特許第6019259号(P6019259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6019259
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】鋼材内蔵型木材の柱−梁の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20161020BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20161020BHJP
   E04C 3/292 20060101ALI20161020BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E04B1/30 E
   E04B1/58 508T
   E04C3/292
   E04B1/94 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-36842(P2016-36842)
(22)【出願日】2016年2月29日
【審査請求日】2016年4月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506200083
【氏名又は名称】田代 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】田代 幹夫
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130021(JP,A)
【文献】 特開平10−115003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30,1/38−1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H形鋼を用いた耐火木材柱とH形鋼を用いた耐火木材梁を接合する構造にあって、前記耐火木材梁のH形鋼端面に、一対のL字状金物で、複数のボルト貫通孔を有する長辺を垂直に、水平状の短片を梁芯側に配して、前記耐火木材梁のH形鋼の両フランジと、前記L字状金物長辺の端とを溶着し形成された耐火木材梁のH形鋼の端面を、直接又は介在物を介して前記耐火木材柱のH形鋼フランジ外面に当接し、前記耐火木材柱のH形鋼フランジに設けている複数のボルト貫通孔と、前記耐火木材梁のH形鋼の端面に有するボルト貫通孔を合致させ、ボルトを貫入しナット締めにより締結固定したことを特徴とする鋼材内型木材の柱−梁の接合構造。
【請求項2】
前記耐火木材柱のH形鋼の両フランジとウェブに溶着しているプレ−トで、前記プレ−トの中央を楕円形状に開口すると共に、四隅にはボルト孔を設けて、前記ボルト孔の下にナットを付着している第1のプレ−トの上に、前記耐火木材柱のH形鋼の両フランジとウェブに内接した形状で、四隅にボルト孔を有する第2のプレ−トを重ね合わせて、前記第1のプレ−トと第2のプレ−トの相互のボルト孔に、ボルトを挿入し、前記第1のプレ−トのナットと結合固定したことを特徴とする請求項1記載の鋼材内型木材の柱−梁の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造耐火建築物を構成する耐火木材の鋼材内蔵型の柱と梁の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然環境保全やCO2削減の機運が高まるなか、国は快適な住環境の形成や地域経済の活生化につながるといった理由から平成22年10月「公共建築物等における木材の利用の促進にかんする法律」を施行し、低層の公共建築物は原則として木造とする目標が揚げられた。
【0003】
平成27年、6月1日に施工された改正建築基準法では、建築物における木材利用の促進を図るため、耐火建築物等の基準に適合する3階建ての学校などについて、一定の防火措置を講じた場合には、主要構造物を準耐火構造等にできるようになった(建基法21条・27条)。
【0004】
平成26年8月には、木材の構造部材をせっこうボ−ドで被覆したメンブレン型耐火構造の壁の仕様で、告示追加されている。
【0005】
大規模の建築物の主要構造部は、その主要構造部(床、屋根および階段を除く)の自重や積載荷重を支える部分に木材など可燃材料を用いた場合、一定の耐火性能のある建築物とすることが建築基準法第21条に定められている。現在、木造で耐火建築をつくるための構造部材である耐火木材は、工法別に大きく3つに分類されている。(1)メンブレン型で、木質構造部にせっこうボ−ドなど不燃材料で被覆して木質構造部を燃焼・炭化しないようにする方法である。コスト低減が図りやすいが木の表面が見えないので意匠上のデメリットがある。(2)鋼材内蔵型で、鉄骨の周りに、燃えしろ層として木材を付けて、加熱中は燃えしろが延焼し、加熱終了後、燃えしろ木材が鉄骨の影響で延焼を停止する方法である。燃えしろ層として木材を被せるので木材の表面が見えるが、純粋な木造とはいえない。(3)燃え止まり型は、他の2つと違い純木造でできるので、構造そのもので空間を表現できるが、燃えしろ分だけ部材が大きくなる。構造部材の構成は、木質構造部の外側に、不燃材・難燃処理木材等での燃え止まり層を設け、前記燃え止まり層の外側に燃えしろ層を備えている。
【0006】
現在、耐火木材の柱と梁の接合部における構造は開発の途上であり、特開2008−14036号(第1公知例)では、柱と梁との接合構造及び柱と梁との接合方法が開示されているが、燃え止まり型である。
【0007】
特開平6−108532号(第2公知例)では、端部鉄骨の接合によるプレキャスト鉄筋コンクリ−ト架構として端部鉄骨の接合が開示されている。
【0008】
最近、鋼材内蔵型での柱と梁の接合構造が図7で紹介されている。例えば、H形鋼柱1とH形鋼梁2を接合する場合、まず、工場でプレ−トを箱状に組立ててダイヤフラム14が作られ、そのダイヤフラム14にH形鋼柱とブラケット15が当接して柱1が製作され、建設現場では、柱から突起しているブケット15に梁2が接合されている。製造工程を説明すると、柱を製作する場合、H形鋼を使用した上層階柱1の下端と下層階の柱1の上端の間にダイヤフラム14を設けて、そのダイヤフラム14の横にブラケット15を配置して、各々の当接した箇所に溶接を施し、柱1の構造体が製作されている。次に、その構造体に集成材13を添着し耐火木材が製作されている。集成材13が添着している範囲は、上層階柱1の場合は、柱足元の床周りのコンクリ−トに接する箇所以外に集成材13が添着している。ダイヤフラム14と下層階柱1においては、集成材13が全体に添着している。梁2では、接合部以外の梁3面に集成材13が添着している。建設現場では、ブラケット15の孔と梁2との孔に、スプライスプレ−ト16の孔を合わせ、HTBボルト9を挿入して継ぎ手箇所が結合されている。次いで、ブラケット15と梁2の接合部に、耐火被覆材17で被覆を施し、梁接合カバ−18が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−14036号
【特許文献2】特開平6−108532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図7の例においては、一般的な鉄骨構造(継手部分が高力ボルトの摩擦接合)のため、製作費が高コストになっている。例えば、ダイヤフラムを製作するにも、各プレ−トを所定の寸法に切断・組立・溶接等の複数の作業を必要とする工程である。また、柱を製作するにも、上層階の柱と下層階の柱の間にダイヤフラムを設けて、その横にブラケットを組み合わせるが、その際には組立ジグが必要で、組立ジグを製作するにも、ジグの製作期間と費用がかかる。すなわち、鋼材内蔵型が他の耐火木材と比較してコストが高くなっている原因でもある。さらに、ダイヤフラムが複雑(凸凹)な形状のため、ダイヤフラムに集成材を添着する場合は、その集成材の加工・取付けにも時間が浪費されて高コストになっている。また、梁の接合箇所が1スパンに2ケ所あり継手箇所が現出するため、美観上の観点から課題が残っている。
【0011】
本発明の解決すべき課題は、木造耐火建築物における、鋼材内蔵型での構造の要である柱と梁の接合部において、構造性能が担保でき、単純化した納まりで、梁の接合手段が梁の中間で表面に現出しない、低コストの接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明に係る鋼材内臓型木材の柱−梁の接合構造は、H形鋼を用いた耐火木材柱とH形鋼を用いた耐火木材梁を接合する接合構造にあって、前記耐火木材梁のH形鋼端面に、一対のL字状金物で、複数のボルト貫通孔を有する長片を垂直に、水平状の短片を梁芯側に配して、前記H形鋼梁の両フランジと、前記のL字状金物長片の端とを溶着し形成されたH形鋼梁の端面を、直接又は介在物を介して前記耐火木材柱のH形鋼フランジ外面に当接し、前記柱H形鋼フランジ面に設けている複数のボルト貫通孔と、前記H形鋼梁の端面に有するボルト貫通孔を合致させ、ボルトを貫入しナット締めにより締結固定したことを特徴とする。
上記において、前記柱H形鋼の両フランジとウェブに溶着しているプレ−トで、前記プレ−トの中央を楕円形状に形成すると共に、四隅にはボルト孔を設けて、前記孔の下にナットが付着し形成しているプレ−トの上に、前記柱H形鋼の両フランジとウェブに内接した形状で、四隅にボルト孔を有するプレ−トを重ね合わせて、前記の相互のボルト孔に、ボルトを挿入し、前記のナットと結合するシステムを用いることで、二方向ラ−メン構造の接合時に、柱内部からHTBボルトを二方向への挿入を可能にし、相互のプレ−トが一体化することで構造性能の担保が得られることにある。
【発明の効果】
【0013】
(A)本発明に係る接合構造によれば、H形鋼柱とH形鋼梁の接合部におけるボルト接合は、一般的な高力ボルト摩擦接合と異なり、高力ボルト引張接合である。従ってダイヤフラムやスプライスプレ−ト等の製作が不要となり、加工が簡略化される。さらに、一般形鋼材を加工した金物を使用することで、鉄骨の材料・加工費を大幅に低減することができる。
【0014】
(B)本発明に係る接合構造によれば、H形鋼柱とH形鋼梁との接合時に、柱内部から二方向へのHTBボルトの接合が可能なため、高力ボルト引張接合における二方向ラ−メン構造で、低コスの鉄骨製作をすることができる。
【0015】
(C)本発明に係る接合構造によれば、柱と梁の接合部(ダイヤフラムに該当する箇所)の鉄骨の露出部は、耐火被覆が施された後、単純化された集成材のパネルを取りける工法である。従ってダイヤフラムでの煩雑な集成材の取付けから解消され、作業性が向上する。
【0016】
(D)本発明に係る鋼材内臓型木材の柱−梁の接合構造によれば、梁表面の中間部には梁の接合部が現出しない構造のため、美観的に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1図7に基づいて、本発明を実施するための最良形態を説明する。図1は本発明に係る鋼材内臓型木材の柱−梁の接合構造で接合形態の一例を示す図面であり、(a)はA−A平断面図、(b)はB−B平断面図、(c)はC−C縦断面図である。この例において、耐火木材の柱1、耐火木材の梁2,水平スチフナA型3、水平スチフナB型4、受けプレ−ト4a、ボルト4b、ナット4c、梁受けプレ−ト5、L字状金物A型6、スリット6a、L字状金物B型7、ボルト貫通孔8、HTBボルト9、HTBナット10、RCスラブ11、せっこうボ−ド12、および集成材13から構成されている。以下、これに沿って説明する。
【0018】
まず、柱と梁の接合部における耐火木材の柱1について説明する。耐火木材の柱1は、図1(a)と図2に示すように、H形鋼、水平スチフナA型3、水平スチフナB型4、受けプレ−ト4a、ナット4cおよび集成材13で構成されている。以下、これに沿って説明する。図1図2に示すように、H形鋼柱1のフランジには、H形鋼梁2の端面に対応した、接合用のボルト貫通孔8が複数加工されていて、プレ−ト形状の水平スチフナA型3は、図1(b)に示すように、H形鋼柱1の両フランジ間で、H形鋼梁2の下側のフランジと同レベルに配設され、溶接で固定されている。また、受けプレ−ト4aは、H形鋼梁2の上側フランジと同レベルの近辺で、H形鋼柱1の両フランジ間に配設され、溶接で固定されている。尚、前記受けプレ−ト4aには、図2に示すように、プレ−ト中央部が楕円形状に加工され、ボルト孔が4ヶ所設けられ、その下側にはナット4c(図示せず)が溶着している。水平スチフナB型4は、図2に示すように、プレ−ト四隅にボルト4b用の貫通孔を有し、中央部には手かけ用の溝が加工されている。H形鋼に添着している集成材13は、図1(b)に示すように、床周りのRCスラブ11に接する面から、水平スチフナA3の下部のHTBボルト9が入る空間まで、その範囲の集成材13がカットされている。
【0019】
次に、耐火木材の梁2について説明する。図3に示すように、耐火木材の梁2は、H形鋼、L字状金物A型6、スリット6a、L字状金物B型7、せっこうボ−ド12、および集成材13で構成されている。以下、これに沿って説明する。図3(a)に示すように、L字状金物は2種類あり、L字状金物A型6、L字状金物B型7共、圧延製造された不等辺山形鋼を切断加工して所定の長さに形成されている。L字状金物A型6は、垂直状の長片に、H形鋼柱1フランジに対応した、ボルト接合用のボルト貫通孔8が複数加工され、水平状の短片には、H形鋼梁2のウェブとの連結を完全にするため、中央部にスリット6aが施されている。また、L字状金物B型7の垂直状の短片は、H形鋼柱1フランジに対応したボルト接合用としてボルト貫通孔8が複数加工され、水平状の長片には、H形鋼梁2のフランジとの連結ボルト接合用としてボルト貫通孔8が複数加工されている。H形鋼梁2の上下のフランジには、図3(a)に示すように、前記L字状金物B型7の長片に対応した、連結ボルト接合用のボルト貫通孔8が複数加工されている。
【0020】
次いで、H形鋼梁2とL字状金物A型6の接合について説明する。図3(b)に示すように、H形鋼梁2フランジの小口に、垂直形状にしたL字状金物A型6の長片の端が当接され、その接触面には突合せ溶接を、その他の接触箇所は隅肉溶接が施されてH形鋼梁2の端面が形成されている。尚、前記のH形鋼梁2のフランジ小口とL字状金物の長片端の接触面では、前期L字状金物の長片の端がR形状の製品のため、精度にもよるが開先加工を省略することもできる。また、H形鋼梁2のウェブと、L字状金物A型6短片のスリット6a周りが溶着されることで、短片がリブの働きをして長片の変形防止を図っている。続いて、せっこうボ−ド12が集成材13の端に設けられているが、火災時、ボルト部と鉄骨部への火炎熱の伝達を防ぐことを目的に設置されている。H形鋼梁2に添着している集成材13は、図1(b)に示すように、H形鋼梁2の端面で、高力ボルト締付け機でHTBナット10を締付ける際に障害になる、集成材13はカットされている。
【0021】
続いて、耐火木材柱1と耐火木材梁2における接合の施行例を説明する。まず、図4に示すように、H形鋼柱1のフランジ外面下部に、L字状金物B型7の垂直状の短片が当接され、同位置で接触している前記H形鋼柱1フランジと、前記L字状金物B型7の短辺に有している双方のボルト貫通孔8に、HTBボルト9を挿入し、HTBナット10を螺合して締結される。次に、L字状金物B型7の長辺の上面で、図5に示すように、H形鋼柱1のフランジ外面にH形鋼梁2の端面が当接され、図4に示すように、前記H形鋼柱1フランジと、前記H形鋼梁2の端面の双方に有しているボルト貫通孔8に、耐火木材柱1の内部からHTBボルト9を挿入し、H形鋼梁2の端面の内側からHTBナット10を螺合して締結されている。H形鋼梁2とL字状金物B型7の長辺の接合も、前記と同様に双方のボルト貫通孔8にHTBボルト9を挿入し、HTBナット10を螺合して締結されている。尚、L字状金物B型7は地上でH形鋼柱1にセットされるため、建て方時に、前記のL字状金物B型7長片の上面に、H形鋼梁2を仮置きすることができ、安全性が高く、効率の良い作業の効果を得ることができる。続いて、上部には配置するL字状金物B型7の長辺を前記H形鋼梁2のフランジ上面に乗せ、下部に位置しているL字状金物B型7と同じ接合作業を行い、H形鋼柱1とH形鋼梁2が連結されている。
【0022】
以上、前述したのは、一方向ラ−メン構造での作業方法である。一方向ラ−メン構造では、図4に示すように、H形鋼柱1の内部からHTBボルト9を横から貫通孔8に挿入することができる。しかし、二方向ラ−メン構造の場合は、図6に示すように、H形鋼柱1のウェブ側には梁を支持する梁受けプレ−ト5が必要で、そのプレ−ト5が障害となり、横からH形鋼柱1の内部へのHTBボルト9の挿入は不可能である。そこで、HTBボルト9を上から貫通孔8へ挿入する方法を行うことで、二方方向ラ−メン構造の場合でも接合作業を可能にしている。例えば、図6に示すように、上からボルト貫通孔8へ挿入したHTBボルト9を、H形鋼梁2の端面の内側からHTBナット10を螺合し締結している。前記のHTBボルト9の締結が完了すると。次に、H形鋼柱1に付着している受けプレ−ト4aに水平スチフナB型4を重合わせ、前記受けプレ−ト4aに設けているナット4cへボルト4bを差込み、ボルト4b・ナット4cを緊結することで、水平スチフナB型4が固定化されている。従って、図1(b)に示すように、H形鋼梁2の両フランジのラインがH形鋼柱1の内部まで一直線に繋がり、力の流れをスム−ズに伝達ができて、H形鋼柱1フランジの面外変形を拘束し、H形鋼梁2フランジ接合部における局所の変形を防ぐことができ、半剛接合が確保されている。
【0023】
次に、耐火被覆の施行等について説明する。耐火木材の柱1と耐火木材の梁2が接合され一体化した鉄骨の露出部は、次の工程で耐火被覆された後、集成材を加工したパネルが取付けられている。
【0024】
上述した建材の材質と寸法は、一般構造用圧延鋼材のH形鋼で柱サイズでは300×300〜400×400mm程度、梁サイズでは400×200〜600〜200mm程度、L字状金物は不等辺山形鋼でL−150×90〜L−250×90程度を加工し、長さは240〜340程度である。集成材の種類はカラマツ・ベイマツ等であり、せっこうボ−ドは15mm程度である。本発明ではこれに限ることなく、大臣認定品等で機能的に満足すべき性能が得られることができれば公知の材質で良い。
【0025】
以上説明したように耐火木材の柱−梁の接合構造において、鋼材内蔵型での高力ボルトの引張接合の方法を採用することで加工が簡略化され、さらに、一般形鋼材を利用した加工部品を使用することで、加工工数が減少し、大幅にコストを下げることができる。したがって、現在、開発途上にある、鋼材内蔵型での柱と梁の接合部に貢献することができ、建設業界での社会に与える効用は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る鋼材内臓型木材の柱−梁の接合構造で接合形態の一例を示す図面であり、(a)はA-A平断面図、(b)はB-B平断面図、(c)はC−C縦断面図である。
図2】柱及び柱に付属する部品を示す説明図である。
図3】梁及び梁に付属する部品を示す説明図である。(a)は梁の分解斜視図、(b)は梁の製造工程を示す斜視図である。
図4】柱と梁との接合工程を示す説明図である。
図5】柱と梁との接合工程と接合状態を示す説明図である。
図6】二方向ラ−メン構造における柱と梁との接合工程を示す説明図である。
図7】最近、鋼材内蔵型での柱と梁の接合部が紹介された例で、接合詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 耐火木材の柱
2 耐火木材の梁
3 水平スチフナA型
4 水平スチフナB型
4a 受けプレ−ト
4b ボルト
4c ナット
5 梁受けプレ−ト
6 L字状金物A型
6a スリット
7 L字状金物B型
8 ボルト貫通孔
9 HTBボルト
10 HTBナット
11 RCスラブ
12 せっこうボ−ド
13 集成材
14 ダイヤフラム
15 ブラケット
16 スプライスプレ−ト
17 耐火被覆材
18 梁接合カバ−








【要約】
【課題】本発明は、木造耐火建築物を構成する耐火木材の鋼材内蔵型の柱と梁の接合構造を提供すること。
【解決手段】木造耐火建築物を構成する耐火木材の柱と梁の接合部にあって、H形鋼を用いた耐火木材梁2のH形鋼端面に、一対のL字状金物6で、複数のボルト貫通孔8を有する長片を垂直にして、前記H形鋼梁2の両フランジと、前記L字状金物6長片の端とを溶着し形成されたH形鋼梁2の端面を、前記H形鋼柱1フランジ外面に当設し、前記H形鋼柱1フランジ面に設けている複数のボルト貫通孔8と、前記H形鋼梁2の端面に形成しているボルト貫通孔8を合わせて、H形鋼柱1の内部からHTBボルト9を挿入し、孔から突出したボルトの先端にHTBナット10を螺合結合したこと。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7