(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来よく知られた、排水トラップとしては、例えば
図12、及び
図13に示す排水トラップがある。以下に
図12及び
図13に示す排水トラップの従来例を、図面を参照しつつ説明する。
図12及び
図13に示す従来例の排水トラップは、以下に記載する洗面ボウルに取り付けられる。
洗面ボウルは、底部に排水用の排水口を開口する槽体であって、排水口には排水管や下記に記載する排水トラップを接続し、最終的には下水管まで配管される排水設備である。
尚、
図13に示す様に、洗面ボウルの下方にはキャビネット部と呼ばれる、扉のついた箱体が構成されることが多く、当該キャビネット内に、洗剤や掃除道具などを内部に収容する構成となっている。
【0003】
図12に示す従来例の排水トラップは、以下に記載する箱体と、流入口と、流出口と、下限壁と、上限壁と、封水部と、封水深と、通水部から構成され、前記した洗面ボウルに取り付けられる。
箱体は、自身に流入口、流出口、下限壁、上限壁、封水部、封水深、通水部、を備える箱状の部材であって、当該従来例では上部と下部の2分割により構成される。そして、当該上部下部の接続は、ネジによる螺合で接続される。
流入口は、前記箱体上部に開口される、上記洗面ボウル内の排水を箱体内に流入させるための開口である。
流出口は、箱体内の排水を箱体外へ排出させる開口であって、箱体上部に構成され、箱体側壁に、側面方向に突出するように構成される。また、当該流出口は排水管に接続されて、排水管が最終的には下水管へと接続される為、箱体内の排水は最終的には下水管へと排出される。
下限壁は、前記流入口から垂下して構成される筒状部材である。
上限壁は、箱体底面から流出口までの高さ方向の箱体側面壁を指す。また、当該従来例では、箱体下部全ての側壁が上限壁となる。
封水部は、箱体内に位置する排水を「封水」として一時的に貯水するための空間であって、内部に後記する封水深、通水部を備える。当該従来例では、箱体下部内に貯水される排水が封水部として構成される。
封水深は、前記下限壁の下端から上限壁の下端までの高さ方向の貯水空間であって、当該封水深が存在することで、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することを防止する効果を備える。
通水部は、前記下限壁から箱体底面までの高さ方向の隙間を指し、当該通水空間により、流入口から流入してきた排水が通水空間を通過して流出口方向へ通過することができる。
【0004】
上記のように構成された排水トラップは、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルに排水が発生すると、洗面ボウルの排水口から排水が洗面ボウル外へ排出される。その後、排水口からの排水は、排水トラップの流入口を通過し、排水トラップの箱体内へ流入する。そして、箱体内の下限壁、封水部、封水深、下限壁下の通水部を通過して、上限壁へと到達する。そして、上限壁10を通過した排水は流出口から箱体外へ排出される。そして、流出口から排出された排水は、流出口から排水管へ排水され、そして下水管へと排出される。
【0005】
当該従来例の排水トラップ内の清掃やメンテナンスを行う際は、洗面ボウル下のキャビネット部に入り込み、排水トラップの箱体の下部を回転させてネジによる螺合を解除させる。そうすると、箱体の下部が上部から取り外せるので、封水部内のメンテナンスを行うことができる。
【0006】
又、
図13に記載した排水トラップにおいては、前記
図12に記載した従来の排水トラップの有する構成に加え、体積空間部を備えている。
体積空間部は、箱体の上部に構成され、箱体の上部を一部分下方に凹ませて構成する内部が中空である凹部から構成する。尚、体積空間部は、上部と下部が接続されている時は、その下端付近の一部が封水部内に配置され、封水部内において所定の空間を占める。
【0007】
体積空間部を有する
図13に記載した従来の排水トラップにおいては、箱体の下部を取り外す際、箱体の下部を下方に下げると、上部に構成された体積空間部が、封水部から脱する形となる。そうすると、体積空間部が封水部内において占めていた所定の空間体積分、封水部内の水面が下がることとなる。このように封水部内の封水が見かけ上減少し、水面が下がることで、箱体の下部を取り外す際に、封水部から排水が溢れ出すことが無くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記
図12及び
図13に記載した従来例においては、使用者が誤って指輪等を排水に流してしまった場合、上部と下部を分割してから、排水トラップ内の異物の除去を行っていた。又、排水トラップの清掃、及びメンテナンスの際においても同様に、上部と下部を分割してから、排水トラップ内の清掃及びメンテナンスを行っていた。しかし、
図12に記載した従来例であると、上部と下部の接続がネジ螺合であることから、下部を回転させると、箱体内の封水部内の封水が、取り外す際の揺動で溢れ出してしまう。
【0010】
その為、
図12に記載した従来例の場合、下方にキャビネット部を備える洗面ボウルであると、一旦キャビネット部内に配置されている収納物を取り出し、汚れた排水が溢れ出しても構わないようにバケツ等を設置してから排水トラップを取り外し、落下物などの異物の除去を行わなければならなかった。
一方、上記
図13に記載した従来例においては、前述の通り体積空間部を有す為、下部を取り外す際は体積空間部分の体積分、封水の水面が下がり、封水部内の封水を外部にこぼれ落とし難い構造となっている。従って、
図13に記載の従来例においては、上記
図12に記載の従来例のようにバケツ等を設置することなく異物の除去及び清掃、メンテナンス等を行うことが可能である。
【0011】
即ち、
図13に記載の従来例は、
図12に記載の従来例に対し、清掃面等において優れている。しかし、
図13に記載した従来例においては、内部に体積空間部を有しており、実際の封水部内の排水量は見た目よりも少なくなる。
その為、サイホン現象等によって封水部内の封水が減少した場合、下限壁下端よりも下方まで封水の水面が低下し、「下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することを防止する」というトラップ機能が失われる可能性が高くなる。(以下、何らかの理由によって封水の減少によりトラップ機能が失われる現象を「破封」という)
即ち、
図12に記載の従来例においては、体積空間部が封水部内に占める空間面積を増加させると破封し易くなる。しかし、体積空間部が封水部内に占める空間面積を減少させると、下部を取り外す際に封水の水面が下がらず、漏水防止効果が減少してしまうという問題があった。
また、体積空間部を有することにより、箱体内部に排水が流入した際、乱流が生じ易く、排水機能が低下する場合があった。
【0012】
そこで、本願発明は上述した従来技術の問題に鑑み、使用者がメンテナンス等を行う際、簡単に脱着可能な排水トラップであって、当該脱着に際して封水部内の汚水がキャビネット内に漏水せず、乱流も生じ難い構成であり且つ、破封し難い構造の排水トラップの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する為の請求項1に記載の発明は、排水が流入する流入口と、
排水が流出する流出口と、
流入口と流出口を備えた箱体と、
流入口から箱体内の適宜高さまで垂下される下限壁と、
箱体の底面から適宜高さに構成された流出口までの高さの上限壁と、
から構成される排水トラップにおいて、
箱体は内部に封水が貯水される封水部を有し、
且つ前記箱体を、上部及び下部の2分割構成とするとともに、箱体に漏水防止機構を設け、
前記漏水防止機構が、封水部の外側において、周方向一部に設けられた排水流入室であって、
前記上部と下部を分割する際、前記封水部内の封水の少なくとも一部が前記漏水防止機構に流入することによって漏水を防ぐことを特徴とする排水トラップである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、排水が流入する流入口と、
排水が流出する流出口と、
流入口と流出口を備えた箱体と、
流入口から箱体内の適宜高さまで垂下される下限壁と、
箱体の底面から適宜高さに構成された流出口までの高さの上限壁と、
から構成される排水トラップにおいて、
箱体は内部に封水が貯水される封水部を有し、
且つ前記箱体を、上部及び下部の2分割構成とするとともに、箱体に漏水防止機構を設け、
前記漏水防止機構が、封水部の外側に設けられた排水流入室であって、
排水流入室の上端高さは上限壁の上端高さと略同一であり、
前記上部と下部を分割する際、前記封水部内の封水の少なくとも一部が前記漏水防止機構に流入することによって漏水を防ぐことを特徴とする排水トラップである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、排水が流入する流入口と、
排水が流出する流出口と、
流入口と流出口を備えた箱体と、
流入口から箱体内の適宜高さまで垂下される下限壁と、
箱体の底面から適宜高さに構成された流出口までの高さの上限壁と、
から構成される排水トラップにおいて、
箱体は内部に封水が貯水される封水部を有し、
且つ前記箱体を、上部及び下部の2分割構成とするとともに、箱体に漏水防止機構を設け、
前記漏水防止機構が排水流入室であって、
前記流入室は、前記上部に設けられた栓体によって閉塞され、前記栓体の抜脱により、前記上部と下部を分割する際、前記封水部内の封水の少なくとも一部が前記漏水防止機構に流入することによって漏水を防ぐことを特徴とする排水トラップである。
【0016】
請求項4に記載の発明は、排水が流入する流入口と、
排水が流出する流出口と、
流入口と流出口を備えた箱体と、
流入口から箱体内の適宜高さまで垂下される下限壁と、
箱体の底面から適宜高さに構成された流出口までの高さの上限壁と、
から構成される排水トラップにおいて、
箱体は内部に封水が貯水される封水部を有し、
且つ前記箱体を、上部及び下部の2分割構成とするとともに、箱体に漏水防止機構を設け、
前記漏水防止機構は、前記箱体の上部と下部を分割する際に、前記封水部を密閉することによって漏水を防ぐことを特徴とする排水トラップである。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記排水トラップにおいて、
前記漏水防止機構は、前記箱体に設けられた、上面に少なくとも1つ以上の弁体を有する封水漏れ防止壁であって、
前記上部と下部を分割する際、前記弁体が閉塞することによって前記封水部を密閉し、漏水を防ぐことを特徴とする請求項4に記載の排水トラップである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明においては、箱体を上下2分割可能な構成且つ、漏水防止機構
として封水部の外側において周方向一部に排水流入室を設け、前記上部と下部を分割する際、封水部内の封水の少なくとも一部が漏水防止機構に流入することによって漏水を防ぐ。従って、当該流入によって箱体内の排水水面が下降し、清掃やメンテナンスの為に排水トラップの下部を上部より分割する際、箱体内に貯留されている排水(封水)がキャビネットや床等に漏れ零れることがない。
【0019】
請求項2に記載の本発明においては、前記漏水防止機構が封水部の外側
において周方向一部に設けられた排水流入室である為、封水部内に排水時に乱流を生じさせず、スムーズに排水を行うことが出来る。
又、排水流入室の上端高さが上限壁の上端高さと略同一であるため、貯留された封水が排水流入室を超えて床面等に零れることを防ぐことが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の本発明においては、前記漏水防止機構が排水流入室であって、且つ前記排水流入室が、上部に設けられた栓体によって閉塞される為、上部と下部を分割することが漏水防止機構の作動条件となり、容易に漏水防止機構を作動させることが出来る。
【0021】
請求項4に記載の本発明においては、箱体の上部と下部を分割する際に、漏水防止機構が封水部を密閉し、封水部内部に封水を閉じこめて外部に漏らさない為、揺動等が生じても排水(封水)がキャビネット部や床等に漏れ零れることがない。
【0022】
請求項5に記載の本発明においては、漏水防止機構が箱体に設けられた、上面に少なくとも1つ以上の弁体を有する封水漏れ防止壁であって、箱体が2分割された際弁体が閉塞することによって封水部を密閉する為、上部と下部の接続時には問題無く排水が通過するが、分割時には漏水を防ぐことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の排水トラップの構成を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にする為のものであり、これによって本発明が制限して理解されるものではない。又、特に断りの無い限り、それぞれの実施形態において、
図1の設置状態を基準として上下を説明し、排水の流れに関しては洗面ボウル側を上流、下水側を下流として記載する。
尚、各実施形態において、前の実施形態の説明の際説明したものや図面より明らかである等、改めて説明する必要の無い構造については、同一の番号を付す等して説明を省略する。
【0025】
以下に本発明の第一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図3に記載の本発明の第一実施形態における排水トラップ20は、以下に記載する洗面ボウル16に取り付けられる。
【0026】
洗面ボウル16は、
図1に示すように底部に排水用の排水口18を開口する槽体であって、排水口18には排水管19や後述する排水トラップ20を接続し、最終的には下水管まで配管される排水設備である。
また、洗面ボウル16の下方には、キャビネット部17と呼ばれる、扉のついた箱体が構成されることが多く、当該キャビネット部17内に、洗剤や掃除道具等を内部に収容する構成となっている。
【0027】
図1乃至
図3に示す本実施形態の排水トラップ20は、箱体3と、流入口1と、流出口2と、下限壁9と、上限壁10と、封水部11と、封水深12と、通水部13と、漏水防止機構である排水流入室7から構成され、前記した洗面ボウル16に取り付けられる。
【0028】
箱体3は、流入口1、流出口2、下限壁9、上限壁10、封水部11、封水深12、通水部13、排水流入室7を備える箱状の部材であって、当該実施形態では上部4と下部5の2分割により構成される。そして、上部4及び下部5の接続は、ネジ14a、ネジ14bによる螺合で接続される。
【0029】
上部4は上流側に流入口1、下流側に流出口2を有し、下方に後述する下部5のネジ14bと螺合する雄ネジ部分であるネジ14aが設けられている。
【0030】
下部5は封水形成部6、排水流入室7、ネジ14bより構成され、封水形成部6の外周に排水流入室7を有する略有底筒状である。又、封水形成部6の外周上端の一部には切り欠き8が設けられている。
封水形成部6は内部に排水が貯留可能な空間を有する有底筒状部であって、内周側に雌ネジ部分であるネジ14bを有し、前記箱体3の上部4のネジ14aとネジ14bが螺合した際、後述する、排水が貯留される空間である封水部11を形成する。
排水流入室7は前記封水形成部6の外周の外側上方に、封水形成部6の全周に亘って設けられている。又、排水流入室7は封水形成部6と中心を同じくする受け皿であって、上方が開口し、且つ下方には底部を有する。又、排水流入室7の上端高さは前記封水形成部6の上端高さと略同一であり、排水流入室7の下端は、前記封水形成部6の下端(底)よりも上方に形成されている。
尚、前述の通り排水流入室7は封水形成部6の外周上方に設けられており封水部11の外側に配置され、又、切り欠き8の下端はネジ14a、ネジ14bよりも上方である為、上部4と下部5が接続されている際、排水流入室7内部に排水が流入することはない。
【0031】
流入口1は、前記箱体3の上部4に開口される、上記洗面ボウル16内の排水を箱体3内に流入させる為の開口である。
【0032】
流出口2は、箱体3内の排水を箱体3外へ排出する開口であって、箱体3の上部4の下流側に構成され、箱体3の側壁に、側面方向に突出するように構成される。
又、当該流出口2は排水管19に接続され、又、排水管19が下水管へと接続される為、箱体3内の排水は最終的には下水管へと排出される。
【0033】
下限壁9は前記流入口1から垂下して構成される筒状部材である。
【0034】
上限壁10は、箱体3の底面から流出口2までの高さ方向の箱体3の側面壁を指す。また、当該実施形態では、下部5の封水形成部6及び上部4のネジ14a近傍の内周側壁が上限壁10を形成する。
【0035】
封水部11は、箱体3内に位置する排水を一時的に貯水するための空間であって、内部に後記する封水深12、通水部13を備える。尚、本実施形態では、前述のように、箱体3の下部5の封水形成部6と上部4によって排水が貯留される空間を封水部11とする。
【0036】
封水深12は、前記下限壁9の下端から上限壁10の上端までの高さ方向の貯水空間であって、当該封水深12に排水(封水)が貯水することで、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することを防止する効果を備える。
【0037】
通水部13は、前記下限壁9から箱体3の底面までの高さ方向の隙間を指し、当該通水空間により、流入口1から流入してきた排水が通水空間を通過して流出口2方向へ通過することができる。
【0038】
このように構成された排水トラップ20は、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウル16に排水が発生すると、洗面ボウル16の排水口18から排水が洗面ボウル16外へ排出される。その後、排水口18からの排水は、排水トラップ20の流入口1を通過し、排水トラップ20の箱体3内へ流入する。そして、箱体3内の下限壁9を通過し、封水部11、封水深12を通過して下限壁9下の通水部13を通過して、上限壁10へと到達する。そして、上限壁10を通過した排水は流出口2から箱体3外へ排出される。そして、流出口2から排出された排水は、流出口2から排水管19へ排水され、そして下水管へと排出される。
即ち、上記の様な排水の流れが生じた際、排水流入室7に排水は一切流入しない。
【0039】
当該実施形態の排水トラップ20内の清掃やメンテナンス行う際は、作業者が洗面ボウル16下のキャビネット部17に入り込み、排水トラップ20の箱体3の下部5を回転させてネジ部14a、ネジ部14bによるねじ螺合を解除させる。そうすると、
図3に示したように箱体3の下部5が上部4から取り外すことが可能な為、封水部11内のメンテナンスを行うことができる。
【0040】
又、箱体3の下部5を取り外す際、封水形成部6は上端の一部において切り下記8を有する為、上部4と下部5の接続を解除し、下部5を下方へと移動させる途中で、封水形成部6の内部に貯留されていた排水の一部が排水流入室7内部へと流入する。従って、上部4と下部5が分割される際には、封水形成部6内部の排水の水面が下がっている為、下部5の取り外しの際に封水部11(封水形成部6)から溢れた排水がキャビネット部17内に漏水することはない。
【0041】
上記第一実施形態においては、排水流入室7(漏水防止機構)は封水形成部6の外周の外側上方において、封水形成部6の全周に亘って設けられていたが、本発明の排水トラップにおける排水流入室は封水形成部の全周に亘って設けられているものに限るものではない。
例えば、後述する、
図4及び
図5に示す本発明の第二実施形態のように排水流入室27(漏水防止機構)が封水形成部26の外周の外側上方において、封水形成部26の周方向一部に設けられていても良い。
【0042】
又、上記第一実施形態においては、封水形成部6の上端高さは全周に亘って同一であったが、本発明の排水トラップにおける封水形成部の上端高さは全周に亘って同一であるものに限るものではない。
例えば、後述する、
図4及び
図5に示す本発明の第二実施形態のように封水形成部26の開口側において、一部に切り欠き28を有していても良い。
【0043】
以下に本発明の第二の実施形態について、図面を用いて説明するが、洗面ボウル及びキャビネット部に関しては上記第一実施形態と同様であるので図示を省略する。(以下、第二実施形態以降の実施形態についても同様に省略する)
【0044】
図4及び
図5に記載の第二の実施形態の排水トラップ30は、箱体23と、流入口1と、流出口2と、下限壁9と、上限壁10と、封水部11と、封水深12と、通水部13と、漏水防止機構である排水流入室27から構成され、洗面ボウル(図示せず)に取り付けられる。
【0045】
箱体23は、流入口1、流出口2、下限壁9、上限壁10、封水部11、封水深12、通水部13、排水流入室27を備える箱状の部材であって、当該実施形態では上部24と下部25の2分割により構成される。そして、上部24及び下部25の接続は、上部24に設けられた回転ロック機構31と、下部25に設けられた突部32の嵌合によって接続される。
【0046】
上部24は上流側に流入口1、下流側に流出口2を有し、下方に後述する下部25の突部32と嵌合する回転ロック機構31が設けられている。
【0047】
回転ロック機構31は、
図5に示すように、後述する下部25の内周に設けられた突部32の横幅よりも多少幅広な横幅を有する斜め溝部と、斜め溝部の上方且つ側面部に該斜め溝部と連通して円弧方向に延設される横溝部より成る。斜め溝部は下方から上方へ向けて延びると共に、前記した横溝部が延設する側に傾斜している。又、横溝部は斜め溝部近傍では縦幅が前記突部32の縦幅よりも多少幅広であるが、連通する斜め溝部から離れる程漸次縦幅が狭くなり突部32と縦方向において嵌合する様テーパー状になっている。
前記回転ロック機構31が後述する突部32と嵌合する際は、回転ロック機構31の下方に設けられたパッキンによって上部24と下部25が水密に接続される。
【0048】
下部25は封水形成部26、排水流入室27、突部32により構成され、封水形成部26の外周の一部に排水流入室27を有する略有底筒状である。
封水形成部26は内部に排水が貯留可能な空間を有する有底筒状であって、内周側に前記回転ロック機構31と嵌合する突部32を有し、前記箱体23の上部24の回転ロック機構31と前記突部32が嵌合した際、排水が貯留される空間である封水部11を形成する。
排水流入室27は前記封水形成部26の外周の外側上方に、封水形成部26の周方向一部に亘って設けられている受け皿であって上方が開口し、且つ下方には底部を有する。
又、封水形成部26は排水流入室27が設けられている部分において、上端の一部に略矩形の切り欠き28を有する。従って、排水流入室27の上端高さは、前記封水形成部26の上端高さと略同一であるが、前記切り欠き28部分のみ、封水形成部26上端高さが他より低く形成されている。
尚、前述の通り排水流入室27は封水形成部26の外周の外側上方に設けられており、上部4と下部5が接続されている際、封水部11の外側に配置され、且つパッキンで水密が保たれている為、封水形成部26内部に排水が流入することはない。
【0049】
このように構成された排水トラップ30は、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルに排水が発生すると、洗面ボウルの排水口18から排水が洗面ボウル外へ排出される。その後、排水口18からの排水は、排水トラップ30の流入口1を通過し、排水トラップ30の箱体23内へ流入する。そして、箱体23内の下限壁9を通過し、封水部11、封水深12を通過して下限壁9下の通水部13を通過して、上限壁10へと到達する。そして、上限壁10を通過した排水は流出口2から箱体23外へ排出される。そして、流出口2から排出された排水は、流出口2から排水管19へ排水され、そして下水管へと排出される。
即ち、上記の様な排水の流れが生じた際、排水流入室27に排水は一切流入しない。
【0050】
当該第二実施形態の排水トラップ30内の清掃やメンテナンス行う際は、前述した本発明の第一実施形態における排水トラップ20と同様に、上部24と下部25の嵌合を解除することによって箱体23を分割して行われる。
この時、前述のように、封水形成部26は上端の一部において切り欠き28を有する為、上部24と下部25の接続を解除し、下部25を下方へと移動させる途中で、封水形成部26の内部に貯留されていた排水の一部が排水流入室27内部へと流入する。従って、上部24と下部25が分割される時には、封水形成部26内の排水の水面が下がっている為、下部25の取り外しの際に封水部11(封水形成部26)から溢れた排水がキャビネット部(図示せず)内に漏水することは無い。
【0051】
又、当該第二実施形態の排水トラップ30においては、上部24と下部25の連結を回転ロック機構によって行っている。その為、ネジによる螺合に比べて少ない回転によって連結が可能であり、第二実施形態の排水トラップ30には好適である。
【0052】
以下に、本発明の第三実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図6に示す第三実施形態の排水トラップ排水トラップ40は、箱体33と、流入口1と、流出口2と、下限壁9と、上限壁10と、封水部11と、封水深12と、通水部13と、漏水防止機構である排水流入室37から構成され、図示しない洗面ボウルに取り付けられる。
【0053】
箱体33は、流入口1、流出口2、下限壁9、上限壁10、封水部11、封水深12、通水部13、排水流入室37を備える箱状の部材であって、当該実施形態では上部34と下部35の2分割により構成される。そして、上部34及び下部35の接続は、クイックファスナー41によって接続される。
【0054】
上部34は上流側に流入口1、下流側に流出口2を有し、下方に後述する下部35のフランジ部39bとクイックファスナー41によって接続されるフランジ部分であるフランジ部39aが設けられている。
又、上部34は上面より垂下する円筒状の栓体38を有している。当該栓体38の内径は後述する下部35に設けられた排水流入室37の外径と略等しい。
【0055】
下部35は封水形成部36、排水流入室37より構成される略有底筒状であり、中程に前述した上部34のフランジ部39aとクイックファスナー41によって接続される為のフランジ部39bが設けられている。
封水形成部36は内部に排水が貯留可能な空間を有する有底筒状部であって、上面円周にフランジ部39bと、底部に後述する排水流入室37を有し、フランジ部39aが前記箱体33の上部34のフランジ部39aとクイックファスナー41によって接続された際、排水が貯留される空間である封水部11を形成する。
【0056】
排水流入室37は前記下部35の封水形成部36底部より垂直に立ち上げられた、上方が開口した円筒状であって、外径は前記栓体38の内径に略等しい。又、排水流入室37は上部にリング状のパッキンを備えており、上部34と下部35が接続された時、排水流入室37は前記栓体38に挿入され、パッキンによって水密に連結する。
従って、排水流入室37の開口は栓体38によって塞がれている為、上部34と下部35が接続されている際、内部に排水が流入することはない。
【0057】
このように構成された排水トラップ40は、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルに排水が発生すると、洗面ボウルの排水口18から排水が洗面ボウル外へ排出される。その後、排水口18からの排水は、排水トラップ40の流入口1を通過し、排水トラップ40の箱体33内へ流入する。そして、箱体33内の下限壁9を通過し、封水部11、封水深12を通過して下限壁9下の通水部13を通過して、上限壁10へと到達する。そして、上限壁10を通過した排水は流出口2から箱体33外へ排出される。そして、流出口2から排出された排水は、流出口2から排水管19へ排水され、そして下水管へと排出される。
即ち、上記の様な排水の流れが生じた際、排水流入室37に排水は一切流入しない。
【0058】
当該第三実施形態の排水トラップ40内の清掃やメンテナンス行う際は、クイックファスナー41による上部34と下部35の嵌合を解除することによって箱体33を分割して行われる。
当該分割の際、下部35を下方へと移動させる途中で、排水流入室37と栓体38の連結が解除され、封水形成部36内部に貯留されていた排水の一部が排水流入室37内部へと流入する。従って、上部34と下部35が分割される際には、封水形成部36内の排水の水面が下がっている為、下部35の取り外しの際に封水部11(封水形成部36)から溢れた排水が図示しないキャビネット部内に漏水することは無い。
【0059】
以下に、本発明の第四実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図7に示す第四実施形態の排水トラップ排水トラップ50は、箱体43と、流入口1と、流出口2と、下限壁9と、上限壁10と、封水部11と、封水深12と、通水部13と、漏水防止機構である排水流入室47から構成され、図示しない洗面ボウルに取り付けられる。
【0060】
箱体3は、流入口1、流出口2、下限壁9、上限壁10、封水部11、封水深12、通水部13、排水流入室47を備える箱状の部材であって、当該実施形態では上部44と下部45の2分割により構成される。そして、上部44及び下部45の接続は、クイックファスナー41によって接続される。
【0061】
上部44は上流側に流入口1、下流側に流出口2を有し、下方に後述する下部45のフランジ部39bとクイックファスナー41によって接続されるフランジ部分であるフランジ部39aが設けられている。
又、上部44は上面において、垂下する略円筒状の凹部48を有している。当該凹部48はその下端にゴム等の弾性体から成る栓体49が取り付けられており、凹部4の下端は上部44の側壁の下端よりも更に下方まで延出されている。
【0062】
下部45は封水形成部46、排水流入室47、仕切壁51より構成される略有底筒状であり、上方に前述した上部44のフランジ部39aとクイックファスナー41によって接続される為のフランジ部39bが設けられている。
仕切壁51は開口52を有する板状部材であり、上面及び下面は下部45の内径と略等しい。又、当該仕切壁51は下部45の内周下方に接着剤などによって接着されている。
前記開口52は前記栓体49と嵌合する径となっており、上部44と下部45がクイックファスナー41によって接続された際、栓体49が開口52と嵌合し、排水流入室47を水密に閉塞する。
この時、仕切壁51及び栓体49によって下部45は封水形成部46と排水流入室47に分割され、開口52が栓体49によって閉塞されている限りにおいて、封水形成部46から排水流入室47へ排水が流入することはない。
封水形成部46は、フランジ部39aが前記箱体43の上部44のフランジ部39aとクイックファスナー41によって接続された際、排水が貯留される空間である封水部11を形成する。
【0063】
このように構成された排水トラップ50は、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルに排水が発生すると、洗面ボウルの排水口18から排水が洗面ボウル外へ排出される。その後、排水口18からの排水は、排水トラップ50の流入口1を通過し、排水トラップ50の箱体43内へ流入する。そして、箱体43内の下限壁9を通過し、封水部11、封水深12を通過して下限壁9下の通水部13を通過して、上限壁10へと到達する。そして、上限壁10を通過した排水は流出口2から箱体43外へ排出される。そして、流出口2から排出された排水は、流出口2から排水管19へ排水され、そして下水管へと排出される。
即ち、上記の様な排水の流れが生じた際、排水流入室47に排水は一切流入しない。
【0064】
当該第四実施形態の排水トラップ50内の清掃やメンテナンス行う際は、クイックファスナー41による上部44と下部45の嵌合を解除することによって箱体43を分割して行われる。
当該分割の際、下部45を下方へと移動させる途中で、開口52と栓体49の連結が解除され、封水形成部46内部に貯留されていた排水の一部が開口52より排水流入室47内部へと流入する。従って、上部44と下部45が分割される際には、封水形成部46内の排水の水面が下がっている為、下部45の取り外しの際に封水部11(封水形成部46)から溢れた排水が図示しないキャビネット部内に漏水することは無い。
【0065】
以下に、本発明の第五実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図8及び
図9に示す第五実施形態の排水トラップ排水トラップ70は、箱体53と、流入口1と、流出口2と、下限壁59と、上限壁60と、封水部61と、封水深62と、通水部63と、漏水防止機構である封水漏れ防止壁71から構成され、図示しない洗面ボウルに取り付けられる。
【0066】
箱体53は、流入口1、流出口2、下限壁59、上限壁60、封水部61、封水深62、通水部63、封水漏れ防止壁71を備える箱状の部材であって、当該実施形態では上部54と下部55の2分割により構成される。そして、上部54及び下部55の接続は、クイックファスナー41によって接続される。
【0067】
上部54は上流側に流入口1、下流側に流出口2、上限筒58を有し、下方に後述する下部55のフランジ部64bとクイックファスナー41によって接続されるフランジ部分であるフランジ部64aが設けられている。
上限筒58は上部54の上面から垂下する円筒体であって、上端側方にて流出口2と連続する。又、上限筒58の外径は後述する封水漏れ防止壁71の開口72bに設けられた逆流防止弁73bの内径と略同径であって、上部54と下部55が接続された際、上限筒58は後述する逆流防止弁73bに挿入される。この時、上限筒58は上方から逆流防止弁73bの閉塞部分を押し広げて挿入される為、当該逆流防止弁73bには弁を閉塞しようとする方向に力が生じる。即ち、上限筒58は逆流防止弁73bと水密に接続されて、上限筒58の外周側には排水が通過しない。
【0068】
下部55は封水形成部56より構成される略有底筒状であり、外周中程に前述した上部54のフランジ部64aとクイックファスナー41によって接続される為のフランジ部64bが設けられている。
封水形成部56は内部に排水が貯留可能な空間を有する有底筒状部であって、上方に封水漏れ防止壁71が設けられている。
封水漏れ防止壁71は開口72a、開口72bを有する板状部材であり、上面及び下面は下部55の内径と略等しい。又、当該封水漏れ防止壁71は下部55の内周に接着剤などによって接着されている。
尚、漏水漏れ防止壁71に設けられた開口72a、開口72bには逆流防止弁73a、逆流防止弁73bが取り付けられている。
逆流防止弁73は、
図8の状態において下端が閉塞する断面略五角形状の弁であり、当該状態においては、上方から流入する液体、気体は下方へ通すが、下方から流入する液体、気体は上方へ通さないという性質を有する。
又、逆流防止弁73aの内径は後述する下限壁59の外径と略同径であり、開逆流防止弁73bの内径は前記上限筒58の外径と略同径である。
【0069】
下限壁59は前記流入口1から垂下して構成される筒状部材であって、外径は前記逆流防止弁73aの内径と略同径であって、上部54と下部55が接続された際、下限壁59は前記逆流防止弁73aに挿入される。この時、下限壁59は上方から逆流防止弁73aの閉塞部分を押し広げて挿入される為、当該逆流防止弁73aには弁を閉塞しようとする方向に力が生じる。即ち、下限壁59は逆流防止弁73aと水密に接続されて、下限壁59の外周側には排水が通過しない。
【0070】
上限壁60は、箱体53の底面から流出口2までの高さ方向の箱体53の側面壁を指す。また、当該実施形態では、下部55の封水形成部56及び上部54の上限筒58の側面壁が上限壁60を形成する。
【0071】
封水部61は、箱体53内に位置する排水を一時的に貯水するための空間であって、内部に後記する封水深62、通水部63を備える。尚、本実施形態では、下限壁59、上限壁60によって排水が貯留される空間を封水部61とする。
【0072】
封水深62は、前記下限壁59の下端から上限壁60の上端までの高さ方向の貯水空間であって、当該封水深62に排水(封水)が貯水されることで、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することを防止する効果を備える。
【0073】
通水部63は、前記下限壁59から箱体53の底面までの高さ方向の隙間を指し、当該通水空間により、流入口1から流入してきた排水が通水空間を通過して流出口2方向へ通過することができる。
【0074】
このように構成された排水トラップ70は、以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルに排水が発生すると、洗面ボウルの排水口18から排水が洗面ボウル外へ排出される。その後、排水口18からの排水は、排水トラップ70の流入口1を通過し、排水トラップ70の箱体53内へ流入する。そして、箱体53内の下限壁59を通過し、封水部61、封水深62を通過して下限壁59下の通水部63を通過して、上限壁60へと到達する。そして、上限壁60を通過した排水は流出口2から箱体53外へ排出される。そして、流出口2から排出された排水は、流出口2から排水管19へ排水され、そして下水管へと排出される。
尚、上記の様な排水の流れが生じた際、上限筒58及び下限壁59はそれぞれ逆流防止弁73a、逆流防止弁73bと水密に接続されている為、上限筒58及び下限壁59の外周側に排水は流入しない。
【0075】
当該第五実施形態の排水トラップ70内の清掃やメンテナンス行う際は、クイックファスナー41による上部54と下部55の嵌合を解除することによって箱体53を分割して行われる。
当該分割の際、下部55を下方へと移動させる途中で、上限筒58及び下限壁59と、逆流防止弁73a、逆流防止弁73bの連結が解除され、逆流防止弁73a及び逆流防止弁73bは閉塞する。当該閉塞によって、下部55は完全に密閉される為、下部55の取り外しの際に、封水部61(封水形成部56)内の排水が図示しないキャビネット部内に漏水することはない。
【0076】
本発明の実施形態は上記に記載した実施形態の他にも、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更は可能である。
例えば、上記各実施形態において、排水トラップの構造を所謂ボトルトラップとしたが、本発明の排水トラップは、当該ボトルトラップに限るものではない。
例えば、
図10に示す本発明のその他の実施形態の排水トラップ80のように、所謂逆ワントラップと呼ばれる排水トラップであっても良い。
【0077】
又、上記各実施形態において、漏水防止機構の作動は全て上部と下部の連結を解除することによって行われたが、本発明の漏水防止機構の作動条件は上部と下部と連結解除に限るものではない。
例えば、
図11に示す本発明の更にその他の実施形態の排水トラップ90のように、排水トラップ90の外部に設けられたスイッチ等の操作によって、漏水防止機構が作動しても良い。
図11に示す本発明の更にその他の実施形態の排水トラップ90においては、排水トラップ90の外部に設けられたリング88を引き上げると、当該リング88と連続している栓体89が引き抜かれる。従って、排水流入室87内に封水が流入し、水面を下げることによって、図示しないキャビネット部内への漏水を防ぐ。