(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
pH5未満で水に不溶性であるポリマーが、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、カルボキシメチルセルロース;セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;(メタ)アクリル酸コポリマー;ポリビニルアセテートフタレート、セラックガム;及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
pH5未満で水に不溶性である化合物が、少なくとも37℃以下で固体であるワックス及び脂肪、又は疎水性可塑剤及びこれらの混合物からさらに選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
pH5未満で水に不溶性である化合物が、水素化植物油、グリセロールパルミテート、グリセロールベヘネート、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、及びこれらの混合物からさらに選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;イソマルト;マルトデキストリン;ポロキサマー;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルコール;ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー;キサンタンガム;アラビアガム;カラギーナンガム;グアーガム;カロブガム;寒天;ポリデキストロース;メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸若しくはマレイン酸コポリマー並びにそれらの混合物を含む群から選択され、
前記親水性可塑剤が、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記
載の方法。
少なくとも1種の、食品、化粧品、植物薬(phytopharmaceutial)、又は医薬品用活性成分であって、放出制御コーティングで任意に保護されていてもよい活性成分のための担体としての、請求項22に記載の中空粒子の使用。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
「密度」は、ヨーロッパ薬局方(第6版第4追補、02.09.34章)の定義に従って、タッピング後の見掛け密度を意味する。粉体の見掛け密度は単位体積当たりの平均質量であり、この体積は粉体の中実部分、粒内孔及び粒間孔を含む。この値は測定法によって異なるので、使用する測定方法を、「試験」の部分に関連して以下に記載する。
【0015】
本発明の意味の範囲内及び本明細書中の開示全体において、用語「活性成分」は、活性成分自体だけでなく、その塩、エナンチオマー、異性体、溶媒和物又は多形体をも網羅する。
【0016】
用語「コーティング」又は「フィルム-コーティング」はいずれも、完全且つ均一に担体又は粒子を被覆する層を意味するのに使用する。
【0017】
コーティングは、活性成分の放出を調節し、遅延させ又は持続させる場合に、「放出制御」と称する。このようなコーティングは、文献に広範に記載されており、本発明に特に適するコーティングは、特にEP0,709,087、WO03/030878、EP1,524,968、EP1,524,969及びPCT/FR2009/050719に記載されており、これらの特許文献を参照により本明細書に組み込む。
【0018】
「中空粒子」は、その粒子の体積の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくはその粒子の体積の約100%の体積の中央ゾーンに相当する単一の空のキャビティを含む内部中央部分の境界を定めるコーティングを含む粒子を意味する。
【0019】
「空のキャビティ」は、主として空気を含むキャビティを意味する。
【0020】
中空粒子の製造方法:
本発明は、
1)液体媒体Mに部分的に溶解性である基材上に、
pH5未満において水に不溶性である少なくとも1種の化合物であって、pH5未満において水に不溶性である少なくとも1種のポリマーを含む、少なくとも1種の化合物40〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、及び
少なくとも1種の水溶性化合物60〜0重量%、好ましくは30〜0重量%
を含むコーティングを堆積させる工程と、
2)前記媒体M中に前記基材の一部を抽出する工程と、
3)工程2)で得られた粒子を乾燥させる任意の工程と
を含む、中空粒子の製造方法に関する。
【0021】
「媒体Mに部分的に溶解性」は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%が媒体M中に可溶化され得る基材を意味する。有利には、基材の50重量%が、48時間未満で、好ましくは24時間未満で、更に優先的には12時間未満で溶解される。言うまでもなく、この溶解度は、基材が部分溶解される媒体Mの温度を変動させることによって調節可能である。
【0022】
工程1)において実施するコーティングの堆積は、物理的堆積であり、即ち、コーティングは新しい共有結合を伴わずに適用される。したがって、コーティングの物理的堆積は重合による堆積を含まない。
【0023】
本発明による中空粒子の製造方法を、
図1に図示する。
図1において、A、B及びCの文字で表される生成物はそれぞれ、工程1)、2)及び3)の最後に得られる生成物を表している。
【0024】
したがって、工程1)の最後に得られる中実粒子1は、層3がコーティングされた基材2を含む。次に、基材が抽出され、得られる生成物4はBに示されている。この生成物4は、層3によって境界を定められた中央部分5に抽出媒体Mを含む。この生成物4は次に、本発明による方法の工程3)で乾燥されることにより、Cにおいて、空の中央キャビティ7の境界を定めるエンベロープ又はコーティング8を含む中空粒子6を生成する。基材は中実基材であり、任意の幾何学的形状を有することができる。好ましくは、基材は実質的に球形である。
【0025】
したがって、本発明の主題は、
1)液体媒体Mに部分可溶性の基材2上に、
pH5未満において水に不溶性である少なくとも1種の化合物であって、H5未満において水に不溶性である少なくとも1種のポリマーを含むもの、40〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、及び
少なくとも1種の水溶性化合物60〜0重量%、好ましくは30〜0重量%
を含むコーティング3を物理的に堆積させて、層3でコーティングされた基材2を含む中実粒子1を得る工程と、
2)前記粒子1を前記液体Mと接触させて粒子1から溶出によって基材の全て又は一部を抽出することによって、抽出された基材が抽出液体Mで置き換えられ且つ前記層3で境界を定められた中央部分5を含む粒子4を得る工程と、
3)前記粒子4を乾燥させて前記中央部分5から抽出液体Mを除去し、それによってコーティング8で囲まれた単一の空のキャビティ7を有する中空粒子6を得る工程と
を含む、中空粒子6の製造方法である。
【0026】
好ましくは、基材2上へのコーティング3の前記物理的堆積は、好ましくは流動床中でスプレーコーティングによって実施する。
【0027】
好ましくは、前記接触は、粒子1を液体M中に浸漬することによって実施する。実際には、コーティングの物理的堆積は、基材の多数の粒子又は基材の1組の個別粒子上にコーティングの溶液又は懸濁液をスプレーコーティングすることによって実施する。
【0028】
特定の一実施形態によれば、本発明による方法は、詳細にはサッカロース、スクロース、白糖球状顆粒(sugar sphere)、マンニトール、マルチトール、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される材料を含む医薬品等級の物質から選択される物質を用いることによって実施する。基材の組成中には、他の要素、詳細には充填剤、圧縮剤(compression agent)、滑沢剤、着色剤、結合剤、崩壊剤などを含めることができる。
【0029】
好ましくは、本発明による方法において使用する基材の、0.1バールにおいて測定される等体積球相当平均径(equivalent volume mean diameter)は、50μm以上、好ましくは50〜1000μm、又はより優先的には50〜500μmである。
【0030】
媒体Mは、任意の液体媒体であってよい。得られる中空粒子が食品、化粧品又は医薬品のような技術分野で使用できるように、食品等級、化粧品等級又は医薬品等級の媒体の使用が好ましい。
【0031】
本発明の特定の一実施形態によれば、媒体Mは水性媒体、好ましくは有機溶媒を含まない水性媒体である。抽出媒体としての水性媒体Mの使用は、コスト及び入手可能性という明白な理由でかなり有利である。
【0032】
媒体Mは、基材の少なくとも一部を溶出させることができる。好ましくは、本発明の方法の工程2)の間に、粒子1から、基材の少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは約100重量%が抽出される。
【0033】
媒体Mには、界面活性剤、詳細にはアニオン、ノニオン又はカチオン界面活性剤を添加することが有利である。このような界面活性剤は、コーティングされた粒子の湿潤性を増大させることによってそれらの透過性を増進させ、ひいては溶出による基材の抽出を促進させるために使用する。界面活性剤は、コーティングされた粒子の凝集を制限することも可能にする。
【0034】
当業者ならば、コーティングの種類及び選択する基材に応じて、最適な媒体M及び界面活性剤を選択することができる。言うまでもなく、想定される最終用途に好適な等級の界面活性剤を使用することが好ましい。
【0035】
基材の抽出速度を最適化するために、媒体Mは必要ならば加熱することができ、又は基材の溶解度がpH依存性である場合には、媒体MのpHを調整することができる。
【0036】
基材の溶出は全てであることもできるが、完了前に溶出を停止させることによって、製造方法のこの工程の持続時間を制限することもできる。
【0037】
本発明の方法の工程2)における基材の抽出の持続時間は、中空粒子、即ち、前記で定義された単一の中央キャビティを有する粒子を得るのに充分でなければならない。
【0038】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明の方法に従って得られる中空粒子の特性の1つは、使用される媒体中でそれらが浮遊できることである。したがって、基材の溶出は、浮遊に好適な密度を有する中空粒子を得るのに充分でなければならない。
【0039】
基材に適用されるコーティングの量は、得られる中空粒子に適正な機械的強度を与えるのに十分でなければならない。有利には、コーティングの量は更に、使用される媒体中で中空粒子を浮遊させるのに十分な少ない量でなければならない。
【0042】
[値は乾燥物質を基準として表す]
に従って算出される、基材のコーティング比すなわちフィルム-コーティング比TP
1によって定義される。
【0043】
このコーティング比TP
1は、5〜90%、好ましくは10〜60%、好ましくは15〜40%である。
図1を参照すると、このコーティング比は、層3の重量÷粒子1の重量に等しく、全体が種々の成分の乾燥物質を基準として計算される。
【0044】
このコーティング比TP
1は、前記中空粒子が0.6g/mL以下、好ましくは0.5g/mL以下、更に優先的には0.4g/mL.以下の密度を有するような値である。
【0045】
好ましくは、本発明による中空粒子のコーティングの厚さは、5μm以上、好ましくは10μm.以上である。
【0046】
コーティングの他の性質は、コーティングの選択において当業者の助けになるようなものである。特に、コーティングの均一性、即ち、基材の全表面にわたる一定の厚さ、適用のし易さ、それ自体が同一又は異なる性質の別のコーティングによって被覆されるのに適していること、及び疎水性が挙げられる。
【0047】
基材の性質に応じて、及び想定される用途に応じて、コーティングはかなり多様であることができる。
【0048】
pH5未満で水に不溶性であるポリマーは、放出制御に通常使用される、当業者に知られているフィルム形成ポリマー、例えば、アルキルセルロース、より詳細にはエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、カルボキシメチルセルロース、セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、(メタ)アクリル酸コポリマー、例えば、Evonik(Darmstadt)からのEudragit L、FS、S、RL、RS、RD、NE系又は他の供給業者からの同等な製品、ポリビニルアセテートフタレート、セラックガムから選択することができる。これらのポリマーのうちの1つを単独で使用することも、数種使用することも可能である。
【0049】
有利な一実施形態によれば、pH5未満で水に不溶性であるポリマーは、コーティングの、pH5未満で水に不溶性である化合物の30〜100%に相当する。
【0050】
pH5未満で水に不溶性である化合物は、少なくとも37℃以下で固体であるワックス及び脂肪、例えば、水素化植物油、グリセロールパルミテート、グリセロールベヘネート、又は疎水性可塑剤、例えば、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチルから選択することができる。
【0051】
水溶性化合物は、水溶性であることが知られている賦形剤、例えば、ラクトース、マンニトール、マルチトール及び糖、更にポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP);可溶性セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;イソマルト;マルトデキストリン;ポロキサマー;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルコール;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;キサンタンガム;アラビアガム;カラギーナンガム;グアーガム;カロブガム;寒天;ポリデキストロース;メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸若しくはマレイン酸コポリマー並びにそれらの混合物から、又は親水性可塑剤、例えば、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、界面活性剤から選択することができる。言うまでもなく、これらの化合物は単一の可溶性化合物として、又は混合物として使用することができる。
【0052】
コーティングは、充填剤、界面活性剤、着色剤など及び当業者に知られている任意の他の賦形剤を更に含むことができる。
【0053】
有利な一実施形態によれば、基材に適用されるコーティングは、放出制御コーティングとして通常使用されるコーティングであることができる。詳細には、参照によって本明細書に組み込む、特許文献EP0,709,087、WO03/030878、EP1,524,968、EP1,524,969及びPCT/FR2009/050719に記載されているものであってよい。
【0054】
したがって、本発明の一変形形態によれば、コーティングは、pH5未満において水に不溶性である少なくとも1種のフィルム形成ポリマーP1、少なくとも1種の水溶性ポリマーP2、少なくとも1種の可塑剤PL並びに任意選択で少なくとも1種の界面活性剤及び/又は滑沢剤を含む。
【0055】
より具体的には、このコーティングは、
- 水不溶性セルロース誘導体、詳細にはエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー並びにそれらの混合物を含む群から選択される、pH5未満において水に不溶性であるフィルム形成ポリマーP1 50〜90%、
- ポリビニルピロリドン(PVP);可溶性セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;イソマルト;マルトデキストリン;ポロキサマー;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルコール;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;キサンタンガム;アラビアガム;カラギーナンガム;グアーガム;カロブガム;寒天;ポリデキストロース;メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸若しくはマレイン酸コポリマー並びにそれらの混合物を含む群から選択される水溶性ポリマーP2、好ましくはポリビニルピロリドン2〜25%、好ましくは5〜15%、
- グリセロールエステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、詳細にはセバシン酸ジブチル、セチルアルコールエステル、ヒマシ油、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物を含む群から選択される可塑剤PL 2〜20%、好ましくは4〜15%、
- ステアリン酸マグネシウム又はポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油、及びこれらの混合物を含む群から選択される滑沢剤及び/又は界面活性剤0〜20%、好ましくは2〜15%
を含む。
【0056】
より詳細には、このコーティングにおいて、P1はエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーを含む群から選択され、P2は好ましくはポリビニルピロリドンであり、可塑剤PLは好ましくはヒマシ油又はセバシン酸ジブチルである。
【0057】
一例として、このようなコーティングはエチルセルロース50〜90%、ポリビニルピロリドン2〜25%及びヒマシ油2〜20%を含むことができる。
【0058】
本発明の別の変形形態によれば、コーティングは、中性pHでイオン化される基を有する親水性ポリマーAと、固体状態で結晶性であり且つ融点T
fBがT
fB≧40℃、好ましくはT
fB≧50℃、更に優先的には40℃≦T
fB≦90℃である疎水性化合物Bとを、0.25〜1.5、好ましくは0.5〜1のB/A重量比で含む。
【0059】
より具体的には、このようなコーティングにおいて、Aは、セルロース誘導体:セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキル(メチル)エステルのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)S又は L)並びにそれらの混合物を含む群から選択され、Bは、水素化植物油、トリグリセリド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。トリグリセリドは変性天然物であるため、トリグリセリドは特に少量のモノ-及び/又はジグリセリドを含む可能性があることがわかる。
【0060】
別の変形形態によれば、P1、P2及びPLの量は、以下の特性を満たす:コーティングの総質量に対するP1の乾燥重量としての質量分率は40〜90%であり、乾燥重量としての質量分率P2/P1+P2は15〜60%であり、乾燥重量としての質量分率PL/P1+PLは1〜30%である。
【0061】
更に別の変形形態によれば、コーティングは少なくとも、
- 前記コーティングの総重量に対して10〜75重量%の、pH<5において水に不溶性である少なくとも1種のポリマーA、
- 前記コーティングの総重量に対して25〜90重量%の、5〜7のpH範囲内に含まれる可溶化pH値を有する少なくとも1種のコポリマーB、及び
- 前記コーティングの総重量に対して0〜25重量%の少なくとも1種の可塑剤
からなり、
前記ポリマーA及びBが、0.25以上のポリマーB/ポリマーA重量比で存在する。
【0062】
ポリマーAは、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらの混合物から選択され、ポリマーBは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セラックガム、ポリビニルアセテートフタレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0063】
好ましくは、このコーティングは、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート又は「A」型又は「B」型アンモニオ(メタ)アクリレートコポリマーと、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー若しくはメタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー、又はこれらの混合物のうち少なくとも1種との、少なくとも1種の混合物によって形成される。
【0064】
このコーティングは、粒子のコーティングに従来から使用される任意の方法によって、特に流動床におけるスプレーコーティングによって適用する。
【0065】
本発明による方法は、基材の抽出後に得られる粒子を乾燥させる工程3)を含む。
【0066】
特定の一実施形態によれば、乾燥工程3)は、通風オーブン内での第1の一連の乾燥操作と、それに続く、流動床内での第2の一連の乾燥操作と、を含む2つの連続操作で実施する。
【0067】
2つの連続操作でのこのような乾燥を用いることにより、中空粒子間で衝突を起こさずにゆっくりと穏やかに乾燥を開始させて、溶出基材周囲のコーティングによって形成されるシェルを引き裂くあらゆるリスクを制限することが可能になる。
【0068】
コーティングすなわちシェルが凝固した後は、中空粒子は、引裂のリスクを伴わずに衝突させることができる。したがって、乾燥を流動床乾燥機中で完了させることができる。
【0069】
本発明はまた、前記方法に従って得ることができる中空粒子に関する。
【0070】
本発明による中空粒子は、摩損度試験(friability test)(以下の「試験」の部分に示す)によって測定されるそれらの摩損度によって測定される、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の機械的強度を有する。
【0071】
このような機械的強度は、中空粒子が、これらが使用される際に受けるにちがいない衝突及び種々の応力に確実に耐えるのに必要である。
【0072】
本発明の別の主題は、食品、化粧品、植物性医薬品又は医薬品用の活性物質又は活性成分の担体としての前記中空粒子の使用に関し、前記活性物質は放出制御コーティングによって任意に保護されていてよい。
【0073】
このような粒子は、
図1でD及びFに示されている。Dには、活性成分層10が堆積した中空粒子8が示されている。Fには、放出制御コーティング14で被覆された活性成分層10を含む中空粒子が示されている。この略図では、放出制御コーティング14から活性成分層10を分離する保護層12が示されているが、この保護層は任意選択である。
【0074】
任意選択で結合剤を用いて、活性成分を浮遊コアの表面に配置することによって活性成分層を形成させ、この活性成分層を放出制御コーティングによって被覆する。この結合剤は、中性担体への活性成分のより良好な付着を可能にする。本発明の有利な一実施形態によれば、当業者に知られている種々の結合剤のうち、水溶性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製のKlucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(BASF製のMethocel)、ポビドン(ISP製のPlasdone又はBASF製のKollidon)のポリマー、ポリサッカライド、アラビアガム、寒天、カロブガムなどを使用する。選択される結合剤の性質は、活性成分との化学的適合性によって異なり得る。定量的な観点から、この結合剤は、活性成分層の5〜95%、好ましくは5〜50%、更に優先的には5〜20%の割合で使用する。活性成分層はまた、当業者によって従来から使用される他の賦形剤を含むことができる。詳細には、分散剤、界面活性剤、保存剤、緩衝剤、保護剤、充填剤、着色剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
中空粒子は、それらが浮遊できる液体媒体中で使用することができる。
【0076】
本発明による中空粒子は有利には、「試験」の章で後述する浮遊試験によって測定した場合に、少なくとも1時間後に50%以上、好ましくは少なくとも4時間後に50%以上の浮遊度Fを有する。
【0077】
その場合、中空粒子の見掛け密度は、0.6g/mL以下、好ましくは0.5g/mL以下、更に優先的には0.4g/mL.以下である。
【0078】
好ましくは、本発明による方法において使用する基材の、0.1バールにおいて測定される等体積球相当平均径は、50μm以上、好ましくは50〜1000μm又はより優先的には50〜500μm.である。したがって、本発明は、少なくとも1種の活性物質が表面に堆積された前記中空粒子を含み、放出制御コーティングで任意に被覆されていてもよい、コーティングされた粒子に関する。特定の一実施形態によれば、これらのコーティングされた粒子は、浮遊できるよう意図されている。
【0079】
この浮遊を可能にするために、放出制御コーティングの量は多すぎてはならない。この量は、式:
【0081】
に従って算出されるフィルム-コーティング比TP
2によって求められる。
【0082】
ここで、
図1を参照すると、TP
2は、層14の重量÷中空微小粒子13の総重量に相当することがわかる。
【0083】
TP
2は、5〜50%、好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜30%である。
【0084】
その場合、コーティングされた粒子の見掛け密度は、0.7g/mL以下、好ましくは0.6g/mL以下、更に優先的には0.5g/mL以下である。
【0085】
本発明はまた、前記中空粒子の表面に配置された少なくとも1種の活性成分と、任意に含まれていてよい前記活性成分の放出制御コーティングとを含む、コーティングされた粒子を含む製剤に関する。
【0086】
これらの製剤において、コーティングされた粒子は、0.1バールにおいて測定される等体積球相当平均径が、50〜4000μm、詳細には以下の範囲:50〜500μm、500〜1000μm、1000〜4000μmの1つである。
【0087】
本発明の活性組成物の特に有用な用途は、医薬分野での使用であり、ある種の活性成分の胃内滞留時間を増加させてそれらのバイオアベイラビリティを最適化するのに有用である。
【0088】
胃内滞留時間を増加させるための既に知られている解決策は、胃液表面に浮遊できる医薬組成物の使用である。この性質を有する組成物は、本出願人によって本日付けで出願された特許出願、第0953601号に詳細に記載されている。
【0089】
本発明は、活性成分が医薬活性成分である、本発明による多数の粒子を含む前記した多粒子組成物に関する。
【0090】
医薬活性成分
このような医薬組成物は、短い吸収ウィンドウ(absorption window)を有するか又は胃中で優先的に吸収される活性成分に特に有利である。これらは、胃中で局所活性を有する活性成分にも有利である。
【0091】
放出制御コーティング
放出制御コーティングは、当業者に知られている技術によって、例えば、流動床内におけるスプレーコーティングの技術によって粒子に適用する。
【0092】
本発明の医薬組成物には、放出制御をもたらす任意の型のコーティングを使用することができる。詳細には、参照により本明細書に組み込むEP0,709,087、WO03/030878、EP1,524,968、EP1,524,969及びPCT/FR2009/050719に記載されているコーティングが特に挙げられる。当業者ならば、コーティングの性質及びフィルム-コーティング比を調節することによって所望の溶出プロファイルを得ることができる。
【0093】
したがって、本発明の一変形形態によれば、放出制御コーティングは、
- 水不溶性セルロース誘導体、特にエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー並びにそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種の水不溶性フィルム形成ポリマーP1、
- ポリビニルピロリドン(PVP);可溶性セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;イソマルト;マルトデキストリン;ポロキサマー;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルコール;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;キサンタンガム;アラビアガム;カラギーナンガム;グアーガム;カロブガム;寒天、ポリデキストロース、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸若しくはマレイン酸コポリマー並びにそれらの混合物からを含む群から選択される少なくとも1種の水溶性ポリマーP2、好ましくはポリビニルピロリドン、
- グリセロールエステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、詳細にはセバシン酸ジブチル、セチルアルコールエステル、ヒマシ油、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種の可塑剤PL、
- 任意選択で、ステアリン酸マグネシウム、ポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油、及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び/又は滑沢剤
を含む。
【0094】
より具体的には、このコーティングは、
- 水不溶性フィルム形成ポリマーP1 50〜90%、
- 水溶性ポリマーP2 2〜25%、好ましくは5〜15%、
- 可塑剤PL 2〜20%、好ましくは4〜15%、並びに
- 滑沢剤及び/又は界面活性剤0〜20%、好ましくは2〜15%
を含むことができる。
【0095】
より詳細には、このコーティングにおいて、P1はエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーを含む群から選択され、P2は好ましくはポリビニルピロリドンであり、可塑剤PLは好ましくはヒマシ油又はセバシン酸ジブチルである。
【0096】
一例として、このようなコーティングはエチルセルロース50〜90%、ポリビニルピロリドン2〜25%及びヒマシ油2〜20%を含むことができる。
【0097】
本発明の別の変形形態によれば、放出制御コーティングは、中性pHでイオン化される基を有する親水性ポリマーAと、固体状態で結晶性であり且つ融点T
fBがT
fB≧40℃、好ましくはT
fB≧50℃、更に優先的には40℃≦T
fB≦90℃である疎水性化合物Bとを、0.25〜1.5、好ましくは0.5〜1のB/A重量比で含む。
【0098】
このコーティングは、遅延と制御の両方が行われる活性成分の放出を可能にする。より具体的には、このようなコーティングにおいて、Aは、セルロース誘導体:セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキル(メチル)エステルのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)S又は L)並びにそれらの混合物を含む群から選択され、Bは、水素化植物油、トリグリセリド、及びこれらの混合物を含む群から選択される。トリグリセリドは変性天然物であるため、トリグリセリドは特に少量のモノ-及び/又はジグリセリドを含む可能性があることがわかる。
【0099】
別の変形形態によれば、P1、P2及びPLの量は、以下の特性値に一致する:コーティングの総質量に関するP1の乾燥重量としての質量分率は40〜90%であり、乾燥重量としての質量分率P2/P1+P2は15〜60%であり、乾燥重量としての質量分率PL/P1+PLは1〜30%である。
【0100】
更に別の変形形態によれば、放出制御コーティングは少なくとも、
- 前記コーティングの総重量に対して10〜75重量%の、水に不溶性である少なくとも1種のポリマーA、
- 前記コーティングの総重量に対して25〜90重量%の、5〜7のpH範囲内に含まれる可溶化pH値を有する少なくとも1種のコポリマーB、及び
- 前記コーティングの総重量に対して0〜25重量%の少なくとも1種の可塑剤
からなり、前記ポリマーA及びBが、少なくとも0.25に等しいポリマーB/ポリマーA重量比で存在する。
【0101】
ポリマーAは、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、A型又はB型のアンモニオ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらの混合物から選択され、ポリマーBは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セラックガム、ポリビニルアセテートフタレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0102】
好ましくは、このコーティングは、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート又は「A」型又は「B」型アンモニオ(メタ)アクリレートコポリマーと、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー若しくはメタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー、又はこれらの混合物のうち少なくとも1種との、少なくとも1種の混合物によって形成される。
【0103】
本発明の特定の一実施形態によれば、活性成分層と放出制御コーティングの層との間に、活性成分を特に空気の酸素若しくは水分及び/又はコーティング層の成分の1つから保護するように作用する追加の層を適用することが必要な場合がある。この追加の層は、当業者に知られている技術によって、例えば、流動床中におけるスプレーコーティングの技術によって数質量%の比率で適用することができ、保護作用が当業者に知られているポリマーから選択されるフィルム形成性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はColorcon Limited (Dartford、UK)から入手可能なポリビニルアルコールポリマーから主に構成される。
【0104】
したがって、コーティング及びその組成の選択によって、活性成分の放出をその浮遊能力とは独立して調節することができ、その結果、この放出を活性成分の胃内滞留時間及び吸収動態とよりよく同期させることができる。更に、これらの系が、膨潤性及びゲル化性マトリックス又は更には発泡性媒体を基材とする系と比較して有利であることは明らかである。コーティングされた粒子の寸法は、浸漬後において実質的に一定のままであって、放出の制御及び再現性の達成が可能となる。浮遊は速やかであり、その間剤形が浮遊せず且つ幽門から排出されるおそれがある、水和、膨潤又は発泡反応のための時間を必要としない。
【0105】
本発明による医薬組成物は、経口投与用の分包(sachet)、ゼラチンカプセル剤、懸濁剤、錠剤又は口腔内崩壊錠の形態である。前述の微小粒子は別とは別に、この医薬組成物は、当業者に知られている賦形剤、例えば、詳細には圧縮剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、粘稠化剤(viscosifier)、流動化剤(fluidifier)、着色剤、甘味剤などを含むことができる。
【0106】
本発明はまた、本発明の組成物を経口経路によって投与することから本質的になる治療方法に関する。
【0107】
多粒子組成物の製造方法
本発明による多粒子組成物は、
a)本発明による中空粒子を選択する工程と、
b)活性成分を前記中空粒子上に、結合剤が存在していてもよい条件下で適用する工程と、
c)工程b)において得られた粒子上に保護コーティングを適用する任意の工程と、
d)工程b)又はc)において得られた粒子上に放出制御コーティングを施す工程と
からなる連続工程を含む方法に従って製造することができる。
【0108】
この製造方法を、
図1に図示する。
図1には、工程a)〜c)の最後に得られる各生成物がそれぞれC〜Fに示されている。まず、中空粒子6を選択する。活性成分の層10を中空粒子の表面に堆積させ、活性成分を含む中空粒子9を得る。保護コーティング12をこれらの粒子9の表面に適用して、Eに示される粒子11を得る。最後に、工程d)において、放出制御コーティング14を適用し、
図1のFに示される、放出制御活性成分を含む中空粒子13を得る。
【0109】
本発明の特定の一実施形態によれば、活性成分層と放出制御コーティングの層との間に、活性成分を特に空気の酸素若しくは水分及び/又はコーティング層の成分の1つから保護するように作用する追加の層を適用することが必要な場合がある。この追加の層は、当業者に知られている技術によって、例えば、流動床中におけるスプレーコーティングの技術によって数質量%の比率で適用することができ、保護作用が当業者に知られているポリマーから選択されるフィルム形成性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はColorcon Limited (Dartford、UK)から入手可能なポリビニルアルコールポリマーから主に構成される。
【0110】
この方法は、賦形剤と混合する任意の追加工程、それに続く任意の圧縮工程を含むことができる。
【0111】
中空粒子を選択する工程a)は、前記した性質に従って、即ち、それらの密度、粒度、機械抵抗に従って行う。
【0112】
工程b)、c)及びd)は、標準的な粒子コーティング技術によって、詳細には、特に流動床中におけるスプレーコーティングによって実施する。
【0113】
この製造方法は、微小粒子をコーティングするための任意の型の設備で容易に実施することができる。
【0114】
非限定的でない、実例としてのみ記載する後述の実施例及び図を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0115】
試験:
タッピング後の見掛け密度の測定
測定方法は、ヨーロッパ薬局方(第6版第4追補、02.09.34章)に記載された見掛け体積の試験に基づく。装置は、高さ3mmから250回/分の落下を行えるタッピング装置及び250mLメスシリンダーによって構成される。粉末100.0gを乾燥シリンダー中に投入する。対応する体積が250cm
3より大きい場合には、質量50gだけ投入する。1250回の落下を実施後に、粉末の体積の読み取りを行う。投入された質量対体積読み取り値の比は、g/mLで表されるタッピング後の見掛け密度に相当する。
【0116】
等体積球相当平均径D(4;3)の測定
等体積球相当平均径は、特性決定しようとする粒度の大きさに応じて、レーザー回折又は篩い分け分析によって測定する。
【0117】
1000μm以下の粒度の場合には、乾燥粉末サンプラーを装着したMastersizer 2000装置(Malvern Scirocco 2000乾式モジュール)を用いてレーザー回折によって粒度分布を測定する。等体積球相当平均径又はD(4;3)は、広範囲にわたって測定された粒度分布から、下記式
D(4;3)=Σ(d
4)/Σ(d
3)
に従って算出する。
【0118】
1000μm超の粒度の場合には、篩い分け分析法を用いる。篩の選択は、当業者ならば、ヨーロッパ薬局方(第6版第4追補、02.09.38章)を参照することによって容易に行える。
【0119】
摩損度の測定
摩損度試験は、乾式レーザー粒度計を用いて0.1バールの圧力で(即ち、D
0.1)、次いで2バールの圧力で(即ち、D
2)で径D(4;3)を測定することからなり、摩損度は
【0120】
【数3】
【0121】
に等しい。
【0122】
浮遊の測定
医薬組成物又はそれらの成分(ミクロコーティングされた粒子、浮遊コア)の性能を、浮遊試験を用いて測定する。この浮遊試験は、それらが浸漬された水性媒体の表面に浮遊する能力だけでなく、媒体の撹拌によって容器の底部に沈められた後に表面に戻る能力をも評価することができる。このような試験は、試験期間中37℃に保持される、0.5重量%のTween 80界面活性剤を含む規定度0.1 Nの塩酸溶液500mL中に、試験しようとする生成物300〜500mgを注ぐことからなる。ヨーロッパ薬局方に記載されたパドル溶解試験(paddle dissolutest)の装置などの溶出装置を使用する。スパチュラを用いて媒体を激しく撹拌することによって、生成物全体を浸漬させる。次いで、観察の間じゅう、撹拌を50rpmに調節する。1時間後、4時間後、6時間後及び/又は8時間後に、浮遊している粒子を除去して秤量し(質量Mfが得られる)、沈んだ粒子を収集して秤量し(質量M
cが得られる)、下記の値:
F=(Mf/Mc+Mf)×100
を計算する。
【0123】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1時間後に、好ましくは少なくとも4時間後に、更に優先的には少なくとも6時間後に、更に優先的には少なくとも8時間後にFが50%以上である場合に、「浮遊系」であるとする。
【0124】
リン酸カルベジロールの溶出の測定
0.1 N HC1媒体中におけるリン酸カルベジロールの溶出の監視を、0.5cmセル中で波長285nmにおけるUV吸光度を測定し、予め作成した検量線と比較することによって行う。リン酸カルベジロール約80mgに相当する量の粒子を、100rpmで回転する撹拌パドルを装着した溶出装置(ヨーロッパ薬局方の溶出装置II)の容器1つ毎に900mLの媒体中に投入し、37℃に保持する。所定の間隔で自動サンプリングを行い、吸光度の読み取り後にサンプルを再利用する。
【0125】
塩酸メトホルミンの溶出の測定
0.1 N HC1+ 0.5% Tween 20媒体中における塩酸メトホルミンの溶出の監視を、0.1cmセル中で波長232nmにおけるUV吸光度を測定し、予め作成した検量線と比較することによって行う。塩酸メトホルミン約500mgに相当する量の粒子を、100rpmで回転する撹拌パドルを装着した溶出装置(ヨーロッパ薬局方の溶出装置II)の容器1つ毎に900mLの媒体中に投入し、37℃に保持する。所定の間隔で自動サンプリングを行い、吸光度の読み取り後にサンプルを再利用する。
【0126】
(実施例)
実施例中において、以下の略語を使用する:
- Plasdone K29/32:ISPによって販売されているポリビニルピロリドン
- Ethocel 7 premium:Dow Chemicalsによって販売されているエチルセルロース
- TEC:Morflexによって販売されているクエン酸トリエチル
- Eudragit L100-55:Evonikによって販売されているメタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー
- Lubritab:JRS Pharmaによって販売されている水素化植物油/水素化油
- Oil Blue N:Sigma Aldrichによって販売されているアントラキノン
【0127】
(実施例1):中空球担体の製造
Ethocel 7 premium 222g、ヒマシ油24g、Plasdone K29/32 24g及びステアリン酸マグネシウム30gを、アセトン2250g及びイソプロパノール1500gを含む反応器中に撹拌しながら投入する。この配合物を全て、GEA-Niro製のCombi-Coata流動床装置を用いて食塩結晶(NaCl)300g上に噴霧する(即ち、TP
1フィルム-コーティング比50%)。このようにして、微小粒子582gを得る。得られた中実微小粒子を、走査電子顕微鏡で観察し(倍率×100)、これらの微小粒子の1つの全体(
図2a)及び横断面(
図2b)を写真に撮る。
【0128】
100rpmでパドル撹拌しながら37℃に保持されたKH
2PO
4緩衝液(0.05M、pH7.4)1Lを、1Lステンレス鋼ビーカー中に投入する。前もって得た微小粒子500mgをこの溶出媒体中に注ぐ。
【0129】
22時間後、微小粒子を、100μm篩に通して篩い分けし、次いで通風オーブン中で40℃において15時間乾燥させる。得られた中空担体を、走査電子顕微鏡で観察し(倍率×100)、これらの中空担体の1つの全体(
図3a)及び横断面(
図3b)を写真に撮る。コーティングの団結性を保持しながら、出発食塩含量が全て可溶化される。粒径は約1000μmである。
【0130】
(実施例2):中空球担体の製造
Eudragit L100-55 142.80g、Lubritab 94.80g及びOil Blue N 2.40gを、反応器中の熱イソプロパノール2160g中に撹拌しながら投入する。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いてSuglets 250-355μm(白糖球状顆粒)560g上に、30%のTP
1フィルム-コーティング比に到達するまで噴霧する。このようにして、中実微小粒子795.5gを得る。得られた中実微小粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)によって観察し、写真に撮る(
図4)。
【0131】
このようにして得られた中実微小粒子の見掛け密度を、前記方法に従って測定した。この見掛け密度は、0.814g/cm
3である。
【0132】
中実微小粒子の0.1バール及び2バールにおける体積平均粒径及び摩損度を、前記試験に従ってレーザー粒度測定法(laser granulometry)によってMalvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いて得る。
【0133】
【表1】
【0134】
0.1N HCl 4Lを10Lステンレス鋼ビーカー中に投入し、Lutrol F68 20gを加える。前もって得た粒子750gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を周囲温度の保持し、プロペラ撹拌機を用いて200rpmで24時間撹拌する。屈折率及び懸濁液中の糖濃度を、溶出中にt=0時間、t=18時間及びt=24時間において測定する。
【0135】
得られた結果を下記表に示す:
【0136】
【表2】
【0137】
24時間後、微小粒子を、100μm篩に通して篩い分けし、次いで通風オーブン中で40℃において2.5時間乾燥させる。通風オーブンから出た粒子598.9gを回収し、再び、Glatt GPCG1.1流動床装置中で6時間40分乾燥させる。次いで、中空担体303.9gが得られ、これを630μm篩布(sieve cloth)に通して篩い分けする。粒径<630μmの中空担体285.4gを得る。
【0138】
得られた中空担体を、双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)によって観察し、写真に撮る。得られた写真を
図5に示す。粒子の団結性を保持しながら、最初の糖含量の大部分が可溶化される。
【0139】
このようにして得られた中空担体の見掛け密度を、前記方法に従って測定した。この見掛け密度は、0.361g/cm
3に等しい。
【0140】
中空担体の0.1バール及び2バールにおける体積平均粒径及び摩損度を、前記試験に従ってレーザー粒度測定法によってMalvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いて得る。摩損度は低く、得られた体積平均粒径は、中実微小粒子の体積平均粒径に近い。
【0141】
【表3】
【0142】
得られた中空担体300mgについて、前記試験に従って0.1 N HCl+0.5重量%Tween 80中で浮遊試験を行った(下記表)。6時間後、中空担体の90%が依然として水性媒体表面に残っている。
図9中の四角の曲線は、水性媒体表面の中空担体の割合を時間の関数として示している。
【0143】
【表4】
【0144】
(実施例3):中空球担体の製造
Cremophor RH40 9.6g及びヒマシ油24gを、5Lビーカー中のアセトン1518g及びイソプロパノール966gに撹拌しながら溶解させる。Plasdone K29-32 33.6g、次いでEthocel 20 172.8gを加える。次いで、水276gを加える。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いてSuglets 250-355μm(白糖球状顆粒)560g上に、30%のフィルム-コーティング比に到達するまで噴霧する。このようにして、中実微小粒子795.50gを得る。
【0145】
得られた中実微小粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)によって観察し、写真に撮る。得られた写真を
図6に示す。
【0146】
中実微小粒子の0.1バール及び2バールにおける等体積球相当平均径及び摩損度を、前記試験に従ってレーザー粒度測定法によってMalvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いて得る。
【0147】
【表5】
【0148】
このようにして得られた微小粒子の見掛け密度は、0.788g/cm
3に等しい。
【0149】
浮遊試験を、pH4.5緩衝液+0.5重量%Tween 80中で行った。粒子の大部分が急速に沈む。
図9中の黒三角の曲線は、水性媒体表面の中実粒子の割合を時間の関数として示している。
【0150】
【表6】
【0151】
リン酸緩衝液10kgを、10kg当たりKH
2PO
4 68.05g+ Lutrol F68 20g+脱イオン水適量を混合することによって調製する。
【0152】
前に得られた粒子700gをリン酸緩衝液4L中に注ぐ。媒体を周囲温度に保持し、プロペラ撹拌機を用いて250rpmにおいて24時間撹拌する。屈折率及び懸濁液中の糖濃度を、溶出中にt=0時間、t=18時間及びt=24時間において測定する。
【0153】
得られた結果を下記表に示す:
【0154】
【表7】
【0155】
24時間後、微小粒子を、100μm篩に通して篩い分けし、次いで通風オーブン中で50℃において2.5時間乾燥させる。通風オーブンから出た粒子598.9gを回収し、再び、Glatt GPCG1.1流動床装置中で1.5時間乾燥させる。中空担体318.9gが得られ、これを630μm篩に通して篩い分けする。粒径<630μmの粒子293.7gを回収する。
【0156】
得られた中空担体を、双眼顕微鏡によって観察し、写真に撮る。得られた写真を
図7に示す。粒子の団結性を保持しながら、最初の糖含量の大部分は可溶化される。
【0157】
得られた中空担体を、Malvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いてレーザー粒度測定法に供する。これによって、中空担体の、0.1バール及び2バールにおける体積平均粒径及び摩損度を測定することができる。以下の結果が得られる:
【0158】
【表8】
【0159】
このようにして得られた中空担体の見掛け密度を、前述の方法に従って測定した。中空担体の見掛け密度は0.322g/cm
3に等しい。
【0160】
浮遊試験を、pH4.5緩衝液+0.5重量%Tween 80中で行った。粒子の75%が3.5時間の間、水性媒体表面に残る。
図9中の三角の曲線は、水性媒体表面の中空粒子の割合を時間の関数として示している。
【0161】
【表9】
【0162】
(実施例4):実施例1の中空担体からの浮遊性放出制御リン酸カルベジロール粒子の製造
好適なサイズのステンレス鋼ビーカー中に、脱イオン水480g、次いでエタノール720gを投入した。溶出が達成されるまで、この溶媒混合物中にPlasdone K29/32 80gを撹拌しながら投入した。次に、リン酸カルベジロール320gを加えた。均質化後、混合物を3Lビーカー中に注いだ。
【0163】
中空担体400gを、Glatt GPCG1-1型の流動床反応器中に投入し、前もって得たリン酸カルベジロールの懸濁液1600gを噴霧した。活性成分としてリン酸カルベジロールを含む中空顆粒712gを得た。
【0164】
放出制御コーティングを前記中空顆粒に以下のようにして適用した。ヒマシ油3g及びTEC 8.25g、次いでエタノール603.75gを、ステンレス鋼ビーカー中に撹拌しながら投入した。Plasdone K29/32 7.5g、次いでEthocel 7 premium 56.25gを加える。次に、脱イオン水258.75gを加える。
【0165】
リン酸カルベジロール顆粒300gを、Glatt GPCG1-1型の流動床に投入し、前もって得た溶液を噴霧して、20%のフィルム-コーティイング比TP
2を得る。
【0166】
得られたコーティングされた中空担体を、双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)下で写真に撮った。得られた写真を
図8に示す。
【0167】
タッピング後の見掛け密度は0.472g/cm
3である。
【0168】
体積平均粒径及び摩損度を測定した。結果を以下に示す:
【0169】
【表10】
【0170】
溶出試験
前記試験に従って測定される時間の関数としてのリン酸カルベジロールの溶出速度を、前記実施例において製造した放出制御リン酸カルベジロール粒子について測定した。
【0171】
結果を
図11に示す。この結果から、リン酸カルベジロールの放出が持続することがわかる。
【0172】
浮遊試験
粒子の浮遊を、前記試験に従って測定する。時間の関数としての水性媒体表面の粒子の割合を、下記表及び
図10(黒四角)に示す。
【0173】
【表11】
【0174】
(実施例5):実施例2の中空担体からの浮遊性放出制御リン酸カルベジロール粒子の製造
TP
2の値をこの実施例では15%に調整する以外は、前記実施例4と同様な手順に従った。
【0175】
溶出試験
前記試験に従って測定される時間の関数としてのリン酸カルベジロールの溶出速度を、この実施例において製造された放出制御リン酸カルベジロール粒子について測定した。
【0176】
結果を
図12に示す。この結果から、リン酸カルベジロールの放出が持続することがわかる。
【0177】
浮遊試験
粒子の浮遊を、前記試験に従って測定する。時間の関数としての水性媒体表面の粒子の割合の変化を、下記表及び
図10(四角)に示す。
【0178】
【表12】
【0179】
(実施例6):実施例3の中空担体からの浮遊性放出制御リン酸カルベジロール粒子の製造
好適なサイズのステンレス鋼ビーカー中に、脱イオン水480g、次いでエタノール720gを投入した。Plasdone K29/32 80gをこの溶媒混合物中に投入し、溶出が達成されるまで600rpmで15分間撹拌した。次に、リン酸カルベジロール320gを加えた。均質化後、混合物を3Lビーカー中に注いだ。
【0180】
実施例3で得た中空担体400gを、Glatt GPCG1-1型の流動床反応器中に投入し、前もって得た懸濁液1600gをこれに噴霧した。活性成分としてリン酸カルベジロールを含む中空顆粒を得た。
【0181】
放出制御コーティングを前記中空顆粒に以下のようにして適用した。ヒマシ油3.00g及びTEC 8.25gをステンレス鋼ビーカー中に投入し、次いでエタノール603.75gを撹拌しながら投入した。次に、Plasdone K29/32 7.50g、次いでEthocel 7 premium 56.25gを加えた。次に、脱イオン水258.75gを加えた。
【0182】
リン酸カルベジロール顆粒300gを、Glatt GPCG1-1型の流動床に投入し、前記溶液を噴霧して、20%のフィルム-コーティイング比TP
2を得た。
【0183】
タッピング後の見掛け密度は0.515g/cm
3である。
【0184】
体積平均粒径及び摩損度を、レーザー粒度測定法によってMalvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いて測定した。結果を以下に示す:
【0185】
【表13】
【0186】
溶出試験
前記試験に従って測定される時間の関数としてのリン酸カルベジロールの溶出速度を、この実施例において製造された放出制御リン酸カルベジロール粒子について測定した。試験結果を
図13に示す。
【0187】
浮遊試験
粒子の浮遊を、前記試験に従って測定する。時間の関数としての水性媒体表面の粒子の割合を、下記表及び
図10(黒ひし形)に示す。
【0188】
【表14】
【0189】
(実施例7):実施例3の中空担体からの浮遊性放出制御リン酸カルベジロール粒子の製造
好適なサイズのステンレス鋼ビーカー中に、脱イオン水480g、次いでエタノール720gを投入した。Plasdone K29/32 80gをこの溶媒混合物中に投入し、溶出が達成されるまで600rpmで15分間撹拌した。次に、リン酸カルベジロール320gを加えた。均質化後、混合物を3Lビーカー中に注いだ。
【0190】
実施例4で得た中空担体400gを、Glatt GPCG1-1型の流動床反応器中に投入し、前もって得た懸濁液1600gをこれに噴霧した。次いで、活性成分としてリン酸カルベジロールを含む中空顆粒を得た。
【0191】
放出制御コーティングを前記中空顆粒300gに以下の手順を用いて適用した。熱溶媒中Eudragit L100-55 45g及びLubritab 30gを撹拌しながら反応器中に投入する。この溶液を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いて、20%のフィルム-コーティイング比に到達するまで噴霧した。このようにして、放出制御リン酸カルベジロール粒子268gを得る。
【0192】
体積平均粒径及び摩損度を、レーザー粒度測定法によってMalvern Sirocco 2000乾燥式モジュールを用いて測定した。結果を以下に示す:
【0193】
【表15】
【0194】
タッピング後の見掛け密度は0.563g/cm
3である。
【0195】
溶出試験
前記試験に従って測定される時間の関数としてのリン酸カルベジロールの溶出速度を、この実施例において製造された放出制御リン酸カルベジロール粒子について測定した。試験結果を
図14に示す。
【0196】
浮遊試験
粒子の浮遊を、前記試験に従って測定する。時間の関数としての水性媒体表面の粒子の割合を、下記表及び
図10(黒三角)に示す。
【0197】
【表16】
【0198】
(実施例8):実施例2の中空担体からの塩酸メトホルミンの浮遊性放出制御粒子の製造
塩酸メトホルミン400gを、好適なサイズのステンレス鋼ビーカー中の脱イオン水552.38g中に撹拌しながら溶解させた。
【0199】
中空担体400gを、Glatt GPCG1-1型の流動床反応器中に投入し、前もって得た塩酸メトホルミンの溶液をこれに噴霧した。活性成分として塩酸メトホルミンを含む中空顆粒732gを得た。
【0200】
放出制御コーティングを前記中空顆粒に以下のようにして適用した。イソプロパノール787.5g中Eudragit L100-55 35.0g及びLubritab 52.5gを撹拌しながらステンレス鋼ビーカー中で溶解させた。
【0201】
前工程で得られた塩酸メトホルミン顆粒350gを、GLATT GPCG1-1型の流動床器中に投入し、調製された溶液をこれに噴霧して、20%のフィルム-コーティイング比TP
2を得た。
【0202】
得られたコーティングされた中空担体を双眼顕微鏡(倍率3.2×1.6)下で写真に撮った。得られた写真を
図15に示す。
【0203】
タッピング後の見掛け密度は0.52g/cm
3である。
【0204】
体積平均粒径及び摩損度を測定した。結果を以下に示す:
【0205】
【表17】
【0206】
溶出試験
時間の関数としての塩酸メトホルミンの累積溶出速度を、前記試験に従って測定した。結果を
図16に示す。この結果から、塩酸メトホルミンの放出が持続することがわかる。
【0207】
浮遊試験
粒子の浮遊を、前記試験に従って測定する。時間の関数としての水性媒体表面の粒子の割合を、下記表に示す。
【0208】
【表18】
【0209】
(実施例9):中空粒子の製造
周囲温度で、Ethocel 20 Premium 124.67g、Klucel EF 23.23g、ヒマシ油11.71g、酒石酸19.27g及びCremophor RH 40 10.01gを、反応器中のアセトン1303.33gとイソプロパノール868.89gとの混合物中に撹拌しながら投入する。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いてアセチルサリチル酸結晶1700g上に噴霧する。このようにして、中実微小粒子1784gを得る。レーザー粒度測定法によって得られた0.1バールにおける中実微小粒子の体積平均粒径は509μmである。
【0210】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子約5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで通風オーブン中で40℃において24時間乾燥させる。中空微小粒子を得る。
【0211】
得られた中実微小粒子及び中空粒子を双眼顕微鏡(倍率3.2×1.6)で観察し、写真に撮る。中実粒子を
図17に示す。中空粒子を
図18に示す。
【0212】
(実施例10):中空粒子の製造
周囲温度で、Ethocel 20 Premium 156.92g、Plasdone k29/32 8.89g、ヒマシ油13.13g、酒石酸21.60g及びステアリン酸マグネシウム11.22gを、反応器中のアセトン1461.18gとイソプロパノール974.12gとの混合物中に撹拌しながら投入する。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いて、水への溶解度が3.5g/lの顆粒(
図19に示される微結晶セルロース及びアセチルサリチル酸の粒子)1200.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が322μmに等しい(レーザー粒度測定法による)中実微小粒子1319gを得る。
【0213】
得られた中実微小粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)で観察し、写真に撮る。中実粒子を
図20に示す。
【0214】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子約5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。
【0215】
得られた中空粒子を双眼顕微鏡で観察する。中空粒子を
図21に示す。双眼顕微鏡を用いて測定された、得られた中空粒子の粒径は、中実粒子の粒径と同様である。
【0216】
(実施例11):中空粒子の製造
周囲温度で、Ethocel 20 Premium 110.97g、Klucel EF 20.68g、ヒマシ油10.42g、酒石酸17.15g及びCremophor RH 40 8.91gを、反応器中のアセトン1160.11gとイソプロパノール773.41gとの混合物中に撹拌しながら投入する。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いて、水への溶解度が3.5g/lで粒径が287μmの顆粒(
図22に示される微結晶セルロース及びアセチルサリチル酸の粒子)1700.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が307μmに等しい中実微小粒子1868gを得る。
【0217】
得られた中実微小粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)で観察し、写真に撮る(
図23)。
【0218】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子約5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。
【0219】
得られた中空粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)で観察し、写真に撮る(
図24)。
【0220】
双眼顕微鏡を用いて測定された、得られた中空粒子の粒径と中実粒子の粒径とは同様である。
【0221】
(実施例12):中空粒子の製造
Ethocel 20 Premium 57.12g、Plasdone k29/32 15.12g、ヒマシ油8.40g及びCremophor RH 40 3.36gを、反応器中のアセトン531.3g、イソプロパノール338.1g及び水96.6gの混合物中に撹拌しながら溶解させる。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いて、マンニトール、Klucel EF及びパラセタモールからなる粒径422μmの顆粒616.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が441μmに等しい中実微小粒子687gを得る。
【0222】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。
【0223】
得られた中空粒子500mgについて、前記試験に従って0.1N HCl+0.5重量%Tween 80中で浮遊試験を行った(下記表)。
【0224】
【表19】
【0225】
(実施例13):中空粒子の製造
Ethocel 20 Premium 97.92g、Plasdone k29/32 25.92g、ヒマシ油14.40g及びCremophor RH 40 5.76gを、反応器中のアセトン910.8g、イソプロパノール579.6g及び水165.6gの混合物中に撹拌しながら溶解させる。この混合物を、GLATT GPCG1-1流動床装置を用いて、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース及びパラセタモールからなる粒径119μmの顆粒656.0g上に噴霧する。このようにして、中実微小粒子750gを得る。
【0226】
レーザー粒度測定法によって得られた0.1バールにおける中実微小粒子の体積平均粒径は137μmである。
【0227】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。
【0228】
48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。次いで、中空粒子1gを得る。
【0229】
(実施例14):中空粒子の製造
セルロースアセテートブチレート 11.4g、Plasdone k29/32 1.8g、ヒマシ油1.5g及びCremophor RH 40 0.3gを、反応器中のアセトン121.71g、エタノール40.05g及び水12.94gの混合物中に撹拌しながら溶解させる。この混合物を、mini-GLATT流動床装置を用いて、粒径472μmの顆粒(微結晶セルロース及びメトホルミンの粒子)35.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が536μmの中実微小粒子を得る。
【0230】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。
【0231】
次いで、中空粒子を双眼顕微鏡で観察する。粒子の団結性を保持しながら、基材の大部分が可溶化される。双眼顕微鏡を用いて測定された、得られた中空粒子の粒径と中実粒子の粒径とは同様である。
【0232】
得られた中空粒子500mgについて、前記試験に従って0.1 N HC1+0.5重量%Tween 80中で浮遊試験を行った(下記表)。
【0233】
【表20】
【0234】
(実施例15):中空粒子の製造
下記表に記載した量に従って、セルロースアセテートブチレート、Plasdone k29/32、Cremophor RH 40及びヒマシ油又はクエン酸トリエチル又はPEGを、反応器中のアセトン、エタノール及び水の混合物中に撹拌しながら溶解させる。この溶液を、mini-GLATT型流動床装置を用いて、基材(微結晶セルロース及びメトホルミンの粒子)30.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が550〜560μmの中実微小粒子を得る。
【0235】
【表21】
【0236】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子約5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。
【0237】
得られた中空担体500mgについて、前記試験に従って0.1 N HC1+0.5重量%Tween 80中で浮遊試験を行う(下記表)。定義した基準によれば、得られた3つの型の中空粒子は浮遊する。
【0238】
【表22】
【0239】
(実施例16):中空粒子の製造
Eudragit L100-55 117.0g及びセルロースアセテートブチレート78.0gを、反応器中のアセトン2242.5g中に撹拌しながら溶解させる。この溶液を、GLATT GPCG1-1型流動床中で基材(微結晶セルロース及びメトホルミンの粒子)455.0g上に噴霧する。このようにして、中実微小粒子604gを得る。得られた中実微小粒子を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)によって観察し、写真に撮る(
図25)。レーザー粒度測定法によって得られた、中実微小粒子の0.1バールにおける体積平均粒径は293μmである。
【0240】
これらの粒子5gを、0.1N HCl 1L及びLutrol F68 5.0gを含むガラスビーカー中に分散させる。媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において乾燥させる。次いで、中空粒子数gを得る。得られた中空担体を双眼顕微鏡(倍率1.6×1.6)によって観察し、写真に撮る(
図26)。双眼顕微鏡を用いて測定された、得られた中空粒子の粒径と中実粒子の粒径とは同様である。
【0241】
得られた中空担体500mgについて、前記試験に従って0.1 N HC1+0.5重量%Tween 80中で浮遊試験を行った(下記表)。1時間後、中空担体の90%は依然として水性媒体表面に残っており、6時間後には約75%が残っている。
【0242】
【表23】
【0243】
(実施例17):中空粒子の製造
Eudragit L100-55 48.6g、セルロースアセテートブチレート113.4g及びTEC 18.0gを、反応器中のアセトン1863.0g及び水207.0g中に溶解させる。この混合物を、GLATT GPCG1-1型流動床中で基材(微結晶セルロース及びメトホルミンの粒子)420.0g上に噴霧する。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が288μmの中実微小粒子503gを得る。
【0244】
0.1N HCl 1Lを1.0Lガラスビーカー中に投入し、Lutrol F68 5.0gを加える。前もって得た粒子5gをこの溶出媒体中に注ぐ。この媒体を37℃に保持し、プロペラ撹拌機を用いて100rpmで48時間撹拌する。24時間後に液体媒体を完全に更新する。
【0245】
48時間後、微小粒子を100μm篩に通して篩い分けし、次いで40℃において2.5時間乾燥させる。中空粒子約1.5gを得る。
【0246】
(実施例18):中空粒子の製造
配合中のTEC 18.0gをフタル酸ジブチル18.0gに置き換える以外は実施例17と同様な手順に従う。このようにして、0.1バールにおける体積平均粒径が289μmの中実微小粒子518gを得る。
【0247】
前記実施例と同一条件下で実施した、基材の溶出及び粒子の乾燥の工程後、中空粒子約1.5gを得る。