(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019198
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】蒸着用磁性体検査装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20161020BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20161020BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-209655(P2015-209655)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2016-84536(P2016-84536A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0147608
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515292071
【氏名又は名称】エスエヌユー プレシジョン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SNU PRECISION CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ベ イ
(72)【発明者】
【氏名】ミョン ジン イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ−ジェ パク
【審査官】
吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−154315(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0104833(KR,A)
【文献】
特開2011−049450(JP,A)
【文献】
特開2005−206939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着工程で基板とマスクとの整列時に用いられる磁性体を検査する装置において、
金属素材で所定のパターンが形成されるマスクと、
該マスクの上面に整列される基板と、
前記マスクと整列された前記基板の上面が接触して一時的に固定されるように設けられ、内部に前記磁性体が上下方向に移動可能に収容される固定部と、
前記マスクの下方に配置され、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じた磁束密度およびパターンのたわみ現象のうちの少なくとも1つを測定する検査部とを備える蒸着用磁性体検査装置。
【請求項2】
前記検査部が設置され、該検査部を移動させるステージ部と、
相互連結された一対の定盤を有し、前記ステージ部および前記固定部がそれぞれ設置されるベース部とを備える請求項1に記載の蒸着用磁性体検査装置。
【請求項3】
前記固定部は、
上面の一部が内側に陥没して収容空間を形成するフレーム部と、
前記収容空間に収容され、垂直方向に移動可能に設けられる固定プレートと、
該固定プレートの下面に装着され、N極とS極とが所定間隔離隔されて交互に配置される磁性体とを備える請求項2に記載の蒸着用磁性体検査装置。
【請求項4】
前記基板と接触する前記固定部の面は、前記基板との接触時に静電気が発生しないようにエンボシングパターンにエッチングされる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸着用磁性体検査装置。
【請求項5】
前記検査部は、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じたガウス分布を測定するガウス測定部、および、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じたパターンのたわみ現象を測定する形状測定部のうちの少なくとも1つを備える請求項4に記載の蒸着用磁性体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着用磁性体検査装置(INSPECTING APPARATUS FOR DEPOSITION MAGNET)に関する。より詳細には、ボトムアップ式(上向式)蒸着環境と同じ環境で基板とマスクとの整列時に用いられる磁性体を検査することによって、検査精密度を向上することができる蒸着用磁性体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルコンバージェンスとユビキタスに代表される情報技術の革命に伴って、電子機器の発展が著しく速く進行している。この中で、核心をなしている技術のうちの1つがディスプレイ技術である。最近では、ディスプレイに対してより優れた視認性、低費用、低消費電力の要求が増加している。これに伴い、PDP(Plasma Display Panel)、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)に続いて、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)が脚光を浴びている。
【0003】
有機発光ダイオードは、電流を流すと、光を発する自発光デバイスであって、応答速度が液晶表示装置に比べて千倍以上速く、かつ、視野角が広い。また、液晶表示装置が必要とするバックライト、カラーフィルタなどを必要とせず、柔軟なディスプレイの具現が可能であり、性能だけでなく部品価格の側面でも大きな長所を有する。
【0004】
有機発光ダイオードの製作時に使用される有機薄膜は、高真空状態で真空蒸着方式を用いて、基板の表面に順次的に形成される。有機発光ダイオードのフルカラーディスプレイを具現するためには、高精細(fine pitch)な蒸着パターンが必須である。このような蒸着パターンを形成するために、パターンが形成されたマスクを使用する。蒸着パターンの精密度を向上するためには、マスク自体のパターンが精密でなければならないだけでなく、基板とマスクとが機構的に精密に整列(alignment)されることが重要である。
【0005】
この際、マスクと基板を整列した後、蒸着工程を行う時、磁性体を用いる場合がある。マスクは、金属素材で所定のパターンが形成されて基板と整列され、基板とマスクが整列された状態を維持できるように、基板が磁性体側に密着した後、蒸着工程を行うことになる。すなわち、マスク−基板−磁性体の順に配置されて蒸着工程が行われる。磁性体によって、金属素材でパターンが形成されたマスクが基板側に密着して整列状態が持続的に維持される。
【0006】
この際、磁性体に欠陥がないからこそ、基板とマスクが精密に整列した状態に維持されてパターンが精密に維持される。したがって、磁性体を検査する装置が要求される。従来の磁性体を検査する装置は、磁性体の上面から所定間隔離隔されて上方から磁性体に沿って移動しながら検査することになる。しかし、このような場合、マスク−基板−磁性体の順に配置される蒸着環境とは異なって、マスクと磁性体との間の磁束密度の正確な測定が難しく、実際の蒸着環境とは異なる値を有することになり、検査時に欠陥がないものと判断された磁性体が実際には欠陥を有し、これによって、実際の蒸着工程時に均一で精密な蒸着が行われないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、ボトムアップ式蒸着環境と同じ環境で基板とマスクとの整列時に用いられる磁性体を検査して、検査時に発生し得る振動が最小化されるようにすることによって、精密で信頼性の高い磁性体検査結果を得ることができる蒸着用磁性体検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、本発明により、蒸着工程で基板とマスクとの整列時に用いられる磁性体を検査する装置において、金属素材で所定のパターンが形成されるマスクと、該マスクの上面に整列される基板と、前記マスクと整列された前記基板の上面が接触して一時的に固定されるように設けられ、内部に前記磁性体が上下方向に移動可能に収容される固定部と、前記マスクの下方に配置され、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じた磁束密度およびパターンのたわみ現象のうちの少なくとも1つを測定する検査部とを備える蒸着用磁性体検査装置によって達成される。
【0009】
ここで、前記検査部が設置され、該検査部を移動させるステージ部と、相互連結された一対の定盤を有し、前記ステージ部および前記固定部がそれぞれ設置されるベース部とをさらに備えることが好ましい。
【0010】
ここで、前記固定部は、上面の一部が内側に陥没して収容空間を形成するフレーム部と、前記収容空間に収容され、垂直方向に移動可能に設けられる固定プレートと、該固定プレートの下面に装着され、N極とS極とが所定間隔離隔されて交互に配置される磁性体とを備えることが好ましい。
【0011】
ここで、前記基板と接触する前記固定部の面は、前記基板との接触時に静電気が発生しないようにエンボシングパターンにエッチングされることが好ましい。
【0012】
ここで、前記検査部は、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じたガウス分布を測定するガウス測定部、および、前記磁性体と前記マスクとの間の距離に応じたパターンのたわみ現象を測定する形状測定部のうちの少なくとも1つを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、磁性体が実際に用いられるボトムアップ式蒸着装置と同じ環境で磁性体を検査するため、精密で信頼性の高い蒸着用磁性体検査装置が提供される。
また、検査部をステージを用いて移動させて磁性体全般にわたって検査することができ、この際、一対の定盤が設けられるベース部により、振動発生を最小化することによって精密な検査結果が導出される。
【0014】
また、磁性体は、ベース部の上側に設置される外部構成に連結されて上下方向に移動するため、磁性体に加わる振動がより最小化される。
また、基板と接触する固定部の面は、エンボシングパターンにエッチングされることによって、基板と固定部との間の接触時に静電気発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図1の蒸着用磁性体検査装置のマスクを概略的に示す図である。
【
図3】
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部の概略的な正面図である。
【
図4】
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部のうち、要部の概略的な底面斜視図である。
【
図5】
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部のうち、要部の概略的な平面図である。
【
図6】
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部の概略的な底面斜視図である。
【
図7】
図1の蒸着用磁性体検査装置のステージ部および検査部の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置について詳細に説明する。
本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置は、ボトムアップ式蒸着環境と同じ環境で基板とマスクが整列時に用いられる磁性体を検査して、検査時に発生し得る振動が最小化されるようにすることによって、精密で信頼性の高い磁性体検査結果を得ることができる蒸着用磁性体検査装置に関するものである。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置の概略的な斜視図である。
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置100は、基板110と、基板110と整列されるマスク120と、基板110の上面が接触して一時的に固定される固定部130と、マスク120に配置される検査部140と、検査部140が設置されるステージ部150およびベース部160とを備える。
基板110は、蒸着工程で蒸着ソースから放出される蒸着物質が蒸着される構成であって、マスク120の上面に整列されて安着(装着)される。
【0018】
図2は、
図1の蒸着用磁性体検査装置のマスクを概略的に示す面である。
図2を参照すると、マスク120は、基板110の下面に蒸着物質が所定のパターンを形成して蒸着できるようにする構成であって、マスクフレーム121とパターン部122とを備える。
マスクフレーム121は、所定の厚さを有し、パターン部122が形成できるように貫通孔が形成される。すなわち、マスクフレーム121は、パターン部122を支持するための枠である。
【0019】
パターン部122は、基板110上に形成されるパターンと同じパターンが形成される領域である。パターン部122は、蒸着工程によって製造される製品に応じて、磁性体133によって精密にパターンを維持することができるように、金属材質が設けられ、本実施例ではワイヤから形成される。
基板110とマスク120は、実際の蒸着環境と同じ環境で磁性体133を検査することができるように設けられるものであって、実際の蒸着環境で使用される基板110およびマスク120と同じものが使用される。
【0020】
図3は、
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部の概略的な正面図であり、
図4は、
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部のうち、要部の概略的な底面斜視図である。
蒸着工程時、整列されたマスク120と基板110が上方に移動して、基板110の上面が固定部130に接触することによって、基板とマスクが一時的に固定され、基板110とマスク120が固定された状態で蒸着工程が行われることによって、精密で均一に蒸着物質が蒸着されることができる。固定部130は、フレーム部131と、固定プレート132および磁性体133とを備える。
【0021】
フレーム部131は、フレーム部の下面に基板110の上面が接触し、磁性体133が設置された固定プレート132が収容される構成である。フレーム部131は、上面の一部が内側に陥没することによって収容空間を形成し、収容空間内に固定プレート132が収容される。この際、収容空間の大きさは、固定プレート132の大きさよりも少し大きく設けられることによって、ステージ部150の駆動による振動が固定プレート132に伝達されることを最小化することができる。振動の最小化により、磁性体133に振動の影響が殆どなく、これにより、精密で信頼性の高い検査結果が導出されることができる。
【0022】
固定プレート132は、固定プレートの下面に磁性体133が固定設置される構成であり、上側ベース部160の上側に設置される基板またはマスク整列装置などの別途の構成に連結されて、上下方向に移動可能に設けられる。別途の構成に連結されることによって、検査時に発生し得る振動が磁性体133に伝達されることを最小化することができる。
【0023】
金属材質が設けられるパターン部122と磁性体133との間には、磁場が形成され、磁束密度は、パターン部122と磁性体133との間の間隔に応じて、異なる値を示すことになる。蒸着工程によって、製造しようとする製品などに応じて要求される磁束密度の値が相違することがあり得、これにより、固定プレート132が上下方向に移動可能に設けられることによって、磁性体133とパターン部122との間の間隔が調節されて、所望の磁束密度値を有するようになる。本実施例において、磁性体133の表面では3900〜4000ガウス値、10mmの隔離距離の場合1100〜1200ガウス値、20mmの隔離距離の場合350〜400ガウス値を有することとした。
【0024】
本実施例において、フレーム部131はAL6061素材から構成され、固定プレート132はSUS420素材の固定板とAL6061素材のバックプレートとから構成され、固定プレート132の大きさは900mm×620mmであるものとしたが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0025】
図5は、
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部のうち、要部の概略的な平面図である。
図5を参照すると、磁性体133は、金属材質が設けられるマスク120のパターン部122間に磁場が形成されるようにするための構成であって、固定プレート132の下面に設置される。すなわち、下方からマスク120−基板110−フレーム部131−磁性体133−固定プレート132の順に配置されて、実際の蒸着環境と同じ環境が形成される。
【0026】
ボトムアップ式蒸着の場合、マスク120の上面に基板110が整列されて安着され、この際、基板110の荷重によって、マスク120のパターン部122が所定の距離だけ下方にたわむ問題が発生することがあり得る。そのため、磁性体133が設置され、引力によってパターン部122を上方にひっぱることで、基板110の荷重によるパターン部122のたわみ現象を防止することができる。
【0027】
磁性体133は、固定プレート132の長さと類似した長さを有するように設けられ、N極とS極が固定プレート132の幅方向に沿って所定間隔離隔されて交互に配置される。磁性体133の幅および磁性体133間の距離、すなわち、N極とS極との間の距離は、蒸着環境に応じて適切に設定されることが好ましい。
【0028】
磁性体133を含む固定プレート132は、磁性体検査装置100から着脱可能に設けられ、検査条件を満たした場合には、脱着して蒸着装置に設置することによって精密な蒸着工程を行うことができる。
【0029】
図6は、
図1の蒸着用磁性体検査装置の固定部の概略的な底面斜視図である。
図6を参照すると、固定部130の下面、すなわち基板110の上面と接触するフレーム部131の面には、エンボシングパターン134が形成される。固定部の下面は、エンボシングパターン134を有するようにエッチングされることによって、固定部130と基板110とが接触する場合、静電気などが発生しなくなる。
【0030】
図7は、
図1の蒸着用磁性体検査装置のステージ部および検査部の概略的な斜視図である。
図7を参照すると、検査部140は、磁性体133の性能、品質などの項目を検査するための構成であって、マスク120の下方に設置される。マスク120−基板110−フレーム部131−磁性体133−固定プレート132の順に配置された状態で、マスク120の下方に配置されることによって、実際の蒸着環境と同じ環境で磁性体133を検査することになる。すなわち、蒸着工程時には、マスク120の下方に蒸着ソースが配置され、本実施例においては、蒸着ソースが配置される領域に検査部140が配置されることによって同じ環境が形成される。
【0031】
検査部140は、磁性体133とマスク120との間の距離に応じたパターン部122のたわみ現象などを測定する形状測定部141と、磁性体133とマスク120との間の距離に応じた磁束密度を測定するガウス測定部142とを備える。
【0032】
具体的には、形状測定部141は、パターン部122の長さ方向および幅方向に沿って移動しながら、ワイヤ間の間隔、ワイヤのたわみ現象などを測定する構成であり、ガウス測定部142は、マスク120と磁性体133との間の距離に応じたパターン部122全体の磁束密度、すなわちガウスを測定する構成である。ガウス測定部142による磁束密度測定時に形状測定部141によってパターン部122自体の欠陥を確認することにより、パターン部122の欠陥による誤った磁束密度値が測定されることを防止することができる。
【0033】
ステージ部150は、検査部140をマスク120の長さ方向、幅方向および高さ方向に沿って移動させる構成である。ステージ部150は、3つのガイドレールで構成され、設置面積が最小化されるように配置される。すなわち、長さ方向のガイドレール上に設置される幅方向のガイドレールは、ガイドレール機能と同時に検査部140を長さ方向に移動させるように設けられて設置空間が最小化される。
【0034】
ベース部160は、ステージ部150の移動による振動を最小化するための構成であって、一対の定盤が設けられ、それぞれの定盤は連結柱によって相互連結される。下側ベース部160の上面には、ステージ部150が装着され、上側ベース部160は、固定部130の上方に設置される。ステージ部150が駆動されて検査部140が移動する場合、装置全体に振動が発生するおそれがあり、振動が発生する場合、ガウス値に大きい影響を及ぼすことになる。そのため、ベース部160に一対の定盤が設けられて相互連結されることによって、ステージ部150の駆動による振動を最小化する。
【0035】
すなわち、本願発明は、一対の定盤で設けられるベース部160、フレーム部131および固定プレート132の上下移動手段などによって、検査時に発生し得る振動を最小化することにより、測定結果の信頼性をより向上することができる。
【0036】
以下、本発明の一実施例に係る蒸着用磁性体検査装置の動作について説明する。
まず、検査対象である磁性体133と固定プレート132をフレーム部131の収容空間に収容させ、要求されるガウス値が示されるように固定プレート132を上下方向に移動させる。例えば、1100〜1200ガウス値が要求される場合、隔離距離が10mmになるように固定プレート132を移動させて固定する。
【0037】
この後、基板110とマスク120が投入され、マスク120上に整列されて安着された基板110は、マスク120とともに上昇して固定部130の下面に接触する。この際、固定部130の下面は、エンボシングパターン134が形成されることによって、基板110との接触時に静電気の発生が防止される。
【0038】
基板110とマスク120が固定部130に接触して一時的に固定されると、検査部140が設置されたステージ部150が駆動される。ステージ部150の駆動に応じて検査部140は、マスク120の長さ方向、幅方向および高さ方向に沿って移動しながら検査する。この際、ステージ部150の駆動および検査部140が移動する場合にも、一対の定盤が設けられるベース部160と、ベース部160の上方の別途の構成に連結され、フレーム部131に所定間隔離隔されるように収容される固定プレート132とによって、振動が最小化されて移動による影響を受けなくなる。
【0039】
具体的に、形状測定部141は、マスク120のパターン部122のたわみ現象などの欠陥を測定し、ガウス測定部142は、マスク120と磁性体133との間の磁束密度を測定する。パターン部122の全領域に沿って移動してスキャンした結果、全領域にわたって磁束密度が一定の値を示す場合、磁性体133には欠陥がないと判断される。
欠陥がないと判断された磁性体133は、固定プレート132を装置から分離した後、蒸着装置に収容されて実際の蒸着工程で使用される。
【0040】
したがって、本発明によれば、基板とマスクとの整列時に用いられる磁性体をボトムアップ式蒸着環境と同じ環境で検査し、検査時に発生し得る振動が最小化されるようにすることによって、精密で信頼性の高い磁性体検査結果を得ることができる蒸着用磁性体検査装置が提供される。
【0041】
本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲内で様々な形態の実施形態で具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の請求範囲の記載の範囲内にあるものとみなす。
【符号の説明】
【0042】
100 蒸着用磁性体検査装置
110 基板
120 マスク
130 固定部
131 フレーム部
132 固定プレート
133 磁性体
134 エンボシングパターン
140 検査部
141 ガウス測定部
142 形状測定部
150 ステージ部
160 ベース部