【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術問題を解決するため、本発明は、ボルタの電堆の組合せ体と板外ガス配給装置とを含む水素燃料電池であって、
前記ボルタの電堆の組合せ体が、逐次設置された第1の絶縁板と、第1の電気受取板と、電池パックと、第2の電気受取板と、第2の絶縁板と、を含み、
前記第1の電気受取板と第2の電気受取板を電池パックの陽極出力、陰極出力とし、
前記ボルタの電堆の組合せ体が硬質ケース式ケースで包装され、
前記板外ガス配給装置は、
硬質ケース式ケースに固定され、
作動ファンに接続されるファン取付台が設けられて、前記硬質ケース式ケースの外部から前記硬質ケース式ケースの内室まで伸長し、気流出口が前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズルに接続される作動気流板外ガス配給装置と、放熱ガス配給装置と、を含み、
前記放熱ガス配給装置は、
前記硬質ケース式ケースの外部に設けられ、前記硬質ケース式ケースの内室に連通される放熱通路と、前記硬質ケース式ケース上に設けられる放熱口と、を含み、
前記放熱通路に放熱ファンに接続される放熱ファン取付台が設けられることを特徴とする水素燃料電池を提供する。
【0013】
さらに、上記の水素燃料電池において、
前記作動気流板外ガス配給装置が、ガス配給本管と、ガス配給溝と、気流出口と、を含み、
前記ガス配給本管は、前記ケースの外部に位置し、前記ケースの天板に固定され、且つ、前記ガス配給溝に連通され、
前記ガス配給溝は、前記ケースの内室まで伸長し、そして、底部に、前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズルに連通される前記気流出口が形成され、
前記ガス配給本管に作動ファンに接続されるファン取付台が設けられる。
【0014】
具体的に、前記水素燃料電池中の前記板外ガス配給装置は、単面ガス配給装置であり、前記作動気流板外ガス配給装置と放熱ガス配給装置とが共に前記ケースの天板に設けられる。
【0015】
前記の単面ガス配給装置の具体的な構造は、
前記放熱通路は、一端が放熱ファン取付台が設けられる開放端で、そして、開放端から他端へ徐々に低下して、ケースの天板を覆って固定され、
前記放熱ファンは、放熱通路を介してケースの内室に空気を導入して前記ボルタの電堆の組合せ体の放熱を実現し、
前記ボルタの電堆の組合せ体を放熱させた後の放熱空気は、ケース上の放熱口から排出される。
【0016】
一方、前記ガス配給本管は、一端が作動ファン取付台が設けられる開放端で、開放端から他端に徐々に低下する。
【0017】
前記ガス配給本管の開放端と前記放熱通路の開放端はそれぞれ、前記硬質ケース式ケースの天板の2つの対向する辺に位置される。
【0018】
また、前記放熱通路に気流導流減衰溝が設けられることが好ましい。
【0019】
上記水素燃料電池において、前記板外ガス配給装置は両面ガス配給装置で、前記作動気流板外ガス配給装置は前記ケースの天板に設けられ、前記放熱ガス配給装置の放熱通路は前記ケースの底板に設けられる。
【0020】
上記両面ガス配給装置の具体的な構造は、
前記放熱通路はケースの内室に連通される放熱空気集気室であり、
前記放熱空気集気室は放熱ファンの取付台に連通され、
前記放熱口はケースの天板に設けられ、
放熱ファンによりケース内室中の空気が導入又は抽出され、
空気は天板上の放熱口からケースの内室に導入又は排出される。
【0021】
上記水素燃料電池において、
ボルタの電堆の組合せ体を包装するための硬質ケース式ケースは、圧蓋と、2つの「凹」形板と、天板と、底板と、側板と、フランジと、を含み、
2つの「凹」形板は、対向して設けられ、一端が前記側板に固定されて接続し、一端が前記フランジを介して前記圧蓋に固定され、
前記圧蓋上と前記側板上にそれぞれ、2つの極性の電源ポートが設けられ、
前記圧蓋上と前記側板上にそれぞれ、燃料気体進入口と燃料気体排出口が設けられる。
【0022】
上記水素燃料電池において、
フランジと圧蓋との具体的な実装方式は、1、前記圧蓋の上縁両側に下方に凹んだ弧形カード面を有し、前記フランジの前記弧形カード面に対向する位置に上方に凹んだ弧形カード面を有し、外部圧力によって圧蓋をフランジへ押圧する時、前記下方に凹んだ弧形カード面と上方に凹んだ弧形カード面によって空間を形成し、該空間の内部に実装栓又はボルトが設けられ、2、ボルトで圧蓋を直接フランジに固定することができる。
【0023】
また、前記ケースの内室中の電気受取板と圧蓋との間に金属板と弾性体とを交互に積層して構成される圧力補償器が設けられることが好ましい。
【0024】
上記水素燃料電池において、
前記電池パックは、複数の直列に接続した電池セルを含み、各前記電池セルは陽極導流板と、膜電極と、陰極導流板と、を含み、
前記陽極導流板の正面と前記陰極導流板の正面はそれぞれ前記膜電極の両面に隣接し、前記陽極導流板の裏面は他の電池セルの陰極導流板に隣接し、前記陰極導流板の裏面は他の電池セルの陽極導流板に隣接し、
前記陽極導流板は、水素ガス総進入孔と総排出孔を有し、そして、正面が、水素ガス導流溝が設けられ、裏面が、第1の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第1の空気進入溝とが設けられるとともに、第1の放熱溝と第1の空気ガス排出溝が設けられ、
前記陰極導流板は、水素ガス総進入孔と総排出孔を有し、正面に、空気進入孔と、空気排出孔と、空気導流溝とが設けられ、裏面に、第2の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第2の空気進入溝とが設けられ;前記陰極導流板と他の陽極導流板が協同する場合、第1の空気進入ガス配給ノズルと第2の空気進入ガス配給ノズルによって完全な空気進入ガス配給ノズルを形成し、第1の空気進入溝と第2の空気進入溝によって完全な空気進入通路を形成し;前記正面の空気進入孔は前記空気進入通路に設けられ、
前記陰極導流板の裏面にさらに、第2の放熱溝と第2の空気排出溝が設けられ、前記陰極正面の空気排出孔は前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝に連通され、
前記電池パック中の各電池セル上の水素ガス総進入孔と総排出孔は互いに連通され、ケースに設けられた孔を介して外部の水素ガス源に接続され、
前記電池パック中の各電池セル上の空気進入ガス配給ノズルはそれぞれ、前記作動気流板外ガス配給装置の気流出口に連通され、
前記陽極導流板の裏面の第1の放熱溝と前記陰極導流板の裏面の第2の放熱溝が組み合って放熱通路を形成し、
前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝と前記陽極裏面の第1の空気ガス排出溝とが組み合ってガス排出通路を形成する。
【0025】
前記陽極導流板の具体的な構造は、
両側でガス配給し、中間でガス排出する導流板であり、前記水素ガス総進入孔は2つで、それぞれ陽極導流板の両側に設けられ、水素ガス総排出孔は1つで陽極導流板の中間に設けられ、水素ガスは導流板両端の水素ガス総進入孔から導入され、両側から中間に流れ、中間の水素ガス総排出孔から排出され、
前記陰極導流板は中間で進入して両側でガス排出する導流板で、空気は導流板中間の空気進入通路から空気進入孔に導入され、中間から両側に流れ、両側のガス排出通路から排出される。
【0026】
前記陽極導流板の他の具体的な構造は、前記陽極導流板上の水素ガス総進入孔は1つで陽極導流板の一側に設けられ、水素ガス総排出孔は1つで陽極導流板の他側に設けられる。
【0027】
上記2種類の前記陽極導流板の具体的な構造において、陽極導流板の正面の水素ガス導流溝の両端に第1のガスポートと第2のガスポートとが設けられ、前記第1のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総進入孔に連通され、前記第2のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総排出孔に連通され、前記水素ガス導流溝は縦方向に排列され、前記空気導流溝は横方向に排列される。
【0028】
上記水素燃料電池中の陽極導流板において、前記ガス排出通路は一つ又は複数である。
【0029】
上記水素燃料電池中の陽極導流板において、前記陽極導流板の裏面と前記陰極導流板の裏面に複数の補強リブが設けられている。前記補強リブは第1の放熱溝と第2の放熱溝内で渦巻き器を形成する。
【0030】
本発明の上記水素燃料電池によると、上記の硬質ケース式ケースで包装したボルタの電堆の組合せ体が複数で、一体式複合構造に複合されます。前記2組以上のボルタの電堆の組合せ体が直列接続され、直列接続したボルタの電堆の組合せ体の首尾の電気受取板が導電媒体を介してそれぞれ、前記ケース上の2つの極性が相反する電源ポートに接続される。
【0031】
ボルタの電堆の組合せ体がケースの内室に並列に設けられる場合、前記作動気流板外ガス配給装置が、前記作動ファンに連通される気流供給口と、前記ボルタの電堆の組合せ体の並列数量に照合される2つ以上の気流分配口と、を含む気流配分管路をさらに含む。
【0032】
一方、本発明は、また、上述の水素燃料電池と、作動ファンと、放熱ファンと、を含み、前記作動ファン及び放熱ファンが前記水素燃料電池中の対応する取付台に設けられる水素燃料電池システムを提供する。
【0033】
上記水素燃料電池システムにおいて、前記作動ファンの進入口に接続され、電池に導入される作動気流をろ過するろ過装置を更に含む。
【0034】
前記ろ過装置が、進入口と、アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントと、ガス排出口と、を含み、前記進入口は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントの下方に位置し、前記ガス排出口は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントの上方に位置し、前記ガス排出口は前記作動ファンの進入口に連通される。
【発明の効果】
【0035】
上述の技術案において、放熱空気の配送、作動気流の板外からボルタの電堆の組合せ体中の電池セルへの配送及び放熱、作動ファンの取付を、一体化されたガス配給装置によって結合し、総合機能のガス配給装置を形成する。これによって、放熱、作動気流の最適化通路及び配送を実現し、燃料電池の最適化作動条件での高性能を保証できる。
【0036】
本発明によると気冷式の放熱方式を用いて、水管理システム及び各部品を省略し、システムの複雑性及び体積・重量を低減し、コストを減少し、システムの信頼性を向上できる。水冷却システムを省略したので、大量メンテナンス作業量を減少し、メンテナンスフリーで利用可能となり、また、冬の零度以下の環境に保存可能であって、且つすぐに発動可能である。
【0037】
本発明における包装構造は、伝統の端板−控え棒式から硬質ケース式包装に変更している。これにより、気冷式放熱方式の設計に有利であって、また、硬質ケース式構造は安定的で、軽くで、内部に包装された電池パックを保護できる。
【0038】
本発明における作動気流板外ガス配給装置(主に、空気−酸化剤導流板、即ち、陰極導流板を指す)は板外ガス配給方式を用いていて、板内のガス配給を板外ガス配給非貫通式導流板との設計へ変更し、それにより以下のメリットを有する。
(1) 極板の空気と水のガス配給孔を省略できる。板上の開口が少なくなるので、板の応力分布を改善でき、強度及び信頼性を向上でき、板外ガス配給によると、全ての便利な位置から電池パックに作動空気を配送でき、電池パックの全体設計に有利である。
(2) ガス配給孔を減少した後、極板の有効作動面積を5%〜10%増加した。極板の総面積が不変である場合、発電パワーを5%〜10%向上できる。
【0039】
本発明によると、低温で作動可能で、即ち、低温作動体制で、ここで、
(1) 作動温度が40℃〜60℃で、作動ガスを加湿、加熱する必要がない。
(2) 低温作動体制であるので、外部環境の温度に応じて作動温度を適切に変更でき、環境温度より約20℃〜30℃高くすればよい。放熱に有利であればよい。最高で40℃〜50℃の環境温度に適用できる。この場合、作動温度は短時間で70℃に達する。
(3) 低温作動によって、電池セル内のプロトン膜の分解及び老化の速度を緩め、使用寿命を向上し、信頼性を向上できる。
【0040】
本発明によると、常圧で作動することもでき、具体的には、
(1) 通常、水素燃料電池の空気作動圧力が0.5Kg/cm
2〜2Kg/cm
2であると高圧と呼ばれ、作動圧力が0.5Kg/cm
2〜0.05Kg/cm
2であると低圧と呼ばれ、作動圧力が0.05Kg/cm
2以下であると常圧と呼ばれ、本発明に提供される気冷・常圧水素燃料電池の作動圧力は数百パスカル(約0.001 Kg/cm
2)である。
(2) コンプレッサーの消費電力(発電パワーの約10%〜25%を占める)を減少し、遠心送風機のみでコンプレッサーによるガス配給を入れ替えることができ、その消費電力は電池パックの発電パワーの1%程度を占め、発電出力パワー及び電池パックの総効率を向上できる。
(3) 低圧作動によって電池密封の信頼性を向上できる。
(4) 本発明において、コンプレッサーの替わりに送風機を用いることができ、コストを大幅に低減し、使用寿命が長くなって、雑音を減少し、システムのコスト及び重量を共に低減できる。
【0041】
本発明によると、作動ガスを一定の時間間隔及び増加量で流量を往復に変更する水素燃料電池の動的湿度変化制御方法を提供する。前記増加量は初期流量の5%〜30%で、前記時間間隔は1〜30分である。
【0042】
上記制御方法によると、伝統の定湿度制御から動的湿度変化制御に変える。水の膜電極の各層間で伝送される際の湿度勾配及び湿度変化の速率により形成される時差を用いることによって、プロトン膜が高い湿度範囲で作動し、触媒層が動的に調節中において中等の湿度で作動し、拡散層が作動湿度が終始低湿度で循環的に往復する。このような動的湿度変化制御で、作動ガスが、一定の時間間隔及び増加量で流量を往復に変更し、反応水を引きずり出すと共に、拡散層及び触媒層の湿度勾配及び湿度差を増加し、膜電極の作動条件の最適化を実現した。燃料電池の作動は安定的で、性能が良好で、効率が高く、元の欠陥を解消できる。
【0043】
一方、このような制御を、水素ガス側で水素ガス循環システムと空気の作動ファンによって同時に実現できるが、水素ガス側において正常に循環するのみで、空気側において単独に制御することもできる。また、動的湿度変化制御のパラメータの場合、その変化周期の気流変化量及び変化間隔の時差を膜電極材料の違い及び膜電極の構造違いに応じて試験を経て確定及び最適化すればよい。