【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載のマイクロエレクトロニクスセンサデバイス、請求項19に記載のキャリア、請求項20に記載のウエルプレート、及び請求項28に記載の方法によって実現される。好適実施例は従属請求項に開示されている。
【0007】
本発明によるマイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、ラベル粒子を有する標的成分の定性的又は定量的検出を行うように機能する。前記標的成分とはたとえば、生体分子、複合体、細胞組織片、又は細胞のような生体物質であって良い。「ラベル粒子」という語は、ある特性(たとえば光学密度、磁気感受率、電荷、蛍光、放射化率等)を有する粒子(原子、分子、複合体、ナノ粒子、マイクロ粒子等)を指し示す。その特性は検出可能であるので、前記の関連する標的成分の存在を間接的に明らかにする。当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは以下の構成要素を有する。
a) 標的成分の収集が可能な結合表面を備えたキャリア。「結合表面」という語は本願においては、前記キャリア表面の特定部分を意味するものとして選ばれる。実際多くの用途において、前記標的成分は前記表面に結合するが、このことは必ずしも必要というわけではない。必要なことは、前記標的成分が前記結合表面に到達して収集されうることである(典型的には、前記標的成分に関連するパラメータ、該標的成分と前記結合表面との相互作用に関連するパラメータ、該標的成分の移動度に関連するパラメータによって決定される濃度である)。前記キャリアは、所与のスペクトル範囲-特に以降で定義される光源によって放出される光-に対して高い透過率を有していなければならない。前記キャリアはたとえば、ガラス又は透明プラスチックから製造されて良い。
b) 前記キャリアへ光ビーム-以降では「入射光ビーム」と呼ぶ-を照射する光源。前記入射光ビームは、前記キャリアの結合表面の検査領域内で内部全反射する。前記光源はたとえば、レーザー又は発光ダイオード(LED)であって良く、任意で前記入射光ビームの整形及び導光を行う光学系が備えられて良い。「検査領域」とは、前記結合表面の一部の領域であって良いし、又は結合表面全体を有していても良い。前記検査領域は一般的には、前記入射光ビームによって照射される実質的に円形のスポット形状を有する。しかも内部全反射を起こすには、前記キャリアの屈折率が前記結合表面に隣接する材料の屈折率よりも大きい必要があることに留意すべきである。これはたとえば、前記キャリアがガラスで作られていて、かつ前記隣接する材料が水(n=1.3)である場合が該当する。さらに、「内部全反射」という語は、入射光の一部が反射過程中に失われる(吸収、散乱等)、所謂「減衰内部全反射」の場合も含むことに留意して欲しい。
c) 「射出光ビーム」の光の量を決定する光検出器。前記射出光ビームには、前記入射光ビームの内部全反射から生じる光が含まれる。前記射出光ビームが内部全反射光の全てを含む必要はなく(たとえ全て含むことが好ましいとしても)、この光の一部はたとえば他の目的に用いられても良いし、又は単純に失われても良い。あるいは前記射出光ビームは、内部全反射光で完全に構成される必要もない。たとえば散乱光又は蛍光が含まれても良い。
【0008】
検出器は、所与のスペクトルの検出が適切なセンサ又は複数のセンサを有して良い。そのようなセンサの例には、フォトダイオード、フォトレジスタ、太陽電池、CCDチップ、又は光電子増倍管がある。
【0009】
当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、前記結合表面での検査領域内の標的成分の敏感かつ正確な定量的又は定性的検出を可能にする。これは、前記内部全反射光ビームが、前記キャリア表面から短い距離だけ前記隣接材料へ入り込むエバネッセント波を発生させるためである。このエバネッセント光波が前記結合表面に存在する標的成分に結合するラベル粒子によって散乱又は吸収される場合、このエバネッセント光波は前記射出光ビームでは失われる。従って前記射出光ビームでの光の量(より厳密には前記入射光ビームと比較して前記射出光ビームで失われた光の量)は、前記結合表面でのラベル粒子の存在及び量を示す。説明された光学検出手法の一の利点は精度を有することである。その理由は、前記エバネッセント波は、前記結合表面の直上で典型的な厚さがわずか10〜300nmである小さな体積しか利用しないため、この体積の後方に位置するバルク材料からの妨害が回避されるからである。高感度は、反射光を測定するときに実現される。その理由は、内部全反射光の量を減少させる効果が検出されるからである。しかも前記光学検出は任意で間隔を空けて-つまり前記キャリアと前記光源又は光検出器とが機械的に接触しない状態で-実行されて良い。
【0010】
当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、前記標的成分に結合する前記ラベル粒子が巨視的な散乱粒子及び/又は吸収粒子であるときに、前記内部全反射光ビームが減衰し、その結果前記内部全反射光強度が減少するように設計されて良い。
【0011】
好適実施例では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、ラベル粒子に影響を及ぼすことができる磁場及び/又は電場を発生させる電磁場発生装置を有する。その電磁場発生装置はたとえば、永久磁石、ワイヤ、一対の電極、又はコイルによって実現されて良い。発生した電磁場は、磁化若しくは分極を誘起することによって、及び/又は力を加えることによってラベル粒子に影響を及ぼして良い。当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、電磁場による標的成分の様々な操作を可能にする。前記電磁場による標的成分の様々な操作は、結合表面での標的成分の収集の加速、及び/又は結合表面からの意図しない成分(未結合のもの、ストリンジェンシー検査に用いられたもの、弱く結合したもの)の除去に用いられて良い。
【0012】
一般的な場合では、結合表面側のキャリアに隣接する空間は任意に設計されて良い。たとえば、この空間は当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスの外部であることが可能であり、標的成分は噴霧又は塗布によって結合表面に堆積され、かつその空間はまた、たとえば大気圧で標的成分を検出するため外界に対して開いていることも可能である。しかも標的成分は、たとえば拡散によってキャリアを介して結合表面に到達することが可能である。しかし本発明の好適実施例では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは結合表面に隣接して設けられる試料チャンバを有し、かつその試料チャンバ内には標的成分を有する試料が供されて良い。その試料チャンバは典型的には空のキャビティであるか、又は試料物質を吸収できるゲルのようなある種の物質で満たされたキャビティである。そのキャビティは開いたキャビティ、閉じたキャビティ、又は流体接続チャネルによって他のキャビティと接続するキャビティであって良い。
【0013】
既に述べたように、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、標的成分の定性的検出に用いられて良い。それによりたとえば、特定の標的分子に対する単純な2値応答が得られる(「存在する」又は「存在しない」)。しかし好適には当該センサデバイスは、検出された出力光ビームから検査領域内の標的成分の量を定量的に決定する評価モジュールを有する。これはたとえば、ラベル粒子によって吸収又は散乱されるエバネッセント光波での光の量が、検査領域内でのラベル粒子に結合する標的成分の濃度に比例するという事実に基づく。検査領域内での標的成分の量は、関係する結合過程の動力学により、隣接する試料流体内でのこれらの成分の濃度を示すことができる。
【0014】
上記実施例のさらなる発展型では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、観察期間にわたって出力光ビームの決定された光の量を観測する記録モジュールを有する。よって、結合表面への標的成分の収集又はその結合表面からの標的成分の脱離に係る動力学を観測することが可能である。これにより、標的成分及び/又は周囲の条件についての貴重な情報を明らかにすることができる。評価モジュール及び/又は記録モジュールは典型的には光検出器と結合し、かつデータ処理ハードウエア-たとえば関連ソフトウエアが付属したマイクロコンピュータ-によって実現されて良い。
【0015】
ここで当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスの説明には、結合表面上に検査領域が1箇所しか存在しない場合も含まれる。以降では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスの複数の実施例について検討する。その実施例では、キャリアは、様々な入射光ビームが内部全反射可能な複数の検査領域を有する。よって1つのキャリアで、複数の検査領域の処理、つまりたとえば様々な標的成分の探索、様々な条件下での同一標的成分の観察、及び/又は統計目的での複数の測定のサンプリングが可能となる。「様々な入射光ビーム」は任意で、光源によって均一に生成される一の広い光ビームの成分であって良い。
【0016】
上述の実施例に用いられる様々な入射光ビームは、時間に対して異なっていて良い。これはたとえば、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスが、様々な検査領域に対して光源を順次結合する走査モジュールを有する場合に該当する。あるいはその代わりに、又はそれに加えて、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、結合表面上の様々な検査領域に対して光検出器を光学的に結合する走査モジュールを有して良い。その走査モジュールはたとえば、入射光ビーム又は射出光ビームを適切に導光するレンズ又はミラーのような光学部品を有して良い。その走査モジュールはまた、光源及び/又は光検出器に対してキャリアを動かす手段をも有して良い。
【0017】
複数の検査領域を備えた当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスの他の実施例では、複数の光源及び/又は複数の光検出器が存在する。前記複数の光源及び/又は複数の光検出器は結合表面の様々な検査領域に関連する。この場合、複数の検査領域を同時に処理することで、関連する測定処理の処理速度を向上させることが可能である。この実施例は当然のこととしてこれまでに説明してきた実施例と組み合わせられて良い。つまりたとえば、検査領域の様々なアレイ全体にわたって複数の光源の入射光ビームを走査させる走査モジュール、及び/又は、射出光ビームを検査領域の様々なアレイから複数の光検出器へ導光する走査モジュールが存在して良い。走査モジュールを用いることによって、光源/光検出器の数は、検査領域の数よりも少ない状態に維持することが可能である。
【0018】
複数の検査領域を有する他の実施例では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、様々な検査領域に関連する個別に制御可能な複数の(電磁)場発生装置を有する。この場合では、実行される特定の試験の要件に従って、各検査領域内のラベル粒子を個別的に操作することが可能である。
【0019】
当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは原則として、如何なる種類のラベル粒子と共に用いられても良い。しかし当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスには、当該デバイスの他の成分に対して選択的に適合するラベル粒子が供されることが好ましい。当該センサデバイスは特に透明材料の覆いを備えたラベル粒子を有して良い。その覆いは典型的には、他の材料-たとえば鉄酸化物のグレイン-からなる1つ以上の核を(完全又は部分的に)覆う。この場合、結合表面でのエバネッセント光波の光はすぐにラベル粒子へ入り込むことができる。そのラベル粒子では、その光は吸収及び/又は散乱されることで、射出光ビームとして失われる。その覆いの透明材料は特に、キャリアの材料と同じ屈折率を有する材料であって良い。なぜならこれにより、キャリアからラベル粒子への光の遷移が最適化されるからである。その覆いはたとえばキャリアと同じ材料で構成されても良い。
【0020】
当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは任意で、結合表面の標的成分によって放出される蛍光を(定性的又は定量的に)決定する「第2光検出器」を有して良い。その蛍光は、結合表面に隣接する小さな体積内での入射光ビームのエバネッセント波によって刺激され、その後検出されて良い。それにより蛍光標的成分の存在(及び量)が表される。
【0021】
本発明の他の実施例では、当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、入射光ビームでの光の量を決定する入射光観測センサを有する。これにより、射出光ビームの測定を(定量的に)評価する間に前記量を考慮すること、及び/又はフィードバックループにおいて入射光ビームを制御するが可能となる。
【0022】
入射光観測センサは光源と一体化されて良い。一体化されることで、頑丈かつ小型の設計が供される。係る一体化はフィードバック制御ループでの一体化にとっても好ましい。あるいはその代わりに入射光観測センサ(又はその一部)が、独立した部品として光源の外部に設けられても良い。後者の配置は、このセンサの測定が、実際の入射光ビームがキャリアへ入り込む際、その光ビームを良好に集光できるという利点を有する。その理由は、観測測定は、典型的には光源の光路中に存在する光学素子-たとえばレンズ又はピンホール-の後方で行われるためである。
【0023】
入射光観測センサの測定結果が、光検出器によって決定される射出光ビームでの光の量に関係づけられて良いということはすでに述べた。従って当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスは、係る関係付けを行うように備えられた評価モジュールを有して良い。この目的のため、その評価モジュールには一般的に、決定された光の量を表す入射光観測センサ及び光検出器からの信号が供される。その評価モジュールは任意でこれらの信号を処理-たとえば(ローパスフィルタリングによる)フィルタリング-して良い。好適実施例では、射出光ビームでの光の量は入射光ビームでの光の量によって規格化される。それによって、結果が光源の出力変化とは独立する。
【0024】
本発明の他の実施例では、光源は、偏光入射光ビーム-特に直線偏光した入射光ビーム-を生成するように備えられている。偏光ビームでは、電場(つまりは関連する磁場の)ベクトルは、光ビームの伝播方向に対して垂直な面内でランダムに配向せず、規則的な配向を有する。この配向は、直線偏光ビームについては空間内で一定であり、かつ円偏光又は楕円偏光ビームについては規則的に回転する。偏光するように入射光ビームを発生させることで、この入射光ビームには、他のもの-たとえば光路中の光学部品又は被検出標的粒子-とこのビームとの相互作用に影響を及ぼす固有内部特性が供される。これにより好適に利用可能な様々な可能性が開かれる。様々な可能性とはたとえば、入射光ビームに起因する射出光ビームでの光を、他の発生源-たとえば大気-からの入射光ビームと区別する可能性である。
【0025】
上述した実施例の好適実現型では、入射光ビームは、その入射光ビームがキャリアへ入り込む入射窓に対して、入射面内で直線偏光を有する。それに加えて又はその代わりに、射出光ビームは、その射出光ビームがキャリアを飛び出す射出窓に対して、入射面内で直線偏光を有しても良い。通常、光ビームの「入射面」とは、前記光ビームを含み、かつ前記光ビームが衝突する表面に垂直な面を意味する。光ビームがキャリア表面に衝突するとき、その光の(わずかな)一部分は通常反射される。他の目的ではこの光は失われるという事実に加えて、係る反射の欠点は、他の構成要素-たとえば光源内の光検出器又はレーザー-を妨害する恐れがあることである。従ってキャリアの入射窓又は射出窓で反射される光の量を減少させることが望ましい。そのような減少は、入射光ビーム及び/又は射出光ビームが説明した偏光を有するように提案された設定によって可能である。
【0026】
本発明の好適実施例では、入射光ビームがキャリアへ入り込む際に通り抜ける入射窓はその入射光ビームに対してブリュースター角をなすように設けられ、かつ/又は、射出光ビームがキャリアを飛び出す際に通り抜ける射出窓はその射出光ビームに対してブリュースター角をなすように設けられる。光学から周知であるように、入射面内で直線偏光した入射光ビームが対応するブリュースター角で表面に衝突する場合に反射ビームは消滅する。この実施例が上述の実施例(直線偏光した入射光ビームを有する実施例)と組み合わせられる場合、キャリアの入射窓又は射出窓での反射を完全に抑制できる。特別な設定についてのブリュースター角は、ブリュースター角で入射する場合、屈折光ビームと(抑制された)反射光ビームとが90°をなすという事実から計算できる。
【0027】
本発明はさらに被検査試料を供するキャリアに関する。前記キャリアは特に、上述した型のマイクロエレクトロニクスセンサデバイス用キャリアに適していると思われる。そのキャリアは試料チャンバを有する。その試料チャンバには試料が供されて良い。その試料チャンバは透明な検査壁を有する。その透明壁は、試料の成分を収集することのできる結合表面を内側に有する。外側では、検査壁は少なくとも1つの光学構造を有する。その光学構造は次のように設計される。
(i) キャリアの外側から光学構造へ導光される入射光ビームは検査壁に入り込む。
(ii) 前記入射光ビームは(少なくとも1回は)結合表面の検査領域内で内部全反射する。
(iii) 結合表面の標的成分によって放出される内部全反射光及び/又は蛍光の少なくとも一部を含む射出光ビームは、好適にはキャリアから遠ざかる方向に、光学構造を通り抜けて検査壁を飛び出す。
【0028】
検査壁は典型的には、実質的に平行な内側表面及び外側表面を備えたプレートの基本形状を有する。内側表面は結合表面を有する。光学構造は外側表面から外側へ向かって突き出ている。しかも検査壁は原則として試料チャンバ壁のどの部分-たとえば側壁又は上部-であっても良い。しかし検査壁はキャリア底部の一部(又は全部)であることが好ましい。検査壁はキャリア底部の一部(又は全部)であることには2つの利点があるからである。第1は、沈殿を起こす試料成分が底部の結合表面に集中することである。第2は、関連する装置の部品を前記底部の下に設けることが可能なため、他のキャリアを配置できるようにキャリア側に空間を設けることができる。
【0029】
記載したキャリアは、その試料チャンバ内部に存在する試料は、内部全反射する入射光ビームによって光学的に検査可能であるため、結合表面のわずかな体積内にエバネッセント場が供される、という利点を有する。この小さな体積内で起こる効果-たとえば吸収又は散乱-は、キャリアを飛び出す射出光ビームに影響を及ぼす。それに加えて、蛍光は蛍光標的成分内のエバネッセント波によって刺激されうるので、その蛍光は標的をさらに表すものとなる。入射光ビームと射出光ビームのいずれも外側からキャリアへ向かって、又はその反対に導光されるので、対応する光源及び光検出器は、距離を置いて配置されて良いし、かつキャリアから離されて良い。
【0030】
本発明はさらに、上述した型の複数のキャリアを有するウエルプレートに関する。上述した型の複数のキャリアとはつまり、内側に結合表面を有し、かつ外側に少なくとも1つの光学構造を有する透明な検査壁を備えた複数の試料チャンバである。前記光学構造は、キャリアの外側からの入射光ビームが、検査壁へ入射し、結合表面で内部全反射し、かつキャリアから遠ざかる射出光ビームとして検査壁を飛び出すことを可能にする。
【0031】
ウエルプレートは、アレイ内で上述した複数のキャリアを1つにするので、多数の試料の並列検査、及び/又は多数の検査アッセイでの1つの試料の並列検査を可能にする。ウエルプレートが記載したキャリアに基づくので、さらなる詳細については、前記ウエルプレートの利点、特徴、及び改良についての上記記載を参照して欲しい。
【0032】
以降では上述した型のマイクロエレクトロニクスセンサデバイス、キャリア、及びウエルプレートに適用可能な本発明の様々な実施例について説明する。
【0033】
キャリアが様々な材料からなる多数の成分を有する専用の構造を有することが可能である一方で、そのキャリアは、透明材料-たとえば透明プラスチック-から均一に作製されることが好ましい。よってそのキャリアは、たとえば注入成形によってすぐに作製されて良い。
【0034】
(減衰)内部全反射への意図しない影響を最小限に抑制するため、キャリアの検査領域の粗さは小さいことが好ましい。λは入射光ビームを構成する光の特徴的な(ピーク又は平均)波長であり、検査領域の粗さは0.5λ未満であることが好ましく、0.1λ未満であることがより好ましい(これは、検査領域内でのキャリア表面の微視的な「谷」と「頂上」との高さの差がこれらの値よりも小さいことを意味する)。
【0035】
キャリアの検査領域は任意で、1つ以上の標的成分と結合可能な少なくとも1種類の捕獲分子によって覆われて良い。係る捕獲分子の典型例は、対応する光源が選択的に結合可能な抗体である。ある特定の標的成分に対して選択的な捕獲分子を検査領域へ供することによって、その検査領域内でのこれらの標的成分の濃度を選択的に増大させることが可能である。しかも意図しない標的成分は、適切な(たとえば磁気的な)反発力(意図した標的成分と捕獲分子との間の結合は壊さない)によって、結合表面から取り除くことが可能である。好適にはその結合表面には、各異なる標的成分に対して選択的な複数の型の捕獲分子が供されて良い。複数の検査領域が備えられたマイクロエレクトロニクスセンサデバイスでは、各異なる捕獲分子を有する少なくとも2つの検査領域が存在することで、これらの領域が各異なる標的成分に対して選択的となることが好ましい。
【0036】
本発明の他の実施例によると、キャリアの表面は、入射窓での入射光ビーム及び/又は射出窓での射出光ビームに対して実質的に垂直である。これらのビームは、入射窓からキャリアへ入り込み、又は射出窓からキャリアを飛び出す。つまり入射角は約90°±5°の範囲内に属する。この場合、入射光ビーム及び/又は射出光ビームの方向は、周囲の媒質からキャリアへ遷移する間、又はその逆方向に遷移する間では、変化しないか、又はわずかしか変化しない。しかも反射は最小限に抑制される。それに加えて又はその代わりに、対応する領域もまた反射防止コーティングを有して良い。光源(たとえばレーザー)への光フィードバックを防止するため、入射ビームを(最大でも)数度軸から外すことが好ましいと考えられる。
【0037】
キャリアは特に、半球又は切頭ピラミッドと同様又は同一の形状を有する少なくとも1つの表面を有して良い。図を参照してより詳細に論じられているように、これらの形状はレンズ及び/又はプリズムのように機能するので、入射及び射出光ビームを好適に導光する。
【0038】
そのキャリアはさらに任意で、(電磁)場発生装置の少なくとも一部が内部に設けられたキャビティを有して良い。よってその電磁場源は、可能な限り結合表面に近づけて位置設定されて良い。それにより、作用(たとえば電流)が最小で、かつ他の領域(隣接する検査領域)への外乱が最小の検査領域内での高い電磁場強度の発生を可能にする。しかも係るキャビティは、電磁場発生装置、光源、及び光検出器に対してキャリアを中心とするのに用いられて良い。
【0039】
当該マイクロエレクトロニクスセンサデバイスが原理的には、硬くマウントされた複数の部品からなる「一部品」ユニットとして構成されて良い。前記キャリアは当該デバイスの交換可能部品-たとえばウエルプレート-として設計されることが好ましい。よって前記キャリアは、当該デバイスの交換可能な部品-たとえばウエルプレート-として設計されることが好ましい。よって前記キャリアは、低コストの使い捨て部品として用いられて良い。これは、前記キャリアが生体試料と接する場合、又は(たとえば抗体による)コーティングが1回の測定過程中に使い尽くされる場合に、特に有効である。
【0040】
本発明はさらに、ラベル粒子を有する標的成分の検出方法に関する。当該方法は以下の工程を有する。
a) キャリアの結合表面に標的成分を収集する工程、
b) 前記キャリアへ入り込んで、前記結合表面の検査領域内で内部全反射する入射光ビームを検出する工程、及び
c) 前記入射光ビームのうちの内部全反射光の少なくとも一部を含む射出光ビームの光の量を決定する工程、
を有する。前記射出光ビームは前記内部全反射光のみを含むことが好ましい。
【0041】
当該方法は、一般的な形式として、上述の型のマイクロエレクトロニクスセンサデバイスで実行可能な工程を有する。従って、さらなる詳細な情報については、当該方法の利点、特徴、及び改良についての上記記載を参照して欲しい。
【0042】
当該方法の実施例では、ラベル粒子は、磁場及び/又は電場によって操作される。この操作は特に、検査領域への粒子の引き付け、又は前記検査領域からの前記粒子の引き離しを有して良い。
【0043】
当該方法の他の実施例では、入射光ビームでの光の量が、測定され、かつ射出光ビームでの光の測定量に関連づけられる。よって入射光ビームでの強度変化が検出可能で、かつたとえば射出光ビームの測定量を補正するのに用いられて良い。それにより測定結果は、入射光のゆらぎの影響を受けなくなる。
【0044】
本発明のこれら及び他の態様は以降で説明する(複数の)実施例を参照することで明らかになる。これらの実施例は添付図面の助けを借りた例示によって説明される。