【実施例】
【0041】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。試料の配合量は特に記載のない限り質量%である。なお、本発明で用いた評価方法は次の通りである。
【0042】
泡硬度は、攪拌機にて泡立てた泡をシャーレに入れてレオメーター(アダプタ40mmφ、荷重200g)にて圧縮応力を2回測定して、その平均値をもとに評価した。
【0043】
泡密着は、攪拌機にて泡立てた泡をシャーレに入れてレオメーター(アダプタ40mmφ、荷重200g)に泡を接触、その後、引っ張り応力を2回測定してその平均値をもとに評価した。
【0044】
泡数は、攪拌機にて泡立てた泡を断面積1cm×1cmの透明セルに入れてマイクロスコープにて0.552mm
2中の泡数を3回測定して、その平均値をもとに評価。
【0045】
平均泡粒径は、攪拌機にて泡立てた泡を断面積1cm×1cmの透明セルに入れてマイクロスコープにて0.552mm
2中の泡粒径(μm)を3回測定して求めた。その平均値をもとに平均泡粒径を求めた。
【0046】
泡の流動性は、攪拌機にて泡立てた泡を漏斗に流し込み、一定時間内に流れ落ちる泡の重量を3回測定して、その平均値を求めて泡の流動性を評価した。
【0047】
外観については、枠練り方式にて、枠に石鹸を流し込み冷却固化後、枠抜機により石鹸を取り出した際の目視観察により評価した。
○: 透明均一
△: 透明不均一(微結晶析出)
×: 透明不均一(結晶大量に析出)
【0048】
臭いは、調製した試料を、専門パネラー6名が使用中の泡の匂いを確認して評価した。
○:異臭が無い
×:異臭が強い
【0049】
本発明における特徴的な泡質についての総合評価は、おもに、泡硬度、泡密着、泡の流動性に基づき評価を行った。
泡硬度については、C(30以下)、B(25以下)、A(20以下)
泡密着については、C(15以下)、B(10以下)、A(5.0以下)
泡の流動性については、C(5以上)、B(10以上)、A(12以上)
◎:特徴的な流動性のある泡質となる
○:やや特徴的な流動性のある泡質となる
△:特徴的な泡質とならない
【0050】
上記(A)〜(B)成分とその他の成分を溶解釜にて、加熱溶解させる。そして、溶解釜から、溶解した石鹸液をポンプを通じて、複数本の有底筒状冷却枠を有した冷却容器の冷却枠に注入し、冷却・固化する。そして、冷却枠より棒状石鹸(素地棒)を取り出し、切断、熟成、型打ちすることにより、枠練り透明固形石鹸を得た。
【0051】
まず、本発明者らは、配合する高級アルコールの種類について検討した。
【0052】
【表1】
【0053】
(*1):サボンドールGP-9S:(日油社製)
【0054】
試験例1−1〜試験例1−7から分かるように、試験例1−3〜1−5において、泡硬度の著しい低下が見られた。
しかし、試験例1−2〜試験例1−4から分かるように、異臭が強いため、固形石鹸に、用いることが困難であった。
したがって、泡硬度、臭いの点で、本発明にかかる固形石鹸には、ミリスチルアルコールが必須であることが分かった。
【0055】
次に、本発明者は、(A)ミリスチルアルコールの配合量について、検討した。
【0056】
【表2】
【0057】
これらの試験例2−1〜2−5より、ミリスチルアルコールが、1.0以上、3,0質量%未満であると、泡硬度が低下し、臭いと外観に優れた固形石鹸が得られることがわかった。
【0058】
さらに、本発明者は、脂肪酸塩に、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤を加えた系についても検討した。
【0059】
【表3】
【0060】
(*2):レボンHSA−3(P):(三洋化成工業社製)
(*3):ソフタゾリンLHL-SF:(川研ファインケミカル社製)
(*4):パイオニンD-260-KZ:(竹本油脂社製)
(*5):アミノコート:(日本甜菜製糖社製)
【0061】
これらの試験例3−1〜3−7より、ミリスチルアルコールが、0.5質量%以上、3,0質量%未満であると、泡硬度が低下し、臭いと外観に優れた固形石鹸が得られることがわかった。
【0062】
次に、本発明者は、優れた外観を維持しつつ、様々な水溶性高分子を加えて泡の伸びと拡がりに優れ、肌当たりが良く、滑らかな感触をした特徴的な泡質が得ることができないかと検討した。
【0063】
【表4】
【0064】
(*6)ポリオックスWSR−301:(ダウ・ケミカル社製)
(*7)アロンビスS:(日本純薬社製)
(*8)ナトロゾール250LR:(HERCULES社製)
(*9)メトローズ60SH−50:(信越化学工業社製)
(*10)カチナールCG−100:(東邦化学工業社製)
【0065】
これらの試験結果より、水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであると、外観に優れ、泡硬度が低く、泡の流動性に優れた固形石鹸が得られることがわかった。
【0066】
さらに、本発明者は、脂肪酸塩に、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤を加えた系についても水溶性高分子の配合について検討した。
【0067】
【表5】
【0068】
(*11)カチナールPC−100:(東邦化学工業社製)
【0069】
これらの試験結果より、水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであると、外観に優れ、泡硬度が低く、泡の流動性に優れた固形石鹸が得られることがわかった。
【0070】
また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合量が、0.005〜0.01質量%であると、外観に優れ、泡硬度が低く、泡の流動性に優れた固形石鹸が得られることがわかった。
【0071】
次に、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースについて、さらに検討した。
【0072】
【表6】
【0073】
(*12)メトローズ60SH−50;信越化学工業社製
式(I)中、メトキシ基の割合は28.0〜30.0%、ヒドロキシプロポキシ基の割合は7.0〜12.0%である。
【0074】
【表7】
【0075】
(*13):メトローズ65SH−50;信越化学工業社製
式(I)中、メトキシ基の割合は、27.0〜30.0%、ヒドロキシプロポキシ基の割合は4.0〜7.5%である。
【0076】
【表8】
【0077】
(*14):メトローズ90SH−100:(信越化学工業社製)
式(I)中、メトキシ基の割合は22.0〜24.0%、ヒドロキシプロポキシ基の割合は8.5〜10.5%である。
【0078】
これらの試験結果より、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、0.001〜0.025質量%、さらに好ましくは、0.001〜0.01質量%であると、泡の伸びと拡がりに優れ、肌当たりが良く、滑らかな感触をした特徴的な泡質を有する枠練り透明固形石鹸を得ることができると分かった。
【0079】
さらに、本発明者は、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤を加えた系についても検討した。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
これらの試験結果より、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤を加えた系においても、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、0.001〜0.025質量%であると、泡の伸びと拡がりに優れ、肌当たりが良く、滑らかな感触をした特徴的な泡質を有する枠練り透明固形石鹸を得ることができると分かった。