特許第6019104号(P6019104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019104
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】水素燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04701 20160101AFI20161020BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20161020BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20161020BHJP
   H01M 8/24 20160101ALI20161020BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20161020BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20161020BHJP
【FI】
   H01M8/04 T
   H01M8/00 A
   H01M8/04 Z
   H01M8/24 Z
   H01M8/04 N
   H01M8/24 M
   H01M8/24 R
   !H01M8/10
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-505489(P2014-505489)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-515164(P2014-515164A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】CN2012072086
(87)【国際公開番号】WO2012142881
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】201110100207.2
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513263190
【氏名又は名称】李 ▲鉄▼流
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲鉄▼流
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−322538(JP,A)
【文献】 特開2011−048989(JP,A)
【文献】 中国実用新案第2762365(CN,Y)
【文献】 特開2009−209011(JP,A)
【文献】 中国実用新案第2802737(CN,Y)
【文献】 特開2010−182488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルタの電堆の組合せ体と板外ガス配給装置とを含む水素燃料電池であって、
前記ボルタの電堆の組合せ体が、逐次設置された第1の絶縁板と、第1の電気受取板と、電池パックと、第2の電気受取板と、第2の絶縁板と、を含み、
前記第1の電気受取板と前記第2の電気受取板を前記電池パックの陽極出力、陰極出力とし、
前記ボルタの電堆の組合せ体が硬質ケース式ケースで包装され、
前記板外ガス配給装置は、
硬質ケース式ケースに固定され、
作動ファンに接続される作動ファン取付台が設けられて前記硬質ケース式ケースの外部から前記硬質ケース式ケースの内室まで伸長し、気流出口が前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズルに接続される作動気流板外ガス配給装置と、放熱ガス配給装置と、を含み、
前記放熱ガス配給装置は、
前記硬質ケース式ケースの外部に設けられ、前記硬質ケース式ケースの内室に連通される放熱通路と、前記硬質ケース式ケース上に設けられる放熱口と、を含み、
前記放熱通路に放熱ファンに接続される放熱ファン取付台が設けられ、
前記電池パックは、複数の直列に接続した前記電池セルを含み、各前記電池セルは陽極導流板と、膜電極と、陰極導流板と、を含み、
前記陽極導流板の正面と前記陰極導流板の正面はそれぞれ前記膜電極の両面に隣接し、前記陽極導流板の裏面は他の電池セルの陰極導流板に隣接し、前記陰極導流板の裏面は他の電池セルの陽極導流板に隣接し、
前記陽極導流板は、水素ガス総進入孔と水素ガス総排出孔を有し、また、正面が、水素ガス導流溝が設けられ、裏面が、第1の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第1の空気進入溝とが設けられるとともに、第1の放熱溝と第1の空気ガス排出溝が設けられ、
前記陰極導流板は、水素ガス総進入孔と水素ガス総排出孔を有し、正面に、空気進入孔と、空気排出孔と、空気導流溝とが設けられ、裏面に、第2の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第2の空気進入溝とが設けられ;前記陰極導流板と他の陽極導流板が協同する場合、第1の空気進入ガス配給ノズルと第2の空気進入ガス配給ノズルによって完全な空気進入ガス配給ノズルを形成し、第1の空気進入溝と第2の空気進入溝によって完全な空気進入通路を形成し;前記陰極導流板の正面の空気進入孔が前記空気進入通路に設けられ、
前記陰極導流板の裏面にさらに、第2の放熱溝と第2の空気排出溝が設けられ、前記陰極導流板の正面の空気排出孔は前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝に連通され、
前記電池パック中の各電池セル上の水素ガス総進入孔と水素ガス総排出孔は互いに連通され、ケースに設けられた孔を介して外部の水素ガス源に接続され、
前記電池パック中の各電池セル上の空気進入ガス配給ノズルはそれぞれ、前記作動気流板外ガス配給装置の気流出口に連通され、
前記陽極導流板の裏面の第1の放熱溝と前記陰極導流板の裏面の第2の放熱溝が組み合って放熱通路を形成し、
前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝と前記陽極導流板の裏面の第1の空気ガス排出溝とが組み合ってガス排出通路を形成し、
前記ガス排出通路が一つ又は複数であり、
前記陽極導流板の裏面と前記陰極導流板の裏面に複数の補強リブが設けられており、
前記補強リブが第1の放熱溝と第2の放熱溝内で渦巻き器を形成することを特徴とする水素燃料電池。
【請求項2】
前記作動気流板外ガス配給装置が、ガス配給本管と、ガス配給溝と、気流出口と、を含み、
前記ガス配給本管は、前記硬質ケース式ケースの外部に位置し、前記硬質ケース式ケースの天板に固定されて、前記ガス配給溝に連通され、
前記ガス配給溝は、前記硬質ケース式ケースの内室まで伸長し、そして、底部に、前記電池パック中の各前記電池セルの空気進入ガス配給ノズルに連通される前記気流出口が形成され、
前記ガス配給本管に作動ファンに接続される前記作動ファン取付台が設けられ、
前記板外ガス配給装置は単面ガス配給装置であり、
前記作動気流板外ガス配給装置と放熱ガス配給装置とが共に前記硬質ケース式ケースの天板に設けられることを特徴とする請求項1に記載の水素燃料電池。
【請求項3】
前記放熱通路は、一端が前記放熱ファン取付台が設けられる開放端であり、そして、開放端から他端へ徐々に低下して、前記硬質ケース式ケースの天板を覆って固定され、
前記放熱ファンは放熱通路を介して前記硬質ケース式ケースの内室に空気を導入して前記ボルタの電堆の組合せ体の放熱を実現し、
前記ボルタの電堆の組合せ体を放熱させた後の放熱空気が前記硬質ケース式ケース上の放熱口から排出されることを特徴とする請求項2に記載の水素燃料電池。
【請求項4】
前記ガス配給本管の一端が開放端で、前記ガス配給本管の開放端に前記作動ファン取付台が設けられ、前記ガス配給本管が開放端から他端に徐々に低下し、
前記ガス配給本管の開放端と前記放熱通路の開放端がそれぞれ、前記硬質ケース式ケースの天板の2つの対向する辺に位置されることを特徴とする請求項3に記載の水素燃料電池。
【請求項5】
前記放熱通路の内壁に気流導流減衰溝が設けられることを特徴とする請求項3に記載の水素燃料電池。
【請求項6】
前記板外ガス配給装置は両面ガス配給装置であり、前記作動気流板外ガス配給装置は前記硬質ケース式ケースの天板に設けられ、前記放熱ガス配給装置の放熱通路は前記硬質ケース式ケースの底板に設けられ、
前記放熱通路は前記硬質ケース式ケースの内室に連通される放熱空気集気室であり、
前記放熱空気集気室は前記放熱ファンの取付台に連通され、
前記放熱口はケースの天板に設けられ、
前記放熱ファンにより前記硬質ケース式ケースの内室中の空気が導入又は抽出され、
空気は天板上の放熱口から前記硬質ケース式ケースの内室に導入又は排出されることを特徴とする請求項2に記載の水素燃料電池。
【請求項7】
ボルタの電堆の組合せ体を包装するための硬質ケース式ケースは、圧蓋と、2つの「凹」形板と、天板と、底板と、側板と、フランジと、を含み、
2つの「凹」形板は対向して設けられ、一端が前記側板に固定されて接続し、他端が前記フランジを介して前記圧蓋に固定され、
前記圧蓋上と前記側板上にそれぞれ、2つの極性の電源ポートが設けられ、
前記圧蓋上に燃料気体進入口が設けられ、前記側板上に燃料気体排出口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の水素燃料電池。
【請求項8】
前記陽極導流板は、両側でガス配給し、中間でガス排出する導流板であり、前記水素ガス総進入孔は2つを有しそれぞれ陽極導流板の両側に設けられ、水素ガス総排出孔は1つを有し陽極導流板の中間に設けられ、水素ガスは導流板両端の水素ガス総進入孔から導入され、両側から中間に流れ、中間の水素ガス総排出孔から排出され、
前記陰極導流板は中間で進入して両側でガス排出する導流板であり、空気は導流板中間の空気進入通路から空気進入孔に導入され、中間から両側に流れ、両側のガス排出通路から排出され、
前記陽極導流板の正面の水素ガス導流溝の両端に第1のガスポートと第2のガスポートとが設けられ、前記第1のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総進入孔に連通され、前記第2のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総排出孔に連通されることを特徴とする請求項1に記載の水素燃料電池。
【請求項9】
前記陽極導流板上の水素ガス総進入孔は1つを有し陽極導流板の一側に設けられ、水素ガス総排出孔は1を有し陽極導流板の他側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の水素燃料電池。
【請求項10】
前記水素ガス導流溝は縦方向に排列され、前記空気導流溝は横方向に排列されることを特徴とする請求項1又は8又は9に記載の水素燃料電池。
【請求項11】
前記硬質ケース式ケースで包装したボルタの電堆の組合せ体が複数で、一体式複合構造に複合され、
2組以上の前記ボルタの電堆の組合せ体が直列接続され、直列接続されたボルタの電堆の組合せ体の首尾の電気受取板が導電媒体を介してそれぞれ、前記硬質ケース式ケース上の極性が相反する2つの電源ポートに接続され、
ボルタの電堆の組合せ体がケースの内室に並列に設けられる場合、前記作動気流板外ガス配給装置が、前記作動ファンに連通される気流供給口と、前記ボルタの電堆の組合せ体の並列数量に照合される2つ以上の気流分配口と、を含む気流配分管路をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9の中のいずれかに記載の水素燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池技術分野に関し、具体的に、水素燃料電池及びそのシステム、並びに動的湿度変化制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素燃料電池(主に、プロトン交換膜燃料電池を指す、以下、PEFOと略称)は、前世紀90年代初期から応用研究を始め、燃料電池電気自動車と分布式、移動式電源サンプル機を製造した。21世紀に入ってから実験室から出て、サンプルカー、サンプル機の開発及び研究を開始した。通常、水素燃料電池システムにおけるボルタの電堆の組合せ体は、電池パックを含み、電池パックの両端に、ケースとの絶縁に用いられる絶縁板と、電源端子に接続されて電池の電源出力としている電気受取板が設けられる。ここで、電池パックは、個々の電池セルから構成される。各電池セルの核心は膜電極である。水素燃料電池システムにおいて、発電用のボルタの電堆の組合せ体の以外に、例えば作動ガス(燃料としての気体水素と、酸化剤としての空気)のガス配給システムなどさまざまな不可欠な部品をさらに含み、そして、ボルタの電堆の組合せ体の動作モードの要求に応じて、作動ガスに加湿、加熱を行わなければならないので、加湿、加熱システムが不可欠なものである。温度が高すぎると、他の部品に不利であるので、同時に冷却システムも必要である。伝統の水素燃料電池システムにおける冷却システムは水冷式システムである。
【0003】
このように構成された水素燃料電池システムは、構造が複雑で、価格が高く、コストが高いことから、数年間工業的規模と商品化を形成することができなかった。技術的に、幾つかの重大な欠陥が存在し、その商品化と市場化の発展を制約した。主な問題は以下のとおりである。
【0004】
水冷放熱方式は、貯水タンク、熱交換器、ボルタの電堆内の放熱システム、浄水装置、給水ポンプ及び水加湿、加熱システムを含む、組合せてセットされる水管管理システムが必要である。よって、システムが複雑で、体積が大きく、重く、コストが高く、メンテナンスに不便である。また、零度以下の環境で保存しにくい。
【0005】
高温動作(70℃〜80℃)であるので、水素燃料と酸化剤空気に加湿、加熱を行う必要がある。膜電極中のプロトン交換膜が高温での動作状態であり、使用寿命が短く、同様に、システムが複雑で、コストが高い。
【0006】
高圧動作体制(空気を0.5Kg/cm〜2Kg/cmの圧力まで加圧して動作する)の場合、気体圧縮中に発電量の10%〜25%を消費しなければならなく、且つ、高圧で動作するので、電池パック内部の密封が難しく、圧縮空気ポンプの使用寿命が短く、且つシステムが重く、コストが高く、雑音が大きい。これは燃料電池の産業化を障害する重大な技術支障の中の1つである。
【0007】
また、伝統の水素燃料電池発電システム中の電池パックは、端板−控え棒(ドローバー)式の包装構造を用いる。このような包装構造は、重く、構造の安定性が悪く、且つ板内ガス配給及び水冷放熱の技術方式のみに適応する。
【0008】
水素と空気の作動圧力が高いことから、高圧燃料電池はいずれも板内ガス配給及び水冷式放熱方式を用いる。つまり、電池の極板に水素ガス、空気及び水用のスルーホールを開口し、また、極板の反応区と厳格に密封・分離して、ガス配給、水供給の通路を形成する。大きいスルーホールを開口すると、極板の構造強度が低減され、ボルタの電堆の信頼性も低減され、また、極板の有効反応面積(即ち、発電面積)が減少され、発電率が低減される。
【0009】
また、伝統の燃料電池の発電システムは、通常、高い動作温度で定湿度制御の動作モードを用い、よって、電池パック内部に一部の液体水の凝集が発生し、そして、酷い時は気流の通路を塞いで「分極反転」現象が現して、電池パックが効力を失うことになる。従って、このような制御モードで、燃料電池内部の水溜りを防止するため、定期的に水素ガス通路からガスを排出して溜まった水も伴に排出しなければならない。この場合、電池の安定した動作に影響を与えると共に、一部の燃料である水素ガスも排出し、燃料電池の発電效率が低下する。今の試用中の燃料電池によると、10秒ごとに水素ガスを1〜2秒排出しなければならなく、総效率の約10%が低減されてします。
【0010】
燃料電池が、都市の環境で動作する場合、いずれも有害ガス(例えば、SO、HS、HCX、HNX)が作動ガスと一緒に陰極に入って、触媒の中毒、電池性能の低下等の重大な問題をもたらしてしまう。2008年に、ドイツが北京で模範運行した燃料電池大型バスは900時間運行した時に、その性能が40%以上低下され、継続して利用することができなかった。上海万国博覧会において、多くの燃料電池の園内バスと経営乗用車がいずれも性能が低減する現象が起こしたが、その周辺の多数の発電工場及びゴミ焼き場から排出される一部の高濃度有害ガスに起因した可能性は最も高い。北京の環境評価資料の紹介によると、SOの年平均濃度が国家基準(百万パーセントの0.03%、即ち、0.03PPMの質量濃度)より高くはないが、4環と5環の発電工場に接近する個別の測定地では10倍以上の濃度に達する場合もある。トラック、バスが通過する際に排出されるSOの濃度は1〜5個PPMに達し、年平均濃度の100倍以上となる。いかなる技術的措置もとらないと、都市で燃料電池を利用することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、発電效率を向上し、コストを低減しつつ寿命を向上できる水素燃料電池及びそのシステム、並びに動的湿度変化制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術問題を解決するため、本発明は、ボルタの電堆の組合せ体と板外ガス配給装置とを含む水素燃料電池であって、
前記ボルタの電堆の組合せ体が、逐次設置された第1の絶縁板と、第1の電気受取板と、電池パックと、第2の電気受取板と、第2の絶縁板と、を含み、
前記第1の電気受取板と第2の電気受取板を電池パックの陽極出力、陰極出力とし、
前記ボルタの電堆の組合せ体が硬質ケース式ケースで包装され、
前記板外ガス配給装置は、
硬質ケース式ケースに固定され、
作動ファンに接続されるファン取付台が設けられて、前記硬質ケース式ケースの外部から前記硬質ケース式ケースの内室まで伸長し、気流出口が前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズルに接続される作動気流板外ガス配給装置と、放熱ガス配給装置と、を含み、
前記放熱ガス配給装置は、
前記硬質ケース式ケースの外部に設けられ、前記硬質ケース式ケースの内室に連通される放熱通路と、前記硬質ケース式ケース上に設けられる放熱口と、を含み、
前記放熱通路に放熱ファンに接続される放熱ファン取付台が設けられることを特徴とする水素燃料電池を提供する。
【0013】
さらに、上記の水素燃料電池において、
前記作動気流板外ガス配給装置が、ガス配給本管と、ガス配給溝と、気流出口と、を含み、
前記ガス配給本管は、前記ケースの外部に位置し、前記ケースの天板に固定され、且つ、前記ガス配給溝に連通され、
前記ガス配給溝は、前記ケースの内室まで伸長し、そして、底部に、前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズルに連通される前記気流出口が形成され、
前記ガス配給本管に作動ファンに接続されるファン取付台が設けられる。
【0014】
具体的に、前記水素燃料電池中の前記板外ガス配給装置は、単面ガス配給装置であり、前記作動気流板外ガス配給装置と放熱ガス配給装置とが共に前記ケースの天板に設けられる。
【0015】
前記の単面ガス配給装置の具体的な構造は、
前記放熱通路は、一端が放熱ファン取付台が設けられる開放端で、そして、開放端から他端へ徐々に低下して、ケースの天板を覆って固定され、
前記放熱ファンは、放熱通路を介してケースの内室に空気を導入して前記ボルタの電堆の組合せ体の放熱を実現し、
前記ボルタの電堆の組合せ体を放熱させた後の放熱空気は、ケース上の放熱口から排出される。
【0016】
一方、前記ガス配給本管は、一端が作動ファン取付台が設けられる開放端で、開放端から他端に徐々に低下する。
【0017】
前記ガス配給本管の開放端と前記放熱通路の開放端はそれぞれ、前記硬質ケース式ケースの天板の2つの対向する辺に位置される。
【0018】
また、前記放熱通路に気流導流減衰溝が設けられることが好ましい。
【0019】
上記水素燃料電池において、前記板外ガス配給装置は両面ガス配給装置で、前記作動気流板外ガス配給装置は前記ケースの天板に設けられ、前記放熱ガス配給装置の放熱通路は前記ケースの底板に設けられる。
【0020】
上記両面ガス配給装置の具体的な構造は、
前記放熱通路はケースの内室に連通される放熱空気集気室であり、
前記放熱空気集気室は放熱ファンの取付台に連通され、
前記放熱口はケースの天板に設けられ、
放熱ファンによりケース内室中の空気が導入又は抽出され、
空気は天板上の放熱口からケースの内室に導入又は排出される。
【0021】
上記水素燃料電池において、
ボルタの電堆の組合せ体を包装するための硬質ケース式ケースは、圧蓋と、2つの「凹」形板と、天板と、底板と、側板と、フランジと、を含み、
2つの「凹」形板は、対向して設けられ、一端が前記側板に固定されて接続し、一端が前記フランジを介して前記圧蓋に固定され、
前記圧蓋上と前記側板上にそれぞれ、2つの極性の電源ポートが設けられ、
前記圧蓋上と前記側板上にそれぞれ、燃料気体進入口と燃料気体排出口が設けられる。
【0022】
上記水素燃料電池において、
フランジと圧蓋との具体的な実装方式は、1、前記圧蓋の上縁両側に下方に凹んだ弧形カード面を有し、前記フランジの前記弧形カード面に対向する位置に上方に凹んだ弧形カード面を有し、外部圧力によって圧蓋をフランジへ押圧する時、前記下方に凹んだ弧形カード面と上方に凹んだ弧形カード面によって空間を形成し、該空間の内部に実装栓又はボルトが設けられ、2、ボルトで圧蓋を直接フランジに固定することができる。
【0023】
また、前記ケースの内室中の電気受取板と圧蓋との間に金属板と弾性体とを交互に積層して構成される圧力補償器が設けられることが好ましい。
【0024】
上記水素燃料電池において、
前記電池パックは、複数の直列に接続した電池セルを含み、各前記電池セルは陽極導流板と、膜電極と、陰極導流板と、を含み、
前記陽極導流板の正面と前記陰極導流板の正面はそれぞれ前記膜電極の両面に隣接し、前記陽極導流板の裏面は他の電池セルの陰極導流板に隣接し、前記陰極導流板の裏面は他の電池セルの陽極導流板に隣接し、
前記陽極導流板は、水素ガス総進入孔と総排出孔を有し、そして、正面が、水素ガス導流溝が設けられ、裏面が、第1の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第1の空気進入溝とが設けられるとともに、第1の放熱溝と第1の空気ガス排出溝が設けられ、
前記陰極導流板は、水素ガス総進入孔と総排出孔を有し、正面に、空気進入孔と、空気排出孔と、空気導流溝とが設けられ、裏面に、第2の空気進入ガス配給ノズルとそれに連通される第2の空気進入溝とが設けられ;前記陰極導流板と他の陽極導流板が協同する場合、第1の空気進入ガス配給ノズルと第2の空気進入ガス配給ノズルによって完全な空気進入ガス配給ノズルを形成し、第1の空気進入溝と第2の空気進入溝によって完全な空気進入通路を形成し;前記正面の空気進入孔は前記空気進入通路に設けられ、
前記陰極導流板の裏面にさらに、第2の放熱溝と第2の空気排出溝が設けられ、前記陰極正面の空気排出孔は前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝に連通され、
前記電池パック中の各電池セル上の水素ガス総進入孔と総排出孔は互いに連通され、ケースに設けられた孔を介して外部の水素ガス源に接続され、
前記電池パック中の各電池セル上の空気進入ガス配給ノズルはそれぞれ、前記作動気流板外ガス配給装置の気流出口に連通され、
前記陽極導流板の裏面の第1の放熱溝と前記陰極導流板の裏面の第2の放熱溝が組み合って放熱通路を形成し、
前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝と前記陽極裏面の第1の空気ガス排出溝とが組み合ってガス排出通路を形成する。
【0025】
前記陽極導流板の具体的な構造は、
両側でガス配給し、中間でガス排出する導流板であり、前記水素ガス総進入孔は2つで、それぞれ陽極導流板の両側に設けられ、水素ガス総排出孔は1つで陽極導流板の中間に設けられ、水素ガスは導流板両端の水素ガス総進入孔から導入され、両側から中間に流れ、中間の水素ガス総排出孔から排出され、
前記陰極導流板は中間で進入して両側でガス排出する導流板で、空気は導流板中間の空気進入通路から空気進入孔に導入され、中間から両側に流れ、両側のガス排出通路から排出される。
【0026】
前記陽極導流板の他の具体的な構造は、前記陽極導流板上の水素ガス総進入孔は1つで陽極導流板の一側に設けられ、水素ガス総排出孔は1つで陽極導流板の他側に設けられる。
【0027】
上記2種類の前記陽極導流板の具体的な構造において、陽極導流板の正面の水素ガス導流溝の両端に第1のガスポートと第2のガスポートとが設けられ、前記第1のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総進入孔に連通され、前記第2のガスポートは前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総排出孔に連通され、前記水素ガス導流溝は縦方向に排列され、前記空気導流溝は横方向に排列される。
【0028】
上記水素燃料電池中の陽極導流板において、前記ガス排出通路は一つ又は複数である。
【0029】
上記水素燃料電池中の陽極導流板において、前記陽極導流板の裏面と前記陰極導流板の裏面に複数の補強リブが設けられている。前記補強リブは第1の放熱溝と第2の放熱溝内で渦巻き器を形成する。
【0030】
本発明の上記水素燃料電池によると、上記の硬質ケース式ケースで包装したボルタの電堆の組合せ体が複数で、一体式複合構造に複合されます。前記2組以上のボルタの電堆の組合せ体が直列接続され、直列接続したボルタの電堆の組合せ体の首尾の電気受取板が導電媒体を介してそれぞれ、前記ケース上の2つの極性が相反する電源ポートに接続される。
【0031】
ボルタの電堆の組合せ体がケースの内室に並列に設けられる場合、前記作動気流板外ガス配給装置が、前記作動ファンに連通される気流供給口と、前記ボルタの電堆の組合せ体の並列数量に照合される2つ以上の気流分配口と、を含む気流配分管路をさらに含む。
【0032】
一方、本発明は、また、上述の水素燃料電池と、作動ファンと、放熱ファンと、を含み、前記作動ファン及び放熱ファンが前記水素燃料電池中の対応する取付台に設けられる水素燃料電池システムを提供する。
【0033】
上記水素燃料電池システムにおいて、前記作動ファンの進入口に接続され、電池に導入される作動気流をろ過するろ過装置を更に含む。
【0034】
前記ろ過装置が、進入口と、アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントと、ガス排出口と、を含み、前記進入口は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントの下方に位置し、前記ガス排出口は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントの上方に位置し、前記ガス排出口は前記作動ファンの進入口に連通される。
【発明の効果】
【0035】
上述の技術案において、放熱空気の配送、作動気流の板外からボルタの電堆の組合せ体中の電池セルへの配送及び放熱、作動ファンの取付を、一体化されたガス配給装置によって結合し、総合機能のガス配給装置を形成する。これによって、放熱、作動気流の最適化通路及び配送を実現し、燃料電池の最適化作動条件での高性能を保証できる。
【0036】
本発明によると気冷式の放熱方式を用いて、水管理システム及び各部品を省略し、システムの複雑性及び体積・重量を低減し、コストを減少し、システムの信頼性を向上できる。水冷却システムを省略したので、大量メンテナンス作業量を減少し、メンテナンスフリーで利用可能となり、また、冬の零度以下の環境に保存可能であって、且つすぐに発動可能である。
【0037】
本発明における包装構造は、伝統の端板−控え棒式から硬質ケース式包装に変更している。これにより、気冷式放熱方式の設計に有利であって、また、硬質ケース式構造は安定的で、軽くで、内部に包装された電池パックを保護できる。
【0038】
本発明における作動気流板外ガス配給装置(主に、空気−酸化剤導流板、即ち、陰極導流板を指す)は板外ガス配給方式を用いていて、板内のガス配給を板外ガス配給非貫通式導流板との設計へ変更し、それにより以下のメリットを有する。
(1) 極板の空気と水のガス配給孔を省略できる。板上の開口が少なくなるので、板の応力分布を改善でき、強度及び信頼性を向上でき、板外ガス配給によると、全ての便利な位置から電池パックに作動空気を配送でき、電池パックの全体設計に有利である。
(2) ガス配給孔を減少した後、極板の有効作動面積を5%〜10%増加した。極板の総面積が不変である場合、発電パワーを5%〜10%向上できる。
【0039】
本発明によると、低温で作動可能で、即ち、低温作動体制で、ここで、
(1) 作動温度が40℃〜60℃で、作動ガスを加湿、加熱する必要がない。
(2) 低温作動体制であるので、外部環境の温度に応じて作動温度を適切に変更でき、環境温度より約20℃〜30℃高くすればよい。放熱に有利であればよい。最高で40℃〜50℃の環境温度に適用できる。この場合、作動温度は短時間で70℃に達する。
(3) 低温作動によって、電池セル内のプロトン膜の分解及び老化の速度を緩め、使用寿命を向上し、信頼性を向上できる。
【0040】
本発明によると、常圧で作動することもでき、具体的には、
(1) 通常、水素燃料電池の空気作動圧力が0.5Kg/cm〜2Kg/cmであると高圧と呼ばれ、作動圧力が0.5Kg/cm〜0.05Kg/cmであると低圧と呼ばれ、作動圧力が0.05Kg/cm以下であると常圧と呼ばれ、本発明に提供される気冷・常圧水素燃料電池の作動圧力は数百パスカル(約0.001 Kg/cm)である。
(2) コンプレッサーの消費電力(発電パワーの約10%〜25%を占める)を減少し、遠心送風機のみでコンプレッサーによるガス配給を入れ替えることができ、その消費電力は電池パックの発電パワーの1%程度を占め、発電出力パワー及び電池パックの総効率を向上できる。
(3) 低圧作動によって電池密封の信頼性を向上できる。
(4) 本発明において、コンプレッサーの替わりに送風機を用いることができ、コストを大幅に低減し、使用寿命が長くなって、雑音を減少し、システムのコスト及び重量を共に低減できる。
【0041】
本発明によると、作動ガスを一定の時間間隔及び増加量で流量を往復に変更する水素燃料電池の動的湿度変化制御方法を提供する。前記増加量は初期流量の5%〜30%で、前記時間間隔は1〜30分である。
【0042】
上記制御方法によると、伝統の定湿度制御から動的湿度変化制御に変える。水の膜電極の各層間で伝送される際の湿度勾配及び湿度変化の速率により形成される時差を用いることによって、プロトン膜が高い湿度範囲で作動し、触媒層が動的に調節中において中等の湿度で作動し、拡散層が作動湿度が終始低湿度で循環的に往復する。このような動的湿度変化制御で、作動ガスが、一定の時間間隔及び増加量で流量を往復に変更し、反応水を引きずり出すと共に、拡散層及び触媒層の湿度勾配及び湿度差を増加し、膜電極の作動条件の最適化を実現した。燃料電池の作動は安定的で、性能が良好で、効率が高く、元の欠陥を解消できる。
【0043】
一方、このような制御を、水素ガス側で水素ガス循環システムと空気の作動ファンによって同時に実現できるが、水素ガス側において正常に循環するのみで、空気側において単独に制御することもできる。また、動的湿度変化制御のパラメータの場合、その変化周期の気流変化量及び変化間隔の時差を膜電極材料の違い及び膜電極の構造違いに応じて試験を経て確定及び最適化すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例1の構造を示す図である。
図1B】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例1の構造を示す図である。
図1C】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例1の構造を示す図である。
図1D】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例1の構造を示す図である。
図1E】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例1の構造を示す図である。
図2A】本発明に係わる水素ガス燃料の電池発電システムの実施例2の構造を示す図である。
図2B】本発明に係わる水素ガス燃料の電池発電システムの実施例2の構造を示す図である。
図2C】本発明に係わる水素ガス燃料の電池発電システムの実施例2の構造を示す図である。
図2D】本発明に係わる水素ガス燃料の電池発電システムの実施例2の構造を示す図である。
図3A】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例3の構造を示す図である。
図3B】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例3の構造を示す図である。
図4A】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例4の構造を示す図である。
図4B】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例4の構造を示す図である。
図5A】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例5の構造を示す図である。
図5B】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムの実施例5の構造を示す図である。
図6A】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムにおけるケースを断面を示す図である。
図6B】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムにおけるケースの構造を示す図である。
図6C】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムにおけるケースの構造を示す図である。
図7】本発明に係わる水素燃料電池の発電システムにおける電池パック中の直列接続した2つの電池セルの断面構造を示す図である。
図8A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例1における電池セルの陽極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図8B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例1における電池セルの陽極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図9A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例1における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図9B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例1における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図10A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例2における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面構造を示す図である。
図10B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例2における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面構造を示す図である。
図11A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例2における電池セルの陽極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図11B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例2における電池セルの陽極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図12A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例3における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図12B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例3における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図13】本発明に係わる水素燃料電池の実施例4における電池セルの陰極導流板の裏面構造を示す図である。
図14A】本発明に係わる水素燃料電池の実施例5における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図14B】本発明に係わる水素燃料電池の実施例5における電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。
図15】本発明に係わる水素燃料電池の実施例6における電池セルの陰極導流板の裏面構造を示す図である。
図16】膜電極の原理を示す図である。
図17】既存の膜電極に静的定湿制御を行う際の各層の湿度関係を示す図である。
図18】本発明に提供される動的湿度制御方法を適用した場合の膜電極の各層の湿度関係を示す図である。
図19】本発明に提供される水素燃料電池システムにおけるろ過装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、気冷・常圧作動の水素燃料電池を提供する。硬質ケース式包装構造、一体化板外ガス配給構造、板外ガス配給非貫通式陰極導流板、両側ガス双進入逆プロセス、中間単一孔排気式陽極板を用いて、動的湿度制御方式、即ち、作動ファンの動作電圧を制御することで、作動気流の流量を制御する。
【0046】
本発明は、通常の水冷放熱の替わりに気冷式を放熱用いて、水管理システム及びその各種部品を省略し、システムの複雑性及び体積・重量を低減し、コストを減少し、システム信頼性を向上する。水冷却システムを除去したので、大量のメンテナンス作業量を減少し、メンテナンスフリーで利用可能となる。また、冬の零度以下の環境に保存可能であって、且つすぐに発動可能である。
【0047】
本発明によると、放熱空気の配送、作動気流の板外からボルタの電堆の組合せ体中の単一電池までの配送、放熱及び作動ファンの取付の好適化を実現することによって、放熱、作動気流の最適化通路及び配送を実現し、燃料電池が最適化作動条件で高い性能を発揮できる。
【0048】
以下、具体的な実施例により本発明を詳しく説明する。
【0049】
[一体化板外ガス配給装置]
本発明によると、放熱空気の配送、と作動気流の板外からボルタの電堆の組合せ体内の電池セルへの配送、及び放熱ファンと作動ファンの取付を、一体化ガス配給装置によって結合し、総合機能を有するガス配給装置を形成する。当該装置は以下の2種類の構造を有する。
【0050】
実施例1:単面ガス配給、即ち、放熱ガス配給装置と作動気流板外ガス配給装置が共にケースの天板に設けられる。
【0051】
図1A〜1Eは、本発明に係わる水素燃料電池の実施例1の構造を示す図である。該実施例において、水素燃料電池は単面ガス配給方式で放熱空気及び作動気流を配送する。
【0052】
図1Cは、該実施例の平面図で、図1A図1Bはそれぞれ、図1C中のAAに沿う前後断面図である。図1Dは、図1BのB方向から見た図で、図1E図1Bの一部剖断面の拡大図である。本実施例中の水素燃料電池は、ボルタの電堆の組合せ体と、板外ガス配給装置と、を含む。この中、前記ボルタの電堆の組合せ体は硬質ケース式のケースで包装している。ボルタの電堆の組合せ体の構造及び硬質ケース式ケースについては後述の実施例において具体的に説明する。
【0053】
前記板外ガス配給装置は、硬質ケース式ケースに固定され、そして、作動気流板外ガス配給装置と、放熱ガス配給装置と、を含む。
【0054】
前記作動気流板外ガス配給装置は、ガス配給本管114と、ガス配給溝113と、気流出口115とから構成される。前記ガス配給本管114は、前記ケースの外部に位置し、前記ケースの天板に固定され、且つ、前記ガス配給溝113と連通される。前記ガス配給溝113は前記ケース内室へ伸長し、底部が、気流出口115が形成される。前記気流出口115は前記水素燃料電池組中の各電池セルの陰極導流板118の空気進入ガス配給ノズルに接続される。空気進入ガス配給ノズルは空気進入通路110に連通される。前記ガス配給本管114の一端は作動ファンに接続される作動ファン取付台112が設けられる開放端である。前記ガス配給本管114は、開放端から他端へ徐々に下げる。前記ファン取付台112と前記放熱ファン取付台111はそれぞれ、天板の2つの対向端に設けられる。且つ、前記ガス配給本管114はファン取付台112が位置する一端から他端へ徐々に下げる。
【0055】
前記放熱ガス配給装置システムは、ケースの外部に設けられ、ケース内室に連通される放熱通路1111と、ケースに設けられた放熱口(図示していない)と、を備える。前記放熱通路1111の一端は放熱ファン取付台111が設けられる開放端である。前記放熱通路1111は開放端から他端へ徐々に下げ、またケースの天板を覆って固定される。本実施例において、前記作動ファンの取付台112と放熱ファン取付台111がそれぞれの管路の開放端に位置するが、管路の他の任意の位置に設けられることも可能であって、具体的な位置は取付条件などによって決められる。
【0056】
放熱ファンは放熱通路1111を介してケース内室に空気を導入したり抽出したりして水素燃料電池の放熱を行う。前記水素燃料電池組を放熱させた後の放熱空気はケース上の放熱出口から排出又は導入される。
【0057】
一方、前記放熱通路1111に気流導流減衰溝117が設けられる。放熱気流が減衰溝で下向きの偏向速度を発生し、よって、さらに均一に電池パックの放熱通路に流すことができる。
【0058】
実施例2:両面ガス配給、即ち、前記作動気流の板外ガス配給装置が前記ケースの天板に設けられ、前記放熱ガス配給装置の放熱通路が前記ケースの底板に設けられる。
【0059】
図2A〜2Dは、本発明の水素燃料電池の発電システムの実施例2の構造を示す図で、その中、放熱ファン及びその取付台と作動気流の板外ガス配給装置がそれぞれ水素燃料電池ケースの上下の2つの対向する板、即ち、天板と底板に設けられる点で実施例1と異なっている。
【0060】
図2A図2Dに示すように、本実施例において、前記天板123にガス配給本管121が設けられる。該ガス配給本管121は、作動ファン取付台122を介して作動ファンに接続され(図示していない)、また、ガス配給溝128に連通される。前記ガス配給溝128は、前記ケースの内室まで伸長し、底部が気流出口129が形成される。前記気流出口は、前記電池パック中の各電池セルの空気進入ガス配給ノズル(図示していない)に連通される。前記底板124に放熱空気集気室127が設置される。ケースの天板123に複数の放熱口130が設けられる。前記放熱空気集気室127はケースの内室に連通され、放熱ファン取付台125を介して放熱ファン(図示していない)に連通される。放熱ファンとして軸流ファン又は遠心ファンを用いて放熱空気集気室127から吸い込んで放熱し、ケース内の水素燃料電池組の放熱通路(図示していない)中の熱量を吸い込んで電池パックの放熱を実現する。
【0061】
放熱ファンによる吸込み作動において、ケース外の空気は天板123の放熱口130からケースに導入され、電池パックの放熱通路を経由し、放熱空気集気室127から放熱ファンによって熱気が排出される。また、放熱ファンによって放熱空気集気室127の底板124から水素燃料電池組に放熱空気を供給して、水素燃料電池組の放熱通路(図示していない)を経由して天板123の放熱口130から排出して、放熱効果を実現することもできる。
【0062】
[複合構造]
本発明において、前記硬質ケース式ケースで包装したボルタの電堆の組合せ体が複数である場合、一体式の複合構造に複合することができる。単面ガス配給の場合、必要のパワーと電圧に応じて、電池パックの長さを任意に延長し、硬質ケース式ケースの長さを延長することができる。両面ガス配給の場合、一組の電池パックと一つの放熱ファンとを一つのモノブロックとする。双ブロックであると、二倍長さの硬質ケース式ケースで二倍数量のボルタの電堆を取り付け、上方の作動気流板外ガス配給装置を一倍長くする。一方、下方の放熱ガス配給装置に2つの放熱ファンを取り付け、他の複数ブロックの構造の場合は類推する。以下の実施例のとおりである。
【0063】
実施例3
図3A〜3Bは、本発明の水素燃料電池の実施例3の構造を示す図である。如図3に示すように、2つのモノブロックを含む。2つのモノブロック中の電池パックは、直列され、それぞれケースの両端から電源ポートを引き出す。2つの放熱空気集気室はそれぞれ、2つの取付台を介して2つの放熱ファンに接続される。その作動原理は実施例2と同じであるので、説明を省略する。
【0064】
実施例4
図4A〜4Bは、本発明の水素燃料電池の実施例4の構造を示す図である。図4A〜4Bに示すように、本実施例は三つのモノブロックを含む。
【0065】
実施例5
図5A〜5Bは、本発明の水素燃料電池の発電システムの実施例5の構造を示す図である。実施例3、4において、2つのモノブロックが直列されているので、ガス配給装置を長くすればよい。図5A〜5Bに示す実施例5は、六つのモノブロックを含み、ケース内部に二行に配列される。各モノブロック中の電池パックは直列に接続される。首尾両端の電気受取板は導電媒体を介してそれぞれ前記ケース圧蓋上の極性が相反する2つの電源ポートに接続される。
【0066】
該実施例において、作動気流板外ガス配給装置は、上記のガス配給本管151と、作動ファン取付台152と、ガス配給溝と、気流出口とを含む以外、気流配分管路(図示していない)を更に含む。つまり、一つの板外ガス配給本管によって、入力された気流を二組に分けてそれぞれ、二行のモノブロック中の電池パック中の電池セルに作動気流を配送する。前記気流配分管路は、気流供給口と、複数の気流分配口とを含む。気流分配口の数量は前記ボルタの電堆の組合せ体の並列数量に照合される。図に示すように、2つに並列されると、2つの気流分配口を有し、N個に並列されると、N個の気流分配口を有する。
【0067】
硬質ケース式ケース。本発明において、電池の包装構造は、伝統の端板−控え棒式から硬質ケース式に変更される。
【0068】
上記の各実施例において、前記水素燃料電池のケースの具体的な構造は図6A〜6Cに示す構造を用いる。上記の実施例において、図6A〜6Cに示す構造を倒して用いる。倒してから紙面に対向する除去される板を天板又は底板とし、対向する面を底板又は天板とする。上記の各実施例を結合し、前記ケースは、圧蓋60と、2つの「凹」形板61と、天板(ガス配給本管692が取り付けられた板)と、底板(天板に対向する面の板)と、側板62と、フランジ63と、を含む。2つの「凹」形板61は、対向して設置され、一端が前記側板62に固定され接続し、一端が前記フランジ63を介して前記圧蓋60に固定される。前記圧蓋60上と前記側板62上にそれぞれ、2つの極性の電源ポートが設けられ、前記圧蓋60上と前記側板62上にそれぞれ、燃料気体進入口65と燃料気体排出口66が設けられる。
【0069】
前記圧蓋60の上縁の両側に下方に凹んだ弧形カード面601を有し、前記フランジ63上の前記弧形カード面601に対向する箇所に上方に凹んだ弧形カード面631を有する。外部圧力によって圧蓋60をフランジ63へ押圧する時、前記下方に凹んだ弧形カード面601と上方に凹んだ弧形カード面631とによって一つの空間が形成され、該空間内に実装栓67又はボルトが設けられる。
【0070】
上記フランジ63と圧蓋60の構造が精密で、加工要求が高く、且つ複雑であるので、簡単な実装方式、即ち、ボルトで圧蓋60を直接フランジ63に固定する方式を用いることができる。
【0071】
前記ケースの内室において、圧蓋60と電気受取板との間に圧力補償器68が設けられる。前記圧力補償器68は、金属板681と弾性体682とが交互に積層して構成されたものである。
【0072】
圧蓋60と電気受取板との間に絶縁板を設けると、前記圧力補償器を前記絶縁板と圧蓋60との間に設けることができる。
【0073】
作動ファン691は、ガス配給本管692を介してケース内のボルタの電堆にガス配給する。
【0074】
[電池セルの構造]
図7は、本発明の水素燃料電池の電池パック中の直列に接続した2つの電池セルの断面構造を示す図である。図7に示すように、水素燃料電池組は、複数の直列接続した電池セルから構成される。前記電池セルは、陽極導流板21と、膜電極と、陰極導流板22と、を含む。前記膜電極は、二層の触媒層25と、二層の導電拡散層(カーボン紙)26と、一層のプロトン膜27と、を含む。前記陽極導流板21の正面と前記陰極導流板22の正面はそれぞれ、前記膜電極の両面に隣接し、前記陽極導流板21の裏面は他の電池セルの陰極導流板22(図示していない)に隣接し、前記陽極導流板21の裏面は他の電池セルの陰極導流板22に隣接する。陽極導流板と陰極導流板の裏面にいずれも放熱溝が設けられて放熱通路23を形成する。前記放熱通路23は放熱によって電池セルの温度を下げる。該放熱通路23はボルタの電堆の組合せ体の内部の放熱通路である。該放熱通路23は、図1Bにおいてケースの外部に位置する放熱通路1111と連通されて完全な放熱通路を形成する。作動時、空気導流溝29によって空気を陰極導流板に導入し、水素ガスは水素ガス導流溝20を介して陽極導流板21に導入され、また前記膜電極によって電気エネルギーを発生する。膜電極の作動原理については以下で具体的に解釈し、ここでは説明を省略する。
【0075】
[導流板の構造について]
実施例1
図8A〜8Bは、本発明の水素燃料電池における電池セルの陽極導流板の実施例1の正面及び裏面の構造を示す図である。図8Aに示すように、陽極導流板に水素ガス総進入孔311と、水素ガス総排出孔315と、前記陽極導流板の水素ガス導流溝313が設けられる。前記水素ガス導流溝の両端に第1のガスポート312と、第2のガスポート314が設けられる。前記水素ガス導流溝313は縦方向に排列され、前記陽極導流板の周辺に密封リング316が設けられている。
【0076】
図8Bに示すように、陽気導流板の裏面に第1の空気進入ガス配給ノズル317と、それに連通される第1の空気進入溝320とが設けられ、前記陽気導流板の裏面に第1の放熱溝319と第1の空気ガス排出溝318が設けられている。
【0077】
図8Aと8Bに示すように、前記第1のガスポート312は前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総進入孔311に連通され、前記第2のガスポート314は前記陽極導流板の裏面において前記水素ガス総排出孔315に連通される。水素ガスは外部管路等から水素ガス総進入孔311に接続され、導流板の裏面に導入され、裏面から第1のガスポート312を介して正面の水素ガス導流溝313に導入され、第2のガスポート314から裏面に進入し、その後裏面の水素ガス総排出孔315から管路を介して排出される。
【0078】
図9A〜9Bは、本発明の水素燃料電池中の電池セルの陰極導流板の実施例1の正面及び裏面の構造を示す図である。図9Aに示すように、陰極導流板に水素ガス総進入孔321と水素ガス総排出孔324が設けられる。前記陰極導流板の正面に空気進入孔325と、空気排出孔322と、空気導流溝323とが設けられる。前記空気導流溝323は横方向に排列される。
【0079】
図9Bに示すように、前記陰極導流板の裏面に第2の空気排出溝328が設けられ、前記第2の空気排出溝328に空気排出孔322が設けられ、また、水素ガス総進入孔と水素ガス総排出孔に密封リング329が設けられている。前記陰極導流板の裏面に第2の空気進入ガス配給ノズル326と、それに連通される第2の空気進入溝327が設けられる。空気進入孔325は該第2の空気進入溝327に設けられる。
【0080】
陰極導流板の裏面と陽極導流板の裏面が協同する場合、陽極導流板の裏面の第1の空気進入溝320と陰極導流板の裏面の第2の空気進入溝327とが組み合って完全な空気進入通路を形成する。第1の空気進入ガス配給ノズル317と第2の空気進入ガス配給ノズル326とが組み合って完全な空気進入ガス配給ノズルを形成し、作動気流板外ガス配給装置の気流出口に連通される。
【0081】
前記陰極導流板の第2の空気進入溝327に陰極導流板の正面に連通される複数の空気進入孔325が設けられる。前記陰極導流板の正面の空気排出孔322は前記陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝328に連通される。前記電池パック中の各電池セル上の陰極導流板の水素ガス総進入孔321、陽極導流板の水素ガス総進入孔311は互いに連通され、各電池セル上の陰極導流板の水素ガス総排出孔324、陽極導流板の水素ガス総排出孔315も互いに連通され、そして、ケースに設けられた孔を介してシステム外の水素ガス源に接続される。
【0082】
前記陰極導流板の裏面にさらに第2の放熱溝330が設けられる。前記第2の放熱溝330と前記陽極導流板の裏面の第1の放熱溝319の内部に渦巻き器が設けられ、且つ2つの放熱溝によって放熱通路を構成することができる。
【0083】
上述のように、陰極導流板の裏面の第2の空気排出溝328と陽極導流板の正面の第1の空気ガス排出溝318とが組み合ってガス排出通路を形成する。該ガス排出通路を一つ又は複数設けることが可能である。これに対応し、ケース上に一つ又は複数の出口が設けられている。
【0084】
上記構造において、水素ガスが導流板の両端から中間に流れ、両側でガス配給し、中間で排出する導流板を形成して、空気が中間から両端に流れ、中間で進入し、両側で排出する逆プロセスのガス配給方式を形成する。
【0085】
一方、陽極導流板の裏面と陰極導流板の裏面に複数の補強リブが設けられ、導流板の強度を向上する。また、好適な実施形態として、該補強リブの放熱通路内での構造及び形状を設計することによって、該補強リブが放熱通路内で渦巻き器を形成し、放熱効果を補強する。
【0086】
実施例2
図10A〜10Bは、本発明の水素燃料電池の実施例2中の電池セルの陽極導流板と陰極導流板の裏面構造を示す図である。図11A〜11Bは、本発明の水素燃料電池の実施例2中の電池セルの陽極導流板と陰極導流板の正面構造を示す図である。図10A〜11Bに示すように、前記陽極導流板の水素ガス総進入孔341が一つで、陽極導流板の一側に設けられる。前記陽極導流板の水素ガス総排出孔342も一つで、陽極導流板の他側に設けられる点で実施例1と異なる。その作動原理は実施例1と同じであるので、ここで説明を省略する。このような構造の極板は、主に、複式ボルタの電堆に用いられる。
【0087】
実施例3
図12A〜12Bは、本発明の水素燃料電池中の電池セルの陰極導流板の実施例3の正面及び裏面の構造を示す図である。図12A〜12Bに示すように、本実施例は、板外ガス配給非貫通式陰極導流板の1種を用いる。該極板は、ガスを、一側から進入し、他側で集めて排出する構造である。極板35の外部にガス配給管路351を取り付けて密封する。ガス配給管路351が、ガス配給装置の気流供給口に連通するガス配給ノズルとして用いる。空気は、ガス配給管路351から極板35裏面内の空気進入溝352に導入され、その後、空気進入孔353から極板35の正面の密封された空気導流溝354に伝送され、空気進入孔353の一端から空気排出孔355の一端へ流れ、ここで、空気が酸化反応して発電した後、他端の空気排出孔355から第2のガス排出溝356に伝送され、反応で生成された水蒸気と一緒にガス排出口358から排出される。その作動原理は実施例1と同じであるので、ここで説明を省略する。
【0088】
実施例4
図13は、実施例4の陰極導流板の裏面構造を示す図で、その正面構造は実施例3の構造と同じであるので、ここで説明を省略する。該実施例において、前記電池セルの陰極導流板の裏面において、各空気排出孔は一つのガス排出溝に連通される。即ち、実施例3に比べ、実施例3は一つのガス排出溝を有するが、実施例4は複数のガス排出溝を有する。
【0089】
実施例5
図14A〜14Bは、本発明の水素燃料電池の実施例5中の電池セルの陰極導流板の正面及び裏面の構造を示す図である。図14A〜14Bに示すように、本実施例は、中間から導入し、両側でガスを集めて排出する機構を用いる。本実施例において、板外ガス配給管路361は空気進入溝362に連通され、空気進入孔363は空気進入溝362に設けられ、空気排出孔365、ガス排出溝366、ガス排出口はそれぞれ、極板36の両側に設けられる。極板の正面において、空気進入孔363と空気排出孔365との間に空気導流溝364が設けられる。空気は、ガス配給装置の気流出口から板外ガス配給管路361に導入され、空気進入溝362中の空気進入孔363から正面の空気導流溝364へ流れ、空気進入孔363の一端から空気排出孔365の一端へ流れ、空気排出孔365から裏面のガス排出溝366へ流れる。そして、ガス排出溝366で集めて排出する。
【0090】
本実施例において、二行のガス排出溝及びガス排出口を有するが、その作動原理は実施例1と同じであるので、ここで説明を省略する。
【0091】
実施例6
図15は、実施例6の陰極導流板の裏面構造を示す図で、その正面構造は実施例5の構造と同じであるので、ここで説明を省略する。該実施例において、前記電池セルの陰極導流板の裏面において、各空気排出孔365は、一つのガス排出溝366に連通される。即ち、実施例5に比べ、実施例5は極板の両側にそれぞれ一つの縦方向のガス排出溝を有するが、実施例6は極板の両側に複数の横方向のガス排出溝を有する。
【0092】
本発明は、また、水素燃料電池発電システムの動的湿度変化制御方法を提供する。まず図16を参照する。図16は、膜電極の発明原理を示す図である。図16に示すように、膜電極5は、一層のプロトン膜51と、二層の触媒層52と、二層の拡散層53から構成される。プロトン膜51は、水素ガスイオン(プロトン)を伝導可能であるが、導電不可能である。プロトン膜51によって、水素ガスと酸素ガスとがプロトン膜の両側に分けられ、互いに浸透しない。触媒層52はプロトン膜51の両側に付着される。水素ガス側の触媒層52は陽極触媒層である。水素原子は、陽極で水素イオンと自由電子との2つの部分に電気分解される。プロトン膜51がイオンを伝導可能であるので、水素イオン(プロトン)はプロトン膜51によって陰極空気側に伝導されるが、電子は拡散層(カーボン紙)53を通過して外部回路を経由して陰極に伝送されて電気エネルギーを発生し、また、酸素はプロトン膜51によって伝導された水素ガスプロトンと水を生成する。
【0093】
次、図17は、既存の膜電極が静的定湿制御を行う際の各層の湿度関係を示す図である。図17図16に示すように、プロトン膜51の湿度が高いほど水素イオン伝導の抵抗が小さい。よって、伝統の燃料電池の定湿温度制御モードは、抵抗を低減し発電力を向上するため、できるだけ湿度の高い箇所で作動する(例えば図17)。触媒層52は、触媒及びイオン伝導の機能を有する外、ガスを拡散及び移動能力も有する。前者は高湿度を必要とし、後者は低湿度を必要とし、そうではないと、水分が拡散の通路を占めてガス拡散に影響を与えることになり、発電能力が低減する。これによって、触媒層52は、両方面の要求を配慮し、中等平衡湿度を保持しなければならない。拡散層(カーボン紙)53による電子伝導、ガス拡散には高湿度の条件が必要ではなく、乾燥すれば乾燥するほどよい。定湿度制御において、上記の三つの異なる条件を同時に満たすことが難しい。膜電極5の作動を保証しようとすると、高湿度で運行しなければならないが、上記欠陥を解消できず、最適の条件で発電することができない。
【0094】
図17において、R1は、プロトン膜の相対的な最適化湿度で、R2は触媒層の相対的な最適化湿度で、R3は拡散層の相対的な最適化湿度で、Qは反応空気の最適化流量である。反応空気の流量が小さい時、気流湿度は高い。反応空気の流量が大きい時、気流湿度は低い。
【0095】
本発明による動的湿度変化制御方法によると、動的な湿度変化制御を実現できる。図18に示す最後の曲線Qのように、作動ファンの電圧を制御することによって、作動気流の流量を変化させ、作動ガスを一定の時間間隔且つ増加量で流量を往復に変化させる。
【0096】
図18は、本発明の前記動的湿度変化制御方法を用いる際の膜電極各層の湿度関係を示す図である。図18において、R1は、プロトン膜の相対的な最適化湿度で、R2は触媒層の相対的な最適化湿度で、R3は拡散層の相対的な最適化湿度で、Qは反応空気の最適化流量である。図18図16に示すように、動的湿度変化制御は、水が各層間で伝送される際の湿度勾配と湿度変化速度によって形成される時差を利用する。まず、ファンコントローラのパラメータを変更し、ファンの回転速度を増加して作動気流の流量をQからQaまで増加する。拡散層(カーボン紙)53の湿度をR3〜aからR3〜bまで下げ、触媒層52の湿度をR2〜aからR2〜bまで下げる。触媒層52の湿度が変化することによってプロトン膜51の湿度が変化してR1〜aからR1〜bまで下げられた場合、ファンの回転速度を制御し、作動気流の流量を変更させ、流量をQbからQcまで下げる。拡散層(カーボン紙)53の湿度の低下を停止し、また逐次R3〜cまで回復させ、触媒層52の湿度変化も低下を停止し、逐次R2〜cまで回復させ、同様に、R2〜cの湿度の回復によって、R1〜bの湿度が低下を停止し、R1〜cまで回復する。よって、プロトン膜51が高い湿度範囲内で作動し、触媒層52が動的に調節中において中間の湿度で作動し、拡散層(カーボン紙)53が作動湿度が終始低湿度で循環的に往復する。
【0097】
このように、動的湿度変化の制御で、作動ガスが一定の時間間隔及び増加量で流量を往復変更するので、反応水を引きずり出すと共に、拡散層(カーボン紙)53、触媒層52の湿度勾配及び湿度差△R1、△R2を拡大し、膜電極5の作動条件の最適化を実現できる。中では、このような制御を水素ガス側で水素ガス循環システム及び空気の作動ファンによって同時に実現できるが、空気側での単独の制御で実現することもできる。一方、動的湿度変化制御パラメータの変化周期の気流変化量(反応空気の最適化流量Qの変化幅値)は総量Qの5%〜30%の間で変化することができる。QaからQbまでの時間、即ち、変化間隔の時差は、1〜30分であるが、しかし、膜電極材料の違い及び膜電極の構造の違いによって大幅に異なるので、確定な材料及び構造の膜電極の場合、上記2つのパラメータの具体的値は上記の範囲内で試験を経て確定し最適化する必要がある。
【0098】
なかでは、総量Qは膜電極の理論上の最適化値の下限流量値である。
【0099】
一方、本発明は、水素燃料電池システムを提供する。該システムは、以上の各実施例に記載の水素燃料電池と、作動ファンと、放熱ファンと、を含む。前記作動ファンと放熱ファンは前記水素燃料電池中の取付台に取り付けられる。
【0100】
燃料電池が、都市環境で作動する時、有害ガス(例えば、SO、HS、HCX、HNX)が作動ガスと共に陰極に進入して、触媒中毒をもたらし、電池性能が低下する重大問題に面する。本発明は、図19に示すように、水素燃料電池システムにろ過装置を添加した。ろ過装置は、進入口80と、アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメント81と、ガス排出口82と、を含む。前記進入口80は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメント81の下方に位置し、前記ガス排出口82は前記アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメント81の上方に位置し、前記ガス排出口82は作動ファンの進入口に連通される。当該装置は内燃機関自動車のエアフィルタエレメントに類似する。その上蓋83、下蓋84間のほこりろ過層を、内部に専門に研究して製造したSO、HS等の有害酸性ガスを吸着するアルカリ性活性炭吸着粒子が充填された一つのアルカリ性活性炭吸着フィルタエレメントで入れ替えている。作動気流が、ろ過装置に進入し、フィルタエレメントを経て電池に進入して作動する前、ろ過層によってその中の有害ガスを吸着し、燃料電池の汚染環境での正常作動を保障する。
【0101】
該吸着フィルタエレメント81によって、1〜5個のPPMの有害ガス濃度を0.005個のPPM以下に浄化できる。
【0102】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば本発明に様々な修正や変形が可能である。本発明の精神や原則内での如何なる修正、置換、改良などは本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
5 膜電極
20、313 水素ガス導流溝
21 陽極導流板
22 陰極導流板
23、1111 放熱通路
25、52 触媒層
26、53 拡散層(カーボン紙)
27、51 プロトン膜
29、323、354、364 空気導流溝
35 極板
36 極板
60 圧蓋
61 「凹」形板
62 側板
63 フランジ
65 燃料気体進入口
66 燃料気体排出口
67 実装栓
68 圧力補償器
80 進入口
81 アルカリ性活性炭吸着フィルタエレメント
82、358 ガス排出口
83 上蓋
84 下蓋
110 空気進入通路
111、125 放熱ファン取付台
112、122 作動ファン取付台
113、128 ガス配給溝
114、692 ガス配給本管
115 気流出口
117 気流導流減衰溝
118 陰極導流板
123 天板
124 底板
127 放熱空気集気室
129 気流出口
130 放熱口
601、631 弧形カード面
681 金属板
682 弾性体
691 作動ファン
311、321、341 水素ガス総進入孔
312 第1のガスポート
314 第2のガスポート
315、324、342 水素ガス総排出孔
316、329 密封リング
317 第1の空気進入ガス配給ノズル
318 第1の空気ガス排出溝
319 第1の放熱溝
320 第1の空気進入溝
322、355 空気排出孔
325、353 空気進入孔
326 第2の空気進入ガス配給ノズル
327 第2の空気進入溝
328 第2の空気排出溝
351 ガス配給管路
352 空気進入溝
356 第2のガス排出溝
361 板外ガス配給管路
362 空気進入溝
363 空気進入孔
365 空気排出孔
366 ガス排出溝
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図17
図18
図19
図16