(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのレンズは第1および第2のF−θレンズであり、前記第1のF−θレンズは前記回転多角形ミラーと前記第2のF−θレンズとの間に存在し、前記第1のF−θレンズは入射面と透過面とを有し、前記第2のF−θレンズは入射面と透過面とを有し、前記第1のF−θレンズの透過面の曲率半径は、前記第2のF−θレンズの透過面の曲率半径よりも大きい、請求項1に記載の装置。
前記回転多角形ミラーは回転面内で回転可能であり、前記装置は構築エンベロープをさらに含み、前記構築エンベロープは、照射された凝固エネルギーが前記回転多角形ミラーからその中へと偏向され得る前記光硬化可能樹脂の部分であり、回転面における前記回転多角形ミラーの回転位置は、前記構築エンベロープ内の走査方向に沿った、偏向された凝固エネルギーの位置を規定しており、前記凝固エネルギーセンサが偏向された凝固エネルギーを受け取る際、前記回転多角形ミラーの回転位置は、前記構築エンベロープの境界に対応する、請求項3に記載の装置。
円柱レンズをさらに備え、前記コリメートレンズは、前記紫外線レーザダイオードと前記円柱レンズとの間に配置されて、前記円柱レンズは反射防止コーティングによってコーティングされる、請求項6に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面において、同様の符号は同様の部分を指す。
詳細な説明
図面は、3次元物体を凝固可能材料から製造するための装置および方法の例を示す。上記に基づき、本願明細書において用いられる用語は単純に簡便さのためであり、本発明を説明するよう用いられる用語は、当業者によってもっとも広い意味が与えられるべきであるということが一般的に理解されるべきである。
【0009】
本願明細書において記載される装置および方法は、部品またはパーツ(本願明細書においては一般的に物体として論じられる)ような3次元物体の付加的な製造に一般的に適用可能であるが、代替的な用途のために当該範囲を超えて用いられてもよい。当該システムおよび方法は、凝固エネルギーを光硬化可能樹脂といった凝固可能材料に適用する線形凝固装置を一般的に含む。線形凝固装置は概して、好ましくは実質的に線形のパターンで凝固エネルギーを凝固可能材料の露出面に亘って適用するとともに、凝固エネルギーを適用しながら、線形パターンの長さによって規定される方向以外の方向に移動する。ある例では、線形凝固装置は、受け取った凝固エネルギーをある走査パターンに偏向する走査装置を含む。このような走査装置は、回転する多角形ミラーと線形走査マイクロミラーとを含むが、これらに限定されない。
【0010】
本願明細書において記載される装置および方法は、凝固材料から物体が構築される際に凝固可能材料がそれに対して凝固される凝固基板を含んでもよい。凝固基板は、線形凝固装置が与えるエネルギーに晒される凝固材料の実質的に平坦な面の作製を促進する。この実質的に平坦な面により、構築プロセスの精度が向上する。ある実施例では、以下に論じるように、凝固基板は、凝固基板からの凝固した材料の分離を促進するよう揺動する。ある他の実施例では、1つ以上の剥離部材が、構築されている物体から凝固基板アセンブリを分離するよう設けられる。さらに別の実施例では、凝固基板は、線形凝固装置が凝固可能材料を横断する際に、線形凝固装置とともに平行移動する平坦または曲がった基板である。
【0011】
当該システムは一般的に、3次元物体を凝固可能材料から製造するために、およびラピッドプロトタイピングのために用いられる。(レーザダイオードまたはLEDアレイといった)凝固エネルギーの源を含む線形凝固装置は、当該装置が凝固可能材料の表面に亘って移動して凝固可能材料を選択的に凝固する際に、構築中の物体の形状に従って変動し得る隣接する線像の連なりを凝固可能材料上に作り出す。
【0012】
本願明細書において論じられるように、凝固可能材料は、エネルギーに晒されると全体的または部分的に硬化する材料である。凝固または部分凝固に対するこの反応は、3次元物体を構築するための基礎として用いられ得る。凝固可能材料の例は、重合可能または架橋可能な材料、フォトポリマー、フォトパウダー、フォトペースト、または酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムもしくはイットリア安定化酸化ジルコニウムといった任意の種類のセラミック系パウダー、硬化可能なシリコーン組成物、シリカ系ナノ粒子もしくはナノ複合材料を含む感光性複合材料を含んでもよい。凝固可能材料は充填剤をさらに含んでもよい。さらに、凝固可能材料は、(たとえば、電磁放射に晒された後)半固体、固体、ワックス、および結晶性固体から変動し得る最終形態を取り得る。フォトポリマーペーストの凝固可能材料の一実施例では、10000cP(センチポイズ)と150000cpとの間の粘度が好ましい。
【0013】
光重合可能な材料、光硬化可能な材料、または凝固可能な材料を論じる場合、樹脂と随意にさらに別の成分とをおそらく含み、電磁放射のような刺激を与えるエネルギーの供給により凝固可能な任意の材料が意図される。好適には、電磁放射(今日用いられる一般的な波長はUV放射および/または可視光を含む)によって重合可能および/または架橋可能な(すなわち硬化可能な)材料が、このような材料として用いられ得る。ある例では、((メタ)アクリレートモノマーおよびポリマーを含むがこれらに限定されない)少なくとも1つのエチレン不飽和化合物ならびに/または少なくとも1つのエポキシ基含有化合物から形成される樹脂を含む材料が用いられてもよい。凝固可能材料の好適な他の成分はたとえば、無機および/または有機充填剤、着色物質、ビスコース調整剤などを含むが、これらに限定されない。
【0014】
フォトポリマーが凝固可能材料として用いられる場合、光開始剤が典型的に与えられる。光開始剤は、光を吸収するとともに、重合および/または架橋プロセスを開始する遊離基を生成する。好適なタイプの光開始剤は、メタロセン、1,2ジケトン、酸化アシルホスフィン、ベンゼルジメチルケタール、α−アミノケトン、およびα−ヒドロキシケトンを含む。好適なメタロセンの例は、Ciba Specialty chemicals社によって提供されるIrgacure784のような、ビス(エタ5−2,4−シクロペンタジエン−1−y1)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−y1)フェニル]チタンを含む。好適な1,2ジケトンの例は、カンファキノンのようなキノンを含む。好適な酸化アシルホスフィンの例は、Irgacure819の名前で提供されるビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)と、Darocur(登録商標)TPOの名前で提供されるモノアシルホスフィンオキシド(MAPO)とを含む。Irgacure819およびDarocur(登録商標)TPOの両方は、Ciba Specialty Chemicals社によって提供される。好適なベンゼルジメチルケタールの例は、Irgacure651の名前で提供されるα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンを含む。好適なα−アミノケトンは、Irgacure369の名前で提供される2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンを含む。好適なα−ヒドロキシケトンは、Irgacure184の名前で提供される1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンと、Irgacure500の名前で提供される1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンおよびベンゾフェノンの50−50(重量)混合物を含む。
【0015】
線形凝固装置は、多くの態様に構成されてもよい。ある例では、線形凝固装置は、当該装置が別の方向に移動する際に、一方向(走査方向)において凝固可能材料の部分を凝固エネルギーに漸進的に晒す。他の例では、装置が別の方向に移動する際に、概してまたは好ましくは実質的に線形のパターンの凝固エネルギーが、一方向に沿って単一露光で適用される。凝固エネルギーは、電磁放射を含んでもよい。電磁放射は、化学線光、可視光もしくは不可視光、UV放射、IR放射、電子ビーム放射、X線放射、またはレーザ放射などを含んでもよい。さらに、電磁スペクトルにおける各タイプの電磁放射が一般的に論じられ得るが、この開示は与えられた特定の例に限定されない。当業者であれば、電磁放射のタイプおよび電磁放射を生成する方法についての変形例は、用途の必要性に基づき決定されてもよいということが分かるであろう。
【0016】
図1〜
図6を参照して、3次元物体を作製するための第1のシステム40が示される。システム40は、凝固基板アセンブリ62(
図2)と線形凝固装置88(
図3〜
図5C)とを含む。システム40は、システム40の構成要素を支持および囲むための筐体42を含む。筐体42は、筐体開口部49に移動可能に配置される視界窓44を含む。視界窓44によりユーザは、物体構築動作の間に物体が構築されている際に、物体を観察することができる。
図1〜
図6の例において、視界窓44はヒンジ60(
図2)上にマウントされており、これによりヒンジ60の長手方向軸について窓44が旋回可能に開閉される。これにより、構築動作が完了した際には、構築された物体へのアクセスが提供される。
【0017】
筐体42はさらに、フォトポリマー樹脂容器48を収容するための下部コンパートメント52(
図2)を含む。フォトポリマー樹脂容器48は摺動支持アセンブリ50上にマウントされる。摺動支持アセンブリ50は、容器48が下部コンパートメント52に摺動可能に挿入されることを可能にするとともに下部コンパートメント52から摺動可能に除去されることを可能にする。摺動支持アセンブリ50は、フォトポリマー樹脂を容器48に加えるもしくはフォトポリマー樹脂を容器48から除去するための手段または容器48を交換するための手段を提供する。下部コンパートメントドア46(
図1)は、下部コンパートメント52内に摺動支持アセンブリ50を除去可能に固定する。
【0018】
ワークテーブルアセンブリ55は、ワークテーブル56および凝固基板アセンブリ62を含む。ワークテーブル56は、筐体42の内部において下部コンパートメント46の上に配置され、そこを通って物体構築台43が移動可能に配置される開口部54(
図2)を含む。ラッチ58は、物体構築プロセスの間、凝固基板アセンブリ62をワークテーブル56に固定するよう設けられる。
【0019】
構築台43は昇降機アセンブリ(図示せず)に接続される。昇降機アセンブリは、物体構築動作の間に構築台43を樹脂容器48の中へと下方向に移動するとともに、物体構築動作が完了した後に樹脂容器48から上方向に移動する。
図2に示されるように、構築台43は、構築台43がワークテーブル56よりも上に上げられた静止位置を有しており、完成した物体の除去とともに台43上の余剰樹脂の除去を促進する。ある例示的な例では、構築台43は周期的な間隔で停止するとともに、線形凝固装置88は、構築台43が静止した状態で、凝固可能材料の露出表面にて露出した凝固材料に凝固エネルギーを供給する。他の例では、構築台43は、凝固エネルギーが凝固可能材料に供給される際に、ワークテーブル56から連続的に離れるように移動する。
【0020】
図3を参照して、凝固基板アセンブリ62と線形凝固装置88とを含む物体凝固および分離システムが示される。線形凝固装置88は、第1の方向(y方向)に凝固エネルギーを凝固可能材料に、光硬化可能樹脂(図示せず)のような凝固可能材料の表面に亘って別の方向(x方向)に移動する際に、漸進的に適用する。好ましい実施例では、線形凝固装置88は、線形走査装置を含み、凝固エネルギーは、線形凝固装置88がx方向に移動する際に、走査軸(すなわちy軸)を規定する走査方向に「走査される」。好ましくは、これが行われる際に、線形凝固装置88自体はy方向に移動されない。走査軸方向における逐次の線形走査は、本願明細書において「線形走査動作」と称され得る。
【0021】
線形凝固装置88は、凝固エネルギー源90と、走査装置と、筐体96とを含む。
図3に示される実施例では、走査装置は回転エネルギーデフレクタ92である。線形凝固装置88の他の例では、走査装置は、回転エネルギーデフレクタ92の代わりに用いられるレーザ走査マイクロミラーである。したがって、本願明細書において記載される例示的な実施例においてレーザ走査マイクロミラーが回転エネルギーデフレクタ92の代わりに用いられてもよいということが完全に理解されるべきである。
【0022】
好適なレーザ走査マイクロミラーは、スイスのLemoptix SA社によってLSCANの名前で提供される、磁気的に作動されるMOEMS(マイクロオプトエレクトロメカニカルシステム(micro-opto-electromechanical systems))マイクロミラーを含む。線形走査マイクロミラーは、固定部分と移動可能ミラー部分とを有するシリコンチップを含む。ミラーは、作動信号に対応する程度まで、固定部分に対して傾斜するよう電気的または磁気的に作動される。ミラーが傾斜すると、受け取られた凝固エネルギーは、当該傾斜しているミラーからの偏向を介して走査される。したがって、傾斜の程度または傾斜角度が、偏向された凝固エネルギーが凝固可能材料の表面に当たる、走査(y)軸に沿った位置に対応する。
【0023】
ある好ましい例では、
図3に示されるように、偏向された凝固エネルギーを集中させて凝固可能材料に向かって送るよう回転エネルギーデフレクタ92と筐体96の底面との間にレンズ98が設けられる。
図3の例では、凝固可能材料は、剛性または半剛性の凝固基板68の下に存在するとともに凝固基板68に接触している。
図3の例では、レンズ98は好ましくは平坦な視野レンズである。ある例では、レンズ98は、紫線放射および紫外線放射に対して透明である平坦な視野レンズである。付加的な例では、レンズ98はさらに、回転エネルギーデフレクタ92から凝固可能材料までの異なる凝固エネルギービーム進行距離を補償するよう、(レンズ長がそれに沿って方位付けられるy軸走査方向を基準として)中央に対してレンズの端部上でより長い焦点距離を有する。ある実現例では、レンズ98は、コーティングレンズが約380nm〜約420nmの範囲の波長を有する入射光の少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも95%を透過するように反射防止コーティングを含む。一例では、レンズ98は波長が約405nmである入射光の少なくとも約95%を透過する。好適なコーティングは、単一のレイヤーの二フッ化マグネシウム(MgF
2)コーティングを含む。二フッ化マグネシウム(MgF
2)コーティングは、英国のSiltint Industries社が提供するARSL0001 MgF2コーティングを含む。
【0024】
筐体96はさらに、光がそこを通って剛性または半剛性の凝固基板68および凝固可能材料上に照射される実質的に線形の開口部100(たとえばスリット)を含む。
【0025】
図3および
図4は、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)に沿ってそれぞれ第1および第2の位置にある筐体96を示す。
図3〜
図4の実施例では、筐体96はx方向に移動するが、y方向には移動しない。モータ76は、剛性または半剛性の凝固基板68の表面(およびその下に存在する凝固可能材料の表面)に亘って凝固基板アセンブリ62の一端部から他端部までx方向に筺体96を駆動するよう設けられる。ある例では、モータ76はサーボモータまたはステッパモータである。いずれの場合でも、モータ76は、x軸方向において線形凝固装置88のある程度の線形運動に対応する、それに関連付けられるモータ移動パラメータを有する。ある場合では、当該パラメータは、線形凝固装置88がx軸方向に移動する特定の線形距離に対応するモータステップの数である。筐体96がx方向(凝固基板アセンブリ62の長さ方向)に移動すると、凝固エネルギー源90および回転エネルギーデフレクタ92はそれとともに移動する。この移動の間、凝固エネルギー、好ましくはレーザ光が、周期的または連続的に凝固エネルギー源90から回転エネルギーデフレクタ92まで照射される。1つの好ましい実施例では、凝固エネルギー源90は、380nm〜420nmの範囲の光を発するレーザダイオードである。390nm〜410nmの範囲が好ましく、400nm〜約410nmの範囲がより好ましい。レーザパワーは、好ましくは少なくとも約300mW、より好ましくは少なくとも約400mW、さらにより好ましくは少なくとも約450mWである。同時に、レーザパワーは、好ましくは約700mW以下であり、より好ましくは約600mW以下であり、さらにより好ましくは約550mW以下である。一例では、500mW,405nmの青色光レーザが用いられる。好適な青色光レーザダイオードは、Sanyo社が提供する405nm,500mWのレーザダイオードを含む。
【0026】
回転エネルギーデフレクタ92は、平坦な視野レンズ98に向かうよう回転エネルギーデフレクタ92に入射する凝固エネルギーを偏向する。回転エネルギーデフレクタ92は好ましくは、線形凝固装置88が長さ(x軸)方向に移動する際に、回転面において回転する。ある例では、回転面は、線形凝固装置88が移動する方向に実質的に垂直である(すなわち回転面は
図3〜
図4に示されるy−z面である)。ある例では、回転エネルギーデフレクタ92は、実質的に一定の回転速度で回転する。他の例では、線形凝固装置88は、実質的に一定の速度で長さ(x軸)方向に移動する。さらに別の例では、回転エネルギーデフレクタ92は、実質的に一定の回転速度で回転し、線形凝固装置88は長さ(x軸)方向に実質的に一定の速度で移動する。
【0027】
凝固エネルギー源90が光源である場合、回転エネルギーデフレクタ92は好ましくは、可視光またはUV光を偏向することが可能である回転光デフレクタである。1つの例示的な実施例では、回転エネルギーデフレクタ92は、その周囲の周りに規定される1つ以上のファセット94a,94b,94cなどを有する多角形のミラーである。
図3の例では、回転エネルギーデフレクタ92は、ファセット94a〜94fを有する六角形ミラーである。各ファセット94a〜94fは、凝固エネルギー源90と光学的に連通してそこから照射された光を受け取る少なくとも1つの回転位置、好ましくはいくつかの回転位置を有する。回転エネルギーデフレクタ92が回転すると、凝固エネルギー(たとえば、可視光または紫外線光)は各ファセット94a〜94fの長さに沿って連続的に偏向されることになる。ファセット94a〜94fの1つがいつでも凝固エネルギーを受け取り偏向することになる。ファセットがその回転位置を変更すると、ファセットに対する凝固エネルギーの入射角度は変わることになり、これにより偏向角度、したがって、偏向された凝固エネルギーが凝固基板68とその下に存在する凝固可能材料とに当たるy軸位置が変更することになる。したがって、回転エネルギーデフレクタ92の各回転位置は、凝固エネルギーが所与の時間で照射され得る走査(y)軸に沿った位置に対応する。しかしながら、所与の数の回転エネルギーデフレクタファセットFについて、各々が走査軸方向に沿った特定の位置に対応するF個の回転位置が存在することになる。以下により詳細に論じられるように、構築台43と、凝固エネルギー源90と、回転エネルギーデフレクタ92と、凝固可能材料に亘って線形凝固装置88を横断するモータとの活性化および非活性化を調整するよう、1つ以上のコントローラまたはマイクロコントローラが設けられてもよい。
【0028】
ある例では、y軸方向における走査の最大長さは、個々のファセット94a〜94fの全長に対応する。すなわち、光がファセット94a〜94fのいずれか1つの全長に漸進的に当たると、それに対応して、偏向された光がy軸方向において全走査長さを包括することになる。回転エネルギーデフレクタ92上のファセット94a,94bなどの数は、回転エネルギーデフレクタ92の1回の完全な回転について行われるy軸走査の数に対応することになる。六角形ミラーの場合、6回のy軸走査が、回転エネルギーデフレクタ92の各完全な回転ごとに行われることになる。一定の回転方向(たとえば、時計回りまたは反時計回り)を維持する回転エネルギーデフレクタの場合、走査はy軸に沿った単方向になる。換言すると、光が1つのファセット94aから別のファセット94bまで遷移すると、走査は反対方向に戻るのではなく、y軸における開始位置に戻ることになる。しかしながら、回転エネルギーデフレクタ92がy軸方向において「前後」の走査を作り出すよう2つの回転方向に回転するものを含む他の回転エネルギーデフレクタ構成が用いられてもよい。
【0029】
「構築エンベロープ」という用語は、凝固エネルギーが凝固可能材料に供給され得る(x方向における)最大長さと(y方向における)最大幅とを説明するよう用いるのが有用である。
図3〜
図4の実施例では、構築エンベロープエリアは典型的に、凝固基板68のエリアまたはその下に存在する凝固可能材料の上を向いた露出面によって規定されるエリアより小さくなる。
図3の例では、構築エンベロープは、凝固エネルギー源90および回転エネルギーデフレクタ92がx方向に横断し得る全距離以下であるx寸法(長さ)を含むことになる。いくつかの場合では、構築エンベロープのy寸法(幅)は、レンズ98および筐体開口部100の長さよりも若干長くてもよい。なぜならば、平坦な視野レンズ98から筐体開口部100を通って照射される光は、凝固可能材料の露出面に対して非直交の入射角度でy軸方向において筐体96から外方向に照射されてもよいからである。
【0030】
図16(b)および
図16(c)は、構築エンベロープ342を含む凝固可能材料の領域の上面図を示す。構築エンベロープは、凝固の最大エリアを規定しており、したがってx−y面において最大となる3次元物体を規定している。
図16(b)および
図16(c)に示されるように、ある場合には、線形凝固装置88は、構築エンベロープ342の長さ距離Lと2つのオフセット距離δ
Lおよびδ
Rとの合計に等しい合計の距離に沿ったx軸方向において移動可能である。オフセット距離δ
Lは、線形凝固装置88の左側の進行端部(end-of-travel(EOT))位置から左側の構築エンベロープ境界343までの距離を示し、オフセット距離δ
Rは右側のEOT位置から右側の構築エンベロープ境界345までの距離を示す。ある例では、オフセット距離δ
Lおよびδ
Rは、凝固可能材料の如何なる凝固も開始する前に(すなわち構築エンベロープ342に到達する前に)線形凝固装置88がx軸方向において実質的に一定の速度を達成する時間を有することを確実にするよう設けられる。ある例では、一定のx軸速度での線形凝固装置88の移動により、モータ76についてのモータ移動パラメータがx軸位置の間接的な指示を提供することが可能になるので、任意の所与の瞬間にx軸位置を直接的に測定する必要性が回避される。サーボモータおよびステッパモータに好適な1つの特定の例では、モータ移動パラメータはモータステップの数である。ある例では、δ
Lおよびδ
Rは等しい。
【0031】
ある例では、回転エネルギーデフレクタ92が回転すると、凝固エネルギー源90は、構築中の物体を示すデータに従って光を選択的に照射する。x軸方向における所与の位置において、構築中の物体の形状に依存して、y軸位置の中には凝固されてもよい位置もあり、凝固されなくてもよい位置もある。
【0032】
選択的に光を凝固可能材料に照射する1つの方法は、線形凝固装置のx軸位置と、凝固エネルギー源90に光学的に連通するファセット94a〜94fの回転位置とに依存して凝固可能なエネルギー源90を選択的に活性化することである。各ファセット94a〜94fは凝固エネルギーが凝固エネルギー源90から受け取られ得る、その長さに沿った位置の全範囲を有することになるが、そのファセットが行う任意の個々の走査の間に、このような各ファセット位置が凝固エネルギーを受け取るとは限らない。したがって、所与のファセット94a〜94fの回転位置と凝固エネルギー源の活性化を(直接的または間接的に)連係することにより、凝固エネルギーは凝固が所望されるy軸に沿ったそれらの位置にのみ選択的に提供され得る。
【0033】
x軸方向に沿った所与の線形距離内で行われ得る線形走査の回数は、回転エネルギーデフレクタ92の回転速度と、回転エネルギーデフレクタ92上のファセットFの数と、x軸方向に沿った線形凝固装置88の移動の速度とを含むいくつかの変数に依存し得る。一般に、線形凝固装置88の移動の速度がx軸方向において増加すると、x軸長さ単位ごとの線形走査の回数が減少する。しかしながら、回転エネルギーデフレクタ92上のファセットの数が増加するか、または回転エネルギーデフレクタ92の回転速度が増加すると、x軸長さの単位ごとの線形走査の回数が増加する。
【0034】
したがって、ミリメートルのような単位の所与の構築エンベロープ距離Lについて、行われ得る線走査動作の最大の回数は以下のように計算され得る。
【0035】
(1)N
max=(L/S)*(RPM/60)*F
式中、N
max=構築エンベロープ内においてx軸方向での線走査動作の最大回数であり
L=x軸方向における構築エンベロープの所望の長さ(mm)であり、
S=x軸方向における凝固エネルギー源の移動の速度(mm/sec)であり、
RPM=回転エネルギーデフレクタの回転数(回転/分)であり、
F=回転エネルギーデフレクタ上のファセットの数である。
【0036】
次いで、各線形走査には、(データストリングのセットが物体レイヤーデータとして用いられる場合にストリングインデックスとも称され得る)0からN
max−1の値の範囲の線形走査インデックスnが割り当てられ得る。式(1)は、x軸方向における所与の部分の長さについて必要とされる線走査動作の実際の数を計算するようにも用いられ得る。その場合、Lはx軸方向における部分の所望の長さであり、N
maxはその部分を形成するよう用いられる線走査動作の合計数を示すNによって置き換えられる。
【0037】
線形凝固装置がx軸方向において一定の速度Sで移動している際、モータ76についてのモータステップの数のようなモータ移動パラメータが構築エンベロープ長Lに相関され得るとともに、モータステップの数/Lに等しい変数Wを規定するよう用いられ得る。次いで、マイクロコントローラ部は、モータステップの数を用いて、構築エンベロープ内の線形凝固装置の線形走査位置の数(または本願明細書においてさらに記載されるようにストリングインデックス)を、以下の式に従って間接的に決定し得る。
【0038】
(2)走査インデックスn=((境界からのステップの数)/(W)(S))*(RPM/60)*F
式(2)では、境界からのステップの数は、構築エンベロープ境界343にて開始され、左から右に移動して数えられるか、または構築エンベロープ境界345にて開始され右から左に移動して数えられるモータステップの数を指す。ある長さを有する特定の3次元物体レイヤーは、構築エンベロープ342内で行われるある回数の線形走査によって形成され得る。
【0039】
ある例では、ホストコンピュータが、当該部分を構築エンベロープサイズまでスケール変更するとともに、構築エンベロープ342における可能な走査の合計数N
maxに基づき走査インデックス数nを割り当てることにより、走査インデックス数またはストリングデータインデックス数を割り当てることになる。次いで、走査インデックス数nは、式(2)に記載されるようにモータステップの数に相関されることになる。この関係は部分的に、構築エンベロープ長L(
図16(b))を横断するのに線形凝固装置88が必要とするステップ数をLで除算した比である値Wの精度に依存する。以下に説明するように、いくつかの場合では、Wは線形凝固装置88を移動するのに用いられる機械装置の形状によって予測される値(すなわちモータ76のギア比、モータ76の回転速度、プーリ82aおよび82bのプーリ径によって予測される値)から逸脱し得る。その場合、Wの値を調節することが望ましくあり得る。Wの値を調節する方法はさらに以下に記載される。
【0040】
別の例では、線形凝固装置88と剛性または半剛性の凝固基板68との間に柔軟な平坦な膜マスクが設けられる。柔軟な平坦な膜マスクは、マトリックスを規定する複数の可変的に透明な画像化要素を有する。各画像化要素は、そこにエネルギーを供給することにより、選択的に透明または不透明にされ得る。このような柔軟な平坦な膜マスクの例は、透明な有機発光ダイオード(organic light emitting diode(OLED))スクリーンおよび液晶ディスプレイ(liquid crystal display(LCD))スクリーンを含む。上記マトリックスは、凝固基板アセンブリの長さ(x軸)方向に沿って配される複数の列(1−n)に構成される。各列は、x軸位置を規定しており、凝固エネルギー源90からのエネルギーがそこを通過することを可能にするよう選択的に透明または不透明にされ得る、y軸方向に沿った複数の要素を有する。したがって、特定のx軸位置にて、エネルギーの透過を可能にするよう活性化されるある列の特定の部材によって、エネルギーを凝固エネルギー源90から回転エネルギーデフレクタ92に連続的に供給し続けている間にy軸方向における凝固可能材料のどの部分が凝固エネルギーを受け取ることになるかが決定される。
【0041】
上で示されるように、本願明細書において記載される3次元物体を作製するためのシステムは、マイクロ制御部またはマイクロコントローラのような制御部を含んでもよい。当該制御部は、モータ76,118を活性化するとともに構築台43を移動させ、かつ選択的に凝固エネルギー源90を活性化するためのローカルに格納および実行されるプログラムを含む。ある例では、上記システムはホストコンピュータを含む。ホストコンピュータは、マイクロコントローラ部のローカルに格納および実行されるプログラムによる使用のために、3次元物体データをマイクロコントローラ部が認識するフォーマットに処理して当該データをマイクロコントローラに送信する。本願明細書において用いられるように、「マイクロコントローラ」という用語は、特別なタスクのために用いられる高性能なプログラマブルなコンピュータメモリシステムを指す。ある例では、本願明細書において記載されるマイクロコントローラは、マイクロプロセッサ、リードオンリメモリ(read only memory(ROM))、周辺機器のためのインターフェイス、タイマー、アナログ−デジタル変換器およびデジタル−アナログ変換器、ならびに可能な他の機能部を有する集積回路チップを含む。
【0042】
ある例では、線形凝固コントローラ(図示せず)は、長さ(x軸)方向における線形凝固装置88の位置に少なくとも部分的に基づき、線形凝固装置88を選択的に活性化および非活性化する。位置は直接的に検出されてもよく、または他の変数(たとえばモータステップの数)によって間接的に決定されてもよい。さらに以下に論じられる1つの実現例において、進行端部センサ346(
図16(b)および
図16(c))が、x軸位置を間接的に決定するようモータ移動パラメータとともに用いられる。
【0043】
一実現例では、線形凝固コントローラは、選択的に活性化および非活性化することにより凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態を変更するよう凝固エネルギー源90に動作可能に接続されるマイクロコントローラまたは凝固エネルギー源コントローラ(図示せず)である。付加的な例では、コントローラは選択的に、構築中の3次元物体についての形状情報に少なくとも部分的に基づき凝固エネルギー源を活性化する。さらに別の例では、コントローラは、長さ(x軸)方向における線形凝固装置88の位置に基づく(またはモータ76についてのモータステップの数のような、当該位置に相関する別の変数に基づく)とともにx軸位置とともに変動する構築中の物体についての形状情報に基づき、選択的に凝固エネルギー源を活性化する。凝固可能材料の所与の露出面上において、凝固エネルギーを受け取ることになる特定のx,y位置は、凝固エネルギー源90の当該所与のx軸位置での構築中の物体のy軸プロファイルと回転エネルギーデフレクタ92とに依存することになる。さらに別の例では、線形凝固コントローラは、凝固可能材料上の所望の位置を選択的に凝固するよう、平坦な膜マスク上の画像化要素を選択的に活性化する。他の例では、レーザ走査マイクロミラーが、選択的にある線形パターンに凝固エネルギーを偏向して線形走査動作を行う。
【0044】
ある例では、構築中の物体についての形状情報は、3次元空間において物体の形状を数学的に規定する3次元物体形状情報として提供される。次いで、3次元物体データは、好ましくは構築軸に対応する寸法に沿って物体レイヤーデータにスライスまたは細分される。構築軸とは、物体がそれに沿って漸進的に構築される軸を指し、本願明細書において記載される例では本願明細書において「z軸」として典型的に言及される。物体レイヤーデータは、構築軸と直交する面における物体の形状を数学的に規定する情報を含んでもよい。したがって、構築軸がz軸と言及される一例では、物体データレイヤーの各セットは、所与のz軸位置での物体断面の形状を規定するx座標およびy座標を含んでもよい。凝固プロセスを推進するよう物体データを提供および使用する例示的な方法は、以下にさらに記載される。
【0045】
上述したように、モータ76は、x軸方向において凝固可能材料の表面に亘って筐体96を平行移動するよう設けられる。この平行移動を提供するための例示的な装置は
図3および
図4に示される。これらの図に従うと、筐体96は、凝固基板アセンブリ62の幅(y軸方向)に亘って間隔を空けた2つのカム従動子アセンブリ104aおよび104bに接続される。モータ76は、それぞれのタイミングベルト86aおよび86bに端部80aおよび80bにて接続されるシャフト78を回転する。各タイミングベルト86aおよび86bは、凝固基板アセンブリ62の固定フレーム64上にマウントされる対応するブラケット83aおよび83bに回転可能にマウントされる対応するプーリ82aおよび82bに接続される。
【0046】
カム従動子アセンブリ104aおよび104bは各々、対応するベルトコネクタ114aおよび114bを介して、タイミングベルト86aおよび86bのうち対応するものに接続される。カム従動子アセンブリ104aおよび104bは、対応する線形軸受110aおよび110bにも接続される。線形軸受110aおよび110bは、対応する線形スライドまたはレール112aおよび112bに摺動可能に係合する。線形スライド112aおよび112bは、固定フレーム64に取り付けられており、凝固基板アセンブリ62の幅(y軸)方向に互いに間隔を空けている。モータ76にエネルギーが加えられると、シャフト78はその長手方向軸について回転し、タイミングベルト86aおよび86bが無限ループで循環する。タイミングベルト86aおよび86bの循環により、カム従動子アセンブリ104aおよび104bが凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に平行移動し、次いで、線形凝固装置筐体96が長さ(x軸)方向に移動される。したがって、モータ76、回転エネルギーデフレクタ92および凝固エネルギー源90の同時活性化により、長さ(x軸)方向における凝固エネルギー源90および回転エネルギーデフレクタ92の平行移動と同時に、凝固可能材料の露出面に沿った幅(y軸)方向における凝固エネルギーの走査が可能になる。
【0047】
線形凝固装置88のより詳細な図が
図5Aおよび
図5Bに提供される。
図5Aおよび
図5Bは装置88の対向する側を示す。筐体96は概して多角形の構造である。これらの図に示されるように、筐体96は、開かれた面を有するが、この面は閉じられてもよい。回転エネルギーデフレクタ92は、高さ(z軸)方向および幅(y軸)方向の両方において凝固エネルギー源90から間隔を置いており、長さ(x軸)方向においても同様に凝固エネルギー源90から若干オフセットされてもよい。回転エネルギーデフレクタ92は、好ましくは長さ(x軸)方向に対して実質的に垂直に方位付けされてもよい面(すなわちy−z面)の実質的に中で回転するよう、筐体96に回転可能にマウントされる。凝固エネルギー源ポート116は、一度に回転エネルギーデフレクタ92の少なくとも1つのファセット94a〜94fと光学的に連通するように凝固エネルギー源(たとえば、レーザダイオード)をマウントするために設けられる。上で示されるように、レンズ98は、高さ(z軸)方向において回転エネルギーデフレクタ92から間隔を置くとともに回転エネルギーデフレクタ92の下に存在し、かつ筐体光開口部100の上に位置する。
【0048】
モータ118は、筐体96の裏面上にマウントされており、回転エネルギーデフレクタ92に動作可能に接続される。モータ118は、電力源(図示せず)に接続される。モータ118にエネルギーが加えられると、回転エネルギーデフレクタ92は、y−z面において回転し、さまざまなファセット94a〜94fを順次、凝固エネルギー源90に光学的に連通させる。さらに、制御部(図示せず)が、モータ118、凝固エネルギー源90および/またはモータ76に選択的にエネルギーを加えるよう設けられてもよい。モータ76および118のいずれかまたは両方は、ステッパモータまたはサーボモータであってもよい。ある例では、モータ76および118のいずれかまたは両方は、連続的なエネルギーパルスによって駆動される。モータ118の場合、ある好ましい実施例では、各パルスのタイミングが、回転エネルギーデフレクタ92のファセット94(a)〜94(f)の固定される回転位置に対応するように、連続的なエネルギーパルスによって駆動される。モータにパルスが与えられると、ファセット94(a)〜94(f)の各々は順次、凝固エネルギー源90に光学的に連通するとともに、凝固エネルギー源90に光学的に連通する特定のファセットは、パルスのタイミングに対応する固定される回転位置を有することになる。
【0049】
ある実現例では、オペレータに知られることなく、回転エネルギーデフレクタ92の回転位置は、各モータエネルギーパルスのタイミングに繰り返し可能に対応してもよい。モータエネルギーパルスと、ファセット92a〜92fの回転位置との固定される関連性により、凝固エネルギー源90に光学的に連通した状態で、同期凝固エネルギー信号が、何らかの規定された回転位置にて、各ファセット94(a)〜94(f)について発せられるように、凝固エネルギー源90からの同期凝固エネルギー信号の送信を同期するようモータパルスタイミングが用いられることを可能にする。
【0050】
ある実現例では、線形凝固装置88が移動するx軸速度よりも著しく大きいy軸走査速度(すなわち凝固エネルギーが凝固可能材料の露出面に沿って動く速度)を提供することが望ましい。y軸速度およびx軸速度においてこの不一致を提供することにより、走査されたエネルギーパターンが線形であるとともにx軸方向に直交することをより確実にすることを助け、これにより物体の歪曲の可能性を低減する。ある例では、y軸方向における走査速度は、x軸方向における線形凝固装置88の移動速度の少なくとも約1000倍であり、好ましくは少なくとも約1500倍であり、より好ましくは少なくとも約2000倍であり、さらにより好ましくは少なくとも約2200倍である。一例では、線形凝固装置88は、約1インチ/秒の速度でx軸方向に移動し、y軸走査速度は約2400インチ/秒の速度である。x軸方向における線形凝固装置88の移動の速度に対する走査速度を増加させると、x軸方向における長さ単位あたりの走査線の数を増加することによって、走査プロセスの分解能が増加する。
【0051】
凝固基板アセンブリ62の幅(y軸)方向において凝固エネルギーが凝固可能樹脂の選択されたエリアに漸進的に適用される走査速度(単位時間あたりの走査回数)は、ファセット94a〜94fの数で乗算される回転エネルギーデフレクタ92の回転速度に対応する。ある例では、回転速度は約1,000rpm〜約10,000rpmであり、好ましくは約2,000〜約8,000rpmであり、より好ましくは約3,000〜約5,000rpmである。
【0052】
図5Cを参照して、
図5Aおよび
図5Bの線形凝固装置88の代替的な実施例を示す。
図5Cでは筐体96が除去されている。当該図に示されるように、凝固エネルギー源90は、回転エネルギーデフレクタ92がy−z面(すなわち線形凝固装置88の移動の方向に直交した面)において回転する際に、いつでも回転エネルギーデフレクタ92の1つのファセット94(a)〜94(f)に光学的に連通している。この実施例では、1つ以上の凝固エネルギー集束装置が、凝固エネルギー源90と回転エネルギーデフレクタ92との間に設けられる。
図5Cの例では、1つ以上の集束装置はコリメータ320と円柱レンズ322とを含む。
【0053】
コリメータ320は、凝固エネルギー源90と円柱レンズ322との間に設けられる。円柱レンズ322は、コリメータ320と回転エネルギーデフレクタ92との間に設けられる。コリメータ320はさらに集束レンズであり、円形形状のビームを作り出す。円柱レンズ322は、円形形状のビームをより線形の形に伸ばし、これによりビームが回転エネルギーデフレクタ92に対する接触のエリアを減少することを可能にするとともに、より正確に1つの特定のファセット94(a)〜94(f)の寸法内に当該ビームを適合する。したがって、凝固エネルギー源90から送られた凝固エネルギーはコリメータ320をまず通過し、次に円柱レンズ322を通過し、その後回転エネルギーデフレクタ92の特定のファセット94(a)〜94(f)に到達する。
【0054】
ある好ましい例では、コリメータ320および/または円柱レンズ322は、約380nm〜約420nmの範囲の波長を有する入射光の少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも95%を透過する。一例では、コリメータ320および円柱レンズ322は、波長が約405nmである入射光の少なくとも約95%を透過する。同じまたは他の例では、凝固エネルギー源90は、少なくとも約5ミリラジアン、より好ましくは少なくとも約6ミリラジアン、さらにより好ましくは少なくとも約6.5ミリラジアンのビーム広がりを有するレーザダイオードを含む。同時にまたは他の例では、ビーム広がりは、約9ミリラジアン以下、好ましくは約8ミリラジアン以下、さらにより好ましくは約7.5ミリラジアン以下である。一例では、この広がりは約7ミリラジアンである。コリメータ320は好ましくは、上記のビーム広がり値を有する光をコリメートするのに十分な焦点距離を有するよう構成される。コリメータ320は好ましくは、「バタフライ」形状を有する入射レーザ光を受け取るとともに、円柱レンズ322へ送るためにこの入射レーザ光を丸いビームに変換するよう構成される。
【0055】
ある例では、コリメータ320は、約4.0mm〜約4.1mm、好ましくは約4.0mm〜約4.5mm、さらに好ましくは約4.01mm〜約4.03mmの範囲の有効焦点距離を有する。一例では、コリメータ320は、約4.02mmの有効焦点距離を有する成形ガラス非球面コリメータレンズである。1つのこのようなコリメータ320は、ニュージャージ州のNewtonのThorlabs社によって部品番号671TME−405として提供されるGeltech(商標)反射防止コーティングがされた成形ガラス非球面コリメータレンズである。このコリメータは、ECO−550ガラスから形成されており、有効焦点距離が4.02mmであり、開口数が0.60である。
【0056】
ある例では、コリメータ320および/または円柱レンズ322は、凝固エネルギー源90の特定の波長およびビーム広がり特性に基づき最適化される。一例では、コリメータ320および/または円柱レンズ322は、BK−7光学ガラスのような硼珪酸ガラスから形成される。ある好ましい例では、コリメータ320および/または円柱レンズ322は、コリメータ320および円柱レンズ322が約380nm〜約420nmの範囲の波長を有する入射光の少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも95%を透過するように反射防止コーティングでコーティングされる。好適な反射防止コーティングは、英国のSiltint Industries社が提供するARSL0001 MgF2コーティングのような二フッ化マグネシウム(MgF
2)コーティングを含む。
【0057】
線形凝固装置88のある例では、凝固エネルギーが、凝固可能材料上の衝突点にて(円形であってもなくてもよい)スポットを規定する。凝固エネルギーと凝固可能材料との間の入射角度は、凝固エネルギー源90に対する所与のファセット94(a)〜94(f)の回転位置とともに変動することになる。スポット寸法および形状も、入射角度とともに変動する傾向がある。いくつかの場合では、スポットサイズおよび/またはスポット寸法のこの変動により、均一でない凝固パターンが作り出され得るとともに、物体構築プロセスの精度が低下する。したがって、ある例では、回転エネルギーデフレクタ92の回転位置が変化すると、スポットサイズおよび/または寸法の均一性を増加するよう、1つ以上のレンズが回転エネルギーデフレクタ92と凝固可能材料との間に設けられる。ある例では、当該1つ以上のレンズは平坦な視野レンズ98である(
図5Aおよび
図5B)。他の例(
図5C)では、1つ以上のレンズはF−θレンズ(328または330)である。他の例では、さらに
図5Cに示されるように、1つ以上のレンズはF−θレンズ328および330の対である。F−θレンズ328および330は、z軸方向(すなわち走査方向と線形凝固装置88の移動の方向とに垂直な軸)に沿って、互いにかつ回転エネルギーデフレクタ92から間隔を置いている。第1のF−θレンズ328は、第2のF−θレンズ330と回転エネルギーデフレクタ92との間に位置決めされる。第2のF−θレンズ330は第1のF−θレンズ328と凝固可能材料との間(および第1のF−θレンズ328と光開口部100との間(
図5C〜
図5Dには示さず))に位置決めされる。
【0058】
第1のF−θレンズ328は、入射面334と透過面336とを含む。入射面334は、回転エネルギーデフレクタ92からの偏向された凝固エネルギーを受け取る。透過面336は、凝固エネルギーを第1のF−θレンズ328から第2のF−θレンズ330まで透過する。同様に、第2のF−θレンズ330は、入射面338および透過面340を含む。入射面338は、第1のF−θレンズ338の透過面336から透過した凝固エネルギーを受け取り、透過面340は、凝固エネルギーを第2のF−θレンズ330から筐体光開口部100(
図5Cに示さず)および凝固可能材料へと透過する。
【0059】
図5Cの線形凝固装置のある実現例では、第1のF−θレンズ328は、第2のF−θレンズ330の屈折率よりも小さい屈折率を有する。屈折率における相対的な差は、レーザビーム散乱損失を低減する助けになる。同時にまたは他の実現例では、第1のF−θレンズ透過面336の曲率半径は、第2のF−θレンズ透過面340の曲率半径よりも小さい。F−θレンズの好適な対は、商業的に利用可能であり、Konica Minolta社およびHP社が提供するF−θレンズを含む。ある実施例では、F−θレンズ328および330は好ましくは、反射防止コーティングでコーティングされる。反射防止コーティングは、F−θレンズ328および330を通って透過する選択された波長の凝固エネルギーの量を最大化するよう用いられる。一例では、反射防止コーティングは、コーティングされたF−θレンズ328および330が、約325nmと420nmとの間の波長を有する入射凝固エネルギーの90パーセントよりも多く、好ましくは約380nmと約420nmとの間の波長を有する入射凝固エネルギーの90パーセントよりも多く、より好ましくは約380nmと約420nmとの間の波長を有する入射凝固エネルギーの約92パーセントより多く、さらにより好ましくは約380nmと約420nmとの間の波長を有する入射凝固エネルギーの95パーセントより多くを透過することを可能にする。1つの特定の例では、コーティングされたF−θレンズは、約405nmの波長を有する入射光(すなわち青色レーザ光)の少なくとも約95%を透過する。他の好ましい実施例では、コリメータ320および円柱レンズ322はさらに、同じ反射防止コーティングがコーティングされる。好適な反射防止コーティングは、英国のSiltint Industries社が提供するARSL001コーティングのような二フッ化マグネシウム(MgF2)コーティングを含む。
【0060】
ある例では、線形凝固装置88は、複数の凝固エネルギー源を含んでもよい。いくつかの実現例では、線形凝固装置88は、同じ波長の凝固エネルギーを提供する複数の凝固エネルギー源を含んでもよく、装置88は凝固エネルギーの単一のビームを凝固可能材料に送ってもよい。他の実現例では、装置88は、異なる波長の凝固エネルギー源を含んでもよく、波長のうちただ1つの波長の凝固エネルギーを凝固可能材料に選択的に送る。この実現例は、3次元物体が複数の凝固可能材料を用いて構築される場合に特に有用であり得る。複数の凝固可能材料の各々は、(たとえば、それらの光開始剤が異なる波長の凝固エネルギーによって活性化されるので)異なる波長の凝固エネルギーに応答して凝固する。
【0061】
図5Dを参照して、(筐体が除去された状態の)線形凝固装置88の代替的なバージョンが概略的な形態で示される。線形凝固装置88は、2つの例外を除いて、
図5Cに示されるものと同じである。まず、
図5Dの線形凝固装置88は、2つの凝固エネルギー源90aおよび90bを含む。
図5Dの特定の実施例では、凝固エネルギー源90aおよび90bが、実質的に同じ波長の凝固エネルギーを送る。いくつかの場合では、凝固可能材料に送られる凝固エネルギーのパワーを増加するために、このような複数の凝固エネルギー源90a,90bの使用が望ましい。凝固エネルギーのパワーは、凝固の速度に影響を与え得る。次いで、これがx軸方向における線形凝固装置88の進行の最大速度を制限し得る。たとえば所与の体積の凝固可能樹脂を凝固するために、当該体積は十分な凝固エネルギー(たとえば、ジュール)を受け取らなければならない。所与の体積の凝固可能材料が受け取る凝固エネルギーは、凝固エネルギーのパワー(たとえば、ワット)と当該体積の凝固可能材料の露出時間との関数である。結果として、パワーが低減されると、凝固エネルギー装置88の進行の方向(すなわちx軸)に沿った各位置にて十分な凝固エネルギーが受け取られることを確実にするために凝固エネルギー装置88の進行の速度が低減されなければならない。換言すると、構築軸(z軸)方向における所望の凝固深さにて、凝固エネルギーのパワーを増加させることで、線形凝固装置88がx軸方向に横断し得る速度が増加し、したがって、物体構築プロセスの速度が増加する。
【0062】
図5Cの凝固エネルギー装置88と
図5Dの凝固エネルギー装置88との間の第2の違いは、
図5Dにおけるプリズム321aおよび321bの包含である。
図5Dの凝固エネルギー装置88は、両方の源90aおよび90bからの凝固エネルギーを組み合せて、凝固可能材料への送達のための単一のビームにするよう意図される。この単一のビームは好ましくは、個々の凝固エネルギー源90aおよび90bの平均パワーの少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも1.7倍、より好ましくは少なくとも1.95倍であるパワーを有する。各凝固エネルギー源90aおよび90bは、そのそれぞれの凝固エネルギーをそれぞれのプリズム321aおよび321bに送る。プリズム321aおよび321bは、第1の角度で入射凝固エネルギーを受け取り、このエネルギーを偏向して、個々のビームが単一のビームに結合されることを可能にする第2の(異なる)角度の透過した凝固エネルギービームを作り出す。円柱レンズ322の前に個々のビームが結合し、その後で凝固エネルギーが回転エネルギーデフレクタ92に受け取られ、
図5Cについて上述したのと同じ態様で凝固可能材料に最終的に送られると考えられる。
【0063】
上述したように、
図5Cおよび
図5Dの線形凝固装置88はさらに、光学センサであってもよい凝固エネルギーセンサ324を含む。好適な光センサは光ダイオードを含む。用いられてもよい1つの例示的な光ダイオードは、部品番号HL40023MGであるOpnext社が提供する404nm,500mW光ダイオードである。
【0064】
凝固エネルギーセンサ324は、凝固エネルギーを受け取ると、信号を生成する。ミラー332が設けられており、y−z面において特定の回転位置(または位置の範囲)にある間に、回転エネルギーデフレクタ92の各ファセットが凝固エネルギーを凝固エネルギー源90から受け取ると、エネルギーが(破線に示されるように)ミラー332に向かって偏向されることになるように回転エネルギーデフレクタ92に光学的に連通している。同様に、線形凝固装置88において用いられる走査装置が線形走査マイクロミラーである場合、特定の傾斜角度または傾斜角度の範囲によって、受け取られた凝固エネルギーがミラー332に向かって偏向されることになる。次いで、凝固エネルギーが、第1のF−θレンズ328と第2のF−θレンズ330との間の走査軸(y軸)に実質的に平行である経路に沿ってミラー332からセンサ324に反射する。センサ324はコンピュータに動作可能に接続されてもよく、センサ324は、凝固エネルギーを受け取った際に生成される信号を当該コンピュータに送信する。信号はデータとして格納されてもよく、および/または凝固エネルギー源コントローラ(図示せず)に関連付けられるプログラムにおいて用いられてもよい。生成されたセンサ信号を使用する線走査同期方法の例を以下に記載する。
【0065】
ある例では、センサ324は、走査軸(y軸)方向に沿った線走査動作の開始を決定するよう用いられる。しかしながら、本願明細書において記載される凝固エネルギー源を用いるある場合では、凝固エネルギー源90が送る凝固エネルギーの強度は所望のものより高い場合があり、これにより、散乱した周辺光の存在に少なくとも部分的によりセンサ324の感度が低減する。結果として、いくつかの実現例では、ミラー332からセンサ324までの凝固エネルギーの進行経路に沿ってセンサ324とミラー332との間にフィルタ326が設けられる。フィルタ326は好ましくは、センサ324が受け取る電磁放射の強度を、あまりその波長を変えることなく低減する。したがって、一例では、フィルタ326はニュートラルデンシティフィルタである。1つのこのような好適なニュートラルデンシティフィルタは、カリフォルニアのロサンゼルスのSamy's Camera社が部品番号HDVND58で提供する16xニュートラルデンシティフィルタである。ある実現例では、センサ324は、線形走査動作のための基準として機能するタイマーを同期するよう用いられる。このような場合では、散乱光または周辺光へのセンサ324の露出により同期エラーが引き起こされ得る。したがって、フィルタ326は好ましくは、凝固エネルギー源90からの直接的な凝固エネルギーのみがセンサ324によって受け取られることを確実にするよう構成される。
【0066】
図16(b)を再び参照して、ある実現例では、線形凝固装置88は、ミラー332が走査軸構築エンベロープ境界344に直に近接して位置するように、構築エンベロープ342内に位置決めされる。このような実現例では、凝固エネルギー源90が活性化されたままであるとともに回転エネルギーデフレクタ92が回転することを継続する場合、凝固エネルギーはミラー332に送られた後すぐに走査軸構築エンベロープ境界344にある凝固可能材料に送られることになるので、センサ324(
図5C)による凝固エネルギーの受け取りが、線走査動作がそのすぐ後に始まり得ることを示す。したがって、センサ324は、各ファセット94(a)〜94(f)について線走査動作の開始を示すよう用いられ得る。上述したように、回転エネルギーデフレクタ92が単一の回転を完了する間に凝固エネルギー源90が活性化されたままである場合、回転エネルギーデフレクタ92のファセット94(a)〜94(f)の数に等しい数の線形走査動作が走査軸方向において完了されることになる。
【0067】
センサ324が線走査動作の開始を示すよう用いられるこれらの場合、送られた凝固エネルギーがミラー332によって受け取られる特定の瞬間に、短い間、凝固エネルギー源90を活性化することが有用である。凝固エネルギー源のこの短い活性化は、線形凝固装置88において用いられる走査装置に送られた作動信号に対して連係または同期され得る。たとえば上述したように、ある場合では、モータ118に一定周波数パルスによってエネルギーが加えられる。そのタイミングは凝固エネルギー源90に光学的に連通する特定のファセット94(a)〜94(f)についての固定された回転位置に対応する。したがって、試行錯誤のプロセスを通じて、モータパルスの立上りエッジまたは立下りエッジと、センサ324による凝固エネルギーの受け取りとの間の遅延時間が決定され得る。より具体的には、凝固エネルギー源90は、パルスの立上りエッジまたは立下りエッジに対してある回数だけ選択的に活性化され得、これによりどの遅延時間がセンサ324による凝固エネルギーセンサ信号の生成につながるのか決定される。1つの好ましい実施例では、凝固エネルギー源90は、モータ118を駆動するよう用いられるエネルギーパルスの立下りエッジにて、またはその後に続く特定の時間内に活性化される。
【0068】
ある例では、同期エネルギーパルスのタイミングを動的に調節または較正することが好ましい。このような例に従うと、同期エネルギーパルスが、回転エネルギーデフレクタ92を回転するよう同期エネルギーパルスをモータ118に送られる作動パルスに連結することなく、内部マイクロプロセッサクロックに対して(すなわちマイクロコントローラにおいて)動的に較正された時間で活性化される。同期エネルギーパルスタイミングの動的較正の1つの実現例は以下のとおりである。回転エネルギーデフレクタモータ118がまずパーツ構築プロセスの間に活性化されると、1つ以上の試行同期パルスが、マイクロプロセッサクロックに対して1つ以上の試行時間にて凝固エネルギー源90を活性化するマイクロコントローラに常駐するプログラムによって行われる。最初の試行時間は、送られた凝固エネルギーがセンサ324に当たると考えられる、モータ118に送られる作動パルスに対する遅延時間に基づき選択されることになる。試行時間は、同期エネルギーパルスの動的較正が完了するまで漸進的に調節される。マイクロコントローラに常駐するプログラムは、凝固エネルギー源90を活性化するようマイクロコントローラが出力信号を送る時間を、凝固エネルギーが受け取られたことをセンサ324が示す時間とを比較する。プログラムは、凝固エネルギー源90に送られる(CPUクロックに対する)出力信号のタイミングを、同期センサ324からの信号の送信につながるもっとも早い可能な時間に調節する。なぜならばこの時間が、凝固エネルギーがセンサ324に接触する時間に可能な限り近く送られていることを示すからである。この調整プロセスによって決定される同期エネルギーパルスの最終的なタイミングは次いで保存され、その後の同期動作において用いられる。以前に示されるように、パルスのタイミングは、マイクロプロセッサにおけるCPUクロックのサイクルに対して規定され、これによりそれらが繰り返し可能であることを確実にする。ある場合では、同期エネルギーパルスタイミングに到達するためのこの動的な調整プロセスの使用は、モータ118のパルスに対して固定された時間に基づく同期エネルギーパルスのタイミングよりも正確である。なぜならば、ある場合では、モータ118のパルスと回転エネルギーデフレクタ92の回転位置との間の関係は、回転エネルギーデフレクタ92が実質的に一定の周波数で回転するという事実にも関わらず、変動または変化し得るからである。
【0069】
一例に従った、モータ118に送られたパルスに対する凝固エネルギー源90の活性化が
図24に示される。波形1100は、ミラー92を回転するようモータ118に送られるマイクロコントローラ出力信号を示す。波形1102は、凝固エネルギー源のエネルギー付加状態を切り替えるよう凝固エネルギー源90に送られるマイクロコントローラ出力信号を示す。各サイクルの立上りエッジは、凝固エネルギー源が活性化されることを示す。立下りエッジは、凝固エネルギー源が非活性化されることを示す。モータ波形1100の各立下りエッジと凝固エネルギー源活性化信号波形1102の立上りエッジとの間の時間の差分は、Δ
1として示される。好ましい実施例では、Δ
1はモータ118のパルスからパルスまでの間、実質的に一貫した値で維持され、これにより各ファセット94a〜94f(
図5B)の回転位置と、凝固エネルギー源90からの凝固エネルギーの同期パルスの活性化との間の関係が実質的に一定であることをより良好に確実にする。しかしながら、他の例ではΔ
1は、源90が送った同期エネルギーパルスのタイミングをマイクロコントローラのCPUクロックに対して動的に較正するための開始点としてのみ用いられる初期の試行時間である。このような例では、動的に較正された時間がひとたび決定されると、その時点でシステムが同期凝固エネルギーパルスをいつ送るべきかを決定するようモータ118の作動パルスのタイミングをもはや用いないその後の同期エネルギーパルスのために当該動的に較正された時間が用いられる。
【0070】
ある場合では、モータ118を駆動するエネルギー付加パルスに対する特定された遅延時間は、(凝固エネルギー源90が活性化されたままであると想定して)線走査動作が開始されるときを確実に示すことになるので、センサ324は必要ない場合がある。しかしながら、いくつかの例では、パルスは所望の精度内でいつ線走査動作が始まるのかを確実に示すよう用いられ得ない。たとえば、回転エネルギーデフレクタ92のファセット94(a)〜94(f)は、完全にまたは一貫して平らでない場合がある。その場合、凝固エネルギーの走査(y)軸位置は、回転エネルギーデフレクタ92の回転位置または回転モータ118のパルス波形1100(
図24)にあまり良好に相関し得ない。さらに、凝固エネルギー源90が生成する熱により、凝固可能材料に向かう凝固エネルギーの経路が若干変化し得るとともに、凝固エネルギーが凝固可能材料に当たる入射角度が若干変化し得る。したがって、センサ324は、線走査動作が始まり得る(または凝固エネルギー源90が活性化されたままの場合には始まることになる)時間を良好に決定する助けとなる。これは特に物体データが時間値として格納される場合に特に有用である。なぜならば時間値は、構築エンベロープ342の走査軸境界344に対して走査軸方向に沿った特定の位置に確実に相関され得るからである(
図16(b))。ある例では、センサ324が同期信号を生成すると、タイマーは0にセットされ、物体データは、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態がゼロ時間値に対して変更される時間値として特定される。
【0071】
図24を再び参照して、ある例では、センサ324が、凝固エネルギーを受け取ったことをまず示すと、タイマーは0にセットされる(初期化される)。波形1104は、センサ324によって生成されるとともにマイクロコントローラに送信される信号を示す。ある例では、タイマーは、マイクロコントローラによって受け取られるセンサ信号の立上りエッジで、0に初期化される。
図24における第1のセンサ信号パルスについて、立上りエッジは1104aとして識別される。フィルタ326(
図3)は、周辺光または回転エネルギーデフレクタ92から反射された凝固エネルギー以外の光の源を除去するよう意図される。そうでなければ、マイクロコントローラは、CPUの初期化を早く行い過ぎることになり、マイクロコントローラが凝固可能材料を凝固するよう凝固エネルギーを適用するのを早く始めすぎることになる。ある例では、フィルタ326は、回転エネルギーデフレクタ92がその動作回転数で回転しているときに、回転エネルギーデフレクタ92から反射された光がセンサ324の感知長さを横断するのに必要な時間以下の期間の間にセンサ324が出力信号を生成することを確実にするよう選択および/または調節される。たとえば、センサ324の感知長さが2mmである場合、走査(y)軸方向における構築エンベロープ距離は、9インチ(228.6mm)であり、回転エネルギーデフレクタ92のファセットの回転頻度および回転数は、2000線/秒の走査速度を産出し、凝固エネルギーがセンサの感知長さを横断するのに必要な時間は、2mm/((2000線/秒)(228.6mm))または4.4マイクロ秒になる。したがって、物体構築プロセスを行う前に、センサ324は、凝固エネルギー源90および回転エネルギーデフレクタ92からの凝固エネルギーに晒され得る。センサ324によって生成される出力信号は、凝固エネルギーがセンサ324を横断するのに必要な時間が4.4マイクロ秒であることを決定するためにオシロスコープ上で観察されてもよい。そうでない場合には、正しい感知時間が観察されるまで、フィルタ326が調節または置き換えられてもよい。
【0072】
上で示されるように、光硬化可能樹脂のような凝固可能材料は、基板68を通って送られる凝固エネルギーを受け取るよう、実質的に剛性または半剛性基板68の下に設けられる。凝固基板68は、一般的に剛性または半剛性であり、線形凝固装置88が供給したエネルギーに対して実質的に透過性がある。ある例では、線形凝固装置88からのエネルギーは、送られたエネルギーの有意な減少、または凝固基板68の上面に入射するスペクトルに対する凝固材料に送られるエネルギースペクトルの有意な変化なしに、凝固基板68を通過することが好ましい。凝固エネルギー源90からのエネルギーが光(UV光のような非可視光を含む)である場合、凝固基板68は、凝固エネルギー源90が供給する光の波長に対して好ましくは実質的に半透明である。
【0073】
剛性または半剛性の凝固基板68の一例は、半透明のフロートガラスである。別の例は半透明のプラスチックである。さまざまな異なるフロートガラスおよびプラスチックが用いられてもよい。用いられてもよい例示的なプラスチックは、Acrylite(登録商標)の名前でEvonik社が提供する透明なアクリルプラスチックを含む。「半透明」という用語は、基板68が、凝固可能材料を凝固するのに必要な(UV光のような非可視光を含む)光の波長を透過することが可能であることを示すとともに、このような波長の強度が光が基板68を通過しても有意に変わらないことを示すことを意味する。フォトポリマーの場合、光開始剤が重合/架橋プロセスを開始するよう一般的に提供される。光開始剤は、フォトポリマーにおけるそれらの濃度に基づく吸収スペクトルを有することになる。そのスペクトルは、凝固基板68を通過しなければならない波長であって、かつ凝固を開始するよう光開始剤によって吸収されなければならない波長に対応する。凝固エネルギー源90が青色レーザ光ダイオードである一例では、好ましくはIrgacure819およびIrgacure714光開始剤が用いられてもよい。
【0074】
凝固エネルギーがそれに供給されると、凝固可能材料の露出面は、幅(y軸)方向において概して好ましくは実質的に線形パターンに従って凝固することになり、凝固基板68に付着する材料の薄い線形の領域が作り出される。以前に示したように、物体が凝固基板68に付着したままであると、構築台43(
図1および
図2)の下方への移動により、物体が破壊または歪曲し得る。ある例では、凝固可能材料に接触する剛性または半剛性の凝固基板68の表面は基板68への凝固した材料の付着を低減するよう用いられる材料でコーティングされる。好適な付着低減剤はTeflon(登録商標)コーティングを含む。ナノコーティングのような非付着コーティングも用いられてもよい。
【0075】
付着した凝固した材料による部分歪曲の可能性を最小限にするために、ある例では、凝固した材料は周期的に凝固基板アセンブリ62から剥離される。このような例に従うと、(LEDアレイ308(
図17)または線形凝固装置88(
図3〜
図5C)のような任意の線形凝固装置として実施され得る)凝固エネルギー源は、x軸方向に移動する際、走査(y)軸方向に沿って延在する凝固可能材料の実質的に線形のセクションを凝固するよう選択的に活性化される。さらに、凝固エネルギー源90がx軸方向に移動すると、凝固基板アセンブリ62は凝固可能材料の凝固したセクションから剥離される。凝固可能材料のこの剥離された凝固したセクションは、凝固エネルギー源によって凝固される凝固可能材料の実質的に線形のセクションを含む。ある例では、凝固した材料が凝固基板68から剥離される。他の場合では、凝固した材料は、凝固基板68と凝固可能材料との間に配置される膜から剥離される。
【0076】
ある例では、この剥離動作は、部分的に構築された3次元物体に対して剛性または半剛性の凝固基板68を揺動することを含む。
図3〜
図4の実施例では、凝固基板68はその長さに沿って湾曲している(すなわちy軸方向に沿って見た場合、凝固基板68はx軸方向において若干の曲率を有する)。ある例では、凝固基板68の長さは、線形凝固装置88の進行の方向に実質的に平行である。凝固基板68の1つの例示的な湾曲したプロファイルは、揺動された位置における凝固基板アセンブリ62を示す
図6に示される。
図3〜
図4の実施例では、凝固基板68が揺動フレーム66に配置される。揺動フレーム66は、凝固基板アセンブリ62の幅(y軸)方向に沿って間隔を空けている第1および第2の揺動フレームサイド70aおよび70bを含む。第1および第2の揺動フレームサイド70aおよび70bの各々は、好ましくはそれらの長さ(x軸方向)に沿って湾曲する固定フレーム係合表面72aおよび72bを有する。
【0077】
図3および
図4に示されるように、固定フレーム64は、第1および第2の揺動フレーム係合表面74aおよび74bを含む。第1および第2の揺動フレーム係合表面74aおよび74bは、揺動フレーム66の固定フレーム係合表面72aおよび72bに係合する。1つの例示的な実施例では、凝固基板68の曲率半径と、各固定フレーム係合表面72aおよび72bの曲率半径とは実質的に同じである。別の例では、第1および第2の揺動フレームサイド70aおよび70bの上方向を向いた面は湾曲しており、剛性または半剛性の凝固基板68の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有してもよい。対応する揺動フレーム係合表面74aおよび74bとの固定フレーム係合表面72a/72bの係合は、カム従動子106aおよび106bが第1および第2の揺動フレームサイド70aおよび70bの長さを横断すると、揺動フレーム66が固定フレーム64に対して揺動することを可能にする。
【0078】
上述したように、カム従動子アセンブリ104aおよび104bは、タイミングベルト86aおよび86bの運動を凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向における線形凝固装置88の線運動に変換する。
図3および
図4を参照して、カム従動子アセンブリ104aおよび104bは、各々がローラの対として示されるカム従動子106aおよび106bを含む。カム従動子106aおよび106bは、線形凝固装置88がx軸方向に平行移動すると、揺動フレームサイド70aおよび70bの上面に係合する。揺動フレームサイド70aおよび70bの上面とのカム従動子106aおよび106bの係合によりサイド70aおよび70bに下方への力が適用され、それらが揺動する。次いで、これにより凝固基板68が揺動し、
図6(
図3〜
図4に示されていない凝固可能材料容器48も示す)にもっともよく見られるように、凝固基板68に付着した凝固した材料から剥離する。なお、両方の構築エンベロープ方向(xおよびy)に同時に凝固エネルギーを照射するパターン発生器を用いる3次元物体製造システムでは、凝固基板において如何なる湾曲を有することは、このような湾曲は画像歪みにつながり得るので、一般的に望ましくない。しかしながら、本願明細書において記載される線形凝固プロセスのあるものでは、このような画像歪みは、実質的に平らな小さい厚さの線形経路に沿って凝固エネルギーが入射するので、最小化または除去される。たとえば、その長さ(x軸)に沿った特定の位置にて幅(y軸)方向に凝固基板68が横断されるので、経路は実質的に平坦である。
【0079】
図7〜
図13を参照して、3次元線形凝固装置を作製するための装置の代替的な実施例が示される。同様の符号は、上記の実施例における同様の部分を指す。装置は、凝固基板アセンブリ62と線形凝固装置88とを含む。線形凝固装置88は、同じ構成要素を含むとともに
図3〜
図6について上述したのと同じ態様で動作する線形走査装置である。しかしながら、凝固基板アセンブリ62が異なるように構成される。この実施例では、凝固基板68は、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向において、線形凝固装置88が同じ方向に移動する際に、凝固可能材料に亘って移動する移動基板アセンブリ212の部分として設けられる。
図3〜
図6の実施例では、対照的に、凝固基板68は静止したままである。さらに、
図7〜
図13の実施例は、膜アセンブリ205を含む。膜アセンブリ205は、凝固基板68が移動しても静止したままである。膜アセンブリ205は、(
図7および
図8には示されない)膜224を含む。膜224は、高さ(z軸)方向において凝固基板68の下に位置決めされる。凝固可能材料は、膜224の下に配置されるとともに、
図3〜
図6におけるように凝固基板68に直接的に接触して凝固する代わりに膜224に接触して凝固する。
【0080】
図1〜
図6の実施例と同様に、
図7〜
図13の実施例においては、選択的に透明または不透明にされ得る変動可能に透明な画像化要素(たとえば、LCDまたは透明なOLED)のマトリックスを有する柔軟な膜マスクが線形走査装置の代わりに設けられ得、これにより、連続的に凝固エネルギーを凝固エネルギー源90から回転エネルギーデフレクタ92まで供給しながらy軸方向に凝固可能材料に凝固エネルギーが選択的に提供されることを可能にする。一例では、柔軟な膜は、剛性または半剛性の凝固基板68の上部に設けられており、基板68が凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿って移動する際にそれとともに移動する。
【0081】
図9A〜
図9Cにおいてもっともよく見られるように、膜アセンブリ205は、
図9A〜
図9Cの実施例において内側フレーム206および外側フレーム220を含む1つ以上のフレームを含む。(ブラケット238bが取り除かれた)
図10に示されるように、膜224は、内側フレーム206の内部に配置される中心部分(
図9C)を有する。膜224はさらに、内側フレーム206の下側エッジ238と外側フレーム220の下側エッジ236との間に配置される内側周辺部分を有する。膜224の外側周辺部分は、内側フレーム206上に形成される外方向突出リップ230と、外側フレーム220上に形成される上面234との間に挟まれる。膜224は、好ましくはピンと張るように伸ばされ、その中心部分は剛性または半剛性の凝固基板68の下に位置決めされる。物体構築動作の間の使用の際、基板68が長さ(x軸)方向に移動すると、剛性または半剛性の凝固基板68が下方への力を膜224に適用し、凝固可能材料の露出面を平坦化することを補助する。
【0082】
膜224は、好ましくはエチレン不飽和ハロゲン化モノマーから形成されるホモポリマーまたはコポリマーである。フルオロポリマーが好ましい。保護膜224のための好適な材料の例は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、および変性フルオロアルコキシ(MFAとしても知られる、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー)を含む。好適な膜224の材料の例は、Kynar(登録商標)の名称でArkema社によって販売されるPVDF膜、Halar(登録商標)の名称でSolvaySolexis社によって販売されるECTFE膜、Tefzel(登録商標)の名称でDuPont社によって販売されるETFE膜、Teflon(登録商標)−PFAの名前でDuPont社により販売されるPFA膜、およびNowofolの名称で販売されるMFA膜を含む。MFAおよびTeflon(登録商標)膜が好ましい。
【0083】
図7にもっともよく示されるように、モータ76がまた設けられるとともに、線形凝固装置88に動作可能に接続される。しかしながら、モータ76は、モータ76にエネルギーが与えられると、シャフト78が回転し、線形凝固装置88および凝固基板68が長さ(x軸)方向に平行移動するように凝固基板68にも動作可能に接続される。
【0084】
図11は、移動基板アセンブリ212の斜視図である。
図7、
図8および
図11に示されるように、ブラケット238aおよび238bの対は、剛性または半剛性の凝固基板68をタイミングベルト86aおよび86bに接続する。ブラケット238aおよび238bは凝固基板68の幅(y軸)すなわち走査軸方向に亘って互いに間隔を空けている。各ブラケット238aおよび238bは、それぞれの鉛直パネル250aおよび250bと、それぞれの水平パネル214aおよび214bとを含む(
図11)。鉛直パネル250aおよび250bは各々、剛性または半剛性の凝固基板68のそれぞれの端部と、それぞれの水平パネル214aおよび214bとに接続される。鉛直パネル250aおよび250bは別個に形成され、次いでそれぞれの水平パネル214aおよび214bに接続されてもよく、またはそれと一体的に形成されてもよい。剛性または半剛性の凝固基板68は好ましくはガラスまたはハードプラスチックから形成される。一例では、基板68は、剛性または半剛性の透明なアクリルポリマーから形成される。剛性または半剛性の凝固基板68は、線形凝固装置88に面する第1の上面268と、膜224および凝固可能材料に面する第2の下面272とを含む。
【0085】
タイミングベルト86aおよび86bは、固定フレーム64、膜アセンブリ205、および膜アセンブリ205の下に存在する凝固可能材料の構築エンベロープ(全露出可能エリア)に対して長さ(x軸)方向に、剛性または半剛性の凝固基板68を第1の位置から第2の位置へ移動するよう用いられる。タイミングベルト86aおよび86bは、一端部にてそれぞれのプーリ82aおよび82bに接続されるとともに、別の端部にてモータ駆動シャフト78のそれぞれの端部80aおよび80bに接続される(
図7)。
【0086】
図7および
図8にもっともよく示されるように、移動基板アセンブリブラケット238aおよび238bは、水平パネル214aおよび214bの上面上のそれらのそれぞれのタイミングベルト86aおよび86bと、水平パネル214aおよび214bの下面上のそれぞれの線形軸受110aおよび110b(
図8に示される)とに接続される。線形軸受110aおよび110bは、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸方向)に沿った剛性または半剛性の凝固基板68の摺動移動を促進するよう、対応する線形レール112aおよび112bに摺動可能に係合する。したがって、モータ76が動作すると、各ブラケット238aおよび238bはそのそれぞれの線形レール112aおよび112bに沿って摺動し、剛性または半剛性の凝固基板68が凝固基板アセンブリ62の長さL(x軸方向)に沿って移動する。
【0087】
図9A〜
図9Cにおいてもっともよく示されるように、一例では、膜アセンブリ205の外側フレーム220は、協働可能に内側フレーム206に係合するよう形状決めされた一般的に剛性かつ矩形状の構造である。内側フレーム206は、内側フレーム206の周辺部の周りに外方向に突出する上リップ230(
図10および
図13)を含む一般的に剛性かつ矩形状の構造である。外側フレーム220は、上リップ230の下に嵌まる。ある例では、リップ230の外側エッジと、外側フレーム220の外側周辺部とは、実質的に互いに面一であり、
図10に示されるように実質的に連続的な外面を規定する。
【0088】
図10を参照して、外側フレーム220および内側フレーム206は好ましくは、フレーム間ギャップG
2および内側フレーム206のリップ230と外側フレーム220の最上面234との間のエリアを通る樹脂の漏れの可能性を最小限にするよう固定される。このような漏れを最小限にするまたは除去するさまざまな方法が提供され得る。一例では、
図10に示されるように、膜224は、内側フレーム206と外側フレーム220との間で伸ばされるので、膜224の内側周辺部分はギャップG
2内に位置され、膜224の外側周辺部分は、内側フレームリップ230と外側フレーム220の最上面との間に挟まれる。さらに、上リップ230の上面上に形成される貫通穴216(
図9A)は、外側フレーム220の上面に形成される相補的な穴222(
図9A)と整列可能であり、ねじ、ボルトなどといった締結具が外側フレーム220を内側フレーム206に固定することを可能にする。したがってある例では、締結具は、内側フレームリップ230と外側フレーム220の最上面との間のエリアにおける漏れの量を最小限にするよう選択される。他の例では、ギャップG
2の部分は、硬化樹脂のような好適な樹脂ブロック剤で充填されてもよい。好適な硬化樹脂は、シリコーンおよびエポキシを含む。
【0089】
膜224、外側フレーム220、および内側フレーム206は一緒に、固定フレーム64に固定可能な膜アセンブリ205を規定する。ある実施例では、膜アセンブリ205は膜224に対するストレスにより周期的に交換されることになると考えられる。したがって、膜アセンブリ205は好ましくは、膜アセンブリ205の交換を容易にするよう固定フレーム64に解放可能に固定される。
【0090】
ある実施例では、膜224は、膜224と剛性または半剛性の凝固基板68との間の真空形成の可能性を低減または最小限にする緩和エリアを提供するよう構成される。このような実施例では、膜224の一部は、(剛性または半剛性の凝固基板68に面する)その上面においてマイクロテクスチャまたは溝によって規定される緩和エリア(図示せず)を含む。緩和エリアは、剛性または半剛性の凝固基板68の下に存在するとともに、さらに剛性または半剛性の凝固基板68の周辺部を超えて好ましくは幅(y軸)方向に延在する。ある例では、膜アセンブリ205は、剛性または半剛性の凝固基板68(y軸方向における)の幅よりも長いy軸方向(
図7)における幅を有する。
図10に示されるように、幅の変化により、剛性または半剛性の凝固基板68のエッジと内側フレーム206の内面との間にギャップG
1が作り出され、雰囲気から剛性または半剛性の凝固基板68の下に存在するとともにそれとは反対に向く膜224の緩和エリアの部分までの漏れ経路232が作り出され、これにより膜224と剛性または半剛性の凝固基板68との間の真空形成の可能性を最小限にする。
図10の実施例では、ギャップG
1は大気から、概してz方向(すなわち構築台43の移動の方向と膜224の表面エリアとに実質的に平行)にある膜緩和エリアへの漏れ経路を作り出す。しかしながら、概してx−y面における漏れ経路のような他の漏れ経路の方位も可能である。膜アセンブリ205は、フレーム64および内側フレーム206の外方向突出リップ230に接続される締結具を介して固定フレーム64の下側に取り付けられる(
図10参照)。
【0091】
図7、
図8、
図12、および
図13を参照して、凝固基板アセンブリ62は、示される実施例では2つの膜剥離部材204aおよび204bである少なくとも1つの膜剥離部材を有する剥離部材アセンブリ208(
図8,
図12)を含む。膜剥離部材204aおよび204bは、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿って互いに間隔を空けるとともに剛性または半剛性の凝固基板68の対向する側同士の上に存在する一般的に細長い剛性の部材である。
【0092】
1つの好ましい実施例では、膜剥離部材204aおよび204bは、剛性または半剛性の凝固基板68に対して連係された態様で移動するよう剛性または半剛性の凝固基板68に動作可能に接続される。この移動を促進するための1つの例示的な装置が
図8および
図12に示される。各膜剥離部材204aおよび204bは、2つのブラケット210aおよび210bの反対の側に接続される。ブラケット210aおよび210bは、凝固基板アセンブリ62の幅(y軸)方向に沿って間隔を空ける一方、剥離部材204aおよび204bは、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿って間隔を空けている。
【0093】
ブラケット210aは、凝固基板アセンブリブラケット238aの水平パネル214aに形成される相補的なコネクタ240aおよび248a(
図11)への接続のために構成されるコネクタ252aおよび254a(
図12)を有する上面を有する。これに対応して、ブラケット210bは、凝固基板アセンブリブラケット210bの水平パネル214bに形成される相補的なコネクタ240bおよび248b(
図11)への接続のために構成されるコネクタ252bおよび254b(
図12)を有する上面を有する。コネクタ252a/bおよび254a/bは、雄もしくは雌であって、ねじ切りされてもよくまたはねじ切りされていなくてもよい。同様に、相補的なコネクタ240a/248bおよび240b/248bは、雄もしくは雌であって、ねじ切りされてもよくまたはねじ切りされていなくてもよい。
図12では、コネクタ252a/bおよび254a/bは、対応する雌コネクタ(たとえば、ねじ切りされたまたはねじ切りされていない穴)240a/bおよび248a/bへの挿入に好適な雄コネクタである。
【0094】
ブラケット210a/bと238a/bとの間の接続により、膜剥離部材204aおよび204bは、剛性または半剛性の凝固基板68が凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿って移動する際に、剛性または半剛性の凝固基板68と協調して移動することが可能になる。剥離部材204aおよび204bは、好ましくは、剛性または半剛性の凝固基板68に対して、固定された距離で維持される。
図13においてもっともよく示されるように、剛性または半剛性の凝固基板アセンブリ62は好ましくは、剛性または半剛性の凝固基板68の上面268を膜アセンブリ205の内側フレーム206および外側フレーム220の下に維持するよう構成される。剛性または半剛性の凝固基板68の下面272は、膜224に当接係合しており、これにより凝固エネルギーが供給される凝固可能材料の実質的に平坦な面が作り出されることを促進する。
図13に示されるように、膜224の内側周辺部分は、剛性または半剛性の凝固基板68の最低面272の高さよりも高い高さにて、膜アセンブリ205に接続される。したがって、剛性または半剛性の凝固基板68の最低面272に係合する膜224の部分は、内側膜フレーム206および外側膜フレーム220によって規定される膜フレームアセンブリ205の下にあるままである。
図13にもっともよく示されるように、膜アセンブリ205は、固定フレーム64と内側フレーム206の外方向突出リップ230とに接続される締結具280(
図13ではそのうちの1つのみが示される)を介して、固定フレーム64の下側に取り付けられる。
【0095】
図13を再び参照して、剛性または半剛性の凝固基板68は好ましくはさらに、面取りされたエッジ266を有する。基板上面268は、内側膜フレーム206および外側膜フレーム220に近接して位置決めされており、基板下面272と、内側膜フレーム206および外膜フレーム220との間に配置される。図に示されるように、ある例では、基板上面268は、基板下面272の表面エリアよりも大きい表面エリアを有する。面取りされたエッジ266と、下面272の表面エリアよりも大きい表面エリアを有する上面268との使用により、基板68が膜224とフレーム206および220とに対して移動する際に膜224に沿って摺動する基板68の能力が向上する。
図13に示されるように、断面で見ると、下面272は、面取りされたエッジ266の内側に配置される実質的に平坦な領域264を有する。
【0096】
エッジ266のような面取りされたエッジを含むある実施例では、湾曲した基板形状が引き起こし得る画像の歪みの可能性を低減するよう段差が取られる。
図13の実施例では、線形凝固装置は好ましくは、このような歪みを回避するよう、面取りされたエッジ266の内側に位置決めされる。したがって、
図13の例では、凝固エネルギーは、実質的に平坦な面270によって受け取られ、実質的に平坦な下面272から送られる。ある好ましい例では、凝固エネルギーは、面取りされたエッジ266から膜224の下の凝固可能材料に送られない。
【0097】
図1〜
図4では、3次元物体は、構築台43を樹脂容器48(
図2)の中へと漸進的に下方向に移動することにより、鉛直方向上方(z軸)に漸進的に構築される。しかしながら、他の構築方位および方向が用いられてもよい。
図19〜
図20は、3次元物体316を凝固可能材料302から作製するための別のシステム350を示す。
図2は、剛性または半剛性の凝固基板68に対して一方の位置にある構築台354を有するシステム350を示す。
図19では、最近凝固した材料が剛性または半剛性の凝固基板68に付着している。凝固可能材料352は、
図1〜
図4の実施例について上述したタイプの凝固可能材料である。システム350では、構築台354は、昇降機358に取り付けられる支持部356上に懸架される。昇降機358は、物体構築動作の間に鉛直方向上方に構築台354を漸進的に移動する。
【0098】
線形凝固装置88は、剛性または半剛性の凝固基板68の下に位置決めされており、凝固可能材料352を凝固するよう長さ(x軸)方向に移動する。
図20Aにもっともよく示されるように、線形凝固装置88は、以前の実施例と実質的に同じ態様で構成される。しかしながら、線形凝固装置88は、前述の実施例に対して鉛直方向(z軸)において反対の方向に方向付けされており、LEDアレイまたはレーザ走査マイクロミラーを有するレーザダイオードとしても実施されてもよい。したがって、レンズ98は鉛直方向(z軸)において回転エネルギーデフレクタ92の上に配置されており、鉛直方向(z軸)において光開口部100(
図5aおよび
図5b)の下に配置されている。
図20Aでは、好ましくはレーザダイオードである凝固エネルギー源90は示されていない。しかしながら、凝固エネルギー源90は、回転エネルギーデフレクタ92が回転する際に、回転エネルギーデフレクタ92に向かってy−z面に凝固エネルギーを方向付けするよう位置決めされる。したがって、線形凝固装置88がx方向に平行移動すると、凝固エネルギーは漸進的にy軸方向に走査され、(所与のx軸位置での3次元物体の形状によって決定づけられるように)概して好ましくは実質的に線形の走査経路に沿ったある位置を選択的に凝固する。凝固可能材料上の所与のy軸位置が凝固エネルギーを受け取ることになるかどうかは、凝固エネルギー光源に光学的に連通しているファセット94a〜94fがそのy軸位置に対応する回転位置に到達する際に、凝固エネルギー源90によって凝固エネルギーが供給されているかどうかに依存する。
【0099】
線形凝固装置88を移動するための装置は、上記の実施例に記載されたものに類似している。一例では、線形スライドの対が、筐体360の水平上面の下側から懸架される。線形凝固装置88における光開口部100のいずれかの側の上のコネクタは、レール上を摺動する線形軸受に線形凝固装置88を接続する。モータ76のようなモータには、線形凝固装置88を長さ(x軸)方向に摺動するよう、シャフト、タイミングベルト、およびプーリアセンブリが設けられる。
【0100】
図1〜
図4の実施例とは異なり、物体構築プロセスの間に構築台356が浸される凝固可能材料の容器が存在しない。その代わり、凝固可能材料は、上述した膜アセンブリ205によって規定される構築トレー内に周期的に供給される。
図20Aでは、膜224(図示せず)は、剛性または半剛性の凝固基板68の上かつ構築台356の下に位置決めされる。膜224、内側フレーム206、および外側フレーム220はともに、凝固可能材料を保持する浅い槽を規定する。剛性および半剛性の凝固基板68は、剛性または半剛性の凝固基板の周辺部分が筐体360(
図19)内で静止するように、膜224を支持するとともに膜224の下に位置決めされる。筐体360の上面における開口部362が、線形凝固装置88と凝固可能材料352との間の光学経路を提供する。物体が構築される際に、凝固可能材料352は凝固されるととともに物体366に付着し(
図19)、これにより槽における凝固可能材料352の量が減少する。レベル検出器361は、槽における液のレベルを決定するよう、光を照射するとともに戻り光を感知する。選択されたしきい値をレベルが下回るほど低下した場合、付加的な凝固可能材料が(示されていない装置を用いて)槽の中に提供される。
【0101】
図20B〜
図20Dを参照して、3次元物体を作製するためのシステム350の代替的なバージョンの部分が示される。
図20Bおよび
図20Cは、
図20Aのシステム350において用いられてもよいワークテーブルアセンブリ369を示す。システム350はさらに、上述したように実施されてもよい線形凝固装置88を含む。カバー400がさらに、オプティックスと凝固エネルギー源とを線形凝固装置88に封入するよう設けられてもよい。
【0102】
示される例に従うと、システム350は、凝固エネルギーが第2の(y軸)方向に送られる際に第1の(x軸)方向に移動する線形凝固エネルギー装置88を含む。さらに、凝固基板388は、線形凝固装置88が第1の(x軸)方向に進行する際に、第1の(x軸)方向に進行する。3次元物体は、物体構築プロセスの間、鉛直(z軸)方向において逆さまに漸進的に構築される。
【0103】
図20Bのワークテーブルアセンブリ369は、ワークテーブル370と、膜アセンブリ205および凝固基板388を含む凝固基板アセンブリ371とを含む。システム350はさらに、キャリッジ372と剥離部材374aおよび374bとを含む。キャリッジ372は、x軸方向において線形凝固装置88を支持および平行移動するよう用いられる。剥離部材374aおよび374bは、凝固された3次元物体から膜アセンブリ205の膜224を分離するよう用いられる。膜アセンブリ205は、凝固可能材料を保持するための槽または貯蔵部として作用する。レベルセンサ361は、所望のレベルを維持する必要がある際に凝固可能材料が追加され得るように膜アセンブリ205に保持される凝固可能材料のレベルを検出するよう設けられる。
【0104】
ワークテーブル370は、膜アセンブリ205が配置される開口部376を含む。膜アセンブリ205は、ワークテーブルアセンブリからの膜アセンブリ205の除去および/または交換を容易にするよう、x軸方向に互いに間隔を空けているハンドル378aおよび378bをさらに含んでもよい。カムラッチ386aおよび386bは、ワークテーブル開口部376において適切な位置に膜アセンブリ205を解放可能にロックするようy軸方向において互いに間隔を置いている。
【0105】
図20B〜
図20Dの凝固基板388は、剛性または半剛性であり、好ましくは、その長さ軸が凝固エネルギー走査軸(y軸)方向に方位付けされた部分的な円柱(完全な円柱の円周の半円柱またはそれ以下)として形成される。ある好ましい例では、凝固エネルギーは、基板388に沿った実質的に固定された円周位置にて凝固基板388の長さを横断する。膜アセンブリ205、線形凝固装置88、および基板388の部分の拡大断面視図が
図20Dに示される。この図に示されるように、凝固基板388は、基板388が線形凝固装置88に対して凹状になるようにキャリッジ372内の開口部に配置される。基板388は、内半径を規定する内面と、外半径を規定する外面とを有しており、外半径は内半径よりも大きい。線形凝固装置88は、基板388の内面が、線形凝固装置88と基板388の外面の間に存在するように位置決めされる。
【0106】
凝固基板388は、少なくともその一部がキャリッジ372の上面から鉛直(z軸)方向に離れるよう突出するように位置決めされる。凝固基板388は、キャリッジ372から(他の円周方向位置と比較して)もっとも離れた距離だけ間隔を空けた、基板388の円周方向位置である頂部389を有する。ある好ましい例では、線形凝固装置88は、凝固エネルギーが基板388の長さに沿って実質的に頂部389にて選択的に照射されるように位置決めされる。ある例では、筐体開口部100(
図5B)は、頂部389のx軸位置と実質的に同じx軸位置にて、凝固基板388の長さに平行に方位付けされる。
【0107】
凝固基板388は好ましくは、半透明および/もしくは透明のガラスまたはプラスチックから形成される。ある好ましい例では、基板388は、約0.2インチ(5.1mm)〜約0.8インチ(20.3mm)、好ましくは約0.4インチ(10.2mm)〜約0.6インチ(15.2mm)、さらにより好ましくは約0.5インチ(12.7mm)の範囲である曲率半径を有する。同じまたは他の好ましい例では、凝固基板388は、約0.5mm〜約3.5mm、好ましくは約0.6mm〜3.0mm、さらに好ましくは約1.5mm〜約2.5mmの範囲である厚さを有する。一例では、この厚さは約2.0mmである。
【0108】
図20Dを再び参照して、(上述したように構成される)膜アセンブリ205は、鉛直(z軸)方向においてキャリッジ372および凝固基板388の上に存在する。湾曲した凝固基板388の使用により、基板388と膜224との間の接触部の表面エリアが低減され、これにより、基板388が膜224に対してx軸方向に進行する際に基板388と膜224との間の摩擦が低減される。
【0109】
ある例では、物体構築動作の間、構築台356(
図20A)または物体のもっとも最近凝固した下方を向いた面が、物体のもっとも最近凝固した下方を向いた面と凝固基板との間に所望の間隔が得られるまで、(凝固可能材料槽または貯蔵部として作用する)膜アセンブリ205において保持されるある体積の凝固可能材料に浸される。浸している間、圧力による力が構築され、何らかの量の凝固可能材料が横方向に物体から離れさせられるかまたは離れるように絞り出される。平坦な凝固基板の場合、圧力による力は、望ましくないほど高くなり得るとともに、3次元物体を歪ませ得る。湾曲した凝固基板388はこのような圧力による力を低減する。
【0110】
線形凝固装置88は、前述の実施例においてと同様に動作される。モータ382aおよび随意のモータ382bは、装置88をx軸方向に平行移動するように線形凝固装置88に動作可能に接続される。ある例では、モータ382aおよび382bは、以下に論じられるように、x軸方向における線形距離に相関され得るとともに、物体ストリップデータを規定するよう用いられ得るモータ「ステップ」の単位で作動されるステッパモータである。
【0111】
キャリッジ372は、走査(y軸)方向に互いに間隔を空けている2つの雄ネジ切りされたシャフト380aおよび380bに動作可能に接続される。シャフト380aおよび380bは、ブラケット396aおよび397a(シャフト380a)とブラケット396bおよび397b(シャフト380b)によって、ワークテーブル370に支持および取り付けられる。キャリッジ372は、対応する雌ねじ切りされたナット384aおよび384bによって、ねじ切りされたシャフト380aおよび380bに接続される。モータ382a(および随意には、モータ382b)の活性化により、これらのシャフトが(x軸方向に方位付けされる)それらの長手方向軸について回転する。シャフト380aおよび380bが回転すると、雌ナットねじ山との雄シャフトねじ山の係合により、キャリッジ372がx軸方向に平行移動する。システム350は、線形凝固装置88のx軸位置が確実に初期化されることを可能にするよう、
図16(b)に示される進行端部センサ346のような進行端部センサを含んでもよい。
【0112】
キャリッジ372は、雌ねじ切りされたナット384a,384bとシャフト380aおよび380bとによって鉛直(z軸)方向に支持される。線形軸受402aおよび402bは、キャリッジ372の鉛直方向の上方(z軸)を向いた面に取り付けられており、ワークテーブル370の下側(z軸方向における下方を向いた面)上に形成されるレール404aおよび404bに摺動可能に係合する。
【0113】
上で示されるように、モータ382bは随意である。ある場合では、単一のモータ382aのみが必要である。プーリ390aおよび390bは、雄ねじ切りされたシャフト380aおよび380bの遠位端上に設けられる。タイミングベルト394は、雄ねじ切りされたシャフト380aがその長手方向軸について回転すると、プーリ390aがその中心軸について回転し、タイミングベルト394が循環を始めるようにプーリ390aおよび390bを係合する。次いで、タイミングベルト394の循環により、プーリ390bがその中心軸について回転し、これに次いで、雄ねじ切りされたシャフト380bがその長手方向軸について回転する。雄ねじ切りされたシャフト380bの回転により、雄ねじ切りされたシャフト380bおよび雌ねじ切りされたナット384bの係合によってキャリッジ372の対応する側がx軸方向に平行移動する。また、タイミングベルト394の所望の引張力を維持するようにテンショナ393が設けられてもよい。随意のモータ324bが設けられる場合、タイミングベルト394は除去されてもよい。
【0114】
図20Dにもっともよく示されるように、凝固基板388の位置は、キャリッジ372の上面および線形凝固装置88から離れるように、膜アセンブリ205の膜224の部分を鉛直方向(z軸)上方向に促す。剥離部材374aおよび374bは、キャリッジ372に動作可能に接続されており、凝固基板388のそれぞれの側上でx軸方向に沿って互いに間隔を空けている。膜224は、剥離部材374a,374bとキャリッジ372の上面との間に位置決めされる。凝固可能材料は、基板頂部389の位置にて凝固される際、膜224に接触して凝固するとともに膜224に付着する傾向がある。キャリッジ372がx軸方向に移動すると、膜剥離部材374aおよび374bは、同じ方向に移動し、凝固した物体から離れるように鉛直方向下方向(z軸)に膜224を引っ張る。ブラケット399a(図示せず)および399bは、剥離部材374aおよび374bに接続され、膜アセンブリ205の中に位置決めされる。また、ブラケット399aおよび399bは、キャリッジ372がx軸方向に平行移動するとキャリッジ372とともに平行移動するようキャリッジ372に接続される。したがって、システム350は、線形凝固装置88と膜剥離部材374aおよび374bとをx軸方向に平行移動しながら、走査(y軸)方向において選択的に材料を凝固する。
【0115】
膜アセンブリ205を用いる代わりに、
図19および
図20A〜
図20Dの3次元物体を作製するためのシステム350は、ポリマー材料から形成される槽を用いてもよい。一例では、透明な弾性のある底部と弾性のある側壁とを含む槽が用いられる。ある実現例では、透明な弾性のある底部と弾性のない側壁との両方が、同じまたは異なるシリコーンポリマーから形成される。別の実現例では、弾性のないアクリル側壁と弾性のあるシリコーン底部とを含む槽が用いられる。別の例では、槽の底部は、弾性があるかまたは可塑的に変形可能なポリマー材料から形成される側壁に接続される剛性または半剛性の透明な凝固基板68によって規定される。さらに別の例では、基板68は、シリコーンのような弾性透明材料でコーティングされてもよい。この弾性透明材料は、側壁までの経路の一部のみ延在し、コーティングの周りおよびコーティングと側壁との間に周辺ギャップを残す。さらに別の例では、基板68は、側壁までの経路のすべて延在する弾性のある透明材料でコーティングされてもよい。ある例では、凝固した凝固可能材料を槽の底部から剥離するよう構築台356に対して槽を傾斜する傾斜機構が設けられてもよい。また、透明な弾性のない膜のような弾性のない材料が、弾性のある底部の上部上のレイヤーとして、弾性のある底部と構築台356との間に設けられてもよい。
【0116】
以前の実施例と同様に、物体構築プロセスの間、凝固可能材料352は膜224に接触して凝固する。これにより、物体366が上方向(z軸方向)に筐体360から離れるように引っ張られると、膜224が伸びる。したがって、構築台354の移動は好ましくは、膜224および/または物体366の損傷を防止するよう制御される。
【0117】
図19および
図20A〜
図20Dの実施例において、選択的に透明または不透明にされ得る変動可能に透明な画像化要素(たとえば、LCDまたは透明なOLED)のマトリックスを有する柔軟な膜マスクが設けられ得、これにより、連続的に凝固エネルギーを凝固エネルギー源90から回転エネルギーデフレクタ92まで供給しながらy軸方向に凝固エネルギーが選択的に提供されることを可能にする。一例では、柔軟な膜マスクが、剛性または半剛性の凝固基板68の上部上に設けられる。凝固エネルギー装置88は、
図5A〜
図5Cに示されるように実施されてもよい。さらに、回転エネルギーデフレクタ92は、レーザ走査マイクロミラーと置換されてもよい。
【0118】
本願明細書において記載される3次元物体製造プロセスおよび装置のある実現例に従うと、線形凝固装置88の作動を制御するために用いるための物体データを示す方法が
図14〜
図16(g)に示される。物体データを生成するよう用いられる典型的なファイルタイプは、STL(ステレオリソグラフィ(Stereo Lithography))ファイルまたは他のCAD(コンピュータ支援ドラフティング(Computer Aided Drafting))ファイルを含む。これらのファイルは一般的にラピッドプロトタイピングシステムのために、SLC、CLIスライスデータファイル、またはBMP、PNGなどのデータフォーマットを含み得るボクセルデータファイルといったフォーマットに変換される。しかしながら、任意のデータ入力タイプが用いられてもよく、線形凝固装置88が用いる画像データを作製するよう内部で変換されてもよい。物体データは、線形凝固装置88によって供給されたエネルギーパターンに対応しており、制御部または外部の源もしくは装置(たとえば、ネットワークもしくは記憶装置)によって生成されてもよい。
【0119】
例示的な3次元物体として、単純な円柱300が
図14に示される。円柱上または中の位置は、示されるように、x軸、y軸、およびz軸によって特徴付けられ得る。ある線形凝固装置の実現例では、特定のx,y位置にて供給される凝固エネルギーの強度および期間は変動され得ない。結果として、凝固エネルギーを受け取るx,y面におけるそれらの位置は、実質的に同じ深さまで凝固する。このような実現例では、3次元物体のコンピュータ表現が構築軸(z軸)方向において複数のセクションを作り出すようスライスされるデータ「スライス」動作を行うことが有用であり得る。上記複数のセクションの各々は、x−y面に亘ってすべての点において均一な深さを示す。このような各セクションは、物体レイヤーデータセットに数学的に対応するか、または物体レイヤーデータセットによって示されてもよい。このようなスライスの1つの例示的な例示が
図15に図解で示される。
図15に示されるように、物体300のデータ表現はさらに、複数の構築軸(z軸)スライス302
iとして示され得る。スライスnの合計数は、線形凝固装置88によって与えられる凝固の深さで除算された、構築された際の物体の高さに実質的に等しい。スライス302
iは、各レイヤーがその輪郭を示すx,y座標と、構築軸に沿ったその位置を示すz軸値とによって規定される物体レイヤーデータセットであると数学的に示され得、隣接するスライス同士の間のΔz値はレイヤーの厚さを示す。
【0120】
各物体レイヤーデータセットは、走査軸(y軸)方向に沿った長さと、x軸方向に沿った幅とを有する複数のストリップとして図解で示され得る。ストリップは、x軸方向に沿って幅方向に配される。
図16(a)を参照して、個々の物体データスライス302
iの図解的表現の鉛直(z軸)方向に沿った図が提供される。個々のスライス302
iは、m個のストリップとして示される複数の隣接するストリップ304
jとして示され得る。破線はデータ表現の部分ではないが、ストリップ304
jによって規定される概して円形の形状を示すよう提供されている。
図16の例では、ストリップは、線形凝固装置88の移動の方向に対応する幅(x軸)と、線形凝固装置88の移動の方向以外の方向に対応する長さ(y軸)とを有する。
図16(a)の特定の例では、ストリップの長さ方向は、実質的にx軸方向に垂直である。
【0121】
各ストリップ304
jは、所与のx軸位置についてのy軸方向において凝固することになる凝固可能材料の位置の(好ましくはコンピュータプロセッサによって可読な形態で提供される)データ表現を図解的に示す。それらの位置はさらに、
図16(b)の走査軸境界344と、x軸境界343および345といった構築エンベロープ境界に対して規定されてもよい。制御部(図示せず)は、たとえば、x軸方向における線形凝固装置88の位置によって示されるように、x軸方向における凝固エネルギーの位置を示すデータを受け取る。制御部はさらにデータ表現(ストリップ304
j)を受け取るとともに、凝固可能材料の露出面内に規定される構築エンベロープ342におけるx軸位置に各ストリップ304
jを直接的または間接的に関連付ける。したがって、データ表現上のストリップ内の位置は、凝固可能材料の露出面上の位置に対応する。
【0122】
図16(a)では、x
0は、凝固が始まることになる線形凝固装置88の位置に対応する。増分x
1−x
0は、線形凝固装置88によって与えられる、x軸方向における凝固の幅を示す。したがって、線形凝固装置が位置x
0にある場合、凝固エネルギー源90は、凝固エネルギー源90が光学的に連通するファセット94a〜96fが、x
0とx
1との間に規定されるストリップが存在する構築エンベロープ342におけるy軸位置に対応する回転位置を有する際に、凝固エネルギーを供給することになる。
図5A〜
図5Cの示された実施例では、回転エネルギーデフレクタ92の1つのファセット94(a)〜94(f)の長さは、構築エンベロープ342の最大の走査可能y軸寸法、すなわちy軸方向における凝固の最大長さに対応する。しかしながら、任意の個々のストリップ304
jは、最大走査可能y軸構築エンベロープ寸法よりも小さいy軸凝固長さに対応してもよい。
【0123】
線形凝固装置88は、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿って移動すると、各ストリップ304
jに対応する凝固可能材料の領域を凝固することになる。各x軸位置は、特定のストリップ304
jに対応する。ある実施例では、線形エンコーダが、線形凝固装置88のx軸位置を決定するようモータ76および/またはモータシャフト78に動作可能に接続される。
【0124】
図16(a)において図解的に示される物体レイヤーデータは、
図16(c)に示されるように、構築エンベロープ342上にマッピングされてもよい。各ストリップ304
jは、x座標(またはx座標の対)と、特定のx軸位置での凝固の領域を規定する1つ以上のy座標とによって規定されてもよい。
【0125】
ある例では、各ストリップ304
jは、ストリングデータの対応するセットによって示されてもよい。好ましい実施例では、ストリングデータのセットは、時間値のセットを含む。別の好ましい実施例では、ストリングデータのセットは、ストリング数nと時間値のセットとを含む。ある場合では、ストリング数nは、線形走査数に対応する。たとえば、上で記載された式(1)を用いて、線形走査(N
max)の最大値が、構築エンベロープ長Lについて計算されてもよく、各線形走査は、それに関連付けられる対応するストリングインデックス数を有することになる。任意の特定の物体レイヤーについて、x軸方向に沿った構築エンベロープ342の領域は凝固されなくてもよく、かつ走査されなくてもよい場合がある。それにもかかわらず、一意の線形走査がx軸方向に行われ得るすべての領域にはストリング数が割り当てられ得る。したがって、モータ76の所与の速度と、回転エネルギーデフレクタ92の所与の数のファセットFと、回転エネルギーデフレクタ92の所与の回転速度とについて、構築エンベロープ342内に最大数の線形走査N
maxと、対応する数のデータストリングのセットとが存在することになる。上記の対応する数のデータストリングのセットの各々は、任意の走査がその対応するx軸位置にて行われることになるかどうかに依存して、実際の走査データ(物体データ)をその中に有しても有さなくてもよい。
図16(c)の例では、13回の線形走査が、ストリップ304
jによって示される物体レイヤーを形成するのに用いられるとともに、各線形走査はnからn+12までの範囲の線形走査インデックスと、nからn+12までの範囲のストリングインデックスを有するストリングデータの一意のセットとに対応する。
【0126】
マイクロコントローラを含む典型的な制御システムは、凝固データが読み出される際の時間と、凝固エネルギー源90が活性化または非活性化のいずれかの状態に切り替えられる際の時間との間の遅延時間中に構築物を有することになる。この遅延時間は、変動可能であり得、構築中の3次元物体の寸法における誤差を引き起こし得る。一例では、マイクロコントローラには、約80ナノ秒以下、好ましくは約60ナノ秒以下、さらにより好ましくは約50ナノ秒以下の遅延時間を有する、本願明細書において開示される3次元物体を作製するためのシステムが設けられる。この部分誤差は、切替遅延時間に以下のように関連付けられ得る。
【0127】
(3a) 誤差=(L
BE)(RPM)(F)(t
toggle lag)/(60秒/分)(0.001mm/μm)
式中、
誤差は、切替遅延時間による部分寸法における最大変動(μm)であり、
LBEは、走査(y)軸方向における構築エンベロープ距離(mm)であり、
RPMは、回転エネルギーデフレクタ92の回転数(回転/分)であり、
Fは、回転エネルギーデフレクタ92上のファセットの数であり、
t
toggle lagは、マイクロプロセッサが凝固エネルギー源の状態を切り替えるのに必要な時間である。
【0128】
ある好ましい実現例では、上記の誤差は好ましくは、90μm以下であり、より好ましくは約90μm以下であり、さらに好ましくは約70μm以下であり、さらにより好ましくは約50μm以下である。
【0129】
図16(d)は、
図16(c)に示される物体ストリップに対応するストリングデータの例示的なセットを示す表を提供する。ストリングインデックスは構築エンベロープ342の左側境界(x
0)にてn=0で始まり、構築エンベロープ342の右側境界にて最大ストリングス数N
maxで終わる。したがって、ストリングデータのあるセットは、凝固が発生するx軸位置に対応しないので、それに関連付けられる物体データを有することはない。
図16(d)において、ストリングインデックスn=20の前には凝固は発生せず、ストリングインデックスn+12の後には凝固は発生しない。したがって、構築エンベロープ342内において凝固が発生しないx軸位置について、
図16(d)の表にはエントリは存在しない。
【0130】
図16(d)に示されるストリングデータの各セットは、8つのFの連なりによって16進法で示される開始コードを有する。左から右に、ストリングデータのセットについてのストリングインデックスnが隣接する。ストリングインデックスに従って、時間値の連なりが提供される。各時間値は、凝固源エネルギー付加状態イベントを示す。一例では、エネルギー付加状態はオンまたはオフである。時間値はさまざまな形態をとり得る。しかしながら1つの実現例では、時間値は、3次元物体を作製するためのシステムを動作するよう用いられるマイクロコントローラ部におけるCPUクロックの経過時間として規定される。一例では、CPUは、66MHzのクロック速度を有し、時間単位はCPUチックである。線走査速度が1秒当たり1000線である例では、走査軸(y軸方向)における各線の最大走査長さは66,000チックに対応する。したがって、n=20でのストリングデータのセットは、凝固エネルギー源90が22000チックで活性化され、44000チックで非活性化されることになることを示す。n=21でのストリングデータのセットは、凝固エネルギー源90が20000チックで活性化され、46000チックで非活性化されることになることを示す。好ましい実施例では、各線形走査の始めにリセットされる(マイクロコントローラ部にプログラムされるソフトウェアタイマーのような)タイマーが設けられるとともに、各線形走査の開始は、
図5Cのセンサ324を用いて上述した態様で構築エンベロープ走査軸境界344に同期される。したがってチックは、線走査動作がその時点では走査軸境界344にある、タイマーがリセットされるゼロ開始時間に対して規定される(
図16(b))。
【0131】
ある例では、ホストコンピュータはストリングデータのセットをマイクロコントローラ部に送信する。マイクロコントローラ部は、ストリングデータのセットのうちのいくつかが、それらが対応するx軸位置では凝固が発生しないためそれらに関連付けられる物体データ(たとえば、CPUチック値)を有していなくても、各可能な線形走査(すなわち0からN
max−1の範囲の各ストリング)のために、3次元物体を製造するためのシステムを動作する。この技術は用いられ得るが、凝固が発生しないx軸位置に対応するストリングデータのセットについてストリングデータを読み込むことに伴ってマイクロコントローラ部のプロセッサの容量を過度に消費する。したがって、ある例では、物体凝固データ(たとえば、CPUチック値)を含むストリングデータのセットのみがマイクロコントローラ部に送信される。このような場合では、0から送信するデータストリングのセットの最大数M
maxよりも1つ小さい値までの値を有するコンピュータメモリインデックスmを規定するのが簡便である。mは、マイクロコントローラ部に送信されるストリングデータの各セットを一意に識別する。
図16(d)の例では、ホストコンピュータによって全構築エンベロープ342について規定されるストリングデータのN
maxのセットの合計が存在する。しかしながら、13個のストリングデータのセットのみが任意の物体凝固データを含む。したがって、線形凝固装置88が
図16(c)において左から右に移動しているとすると、ホストコンピュータによってマイクロコントローラ部に送信されるストリングデータの第1のセットは、コンピュータメモリインデックスがm=0であり、ストリングインデックスnが20である。ストリングインデックスnの値は、構築エンベロープ342内におけるx軸に沿った特定の位置に対応する。しかしながら、コンピュータメモリインデックスmは必ずしもそのように対応しない。したがって、マイクロコントローラ部が読み出す必要があるのは、N
max−1のデータストリングのセットの代わりに13セットのデータストリングのセットのみである。
【0132】
ある場合では、回転エネルギーデフレクタ92を用いる線形凝固装置88は、走査(y軸)方向における線形走査速度の変動性に影響を受け得る。各ファセット94a〜94fは、凝固エネルギーが凝固可能材料と線形凝固装置88の筐体における開口部100とに垂直に偏向されることになる走査軸(すなわち「中心点」)に沿った位置に対応する回転位置を有することになる。中心点では、回転エネルギーデフレクタ92から凝固可能材料まで凝固エネルギーが進む距離は、中心点から離れた位置に対して最小になる。走査(y軸)方向において中心点から離れて位置する回転位置では、y軸方向における走査速度が中心点に近接しているところよりも早くなる。さらに当該速度は、中心点からの距離が増加すると増加することになる。回転エネルギーデフレクタ92について一定の回転数では、速度の増加は中心点からの距離に直接的に比例する。走査軸(y軸)位置の関数としてのこの変動可能な走査速度は、3次元物体における不正確性を作り出し得る。
【0133】
ある例では、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態をオンとオフとの間でいつ切り替えるべきかを決定するよう用いられるストリングデータは、走査軸速度の変動を構成するよう調節される。一実施例では、エネルギー付加状態(たとえば、
図16(d)、
図16(f)、および
図16(g)に例示されるようなCPUチックの数)における変化を示すストリングデータ値は、中心点からのそれらの対応する距離に基づき調節される。一実現例では、任意のストリングインデックス値nでのストリングデータは以下のように調節される。
【0134】
3(b) 新しいCPUチック=古いCPUチック+ΔCPUチック*C
式中、ΔCPUチックは、中心点CPUチックから古いCPUチックを減算することによって計算され、Cは無次元常数である。「中心点CPUチック」という変数は、凝固エネルギーが中心点に当たるCPUチックの数を指す。一般に、走査軸方向に沿った全走査線の中点に対応する。
【0135】
式3(b)はさらに、それらがCPUチックに変換される前に、線形距離での使用のために修正されてもよい。たとえば、
図15を参照して、3次元物体は、302iのような複数のスライスにスライスされ得る。iは1からスライスnの最大数の範囲である。
図16(c)に示されるように、所与のスライスが構築エリア上に照射され得る。各走査線304jは、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態が変化する走査軸方向に沿った基準位置(たとえば、y=y
0である境界344)に対する距離を規定する位置を有する。中心点も、同じ基準位置に対して規定されてもよい。x軸に沿った各位置について、エネルギー付加状態が変化する複数のy軸値(y
0の境界344に対する)が存在することになる。
図16(c)に示される各ストリップについて、エネルギー付加状態は2回変化する。したがって、x軸に沿った所与の位置について、凝固エネルギー源エネルギー付加状態が変化する各走査(y)軸値は、凝固エネルギー走査速度における走査(y)軸変化を以下のように構成するように修正され得る。
【0136】
3(c) y
new=y
old+(y
center point−y
old)*C
式中y
oldは、(数学的または図解的に)3次元物体のスライス302iを構築エンベロープ上に配置することにより決定されるようにエネルギー付加状態が変化するy軸基準位置に対するy軸位置(たとえば、
図16(c)における境界344)であり、
y
center pointは、y軸基準位置(たとえば、
図16(c)における境界344)に対する中心点の位置であり、
y
newは、エネルギー付加状態が変化する新しい修正されたy軸値であり、
Cは無次元常数である。
【0137】
次いで、y
newの値は、凝固についてストリングデータを規定するようCPUチックに変換されてもよい。
【0138】
無次元常数Cの値は、試行錯誤によって決定され得る。一例では、複数の線形のセクションが、走査(y)軸方向に実質的に垂直な方向、たとえば、x軸方向に沿って凝固される。当該線形のセクションが基づくストリングデータは、各線がその隣接する線から等しく間隔を空けるようなストリングデータである。ストリング(n)=(FFFFFF,n,10000,10500,11500,12000,22000,22500,32500,33000,43000,43500)を読み出すデータストリングの場合、各線形のセクションは、1000CPUチックに対応する走査軸厚さと、10000CPUチックに等しい、線形のセクション同士の間の等しい間隔とを有すると考えられることになる。走査速度が走査(y)軸方向に沿って変動する場合、実際の凝固した線形のセクションは、等しい量だけ間隔を空けていない。たとえば、走査速度が中心点に対して走査線の端部にてより速い場合、隣接する線形のセクション同士の間の間隔は、y軸に沿って中心点から離れるように(正または負のy軸方向のいずれかに)移動すると、増加することになる。Cは、任意の2つの隣接するストリングの間の距離の比を取る(および/もしくは隣接するストリング同士の比を平均化する)ことによって、またはCに対して調節を行うとともに線形のセクション同士の間の間隔が実質的に等しくなるまで凝固プロセスを繰り返すことによって計算され得る。
【0139】
したがって、3次元物体を作製する1つの方法において、(たとえば、
図15に示されるように)3次元物体が構築軸に沿って隣接するスライスへとスライスされる。次いで各スライスは、各々が走査方向(たとえば、y軸)に沿って延在する線形のストリップのセットに細分される。中心点は、回転エネルギーデフレクタ92によって偏向された凝固エネルギーと凝固可能材料との間の距離が最小である走査軸方向に沿った位置を決定することにより決定される。一変形例では、各ストリップは、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態が変化する(たとえば、構築エンベロープ境界またはCPUチック値に対する線形距離であってもよい)走査軸値のセットに変換される。各走査軸値は次いで、好ましくは走査軸に沿った走査軸値の位置と中心点との間の距離とともに変動する量だけ、たとえば式3(b)を用いることにより、走査軸に沿った走査速度の変化を構成するよう修正される。修正された走査軸値は次いで、凝固プロセスを行うようマイクロコントローラによって用いられる。別の変形例では、線形のストリップのセットは、CPUチックに変換され、次いで、たとえば式3(b)を用いることにより修正される。
【0140】
多くの3次元物体構築プロセスでは、同一であるので同一の物体レイヤーデータによって示され得るいくつかの隣接するレイヤーが存在することになる。
図16(e)を参照して、いくつかのレイヤーを形成するよう用いられてもよい物体レイヤーデータが図解形式で示される。ある場合では、x軸に沿って線形凝固装置88が左から右に移動している場合および右から左に移動している場合の両方において、線走査動作を行うことが好ましい。これは、物体がx軸方向の中線について対称的である場合には問題とならない。しかしながら、複数の同一の非対称的なレイヤーが形成される場合、マイクロコントローラ部は、線形凝固装置88が反対方向に移動している時に、反対の順にストリングデータセットを読み出さなければならない。たとえば、
図16(f)の表は、
図16(e)の物体レイヤーデータに対応するストリングデータの複数のセットを示す。線形凝固装置88を左から右に移動する際に、凝固が発生するストリングデータの第1のセットは、ストリングインデックスがn=20であり、コンピュータメモリインデックス値mが0である。凝固が発生するストリングデータの最後のセットはストリングインデックスがn=60である。線形凝固装置88は、方向を反転して右から左に進む際、コンピュータメモリインデックスm=0およびデータストリングインデックスn=20で始まる凝固を行うことができない。なぜならば、そのデータは、
図16(e)の右側ではなく左側について規定されたからである。したがって、このようなデータに基づき線走査動作を行うことにより、所望のパターンの反対であるパターンを凝固する。マイクロコントローラ部またはホストコンピュータは、左から右への動作について生成されるデータに基づき、右から左への方向についてのデータストリングの全セットを計算および格納し得る。しかしながら、この動作は、過度のメモリおよびプロセッサ容量を消費することになる。
【0141】
1つの動作方法では、隣接する同一なレイヤーのためのデータがホストコンピュータによって反転され、マイクロコントローラ部に送信される。当該方法に従うと、3次元物体を形成するのに用いられる凝固可能材料の第1(偶数)および第2(奇数)の隣接するレイヤーに対応する同一の3次元物体レイヤーデータが提供される。物体レイヤーデータは、それぞれの第1および第2の複数の物体断面ストリップに細分される。第1の複数の物体断面ストリップにおける各物体断面ストリップは、ストリップデータのセットと、第1の複数の物体断面ストリップにおいて0から最大インデックス値N
max−1までの範囲のストリップインデックス値n(偶数)とを有する。第2の複数の物体断面ストリップにおける各ストリップは、ストリップデータのセットと、対応するストリップインデックス値n(奇数)とを有しており、第2の複数の物体断面ストリップについてのn(奇数)の各それぞれの値に対応するストリップデータは、N
max−1からn(奇数)のそれぞれの値を引いたものに等しいストリングインデックス値n(偶数)に対応する第1の複数の物体断面ストリップについてのストリップデータに等しい。各奇数のレイヤーが凝固される際、ホストコンピュータは、各奇数のレイヤーデータストリングに対応する正しい偶数のレイヤーデータストリングを単純に識別し得るとともに、偶数のレイヤーデータストリングをマイクロコントローラに送信し得、これにより奇数のレイヤーデータストリングのセットを格納する必要性を回避する。この反転技術の使用により、反対方向に凝固される複数のレイヤーのためのデータが、1つのレイヤーについてのみ物体レイヤーデータを作り出し、かつ(反対のx軸方向に凝固されるレイヤーについて)それを反転するか、または同じ断面形状を有するその後のすべてのレイヤーについて(同じx軸方向において凝固されるレイヤーについて)それを用いることにより決定されることが可能になる。
【0142】
複数の物体レイヤーに対応する3次元物体データを格納するのに必要なコンピュータ可読媒体の記憶容量を低減するよう用いられる例示的な反転は、以下のように記載され得る。物体レイヤーデータの第1のセットがコンピュータ可読媒体上に格納される。物体レイヤーデータの第1のセットは、
図16(d)、
図16(f)、および
図16(g)に示されるもののようなデータストリングの第1のセットを含む。第1のセットにおける各データストリングは、d(0,m)として示され得る。0は、当該ストリングが第1のセットに属することを示し、mはストリングに対して一意であるコンピュータメモリインデックス値である。インデックス値mの範囲は、第1のデータストリングについての0からM
max(またはM
total)である。もっとも高いインデックス値は、(最初の値が0なので)M
max−1となる。
【0143】
プログラムが、物体レイヤーデータの第2のセットについてのデータストリングの第2のセットを計算するための命令とともに、(物体レイヤーデータの第1のセットが格納されるものと同じまたは異なってもよい)コンピュータ可読媒体上に格納される。物体データの第1および第2のセットが対応するレイヤーは好ましくは互いに隣接し、交互のレイヤー順序(第1のセット、第2のセット、第1のセット、第2のセットなど)を規定する。物体レイヤーデータの第2のセットについてのストリングデータは、物体レイヤーデータの第2のセットについてのストリングデータが、以下の式に従って物体データの第1のレイヤーのストリングデータに対応するように、以下の式を用いるかまたは式の任意のセットを用いて計算され得る。
【0144】
(4) d(1,m)=d(0,M
max−1−m)
式中、d(1,m)は、コンピュータメモリインデックスmの所与の値でのレイヤー1についてのストリングデータである。
【0145】
式(4)を用いて、ホストコンピュータは、1番目のレイヤーについての各データストリングに対応する0番目のレイヤーについてのデータストリングを単純に識別し得、それをマイクロコントローラに送信し得る。ホストコントローラまたはマイクロコントローラのいずれも、d(1,m)ストリングをメモリに格納する必要はない。上述したように、構築エンベロープ342のx軸方向に沿った各位置は、ストリングインデックスnに一意に(直接的または間接的に)対応し得る。コンピュータメモリインデックスは、凝固が発生しない位置に対応するので、空のデータストリングを格納することを回避するよう用いられる。しかしながら、全構築エンベロープについてのデータストリングが、mをストリングインデックスnに置き換えるとともにM
maxを構築エンベロープについてのデータストリングの最大数N
totalに置き換えることにより、式3aに類似した式を用いて互いに関連付けられ得る。
【0146】
上記のデータ反転技術は、
図16(f)および
図16(g)に示される。当該例では、(式(1)により計算され得る)N
maxは101であり、ストリングインデックスは0からN
max−1(すなわち0から100)の範囲である。したがって、右から左(
図16(g))にx軸に沿って凝固する際、(
図16(b)における右側の構築エンベロープ境界345にてn=0から開始する)ストリングインデックスが40の奇数のレイヤーについてのストリングデータのセットが、ストリングインデックスがn=100−40=60である偶数のレイヤーストリングについて用いられるストリングデータのセットと同じである。したがって、ストリングインデックスは左側および右側境界の両方にて常に0から開始されるが、
図16(f)および
図16(g)に反映されるようなホストコンピュータによるストリングデータのセットの反転によって、物体データからの奇数のレイヤーについての新しいストリングデータを再計算する必要性が回避される。その代わり、偶数のレイヤーデータが単純に反転され、マイクロコントローラ部に供給され得る。別の例では、この反転プロセスは、式(4)を用いるストリングインデックス値nの代わりに、コンピュータメモリインデックス値mに基づき対応され得る。したがって、たとえば、奇数のレイヤーを凝固する(右から左へ)際、m=1についてのストリングデータは、m=M
max−1−m(奇数)=39(M
maxはコンピュータインデックス値の合計である41であり、最大インデックス値である40ではない)にて偶数のレイヤーデータを取ることにより計算され得る。この後者の技術は、凝固が発生しないストリングについてのストリングデータを読み出す必要性を回避し、その代わり、定義ではコンピュータメモリインデックス値mに割り当てられたものである、凝固が存在するストリングのみを読み出す必要がある。
【0147】
上述したように、本願明細書において記載されるシステムのある実現例では、モータステップの数のようなモータ移動パラメータが、線形凝固装置88が特定の線形走査またはストリングデータインデックスnに対応するx軸位置にいつあるかを間接的に示すよう用いられる。所望のインデックス値nについて、関連する構築エンベロープX軸境界343または345からのステップの数が、以下の式を用いて計算され得る。
【0148】
(5) ステップ=W(S)(n)(RPM)(F)/60
式中、ステップは、構築エンベロープX軸境界から、インデックス値nを有する線走査が行われる位置までのモータステップの数であり、
Wは、単位がステップ/mmである、x軸方向における単位長さあたりのモータ76についてのモータステップの比であり、
Sは、単位がmm/秒である、モータ76の速度であり、
RPMは、単位が毎分回転数である、回転エネルギーデフレクタの回転数であり、
Fは、回転エネルギーデフレクタ上のファセットの数である。
【0149】
変数W自体は、モータステップの数に依存するので、「モータ移動パラメータ」であると考えられ得る。上で示されたように、Wは、モータ76の回転速度とギア比との間の既知の機械的関係ならびにプーリ径82aおよび82bから推定され得る。Wを推定する1つの方法は、このような既知の機械的な関係に基づき構築エンベロープ342のx軸長さLを横断する必要がある推定されるステップの数を決定することである。しかしながら、熱効果および他の非理想性により、Wの推定された値は正確でない場合がある。凝固がx軸に対して2方向に行われる場合(構築エンベロープ境界343および345から開始)、Wにおける誤差により奇数のレイヤーと偶数のレイヤーとの間にずれが引き起こされ得る。これは、計算されたステップの数が、式(5)において用いられるnの値に対応すると考えられる所望のx軸位置に対応しないからである。たとえば、構築プロセスがx軸方向に沿って左から右方向に開始されるとともにWが高すぎる場合、nの所与の値により、所望よりも右側において凝固が発生することになる。結果として、当該部分の最も右の境界は、所望よりも右側に存在することになる。凝固が次いで(右から左へ)反転される場合、所与の値であるnに対応するステップの数は、所望よりも左側にシフトすることになる。したがって、結果得られたパーツを当該パーツが構築された方位と同じ方位から見た場合(すなわち形成の間に左側であった側が形成の間に右側であった側の左に位置決めされた状態)、左から右の方向において凝固された当該パーツの部分は、左から右の方向において凝固された当該パーツの部分に対して右側にシフトされた右側境界を有することになる。右から左の方向において凝固されたパーツの当該部分の左側の境界は、左から右の方向において凝固された部分に対して左側にシフトされることになる。反対に、凝固が左から右に開始するとともにWが低すぎる場合、結果得られるパーツを当該パーツが構築された方位と同じ方位で見ると、左から右の方向に凝固される部分の右側境界が右から左の方向に凝固される部分に対して左側にシフトされるとともに、左から右方向に凝固される部分の左側境界が、右から凝固する場合にシフトされることになる。
【0150】
結果として、ある実現例では、テストパーツ測定データに基づきモータ移動パラメータ(たとえば、W)を調節することが望ましい。テストパーツ測定データは、テストパーツの2つ以上のセクションの間のオフセット寸法の長さまたはギャップを含んでもよい。
図16(f)および
図16(g)に示されるデータ反転方法が用いられるある場合では、x軸に沿って反対方向に凝固される同一なレイヤーのそれらのセクション同士の間にオフセットが作り出される。次いで、オフセットはWの値を調節するよう用いられる。
【0151】
モータ運動の調節を決定する際の使用のためにテストパーツを準備する1つの方法は、線形凝固装置88をx軸に沿って第1の方向(たとえば、左から右)に移動するとともに走査軸(y軸)方向において線形走査動作を行うことによりテストパーツのレイヤーの第1の連なりを形成するステップを含む。次いで、レイヤーの第2の連なりが、線形凝固装置88をレイヤーの第1のセットを形成するのに用いられた方向と反対(たとえば、右から左)にx軸方向に移動し、走査軸(y軸)方向に線形走査動作を行うことにより形成される。テストパーツは、さまざまな形状を有してもよいが、ある例では、単純な矩形ブロック形状が用いられる。他の例では、
図25(a)および
図25(b)において示されるように、半球状テストパーツ形状が用いられる。テストパーツの形成において、x軸方向において正確な構築エンベロープ342の長さを産出すると考えられるモータ移動パラメータの初期値が特定される。1つの好ましい例では、モータ移動パラメータは、構築エンベロープ342の既知の長さLに対応すると推定されるモータ76についてのモータステップの数である。このデータから、Wの予測値が計算され得る。
【0152】
式(5)によって示されるように、モータ移動パラメータに誤差があれば、Wの予測値にも誤差があることになり、これは次いで、式(5)から計算したモータステップ(ステップ)の数に誤差があることになる。このようなWにおける誤差の影響は、
図16(f)のデータを再び参照することにより例示され得る。テストパーツがそのデータを用いて構築される場合、レイヤーの第1の連なりはすべて
図16(f)のデータを用い、x軸に沿って左から右の方向に形成されることになる。レイヤーの第2の連なりは、x軸に沿って右から左方向に形成されることになる。データが示すように、左から右のレイヤーについて、ストリングインデックス値nが20にて、左から右の方向に進む第1の線形走査が行われることになる。Wの予測値が実際の値よりも大きい場合、第1の線形走査は、左側の構築エンベロープ境界343から右に所望よりもオフセットされることになり、その後のすべての線形走査についても同様となる。結果として、左から右(偶数)のレイヤーのすべてが、所望の位置に対して右側にシフトされることになる。凝固方向が反転されるとともに
図16(g)のデータが用いられる場合、m=0,n=40での第1のストリングは、右側の構築エンベロープ境界345から所望よりも左側にオフセットされることになる。したがって、テストパーツが完成され、かつその構築方位と同じ方位から見られた場合、左から右の方向に形成されるレイヤーの第1のセットは、右から左の方向に形成されるレイヤーの第2のセットに対して右側にシフトされることになる。このシフトは、測定可能なオフセット寸法を作り出す。
【0153】
テストパーツの測定されたオフセット寸法は次いで、式(6)〜(8)に従ってマイクロコントローラによって用いられるWの値を修正するよう用いられ得る。
【0154】
(6) ステップオフセット=ΔL*W
(7) ステップにおける修正される構築エンベロープ長=ステップ(予測)+ステップオフセット
(8) W
corrected=単位がステップ/Lである、修正構築エンベロープ長
式中、ΔLは、テストパーツレイヤーの第1および第2のセット同士の間の測定されたオフセット寸法(mm)であり、ΔLの正の値は、左から右のレイヤーが右から左のレイヤーに対して左側にオフセットしていることを示し、ΔLの負の数は、右から左のレイヤーが右から左のレイヤーに対して右にオフセットしていることを示しており、
Wは、Wのオリジナルの予測値(ステップ/mm)であり、
Lは構築エンベロープ長(mm)であり、
ステップ(予測)は、モータ回転数、ギア比、およびW*Lに等しい(Lは単位がmmである構築エンベロープ長)プーリ径に基づき、構築エンベロープ長Lに対応すると予測されるオリジナルのステップの数であり、
W
correctedは、Wの修正された値である。
【0155】
W
correctedの値は次いで、その後のパーツ構築プロセスにおいて式(6)とともに用いられ得る。上記の関係は、以下のように構築方向に対して一般化され得る。凝固が、レイヤーの第1の連なりにおいて第1の方向に、かつレイヤーの第2の連なりにおいて第2の方向(第1の方向と反対の方向)に発生する場合、当該パーツが構築される方位(形成方位)と同じ方位で当該パーツを見たとき(観察方位)、Wの値が低すぎることにより、レイヤーの第1のセットがレイヤーの第1のセットに対して第2の方向にシフトされることになり、式(7)において用いられるΔLの値は正になる。逆に、Wの値が高すぎれば、レイヤーの第1のセットは、レイヤーの第2のセットに対して第1の方向にオフセットされることになり、式(7)におけるΔLの値は負になる。
【0156】
「観察方位」と「形成方位」との間の関係は、例とともに最もよく理解され得る。各レイヤーは、構築エンベロープ起点から開始して構築エンベロープ終点で終わる線形に硬化するセクションの連なりを形成することにより凝固される。形成方位は、「正のx軸方向」または「左から右」といった上記の起点から終点まで進む方向を規定する任意の座標系を選択することにより選択され得る。オフセットΔLを測定するよう用いられる「観察方位」は、物体を見る際に、凝固される物体の凝固が始まる部分(起点)が、凝固される物体の凝固が終わる部分(終点)に対して同じ方向性の関係を有するように、形成方位と同じであるべきである。
【0157】
ある例では、ΔLは、50μmの最小の測定能力を有するカリパスを用いて測定される。このような場合では、50μm未満のオフセット値ΔLは測定され得ず、一方向に形成されるレイヤーが他の方向に形成されるレイヤーから50μmまでだけオフセットされ得る。いくつかの場合では、より小さいオフセット値ΔLを測定するとともにこれによりモータ移動パラメータ(たとえばW)を調節することによりパーツ構築プロセスの精度を増加することが望ましくあり得る。ここで、
図25(a)および
図25(b)を参照して、この目的に好適な1つの方法を記載する。この技術に従って、概して半球状であるテストパーツが構築される。レイヤーの第1のセット504は、凝固エネルギー装置88がx軸に沿って第1の(正)方向に移動する(
図16(b))場合にのみ樹脂を凝固することにより形成される。レイヤーの第2のセット502は、凝固エネルギー装置88がレイヤーの第1のセット504を形成するよう用いられる方向と反対の第2の(負)方向に移動する場合にのみ樹脂を凝固することにより形成される。
図25(a)では、レイヤー502および504が、x−z面に垂直な方向(すなわち走査軸またはy軸に沿って)に見ることによって観察される。
【0158】
この方法に従うと、完成したテストパーツは次いで、レイヤーの起点が形成プロセスの間と同じx軸に沿った相対位置にあるように(すなわちセクション502の起点がセクション504の起点よりも正のx軸方向においてより遠くなるように)、顕微鏡下に配置され、z(高さ)軸に沿って観察される。2つの円形セクション502および504が見られ得る。x軸に平行な内円502および外円504の直径は実質的に共線的であるはずであるが、モータ移動パラメータWに誤差がある場合、内円502は外円504と同心とならない。このような場合では、2つのオフセットΔr
1およびΔr
2が、各円形セクション502および504のx軸の極端同士の間で測定されてもよい。
図25(b)に示されるように、走査(y)軸からもっとも離れたセクション502のx軸位置は、走査(y)軸からもっとも離れたセクション504のx軸位置から差し引かれ、Δr
1を産出し得る。y軸に最も近いセクション504のx軸位置は、y軸に最も近いセクション502のx軸位置から差し引かれ、Δr
2を産出し得る。モータ移動パラメータが正確にセットされれば、Δr
1−Δr
2の値は0(または実質的に0)になる。しかしながら、モータ移動パラメータが不正確にセットされれば、Δr
1−Δr
2は0にならない。上述したように、
図25(a)および
図25(b)の例では、セクション504は、凝固エネルギー装置88が正のx軸方向に移動する間のみ形成され、セクション502は、凝固エネルギー装置88が負のx軸方向に移動する間のみ形成される。負のΔr
1−Δr
2の値は、セットされたモータ移動パラメータ(たとえばW)が低すぎることを示す。したがって、Wの値を増加して付加的なテストパーツを構築することにより、正確な値(Δr
1=Δr
2を産出するもの)が決定され得るとともに、実際の(非テストの)パーツ構築のためにマイクロコントローラに入力され得る。式(6)〜(8)は、ΔLにΔr
1−Δr
2を代入することによりモータ移動パラメータ(W
corrected)の修正値を計算するよう用いられてもよい。
【0159】
ここで、再び
図5Cを参照して、構築エンベロープ342内でタイマーを走査線の位置に同期させるための方法の実施例を記載する。この方法は、回転エネルギーデフレクタ92または線形走査マイクロミラーのような走査装置に光学的に連通する源90のような凝固エネルギー源を活性化するステップを含む。走査装置は、凝固エネルギー源90から受け取られた凝固エネルギーを偏向し、当該偏向された凝固エネルギーはセンサ324のような凝固エネルギーセンサによって受け取られる。ある例では、ミラー332のようなミラーが、偏向された凝固エネルギーの走査装置からセンサ324への伝達を促進するよう設けられる。
【0160】
この方法に従うと、凝固エネルギーセンサは凝固エネルギーの受け取りを感知し、システムマイクロコントローラに送信される感知信号を生成する。センサによる凝固エネルギーの受け取りは、線走査動作の開始に対応する。次いで、タイマーは、センサによる凝固エネルギーの受け取りに基づき、特定された値(たとえば、0)に初期化される。
【0161】
図5Cを参照して、上記の同期方法の例を記載する。図に示されるように、ある例では、光センサのような凝固エネルギーセンサ324が、線形凝固エネルギー装置88によって供給される凝固エネルギーのy軸位置を決定するよう用いられてもよい。一例では、凝固エネルギーセンサ324は、回転エネルギーデフレクタ92に光学的に連通しており、そこから偏向された凝固エネルギーを受け取る。別の例では、凝固エネルギーセンサ324が、y軸方向に照射された凝固エネルギーがy軸方向におけるその進行端部または開始部に到達したときを示すよう筐体96の一端部に配置される。この例に従うと、凝固エネルギーセンサ324は、第2の方向における最大凝固エネルギー位置(すなわちy軸方向における進行端部に対応する位置)に対応する位置に位置決めされる。しかしながら、センサ324は、他の位置に配置され得るが、好ましくは、感知されたイベント同士の間の凝固エネルギーの進行の長さが分かる位置に配置される。
図5Cでは、ミラー332の位置と、センサ324と、回転エネルギーデフレクタ92の示される時計回りの回転方向とにより、センサ324による凝固エネルギーの感知が線形走査動作の始まりに対応する。
【0162】
このような例に従うと、クロック(すなわちCPUクロック)に動作可能に接続されるプロセッサは、凝固エネルギーセンサ信号をセンサ324から受け取り、クロック部上で動作するタイマーはそれらに同期され、感知された凝固エネルギーパルス同士の間の経過時間が計算されることを可能にする。y軸の最大走査長さ(たとえば、y軸方向における開口部100の長さまたは凝固エネルギーの進行の測定された長さ)が決定され、y軸方向における凝固エネルギービームの進行速度は、進行の最大のy軸長さをパルス同士の間の経過時間で除算することにより以下のように計算される。
【0163】
(9)s=l/Δt
max
式中、s=y軸方向における凝固エネルギービームの進行の速度(たとえばcm/sec)であり、
l=進行の最大長さ(たとえばcm)であり、
Δt
max=凝固エネルギーセンサによって生成される連続する感知される凝固エネルギー信号同士の間の経過時間(たとえば秒)。
【0164】
クロックを凝固エネルギーのセンサによる受け取りに同期させるとともに前回の速度値(または好適な平均化された値)を用いることにより、y軸方向における凝固エネルギービームの位置は以下のように計算され得る。
【0165】
(10)y=sΔt
式中、y=y軸の始点に対する、凝固可能材料に沿った凝固エネルギービームのy軸位置(たとえばcm)であり、
s=式(1)からの凝固エネルギービームの進行の速度であり、
Δt=センサからの前回の凝固エネルギー信号からの経過時間である。
【0166】
凝固エネルギー源90に動作可能に接続される(たとえばマイクロコントローラ部において実現されるような)線形凝固コントローラは、線形凝固装置88が
図16に示されるストリップ304
jの1つの上の点に対応する凝固可能材料上のx,y位置にあるときにのみ、凝固エネルギーが供給されるように、凝固エネルギー源90を選択的に活性化および非活性化し得る。式(9)および(10)を用いて、線形凝固コントローラは、凝固エネルギーのy軸位置を示すデータを受け取り得る。リニアエンコーダが、線形凝固コントローラに(線形凝固エネルギー装置88についての)x軸位置情報を提供してもよく、これによりコントローラが
図16(a)におけるもののような物体データから、決定されたx軸位置での所望のy軸プロファイルを決定することが可能になる。上述したように、物体レイヤーデータはさらに、各複数のものが構築軸(z軸)に沿った所与のレイヤーおよび位置に対応するように、データストリングの複数のセットに変換されてもよい。このような例に従うと、データストリングの各セットは、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態が変化する時間を各々が規定する複数の時間値を含む。好ましくは、上で論じたように、時間値は、センサ324が凝固エネルギーを受け取る際に生成される同期凝固エネルギーの受け取りの際にリセットされるゼロ時間に対して規定される。前述したように、ある例では、CPUカウンタのゼロ時間は、センサ324によって受け取られる同期センサ信号の立上りエッジ1104aにセットされる(
図24)。
【0167】
図16(a)を再び参照して、各ストリップ304
jは、y軸方向において凝固の連続領域に対応する。しかしながらこれは、構築中の物体に依存して、そうでない場合がある。ストリップ304
jのあるものは非連続であり得、これにより所与のx軸位置についてy軸に沿って接続されないセクションを規定する。ある例では、(レーザダイオード凝固エネルギー源90の場合におけるレーザダイオード変調器のような)凝固エネルギー変調器が凝固エネルギー源90を選択的に活性化するよう設けられる。他の例では、凝固エネルギー源90は、いつも活性化されたままであり、柔軟なマスク上における選択される位置の透明性は、凝固エネルギーが、凝固が望まれる凝固可能材料上の位置まで通過することを可能にするよう操作される。
【0168】
ここで、
図21を参照して、線形凝固装置88のような線形凝固装置を用いて3次元物体を形成する方法を記載する。好ましい実施例では、この方法は、コンピュータプロセッサが実行し得る、コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読命令のセットの形で実施される。
【0169】
この実施例に従うと、物体構築プロセスの開始時では、x位置、y位置、およびz位置は、それらのインデックスi、j、およびkが0にセットされた状態、すなわちx
0、y
0、およびz
0の状態で、それらの開始位置に初期化される(ステップ1002)。ステップ1004では、z軸インデックス(k)が、1だけインクリメントされ、z(1)での第1の物体スライスについての物体データが読み出される(ステップ1006)。次いで、x軸インデックス(i)が、ステップ1008において1だけインクリメントされ、y軸インデックス(j)が1だけインクリメントされる(ステップ1008および1010)。ステップ1012では、凝固可能材料の露出面上のx(i),y(j)位置が、物体のある領域(すなわち物体データに基づき凝固が望まれる位置)に対応するかどうか決定される。対応する場合、ステップ1014において、凝固エネルギーが当該位置に提供される。上で説明したように、ある実現例では、ステップ1014は、凝固エネルギー源90を選択的に活性化または非活性化することを伴う。他の実現例では、ステップ1014は、凝固エネルギー源90が連続的に活性化されたままの際に凝固エネルギーがそこを通過することを可能にするかまたは防止するよう、柔軟なマスク上の位置x(i),y(j)を選択的に活性化することを伴う。
【0170】
ステップ1012にてなされた決定が凝固可能材料の表面上のx(i),y(j)位置にて凝固が発生することはないことを示していれば、制御は、ステップ1016に進む。ステップ1016では、最大y軸位置(すなわちy軸方向における構築エンベロープの境界)が到達されたかどうか決定される。到達されていないならば、y軸位置インデックス(j)は1つだけインクリメントされ、制御はステップ1010に戻る。最大y軸位置が到達されていれば、制御はステップ1017に移る。ステップ1017では、y軸インデックス(j)が0にリセットされる。ステップ1018では、最大x軸位置(すなわちx軸方向における構築エンベロープの境界)が到達されたかどうか決定される。到達されていなければ、制御はステップ1008に移る。ステップ1008では、x軸インデックスが1つだけインクリメントされる。最大x軸位置が到達されていれば、制御はステップ1019に移る。ステップ1019では、x軸位置インデックス(i)が0にリセットされる。ある例では、最大x軸位置がひとたび到達されると、線形凝固装置88はx軸に沿って反対方向に進み、物体の別のスライスを凝固する(双方向凝固)。その一方、他の例では、線形凝固装置88が如何なる凝固も行うことなく反対方向に進み、次いで次のスライスを凝固する(単方向凝固)。
【0171】
ステップ1020では、最後の物体データスライス(z
max)が到達されたかどうか決定される。到達されていれば、この方法は終了する。最後のスライスが到達されていなければ、制御はステップ1004に戻り、別のスライスのための物体データが処理され得るようにz軸インデックス(k)が1だけインクリメントされる。上記のプロセスは、最後のスライスが凝固されるまで繰り返される。
【0172】
図22および
図23を参照して、線形凝固装置88(または装置88の上述した変形例)のような線形凝固装置を用いて3次元物体を作製する別の方法が開示される。この方法に従うと、3次元物体データはステップ1042において提供される。このデータは、CAD/CAMデータ、STLデータ、または3次元空間において物体の形状を規定する他のデータといったさまざまな形態をとり得る。ステップ1044では、このデータは物体レイヤーデータセットZ
maxの数までスライスされる。各物体レイヤーデータセットは、値が0からZ
max−1の範囲であるレイヤーインデックスzの値によって識別される特定のレイヤーに対応する。このようなスライスの図解表現が
図14および
図15によって例示される。しかしながら、実際のスライス方法は、3次元物体データを特定された軸に沿って細分するステップを含む。好ましい例では、上記細分が沿ってなされる軸は、凝固プロセスにおいて用いられる構築軸に対応する。このようなデータスライス技術は、当業者には既知であり、一般的に、構築軸座標によって規定されるスライス面との(STLファイルによって規定されるもののような)3次元物体データの交点を識別することを伴う。この交点は、スライスについての物体輪郭を規定することになる。
【0173】
ステップ1046では、線形走査データのM
maxのセットが、各物体レイヤーデータセットについて作り出される。各レイヤーは、その自身の値がM
maxである。M
maxは、パーツを作り出すのに必要な線形走査の合計数を指す。またM
maxは、レイヤーについてコンピュータメモリインデックス値mの最大値になる。なぜならば、M
maxは、特定のレイヤーにおける物体凝固データを含むデータストリングのセットの数を格納するのに必要なデータ記憶位置の数を示すからである。対照的に、全構築エンベロープ342(
図16(b))は、構築エンベロープ342において行われ得る線形走査の最大の可能な数を示す、それに関連付けられるデータストリングの異なる最大数(N
max)を有してもよい。
【0174】
ステップ1048では、線形凝固装置88は、進行端部(EOT)センサ346の位置によって規定され得る、x,y面内においてホーム位置に動かされる(
図16(b))。ホーム位置は好ましくは、構築エンベロープ342の左側境界343から、特定されたオフセット距離δ
Lだけオフセットされる。ある例では、左側境界343は、x軸起点x
0を規定する。オフセット距離δ
Lは、モータステップの数のようなモータ移動パラメータとして特定されてもよい。その場合、モータステップは線形凝固装置が左側境界343にいつ到達したのかを決定するよう用いられてもよい。
【0175】
ステップ1050では、モータ118(
図5Aおよび
図5C)が、回転エネルギーデフレクタ92の回転を開始するよう活性化される。次いで、物体構築プロセスが始まろうとしていることを示すよう、レイヤーインデックス(z)が0にセットされる。
【0176】
ステップ1054では、レイヤーインデックス(z)の現在の値に対応するレイヤーについての線形走査データがマイクロコントローラ部にロードされる。マイクロコントローラ部は、モータ118およびモータ76を動作するよう用いられるとともに凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態を変化させることにも用いられる。線形凝固装置88は、(x軸の移動の方向に依存してδ
Lまたはδ
Rとなる)オフセット距離δを通って移動され、構築エンベロープの境界343または345に到達する。オフセット距離δを通る線形凝固装置88の移動の間、線形凝固装置88の速度は好ましくは、実質的に一定の値に到達する。ある実現例では、線形走査データは、たとえば上で論じた式3(b)または式3(c)を用いることにより、走査軸に沿って走査速度の変動を構成するよう修正される。
【0177】
ステップ1058では、コンピュータメモリインデックスmの値は、0にセットされる。上で説明したように、コンピュータメモリインデックスmは、物体凝固データを内部に有するストリングデータのセットを格納するよう用いられるインデックスである。ステップ1060では、ストリングインデックスnも0にセットされる。
【0178】
ステップ1061では、マイクロコントローラは、コンピュータメモリインデックスmの現在の値で格納されるストリングデータのセットを読み出す。ストリングデータのセットは好ましくは、ストリングインデックス(n)値(
図16(d)、
図16(f)、および
図16(g)参照)を含み、ステップ1062では、mの現在値についてストリングデータのセットにおいて提供されるストリングインデックス値が、nの現在値と比較される。これらの値が同じである場合、凝固が、現在のストリングインデックス値(n)対応するx軸位置にて発生することになることを示す。これらの値が同じでない場合、現在のストリングインデックス値(n)に対応するx軸位置において凝固が発生せず、そのためそのストリングについてデータを読み出す必要がないということを示す。
【0179】
ステップ1062においてn=mである場合、制御はステップ1064に進む。ステップ1064では、走査軸同期動作は、線走査動作の開始の前に行われる。一例では、凝固エネルギー源90は、センサ324(
図5C)が同期凝固エネルギーセンサ信号を生成するよう短くパルスが与えられる。同期凝固エネルギーセンサ信号は、回転エネルギーデフレクタ92の回転位置が、構築エンベロープの走査軸境界に対応することを示す。(ソフトウェアにおいてプログラムされたもののような)タイマーが次いで初期化され(たとえば、0にリセットされ)、開始される(ステップ1066)。マイクロコントローラ部は、(コンピュータメモリインデックスmの現在値によって規定される)ストリングデータの現在のセットに格納される時間値をタイマーの値と比較し、凝固エネルギー源90のエネルギー付加状態をいつ変更するべきかを決定する(ステップ1068)。上で論じたように、
図24の例では、凝固エネルギー源90は、同期を行うために、回転エネルギーデフレクタ92を駆動するよう用いられるモータ118パルスに対して固定された遅延時間(Δ
1)でパルスが与えられる。この同期パルスは、凝固が発生することになる位置であるかどうかにかかわらず、各ストリングインデックス(n)位置にて発生してもよい。代替的には、凝固が発生することになるそれらの位置についてのみ行われてもよい。前述したように、同期を実行するために、凝固エネルギー源90には、モータ118パルスに対するパルシングの代わりにCPUクロックサイクルに対して固定された時間でパルスが与えれ得る。一例では、センサ324がエネルギーパルスが受け取られたことを示すまでCPUクロックに対して同期エネルギーパルスタイミングを動的に調節することにより上記固定された時間が決定される、上述したタイプの動的較正プロセスが用いられる。このような場合では、モータ118パルスに対する遅延時間Δ
1が、動的な調整プロセスについての開始点として用いられてもよい。
【0180】
回転エネルギーデフレクタ92の回転位置へのタイマーの同期をさらに、
図24を参照して記載する。タイマーがひとたび初期化されると、凝固エネルギー源90は、オンに切り替えられるべきであることを物体データの現在のストリングが示すまで、オフに遮断される。同期センサ324信号を受け取り、処理し、凝固エネルギー源出力信号を生成することに伴うもののようなシステム遅延により、同期センサ324信号の立上りエッジ1104aのマイクロコントローラの受け取りと、凝固エネルギー源90のオフへの遮断との間に遅延が存在し得る。
【0181】
センサ324(
図5C)は、凝固エネルギー源が、ミラー332に光学的に連通する期間の間にオンのままにされる場合に横断され得る感知長さを有する。凝固エネルギーのビームは、ミラー332を上部から底部まで横断すると、センサ324を底部から上部まで横断することになる。しかしながら、凝固エネルギーは、ミラー332の底部に到達すると、凝固可能材料と接触を始め、凝固可能材料を凝固し始めることになる。好ましくは、凝固エネルギー源90は、同期動作の間にセンサ324の感知エリアまたはミラー332のエリアを去る前に非活性化される。そうでなければ凝固エネルギーは、ストリングデータによって示される前に、凝固可能樹脂に接触および凝固する。ある例では、凝固センサ324入力信号の立上りエッジの受け取りと、凝固エネルギー源90の非活性化との間の遅延が、約400ナノ秒以下、好ましくは約300ナノ秒以下、より好ましくは約250ナノ秒以下、さらにより好ましくは約200ナノ秒以下である遅延時間Δ
2内で発生する。
【0182】
好ましい例では、遅延時間Δ
2は、凝固エネルギーがセンサ324の全感知長さを横断するのに必要な時間よりも少ない。凝固エネルギーがセンサ324の全長を横断するのに必要な時間は以下のように計算され得る。
【0183】
(11) 時間=(60秒/分)(L
S/(L
BE×RPM×F))
式中、Ls=センサの感知エリアの線形距離であり、
L
BE=走査(y)軸方向における構築エンベロープの長さ(すなわち全走査の線形長さ)であり、
RPM=回転エネルギーデフレクタ92の回転速度(回転/分)であり、
F=回転エネルギーデフレクタ92上のファセットの数である。
【0184】
図22を再び参照して、線走査動作が完了すると、コンピュータメモリインデックスmの現在値が現在のレイヤーについての最大インデックス値(M
max−1)と比較される(ステップ1070)。mがM
max−1よりも小さければ、当該レイヤーは完成していない。その場合、制御はステップ1072に進み、コンピュータメモリインデックスmの値は1だけインクリメントされる。ステップ1076において、mの新しい値についてのストリングデータのセットが読み出される。ステップ1078では、ストリングインデックスnの値が1だけインクリメントされ、回転エネルギーデフレクタ92が次のファセット94(a)〜94(f)へと回転する。次いで制御はステップ1062に戻る。
【0185】
ステップ1062の間に、mの現在値についてストリングデータのセットに格納されるストリングインデックス値nがストリングインデックス値nの現在値と等しくなければ、ストリングインデックスnの現在値に対応するx軸位置にて凝固は発生しないことになる。その場合、制御はステップ1074に移り、最後のストリングN
max−1が到達されたかどうか決定する。到達された場合には、制御はステップ1080に移る(
図23)。そうでなければ、制御はステップ1078に移り、ステップ1078ではストリングインデックスnの値が再び1だけインクリメントされる。ステップ1070では、メモリインデックスmの現在値がレイヤーの最大値M
max−1に到達していれば、さらに別の凝固が現在のレイヤーにおいて発生することはなく、制御はステップ1074に進む。
【0186】
上述したように、ある例では、マイクロコントローラは物体形状データに基づき凝固エネルギー源90の動作を制御するよう用いられ、さらに構築台の移動を規制し得る(たとえば、
図1〜
図2における構築台43または
図19における構築台354)。多くの商業的に利用可能なマイクロコントローラは、「割込」として既知であるものを用いて、USB通信、メモリリフレッシュ、および周辺機器の読み込みといったタスクを行う。割込の間、現在実行されているタスクは、これらの他のタスクのうちの1つが行われ得るように停止される。しかしながら、3次元物体を示すよう時間値を含むストリングデータを用いるそれらの例では、割込は、回転エネルギーデフレクタの位置(またはレーザ走査マイクロミラーの傾斜角度)に対するCPUタイマーの同期を乱すことになり、潜在的に3次元物体を歪ませる。このような例では、ソフトウェアおよび/またはハードウェア割込を線走査動作の間にキャンセルすることが好ましい。一例では、ステップ1062とステップ1082との間に
図22〜
図23の方法が存在する場合、割込が無効にされるプログラムがマイクロコントローラに格納される。次いで、割込は、当該方法がステップ1084に到達すると有効にされてもよい。
【0187】
ステップ1074では、ストリングインデックス値nが最大ストリングインデックス値N
max−1に到達すると、現在のレイヤーの処理が完了する。次いで、制御はステップ1080に進み、線形凝固装置88をオフセット距離δを通過するよう移動する。線形凝固装置88が、左から右(構築エンベロープ342を上から見た場合)に移動することによって現在のレイヤーを処理した場合、ステップ1080におけるオフセット距離δはδ
Rになり、そうでなければ、δ
Lになる。
【0188】
ステップ1082では、レイヤーインデックス(Z)の現在値が最大レイヤーインデックス値(Z
max−1)と比較される。最後のレイヤーが完了していれば、構築は終了する。そうでなければ、レイヤーインデックスが1だけインクリメントされる(ステップ1084)。ステップ1086では、新しい量の凝固されていない凝固可能材料が、以前に凝固したレイヤーと、剛性または半剛性の凝固基板68との間に提供される。これは、
図1〜
図4および
図6〜
図8に示されるシステムの場合、たとえば、構築台43を凝固可能材料の供給部の中に下方向に移動し、これにより最後の凝固レイヤーと基板68との間に新しい未凝固材料が流れ得るギャップを作り出すことによりなされ得る。
図19および
図20に示されるシステムのようなシステムの場合、構築台356は上方向に移動されてもよく、新しい凝固されていない凝固可能材料が槽膜アセンブリ205または前述した他の槽構造の1つに加えられてもよい。
【0189】
ステップ1088では、新しいレイヤーインデックス値zに対応する線形走査データ(すなわちストリングデータのセット)がマイクロコントローラ部にロードされる。ステップ1090では、x軸方向に沿った線形凝固装置88の進行の方向が反転される。線形凝固装置は、適用可能な構築エンベロープ境界343または345が到達されるまで、適用可能なオフセット距離δ
Lまたはδ
Rを通って移動される。次いで、制御は
図22におけるステップ1058に戻り、新しいレイヤーを凝固するプロセスを始める。
【0190】
図17〜
図18を参照して、3次元物体を作製するためのシステムの代替的な実施例が示される。このシステムは、
図7〜
図13の凝固基板アセンブリ62と実質的に同様の凝固基板アセンブリ62を含む。しかしながら、この実施例では、線形凝固装置88が線形凝固装置308に置換されている。
図17〜
図18は、
図7〜
図13の凝固基板アセンブリ62を有する線形凝固装置308を示しているが、湾曲し、固定した剛性または半剛性の凝固基板68を用いる
図3および
図7に示されかつ説明された凝固基板アセンブリ62の実施例とともに用いられ得る。
図17〜
図18ではまた、膜アセンブリ205が設けられる(膜224は
図17および
図18では図示されない)。
【0191】
図17〜
図18の例では、線形凝固装置308は、レーザ要素または発光ダイオード要素310
0〜310
maxのアレイのような光照射要素のアレイを含む。1つの好ましい実施例では、各このような要素は、x,y面における所与の位置での各要素の活性化の期間が同じである一方、各要素が個々に制御可能な光強度を照射するように「グレイスケーラブル」である。線形凝固装置308は、単一の列の光照射要素310
0〜310
maxを含んでもよく、また、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に配されるいくつかの列の光照射要素を含んでもよい。ある例では、少なくとも2つの列の光照射要素が設けられる。それらの列は、長さ(x軸)方向に配されるとともに、それらのそれぞれの光照射要素は、ジグザグパターンを作り出すよう幅(y軸)方向に互い違いに配列される。
【0192】
線形凝固装置88とは異なり、凝固基板アセンブリ62の長さ(x軸)方向に沿った所与の位置では、線形凝固装置308は、全y軸構築エンベロープ方向に沿った位置を選択的および同時に凝固し得る。発光要素310
0〜310
maxの各要素は、対応するピクセルの凝固エネルギーを凝固可能材料の対応するy位置上に照射する(x軸位置は、可変である線形凝固装置308の位置に依存する)。したがって、線形凝固装置88と同様に、エネルギーはy軸方向には「走査され」ない。さらに、物体データは、その自身のxおよびy位置と、z軸方向における関連付けられる凝固深さとを各々が有する体積ピクセル(「ボクセル」)として提供されてもよい。なぜならばグレースケーリングの特徴的構造は、個々に制御可能な強度を可能にし、これにより個々に制御可能な硬化深さを提供し得る。グレイスケール値は、ピクセルについての合計の露出を示す(ピクセルについての合計の露出は以下のように示される)。
【0193】
(12)合計の露出=∫Idt
式中、Iは、供給された凝固エネルギーの強度(たとえば、ワット/ピクセル)であり、積分は露出時間期間Δtに亘って行われる。
【0194】
ある例では、グレイスケール出力値は、線形凝固装置の出力を制御して、完全な強度を提供するか、出力を提供しないか、またはその間の変動を提供するよう用いられてもよい。ピクセル毎に固定された露出時間を用いるプロセスでは、線形凝固装置は、特定された露出時間の間、各ピクセルについて凝固可能材料が晒される電磁放射の量(たとえば、強度I)を低減し得る。
【0195】
1つの好ましい実施例では、線形凝固装置308は、凝固エネルギーがy軸方向において概してまたは好ましくは実質的に線形パターンとして提供される際に、x軸方向に連続的に移動する。構築中の物体のプロファイルに依存して、線形凝固装置308によって規定される凝固エネルギーパターンは、長さ(x軸)方向上の異なる位置が到達されると、変化し得る。
【0196】
グレイスケーラブルの発光要素310
0〜310
maxの使用により、構築中の3次元物体を示すよう、ボクセル化された物体データの使用が可能になる。ボクセルデータは、体積ピクセルを示すデータの集合またはセットであると考えられ得る。ボクセルデータは、各ピクセルおよび/または露出時間についてのグレイスケール値を含むボクセル化されたビットマップパターンに組織化されてもよい。ボクセル化されたビットマップは、個々のボクセルの組織化された集合として考えられ得る。各ボクセルは、他のボクセルから独立した深さを有する。ボクセルはビットマップに組織化され得るが、各ボクセルは、一般的に個々に取り扱われ、如何なる他のボクセルデータからも独立している各ボクセルの形状を決定するよう(各ボクセルに割り当てられる露出時間および/または強度値によって決定され得る)硬化深さを有する。物体は、ボクセルデータを用いて形成されてもよい。ボクセルデータでは、凝固可能材料の露出面を晒して、(典型的にグレイスケール値および/または露出時間によって決定される)特定の硬化の深さを得ることにより凝固可能材料に3次元ボクセルを作り出すことによって、各ボクセルが凝固可能材料において作り出され得る。各ボクセルは、個々に、グループもしくはサブセット(たとえば、1つより多いボクセル)で、またはボクセルデータ全体(たとえば一度にすべてのボクセル)として生成されてもよい。
【0197】
ボクセル化された構築プロセスを用いる際に、各ボクセルはグレイスケール値によって制御される厚さ(たとえば、凝固の深さ)を有してもよい。しかしながら、
図15について記載されたもののようなスライスされた物体データが、線形凝固装置308を含む線形発光装置アレイの動作を駆動するよう用いられてもよい。制御部(図示せず)は、所望のフォーマットの物体データを受け取るとともに、各光照射要素310
0〜310
maxの活性化を指示する。
【0198】
グレイスケール強度は、基準スケール(たとえば0…255)上で整数として表現され得るが、強度値はまた線形凝固装置308に送られる前に補償もしくは調節されてもよく、線形凝固装置308にて補償もしくは調節されてもよく、またはその両方であってもよい。たとえば、凝固可能材料が重合または部分重合のために必要な最小の強度しきい値を有する場合、「オフ」またはゼロ(0)値の強度(たとえば、明るさおよび/または「オン」時間)が、特定の凝固材料に特定の最小の強度しきい値に基づき決定され得る。強度についてのゼロ値は、線形凝固装置308が供給するエネルギーが実際に0であることを必ずしも意味するわけではない。典型的な場合では、低レベルの明るさがゼロ(0)強度に対応してもよい。
【0199】
0〜255の強度範囲はたとえば、8ビットシステムが強度を決定するのに用いられる場合に簡便である。しかしながら、強度についてそれより多いまたはそれより少ない分解能を有するシステムが用いられてもよい。例は、4ビットシステムまたは16ビットシステムを含んでもよい。さらに、電磁放射の露出時間は、たとえば、1ミリ秒〜100秒といった広い範囲を有してもよい。なお、当該時間範囲は、単に例であって、限定的ではない。なぜならば電磁放射についての「オン時間」は、パターン発生器の最小スイッチング時間、電磁放射の強度、凝固可能材料の最小の有効時間、および凝固のための照射強度、構築台43の移動の速度、および他の要因といった他の変数に依存してもよいからである。
【0200】
線形凝固装置308または線形凝固装置88を用いて凝固可能材料を凝固するプロセスは、離散的な物体レイヤーの形成を伴うかまたはレイヤー化された形成プロセスの使用を用いない離散的なステップで行われてもよい。特に、全構築プロセスの間に構築台43が移動する連続的な構築プロセスが用いられてもよい。連続的な構築プロセスによっても、起こり得る電磁放射の中断により、何らかのわずかな界面レイヤーの形成が発生し得る。しかしながら、このような界面の形成は最小限にされるかまたは完全に除去され得る。
【0201】
連続的な構築プロセスが用いられる場合、レイヤープロセスにより構築される物体の外側輪郭に時々発生する構造的な「段差」が最小限にされる。連続的な構築プロセスでは、3次元物体は、照射段階の間および随意では全構築プロセスの間に電磁放射の供給を中断することなく、主な構築方向(典型的にはZ方向)に凝固または成長される。したがって、照射段階の間の主な構築(Z)方向における凝固可能材料の対応する連続的な成長は、従来のレイヤー方向の凝固に典型的な通常の硬化レイヤー深さを超えるとともに、電磁放射の用いられる供給および/または用いられる重合可能な材料によって事前に決定される程度で進み得る。
【0202】
レイヤーが独立した連続的な動作により、凝固可能材料の現在の硬化深さに具体的に影響を与えるとともに制御することが可能である。構築表面から離れるように移動する、生成されるべき物体を支持する支持板の速度の調節と、ピクセル(グレー値またはカラー値)の照射強度の調節とはそれぞれ単独または組合せで、硬化深さを制御するための特定の手段である。
【0203】
本発明をそのある例示的な実施例を参照して記載した。しかしながら、上述した例示的な実施例とは別の特定の形態で本発明を実施することが可能であるということは、当業者には容易に明らかとなるであろう。これは、本発明の精神からの逸脱なしでなされ得る。例示的な実施例は単に例示であって任意の態様で限定的であると考えられるべきではない。本発明の範囲は、上記の記載ではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定される。