(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019222
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20161020BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20161020BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20161020BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20161020BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J7/00 V
H02J1/00 304D
B60L11/18 C
H02M3/00 H
H02M3/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-514881(P2015-514881)
(86)(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-525552(P2015-525552A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】KR2012004317
(87)【国際公開番号】WO2013180324
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514303640
【氏名又は名称】コリア レイルロード リサーチ インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ホ スン チョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン チョル キム
(72)【発明者】
【氏名】チャン ベ パク
(72)【発明者】
【氏名】キ スク キム
【審査官】
猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−005341(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0112935(KR,A)
【文献】
特開2007−252117(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/118187(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/150594(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0130292(US,A1)
【文献】
特表2007−535282(JP,A)
【文献】
特開平05−286437(JP,A)
【文献】
特開2013−070540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
B60L 7/00 −13/00
H02J 1/00 − 1/16
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の多機能充電装置において、
電気鉄道車両の運行に必要な高圧の直流電力を前記鉄道車両の設備に供給する電力供給装置に接続され、前記高圧の直流電力を電気自動車に充電可能な低圧の電圧レベルに変換する直流−直流コンバータと、
前記電力供給装置から前記直流−直流コンバータに供給される電力量および前記多機能充電装置で消耗する電力量を計測する計測モジュールと、当該計測モジュールにより計測された前記各電力量に基づき、前記電気自動車に対し充電できる余裕がある場合に充電を許す信号を、前記余裕が無い場合には余裕が無いことを示す信号を生成し送信する信号発生モジュールとを有し、両方向の安定した電力供給を遂行する電力制御部と、
使用者による入力から充電の可否を判断し、各充電コネクタ別の充電情報をモニタして出力し、料金を計算して賦課する総合管理制御部と、
前記電気自動車のバッテリ情報を収集し、充電過電圧および過電流を防止するBMSと、
前記電力量および各前記充電コネクタ別の前記充電情報を出力する出力部と、
各前記充電コネクタ別の使用による料金賦課およびその使用料金を決済する料金賦課部とを備える充電装置、および
該充電装置から引き出された複数の前記充電コネクタを備え、
前記総合管理制御部が前記信号発生モジュールから前記充電を許す信号を受信すると、前記電力供給装置から直流−直流コンバータに電力送信されるように構成されている電気自動車の多機能充電装置。
【請求項2】
前記充電コネクタが、前記総合管理制御部から前記充電コネクタを制御する情報を受信する有線の充電器通信モジュールと、該充電器通信モジュールから伝送された制御信号によって前記充電コネクタ内の装置を制御する充電コネクタ制御モジュールと、使用者に前記充電情報を出力するディスプレイモジュールと、充電料金決済のための決済入力モジュールとを備える請求項1に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項3】
前記電力制御部が、電気鉄道車両の安全運行のために直流高速度遮断器と、保護継電器と、前記充電装置から電力供給装置に電力供給を行うようにする信号発生モジュールとを備える請求項2に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項4】
前記料金賦課部が前記充電装置の一側面に決済入力モジュールを設けて決済する請求項2に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項5】
前記料金賦課部が前記充電装置の一側面に決済入力モジュールを設けて決済する請求項3に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項6】
前記充電器通信モジュールが前記充電装置と無線通信方式で通信する請求項2または請求項3に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項7】
前記充電器通信モジュールが前記充電装置と無線通信方式で通信する請求項4に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項8】
前記充電器通信モジュールが前記充電装置と無線通信方式で通信する請求項5に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項9】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項2に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項10】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項3に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項11】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項4に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項12】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項5に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項13】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項6に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項14】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項7に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【請求項15】
前記充電コネクタ制御モジュールが前記決済入力モジュールから前記料金賦課部に伝送された課金料金を利用して決済を行う請求項8に記載の電気自動車の多機能充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電装置において一つのDC/DCコンバータを利用して多数の電気車両に充電できる大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置に関する。より詳しくは、本発明は、電気自動車に急速充電が可能であるように直流給電母線から電力供給線を引き出し、一つの両方向の高効率大容量の直流−直流コンバータから多数の車両に充電できるように制御装置、各充電コネクタの表示装置および系統の電力不足時に充電インフラに連結されたEVバッテリの電力を系統電力に再び活用できる直流配電網用電気自動車の多機能充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車は、ガソリンやディーゼルを燃料として使用するが、ガソリンやディーゼルは燃焼時に有害なガスが発生して大気汚染を起こすだけでなく、ガソリンやディーゼルを作る原油が地球上にあまり残っていないために各産業分野で代替エネルギーの開発を急いでおり、その解決策として電気自動車の開発が完了して運行中にある。
電気自動車は運行に必要な電気を充電しなければならない。電気を充電する方式は緩速用充電スタンドと急速用充電器とに区分することができる。
【0003】
緩速充電方式である充電スタンドは、商用交流電力系統で供給される交流220Vまたは380Vの電気エネルギーを車両内部に搭載された充電器を利用して、直流電源に変換した後、充電する方式である。
これに対して、急速充電方式は、車両内部に充電器を設置せず、車両に充電する充電器自体で交流電源を直流電源に変える交流−直流コンバータを経て高圧の直流電源から電気自動車に必要な直流電圧に減圧する直流−直流コンバータを利用して充電器から電気自動車の蓄電池の充電電源に適合する直流電圧を出力する方式である。
【0004】
したがって、車両内部に搭載された充電器に比べて大電流の供給、および短時間に蓄電池の充電が可能であるが、充電器内部に直流−直流コンバータを備えていて嵩が大きく重量が大きくなるという問題がある。
これに、通常、電気自動車内の蓄電池の充電に家庭内の電気を利用する場合は緩速充電方式によるが、これは時間が長くかかり、また、一回の蓄電池の充電で移動できる運行距離の限界によってよく蓄電池を充電しなければならない。
【0005】
また、電気自動車が一般化することによって、既存のガソリンスタンドのような蓄電池充電所の必要性が多く台頭している。
このような充電所の建設にあたって、既存の都心地でアパート、共同住宅駐車場、会社ビル駐車場および公共施設駐車場などのような大規模な場所において、多数の電気自動車を充電するためには電気車に電力を充電するための多量の電力が必要となる。このような電力を得るために、追加の送配電線路の構築と、電力供給を管理および制御するための管理設備と、多数の充電所構築のための場所の確保とによる高価な設置費用によって、充電インフラ構築時間および費用面において非効率的な問題がある。
【0006】
上記問題点を解決するために、全国的にすでに安定的に設置されて運営中である直流電気鉄道の給電系統から大容量の電力を安定的に供給し、中央遠隔監視制御システムで充電用電力供給のためのシステムに対する保護、制御および監視を行うことによって充電電力の使用量を計測できるシステムを提供するために、本出願人である韓国鉄道技術研究院が出願した“直流電気鉄道給電網を利用した電気自動車の充電用電力供給システム(特許文献1参照。)”を提示した。
【0007】
図1は従来の直流電気鉄道給電網を利用した電気自動車の充電用電力供給システムに関する全体ブロック図である。
図2は本発明の一実施例による直流給電系統を利用した電気自動車の充電用電力供給システムの構成例示図である。
【0008】
図1および
図2に示されているように、電気自動車は直流1.500Vの給電母線から電力供給を受ける。上記の直流給電母線での電圧の大きさは鉄道車両の電力使用量などにより随時変化するので、電力供給部10は、急速充電のための直流電圧を一定に維持するために直流−直流コンバータの出力電圧を制御するコンバータ出力電圧制御モジュール11と、充電電力量を計測するために直流−直流コンバータの出力量を計測するコンバータ出力量計測モジュール12と、給電充電量の一時的な増加などにより鉄道車両の運行に要求される電力使用に影響が発生した場合に備えて直流−直流コンバータのオン−オフを制御するスイッチングモジュール13と、直流−直流コンバータの異常または急速充電部分での故障により鉄道車両の運行に支障がないように直流−直流コンバータの一次側に直流高速度遮断器および保護継電器などの保護設備モジュール14とを備える。
【0009】
充電部20は、電力供給部10から直流−直流コンバータを通して電気自動車に適合するように減圧された直流電圧電源が入力されて車両のバッテリに供給できるように電気自動車と電力系統とを連係するインターフェースモジュール21と、使用者から要求事項に相当する命令入力を受信する入力モジュール22と、インターフェースモジュール21を通じて連結された車両内のバッテリ充電の際、安全な充電が可能であるようにバッテリ状態を持続的にモニタリングし、充電情報を表示するモニタリングモジュール23と、インターフェースモジュール21を通じて連結された車両の固有情報を識別し、状況に応じて有線または無線通信を通した車両との情報交換で充電システムの使用にエラーがないように車両を識別する車両識別モジュール24と、モニタリングモジュール23から伝送された充電情報に基づいて既に設定された料金により精算する課金徴収モジュール25とを備える。
【0010】
このとき、充電部20は、例えば急速充電器が好ましい。これは、一般的な車両搭載型充電器に比べて大電流の供給を通した充電制御が可能で、相対的に短時間にバッテリ充電を可能にする方式で車両搭載型充電器に比べて大きい電力容量を有しており、嵩が大きく重量が大きい車両外部の充電スタンド形態に、電力変換のための装置から直流を車両のバッテリに供給する充電方式を有する。
【0011】
ここで、充電情報は車両に供給される瞬時電力量、累積電力量、充電状態および充電時間などを含んで鉄道車両用直流電源と鉄道駅舎に設備された電気供給用交流電源とを活用して急速充電用電源と緩速充電用電源とを供給するシステムを提供する。
そして、電力供給部10および充電部20を遠隔地からネットワークを通して接続して遠隔制御し、充電情報をリアルタイム監視および取得する遠隔制御端末器30を備える。
【0012】
しかし、上記の電気自動車の充電用電力供給システムは、一つの直流−直流コンバータ当たり一つの電気自動車に充電する一対一方式の充電インフラであり、電気自動車の充電台数が増加すればその数ほど直流−直流コンバータを追加設置しなければならないので、その効率および費用面において問題がある。
【0013】
また、遠隔制御端末器30で各直流−直流コンバータと、電力供給部内のモジュールと、充電部とを別途に制御し管理しなければならないので、その制御および管理アルゴリズムが非常に複雑になる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許公開第2011−0112935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述した問題を解決するために案出されたもので、直流給電母線から伝送された電力が一つの大容量の直流−直流コンバータに供給されて多数の電気自動車に安定的に充電するために多数の充電コネクタを引き出し、また、逆に鉄道車両の運行に当たって必要な電力が不足する場合は中央遠隔管理システムの制御を通して電気自動車の電力を鉄道電力として利用できるようにし、電気自動車に連結される各充電コネクタに小型のパネルを付着して充電関連情報をディスプレイすることができる直流配電網用電気自動車の多機能充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置は、供給される電力量および消耗する電力量を計測し、両方向の安定した電力供給を遂行する電力制御部と、使用者による入力から充電の可否を判断し、各充電コネクタ別の充電情報をモニタして出力し、料金を計算して賦課する総合管理制御部と、電気鉄道車両用高電圧直流電力を複数の低電圧直流電力に変換およびその逆変換が可能な一つの直流−直流コンバータと、前記電気自動車のバッテリ情報を収集し、充電過電圧および過電流を防止するBMSと、前記電力量および各前記充電コネクタ別の前記充電情報を出力する出力部と、各前記充電コネクタ別の使用による料金賦課およびその使用料金を決済する料金賦課部とを備える充電装置、および該充電装置から引き出された複数の前記充電コネクタを備える。
【0017】
前記充電コネクタが、前記総合管理制御部から前記充電コネクタを制御する情報を受信する有線の充電器通信モジュールと、該充電器通信モジュールから伝送された制御信号によって前記充電コネクタ内の装置を制御する充電コネクタ制御モジュールと、使用者に前記充電情報を出力するディスプレイモジュールと、充電料金決済のための決済入力モジュールとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置によれば、多数の電気自動車の充電の際、従来の各電気自動車に対してそれぞれ直流−直流コンバータおよび充電部が必要であったが、本発明においては、一つの大容量直流−直流コンバータから多数の充電コネクタを引き出して使用することによって、充電設備の設置空間が少なくて空間活用に効率的で、一つの直流−直流コンバータであるので施設設置上の費用節減が可能になり、各電気自動車において急速充電のために要求される多様な直流電圧への変換が可能でそれぞれの急速充電器内部に設けられる各種電力変換装置部分をなくし、中央で集中して電力を変換および制御することができて電力供給の運営および制御が効果的であり、充電部が簡素になる長所がある。
【0019】
また、電力制御部を通して鉄道車両の電力が不足する場合、充電インフラに連結された電気自動車に充電された電力から電力の供給を受けることができて鉄道車両の電力のピーク調整が容易であり、中央遠隔管理システムから総合的にモニタリングおよび制御が可能な長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術に係る直流給電系統を利用した電気自動車の充電用電力供給システムに関するブロック図である。
【
図2】従来技術に係る直流給電系統を利用した電気自動車の充電用電力供給システムの構成図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る大容量直流−直流コンバータを利用した電気自動車の多機能充電装置に関する構成図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る大容量直流−直流コンバータを利用した電気自動車の多機能充電装置のブロック図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る多機能充電コネクタのブロック図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る多機能充電コネクタの使用例示図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る充電情報ディスプレイの使用例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明に係る大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置の一実施例に対する構成および作用を詳細に説明する。
本発明の一実施例による直流配電網用電気自動車の多機能充電装置は
図3に示されるように、充電装置100と複数の充電コネクタ170とから構成される。
【0022】
充電装置100に電力を供給する電力供給装置は、中央遠隔管理システムの制御により電気鉄道車両の運行に必要な電力を供給する直流電気鉄道の給電系統として高圧の直流電力を供給する。
都心を運行する都市鉄道の電力供給装置は駅舎およびトンネルなどの信号、照明、冷暖房および換気などのための電力設備に電力を供給するために22.900Vまたは6.600Vの電力を各電気室に供給し、電気室で一般の電気設備用電圧である380Vまたは220Vに変換して電力を供給している。また、当該電気室に電力供給が中断される場合に備えて、近隣の電気室から電力供給を受けることができる延長配電線路が構成されており、停電に関わらず電力供給を受けることができる。
【0023】
一般に、電力供給装置は線路に沿って設けられた直流給電母線から電力供給線を引き出して直流電圧に変換して電気鉄道車両に電力を供給する。ここで、直流給電母線の電圧の大きさは電動車の電力使用量などにより随時変化することができる。
【0024】
充電装置100は、電力供給装置から伝送された電力を電気自動車の充電に必要な電力に変換して多数の電気自動車に充電できるように電力制御部110、総合管理制御部120、直流−直流コンバータ130、BMS(Battery Management System)140、出力部150および料金賦課部160から構成される。
図4に示されるように、電力制御部110は、電力量を計測するための計測モジュール111と、両方向の安定した電力供給のための信号発生モジュール112と、電気鉄道車両の安全運行のための保護設備モジュール113とを備える。
【0025】
計測モジュール111は、直流−直流コンバータ130の一次側に設置されて駅舎および線路上の高圧の直流電源を供給する電力供給装置から充電装置100に供給される電力量を測定し、直流−直流コンバータ130の2次側に設置されて充電装置100で消耗する電力量を測定する。
【0026】
信号発生モジュール112は、計測モジュール111により計測された電力量から電気自動車に対して充電できる余裕がある場合には充電を許すG2V(Grid to Vehicle)信号を、逆に電力供給装置の電力量において余裕がない場合にはV2G(Vehicle to Grid)信号を発生して充電装置を管理する総合管理制御部120に伝送する。
【0027】
保護設備モジュール113は、直流−直流コンバータ130の一次側に設置されて充電量の一時的な増加や充電装置100の異常による過電力供給から発生できる電気鉄道車両の運行の緊急な状況に対処するように電力供給をオンオフ制御する直流高速度遮断器および保護継電器を備える。
【0028】
総合管理制御部120は、使用者から電気自動車に対する充電要求を受信する入力モジュール121と、信号発生モジュール112から伝送された信号によって総合管理制御部120内の各モジュールを制御する制御モジュール122と、各充電コネクタ別の充電情報をモニタするモニタリングモジュール123と、モニタリングモジュール123から伝送された情報を出力部150に表示する内容だけを伝送する出力モジュール124と、モニタリングモジュール123から伝送された充電情報に基づいて既設定された料金により料金を計算する課金徴収モジュール125とを備える。
【0029】
制御モジュール122は、入力モジュール121から使用者の充電要求が受信されると、信号発生モジュール112からG2V信号が伝送されているかを確認して電力供給装置から電気自動車に電気を充電することができるように電力網制御を行って電力供給装置で直流−直流コンバータ130への電力伝送信号をオンし、直流−直流コンバータ130で電力供給装置への電力伝送信号をオフして電力伝送を制御して直流−直流コンバータ130に電力を供給する。モニタリングモジュール123から伝送された各充電コネクタ170別の情報を通して現在使用の可否および充電される電力使用量を制御する。
【0030】
そして、充電中には、モニタリングモジュール123から伝送された情報を出力モジュール124に伝送し、充電が完了した場合、課金徴収モジュール125を駆動させる。
【0031】
逆に、信号発生モジュール112からV2G信号が受信されると、電気自動車に充電されている電力を電力供給装置に伝送できるように電力網制御を通して直流−直流コンバータ130で電力供給装置への電力伝送信号をオンし、電力供給装置で直流−直流コンバータ130への電力伝送信号をオフして電力供給装置に電力を供給する。
【0032】
また、直流−直流コンバータ130の異常やBMS140における故障により電気鉄道車両の運行に支障がないように直流−直流コンバータ130の一次側に設けられた電力制御部100の保護設備モジュール113を制御する。
【0033】
直流−直流コンバータ130は大容量直流−直流コンバータであって、容量は従来の一対一型の充電システムより非常に大きいもので、複数の車両が収容できる容量で通常10台程度の車両を基準に500kW程度であり、技術の有無によりそれ以上の容量になることもできる。直流−直流コンバータ130は鉄道車両に供給される直流給電母線の電力を充電装置で電気自動車のバッテリに充電可能な低圧の電圧レベルに変換させる。
【0034】
BMS140は、現在充電中であるバッテリの電圧値および電流値に関する情報をスキャンする情報スキャンモジュール141と、実際充電する電圧値と電流値を制御する充電制御モジュール142と、電気自動車のバッテリ充電中に発生できる過電圧および過電流を判断して充電コネクタ170を遮断できる保護および遮断モジュール143とを備える。
【0035】
情報スキャンモジュール141は、電気自動車のバッテリ情報を把握する。すなわち、直流−直流コンバータ130では高圧の直流電圧を充電するための低圧の直流電圧に変更する。しかし、電気自動車で使っている各バッテリはその種類によって電圧値と電流値とが異なることがあり、これに符合する電圧および電流を供給しなければバッテリが損傷するという問題が発生する。したがって、上記の問題を解決するために情報スキャンモジュール141は充電に先立ちバッテリに対する情報を把握する。
【0036】
充電制御モジュール142は、情報スキャンモジュール141から得られたバッテリ電圧および電流に符合する電圧および電流に変換するように制御する。
出力部150は、総合管理制御部120から充電による充電情報を受けて表示する全体出力モジュール151と、各コネクタ別の充電情報を表示するコネクタ別出力モジュール152とを備える。
【0037】
全体出力モジュール151は、電力制御部110から供給される電力量、累積した充電量および累積した課金情報などを充電装置100に付着したディスプレイに出力する。
コネクタ別出力モジュール152は、総合管理制御部120から各電気自動車別の充電電圧、充電電流、充電電力、充電時間および課金料金などを充電装置130に付着したディスプレイに出力し、各充電コネクタ170に付着したディスプレイモジュール173に伝送する。
【0038】
料金賦課部160は、充電コネクタ170の決済入力モジュール174から伝送された決済手段に関する判断を遂行する決済手段選択モジュール161と、選択された決済手段で各充電コネクタ170別に区分して制御モジュール122で演算された課金情報に応じた使用料金を決済する決済モジュール162とを備える。
また、充電装置100の一側面に決済入力モジュールを設けて決済することも望ましい。
【0039】
図5に示されるように、充電コネクタ170は、総合管理制御部120から各充電コネクタ170を制御する情報を受信する充電器通信モジュール171と、充電器通信モジュール171から伝送された制御信号によって充電コネクタ内の装置を制御する充電コネクタ制御モジュール172と、使用者に充電情報を出力するディスプレイモジュール173と、充電料金決済のための決済入力モジュール174とから構成される。
【0040】
充電器通信モジュール171は、総合管理制御部120と充電コネクタ170内の充電コネクタ制御モジュール172との間の情報を伝達する通信機能を担当する。充電装置100と充電コネクタ170とは有線方式で通信する場合が通常的であるが、無線方式で通信することもできる。
【0041】
充電コネクタ制御モジュール172は、充電器通信モジュール171から伝送された充電の要否を判断し、BMS140の保護および遮断モジュール143から伝送された充電遮断の要求に応じて充電を遮断する。
そして、出力部150から伝送された充電および課金情報をディスプレイモジュール173に伝送し、決済入力モジュール174から伝送された決済方法を充電器通信モジュール171に伝送する。
【0042】
ディスプレイモジュール173は、充電コネクタ制御モジュール172から伝送された充電に関する情報として充電電圧、充電電流、充電電力、充電時間、課金料金および充電進行事項などを表示し、充電が完了した場合、充電に応じた料金を表示する。
そして、充電状態をより容易に確認できるように簡単な充電状態表示灯のような表示手段を利用することができる。
【0043】
決済入力モジュール174は、使用者により容易に決済できるように充電コネクタ170の表面に決済入力手段を提供する。決済入力手段は非接触カード決済方式を利用してカードや携帯電話に接近して使用者決済情報の入力を受けて、充電器通信モジュール171を通じて料金賦課部160に伝送して決済する。
【0044】
充電コネクタ制御モジュール172は、決済入力モジュール174から料金賦課部160に伝送された課金料金を利用して決済を行うこともできる。
本明細書においては、本発明に係る大容量直流−直流コンバータを活用した直流配電網用電気自動車の多機能充電装置の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は特許請求の範囲および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することができ、これもまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0045】
100 充電装置
110 電力制御部
111 計測モジュール
112 信号発生モジュール
113 保護設備モジュール
120 総合管理制御部
121 入力モジュール
122 制御モジュール
123 モニタリングモジュール
124 出力モジュール
125 課金徴収モジュール
130 直流−直流コンバータ
140 BMS
141 情報スキャンモジュール
142 充電制御モジュール
143 保護および遮断モジュール
150 出力部
151 全体出力モジュール
152 コネクタ別出力モジュール
160 料金賦課部
161 決済手段選択モジュール
162 決済モジュール
170 充電コネクタ
171 充電器通信モジュール
172 充電コネクタ制御モジュール
173 ディスプレイモジュール
174 決済入力モジュール