特許第6019123号(P6019123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 株式会社IHIエアロスペースの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019123
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】蒸気噴射装置及び宇宙機
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/40 20060101AFI20161020BHJP
   F03H 99/00 20090101ALI20161020BHJP
【FI】
   B64G1/40 A
   F03H99/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-529552(P2014-529552)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2013071500
(87)【国際公開番号】WO2014024966
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2014年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-177919(P2012-177919)
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】泉山 卓
(72)【発明者】
【氏名】森 初男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】長尾 徹
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−183841(JP,A)
【文献】 特開平11−321797(JP,A)
【文献】 米国特許第03222498(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240801(US,A1)
【文献】 特開平09−242611(JP,A)
【文献】 特開2004−197592(JP,A)
【文献】 米国特許第03092968(US,A)
【文献】 特開2009−214695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状態の推薬を蒸発させることによって蒸気圧によりガスを噴射して推力を得る蒸気噴射装置において、
箱型形状の筐体と、
該筐体内に配置され前記推薬を保持する空間を形成する推薬保持部と、
前記筐体内に配置され前記推薬保持部と連通孔を有する隔壁によって仕切られた空間を形成するとともに前記ガスを貯蔵するガス貯蔵部と、
前記筐体内に配置され前記推薬保持部及び前記ガス貯蔵部と隔壁によって仕切られた空間を形成するとともに機器類を格納する機器格納部と、
前記筐体に接続され前記ガスを外部に放出するノズルと、
前記筐体内に形成され前記ガス貯蔵部に貯蔵されたガスを前記ノズルに供給するガス流路と、
前記筐体内に配置され少なくとも前記ガス貯蔵部を加熱するヒータと、
を有し、
前記機器類は、電気系統の配線、電気コネクタ、圧力センサ、温度センサ、サーモスタット及び電池のうち少なくとも一つを含み、
前記推薬保持部は、前記ガス貯蔵部と対峙する位置に配置され前記推薬を注入又は排出する注排口と、前記推薬に表面張力を発生させて保持する複数の推薬保持板と、を有する
ことを特徴とする蒸気噴射装置。
【請求項2】
前記ガス貯蔵部は、前記ガスを排出する排気口と、該排気口と前記連通孔との間に配置されたヒートスプレッダと、を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸気噴射装置。
【請求項3】
前記排気口と前記ガス流路とを接続するガス送気管を前記機器格納部内に配設し、該ガス送気管に前記ガスの噴出を制御する弁体を配置した、ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気噴射装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記ヒートスプレッダと隣接した位置に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気噴射装置。
【請求項5】
液体状態の前記推薬の前記ガス貯蔵部への浸入を抑制するフィルタを前記連通孔に配置した、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気噴射装置。
【請求項6】
前記ヒータは、前記推薬保持部よりも前記ガス貯蔵部の方が高温となるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気噴射装置。
【請求項7】
前記筐体は、同型形状の増設モジュールと積層可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気噴射装置。
【請求項8】
前記増設モジュールは、前記推薬を収納した増設タンク、バッテリを搭載したバッテリモジュール、監視機器若しくは測定機器を搭載したモニタリングモジュール又は前記蒸気噴射装置若しくは前記増設モジュールに搭載された機器を制御する制御モジュールである、ことを特徴とする請求項に記載の蒸気噴射装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の蒸気噴射装置を備えた宇宙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気噴射装置及び宇宙機に関し、特に、宇宙空間で推力を発生させる蒸気噴射装置及びこれを備えた宇宙機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型衛星向けの推進システムとして、気液平衡スラスタを使用した推進システムが開発されている。気液平衡スラスタは、推薬の蒸気圧によってガス噴射を行う蒸気噴射装置であり、液体状態の推薬をタンク内に保持し、姿勢制御や軌道変更等の際に、推薬を蒸発させて気体(ガス)のみをノズルから噴射し、推力を得ることができる。かかる気液平衡スラスタを使用した推進システムでは、気蓄器や燃焼器等が不要であることから、システムの軽量化や小型化を図ることができる。その一方で、安定した推力を得るために、液体状態の推薬をいかに貯蔵するか、液体状態の推薬をいかにガス化するかの観点で改良が望まれていた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された蒸気噴射装置では、タンクの内部に発泡金属部材を設け、液体状態の推薬を発泡金属部材の気泡中に保持している。そして、当該蒸気噴射装置は、タンクを加熱することによって発泡金属部材を介して推薬をガス化している。
【0004】
また、特許文献2に記載された蒸気噴射装置では、タンクの内部に複数枚の保持板を放射状に配置し、表面張力によって液体状態の推薬を保持板に付着させて保持している。そして、当該蒸気噴射装置は、タンクを加熱することによって推薬をガス化し、タンクの上部に形成されたガス溜まり空間に気化したガスを溜めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−214695号公報
【特許文献2】特開2011−183840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された蒸気噴射装置では、タンク全域に発泡金属部材を充填しなければならず、タンクの軽量化を図ることが困難であるという問題や、推薬のガス化に際しタンク全体を加熱しなければならず、多大な熱エネルギーを要するという問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載された蒸気噴射装置では、推薬の貯蔵空間とガス溜まり空間とが隣接して配置されていることから、宇宙機の姿勢制御によって液体状態の推薬がガス溜まり空間に移動してスロッシング現象が発生する可能性があるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2に記載された蒸気噴射装置では、タンクが球形であることから、小型衛星等の宇宙機に接続した際に無駄な空間ができてしまい、宇宙機が大型化してしまうという問題があった。さらに、タンクとスラスタとを配管で接続していることから、柔軟な設計をすることができる一方で、配管の接続作業に時間と労力を要するとともに、配管継手が多く、漏洩点検に時間、労力及び専門知識を要するという問題もあった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、気液分離性能の向上、装置の小型化及び簡素化を図ることができる、蒸気噴射装置及び宇宙機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、液体状態の推薬を蒸発させることによって蒸気圧によりガスを噴射して推力を得る蒸気噴射装置において、箱型形状の筐体と、該筐体内に配置され前記推薬を保持する空間を形成する推薬保持部と、前記筐体内に配置され前記推薬保持部と連通孔を有する隔壁によって仕切られた空間を形成するとともに前記ガスを貯蔵するガス貯蔵部と、前記筐体内に配置され前記推薬保持部及び前記ガス貯蔵部と隔壁によって仕切られた空間を形成するとともに機器類を格納する機器格納部と、前記筐体に接続され前記ガスを外部に放出するノズルと、前記筐体内に形成され前記ガス貯蔵部に貯蔵されたガスを前記ノズルに供給するガス流路と、前記筐体内に配置され少なくとも前記ガス貯蔵部を加熱するヒータと、を有し、前記機器類は、電気系統の配線、電気コネクタ、圧力センサ、温度センサ、サーモスタット及び電池のうち少なくとも一つを含み、前記推薬保持部は、前記ガス貯蔵部と対峙する位置に配置され前記推薬を注入又は排出する注排口と、前記推薬に表面張力を発生させて保持する複数の推薬保持板と、を有することを特徴とする蒸気噴射装置が提供される。
【0011】
前記ガス貯蔵部は、前記ガスを排出する排気口と、該排気口と前記連通孔との間に配置されたヒートスプレッダと、を有していてもよい。また、前記排気口と前記ガス流路とを接続するガス送気管を前記機器格納部内に配設し、該ガス送気管に前記ガスの噴出を制御する弁体を配置するようにしてもよい。さらに、前記ヒータは、前記ヒートスプレッダと隣接した位置に配置されていてもよい。
【0012】
前記推薬保持部は、前記ガス貯蔵部と対峙する位置に配置され前記推薬を注入又は排出する注排口と、前記推薬に表面張力を発生させて保持する複数の推薬保持板と、を有していてもよい。また、液体状態の前記推薬の前記ガス貯蔵部への浸入を抑制するフィルタを前記連通孔に配置してもよい。また、前記ヒータは、前記推薬保持部よりも前記ガス貯蔵部の方が高温となるように構成されていてもよい。
【0013】
前記筐体は、同型形状の増設モジュールと積層可能に構成されていてもよい。また、前記増設モジュールは、前記推薬を収納した増設タンクであってもよいし、バッテリを搭載したバッテリモジュールであってもよいし、監視機器若しくは測定機器を搭載したモニタリングモジュールであってもよいし、前記蒸気噴射装置若しくは前記増設モジュールに搭載された機器を制御する制御モジュールであってもよい。
【0014】
また、本発明によれば、前記蒸気噴射装置を備えた宇宙機が提供される。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明の蒸気噴射装置及び宇宙機によれば、蒸気噴射装置の推薬保持部、ガス貯蔵部及び機器格納部を一つの筐体内に配置したことにより、装置の小型化を図ることができる。また、ノズルにガスを供給するガス流路を筐体内に形成したことにより、多数の配管を省略することができ、装置の簡素化を図ることができ、配管の接続作業及び漏洩点検作業の労力を軽減することができる。また、推薬保持部とガス貯蔵部とを連通孔を有する隔壁で仕切ったことにより、液体状態の推薬のガス貯蔵部への浸入を抑制することができ、気液分離性能の向上を図ることができる。
【0016】
また、ガス貯蔵部内にヒートスプレッダを配置することにより、液体状態の推薬がガス貯蔵部に浸入した場合であっても、推薬が排気口に浸入する前に蒸発させてガス化することができ、気液分離性能の向上をさらに図ることができる。
【0017】
また、推薬保持部、ガス貯蔵部及び機器格納部を一つの筐体内に配置したことにより、同型形状の増設モジュールと積層可能に構成することができ、増設タンク、バッテリ、カメラ等の監視機器、レーザレーダやジャイロ等の測定機器や種々の制御機器等を容易に追加することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の第一実施形態に係る蒸気噴射装置を示す平面図である。
図1B】本発明の第一実施形態に係る蒸気噴射装置を示す側面図である。
図2A図1BのU−U線に沿う水平断面図である。
図2B図1BのD−D線に沿う水平断面図である。
図3A図2A図2BのZ−Z線に沿う断面図である。
図3B】蒸気噴射装置の斜視図である。
図4A】蒸気噴射装置の下面図である。
図4B】筐体の温度勾配図である。
図5】蒸気噴射装置のシステム系統図である。
図6A】蒸気噴射装置の使用状態の第一例を示す図である。
図6B】蒸気噴射装置の使用状態の第二例を示す図である。
図6C】蒸気噴射装置の使用状態の第三例を示す図である。
図6D】蒸気噴射装置の使用状態の第四例を示す図である。
図6E】蒸気噴射装置の使用状態の第五例を示す図である。
図6F】蒸気噴射装置の使用状態の第六例を示す図である。
図7A】本発明の第二実施形態に係る蒸気噴射装置を示す垂直断面図である。
図7B】本発明の第三実施形態に係る蒸気噴射装置を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図1A図7Bを用いて説明する。ここで、図1Aは本発明の第一実施形態に係る蒸気噴射装置を示す平面図、図Bは側面図である。図2A図1BのU−U線に沿う水平断面図、図2BはD−D線に沿う水平断面図である。図3A図2A図2BにおけるZ−Z線に沿う断面図、図3Bは蒸気噴射装置の斜視図である。
【0020】
本発明の第一実施形態に係る蒸気噴射装置1は、図1A図3Bに示したように、液体状態の推薬を蒸発させることによって蒸気圧によりガスを噴射して推力を得る蒸気噴射装置であって、箱型形状の筐体2と、筐体2内に配置され推薬を保持する空間を形成する推薬保持部3と、筐体2内に配置され推薬保持部3と連通孔2aを有する隔壁21によって仕切られた空間を形成するとともにガスを貯蔵するガス貯蔵部4と、筐体2内に配置され推薬保持部3及びガス貯蔵部4と隔壁21,21′によって仕切られた空間を形成するとともに機器類を格納する機器格納部5と、筐体2に接続されガスを外部に放出するノズル6と、筐体2内に形成されガス貯蔵部4に貯蔵されたガスをノズル6に供給するガス流路7と、筐体2に配置され少なくともガス貯蔵部4を加熱するヒータ8と、を有する。
【0021】
前記筐体2は、例えば、四角形状の底部22と、底部22上に配置された略八角形状の本体部23と、を有している。筐体2は、比強度が高い材料であるアルミニウム合金等により形成されるが、これに限定されるものではない。かかる筐体2の本体部23の内部には空洞が形成されており、上述したように、推薬保持部3、ガス貯蔵部4及び機器格納部5が配置されている。従来は、個々に配置されていた構成部品を一つの筐体2に収容することにより、蒸気噴射装置1をユニット化することができ、複雑な配管接続作業や漏洩点検作業を省力化することができる。なお、筐体2の構造は、削り出し等の機械加工、鋳造又はこれらの組合せによって製作することができる。
【0022】
前記推薬保持部3は、例えば、本体部23の約半分の空間を占めるタンクであり、液体状態の推薬を保持する。推薬には、例えば、液化代替フロンが使用されるが、これに限定されるものではなく、アルコール(メタノール、エタノール)、アルカン(プロパン、ブタン、イソブタン)、無機物質(水)等のように、常温付近で気化するような物質であってもよい。また、比推力(ISP)が高く、難燃性であるような物質であってもよい。
【0023】
また、推薬保持部3は、図3Aに示したように、本体部23の一部を底部22付近まで掘り下げた形状を有しており、上部に蓋部材2bを配置することにより、密封された空間を形成している。蓋部材2bは、ボルト等の締結具によって本体部23に固定されていてもよいし、溶接や接着剤等の接続手段によって本体部23に固定されていてもよい。また、蓋部材2bと本体部23との間にシール材が配置されていてもよい。
【0024】
また、推薬保持部3は、図2A図2B及び図3Aに示したように、ガス貯蔵部4と対峙する位置に配置され推薬を注入又は排出する注排口31と、注排口31を中心にして放射状に配置された複数の推薬保持板32と、を有している。注排口31は、推薬の注入時と残った推薬の排出時にのみ開放され、それ以外の時には密封された状態が保たれている。
【0025】
推薬保持板32は、推薬に表面張力を発生させる板部材であって、推薬保持部3内に所定の間隔で配置される。ここでは、推薬保持板32を放射状に配置した場合を図示しているが、かかる配置に限定されるものではない。一般に、無重力空間において、液体は狭い箇所に集まりやすい傾向がある。かかる性質を利用することにより、図2A図2Bにおいて、一点鎖線で示したように、表面張力によって推薬保持板32に推薬を保持することができ、推薬保持部3内に液体状態の推薬を留めておくことができる。なお、ここでは、推薬保持板32の放射起点を注排口31に設定しているが、推薬保持板32の放射起点と注排口31の位置とがずれた位置に設定されていてもよく、注排口31は底部22に形成されていてもよい。
【0026】
前記ガス貯蔵部4は、例えば、本体部23の約1/4の空間を占めるタンクであり、推薬の気化ガスを貯蔵する。ガス貯蔵部4は、図3Aに示したように、本体部23の一部を底部22付近まで掘り下げた形状の下部構造部により構成されており、中間部に蓋部材2cを配置することにより、機器格納部5から仕切られた空間を形成する隔壁21′が構成されている。蓋部材2cは、ボルト等の締結具によって本体部23に固定されていてもよいし、溶接や接着剤等の接続手段によって本体部23に固定されていてもよいし、蓋部材2cと本体部23との間にシール材が配置されていてもよい。また、ガス貯蔵部4は、隣接する推薬保持部3との間に形成された隔壁21によって仕切られている。
【0027】
なお、図3Aでは、ガス貯蔵部4の周囲の本体部23にガス流路7が形成されているため、ガス貯蔵部4は機器格納部5よりも狭い空間により構成されているが、本体部23の他の部分にガス流路7を形成する十分な空間がある場合には、ガス貯蔵部4は機器格納部5と同等の空間を有していてもよいし、機器格納部5よりも広い空間を有していてもよい。
【0028】
また、ガス貯蔵部4は、図2B及び図3Aに示したように、隔壁21に形成された連通孔2aを介して推薬保持部3と連通しており、推薬保持部3内で気化したガスは蒸気圧によって推薬保持部3から押し出され、連通孔2aからガス貯蔵部4に浸入する。連通孔2aには、液体状態の推薬のガス貯蔵部4への浸入を抑制する網目状のフィルタ41が挿入されている。かかるフィルタ41を配置することにより、液体状態の推薬が推薬保持部3からガス貯蔵部4に移動しようとしても、表面張力によって推薬の浸入を抑制することができる。また、フィルタ41は、推薬保持部3に混入したゴミを回収する機能も有し、ノズル6の目詰まりを抑制することができる。
【0029】
また、ガス貯蔵部4は、ガスを排出する排気口42と、排気口42と連通孔2aとの間に配置されたヒートスプレッダ43と、を有している。排気口42は、例えば、蓋部材2c(隔壁21′)に形成されており、後述するように、ガス貯蔵部4内に貯蔵されたガスは、排気口42から機器格納部5内に配置されたガス送気管51を介してガス流路7に供給される。なお、排気口42は、必ずしも蓋部材2c(隔壁21′)に形成されている必要はなく、本体部23の周壁部に形成されていてもよいし、ガス送気管51を介さずにガス流路7に直にガスを供給できるように形成されていてもよい。
【0030】
ヒートスプレッダ43は、ガス貯蔵部4内に配置された板状部材であって、ヒートスプレッダ43と隣接した位置に配置されたヒータ8によって加熱されている。図3Aに示したように、ヒータ8は、ヒートスプレッダ43の真下の位置に相当する底部22の外側に配置されており、ヒータ8の熱エネルギーは底部22を介してヒートスプレッダ43に伝達される。ヒートスプレッダ43は、ヒータ8によって推薬の沸点よりも高い温度になるまで加熱される。
【0031】
ヒートスプレッダ43は、図2Bに示したように、排気口42を囲うような略コ字状に形成されており、連通孔2aからガス貯蔵部4に浸入したガスはヒートスプレッダ43を迂回しなければ排気口42に到達できないように構成されている。したがって、例えば、連通孔2aから推薬が液体状態のままガス貯蔵部4内に浸入した場合であっても、かかる推薬はヒートスプレッダ43に接触することとなる。ヒートスプレッダ43は十分に加熱されていることから、ヒートスプレッダ43に接触した推薬は容易に蒸発し、ガス化することとなる。すなわち、ヒートスプレッダ43の作動時には、ガス貯蔵部4内は、実質的に常に推薬が気化したガスによって充満される。このように、ガス貯蔵部4内にヒートスプレッダ43を配置することにより、液体状態の推薬がガス貯蔵部4に浸入した場合であっても、推薬が排気口42に浸入する前に蒸発させてガス化することができ、気液分離性能を向上させることができる。なお、ここでは、ヒートスプレッダ43を略コ字状に形成した場合を図示したが、かかる形状に限定されるものではなく、円弧形状やV字形状であってもよい。
【0032】
また、ヒートスプレッダ43は、金網によって板状に形成されたものであってもよい。このとき、金網の網目は、液体を表面張力によって捕捉することができる程度の大きさであることが好ましい。また、金網によって形成されたヒートスプレッダ43を複数並列に配置して液体の通過を抑制するようにしてもよい。
【0033】
前記機器格納部5は、例えば、本体部23の約1/4の空間を占める容器であり、電気系統の配線や温度計等のセンサ類が内部に配置される。機器格納部5は、図3Aに示したように、本体部23の一部を底部22付近まで掘り下げた形状の上部構造部により構成されており、上部に蓋部材2dを配置することにより封鎖される。具体的には、機器格納部5は、隔壁21により推薬保持部3と区画されており、隔壁21′(蓋部材2c)によりガス貯蔵部4と区画されている。蓋部材2dは、ボルト等の締結具によって本体部23に固定されていてもよいし、溶接や接着剤等の接続手段によって本体部23に固定されていてもよい。
【0034】
また、図2A及び図3Aに示したように、排気口42とガス流路7とを接続するガス送気管51を機器格納部5内に配設し、ガス送気管51にガスの噴出を制御する弁体52を配置するようにしてもよい。ガス送気管51は、ガス貯蔵部4内に貯蔵されたガスをガス流路7に供給する配管である。また、弁体52は、いわゆる遮断弁であり、宇宙空間等において蒸気噴射装置1を使用する可能性がある状態では、常に開状態になっており、蒸気噴射装置1に異常が発生した場合、推薬を使い切った場合、蒸気噴射装置1の役目を終えた場合、宇宙空間に到達していない又は離脱した場合等に閉状態に切り替えられる。
【0035】
また、機器格納部5には、例えば、宇宙機等に搭載された電源に接続される電気コネクタ53、推薬保持部3の圧力を計測する圧力センサ54、ガス貯蔵部4の温度を計測する温度センサ55、ヒータ8を制御するサーモスタット56等の機器が配置される。本実施形態に係る蒸気噴射装置1では、ヒータ8によって飽和蒸気圧を制御することによって複雑な機構を有する調圧弁を省略することができる。例えば、サーモスタット56の設定温度をスラスタとして必要な蒸気圧を維持できる温度に設定しておき、圧力センサ54や温度センサ55により推薬保持部3の圧力やガス貯蔵部4の温度を監視することによって、ヒータ8のオン・オフや出力を制御する。圧力センサ54及び温度センサ55は、いずれか一方のみを配置してもよいし、温度や圧力を監視する必要がない場合には省略するようにしてもよい。サーモスタット56は、ヒータ8の制御装置の一例であり、マイクロコントローラ等に変更してもよい。また、機器格納部5に配置される機器類は上述したものに限定されず、例えば、ノズル6の開閉を行うために各ノズル6に装着された推薬弁への電力供給用の電池を配置してもよい等、必要に応じて任意に選択することができる。なお、図3Aでは、説明の便宜上、温度センサ55、サーモスタット56、配線類等の図は省略している。
【0036】
また、機器格納部5は、推薬保持部3やガス貯蔵部4と隔離された空間を形成していることから、本体部23の外部に配置されているノズル6やヒータ8に接続される配線を挿通する開口部57が形成されていてもよい。なお、機器格納部5に配置される部品の種類によっては、開口部57を気密に封鎖するシール材を配置するようにしてもよい。
【0037】
前記ノズル6は、推薬が気化したガスを蒸気噴射装置1の外部に放出する部品であり、例えば、内蔵された電磁弁により開閉制御可能に構成されている。図1A及び図1Bに示したように、ノズル6は筐体2の四隅に配置されているが、かかる配置に限定されるものではない。例えば、ノズル6は、筐体2の四隅の一部にのみ配置されていてもよいし、筐体2の辺部に沿って配置されていてもよい。また、ここでは、ノズル6が筐体2の底部22に対して垂直に接続された場合を図示しているが、底部22に対して傾斜した状態で接続するようにしてもよい。さらに、図示しないが、ガス流路7と連通する配管を介してノズル6を筐体2に接続し、筐体2から離隔した位置にノズル6を配置するようにしてもよい。
【0038】
前記ガス流路7は、筐体2に形成されたマニホールドである。ガス流路7は、一端がガス送気管51に接続されており、他端が各ノズル6に接続されている。このように、筐体2にガス流路7を形成することによって、ノズル6にガスを供給する配管の本数を低減することができ、配管の接続作業や漏洩点検作業の労力を軽減することができる。
【0039】
前記ヒータ8は、推薬に熱エネルギーを与えて蒸発を促す部品である。ここで、図4A図4Bは蒸気噴射装置の詳細を示す図であり、図4Aは下面図、図4Bは筐体の温度勾配図、である。図4Aに示したように、筐体2の底部22の下面には、複数のヒータ8a,8b,8cが配置されている。例えば、ヒータ8aは、ヒートスプレッダ43に対応する位置に配置されており、ヒータ8b,8cは、ガス流路7の末端部に沿った位置に配置されている。ヒータ8aは、ガス貯蔵部4のガスが所定の蒸気圧を維持するようにガス貯蔵部4を加熱するとともに、液体状態の推薬が浸入しないようにヒートスプレッダ43を加熱する機能を有する。また、ヒータ8b,8cは、ノズル6に供給されるガスが液化しないようにガス流路7を加熱する機能を有する。なお、推薬保持部3内の推薬は、ヒータ8の加熱による筐体2の熱伝導により温められて徐々にガス化し、ガス貯蔵部4に供給される。
【0040】
また、図4Bに示したように、ヒータ8(ヒータ8a,8b,8c)は、推薬保持部3よりもガス貯蔵部4の方が高温となるように制御される。図4Bにおいて、縦軸は温度(℃)、横軸は筐体2の位置、を示しており、Pwは隔壁21の位置、Tsは推薬の沸点を示している。ヒータ8(ヒータ8a,8b,8c)を制御することにより、隔壁21の位置Pwで推薬が蒸発するように沸点Tsに達するようにするとともに、ガス貯蔵部4を沸点Tsよりも高温となるように、推薬保持部3を沸点Tsよりも低温となるようにしている。このように温度勾配をつけることにより、液体状態の推薬のガス貯蔵部4への浸入を効果的に抑制することができる。
【0041】
ここで、蒸気噴射装置1のシステム系統図について説明する。図5は、図1に示した蒸気噴射装置のシステム系統図である。図5に示したように、蒸気噴射装置1は、上流側から、液体状態の推薬を保持する推薬保持部3と、気化した推薬のガスを貯蔵するガス貯蔵部4と、ガスを外部に放出して推力を得るノズル6と、を有しており、ガス貯蔵部4とノズル6とはガス流路7により接続されている。また、推薬保持部3には注排口31が配置されており、推薬保持部3とガス貯蔵部4との間にはフィルタ41が配置されており、ガス貯蔵部4内にはヒートスプレッダ43が配置されており、ガス貯蔵部4の下流側には弁体52が配置されている。また、ガス貯蔵部4、ヒートスプレッダ43及びガス流路7を加熱するヒータ8が配置されている。
【0042】
そして、本実施形態に係る蒸気噴射装置1では、上述したシステム系統図に示した各構成部品が全て一つの筐体2に集約された状態で配置されている。したがって、従来は分離した状態で配置された各構成部品をユニット化することができ、装置の小型化及び簡素化を図ることができる。
【0043】
次に、上述した蒸気噴射装置1の使用方法について説明する。ここで、図6A図6Fは、図1に示した蒸気噴射装置の使用状態を示す図であり、図6Aは第一例、図6Bは第二例、図6Cは第三例、図6Dは第四例、図6Eは第五例、図6Fは第六例、を示している。
【0044】
図6Aに示した使用状態の第一例は、一つの蒸気噴射装置1を小型衛星等の宇宙機10の一面に配置したものである。宇宙機10は、例えば、一辺が10cm程度〜数m程度の大きさを有する立方体又は直方体の形状を有しており、その一面に蒸気噴射装置1の底部22が接続される。
【0045】
図6Bに示した使用状態の第二例は、一対の蒸気噴射装置1を小型衛星等の宇宙機10の一面に配置したものである。宇宙機10は、例えば、一辺が数十cm以上の大きさを有する立方体又は直方体の形状を有しており、その一面に形成された台座11上に蒸気噴射装置1が接続される。台座11は、例えば、蒸気噴射装置1が互いに外側を向くように傾斜している。なお、台座11を省略して、蒸気噴射装置1に配置されるノズル6の据付角度を調整することにより、所望の方向に蒸気を噴射できるようにしてもよい。
【0046】
また、宇宙機10は、不規則な運動をしているスペースデブリを捕獲して減速させることによって軌道上から除去するスペースデブリ除去装置であってもよい。スペースデブリ除去装置は、例えば、スペースデブリに接近するための推進装置と、スペースデブリに接続するための接続装置と、宇宙空間に導電性テザー12を伸展させてスペースデブリを減速させる減速装置と、外面に配置された太陽電池パネル13と、を有している。スペースデブリ除去装置は、導電性テザー12を使用することによって、導電性テザー12に流れる電流と磁場との関係から、導電性テザー12にローレンツ力が作用するという原理を用いて、導電性テザー12を地球に向かって引っ張る力を発生させることにより、スペースデブリを減速させる。なお、図6Bに示した太陽電池パネル13の搭載方法は、単なる一例であり、かかる構成に限定されるものではなく、例えば、太陽電池パドルとして宇宙機10に搭載されていてもよい。
【0047】
図6Cに示した使用状態の第三例は、一対の蒸気噴射装置1をスペースデブリ除去装置等の宇宙機10の一面に対峙するように配置したものである。蒸気噴射装置1は、例えば、筐体2の四隅のうち、内側の二箇所にのみノズル6が配置される。例えば、宇宙機10がスペースデブリ除去装置の場合、蒸気噴射装置1は、導電性テザー12を放出する開口部14を挟む位置に配置される。なお、蒸気噴射装置1におけるノズル6の配置は任意であり、例えば、筐体2の四隅のうち一箇所にのみ配置されていてもよいし、二箇所にのみ配置されていてもよいし、三箇所又は四箇所全てに配置されていてもよい。
【0048】
図6Dに示した使用状態の第四例は、四つの蒸気噴射装置1をスペースデブリ除去装置等の宇宙機10の一面の対角線上に配置したものである。蒸気噴射装置1は、例えば、筐体2の四隅のうち、開口部14に最も近い箇所にのみノズル6が配置される。なお、蒸気噴射装置1におけるノズル6の配置及び個数は任意であり、例えば、開口部14から最も離れた箇所にのみノズル6が配置されていてもよいし、筐体2の四隅のうち最も離れた箇所を除く三箇所に配置されていてもよいし、四箇所全てに配置されていてもよい。
【0049】
図6Eに示した使用状態の第五例は、蒸気噴射装置1の本体部23上に小型衛星等の宇宙機10を配置したものである。第五例の使用状態は、宇宙機10の外形が、蒸気噴射装置1の本体部23と同じ又はそれよりも小さい形状を有する場合やノズル6と干渉しない形状を有する場合に適用することができる。
【0050】
図6Fに示した使用状態の第六例は、小型衛星等の宇宙機10の一面に側方に拡張した拡張部15を形成し、この拡張部15に複数の蒸気噴射装置1を配置したものである。拡張部15は、外周全体が拡張された円形状又は多角形状のフランジ部材であってもよいし、蒸気噴射装置1の支持に必要な部分だけ拡張されたブーム部材であってもよい。
【0051】
続いて、本発明の他の実施形態に係る蒸気噴射装置1について、図7A図7Bを参照しつつ説明する。ここで、図7A図7Bは、本発明の他の実施形態に係る蒸気噴射装置を示す垂直断面図であり、図7Aは第二実施形態、図7Bは第三実施形態、を示している。なお、図1A図5に示した第一実施形態に係る蒸気噴射装置1と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0052】
図7A及び図7Bに示した実施形態は、筐体2が同型形状の増設モジュール100と積層可能に構成されているものである。図7Aに示した第二実施形態に係る蒸気噴射装置1は、増設モジュール100として、推薬を収納した増設タンク101と、バッテリ102aを搭載したバッテリモジュール102と、を積層したものである。また、図7Bに示した第三実施形態に係る蒸気噴射装置1は、増設モジュール100として、カメラ103aを搭載したモニタリングモジュール103を積層したものである。
【0053】
図7Aに示した増設タンク101は、例えば、筐体2と同じ高さ(厚さ)を有していてもよいし、必要な推薬の分量に応じた高さ(厚さ)を有していてもよい。このように、増設タンク101を積層する場合には、筐体2の底部と増設タンク101の上部に推薬保持部3と増設タンク101とを連通させる流体コネクタ101aが配置される。
【0054】
図7Aに示したバッテリモジュール102は、例えば、筐体2と同じ高さ(厚さ)を有していてもよいし、必要なバッテリ102aの分量に応じた高さ(厚さ)を有していてもよい。このように、バッテリモジュール102を積層する場合には、筐体2の底部とバッテリモジュール102の上部に電気的に接続可能な電気コネクタ102bが配置される。また、筐体2とバッテリモジュール102との間に他の増設モジュール100(例えば、増設タンク101)が介在する場合には、中間に配置される増設モジュール100にも中継地点を構成する電気コネクタ102bが配置される。
【0055】
図7Bに示したモニタリングモジュール103は、外方に延出されたフランジ部103bにCCDカメラ等のカメラ103aが埋設されており、モジュール内に制御部103cが配置されている。モニタリングモジュール103は、カメラ103aの撮像画像によって個々のノズル6の開閉を制御するための情報を得たり、かかる情報を得ると同時にノズル6の開閉を制御したりすることができる。カメラ103aは、監視機器の一例に過ぎず、静止画情報を取得できる機器であってもよいし、動画情報を取得できる機器であってもよい。また、モニタリングモジュール103には、対象物との相対的な位置関係を認識可能なレーザレーダや自己の姿勢を検出可能なジャイロ等のような計測機器を、カメラ103aに替えて又は一緒に搭載させるようにしてもよい。
【0056】
本実施形態では、推薬保持部3、ガス貯蔵部4及び機器格納部5を一つの筐体2内に配置したことにより、同型形状の増設モジュール100と積層可能に構成することができ、増設タンク101、バッテリモジュール102、モニタリングモジュール103等の増設モジュール100を容易に積層することができ、蒸気噴射装置1の性能アップや機能追加を容易に行うことができ、利便性を向上させることができる。
【0057】
なお、増設モジュール100は、上述した増設タンク101、バッテリモジュール102及びモニタリングモジュール103に限定されるものではなく、追加したい機能に応じて筐体2と同型形状の箱型形状とすることにより任意のモジュール(例えば、蒸気噴射装置1の弁駆動回路、蒸気噴射装置1や増設モジュール100に搭載された機器等の制御回路を内蔵した制御モジュール、ジャイロ等を備えた姿勢制御モジュール等)を積層することができる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、推薬保持部3、ガス貯蔵部4及び機器格納部5の配置は上下方向又は左右方向に形成された三層構造であってもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 蒸気噴射装置
2 筐体
2a 連通孔
3 推薬保持部
4 ガス貯蔵部
5 機器格納部
6 ノズル
7 ガス流路
8,8a,8b,8c ヒータ
21,21′ 隔壁
31 注排口
32 推薬保持板
41 フィルタ
42 排気口
43 ヒートスプレッダ
51 ガス送気管
52 弁体
100 増設モジュール
101 増設タンク
102 バッテリモジュール
103 モニタリングモジュール
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B