーヒー粒子の数を、実質的に制限するために、導入されるサブミリの微穿孔の総面積は、下方の支持部材によって遮断されないフィルタエレメントの表面積に基づき、一般的に、約0.1〜約15%の間、好ましくは、約0.5%〜約10%、より好ましくは、約1.0%〜約5%であることが判明した。
【0085】
ここにおけるフィルタエレメント30内に配置される微穿孔40の直径は、ここにおいて、約0.1mmから約0.8mmの間であることが見出された。好ましくは、微穿孔40の直径は、約0.2mmから約0.7mmの間の範囲である。より好ましくは、微穿孔40の直径は、約0.3mmから約0.6mmの間の範囲である。
【0086】
微穿孔40は、均一の直径(すなわち、それらのそれぞれの長さに沿って実質的に変化しない直径)を有するか、変化する直径(すなわち、微穿孔40の一方の開口部から微穿孔40の反対側の開口部にかけて変化する直径)を有し得る。変化する直径の微穿孔サイズを有するフィルタに対して、提供される数字は、最大の微穿孔直径か微穿孔40の平均直径のいずれかに言及する。
【0087】
重要なことには、平均の微穿孔直径は、飲料カプセル1内に収容されたコーヒー粒子(または、どんな浸出される飲料粒子)の平均又は平均並みの粒子サイズ未満である必要がある。好ましくは、平均の微穿孔40のサイズは、平均の飲料粒子のサイズの約0.8倍未満であり、より好ましくは平均の飲料粒子のサイズの約0.6倍未満であり、最も好ましくは、平均の飲料粒子のサイズの約0.4倍未満である。平均の飲料粒子のサイズのデータは、標準篩セットのような、当技術分野で一般に知られている方法を用いて、より好ましくは、「SYMPATEC(登録商標)」粒度分析計または同等の装置を使用することによって、得ることができる。
【0088】
微穿孔の大きさ、および、フィルタエレメント30の開口面積の適切な組み合わせは、所与の組成、構造、透過性能、寸法、及び坪量を有する微細孔フィルタエレメント30を通る、所与の体積、流速、圧力、および温度を有する水によって浸出される、所与の組成、焙煎色、粉砕サイズ、気体含有量、および、重量を有するコーヒー粒子を含む、任意の適切な飲料カートリッジ1についての実験によって容易に決定され得る。当業者は、ここにおいてフィルタエレメント30に形成される微穿孔が、ランダムの配向、予め設定されたパターン、または、双方の混成であり得ることを理解するであろう。
【0089】
本明細書は、最良の形態を含む、本発明を開示し、どの当業者も、本発明を製作しかつ使用することができるようにするための、少なくとも1つの実施例を用いる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が想到する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有するか、特許請求の範囲の文言とは僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図される。