特許第6019279号(P6019279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019279
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】排水トラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   E03C1/28 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-119733(P2011-119733)
(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公開番号】特開2012-246687(P2012-246687A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀江 進
(72)【発明者】
【氏名】原 和也
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−265953(JP,A)
【文献】 特開2008−196169(JP,A)
【文献】 特開平03−115627(JP,A)
【文献】 特開平09−293548(JP,A)
【文献】 特開平08−315909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に封水を有する有底の箱体であるトラップ本体1と、
トラップ本体1上面に開口して構成されて、トラップ本体1内部に排水を流入させる流入口11と、
トラップ本体1内の排水を外部へと排出するためにトラップ本体1側面に構成される排出口12と、
トラップ本体1内に配置されて、排水を一部貯水する椀状のオワン部2と、
円筒状であって、オワン部2内に下端を配置して、オワン部2と協働して封水を形成する防臭パイプ3と、
から構成される排水トラップにおいて、
前記トラップ本体1底面を凹ませた前記オワン部2が配置される、排水が貯留しうる収納部13を構成するとともに、該収納部13側面のみに、オワン部2が配置された際にオワン部2を支承する支承リブ14を構成したことを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
前記支承リブ14を複数構成したことを特徴とする前記請求項1に記載の排水トラップ。
【請求項3】
内部に封水を有する有底の箱体であるトラップ本体1と、
トラップ本体1上面に開口して構成されて、トラップ本体1内部に排水を流入させる流入口11と、
トラップ本体1内の排水を外部へと排出するためにトラップ本体1側面に構成される排出口12と、
トラップ本体1内に配置されて、排水を一部貯水する椀状のオワン部2と、
円筒状であって、オワン部2内に下端を配置して、オワン部2と協働して封水を形成する防臭パイプ3と、
から構成される排水トラップにおいて、
前記排出口12底面よりも下方にまで前記トラップ本体1底面を凹ませた前記オワン部2が底面に配置される収納部13を構成するとともに、収納部13にオワン部2が載置され、前記防臭パイプ3を流入口11に脱着自在に取り付ける構成とし、更に防臭パイプ3下端に、オワン部2の浮き上がりを防止する押さえ脚32を下面に垂下して構成したことを特徴とする排水トラップ。
【請求項4】
前記押さえ脚32を複数構成したことを特徴とする前記請求項3に記載の排水トラップ。
【請求項5】
前記オワン部2上端に、外側方向に向かって凸状に構成されて、オワン部2が逆方向に誤配置されることを防止する逆入れ防止リブ21を構成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の排水トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所や風呂場、洗面所など、排水が発生する箇所に用いられる各種排水設備に用いられる、下水からの異臭や害虫が室内側へ逆流することを防止する排水トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本従来例の排水トラップは、図10及び図11に示されるように、浴室の排水口に取り付けられるものである。
本従来例の排水トラップは、図10に示すように、トラップ本体と、流入口と、排出口と、オワン部と、防臭パイプと、取付部と、被取付部と、から構成される。
トラップ本体は、後記流入口、排出口が備えられるとともに、浴室の排水口の下流に取り付けられる箱体であって、内部に、後記するオワン部と防臭パイプによって協働で構成される封水が備えられる。また、封水とは下水からの害虫や異臭を室内側へ逆流させないために、排水の一部を貯水して、配管内を水封するものである。
流入口は、トラップ本体上部に開口した孔であって、浴室から発生した排水を排水口を介してトラップ本体内部に流入させるための開口である。また、流入口の下方には、後述する防臭パイプを脱着自在に取り付けるための被取付部を構成する。
排出口は、トラップ本体下面にパイプ状に開口した孔であって、トラップ本体内の排水をトラップ本体外へと排出するための開口である。又、排出口には排水管が配管接続され、当該排水管は下水管に接続されることから、トラップ本体内部の排水は最終的には下水管へと排水される。
オワン部は、椀状の部材であって、内部に排水を一部貯水できるように構成されて成る。また、トラップ本体内部の収納部に当該オワン部を配置する。このとき、流入口の直下位置に配置するようにする。本従来例では、オワン部下方にリブを構成し、トラップ本体底面に載置するよう構成している。また、オワン部側面にも羽根状のリブを構成し、後述する防臭パイプによって挟み込むよう配置して成る。
防臭パイプは、円筒状の部材であって、上端は前記被取付部に脱着自在に取り付けるための取付部を構成し、下端はオワン部内に配置されてなる。
尚、封水は、オワン部と防臭パイプによって協働して構成され、オワン部内に貯水した排水に、防臭パイプ下端がオワン部内に配置されるように構成されているから、封水を形成することができる。
取付部と被取付部は、防臭パイプ上端と流入口下方に構成され、防臭パイプを流入口下方に対して脱着自在に取り付けるために構成される。
【0003】
前記の従来例の排水トラップは、以下のように取り付けられる。浴室の排水口裏面にトラップ本体を取付け、トラップ本体の排出口を排水管と配管接続させ、当該排水管を下水管へ接続する。その後、流入口からオワン部を差し込み、トラップ本体底面に載置し配置する。そうして防臭パイプを流入口からトラップ本体内に差し込み、防臭パイプ下端をオワン部内に配置するようにしてから防臭パイプの取付部と流入口下方の被取付部を係合させて着脱自在に取り付ける。その後、排水口に適宜目皿をセットしてこの従来例の排水トラップの施工が完了する。
【0004】
前記の従来例の排水トラップは、以下のような水の流れとなる。浴室で発生した排水は、床上に排水され、床に開口された排水口から排出される。そうすると、排水口の下流に床の裏面から取り付けられたトラップ本体が配置構成されているので、排水口に排出された排水は流入口を介してトラップ本体内に流入し、流入口から防臭パイプを介してオワン部内に排水が貯水されたあと、オワン部内から排水が溢れた分だけ、排水はトラップ本体の収納部外周を通過して排出口からトラップ本体外へと排出される。トラップ本体外へと排水された排水は、排水管を介して最終的には下水管へと排水される。
【0005】
また、その他の実施例として、図11示したように、オワン部以外の形状は前記従来例とほぼ同じであるが、オワン部を以下のように構成したものがある。
本従来例のオワン部は、オワン状の部材であって、内部に貯水した排水を下流へと排水するための排水窓を上方側面に開口し、更には、オワン部を防臭パイプとトラップ本体に挟持して取り付けるために構成された、オワン部上端部分を外側方向にフランジ状に凸出させた挟持部、から構成される。
当該オワン部は、防臭パイプが取付部と流入口の被取付部によって取付固定される際に、トラップ本体と防臭パイプにオワン部の挟持部を挟持させるように取り付けることにより、オワン部を配置固定する形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−40065号公報
【特許文献2】実開昭63−31182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した従来例の排水トラップは以下のような問題点があった。
1)オワン部はトラップ本体に載置しているのみであれば、排水がトラップ本体に流入すると、オワン部が排水中に配置されることとなり、オワン部に浮力が生じ、該オワン部は固定されていない為浮いてしまう。オワン部が浮いてしまうと、JIS規格で定められている封水深50mmが維持されない事態が発生する。封水深が維持されないと、下水からの異臭や臭気が室内側へ逆流してしまう。
このようなオワン部の浮き対策として、前述した従来例の排水トラップがあったが、図10で示したオワン部載置形排水トラップであれば、排出口が下方に存在するため、オワン部とトラップ本体底面の間に通水用の隙間を構成せねばならず、当該隙間分の高さ幅分、全高を高くせねばならなかった。また、オワン部には浮き防止と位置決めの為の羽根状のリブが構成されているが、このようにオワン部に大きなリブ形状を構成すると、使用者がオワン部を清掃する際に当該リブが邪魔となり非常に洗いにくいという問題があった。
また、図11で示したオワン部を防臭パイプで挟持して取り付ける形状の排水トラップであれば、オワン部は防臭パイプとトラップ本体によって挟持するように固定している為、どうしてもオワン部に高さが必要となるし、オワン部に排水窓を開口せねばならないので、これもまた使用者にとって非常に洗いにくい、といった問題があった。
また、トラップ本体にオワン部が配置されるが、当該オワン部を配置する際、トラップ本体部内に水が少量でも溜まっている場合、水の逃げ場所が無くなり、周囲に拡散するよう飛び散る現象があった。このようなことが発生すると、使用者が掃除やメンテナンスを行うたびに汚水である排水が周囲に飛び散り、場合によっては使用者にかかることもあり、非常に不快な現象であった。
また、従来の排水トラップにおいて、オワン部をトラップ本体内に配置するには、封水の形成及び排水の通水隙間を構成するために、オワン部の位置決めが必要となる。上述した従来の排水トラップにおいては、オワン部に通水隙間分の位置決め用のリブを構成したり、または、流入口に直接接続して位置決めするという構成にせねば成らず、オワン部の構造の複雑化の一因となり、オワン部の清掃性が悪くなる原因となっていた。
【0008】
以上のことから、本発明の排水トラップは、オワン部の浮力による浮き上がりを防止し、オワン部の清掃性を向上させ、尚かつ、オワン部を配置する際の排水の噴出を効果的に防止する排水トラップである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、内部に封水を有する有底の箱体であるトラップ本体1と、トラップ本体1上面に開口して構成されて、トラップ本体1内部に排水を流入させる流入口11と、トラップ本体1内の排水を外部へと排出するためにトラップ本体1側面に構成される排出口12と、トラップ本体1内に配置されて、排水を一部貯水する椀状のオワン部2と、円筒状であって、オワン部2内に下端を配置して、オワン部2と協働して封水を形成する防臭パイプ3と、から構成される排水トラップにおいて、前記トラップ本体1底面を凹ませた前記オワン部2が配置される、排水が貯留しうる収納部13を構成するとともに、該収納部13側面のみに、オワン部2が配置された際にオワン部2を支承する支承リブ14を構成したことを特徴とする排水トラップである。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、前記支承リブ14を複数構成したことを特徴とする前記段落0009に記載の排水トラップである。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、内部に封水を有する有底の箱体であるトラップ本体1と、トラップ本体1上面に開口して構成されて、トラップ本体1内部に排水を流入させる流入口11と、トラップ本体1内の排水を外部へと排出するためにトラップ本体1側面に構成される排出口12と、トラップ本体1内に配置されて、排水を一部貯水する椀状のオワン部2と、円筒状であって、オワン部2内に下端を配置して、オワン部2と協働して封水を形成する防臭パイプ3と、から構成される排水トラップにおいて、前記排出口12底面よりも下方にまで前記トラップ本体1底面を凹ませた前記オワン部2が底面に配置される収納部13を構成するとともに、収納部13にオワン部2が載置され、前記防臭パイプ3を流入口11に脱着自在に取り付ける構成とし、更に防臭パイプ3下端に、オワン部2の浮き上がりを防止する押さえ脚32を下面に垂下して構成したことを特徴とする排水トラップである。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、前記押さえ脚32を複数構成したことを特徴とする前記段落0011に記載の排水トラップである。
【0013】
請求項5に記載の本発明は、前記オワン部2上端に、外側方向に向かって凸状に構成されて、オワン部2が逆方向に誤配置されることを防止する逆入れ防止リブ21を構成したことを特徴とする前記段落0009請求項1乃至段落0012のいずれか一つに記載の排水トラップである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の排水トラップによれば、トラップ本体1底面を凹ませたオワン部2が配置される、排水が貯留しうる収納部13を構成したことにより、トラップ本体1を位置決めして載置できる構成となった。
また、請求項1に記載の排水トラップによれば、収納部13側面のみに、オワン部2が配置された際にオワン部2を支承する支承リブ14を構成したことにより、収納部13内に排水が貯水していた場合にオワン部2を収納部13に配置しても、支承リブ14の突出幅によって形成されるオワン部2外側面と収納部13内側面分の隙間に収納部13内の排水が逃げることが出来、オワン部2を載置した際に、オワン部2の挿入圧入によって排水に水圧が付与されて、上方に噴出して使用者にかかるようなことがなくなる。また、オワン部2を収納部13に配置した際に支承リブ14によってオワン部2は支承されていため、がたついたりすることがない。
請求項2に記載の排水トラップによれば、支承リブ14を複数構成したことにより、設計の幅を広げることができる。
請求項3に記載の排水トラップによれば、排出口12底面よりも下方にまで前記トラップ本体1底面を凹ませた前記オワン部2が底面に配置される収納部13を構成するとともに、収納部13にオワン部2が載置され、防臭パイプ3を流入口11に脱着自在に取り付ける構成とし、更に防臭パイプ3下端に、オワン部2の浮き上がりを防止する押さえ脚32を下面に垂下して構成したことにより、防臭パイプ3の押さえ脚32によってオワン部2を略当接させているので、排水の浮力がオワン部2に付与されても、オワン部2が浮き上がることがない。
請求項4に記載の排水トラップによれば、押さえ脚32を複数構成したことにより、設計の幅を広げることができる。
請求項5に記載の排水トラップによれば、オワン部2上端に、外側方向に向かって凸状に構成されて、オワン部2が逆方向に誤配置されることを防止する逆入れ防止リブ21を構成したことにより、オワン部2を誤って天地逆(逆方向)に配置しようとしても、逆入れ防止リブ21が収納部13外縁部に係止して、それ以上収納部13内に入れることができなくなるので、誤配置される心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の排水トラップを示す分解斜視図である。
図2】本発明のトラップ本体を示す一部切り欠き斜視図である。
図3】本発明のトラップ本体を示す斜視図である。
図4】本発明のオワン部を示す斜視図である。
図5】本発明のトラップ本体にオワン部が配置された状態を示す図7におけるA−A’断面図である。
図6】本発明のトラップ本体にオワン部が配置された状態を示す図7におけるA−A’断面の斜視図である。
図7】本発明のトラップ本体にオワン部が配置された状態を示す上面図である。
図8】(A)本発明の防臭パイプを示す側面図である。(B)本発明の防臭パイプを示す側面図である。(C)本発明の防臭パイプを示す斜視図である。
図9】本発明の防臭パイプを逆位置に誤配置してしまった状態を示す断面図である。
図10】従来例を示す断面図である。
図11】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施例の排水トラップは、図1乃至図9に示されるように、浴室の排水口に取り付けらるものである。
本実施例の排水トラップは、トラップ本体1と、流入口11と、排出口12と、オワン部2と、防臭パイプ3と、取付部41と、被取付部42と、から構成される。
トラップ本体1は、図2及び図3に示すように、後記流入口11、排出口12が備えられるとともに、浴室の排水口の下流に取り付けられる箱体であって、内部に、後記するオワン部2と防臭パイプ3によって協働で構成される封水が備えられる。また、封水とは下水からの害虫や異臭を室内側へ逆流させないために、排水の一部を貯水して、配管内を水封するものである。また、トラップ本体1底面には、底面を凹ませて構成した後述するオワン部2が配置される収納部13を形成する。尚、図2図3に示すように当該収納部13内周面の特に側面に、後述するオワン部2が配置される際に支承する、支承リブ14を構成する。この支承リブ14を構成したことにより、図5及び図6図7に示すように、収納部13内側面とオワン部2外周面の間に支承リブ14の幅分の隙間を備えることができる。この支承リブ14により構成される隙間によって、仮に収納部13内に排水が貯留していたとしても、オワン部2が適正箇所に配置された際に収納部13内の排水はオワン部2と収納部13の間に支承リブ14によってできた隙間(空間)に排水が逃げるもしくは移動する為、オワン部2を収納部13に配置した際の圧力が軽減されて、オワン部2が収納部13に配置しやすくなった。また、支承リブ14を構成したことにより、収納部13内に貯留した排水がオワン部2を配置した際にオワン部2を配置する圧力により上方に噴出するようなこともない為、使用者に汚水である排水がかかるようなことはない。
流入口11は、トラップ本体1上部に開口した孔であって、浴室から発生した排水を排水口を介してトラップ本体1内部に流入させるための開口である。また、流入口11には、後述する防臭パイプ3を脱着自在に取り付けるための被取付部42を構成する。
排出口12は、トラップ本体1側面にパイプ状に開口した孔であって、トラップ本体1内の排水をトラップ本体1外へと排出するための開口である。又、排出口12には排水管が配管接続され、当該排水管は下水管に接続されることから、トラップ本体1内部の排水は最終的には下水管へと排水される。
オワン部2は、図4に示すように、椀状の部材であって、内部に排水を一部貯水できるように構成されて成る。また、トラップ本体1内部の収納部13に当該オワン部2を配置する。このとき、流入口11の直下位置に配置するようにする。また、オワン部2上端には、外側方向に向かって凸状に構成される、逆入れ防止リブ21を構成している。当該逆入れ防止リブ21は、オワン部2を使用者が設置する際に、図9に示したようにオワン部2を天地逆に収納部13に配置してしまうことを防止する凸状のリブであり、仮にオワン部2を天地逆に収納部13に配置しようとしても、逆入れ防止リブ21が収納部13外縁に引っ掛かる為、天地逆に配置できないように構成されている。また、逆入れ防止リブ21は、オワン部2が収納部13に設置された位置から、収納部13外縁に係る位置まで凸出して構成されるので、オワン部2を収納部13に天地逆に入れた際に、オワン部2上端に構成された逆入れ防止リブ21が収納部13外縁に引っ掛かり、オワン部2が収納部13に誤配置されるようなことがない。また、オワン部2には従来例のように大きなリブ等構成されない為、オワン部2の形状が単純化され、使用者にとって洗いやすくなった。
防臭パイプ3は、図8に示すように円筒状の部材であって、上端に流入口11の被取付部42に脱着自在に取り付けるための取付部41を構成し、下端はオワン部2内に配置されてなる。また、防臭パイプ3の上方には、使用者が防臭パイプ3の回転を操作する取手部31を構成している。
尚、封水は、オワン部2と防臭パイプ3が協働して構成され、オワン部2内に貯水した排水に、防臭パイプ3下端がオワン部2内に配置されるように構成されているから、オワン部2内の排水によって封水を形成することができる。
また、防臭パイプ3下端には、下方に垂下して構成した押さえ脚32を複数構成して成る。当該押さえ脚32は、排水トラップが使用可能に取付状態時にはオワン部2底面に略当接状態となっており、このようにすることから、排水がトラップ本体1内に流入しても、排水の浮力によりオワン部2が上方に浮き上がるようなことがない。
取付部41と被取付部42は、流入口11に被取付部42が、防臭パイプ3上端に取付部41がそれぞれ構成され、防臭パイプ3を流入口11に脱着自在に取り付けるために構成される。また、流入口11内周面に構成された被取付部42は内側方向に飛び出す凸リブ42が複数構成される。そして、防臭パイプ3上端に構成された取付部41は、上記流入口11の被取付部42の凸リブ42に螺合する係合溝41を構成する。当該取付部41と被取付部42は、流入口11に対して防臭パイプ3の取手部31を回転させることで、流入口11の凸リブ42に防臭パイプ3の係合溝41が回転により係合して回転ロックし取り付けることが可能となり、さらに、防臭パイプ3の取手部31を取付時と逆方向に回転させると凸リブ42と係合溝41の回転ロックが解除され、防臭パイプ3は簡単に流入口11から取り外すことが出来る。
【0017】
前記の実施例の排水トラップは、以下のように取り付けられる。浴室の排水口裏面にトラップ本体1を取付け、トラップ本体1の排出口12を排水管と配管接続させ、当該排水管を下水管へ接続する。その後、流入口11からオワン部2を差し込み、トラップ本体1の収納部13の、支承リブ14にオワン部2を載置し配置する。このように、トラップ本体1底面に収納部13を構成した上でオワン部2を収納部13に配置することで、簡単にオワン部2を流入口11の直下位置に位置決め配置できるようになった。
そうして防臭パイプ3を流入口11からトラップ本体1内に差し込み、防臭パイプ3下端をオワン部2内に配置するようにしつつ、防臭パイプ3下端の押さえ脚32をオワン部2内周の底面に略当接させつつ、防臭パイプ3の取付部41の係合溝41を流入口11の被取付部42の凸リブ42に係合させて回転させる。そうすると防臭パイプ3と流入口11の被取付部42が互いに回転ロックし防臭パイプ3が流入口11に取り付く。その後、排水口に適宜目皿5をセットしてこの実施例の排水トラップの施工が完了する。
この状態において、オワン部2は支承リブ14によって支承されて収納部13とオワン部2には空間が生じるように配置され、更には、オワン部2は上端が取付部41及び被取付部42によって固定された防臭パイプ3下端の押さえ脚32により押さえられているので、オワン部2が配置後に収納部13との隙間によってがたついたり、また、オワン部2が排水の浮力により浮上したりすることがない。
また、防臭パイプ3に関しては、排水トラップのメンテナンスや排水管の詰まり等の対応で流入口11から取り外す必要があるが、防臭パイプ3を取り外す際は、取付時の回転とは逆回転で防臭パイプ3を流入口11に対し回転させることで取付部41と被取付部42の回転ロックが解除され、簡単に防臭パイプ3を流入口11から取り外すことができる。
【0018】
前記の実施例の排水トラップは、以下のような水の流れとなる。浴室で発生した排水は、床上に排水され、床に開口された排水口から排出される。そうすると、排水口の下流に床の裏面から取り付けられたトラップ本体1が配置構成されているので、排水口に排出された排水は流入口11を介してトラップ本体1内に流入する。そうして、流入口11から防臭パイプ3を介してオワン部2内に排水が貯水されたあと、オワン部2内から排水が溢れた分だけ、排水はトラップ本体1の収納部13外周を通過して排出口12からトラップ本体1外へと排出される。トラップ本体1外へと排水された排水は、排水管を介して最終的には下水管へと排水される。
【0019】
本発明の排水トラップは上記のようであるが、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内において適宜変更は可能である。
例えば、前記実施例では、支承リブ14及び押さえ脚32は複数構成しているが、単数で構成しても構わない。
また、前記実施例では、取付部41と被取付部42の構成を凸リブ42と係合溝41により構成しているが、特にこのような構造に限定されるものではなく、これらの構成は防臭パイプ3と流入口11が着脱自在に取り付けられればどのような構成でも良い。
また、前記実施例では、取付部41を防臭パイプ3に、被取付部42を流入口11に構成しているが、特にこのような構造に限定されるものではなく、例えば防臭パイプ3に被取付部42、流入口11に取付部41を構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の排水トラップは、浴室や台所、洗面所、又は、各種排水が発生する湿式タイプ床面に用いられるものである。
【符号の説明】
【0021】
1 トラップ本体
11 流入口
12 排出口
13 収納部
14 支承リブ
2 オワン部
21 逆入れ防止リブ
3 防臭パイプ
31 取手部
32 押さえ脚
41 取付部(係合溝)
42 被取付部(凸リブ)
5 目皿
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11