特許第6019217号(P6019217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019217
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
   F24F13/20 207
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-508240(P2015-508240)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2014055976
(87)【国際公開番号】WO2014156563
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-65520(P2013-65520)
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝又 政敏
(72)【発明者】
【氏名】白川 暢介
(72)【発明者】
【氏名】須藤 昭久
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−163042(JP,U)
【文献】 特開平04−131628(JP,A)
【文献】 実開昭61−044122(JP,U)
【文献】 特開平08−270974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品箱を備えた空気調和機本体と、
前記空気調和機本体に膨出形成され、前記電気部品箱が密着する絞り部と、
前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方に切起し加工により設けられた爪部と、
前記空気調和機本体および前記電気部品箱の他方に設けられ、前記爪部が嵌り込むとともに、前記電気部品箱が前記空気調和機本体の前記絞り部に沿ってスライドされることで前記爪部が掛止される孔部と、
前記爪部が前記孔部に掛止した位置で、前記電気部品箱を前記空気調和機本体にねじ止め固定する取付け部と、を具備し、
前記爪部は、互いに直交するように連続するとともに、前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方に連結された二つの連結辺と、互いに直交するように連続するとともに、前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方から切り離された連続する二つの切り離し辺と、を含む矩形状をなし、
前記孔部は、前記爪部が嵌り込むように開口された矩形状孔と、前記矩形状孔の一部から切り込まれ、前記電気部品箱がスライドされた時に前記爪部の一方の前記連結辺が嵌り込むことで当該連結辺に掛止される嵌合用切込みと、を含む空気調和機。
【請求項2】
前記爪部は、前記空気調和機の天板部に設けられ、
前記孔部は、前記電気部品箱の天板部に設けられ、
前記絞り部は、前記空気調和機本体の背面部に設けられ、
前記取付け部は、前記空気調和機本体の底板部および前記電気部品箱の底板部に夫々設けられた請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記爪部および前記孔部は、前記電気部品箱のスライド方向に沿って互いに離間した複数の箇所に夫々設けられた請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば天井吊下げ形の室内ユニットを有した空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内ユニットと室外ユニットとを含む空気調和機において、天井吊下げ形の室内ユニットが多用される。天井吊下げ形の室内ユニットは、いわゆる壁掛け形の室内ユニットのように部屋の壁面から突出するものではなく、天井裏の梁等から吊下げられ、ほとんど天井板に密着状態で取付けられて室内で圧迫感を感じさせることがない。
【0003】
この種の室内ユニットは、ユニット本体(筐体)内に、熱交換器が配置される熱交換室と、送風装置が配置される送風室とを仕切る仕切り板が設けられる。送風室には、電気部品箱が配置されている。この電気部品箱には、リモコン(遠隔操作装置)からの指示信号を受けて送風装置およびルーバ等を駆動制御する電気部品類が収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−93044号公報
【発明の概要】
【0005】
普通、電気部品箱は、送風室の送風装置とユニット本体背面板との間の、極く狭いスペースに配置される。電気部品箱の取付け構造は、たとえばユニット本体の天板部に設けた複数の爪部に、電気部品箱に設けた複数の孔部を引掛け、別の部位を互いにねじ止め固定する。孔部は、単なる直線スリット状の切欠きである。爪部は、矩形状をなし三辺が切り起される。
【0006】
そのため、爪部は、一辺のみしか天板と繋がっていないので、強度的に不安がある。複数の孔部は、電気部品箱の板面に大きな面積で開口しているが、複数の爪部を同時に掛合しなければならず面倒である。また電気部品箱の位置を規制するものがないので、爪部を孔部に掛合しても、電気部品箱が狭いスペースで容易に移動し、ねじ止め固定するのに手間がかかる。
【0007】
このような事情から、電気部品箱の掛合部の強度増大化および輸送時等の振動に対する剛性向上化と、取付け手間の容易化を図った空気調和機が求められている。
【0008】
一つの実施形態に係る空気調和機は、電気部品箱を備えた空気調和機本体と、前記空気調和機本体に膨出形成され、前記電気部品箱が密着する絞り部と、前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方に切起し加工により設けられた爪部と、前記空気調和機本体および前記電気部品箱の他方に設けられ、前記爪部が嵌り込むとともに、前記電気部品箱が前記空気調和機本体の前記絞り部に沿ってスライドされることで前記爪部が掛止される孔部と、前記爪部が前記孔部に掛止した位置で前記電気部品箱を前記空気調和機本体にねじ止め固定する取付け部と、を具備している。
前記爪部は、互いに直交するように連続するとともに、前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方に連結された二つの連結辺と、互いに直交するように連続するとともに、前記空気調和機本体および前記電気部品箱のいずれか一方から切り離された連続する二つの切り離し辺と、を含む矩形状をなしている。
前記孔部は、前記爪部が嵌り込むように開口された矩形状孔と、前記矩形状孔の一部から切り込まれ、前記電気部品箱がスライドされた時に前記爪部の一方の前記連結辺が嵌り込むことで当該連結辺に掛止される嵌合用切込みと、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一つの実施形態に係る、空気調和機の室内ユニットの外観斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る、室内ユニットの縦断面図である。
図3図3は、同実施形態に係る、室内ユニットの内部構造を示す底面図である。
図4図4は、同実施形態に係る、電気部品箱の表面側の斜視図である。
図5図5は、同実施形態に係る、電気部品箱の裏面側の斜視図である。
図6図6は、同実施形態に係る、電気部品箱を取付ける以前の室内ユニットの一部の内部構造を示す斜視図である。
図7図7は、同実施形態に係る、電気部品箱を取付けた状態の室内ユニットの一部の内部構造を示す斜視図である。
図8A図8Aは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付け途中を説明する斜視図である。
図8B図8Bは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付け途中の爪部と孔部の関係を説明する斜視図である。
図8C図8Cは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付け途中の爪部と孔部の関係を説明する正面図である。
図9A図9Aは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付けた状態を説明する斜視図である。
図9B図9Bは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付けた状態の爪部と孔部の関係を説明する斜視図である。
図9C図9Cは、同実施形態に係る、電気部品箱の取付けた状態の爪部と孔部の関係を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る空気調和機を図面にもとづいて説明する。
図1は、空気調和機の室内ユニットの外観斜視図である。図2は、室内ユニットの縦断面図である。図3は、室内ユニットの内部構造を示す底面図である。
【0011】
図中1はユニット本体(空気調和機本体)である。ユニット本体1は、図示しない天井裏の梁等から吊り下げられた吊りボルトに引掛けられ、室内に露出するとともに天井面に極く近接した状態で取付けられる。このユニット本体1は、厚さ方向(高さ方向)寸法と比較して幅方向(水平方向)寸法が極めて大に形成される。
【0012】
ユニット本体1は、下面を構成する底板部1aと、吊り下げられた状態で天井と近接する上面を構成する天板部1bと、これら底板部1aと天板部1bとを連結する左右一対の側板部1cおよび背面部1dとを含む。
【0013】
前記底板部1aには、この幅方向と直交する前後方向の略半分程度で、幅方向に沿うグリル10とフィルタ11が着脱自在に嵌め込まれた吸込み口2が設けられる。ユニット本体1の前面部に、水平ルーバ12が開閉自在に取り付けられた吹出し口3が設けられている。
【0014】
ユニット本体1内部には、仕切り板6が設けられる。この仕切り板6は、先に説明したグリル10が嵌め込まれる吸込み口2の一側縁に沿って立設され、ユニット本体1の天板部1bに当接するように延出される。また、仕切り板6は、左右の側板部1cに当接するように延出され、ユニット本体1内を二室A,Bに区画している。
【0015】
すなわち、ユニット本体1内部は、仕切り板6を挟んで、吸込み口2側に位置した送風室Aと、吹出口3側に位置した熱交換室Bとが形成される。送風室Aは、送風装置S、および送風装置S等を駆動制御する電気部品を収容する電気部品箱9が後述するように配置される。熱交換室Bは、室内熱交換器5が配置される。
【0016】
前記送風室Aに配置される送風装置Sは、両側面から回転軸が突出する二軸のファンモータ15と、このファンモータ15の左右それぞれの回転軸に嵌着される1個もしくは2個のファンと、それぞれのファンを収容するファンケース17とを含む。
【0017】
ファンモータ15がファンを回転駆動すると、ファンは軸方向から風を吸い込んで周方向から吹出す。ファンケース17には、回転軸周囲に吸込み用の開口部を備えるとともに、仕切り板6を貫通して熱交換室Bへ突出する吹出し口体17aが一体に設けられる。
【0018】
一方、送風室Aに配置される電気部品箱9は、ファンケース17とユニット本体1壁面である背面部1dとの間に形成される狭小のスペース(隙間)に介挿され、後述するように取付け固定される。
【0019】
前記熱交換室Bには、前記室内熱交換器5と、ドレン受け7とが収容される。ドレン受け7は、室内熱交換器5の下部に位置する。室内熱交換器5は、ユニット本体1が縦方向寸法を極力短縮して形成されるため、極く傾いた状態で斜めにして配置される。
【0020】
前記ドレン受け7は、たとえば厚肉の合成樹脂材から形成されている。ドレン受け7は、斜めに傾けた室内熱交換器5から冷凍サイクル運転にともなって生成され滴下するドレン水滴の全てを受けられるように、熱交換室Bの底面のほとんど全部を占める面積に形成される。
【0021】
そして、ドレン受け7は、ドレンホースが接続されていて、送風室Aの隅部に配置されるドレンポンプ装置Dに連通する。ドレンポンプ装置Dは、ドレン受け7に集溜するドレン水を汲み上げて所定の部位へ排水する。
【0022】
前記熱交換室B上部には、室内熱交換器5の上端部を支持する上部断熱材30が設けられている。上部断熱材30は、前記室内熱交換器5の冷凍サイクル作用にともなう発熱(温熱・冷熱)がユニット本体1を形成する板材に伝達しないように、前記ドレン受け7と同様、厚肉に形成される。
【0023】
つぎに、前記送風室Aに配置される電気部品箱9について説明する。
図4は、電気部品箱9の前面側の斜視図である。図5は、電気部品箱9の背面側の斜視図である。
【0024】
電気部品箱9は、それぞれ板金加工される箱本体9Aと蓋板9Bとを含む。箱本体9Aは、その一面全部が開口している。この開口から、箱本体9Aの内部に図示しない基板と電気部品類が取付けられる。また、基板を取付けるための固定具の一部が、箱本体9Aの背面側へ突出する。蓋板9Bには、剛性保持のための膨出部20が設けられる。蓋板9Bは、箱本体9Aの開口部に嵌め込まれて、箱本体9Aの内部を覆う。
【0025】
箱本体9Aと蓋板9Bの、図の上端部には左右一対の取付け用舌片21,22が設けられている。箱本体9Aの取付け用舌片21に、蓋板9Bの取付け用舌片22が、取付けねじ23を介してねじ止め固定される。箱本体9Aの取付け用舌片21には、ユニット本体1に設けられる後述する取付け部に固定するための取付けねじ24が取付けられる。
【0026】
図5のみに示すように、電気部品箱9の図の下端部には、左右一対の孔部25が設けられる。それぞれの孔部25は、矩形状をなす矩形状孔25aと、嵌合用切込み25bとを含む。嵌合用切込み25bは、矩形状孔25aの電気部品箱9の長手方向に沿う一辺部のみを長手方向に沿って延長する。
【0027】
実際に、電気部品箱9をユニット本体1の送風室Aに収容配置するには、図の上下が逆になる。すなわち、孔部25が設けられた端部が天板部9b側となり、取付け用舌片21,22が設けられた端部が底板部9a側となる。図4に示す、膨出部20が設けられる蓋板9Bは、送風装置S側に向く。
【0028】
図6は、電気部品箱9を取付ける以前のユニット本体1の一部の内部構造を示す斜視図である。ここでも説明し易いように、ユニット本体1の向きを実際とは異ならせて描いている。
【0029】
ユニット本体1の図6における下端部は、背面部1dである。この背面部1dの一部には、ユニット本体1の内部側に膨出形成された絞り部28が設けられている。絞り部28は、長孔状の逃げ孔aを備える。ユニット本体1の図6における手前側の開口部には、後程、下面を構成する底板部1aが取付けられる。底板部1aが背面部1dと交わる部位に、それぞれねじ孔を備えた左右一対の取付け部29が設けられている。一対の取付け部29は、互いに所定間隔だけ離間した位置に設けられる。
【0030】
さらに、ユニット本体1の図6における背面側は、天板部1bになっていて、送風装置Sの構成部品であるファンケース17と背面部1dとの中間部に、左右一対(一方のみ図示)の爪部31が設けられる。一対の爪部31は、所定間隔だけ離間した位置に設けられる。各爪部31は、後述するように構成されていて、それぞれ取付け部29の略延長上に対向する位置に設けられる。
【0031】
図7は、電気部品箱9を取付けた状態のユニット本体1の内部構造を示す斜視図である。やはり説明し易いように、ユニット本体1の向きを図6に合わせて描いている。
図の状態で、電気部品箱9は、ユニット本体1の背面部1dに載る。詳しくは、電気部品箱9は、背面部1dに設けられる絞り部28上に載る。電気部品箱9の箱本体9Aから突出する基板固定具は、絞り部28に設けられる長孔状の逃げ孔aに挿入される。
【0032】
電気部品箱9の箱本体9Aに設けられる取付け用舌片21は、ユニット本体1に設けられる取付け部29に重ね合わされ、位置決め後に取付けねじを介して取付け固定される。電気部品箱9に設けられる、ここでは図示しない孔部25は、後述するようにユニット本体1の図示しない爪部に嵌め込まれて固定される。
【0033】
このように送風室Aにおいて電気部品箱9は、送風装置Sとユニット本体背面部1dとの間の狭小のスペースに取付けられる。なお説明すると、電気部品箱9は、孔部25がユニット本体1の天板部1bの爪部31に掛合するとともに、背面部1dの端部にねじ固定される。
【0034】
図8Aは、電気部品箱9をユニット本体1へ取付ける作業における最初の手順を説明するための図である。この図8Aは、理解し易いように蓋板9Bを取外し、箱本体9Aのみを示している。図の下部側板面がユニット本体1の背面部1dである。この背面部1dに設けられる絞り部28上に電気部品箱9が載る。
【0035】
図示しないグリル10を取付けるための背面部1dの端部には、取付け部29が膨出形成されている。取付け部29は、電気部品箱9に設けられる取付け用舌片21とは位置がずれた状態となっている。
【0036】
ユニット本体1の図における奥側の板面が天板部1bである。この天板部1bに設けられる爪部31に電気部品箱9に設けられる孔部25が挿入され、ゆるく嵌め込まれている。したがって、爪部31に孔部25を嵌め込む作業は極く容易に行うことができる。
【0037】
図8B図8Cは、ユニット本体1に切起し加工により設けられる爪部31と、電気部品箱9に設けられる孔部25との関係を拡大して示す斜視図と正面図である。
爪部31は、矩形状に切起し形成されている。特に図8Cにハッチングで示す爪部31の上辺部31aと左側辺部31bとの連続する二辺部がユニット本体1と連結する連結辺である。一方で、ハッチングのない爪部31の下辺部31cと右側辺部31dの連続する二辺部がユニット本体1とは切り離された切り離し辺部である。
【0038】
ユニット本体1から切起される爪部31の切起し高さは、少なくとも電気部品箱9の構成部品である箱本体9Aの板厚よりもある程度高く設ける必要がある。
一方で、孔部25は、矩形状孔25aと、嵌合用切込み25bとを含む。矩形状孔25aは、爪部31の矩形状よりも左右上下にある程度大きく形成される。嵌合用切込み25bは、矩形状孔25aの図における特に上部から、水平方向に切り込まれる。
【0039】
なお嵌合用切込み25bについて説明すると、嵌合用切込み25bは、爪部31のユニット本体1連結された上辺部31aの延長上に沿って形成される。嵌合用切込み25bの長さ寸法Lは、爪部31の上辺部31aの長さと略同一、もしくは上辺部31aの長さよりも短く設けられる。そして、嵌合用切込み25bの上下幅寸法hは、ユニット本体1の板厚よりも僅かに大に設けられる。
【0040】
このようにして、電気部品箱9の箱本体9Aである背面部9dをユニット本体1の背面部1dに設けられる絞り部28上に載せ、電気部品箱9の孔部25の一部を構成する矩形状孔25aをユニット本体1の爪部31に緩く嵌め込んだうえに、電気部品箱9を図の左方向へスライド付勢する。
【0041】
この状態で、矩形状孔25aの上部で、かつ水平方向に切り込まれる嵌合用切込み25bに、爪部31の連結辺である上辺部31aが入り込む。孔部25の一部を構成する矩形状孔25aは、爪部31が切起された後の切起し孔とは位置がずれることになる。
【0042】
図9Aは、電気部品箱9をユニット本体1の所定位置までスライド付勢した状態を示す斜視図である。図9Bは、そのときの孔部25と爪部31の状態を示す斜視図である。図9Cは、同じく孔部25と爪部31の正面図である。
【0043】
上述したように、爪部31の切起し高さは、電気部品箱9の構成部品である箱本体9Aの板厚よりも大に設定されている。このため、電気部品箱9を所定方向へスライド付勢すると、ユニット本体1の爪部31の一部を構成する上辺部31aが電気部品箱9の孔部25の一部を構成する嵌合用切込み25bに嵌り込むとともに、爪部31と切起し孔に矩形状孔25aが徐々に対向する。
【0044】
ついには、嵌合用切込み25bの末端部が爪部31の上辺部31aの末端部に掛止して、それ以上のスライド付勢が規制される。嵌合用切込み25bと上辺部31aとの長さの設定から、上辺部31aは、嵌合用切込み25bのほとんど大部分に嵌り込む。しかも、爪部31と孔部25は互いに左右一対ずつ設けられているので、電気部品箱9はどの位置においても並行に、傾くことなく正しい姿勢が保持される。
【0045】
このとき電気部品箱9の取付け用舌片21に設けられる取付け用孔は、ユニット本体1に膨出形成される取付け部29に設けられるねじ孔に正しく対向する。そこで、取付け用孔を介してねじ孔に取付けねじ24を螺挿する。その一方で、電気部品箱9の背面部9dはユニット本体1の背面部1dに設けられる絞り部28に当接しながら絞り部28上をスライドする。
【0046】
結局、電気部品箱9は、図1図3および図5に示すように、送風室Aの送風装置Sの一部を構成するファンケース17とユニット本体1の背面部1dとの間の狭小のスペースに収容配置される。電気部品箱9の背面部9dは、ユニット本体1の背面部1dの絞り部28に密着し、孔部25の一部を構成する嵌合用切込み25bには、爪部31の上辺部31aが嵌り込む。
【0047】
このことから、ユニット本体1の背面部1dと送風装置Sのファンケース17との間隔が極く狭いものであっても、電気部品箱9をファンケース17に接触させることなく、電気部品箱9の位置規制を確実にして配置できる。
【0048】
そして、電気部品箱9の取付け用舌片21に設けられる取付け用孔と、ユニット本体1の取付け部29に設けられるねじ孔に取付けねじ24を螺挿するので、電気部品箱9は確実に固定できる。
【0049】
特に、電気部品箱9の孔部25をユニット本体1の爪部31に挿入し、電気部品箱9を所定方向にスライドするだけで、ユニット本体1と送風装置Sに対する位置決めが容易に可能となる。この取付けも、取付けねじ24が最小(2個)ですみ、作業性の向上と、作業時間の短縮化を図れる。
メンテナンス時に取付けねじ24を外しても、電気部品箱9はユニット本体1に掛止したままであり、落下しないので、安全性を確保できる。
【0050】
爪部31を矩形状の切起しとし、連続する二辺31c、31dをユニット本体1から切り離した切り離し辺とし、他の連続する二辺31a,31bをユニット本体1と連結する連結辺としたから、爪部31の剛性増大を図ることができ、たとえば輸送時の衝撃荷重に充分耐え得ることになる。
【0051】
爪部31および孔部25をユニット本体1と電気部品箱9のそれぞれ天板部1b,9bに設け、絞り部28はユニット本体1の背面部1dに設け、取付け部29と取付け用舌片21はユニット本体1と電気部品箱9のそれぞれ底板部1a,9aに設けたから、電気部品箱9の位置決めを容易に得られるとともに、ユニット本体1の剛性向上を図れる。
【0052】
なお、ユニット本体1に爪部31を設け、電気部品箱9に孔部25を設けたが、これに限定されるものではなく、逆に、ユニット本体1に孔部25を設け、電気部品箱9に爪部31を設けても、上述のような組立てが可能である。
【0053】
さらに、一つの実施形態として天井吊下げ形の空気調和機を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、天井板の裏側に配置され、吸込み口と吹出し口にダクトが接続される天井埋込み形の空気調和機にも適応可能なことは言うまでもない。
【0054】
以上、本実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、実施形態の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C