特許第6019249号(P6019249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019249
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   G03G15/16 103
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-544887(P2015-544887)
(86)(22)【出願日】2014年10月1日
(86)【国際出願番号】JP2014076288
(87)【国際公開番号】WO2015064285
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-227767(P2013-227767)
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】宇野 浩二
(72)【発明者】
【氏名】橋村 昌史
(72)【発明者】
【氏名】道下 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】東一 哲也
(72)【発明者】
【氏名】植村 聡
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−053163(JP,A)
【文献】 特開2001−282007(JP,A)
【文献】 特開2009−134214(JP,A)
【文献】 特開2009−128459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する画像形成部と、
駆動ローラーおよび従動ローラーに張架され、当該駆動ローラーおよび従動ローラーの間を無端走行する中間転写ベルトであって、前記画像形成部から外周面にトナー像が転写される中間転写ベルトと
前記中間転写ベルトを介して前記駆動ローラーに対向する位置に配置され、前記駆動ローラーとのニップ部において前記中間転写ベルトの外周面に形成されたトナー像を記録紙に転写させる転写ローラーと、
前記転写ローラーよりも前記中間転写ベルトの走行方向における下流側、かつ、前記中間転写ベルトを介して前記駆動ローラーに対向する位置に配置され、前記中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材よりも前記中間転写ベルトの走行方向における下流側、かつ、前記中間転写ベルトを介して前記従動ローラーに対向する位置に配置され、前記中間転写ベルトの外周面に接触して前記中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを電気的に吸着して回収するファーブラシを有する清掃部と、
前記帯電部材にトナーの正規帯電極性と同極性のバイアスを印加する電源装置と、前記転写ローラーを接地する接地部とを有し、前記帯電部材と前記転写ローラーとの間に電位差を与え、前記帯電部材から前記駆動ローラーを通り前記転写ローラーへと流れる前記正規帯電極性と同極性の電流を生じさせる電位差付与部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電部材は、ブラシである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ブラシは、前記駆動ローラーの回転軸と同方向に延びる回転軸を有してブラシ毛が植設された回転ブラシである、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転ブラシは、前記中間転写ベルトの走行方向に対して順方向又は逆方向に回転駆動される、請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成装置の中間転写ベルト周面上の残存トナーを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写ベルトに対向する位置に各色の画像形成ユニットが並設され、各色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせてカラー画像を形成し、当該カラー画像を2次転写ローラーにより記録紙に転写することで、記録紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、記録紙へのカラー画像の転写後に中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを電気的に吸着して回収する清掃部が設けられている。
【0003】
しかしながら、残存トナーの帯電電荷は均一でないため、上記の清掃部だけでは、残存トナーを十分に回収することが困難な場合がある。そこで、清掃部で残存トナーを回収する前に、残存トナーに対して前処理を行う技術が知られている。特許文献1には、清掃部よりも中間転写ベルトの走行方向における上流側に、接地された前処理部材を設けることで、残存トナーの帯電電荷量を調整し、清掃部での残存トナーの回収性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−250411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に開示される技術は、残存トナーの帯電電荷量を調整する力が弱く、大量の残存トナーが発生した場合には、残存トナーを十分に回収することができない。
【0006】
また、画像形成装置では、カラー画像を2次転写ローラーにより記録紙に転写した後に、中間転写ベルトに記録紙が巻き付く記録紙の分離不良が生じる場合がある。従来の画像形成装置には、記録紙の帯電電荷と逆極性の電荷により記録紙を吸引することで記録紙を分離させる分離針が設けられているが、この分離針だけでは、記録紙を十分に分離することができない場合がある。分離針に加えて記録紙を分離させる新たな構成を設けることも考えられるが、その場合、画像形成装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、簡易な構成で、中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを十分に回収することができ、かつ、中間転写ベルトから記録紙を分離することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面にかかる画像形成装置は、画像形成部と、中間転写ベルトと、駆動ローラーと、転写ローラーと、帯電部材と、清掃部と、電位差付与部と、を備える。前記画像形成部は、トナー像を形成する。前記中間転写ベルトは、駆動ローラーおよび従動ローラーに張架され、当該駆動ローラーおよび従動ローラーの間を無端走行する中間転写ベルトであって、前記画像形成部から外周面にトナー像が転写される。前記転写ローラーは、前記中間転写ベルトを介して前記駆動ローラーに対向する位置に配置され、前記駆動ローラーとのニップ部において前記中間転写ベルトの外周面に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。前記帯電部材は、前記転写ローラーよりも前記中間転写ベルトの走行方向における下流側、かつ、前記中間転写ベルトを介して前記駆動ローラーに対向する位置に配置され、前記中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを帯電させる。前記清掃部は、前記帯電部材よりも前記中間転写ベルトの走行方向における下流側、かつ、前記中間転写ベルトを介して前記従動ローラーに対向する位置に配置され、前記中間転写ベルトの外周面に接触して前記中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを電気的に吸着して回収するファーブラシを有する。前記電位差付与部は、前記帯電部材にトナーの正規帯電極性と同極性のバイアスを印加する電源装置と、前記転写ローラーを接地する接地部とを有し、前記帯電部材と前記転写ローラーとの間に電位差を与え、前記帯電部材から前記駆動ローラーを通り前記転写ローラーへと流れる前記正規帯電極性と同極性の電流を生じさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一局面にかかる画像形成装置によれば、簡易な構成で、中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを十分に回収することができ、かつ、中間転写ベルトから記録紙を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる中間転写ベルト周りの機構を示す側断面図である。
図3図2におけるA部を拡大した側断面図である。
図4】一般的な画像形成装置にかかる駆動ローラー周りにおけるトナー及び記録紙の帯電を模式的に示した図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる駆動ローラー周りにおけるトナー及び記録紙の帯電を模式的に示した図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置のクリーニング性能及び記録紙の分離性能を確認する実験の結果を示す図である。
図7】変形例にかかる画像形成装置のブラシ部の構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
【0012】
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、操作部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、及び画像読取部5等を備えて構成されている。
【0013】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。
【0014】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を画像読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。画像読取部5により生成された画像データは、内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0015】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。画像形成部12の画像形成ユニット12M、12C、12Y、及び12Bkは、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、露光装置124と、1次転写ローラー126とをそれぞれ備えている。
【0016】
カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、トナー像を1次転写ローラー126により、駆動ローラー125A及び従動ローラー125Bに張架されている中間転写ベルト125上に転写させる。
【0017】
中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121と同期しながら、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間を無端走行する。
【0018】
中間転写ベルト125上に転写される各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。2次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125Aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた記録紙Pに転写させる。この後、定着部13が、記録紙P上のトナー像を熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、排出トレイ151に排出される。
【0019】
従動ローラー125Bに張架された中間転写ベルト125部分には、クリーニング装置(清掃部)70が設けられている。当該クリーニング装置70は、中間転写ベルト125の外周面上に残存するトナーを回収する。
【0020】
次に、中間転写ベルト125周りの機構について説明する。図2は、中間転写ベルト125周りの機構を示す側断面図である。図3は、図2におけるA部を拡大した側断面図である。
【0021】
ケーシング51の一端部には、駆動ローラー125Aが回転自在に支持され、他端部には、従動ローラー125Bが回転自在に支持されている。また、ケーシング51内には、駆動ローラー125A及び従動ローラー125Bの他に、テンションローラー125C、125Dと、各色の1次転写ローラー126と、クリーニング装置70と、ブラシ部(帯電部材)80等が収容されている。
【0022】
クリーニング装置70は、後述するブラシ部80よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側に配置され、従動ローラー125Bに張架された状態の中間転写ベルト125の外周面部分に接触して、当該外周面に残存するトナーを電気的に吸着して回収する。
【0023】
クリーニング装置70は、ファーブラシ71と、回収ローラー72と、クリーニングブレード74と、トナー貯留部75と、トナー搬送スクリュー76とを有している。
【0024】
ファーブラシ71は、従動ローラー125Bに張架された状態の中間転写ベルト125の外周面に接触して、当該外周面上に残存しているトナーを電気的に吸着して回収する。ファーブラシ71は、例えば、樹脂性のフィラメントからなるブラシ毛を回転軸の全周に巻き付けられて構成されている。ファーブラシ71の回転軸は、従動ローラー125Bの回転軸方向に延び、ケーシング51に軸支されている。
【0025】
回収ローラー72は、ファーブラシ71の表面に接触して、ファーブラシ71が回収したトナーをファーブラシ71から電気的に吸着して回収する。回収ローラー72の回転軸は、ファーブラシ71の回転軸方向に延び、ケーシング51に軸支されている。
【0026】
クリーニングブレード74は、平板状部材からなり、回収ローラー72の回転軸方向に延びる。クリーニングブレード74は、先端部が回収ローラー72の表面に接触するようにケーシング51に取り付けられている。クリーニングブレード74は、回収ローラー72の表面から、回収ローラー72が回収したトナーを掻き取る。当該掻き取られたトナーは、トナー貯留部75に落下して溜まる。
【0027】
トナー貯留部75には、トナー搬送スクリュー76が設けられている。トナー搬送スクリュー76は、回収ローラー72の回転軸方向に延び、その回転軸はケーシング51に軸支されている。トナー搬送スクリュー76の回転軸の周面には、螺旋状にトナー搬送羽根(不図示)が設けられており、当該トナー搬送羽根によって、トナー貯留部75内のトナーが、回転軸方向における所定位置に集められる。これにより、中間転写ベルト125外周面上の残存トナーが回収される。
【0028】
次に、ブラシ部80について説明する。ブラシ部80は、クリーニング装置70よりも中間転写ベルト125の走行方向における上流側、かつ、2次転写ローラー210よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側であって、中間転写ベルト125を介して駆動ローラー125Aに対向する位置に配置されている。ブラシ部80は、固定ブラシであって、上記の位置において、中間転写ベルト125の外周面にそのブラシ面が接触するように配置されている。
【0029】
図3に示すように、ブラシ部80は、電源装置81と接続されている。画像形成動作時において、ブラシ部80には、電源装置81からバイアスが印加される。ここで、記録紙Pへのカラー画像の転写後に中間転写ベルト125の外周面に残存する残存トナーの帯電電荷は均一でない。例えば、中間転写ベルト125から記録紙Pが分離する際に生じる剥離放電等により、正規帯電極性(本実施形態ではプラス)とは逆極性(本実施の形態ではマイナス)に帯電する残存トナーが存在する。ブラシ部80は、電源装置81から正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されることで、ブラシ部80に対向する位置の残存トナーを正規帯電極性に帯電させる。これにより、残存トナーの帯電電荷を均一にすることができ、クリーニング装置70での残存トナーの回収性を向上させることができる。
【0030】
2次転写ローラー210は、中間転写ベルト125を介して駆動ローラー125Aに対向する位置に配置されている。2次転写ローラー210は、従動ローラー125Bの回転軸と同方向に延びる回転軸211を有し、当該回転軸を回転中心として、従動ローラー125Bの回転方向とは反対方向に回転する。
【0031】
2次転写ローラー210は、接地部82を有し、フレーム接地等により電気的に接地されている。これにより、電源装置81と接続され正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されているブラシ部80と、2次転写ローラー210との間には電位差が生じる。詳細は後述するが、この電位差により、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性の電流が生じ、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間の中間転写ベルト125上に位置する残存トナーが正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。
【0032】
次に、駆動ローラー125A周りにおけるトナー及び記録紙Pの帯電について説明する。まず、ブラシ部80、電源装置81、及び接地部82を設置しない一般的な画像形成装置について説明する。図4は、一般的な画像形成装置にかかる駆動ローラー125A周りにおけるトナー及び記録紙Pの帯電を模式的に示した図である。
【0033】
図4に示すように、駆動ローラー125Aと2次転写ローラー210とからなるニップ部Nに進入するトナーは、図中のT0に示すように、正規帯電極性(プラス)に帯電しており、このトナーを担持する転写ベルトの表面もプラスの極性に帯電している。また、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた記録紙Pにトナーを転写した後、中間転写ベルト125から記録紙Pが分離する際には、剥離放電が発生する。この剥離放電により、記録紙Pの表面は、図中のT2に示すようにプラスの極性に帯電する。一方、記録紙Pに転写後に中間転写ベルト125上に残存する残存トナーの一部は、上記の剥離放電により、図中のT1に示すように正規帯電極性とは逆極性のマイナスの極性に帯電する。この結果、この残存トナーを担持する中間転写ベルト125の表面もマイナスの極性に帯電する。
【0034】
上記のように、転写後の記録紙Pの表面の極性(プラス)と、転写後の中間転写ベルト125の表面の極性(マイナス)とが逆極性になるため、記録紙Pと中間転写ベルト125との間には静電引力F1が生じる。その結果、転写ベルト125から記録紙Pが分離されずに中間転写ベルト125に巻き付く分離不良が発生するものと考えられる。
【0035】
次に、本実施の形態の場合について説明する。図5は、本実施形態にかかる駆動ローラー125A周りにおけるトナー及び記録紙Pの帯電を模式的に示した図である。
【0036】
本実施の形態にかかる画像形成装置1において、電源装置81及び接地部82は、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間に電位差を与える電位差付与部として機能する。当該電位差付与部により付与された電位差により、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性(プラス)の電流(E1、E2)が生じている。この電流の流れは、2つの経路をたどる。1つ目は、ブラシ部80から中間転写ベルト125を突き抜け、駆動ローラー125Aの内部を通り、2次転写ローラー210に到達する電流の流れ(E1)である。2つ目は、ブラシ部80から中間転写ベルト125の表面を伝い、2次転写ローラー210に到達する電流の流れ(E2)である。このうち、2つ目の電流の流れE2は、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間の中間転写ベルト125上に位置する正規帯電極性とは逆極性のマイナスの極性に帯電した残存トナーに対して正規帯電極性と同極性の電荷を付与し、残存トナーを正規帯電極性に帯電させる機能を果たす。これにより、図中のT4に示すように、残存トナーが正規帯電極性に帯電し、この残存トナーを担持する中間転写ベルト125の表面は正規帯電極性と同極性に帯電する。転写後の記録紙Pの表面の極性(プラス)と、転写後の中間転写ベルト125の表面の極性(プラス)とが同極性になるため、記録紙Pと中間転写ベルト125との間には反発力F2が生じる。その結果、中間転写ベルト125から記録紙Pが良好に分離される。
【0037】
また、図中のT5に示すように、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間の中間転写ベルト125上に位置する残存トナーには、電流の流れE2からの電荷の付与によってもなお正規帯電極性とは逆極性のマイナスの極性に帯電した残存トナーが存在する。このような残存トナーが、ブラシ部80に対向する位置に到達すると、正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されたブラシ部80により電気的に吸着され、正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。正規帯電極性と同極性の電荷が付与され、正規帯電極性と同極性に帯電すると、残存トナーは、ブラシ部80から吐き出される。これにより、残存トナーの帯電電荷を均一にすることができ、クリーニング装置70での残存トナーの回収性を向上させることができる。
【0038】
<実験>
発明者らは、本実施形態にかかる画像形成装置1のクリーニング性能及び記録紙Pの分離性能を確認するため実験を行った。クーリング性能を確認する場合、高抵抗紙を用いて高印字率の両面印字を行い、クリーニング装置70よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側において残存トナーが確認されるか否かを調べた。また、記録紙Pの分離性能を確認する場合、薄紙(52g/m2)を用いて印刷を20回行い、中間転写ベルト125から分離した枚数を調べた。
【0039】
以下に、本実験で用いた、ブラシ部80、中間転写ベルト125、駆動ローラー125A、及び2次転写ローラー210等の条件を示す。
[ブラシ部80]
毛の長さ:4.8[mm]、体積抵抗値:2E+7〜2E+9[Ω・cm]、毛の繊度:6.5[d]、密度:20±5[KF/inch2]、印加する電圧:3.2[kV]
[中間転写ベルト125]
表面抵抗値:1E+10〜1E+11[Ω/sq]、体積抵抗値:1E+9[Ω・cm]、厚み:400[μm]
[駆動ローラー125A]
外径:24[mm]、体積抵抗値:1E+7[Ω・cm]
[2次転写ローラー210]
外径:20[mm]、体積抵抗値:1E+7[Ω・cm]
また、本実施形態にかかる画像形成装置1に加えて、比較例1及び比較例2にかかる画像形成装置についてもクリーニング性能及び記録紙Pの分離性能を確認するため実験を行った。
【0040】
比較例1にかかる画像形成装置は、ブラシ部80を駆動ローラー125Aに対向する位置に配置するのではなく、クリーニング装置70の直上流に配置している点、及び、ブラシ部80に電源装置81を接続せず、ブラシ部80を電気的にフロートとしている点において、画像形成装置1と異なっている。また、比較例2にかかる画像形成装置は、ブラシ部80を駆動ローラー125Aに対向する位置に配置するのではなく、クリーニング装置70の直上流に配置している点、及び、ブラシ部80に電源装置81を接続せず、ブラシ部80を電気的に接地している点において、画像形成装置1と異なっている。
【0041】
図6に、実験結果を示す。図6に示すように、本実施の形態にかかる画像形成装置1(実施例)では、クリーニング装置70よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側において残存トナーが確認されなかったのに対して、比較例1及び比較例2にかかる画像形成装置では、残存トナーが確認された。また、画像形成装置1では、薄紙分離枚数が10枚以上であったのに対して、比較例1及び比較例2にかかる画像形成装置では、薄紙分離枚数が9枚以下であった。
【0042】
この実験結果から、本実施の形態にかかる画像形成装置1は、中間転写ベルト125の外周面に残存する残存トナーを十分に回収することができ、かつ、中間転写ベルト125から記録紙Pを分離することができていることが分かる。
【0043】
<変形例>
本発明は、上記の実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
【0044】
(1)上記の実施の形態では、ブラシ部80に電源装置81を接続して正規帯電極性と同極性のバイアスを印加し、2次転写ローラー210を電気的に接地する場合を説明したが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。本発明は、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間に電位差を与えることで、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性の電流を生じさせればよい。従って、転写ローラー210に電源装置を接続して正規帯電極性と逆極性のバイアスを印加し、ブラシ部80を電気的に接地する構成としてもよい。このような構成をとった場合であっても、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性の電流が生じる。
【0045】
(2)上記の実施の形態では、ブラシ部80が固定ブラシである場合を説明したが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。図7に示すように、ブラシ部80に、駆動ローラー125Aの回転軸と同方向に延びる回転軸83を有してブラシ毛84が植設された回転ブラシを用いてもよい。また、中間転写ベルト125の走行方向に対して順方向または逆方向に回転ブラシを回転駆動させてもよい。このような構成をとった場合であっても、上記の実施の形態で説明したクリーニング効果及び記録紙Pの分離効果と同等の効果が得られる。また、中間転写ベルト125が摩耗しにくいという効果がある。
【0046】
(3)上記の実施の形態で説明したブラシ部80、電源装置81、及び接地部82に加えて、記録紙Pの帯電電荷と逆極性の電荷により記録紙Pを吸引することで記録紙Pを分離させる分離針を設けてもよい。このような構成をとった場合、記録紙Pをさらに良好に分離することができる。
【0047】
<まとめ>
以上説明したように、上記の実施の形態及び変形例にかかる画像形成装置1では、ブラシ部(帯電部材)80が、2次転写ローラー(転写ローラー)210よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側、かつ、中間転写ベルト125を介して駆動ローラー125Aに対向する位置に配置され、中間転写ベルト125の外周面に残存する残存トナーを正規帯電極性に帯電させる。また、クリーニング装置(清掃部)70は、ブラシ部80よりも中間転写ベルト125の走行方向における下流側に配置され、中間転写ベルト125の外周面に残存する残存トナーを電気的に吸着して回収する。そして、電源装置81及び接地部82(電位差付与部)は、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間に電位差を与え、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性の電流を生じさせる。
【0048】
上記の構成によれば、ブラシ部80は、電源装置81から正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されることで、ブラシ部80に対向する位置の残存トナーに正規帯電極性と同極性の電荷を付与し、残存トナーを正規帯電極性に帯電させる。これにより、残存トナーの帯電電荷を均一にすることができ、クリーニング装置70での残存トナーの回収性を向上させることができる。また、ブラシ部80から駆動ローラー125Aを通り2次転写ローラー210へと流れる正規帯電極性と同極性の電流により、ブラシ部80と2次転写ローラー210との間の中間転写ベルト125上に位置する残存トナーに対して正規帯電極性と同極性の電荷を付与することができる。これにより、残存トナーを担持する中間転写ベルト125の表面が正規帯電極性と同極性に帯電し、記録紙Pと中間転写ベルト125との間に静電反発力が生じる。その結果、中間転写ベルト125から記録紙Pが良好に分離することができる。
【0049】
上記のクリーニング効果及び記録紙Pの分離効果は、ブラシ部80、電源装置81及び接地部82を設けることで得られる。すなわち、上記の構成によれば、簡易な構成で、中間転写ベルトの外周面に残存する残存トナーを十分に回収することができ、かつ、中間転写ベルトから記録紙Pを分離することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7