特許第6019204号(P6019204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6019204
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ソフトカプセル剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20161020BHJP
   A61K 47/42 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20161020BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61K9/48
   A61K47/42
   A61K47/10
   A23L5/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-233205(P2015-233205)
(22)【出願日】2015年11月30日
【審査請求日】2015年12月9日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315001213
【氏名又は名称】三生医薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】深澤 孝之
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇典
(72)【発明者】
【氏名】秋山 高弘
(72)【発明者】
【氏名】三輪 誠
【審査官】 高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−351007(JP,A)
【文献】 特表昭60−500867(JP,A)
【文献】 特開平02−212417(JP,A)
【文献】 特開2013−203671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンを基剤とし、更に、グリセリンと、低糖化乃至中糖化の還元水飴とを含むことを特徴とするゼラチン系カプセル皮膜組成物で構成されたカプセル皮膜と、生薬、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸残基を有する油脂で構成される油分等、ゼラチンとの間のメイラード反応に関与する成分を含む内容物とで構成され、崩壊遅延防止効果を有することを特徴とするソフトカプセル剤。
【請求項2】
ゼラチン系カプセル皮膜組成物の構成がゼラチン:100質量部に対して、還元水飴:5〜100質量部であることを特徴とする、請求項1に記載のソフトカプセル剤。
【請求項3】
還元水飴が、「エスイー(登録商標)58」、「エスイー(登録商標)57」、「エスイー(登録商標)30」、及び/または「エスイー(登録商標)100」であることを特徴とする、請求項1または2に記載のソフトカプセル剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品・医薬品・医薬部外品等を内容物とし、カプセル皮膜で被包したソフトカプセル剤に係り、特に、該ソフトカプセル剤のカプセル皮膜に適した組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンは、温度変化により可逆的にゾル・ゲル変化すること、ゲル化温度が常温であること、造膜能に優れると共に形成された皮膜の機械的強度が高いこと、体内で速やかに溶解して崩壊すること、人体に無害で体内に吸収され易いこと等、カプセル皮膜の基剤として多くの利点を有していることから、一般に広く用いられている。
そして、剤型としては、内容物が液状の場合には、液漏れを心配せずに封入できることから、ソフトカプセルが好まれている。
【0003】
而して、ゼラチンが皮膜基剤になっている場合には、ゼラチンが有するアミノ基がメイラード反応に関与すると、カプセル皮膜が不溶化して、崩壊遅延をもたらす問題点が有ることは従来から指摘されている。
また、最近では、薬剤のバイオアベライラビリティーに着目されており、崩壊遅延が製剤としての評価に重大な影響を与えつつある。
そのため、ゼラチン側のアミノ基と反応するカルボニル基を有するもの、例えば、生薬、DHA、EPA等の不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸残基を有する油脂で構成される油分を内容物に含ませる場合には、ゼラチンとのメイラード反応に因る崩壊遅延が顕在化しないよう、特別な対応が求められている。
【0004】
従来から、崩壊遅延の対策は提案されている。
例えば、特許文献1、2では、ゼラチン系カプセル皮膜にアミノ酸あるいは有機酸を配合してゼラチンの不溶化を防止することが提案され、特許文献3では、ゼラチン系カプセル皮膜にプルランおよびポリペプチドを添加することが提案され、特許文献4には、内容物にトリプトファン、トコフェロール等の抗酸化剤を添加することが提案されているが、いずれも崩壊遅延防止効果は十分に満足できるものではない。
また、特許文献5では、ゼラチンのアミノ基を有機酸で修飾したモデファイドゼラチンを利用することが提案されており、不溶化をある程度改善することができるが、その効果は未だ十分に満足できるものではない。また、このゼラチンは通常のゼラチンに比べて皮膜強度が劣り、かつ高価である。更に、このゼラチンは用途が医薬品に限定され、食品等に利用できない等の欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭57−30088号公報
【特許文献2】特開昭59−39834号公報
【特許文献3】特開平05−65222号公報
【特許文献4】特開平03−34921号公報
【特許文献5】特公昭57−4267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の崩壊遅延防止効果は、薬剤のバイオアベライラビリティーを考慮すると十分に満足できるものではない。更に、用途が医薬品に限定されることも好ましくない。
それ故、本発明は、用途が限定されずに、崩壊遅延を効果的に防止できる、新規且つ有用なゼラチン系カプセル皮膜組成物を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、上記したカプセル皮膜組成物を利用して成形したソフトカプセル剤を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、試行錯誤の末、ゼラチン系カプセル皮膜組成物に還元水飴を配合することにより、崩壊遅延を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のカプセル皮膜組成物は、ゼラチンを基剤とし、更に、グリセリンと、還元水飴とを含むことを特徴とする。
好ましくは、還元水飴として低糖化乃至中糖化のものを配合する。
また、好ましくは、ゼラチン:100質量部に対して、還元水飴:5〜100質量部を配合する。
【0009】
また、本発明のソフトカプセル剤は、上記した組成物で構成されたカプセル皮膜で、生薬、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸残基を有する油脂で構成される油分等、ゼラチンとの間のメイラード反応に関与する成分を含む内容物を被包したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のソフトカプセル剤は、内容物とカプセル皮膜に含まれるゼラチンとの間でメイラード反応が阻止されているため、内容物に因る崩壊遅延を効果的に防止できる。
また、本発明のソフトカプセル剤の製造に際して、特殊な製造工程を必要としないことから、製造コストを上げることもない。
更に、本発明のソフトカプセル剤は、従来のゼラチン系ソフトカプセル剤と同様に、医薬品から食品まで幅広く応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ソフトカプセル剤に関する。「ソフトカプセル剤」には、ロータリーダイを利用して二枚の皮膜シートの間に内容物をそのまま充填しながら成形し打ち抜く方式で製造されるロータリーダイ式ソフトカプセルや、二重ノズルを用いた滴下方式等で製造されるシームレスカプセルが含まれる。
カプセル剤としては、ハードカプセル剤もあり、ゼラチンで構成する場合もあるが、後述する配合薬剤は液状でカプセルに被包することが多いことから、特にソフトカプセル剤への適用が想定されている。
【0012】
(カプセル皮膜)
本発明の皮膜基剤はゼラチンであり、膜組成に占める含有量が通常は最も多いので、カプセル皮膜はゼラチン系と言える。すなわち、カプセル皮膜における、ゼラチンが提供してきた利点を、本発明ではそのまま享受している。
ゼラチンは、牛、羊、豚、鶏、あるいは魚等の皮、骨、腱などの主タンパク成分であるコラーゲンを由来原料としたものであり、牛骨、牛皮又は豚皮を原料としたゼラチンが工業原料として入手し易くなっているが、由来は特に限定されない。
また、ゼラチンは、上記した原料を、酸やアルカリで処理したのち温水で抽出することにより得られるコラーゲンの変性体であり、処理の仕方には酸処理とアルカリ処理があるが、本発明では処理方法も特には限定されない。
【0013】
ゼラチン系カプセル皮膜に、柔軟性や弾力性を与えるために、可塑剤としてグリセリンが配合されている。
一般的なカプセル皮膜に含ませる可塑剤としては、グリセリンの他に、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の1(単)糖アルコールも候補に挙げられることが多いが、本発明では、これらは可塑剤としては使用されていない。
【0014】
更に、本発明の特徴として、還元水飴が配合されている。
還元水飴も糖アルコールの一種で、デンプンを酸や酵素等を用いて加水分解して得られたブドウ糖や水飴を水素添加して製造するのが一般的である。DE55〜80程度の高糖化水飴に分解し水素添加したものを高糖化還元水飴、DE40以下の低糖化水飴に分解し水素添加したものを低糖化還元水飴、その中間を中糖化還元水飴と呼ぶことが多い。固形分当たりの糖組成で言うと、高糖化還元水飴には1(単)糖アルコールが多く含まれているが、中糖化水飴には2糖乃至3糖アルコールが多く含まれ、低糖化水飴には5糖以上のアルコールが多く含まれており、中糖化乃至低糖化では、1糖アルコールの量は25質量部以下になっている。
【0015】
本発明では、還元水飴の種類を問わず、高糖化〜中糖化〜低糖化のすべてにおいて、添加による崩壊遅延防止効果が認められているため、還元水飴の種類は限定されないが、特に、中糖化乃至低糖化の還元水飴を配合するのが好ましい。
【0016】
還元水飴は市販されており、容易に入手できる。
例えば中糖化還元水飴の市販品としては、製品名:エスイー58(登録商標:「エスイー」、販売元:物産フードサイエンス株式会社、愛知県知多市)(平均糖組成(%) 「1糖アルコール:4.6」、「2糖アルコール:45.5」、「3糖アルコール:21.9」、「4糖アルコール:3.0」、「5糖アルコール以上:25.1)」と、製品名:エスイー57(登録商標:「エスイー」、販売元:物産フードサイエンス株式会社、愛知県知多市)(平均糖組成(%) 「1糖アルコール:4.6」、「2糖アルコール:45.5」、「3糖アルコール:21.9」、「4糖アルコール:3.0」、「5糖アルコール以上:25.1」)が挙げられる。
【0017】
低糖化還元水飴の市販品としては、製品名:エスイー30(登録商標:「エスイー」、販売元:物産フードサイエンス株式会社、愛知県知多市)(平均糖組成(%) 「1糖アルコール:7.7」、「2糖アルコール:13.8」、「3糖アルコール:13.2」、「4糖アルコール:7.0」、「5糖アルコール以上:58.4)」と、製品名:エスイー100登録商標:「エスイー」、販売元:物産フードサイエンス株式会社、愛知県知多市)(平均糖組成(%) 「1糖アルコール:2.6」、「2糖アルコール:8.2」、「3糖アルコール:9.5」、「4糖アルコール:6.7」、「5糖アルコール以上:73.0」)が挙げられる。
【0018】
高糖化還元水飴の市販品としては、アマミール登録商標、販売元:三菱商事フードテック株式会社)(糖組成(%) 「1糖アルコール:46〜49」、「2糖アルコール:30〜40」、「3糖アルコール:5〜13」、「4糖アルコール以上:4〜10」と、製品名:エスイー600登録商標「エスイー」、販売元:物産フードサイエンス株式会社、愛知県知多市)(平均糖組成(%) 「1糖アルコール:41.9」、「2糖アルコール:42.0」、「3糖アルコール:9.9」、「4糖アルコール:1.5」、「5糖アルコール以上:4.7」)が挙げられる。
【0019】
ゼラチンに対するグリセリンの配合量の範囲は、ゼラチン系ソフトカプセルの既存品と変わらず、ゼラチン:100質量部に対して、グリセリン:10〜50質量部が好ましい。
また、ゼラチンに対する還元水飴の配合量の範囲は、ゼラチン:100質量部に対して、還元水飴:5〜100質量部が好ましい。5質量部以上で配合効果が得られ、且つ100質量部以内であれば、カプセル皮膜に占めるゼラチンの相対的な含有量を有意的に保持できるからである。
【0020】
なお、還元水飴には、上記したように、1糖アルコールも含まれており、これらは可塑剤としての働きもするが、本発明では可塑剤としての取り扱いはしていない。
また、還元水飴に類似するものに還元麦芽糖水飴があり、還元麦芽糖(マルチトール)を75%以上含むものを還元麦芽糖水飴、還元麦芽糖(マルチトール)が75%未満のものを還元水飴と一般には区別されており、本発明でもこの還元麦芽糖水飴は還元水飴とは区別している。
【0021】
カプセル皮膜組成物は、上記したものの他に、必要に応じて着色剤、保存剤等が適宜添加されて構成されている。
【0022】
(内容物)
本発明の内容物は、従来からゼラチン系ソフトカプセルの内容物として利用されてきたもの、更にはこれから案出されるもので、ゼラチン系カプセルの内容物に適用できるものは、全て、本発明のカプセル内容物として適用される。
しかしながら、特に、カプセル皮膜側に敢えて還元水飴を配合してメイラード反応による崩壊遅延を防止する機能が付与されていることから、本発明を実際に実施する際には、内容物側はメイラード反応を起こす可能性が有るものを積極的に採用することが推奨される。
【0023】
具体的な例としては、生薬、不飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸残基を有する油脂等が挙げられる。
生薬は、植物・動物などを、そのままで、あるいは性質を変えない程度に切断・破砕・乾燥するなどの加工・調製をして、医薬品原料、香粧料、漢方薬、民間薬、香辛料、食品などに用いられるものを指す。具体的には、ブルーベリー、ハーブ類(例えば、カモミール、ローズマリー等)、ニンニク等の原末乃至抽出物が挙げられる。
【0024】
不飽和脂肪酸としては、炭素数14以上、より好ましくは炭素数14〜22の長鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。炭素数14以上の長鎖不飽和脂肪酸としては、例えばDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸としては、DHA、EPA等とリン脂質とが結合した不飽和脂肪酸、具体的にはDHAがホスファチジルコリン(PC)と結合したPC−DHA、ホスファチジルセリン(PS)と結合したPS−DHA等も挙げられる。
【0025】
また、不飽和脂肪酸残基を有する油脂で構成される油分とは、その油脂を構成する脂肪酸残基の少なくとも1つが不飽和脂肪酸残基である油脂、あるいはそのような油脂の混合物を意味する。なお、本発明において、不飽和脂肪酸残基を有さない油脂が含まれていてもよい。
例えば、植物油脂(大豆油、オリーブ油、サフラワー油、トウモロコシ油等)、動物油脂(魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂等)が挙げられる。
【0026】
内容物には、ソフトカプセルやシームレスカプセルの場合には、油脂を基剤とし、そこに粉末状乃至液状の有効成分が含まれたものが典型的なものとなっており、従来は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が広く使用されていたが、本発明では、崩壊遅延防止機能が付加されているので、上記した植物油脂を基剤として使用することができる。
【0027】
(カプセル製剤化)
上記したカプセル皮膜の組成物を構成するゼラチン、グリセリン、還元水飴、更には必要に応じて添加された着色剤を共に適量の水に溶解させ撹拌させて均質な皮膜溶液を作製し、内容物を充填・封入すると共に成形して、定法によってカプセル剤を製造する。
【0028】
(ソフトカプセル剤)
本発明のソフトカプセル剤は、カプセル皮膜側にゼラチンと共に還元水飴が含まれている。そのため、内容物側にゼラチンが有するアミノ基とメイラード反応を起こす成分が含まれていても、崩壊遅延が防止される。
なお、還元水飴の添加による崩壊遅延防止のメカニズムは不明である。水に近い1糖アルコールが多い高糖化側よりも中糖化乃至低糖化側が高い崩壊遅延防止効果を示したことから、当業者の予測できた範囲を超えており、今後の分析が待たれる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
以下は、カプセル皮膜の検証のために実施したものである。
1.皮膜溶液等の作製
豚ゼラチン(酸処理)、グリセリン、還元水飴等、水を所定量秤量し、ジャケット温度が70℃程度に加温されたタンクに投入し、攪拌溶解した。溶解後、溶液を脱泡し、所定の粘性(25000±1000cps/60℃)となるよう調整を行った。その調整した皮膜溶液を、室温(20℃〜30℃程度)にて保管した。
また、内容物は、黒にんにく等の有効成分を基材油に加えて、均質になるまで攪拌して、液状(溶液状または懸濁液状)にした。
【0030】
2.カプセル製剤化
タンクに保管した皮膜溶液をカプセル充填開始前に60℃設定にて事前加温して粘性を戻した状態で加温維持した。そして、カプセル充填機に皮膜溶液と内容物を供給し、定法によりロータリーダイ式によりカプセル製剤化を行った。
その後、常法通り、カプセルの乾燥を行った。
本実施例や比較例で製造したソフトカプセル剤は、オーバル型No.5(皮膜重量:150mg、内容物重量:300mg)にした。
【0031】
そして、カプセル性状を肉眼観察すると共に、カプセル剤の崩壊試験を日局16崩壊試験法(補助盤有り)にて実施した。
以下に、比較例1〜3、実施例1〜10の各データを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
還元水飴は、いずれも上記した市販品を利用しており、高糖化還元水飴Aは「製品名:アマミール」、高糖化還元水飴Bは「製品名:エスイー600」、中糖化還元水飴Aは「製品名:エスイー58」、中糖化還元水飴Bは「製品名:エスイー57」、低糖化還元水飴Aは「製品名:エスイー30」、低糖化還元水飴Bは「製品名:エスイー100」である。
また、還元麦芽糖水飴の糖組成(%)は、「1糖アルコール:0〜3」、「2糖アルコール:88〜98」、「3糖アルコール:2〜9」、「4糖アルコール以上:0〜4」であった。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
上記のデータに示すように、還元水飴を配合したときには崩壊遅延防止効果が認められた。特に、中糖化〜低糖化の還元水飴を配合したときには、その効果が顕著であった。
また、還元水飴を配合しても、外観の観察結果からも明らかなように、製造後の保管時における経時劣化は特に認められなかった。
【要約】
【課題】ゼラチンが有するアミノ基がメイラード反応に関与すると、カプセル皮膜が不溶化して、崩壊遅延をもたらす。
【解決手段】ゼラチンを基剤とし、更に、グリセリンと、還元水飴とを含ませたものを、ソフトカプセル剤のカプセル皮膜の組成物とする。還元水飴は低糖化乃至中糖化が好ましい。生薬、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸残基を有する油脂で構成される油分等、ゼラチンとの間のメイラード反応に関与する成分を含む内容物を被包させたときに、崩壊遅延を防止できる。
【選択図】 なし