特許第6019164号(P6019164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019164
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】足場構築用伸縮管
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/06 20060101AFI20161020BHJP
   F16B 37/06 20060101ALI20161020BHJP
   F16B 7/14 20060101ALI20161020BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E04G5/06 A
   F16B37/06 A
   F16B7/14 E
   B23K9/00 501B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-86470(P2015-86470)
(22)【出願日】2015年4月21日
(62)【分割の表示】特願2011-93094(P2011-93094)の分割
【原出願日】2011年4月19日
(65)【公開番号】特開2015-172326(P2015-172326A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】夛田 朋幸
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−059521(JP,U)
【文献】 実開平01−089539(JP,U)
【文献】 実開昭58−011548(JP,U)
【文献】 実公昭56−003486(JP,Y2)
【文献】 特開平10−153205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/06
F16B 37/00,37/06
F16B 7/00−7/22
F16B 9/00−11/00
B23K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管(4)に内管(5)を摺動自在に内嵌することにより伸縮自在な伸縮管(6)を構成し、前記外管(4)に固着したナット手段(18)にボルト手段(19)を進退自在に螺合し、外管の導入孔(32)を挿通するボルト手段(19)の先端を前記内管(5)に係止固定するように構成した足場構築用伸縮管において、
前記ナット手段(18)は、前記外管(4)の軸方向に沿う第1幅W1を有する端面部(20)と前記外管(4)の径方向に沿う第2幅W2を有する側面部(21)を備えた矩形の盤状体(22)を構成し、前記盤状体(22)の上面に第2幅W2の方向に向けて円弧状に凹入する接合面(23)を形成すると共に、該接合面(23)の両側に上面を平坦面として第2幅W2の方向に延長された翼部(24,24)を備えており、
前記接合面(23)を前記外管(4)の外周面の円弧面に当接させると共に、前記翼部(24)と前記外管(4)の外周面の間に形成される溝部(27)を介して溶接固着されて成ることを特徴とする足場構築用伸縮管。
【請求項2】
前記ナット手段(18)の翼部(24)と前記外管(4)の外周面の間に形成された溝部(27)に溶加材(26)が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の足場構築用伸縮管。
【請求項3】
前記ナット手段(18)は、前記盤状体(22)の第1幅W1と第2幅W2をW1<W2とするように形成すると共に、前記接合面(23)を外管(4)の外周面の円弧面に沿わされる円弧状に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場構築用伸縮管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等において足場を構築する際に使用する伸縮に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、建設現場等における仮設足場に使用される伸縮ブラケットは、足場の支柱に着脱自在に取付けられた状態で該支柱から水平方向に突出する外管と、前記外管に摺動自在に内嵌された内管とにより、前記突出方向に伸縮自在とされる伸縮管を構成しており、前記外管に固着したナット手段にボルト手段のボルト軸部を進退自在に螺合し、外管の導入孔を挿通するボルト軸部の先端を内管に係止固定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−309029号公報
【特許文献2】特開2002−256695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の伸縮は、外管に対して内管を伸縮させた状態で、前記ボルト手段をナット手段にねじ込み締着することにより、外管と内管を相互に固定される。ボルト手段は、ボルト軸部を外管に固着されたナット手段に進退自在に螺合されており、ナット手段に締着したとき、外管の導入孔を挿通させられたボルト軸部の先端を内管の外表面に圧接させることにより、外管と内管を相互に伸縮不能に係止固定するように構成されている。
【0005】
伸縮管を所定長さとなるように伸縮させる場合は、ボルト手段を弛め、ボルト軸部の先端を内管の外表面から離反して係止固定を解除し、外管に対して内管を摺動させた後、再度、ボルト手段を締着すれば良い。
【0006】
しかしながら、前記ナット手段は、汎用の六角ナットを外管に溶接固着することにより構成されている。汎用の六角ナットは、溶接のために外管の外周面の円弧面に当接させたとき、該六角ナットと外管の相互に形成される隙間が極めて狭小なため、該隙間に溶接棒等の溶加材を充填させることが困難であり、溶接作業が容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決した足場構築用伸縮を提供するものであり、その手段として構成したところは、外管に内管を摺動自在に内嵌することにより伸縮自在な伸縮管を構成し、前記外管に固着したナット手段にボルト手段を進退自在に螺合し、外管の導入孔を挿通するボルト手段の先端を前記内管に係止固定するように構成した足場構築用伸縮管において、前記ナット手段は、前記外管の軸方向に沿う第1幅W1を有する端面部と前記外管の径方向に沿う第2幅W2を有する側面部を備えた矩形の盤状体を構成し、前記盤状体の上面に第2幅W2の方向に向けて円弧状に凹入する接合面を形成すると共に、該接合面の両側に上面を平坦面として第2幅W2の方向に延長された翼部を備えており、前記接合面を前記外管の外周面の円弧面に当接させると共に、前記翼部と前記外管の外周面の間に形成される溝部を介して溶接固着されて成る点にある。
【0008】
従って、前記ナット手段の翼部と前記外管の外周面の間に形成された溝部に溶加材が充填されている
【0009】
この際、前記ナット手段は、前記盤状体の第1幅W1と第2幅W2をW1<W2とするように形成すると共に、前記接合面を外管の外周面の円弧面に沿わされる円弧状に形成していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外管4に内管5を摺動自在に内嵌することにより伸縮自在な伸縮管6を構成し、前記外管4に固着したナット手段18にボルト手段19を進退自在に螺合し、外管4の導入孔32を挿通するボルト手段19の先端を前記内管5に係止固定するように構成した足場構築用伸縮管を提供するに際し、前記ナット手段18は、盤状体22の円弧面とされた接合面23を外管4の外周面の円弧面に当接させた状態で、該接合面23の両側に上面を平坦面とした翼部24を延設し、該翼部24と外管4の外周面の間に広くかつ深い溝部27を形成するので、該溝部27に溶加材26を充填させることにより、溶接の作業が容易となり、しかも、高い溶接固着強度が得られるという効果がある
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の伸縮管を備えた伸縮ブラケットの使用例を示す斜視図である。
図2】伸縮管を収縮させた状態を示す縦断面図である。
図3】伸縮管を収縮させた状態を示す横断面図である。
図4】伸縮管を伸長させた状態を示す縦断面図である。
図5】伸縮管を伸長させた状態を示す横断面図である。
図6】ボルト手段とナット手段の実施形態を示しており、(A)はボルト手段を弛めることにより伸縮管を伸縮自在とした状態を示す縦断面図、(B)はA−A線断面図、(C)はナット手段とボルト手段を示す分解図である。
図7】伸縮管の外管とナット手段の関係を示す分解斜視図である。
図8】ボルト手段の他の例を示しており、(A)はボルト手段を締着することにより伸縮管を伸縮不能とした状態を示す断面図、(B)はボルト手段の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0013】
図1は、本発明の1実施形態に係る伸縮管を備えた仮設足場構築用の伸縮ブラケットを例示している。仮設足場に立設される支柱1は、上下に所定間隔をあけて緊結手段2を設けており、図示省略しているが所定スパンの間隔をあけて立設される。伸縮ブラケット3は、前記緊結手段2に着脱自在に取付けられた状態で支柱1から水平方向に突出する外管4と、該外管4に摺動自在に内嵌された内管5とにより、前記突出方向Eに伸縮自在とされる伸縮管6を構成している。
【0014】
図例の場合、緊結手段2は、楔緊結式の楔孔7aを備えたフランジ7により構成され、これに対応して、前記外管4の基端部に設けた取付手段8は、前記フランジ7を上下から挟む上顎と下顎を備えた顎部材9と、該顎部材9を貫通することにより前記楔孔7aに緊結される楔10により構成されている。しかしながら、このような緊結手段2及び取付手段8は、本発明の目的ではないから、楔緊結式以外の種々の緊結方式とすることが自由であり、外管4の基端部を支柱1の所定個所に着脱自在に取付可能とするものであれば良いが、図例のようなフランジ式の楔緊結式構造とすれば、伸縮管6の基端部と支柱1の間に不必要な空間が形成されることはなく、外管4の基端部を可及的に支柱1に近づけることができ、しかも、外管4と同心円状に形成した取付手段8により足場板14のフック手段16を支持できる。
【0015】
図例のような伸縮ブラケット3の場合、前記外管4は、軸方向中途部から前記取付手段8の下方に向けて斜めに延びるブレース11を固設すると共に、外管4とブレース11の間をほぼ鉛直方向に延びる補強材12により連結し、前記ブレース11の延長端に接支シュー部材13を設けており、該接支シュー部材13を支柱1の表面に接支させることにより、荷重に耐えるように構成されている。尚、このような耐力構造も、本発明の目的ではないから、図例以外の種々の構成とすることが自由である。
【0016】
図示省略しているが、隣り合う支柱1、1には、それぞれ伸縮ブラケット3、3が相互に同一高さ位置に取付けられ、隣り合う伸縮ブラケット3、3の伸縮管6、6に足場板14が架設される。足場板14は、公知の構成とされており、作業床15の妻側に一対のフック手段16を設けており、該フック手段16を伸縮管6に着脱自在に外嵌させることにより架設される。尚、説明の便宜上、支柱1に近傍する側の第1フック手段を符号16aで示し、支柱1から遠い側の第2フック手段を符号16bで示している。従って、桁側において連続するように隣り合って搭載される一対の足場板14、14は、それぞれの対向する第1フック手段16a、16aと第2フック手段16b、16bを伸縮管6の上で相互に重なり合うように配置される。
【0017】
伸縮ブラケット3は、はね出し足場用ブラケットや、足場板支持用ブラケット等、種々の用途のために使用され、特に用途が限定されるものではないが、足場板支持用ブラケットとして使用する場合は、図2及び図3に鎖線で示すように、足場板14の妻方向に並設される他方の支柱1aに対して、内管5の先端に取付けたクランプ金具等の締結手段17を締結することにより、一対の支柱1、1aの間に架設された伸縮管6に足場板14が搭載される。
【0018】
図2ないし図7に示すように、伸縮管6の外管4に足場板14の第1フック手段16a及び第2フック手段16bを外嵌させた状態で、外管4の前記突出方向Eに対向する側から前記第2フック手段16bに臨む位置には、ナット手段18が固着されており、該ナット手段18にボルト手段19が螺挿されている。
【0019】
本発明の1実施形態に係る伸縮管6に関して、図7に示すように、前記ナット手段18は、従来のような汎用の六角ナットではなく専用のナットとして形成され、外管4の軸方向に沿う第1幅W1を有する端面部20と外管4の径方向に沿う第2幅W2を有する側面部21を備えた矩形の盤状体22を構成し、好ましくは、W1<W2とするように形成されている。前記盤状体22は、上面に第2幅W2の方向に向けて円弧状に凹入する接合面23を形成すると共に、該接合面23の両側に上面を平坦面として第2幅W2の方向に延長された翼部24を延設しており、該盤状体22の中心部を上下に貫通する雌ねじ孔25を設けている。この際、前記接合面23は、外管4の外周面の円弧面に沿うように形成することが好ましい。
【0020】
そこで、前記ナット手段18は、図6(B)に示すように、前記接合面23を外管4の外周面の円弧面に当接させた状態で、前記翼部24と外管4の外周面の間を溶接棒等の溶加材26により溶接固着される。溶接に際し、翼部24と外管4の外周面の間には広くかつ深い溝部27が形成されるので、該溝部27に溶加材26を充填させることにより溶接作業が容易であると共に、高い溶接固着強度が得られる。
【0021】
前記ボルト手段19は、前記外管4に固着したナット手段18の雌ねじ孔25に進退自在に螺合され、該ボルト手段19の先端を前記内管5に係止固定することにより、伸縮管6を所望の伸縮長さとした状態で外管4と内管5を相互に固定する。
【0022】
図例の場合、図6(A)(B)(C)に示すように、前記ボルト手段19は、従来のような汎用のボルトではなく専用のボルトとして形成され、六角頭部等の頭部28から延びるボルト軸部29は、頭部28に近傍する基端部位29aと先端の近傍に位置する先端部位29bには雄ねじ30a、30bを形成しているが、前記基端部位29aと先端部位29bの間には、雄ねじを有しない空転用シャンク部31を形成しており、該空転用シャンク部31の軸方向長さL1と前記ナット手段18の雌ねじ孔25の軸方向長さL2をL1≧L2に形成している。
【0023】
前記ナット手段18に螺挿されたボルト手段19のボルト軸部29を挿通させるため、外管4には導入孔32が開設され、内管5には前記導入孔32と重なり合う位置において該内管5の摺動方向に延びるスリット33が形成されている。尚、スリット33の延長方向の長さは、内管5の伸縮ストロークを設定するように形成される。
【0024】
そこで、ボルト手段19のボルト軸部29は、図示のように、先端部位29bの雄ねじ30をナット手段18の雌ねじ孔25に螺進することにより、空転用シャンク部31を導入孔32及びスリット33に挿通させられ、更に、基端部位29aの雄ねじ30をナット手段18の雌ねじ孔25に螺進することにより、図6(A)に鎖線で示すように、ボルト軸部29の先端を内管5の内周面に圧接し、該内管5を摺動不能に固定する。従って、内管5は、前記スリット33に対向する側の内周面に前記ボルト軸部29の先端を接支固定させる係止固定部34を形成している。尚、図例の場合、係止固定部34は、内管5の平滑な内周面により構成されているが、プレス加工等による凹凸面により構成しても良い。
【0025】
この際、ボルト手段19を締着することによりボルト軸部29の先端を内管5の係止固定部34に圧接させたとき、該係止固定部34は、外側から外管4により支持されているので、万一、ボルト手段19を強く締め過ぎる場合でも、前記係止固定部34が歪み変形を生じるようなことはない。
【0026】
(その他の構成)
前記内管5は、図2ないし図5に示すように、先端にスリーブ35を溶接等により固着している。スリーブ35の外径は、外管4の外径とほぼ等しく形成され、内管5を収縮させたとき、該スリーブ35と外管4の相互に対向する端面に当接する。
【0027】
前記スリーブ35には、端面フランジ36が設けられ、該スリーブ35の中心に位置するナット37が端面フランジ36の内側に溶接等で固着されると共に、該ナット37に臨む孔38が端面フランジ36に開設されている。これにより、上述のクランプ金具等の締結手段17を取付ける必要があるときは、該締結手段17に植設されたボルトを前記ナット37に螺着することが可能となる。
【0028】
(作用)
図2及び図3に示すように、取付手段8と緊結手段2を介して伸縮ブラケット3を支柱1に取付けた状態で、内管5を外管4の基端側まで奥深く内嵌させることにより、伸縮管6は、収縮された状態を保持する。ボルト手段19をナット手段18に締着し、ボルト軸部29の先端を係止固定部34に圧接することにより、内管5が摺動不能に固定され、この状態で、外管4には足場板14のフック手段16が外嵌される。この際、足場板14の第2フック手段16bに対して、前記突出方向Eに対向する側からナット手段18が近接して臨んでいるので、足場板14が前記突出方向Eに位置ずれすることはなく、ナット手段18が位置ずれ防止手段37を構成する。
【0029】
前記ボルト手段19を弛めると、図4及び図5に示すように、スリット33の長さに応じた所定ストロークの範囲で内管5を突出方向Eに摺動させることが可能となる。この際、スリット33の終端33a(図3参照)がボルト手段19の先端部位29bに当接する抜止めストッパーを構成するので、内管5が突出方向Eに抜き取られてしまうことはない。そこで、伸縮管6を所望の長さに伸長させ、再度、ボルト手段19をナット手段18に締着することにより、内管5を摺動不能に固定し、伸長された状態を保持することができる。従って、伸長された伸縮管6に対して、更に追加の足場板14aのフック手段16を外嵌させることにより、所定幅まで広げられた作業床面積を形成することができる。
【0030】
前記ボルト手段19を締着することにより内管5を摺動不能に固定した状態で、スリット33から内管5に挿入されたボルト軸部29は、内管5をほぼ横断することにより、先端を係止固定部34に圧接しているので、伸縮管6を伸縮させる際に、ボルト手段19を回転することにより弛める場合、ボルト軸部29がナット手段18から抜き出されるまでの距離は、内管5の直径にほぼ等しい。従って、従来のように僅かにボルト手段を弛め過ぎただけで、ボルト手段19がナット手段18から脱落することはなく安全である。
【0031】
しかも、ボルト軸部29を弛めることにより、ボルト軸部29の基端部位29aの雄ねじ30aが雌ねじ孔25から脱出すると、図6(A)(B)に示すように、空転用シャンク部31が雌ねじ孔25に進入し、ボルト軸部29を空回りさせる。このため、このような空回り状態を経た後、空転用シャンク部31を雌ねじ孔25から脱出させ、先端部位29bの雄ねじ30bを雌ねじ孔25に進入させることによりボルト手段19の回転を継続しなければ、ボルト手段19をナット手段18から抜き取ることができない。従って、作業者は、ボルト手段19を弛めている最中に、前記空回り状態を感知することにより、ボルト手段の脱落を確実に防止することが可能となる。
【0032】
そして、前記空回り状態とされたボルト手段19から作業者が手を離すと、ボルト軸部29は、先端部位29bの雄ねじ30bを雌ねじ孔25に臨ませ保持された状態でスリット33に挿通しているので、相互に係合した先端部位29bとスリット33により内管5の回り止め手段が構成され、内管5の摺動作業を容易とする。
【0033】
図8は、ボルト手段19の他の例を示している。この場合、ボルト手段19は、ナット手段18から係止固定部34までの距離Hに対し、ボルト軸部29における基端部位29aを除く軸長L3(つまり先端部位29bと空転用シャンク部31を含む軸長)をH≧L3に形成し、好ましくは、ほぼH=L3となるように形成している。
【0034】
従って、ボルト手段19を弛めたときは、図8(B)に示すように、先端部位29bの雄ねじ30bがナット手段18の雌ねじ孔25に係止することによりボルト手段19の脱落を阻止しているが、この状態からボルト手段19を係止固定部34に圧接させる場合は、先端部位29bを係止固定部34に近接する位置まで空転用シャンク部31を介して一挙に挿入移動することができ、その際、ボルト手段19を回転する必要はないので、作業を迅速かつ容易とする。そして、先端部位29bを係止固定部34に近接させた状態において、基端部位29aの雄ねじ30aがナット手段18に臨んでおり、その状態からボルト手段19を回転してナット手段18に螺進すれば、直ちに先端部位29bを係止固定部34に圧接できるので、ボルト手段19を締着するための回転量が少なく、作業を迅速かつ容易とする。
【0035】
上述のように構成された伸縮ブラケット3は、外管4の基端部に取付手段8を溶接等で固着しているので、支柱1のフランジ3に緊結するフランジ式かつ楔緊結式の構造として、極めて良好で適した構造のものが提供される。この点に関して、外管4の基端部は、取付手段8により閉塞されているが、伸縮管6の組み立ては、内管5を外管4の先端部から挿入し、ボルト手段19をナット手段18に螺挿するだけで良く、簡単容易に行うことができる。しかも、例えば、内管5が破損したときは、ボルト手段19を取り外すことにより内管5を抜き取り、新たな内管5を挿入できるので、内管5の交換が容易である。そして、組み立てられた伸縮管6を伸縮するときは、上述のように、スリット33の終端33aがボルト手段19の先端部位29bに当接する抜止めストッパーとして機能するので、伸長のための作業に際して内管5が外管4から不慮に抜き取られ、脱落する危険はない。
【符号の説明】
【0036】
1 支柱
1a 他方の支柱
2 緊結手段
3 伸縮ブラケット
4 外管
5 内管
6 伸縮管
8 取付手段
14、14a 足場板
16a、16b フック手段
18 ナット手段
19 ボルト手段
20 端面部
21 側面図
22 盤状体
23 接合面
24 翼部
25 雌ねじ孔
26 溶加材
27 溝部
28 頭部
29 ボルト軸部
29a 基端部位
29b 先端部位
30a、30b 雄ねじ
31 空転用シャンク部
32 導入孔
33 スリット
34 係止固定部
37 位置ずれ防止手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8