(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図2】第一実施例の操作部の、部材構成を示す参考図である。
【
図3】第一実施例の排水栓本体近傍の、部材構成を示す参考図である。
【
図4】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の、工場出荷状態を示す参考図である。
【
図5】第一実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図6】第一実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図7】第一実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図8】第一実施例の操作部の、貫通孔周縁の厚みが異なる場合での施工状態を比較した参考図である。
【
図9】第一実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図10】第一実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図11】第一実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図12】第一実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図13】第一実施例の排水装置排水口の開口状態を示す参考図である。
【
図14】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図15】第二実施例の操作部の、部材構成を示す参考図である。
【
図16】第二実施例の操作部の、工場出荷状態を示す参考図である。
【
図17】第二実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図18】第二実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図19】第二実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図20】第二実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図21】第二実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図22】第二実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図23】第二実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図24】第二実施例の、操作部における部材交換の状態を示す参考図である。
【
図26】第三実施例の操作部の、部材構成を示す参考図である。
【
図27】第三実施例の操作部の、工場出荷状態を示す参考図である。
【
図28】第三実施例の操作部の施工手順を示す参考図である。
【
図29】第三実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図30】第三実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図31】第三実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図33】第四実施例の操作部の、部材構成を示す参考図である。
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図34】第四実施例の操作部の、工場出荷状態を示す参考図である。
【
図35】第四実施例の操作部の動作を示す参考図である。
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図36】第四実施例の操作部の動作を示す参考図である。
【
図38】従来の遠隔操作式排水栓装置を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【0024】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図13に示した、本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項2、請求項5、及び請求項10に対応する実施例であって、以下に記載する、槽体としての浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11、操作部、及び位置決め用冶具から構成される。尚、説明を容易にするため、以下の第一実施例乃至第四実施例を含む全ての実施例の説明において、特に断りのない場合、「ボタン部材3の表側の面の位置」に関係する表現は、「排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態における、ボタン部材3の表側の面の位置」を示すものである。
浴槽Bは、上方が開口した箱体であって、底面には浴槽B内の排水を排出するための、平面視円形を成す槽体排水口12を、浴槽Bの開口周縁には操作部を取り付けるための、平面視円形を成す貫通孔Hを、それぞれ設けてなる。また、槽体排水口12の周縁下面及び貫通孔Hの周縁下面には、それぞれビス部材Vと螺合するビス穴部13を備えてなる。また貫通孔Hの上面の周縁には、面取り14と呼ばれる貫通孔Hの周縁に沿って設けた傾斜面を、高さ幅1ミリメートル程度の大きさで設けてなる。
接続部材は、槽体排水口12の下方に取り付けられる略円筒形状の部材であって、内周部分には排水装置排水口15を形成し、また上縁部分の外周方向には、側面に突出した弁部材10が当接する止水面16aと、該止水面16aの更に外周側にビス部材Vを挿通するための開口を備えたフランジ部16を備えてなる。また、外側面部分のほぼ中間部分に、外方向に突出したリブからなる排水栓側係合部17を備えてなる。
排水栓本体8は、有底略円筒形状を成す部材であって、上縁には外方向に突出した排水栓側係合部17が備えられてなる。
また、排水栓本体8の下方の側面方向には、槽体排水口12及び排水装置排水口15を通過した排水を排出する排出口18と、レリースワイヤ11を挿通する為の挿通筒19を備えてなる。
また、排水栓本体8の内部には、支持部材9と嵌合して支持部材9を支持固定する凹凸部20を備えてなる。
支持部材9は、排水栓本体8に収納固定される部材であって、後述するレリースワイヤ11の端部を接続した状態で、排水栓本体8内の凹凸部20と嵌合することで、レリースワイヤ11端部を排水栓本体8に対して固定する。また、該支持部材9は排水装置排水口15の内径よりも小さな外径を備えて構成してなり、排水装置排水口15及びそれよりも大径な槽体排水口12から、浴槽B内部側に取り出すことが可能である。
排水栓側C字リング21は断面内向きに開口したコの字を成す、平面視C字形状の部材であって、排水栓本体8と接続部材とにそれぞれ設けられた排水栓側係合部17と係合して、排水栓本体8と接続部材とを接続固定する部材である。
弁部材10は、上記槽体排水口12の内径よりも若干小径で、止水面16aとほぼ同じか若干大径な外径を有する円盤状の弁体10aと、該弁体10aの下面中央に設けられた嵌合部10bよりなる。また、この弁部材10の下面のほぼ外縁部分に、止水面16aと当接して排水装置排水口15を閉口する当接部22を設けてなる。
レリースワイヤ11は、側面方向に可撓性を備え軸方向に剛性を備えた中空のアウターチューブ11aと、該アウターチューブ11a内部に収納され、軸方向に摺動自在に動作するインナーワイヤ11bと、インナーワイヤ11bの一方の端部に備えられ、その先端が上記弁体10aの嵌合部10bに嵌合する弁軸部11cと、インナーワイヤ11bを操作部側に付勢する戻りスプリング(図示せず)と、からなる。
操作部は、以下に記載する操作部本体1、操作軸支持部2、ボタン部材3、リング部材29、から構成されてなる。
操作部本体1は、略円筒形状の部材であって、上方にビス部材Vを挿通するための開口を複数設けた鍔部23を備えてなり、また下方にはスリット部24を複数箇所設けてなる。また、該スリット部24によって分けられる、操作部の下端部分の内周面側には、一つ当たりの上下方向の幅が1ミリメートル程度の係止歯25が上下に数段重なるように設けられてなる。また、該係止歯25を備えた部分の外周面側には、凹溝26が周縁に沿って設けられてなる。
操作軸支持部2は、円筒形状の部材であって、その下端部分には、施工完了時レリースワイヤ11のアウターチューブ11aの一端が接続されると共に、その内部に、下端がインナーワイヤ11bに当接する操作軸2aを備えてなる。また、該操作軸2aの上端には、上方の側面に周縁に沿って突部27を備えてなる。
また、操作軸支持部2の内部には、施工完了時レリースワイヤ11の戻りスプリングを利用して機能する、スラストロック機構と呼ばれる機構を備えてなる。該スラストロック機構は、操作軸2aに上方から押し込み操作を加える毎に、操作軸2aを前進(降下)して固定/固定を解除してレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bに付勢されて後退(上昇)、を繰り返すように動作する。
更に該操作軸支持部2の外周面には、上記係止歯25に係合される、上下方向のピッチ幅が1ミリメートルの被係止段部28が上下方向に複数段重ねるように設けられてなる。
ボタン部材3は、操作部本体1の内周面よりも若干小径な外径を有した円板状の部材であって、下面中央に円筒部3aを備え、該円筒部3aは操作軸2aを収納した状態で上下にスライドすると共に、下端部内周部分に、操作軸2aの突部27と係合し、比較的強い力(通常の使用では生じることはなく、ボタン部材3を意図的に外そうとしない限り生じない程度の力)で引き上げなければ操作軸2aから外れない抜け止め部3bを備えてなる。上記のように、この実施例においては、操作軸2aの突部27と、ボタン部材3の抜け止め部3bとで、ボタン部材3が操作部から飛び出すことを防止する係止機構を構成してなる。またボタン部材3の外縁部分には、半径1ミリメートルの円弧を円周に沿って設けられてなる。
また、該ボタン部材3の円筒部3a内に、スプリングからなる上下方向に伸縮する弾性部材4を備えてなる。該弾性部材4は、ボタン部材3の重量には反発し、上下方向に収縮する事はないが、施工完了時に、ボタン部材3に押し込み操作が行われると、上下方向に1.5ミリメートル程度収縮した後に、操作軸2aに押し込み操作が伝達されるように構成されてなる。
リング部材29はリング状に形成された部材であって、施工完了時操作部本体1の凹溝26に外嵌され、スリット部24が拡径することを防止する部材である。
位置決め冶具7は、貫通孔Hの表側の面の周縁に当接する円盤状の当接リブ7aと、外径がほぼ操作部本体1の内径と同じ径を成す円筒状の取り合い調整部7bと、から成る。
取り合い調整部7bの、当接リブ7a下面から取り合い調整部7bの先端部分までの幅は、施工時、位置決め冶具7の当接リブ7aを貫通孔H周縁に当接させた状態で、操作軸支持部2の操作軸2a以外の上端が取り合い調整部7bの先端部分に当接している位置に固定できれば、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となるように、設計時点で調整されてなる。
【0025】
以上のように構成した本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽Bに施工・取り付けされる。尚詳述はしないが、特に記載の無い場合でも、部材同士の接続箇所において、水密性が必要とされる部分にはパッキングなどを用いて水密的な接続が行われる。
まず工場等において、槽体排水口12に接続部材を取り付け固定する。槽体排水口12と接続部材との取り付けにおいては、接続部材を浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、槽体排水口12と排水装置排水口15とを同心円状に配置し、フランジ部16の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、接続部材を浴槽Bの下方から取り付け固定する。
また、同じく工場にて、以下の手順にて、遠隔操作式排水栓装置の一部の組み立てを行う。
レリースワイヤ11の弁軸部11cを備えない側の端部に操作軸支持部2を接続した上で、レリースワイヤ11を操作部本体1に上方から挿通し、操作軸支持部2の被係止段部28を、操作部本体1の係止歯25に係合させる。この時、操作軸支持部2は、被係止段部28が係止歯25に係合し、且つ操作部本体1の最も上方の位置となるように配置する。
次に、レリースワイヤ11にリング部材29を挿通した上で、排水栓本体8の挿通筒19内部からレリースワイヤ11を挿通し、排水栓本体8内部にレリースワイヤ11端部を配置する。更に、レリースワイヤ11端部を引き上げ、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続固定した上で、支持部材9を排水栓本体8の凹凸部20に嵌合させて固定する。
これらの浴槽Bや遠隔操作式排水栓装置に対する作業は工場で行われるため、作業空間を広く取ることができ、また作業を容易化する作業台などを設置し、また機材の揃った環境で行うことができる。更に、遠隔操作式排水栓装置の組み立て自体も、浴槽Bに接続していないことから、排水栓本体8や操作部本体1などの部材を、作業者が視認しやすく作業しやすい手元に置き、且つ作業しやすい位置・角度に配置したり移動・回転させる等しながら作業を行うことができる。このため、この段階までの遠隔操作式排水栓装置の組み立て作業は、従来例に比較して遙かに容易とすることができる。このようにして、第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水栓本体8側は、
図4の状態まで組み立てられる。
【0026】
次に、上記段落0025の段階まで組み立てられた浴槽B及び遠隔操作式排水栓装置と、その他の部材を、施工現場に搬入する。施工現場では、排水栓本体8側、操作部側にそれぞれ以下のような作業が行われる。
排水栓本体8側では、排水栓本体8の上面の開口に、接続部材の下端部分を挿入し、排水栓本体8の排水栓側係合部17と、接続部材の排水栓側係合部17とを当接させる。更に排水栓側C字リング21を両排水栓側係合部17と係合させ、排水栓本体8と接続部材とを接続固定する。
このような接続を行う事で、接続部材と排水栓本体8は高さ方向に対しては常に同じ高さ位置、即ち操作部本体1の操作部側係合部32と、接続アダプターの操作部側係合部32とが当接した状態となる高さ位置に接続される。このため、接続部材に設けられた止水面16aに対して、排水栓本体8は定まった高さ位置に配置される。
【0027】
操作部側では、貫通孔Hに、位置決め冶具7の取り合い調整部7bを挿通する。この時には、
図5に示したように、貫通孔H周縁の上面に、当接リブ7aの下面が当接するまで挿通する。
この状態より、操作部本体1の内部に、取り合い調整部7bを挿通しつつ、操作部を貫通孔Hの下方に配置する。この時、位置決め冶具7の取り合い調整部7bは、操作部本体1が貫通孔H周縁の上面に対して傾いたり、位置ずれした状態で施工されることを防ぐガイドとして機能する。更に、操作部本体1を上昇させると、
図6に示したように、操作軸支持部2の操作軸2a以外の上面が、取り合い調整部7bの下端に当接する。この状態より更に操作部本体1を上昇させると、操作部本体1のスリット部24が拡径し、被係止段部28と係止歯25との係合が一段分上下にずれて、操作軸支持部2が操作部本体1に対して位置を降下させる。更に操作部本体1を上昇させると、操作部本体1に対して操作軸支持部2が降下してゆき、最終的に、
図7に示したように、操作部本体1の上縁である鍔部23上面が貫通孔H周縁の裏側の面に当接した状態となる。この状態となったところで、リング部材29を押し上げ、操作部本体1の溝部に嵌合させる。これにより、操作部本体1のスリット部24の拡径が不可能となり、操作部本体1に対して操作軸支持部2が上下方向に移動不能となって固定される。
この時、操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置は、位置決め冶具7によって、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となる位置になるように調整されて固定されている。
即ち、本実施例は、係止歯25と被係止段部28からなる位置調整機構により、操作部本体1と操作軸支持部2との間で、操作軸2aの軸方向に対して位置を調節し、固定する機能を備えた遠隔操作式排水栓装置である。また、この実施例において位置調節機構による位置調節は、係止歯25と被係止段部28が上下方向に1ミリメートル単位にて構成されていることから、1ミリメートルという一定のピッチを単位として行われるように構成されている。
尚、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となった状態を言う。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも上方に突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整するものとし、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも下方に配置されることはないものとする。
この状態より、操作部本体1の鍔部23の開口を介してビス部材Vを貫通孔H側のビス穴部13に螺合させ、操作部本体1を浴槽Bの下方から取り付け固定した後、位置決め冶具7を貫通孔Hから引き抜く。
更に浴槽Bの表側から弁部材10を弁軸部11cに、ボタン部材3を操作軸2aに、それぞれ嵌合固定させて、
図1に示したような、遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0028】
上記のように施工された第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように操作することで、遠隔操作により排水装置排水口15を開閉できる。
まず、
図1のように、弁部材10が降下し、弁部材10の当接部22が止水面16aに当接している状態とする。この時の操作部の状態は、
図9に示したようになる。この状態において操作部のボタン部材3に押し込み操作を加えると、
図10に示したように、ボタン部材3内部の弾性部材4がまず1.5ミリメートルほど収縮する。この弾性部材4の収縮段階においては、操作軸2aは何ら動作しない。尚、このボタン部材3を押し込んでも、弾性部材4が収縮するだけで、操作軸2aが動作しない状態を以降「空押し」と呼ぶ。弾性部材4が充分に収縮し、これ以上収縮できなくなると、
図11に示したように、弾性部材4を介しボタン部材3に押されるようにして操作軸2aが押し込まれる。これにより、操作軸2aがインナーワイヤ11b側に突出し、それに伴ってインナーワイヤ11bがアウターチューブ11aに対し排水装置排水口15側へ突出し、弁部材10を押し上げて、止水面16aから当接部22が離間され、
図13に示したように排水装置排水口15を開口する。使用者がボタン部材3の押し込みを終了させると、スラストロック機構により、この状態にて操作軸2aが固定され、排水装置排水口15の開口状態が維持される。また、弾性部材4も開放され、
図12に示したように、収縮状態から1.5ミリメートルほど伸張した状態に戻る。
この状態から再度操作部のボタン部材3に押し込み操作を加えると、
図11に示したように、やはり1.5ミリメートルほど空押しした上で、弾性部材4が充分に収縮し、これ以上収縮できなくなり、ボタン部材3に押されるようにして操作軸2aが押し込まれる。これによってスラストロック機構が動作し、スラストロック機構による操作軸2aの固定が解除される。このため、使用者がボタン部材3の押し込みを終了させると、弁部材10の自重及び戻りスプリングの作用によりインナーワイヤ11bが操作部側に後退し、弁部材10が降下して当接部22と止水面16aとが当接し、排水装置排水口15が閉口した
図1の状態に戻る。また、弾性部材4も開放され、収縮状態から1.5ミリメートルほど伸張した、
図9に示した状態に戻る。
以後、同様の操作を繰り返すことで、遠隔操作的に、排水装置排水口15の開口/閉口を行うことができ、開口時には浴槽B内の排水を排出することができる。
【0029】
上記のように構成した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、位置決め冶具7を利用しつつ、操作部本体1と操作軸支持部2との間で位置調整を行っている。このため、
図8に示したように、貫通孔H周辺の壁面の厚みがどの様に変化しても、施工完了時には、ボタン部材3の表側の面を、貫通孔H周辺の表側の面とほぼ面一とすることができる。
【0030】
また、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となる状態を示すものである。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整してなる。このため、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面と、完全に同一の状態から、1ミリメートル程度上方に突出している状態か、それらの中間までのいずれかの状態になる。しかしながら、以下の理由によって、本実施例では、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも突出している場合の機能的及び意匠的な問題を解消している。
ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出していることによる、機能的な問題としては、段落
0009の理由1.に記載したように、ボタン部材3が貫通孔H周縁のよりも突出しているため、浴槽Bに風呂蓋を被せたり、浴槽Bの使用者が誤ってボタン部材3に触れた時に、ボタン部材3を貫通孔H周縁と面一になるまで押し込んでしまい、結果遠隔操作式排水栓装置が誤作動してしまう、という問題が上げられる。しかしながら、本実施例の遠隔操作式排水栓装置では、ボタン部材3に弾性部材4を組み込み、ボタン部材3を1.5ミリメートル程空押しする構成としている。本実施例においては、係止歯25及び係止段部の上下方向のピッチの関係から、ボタン部材3が貫通孔H周縁から最も突出した場合でもその高低差は1ミリメートル迄であり、従って
図10に示したような、従ってボタン部材3を貫通孔H周縁より更に0.5ミリメートルは下方に押し込まなければ操作軸2aの動作は起こらず、当然遠隔操作式排水栓装置が作動することもない。このように、本実施例では、ボタン部材3と操作軸2aのとの間の空押しの長さを、位置調節機構の位置調節のピッチの一単位よりも若干(0.5ミリメートル)大きな幅となるようにすることで、ボタン部材3を貫通孔H周縁と完全に面一になるまで押し込んだだけでは、ボタン部材3が確実に空押しとなり、遠隔操作式排水栓装置が誤作動を起こすことを防ぐ構成としている。
ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出していることによる、意匠的な問題としては、ボタン部材3の表側の面が平端面であるため、ボタン部材3の表側の面は、同じ平端面である貫通孔H周縁、ひいては浴槽Bの上縁部分の平面と完全に面一であるほうが、意匠的な美観が整うものであり、ボタン部材3の突出はこの美観を損ねる、という問題が上げられる。
しかしながら、浴槽Bや浴室の全体から見た場合、1ミリメートルという長さはごくわずかな長さに過ぎない。例えば、浴室の床面から浴槽Bの上端面までの高さ幅は「またぎ高さ」と呼ばれるが、このまたぎ高さは通常360ミリメートル乃至450ミリメートル程度であり、1ミリメートルとはこのまたぎ高さの0.3パーセント弱の幅でしかない。浴槽Bや浴室を通常使用する限り、ボタン部材3は上方乃至斜め上方の位置からしか視認する場合しかなく、ボタン部材3の突出の幅が浴槽Bや浴室の全体から見た場合ごくわずかであることから、使用者にはこのボタン部材3の1ミリメートル以下の突出を認識することはほぼ不可能である。特に本実施例では、ボタン部材3の周縁に半径1ミリメートルの円弧を設け、また貫通孔Hの周縁にも面取り14を設けて、この円弧と面取り14によりボタン部材3の外周と、貫通孔Hの周縁の境界となる部分において、ボタン部材3と貫通孔H周縁の間での段差の有無を認識し難く構成しており、ボタン部材3と貫通孔H周縁の上面の高低差が1ミリメートル以下しか生じないという工夫とあわせ、ボタン部材3が貫通孔H周縁と完全に面一であるように感じさせ、意匠的な美観が整うように構成されてなる。
尚、この「ボタン部材3の表側の面は、同じ平端面である貫通孔H周縁、ひいては浴槽Bの上縁部分の平面と完全に面一であるほうが、意匠的な美観が整う」という感覚はあくまでも主観的なものである。このため、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも充分に突出している方が、使用者によって好まれる場合もありうるものと考えられる。
【0031】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図14乃至
図24に示した、本発明の第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項3、請求項5、請求項8乃至請求項11に対応する実施例であって、以下に記載する、槽体としての浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11、操作部、ガイド管30、及び位置決め用冶具から構成される。
この内、浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11は、段落0024に記載した、第一実施例の各部材と同一なため説明は省略する。
操作部は、以下に記載する操作部本体1、操作軸支持部2、ボタン部材3、から構成されてなる。
操作部本体1は、貫通孔H裏面に取り付けられるアダプター部材1aと、該アダプター部材1aに下方から接続される支持部収納部材1bと、排水栓側C字リング21と、から構成されてなる。
更に詳述すると、アダプター部材1aは、略円筒形状の部材であって、その内径は貫通孔Hの内径とほぼ同一であり、また上方にビス部材Vを挿通するための開口を複数設けた鍔部23を備えてなる。また中間部分の外側面には操作部側係合部32を、更にその下方であって側面方向には環状パッキングPを、それぞれ配置してなる。また内周面に沿って、雌ネジ部31を備えてなる。この雌ネジ部31は、施工完了時のボタン部材3の動作を妨げないように、その高さ位置を設定されて設けられてなる。
また、支持部収納部材1bは、略円筒形状の部材であって、上端部分の外周面には、操作部側係合部32を備えてなり、また上端の開口内部はアダプター部材1aの下部を収納するように構成されてなる。また、支持部収納部材1bの内部には、操作軸支持部2を着脱自在に収納固定するように構成されてなる。
操作部側C字リング35は断面内向きに開口したコの字を成す、平面視C字形状の部材であって、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとにそれぞれ設けられた操作部側係合部32と係合して、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとを接続固定する部材である。
操作軸支持部2は、円筒形状の部材であって、その下端部分には、施工完了時レリースワイヤ11のアウターチューブ11aの一端が接続されると共に、その内部に、下端がインナーワイヤ11bに当接する操作軸2aを備えてなる。また、該操作軸2aの上端には、上方の側面に周縁に沿って突部27を備えてなる。
また、操作軸支持部2の内部には、施工完了時レリースワイヤ11の戻りスプリングを利用して機能する、スラストロック機構と呼ばれる機構を備えてなる。該スラストロック機構は、操作軸2aに上方から押し込み操作を加える毎に、操作軸2aを前進(降下)して固定/固定を解除してレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bに付勢されて後退(上昇)、を繰り返すように動作する。
更に該操作軸2aの外周面には、後述するストッパー部材33の係止歯25に係合される、上下方向のピッチ幅が1ミリメートルの被係止段部28が上下方向に複数段重ねるように設けられてなる。尚、操作軸支持部2の円筒部3a分の外径は、貫通孔Hの内径よりも小径に構成されてなり、支持部収納部材1bから操作軸支持部2を取り出した際に、操作軸支持部2をアダプター部材1aの内部及び貫通孔Hを介して浴槽Bの表側に取り出すことができるように構成されてなる。
ストッパー部材33は、円筒形状にして側面にスリット部24を備えると共に、操作軸2aの被係止段部28に係合される係止歯25を備えた部材であって、更に施工完了時に、ストッパー部材33の外周に嵌合することでスリット部24の拡径を防止するリング部材29を備えてなる。
ボタン部材3は、アダプター部材1aの内周面よりも若干小径な外径を有した円板状の部材であって、下面中央に円筒部3aを備え、該円筒部3aは操作軸2aを収納した状態で上下にスライドすると共に、下端部内周部分に、操作軸2aの突部27と係合し、比較的強い力(通常の使用では生じることはなく、ボタン部材3を意図的に外そうとしない限り生じない程度の力)で引き上げなければ操作軸2aから外れない抜け止め部3bを備えてなる。上記のように、この実施例においては、操作軸2aの突部27と、ボタン部材3の抜け止め部3bとで、ボタン部材3が操作部から飛び出すことを防止する係止機構を構成してなる。またボタン部材3の外縁部分には、半径1ミリメートルの円弧を円周に沿って設けられてなる。
また、該ボタン部材3の円筒部3aの下端部分に、スプリングからなる上下方向に伸縮する弾性部材4を備えてなる。該弾性部材4は、ボタン部材3の重量には反発し、上下方向に収縮する事はないが、施工完了時に、ボタン部材3に押し込み操作が行われると、上下方向に1.5ミリメートル程度収縮した後に、操作軸2aに押し込み操作が伝達されるように構成されてなる。
位置決め冶具7は、貫通孔Hの表側の面の周縁に当接する円盤状の当接リブ7aと、内部に操作軸2a部を収納しつつ、下端がストッパー部材33に当接する円筒状の取り合い調整部7bと、下端にアダプター部材1aの雌ネジ部31と螺合する雄ネジ部7dを備えた、冶具固定機構としての冶具固定部7cと、からなる。
また、取り合い調整部7bの、当接リブ7a下面から取り合い調整部7bの先端部分までの幅は、施工時、位置決め冶具7の当接リブ7aを貫通孔H周縁に当接させた状態で、操作軸2aのストッパー部材33上面が、取り合い調整部7bの先端部分に当接している位置に固定できれば、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となるように、設計時点で調整されてなる。
ガイド管30は、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた塩化ビニールからなる長い筒状の部材であって、一端は排水栓本体8の挿通筒19に、他端は支持部収納部材1bの下端部分に、それぞれ接続される。
【0032】
以上のように構成した本発明の第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽Bに施工・取り付けされる。尚詳述はしないが、特に記載の無い場合でも、部材同士の接続箇所において、水密性が必要とされる部分にはパッキングなどを用いて水密的な接続が行われる。
まず工場等において、槽体排水口12に接続部材を、貫通孔Hにアダプター部材1aを、それぞれ取り付け固定する。槽体排水口12と接続部材との取り付けにおいては、接続部材を浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、槽体排水口12と排水装置排水口15とを同心円状に配置し、フランジ部16の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、接続部材を浴槽Bの下方から取り付け固定する。また、貫通孔Hとアダプター部材1aとの接続においては、アダプター部材1aを浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、貫通孔Hとアダプター部材1aとを同心円状に配置し、鍔部23の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、アダプター部材1aを浴槽Bの下方から取り付け固定する。
更に、位置決め冶具7の取り合い調整部7b及び冶具固定部7cを、貫通孔Hに挿通し、冶具固定部7cの雄ネジ部7dを、アダプター部材1aの雌ネジ部31に、当接リブ7a下面が貫通孔H周縁の上面に当接するまで螺合させる。この雄ネジ部7dと雌ネジ部31の螺合が、仮固定機構として機能する。
また、同じく工場にて、以下の手順にて、遠隔操作式排水栓装置の一部の組み立てを行う。
まずガイド管30の一端を排水栓本体8の挿通筒19に、他端を支持部収納部材1bの下端に、それぞれ接続する。
次に、レリースワイヤ11の弁軸部11cを備えない側の端部に操作軸支持部2を接続した上で、レリースワイヤ11を支持部収納部材1bに上方から挿通し、最終的に操作軸支持部2を支持部収納部材1bに収納固定させる。この時、レリースワイヤ11の先端は、ガイド管30、及び挿通筒19を介して、排水栓本体8内部に配置させる。
更に、レリースワイヤ11端部を引き上げ、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続固定した上で、支持部材9を排水栓本体8の凹凸部20に嵌合させて固定する。
また、ストッパー部材33の係止歯25を、操作軸2aの最も上方の被係止段部28に係合させる。
これらの浴槽Bや遠隔操作式排水栓装置に対する作業は工場で行われるため、作業空間を広く取ることができ、また作業を容易化する作業台などを設置し、また機材の揃った環境で行うことができる。更に、遠隔操作式排水栓装置の組み立て自体も、浴槽Bに接続していないことから、排水栓本体8や操作部本体1などの部材を、作業者が視認しやすく作業しやすい手元に置き、且つ作業しやすい位置・角度に配置したり移動・回転させる等しながら作業を行うことができる。このため、この段階までの遠隔操作式排水栓装置の組み立て作業は、従来例に比較して遙かに容易とすることができる。このようにして、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水栓本体8側は、
図16の状態まで組み立てられる(排水口側は、第一実施例とガイド管の有無を除き同じであるため省略)。
【0033】
次に、上記段落0032の段階まで組み立てられた浴槽B及び遠隔操作式排水栓装置と、その他の部材を、施工現場に搬入する。施工現場では、排水栓本体8側、操作部側にそれぞれ以下のような作業が行われる。
排水栓本体8側では、排水栓本体8の上面の開口に、接続部材の下端部分を挿入し、排水栓本体8の排水栓側係合部17と、接続部材の排水栓側係合部17とを当接させる。更に排水栓側C字リング21を両排水栓側係合部17と係合させ、排水栓本体8と接続部材とを接続固定する。
このような接続を行う事で、接続部材と排水栓本体8は高さ方向に対しては常に同じ高さ位置、即ち操作部本体1の操作部側係合部32と、接続アダプターの操作部側係合部32とが当接した状態となる高さ位置に接続される。このため、接続部材に設けられた止水面16aに対して、排水栓本体8は定まった高さ位置に配置される。
【0034】
操作部側では、支持部収納部材1bの上方の開口に、アダプター部材1aの下端部分を挿入し、支持部収納部材1bの操作部側係合部32と、アダプター部材1aの操作部側係合部32とを当接させる。
この時、操作軸2aに配置されたストッパー部材33は以下のように動作し、位置調整される。
支持部収納部材1bを上昇させてゆくと、
図17に示したように、操作軸2aに配置されたストッパー部材33の上面が、取り合い調整部7bの下端に当接する(操作軸2aは取り合い調整部7bの内部に収納され、取り合い調整部7bに当接しない)。
この状態より更に支持部収納部材1bを上昇させると、
図18に示したように、操作軸2aが操作軸支持部2に対して下限となる位置まで降下する(元々操作軸2aは、操作軸支持部2に対し進退するように構成されている)。この状態以降、操作軸2aは操作軸支持部2に対し降下できなくなるため、更に支持部収納部材1bを上昇させると、ストッパー部材33のスリット部24が拡径し、被係止段部28と係止歯25との係合が一段分上下にずれて、ストッパー部材33が操作軸2aに対して位置を降下させるようになる。更に支持部収納部材1bを上昇させると、
図19に示したように、操作軸2aに対してストッパー部材33が降下してゆき、最終的に支持部収納部材1bの操作部側係合部32と、アダプター部材1aの操作部側係合部32とが当接した状態となる。
この作業においては、位置決め冶具7がアダプター部材1aにネジを利用して固定されているため、施工者は位置決め冶具7を浴槽Bの表側から押さえる必要が無く、浴槽Bの裏側から、支持部収納部材1bを押し上げる作業に集中でき、作業を極めて容易に行うことができる。
更に操作部側C字リング35を両操作部側係合部32と係合させ、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとを接続固定する。
更に浴槽Bの表側から位置決め冶具7を回転させて、雄ネジ部7dと雌ネジ部31の螺合を解除し、位置決め冶具7を取り出した上で、リング部材29をストッパー部材33に外嵌させる。これにより、ストッパー部材33のスリット部24の拡径が不可能となり、操作軸2aに対してストッパー部材33が上下方向に移動不能となって固定される。
更にボタン部材3を操作軸2aに嵌合固定させる。ボタン部材3は、ボタン部材3の円筒部3aの下端が、弾性部材4を介してストッパー部材33に載置されるように配置されるため、施工完了時のボタン部材3の高さ位置は、ストッパー部材33によって調整される。そして、操作軸2aに対するストッパー部材33の位置は、位置決め冶具7によって、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となる位置になるように調整されて固定されている。
即ち、本実施例は、係止歯25と被係止段部28からなる位置調整機構により、操作軸2aとボタン部材3の間で、操作軸2aの軸方向に対して位置を調節し、固定する機能を備えた遠隔操作式排水栓装置である。また、この実施例において位置調節機構による位置調節は、係止歯25と被係止段部28が上下方向に1ミリメートル単位にて構成されていることから、1ミリメートルという一定のピッチを単位として行われるように構成されている。
尚、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となった状態を言う。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも上方に突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整するものとし、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも下方に配置されることはないものとする。
最後に、浴槽Bの表側から弁部材10を弁軸部11cに嵌合固定させて、遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
尚、操作軸2aは操作軸支持部2に対して進退するように構成されており、上記した施工時の被係止段部28と係止歯25との係合にずれを生じる際に、操作軸2aが進退を生じるのに必要な押し込み力と、被係止段部28と係止歯25との係合にずれを生じる為にストッパー部材33に加える必要のある押し込み力の大小関係から、ストッパー部材33が操作軸2a上を動作する際に、
1.操作軸2aが操作軸支持部2に対し動作しないまま、ストッパー部材33が操作軸2a上を動作する場合
2.まず操作軸2aが操作軸支持部2に対し最も下方まで降下し、操作軸2aが下限に達して移動できなくなった後、ストッパー部材33が操作軸2a上を動作する場合
のいずれかとなる。
通常は、遠隔操作式排水栓装置の円滑な操作を行うことを目的として、操作軸2aは操作軸支持部2に対してできる限り滑らかに進退するように構成するため、2.の場合になることが多く、本実施例でも上述のように、2.の場合に対応した構成としている。しかし、例えば施工時には操作軸2aを操作軸支持部2に固定するようにして、1.の場合での施工を行うことも可能であり、いずれかの構造にするかは必要に応じて適宜選択するものである。
【0035】
上記のように施工された第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0028に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様に操作することで、遠隔操作により排水装置排水口15を開閉できる。また、上記のように構成した第二実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、位置決め冶具7を利用しつつ、操作軸2aとボタン部材3との間で位置調整を行っている。このため、貫通孔H周辺の壁面の厚みがどの様に変化しても、施工完了時には、ボタン部材3の表側の面を、貫通孔H周辺の表側の面とほぼ面一とすることができる。
また、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となる状態を示すものである。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも上方に突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整してなる。このため、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面と、完全に同一の状態から、1ミリメートル程度上方に突出している状態までのいずれかの状態になる。しかしながら、段落0030に記載した、第一実施例と同じ作用・効果によって、本実施例では、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも突出している場合の機能的及び意匠的な問題を解消している。
尚、本実施例と第一実施例とでは、弾性部材4を配置した位置が異なるが、本実施例のように、弾性部材4をストッパー部材33とボタン部材3の円筒部3aの間に配置しても、
図20乃至
図23に示したような過程を経て、弾性部材4は第一実施例と同じように機能し、第一実施例と同じ作用・効果を得ることができる。
【0036】
また、上記のように構成した第二実施例の遠隔操作式排水栓装置において、弁部材10、ボタン部材3、円弧ガイド部材、レリースワイヤ11等に破損が生じた場合、以下のような手順で部材を取り外し、破損のない同部品と交換できる。
まず弁部材10及びボタン部材3をレリースワイヤ11より脱着する。次いで、支持部材9を排水栓本体8から取り外した後、支持部材9とレリースワイヤ11の接続を解除する。次に、操作軸支持部2と支持部収納部材1bとの接続固定を解除し、貫通孔Hからレリースワイヤ11を浴槽Bの表側に引き上げる。このようにして、操作部側は
図24に示したような状態となる。
これらの手順で部材を取り出し、必要に応じて部材の交換を行った上で、逆の手順により遠隔操作式排水栓装置を再度組み立てる。つまり、レリースワイヤ11を貫通孔Hを介して浴槽Bの表側から挿入し、ガイド管30を介して先端を排水栓本体8内に配置する。更に、レリースワイヤ11端部を浴槽B排水口から引き上げ、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続固定した上で、支持部材9を排水栓本体8の凹凸部20に嵌合させて固定する。更に浴槽Bの表側から弁部材10を弁軸部11cに嵌合固定させて、遠隔操作式排水栓装置の部材交換が完了する。
これらの作業は、全て浴槽Bの表側から行うことができ、浴槽Bを一部解体して浴槽Bの裏側より手を加えるなどの必要がなく、メンテナンスを容易に行うことができる。また、環状パッキングP等を利用して、貫通孔Hから操作部、チューブ管、エルボ部材まで漏水が生じないように構成しているため、浴槽B下の床面等、浴槽Bの裏側の面側に漏水が生じる事が無く、漏水よってカビが生じたり、床面が痛む、と言った問題が生じない。
【0037】
次に、本発明の第三実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図25乃至
図31に示した、本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項1、請求項4、請求項5、請求項8乃至請求項11に対応する実施例であって、以下に記載する、槽体としての浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11、操作部、ガイド管30、及び位置決め用冶具から構成される。
この内、浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11は、段落0024に記載した、第一実施例の各部材と同一なため説明は省略する。
操作部は、以下に記載する操作部本体1、操作軸支持部2、バンド部材34、ボタン部材3、から構成されてなる。
操作部本体1は、貫通孔H裏面に取り付けられるアダプター部材1aと、該アダプター部材1aに下方から接続される支持部収納部材1bと、から構成されてなる。
更に詳述すると、アダプター部材1aは、略円筒形状の部材であって、その内径は貫通孔Hの内径とほぼ同一であり、また上方にビス部材Vを挿通するための開口を複数設けた鍔部23を備えてなる。また外周面には、後述する支持部収納部材1bの係止歯25に係合される、上下方向のピッチ幅が1ミリメートルの被係止段部28が上下方向に複数段重ねるように設けられてなると共に、この被係止段部28の下方に、円周に沿って環状パッキングPを配置してなる。また内周面に沿って、雌ネジ部31を備えてなる。この雌ネジ部31は、施工完了時のボタン部材3の動作を妨げないように、その高さ位置を設定されて設けられてなる。
また、支持部収納部材1bは、略円筒形状の部材であって、上方にスリット部24を複数箇所設けてなる。また、該スリット部24によって分けられる、支持部収納部材1bの上端部分の内周面側には、一つ当たりの上下方向の幅が1ミリメートル程度の係止歯25が上下に数段重なるように設けられてなる。また、該係止歯25を備えた部分の外周面側には、凹溝26が周縁に沿って設けられてなる。
また上端の開口内部はアダプター部材1aを下方から収納するように構成されてなる。また、支持部収納部材1bの内部には、操作軸支持部2を着脱自在に収納固定するとように構成されてなる。
操作軸支持部2は、円筒形状の部材であって、その下端部分には、施工完了時レリースワイヤ11のアウターチューブ11aの一端が接続されると共に、その内部に、下端がインナーワイヤ11bに当接する操作軸2aを備えてなる。また、該操作軸2aの上端には、上方の側面に周縁に沿って突部27を備えてなる。
また、操作軸支持部2の内部には、施工完了時レリースワイヤ11の戻りスプリングを利用して機能する、スラストロック機構と呼ばれる機構を備えてなる。該スラストロック機構は、操作軸2aに上方から押し込み操作を加える毎に、操作軸2aを前進(降下)して固定/固定を解除してレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bに付勢されて後退(上昇)、を繰り返すように動作する。
尚、操作軸支持部2の円筒部3a分の外径は、貫通孔Hの内径よりも小径に構成されてなり、支持部収納部材1bから操作軸支持部2を取り出した際に、操作軸支持部2をアダプター部材1aの内部及び貫通孔Hを介して浴槽Bの表側に取り出すことができるように構成されてなる。
バンド部材34はリング形状の一部を切り欠きした形状の部材であって、且つ切り欠き部分の両端を結合する機能を有してなり、施工完了時操作部本体1の凹溝26に外嵌されて切り欠き部分の両端を結合することで、リング形状を成してスリット部24の拡径を防止する部材である。
ボタン部材3は、操作部本体1の内周面よりも若干小径な外径を有した円板状の部材であって、下面中央に円筒部3aを備え、該円筒部3aは操作軸2aを収納した状態で上下にスライドすると共に、下端部内周部分に、操作軸2aの突部27と係合し、比較的強い力(通常の使用では生じることはなく、ボタン部材3を意図的に外そうとしない限り生じない程度の力)で引き上げなければ操作軸2aから外れない抜け止め部3bを備えてなる。上記のように、この実施例においては、操作軸2aの突部27と、ボタン部材3の抜け止め部3bとで、ボタン部材3が操作部から飛び出すことを防止する係止機構を構成してなる。またボタン部材3の外縁部分には、半径1ミリメートルの円弧を円周に沿って設けられてなる。
また、該ボタン部材3の円筒部3a内に、スプリングからなる上下方向に伸縮する弾性部材4を備えてなる。該弾性部材4は、ボタン部材3の重量には反発し、上下方向に収縮する事はないが、施工完了時に、ボタン部材3に押し込み操作が行われると、上下方向に1.5ミリメートル程度収縮した後に、操作軸2aに押し込み操作が伝達されるように構成されてなる。
位置決め冶具7は、貫通孔Hの表側の面の周縁に当接する円盤状の当接リブ7aと、外径がほぼ操作部本体1の内径と同じ径を成す円筒状の取り合い調整部7bと、下端にアダプター部材1aの雌ネジ部31と螺合する雄ネジ部7dを備えた、冶具固定機構としての冶具固定部7cと、からなる。
取り合い調整部7bの、当接リブ7a下面から取り合い調整部7bの先端部分までの幅は、施工時、位置決め冶具7の当接リブ7aを貫通孔H周縁に当接させた状態で、操作軸支持部2の操作軸2a以外の上端が取り合い調整部7bの先端部分に当接している位置に固定できれば、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となるように、設計時点で調整されてなる。
ガイド管30は、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた塩化ビニールからなる長い筒状の部材であって、一端はエルボ部材の挿通筒19に、他端は支持部収納部材1bの下端部分に、それぞれ接続される。
【0038】
以上のように構成した本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽Bに施工・取り付けされる。尚詳述はしないが、特に記載の無い場合でも、部材同士の接続箇所において、水密性が必要とされる部分にはパッキングなどを用いて水密的な接続が行われる。
まず工場等において、槽体排水口12に接続部材を、貫通孔Hにアダプター部材1aを、それぞれ取り付け固定する。槽体排水口12と接続部材との取り付けにおいては、接続部材を浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、槽体排水口12と排水装置排水口15とを同心円状に配置し、フランジ部16の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、接続部材を浴槽Bの下方から取り付け固定する。また、貫通孔Hとアダプター部材1aとの接続においては、アダプター部材1aを浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、貫通孔Hとアダプター部材1aとを同心円状に配置し、鍔部23の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、アダプター部材1aを浴槽Bの下方から取り付け固定する。
更に、位置決め冶具7の取り合い調整部7b及び冶具固定部7cを、貫通孔Hに挿通し、冶具固定部7cの雄ネジ部7dを、アダプター部材1aの雌ネジ部31に、当接リブ7a下面が貫通孔H周縁の上面に当接するまで螺合させる。この雄ネジ部7dと雌ネジ部31の螺合が、仮固定機構として機能する。
また、同じく工場にて、以下の手順にて、遠隔操作式排水栓装置の一部の組み立てを行う。
まずガイド管30の一端を排水栓本体8の挿通筒19に、他端を支持部収納部材1bの下端に、それぞれ接続する。
次に、レリースワイヤ11の弁軸部11cを備えない側の端部に操作軸支持部2を接続した上で、レリースワイヤ11を支持部収納部材1bに上方から挿通し、最終的に操作軸支持部2を支持部収納部材1bに収納固定させる。この時、レリースワイヤ11の先端は、ガイド管30、及び挿通筒19を介して、排水栓本体8内部に配置させる。
更に、レリースワイヤ11端部を引き上げ、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続固定した上で、支持部材9を排水栓本体8の凹凸部20に嵌合させて固定する。
これらの浴槽Bや遠隔操作式排水栓装置に対する作業は工場で行われるため、作業空間を広く取ることができ、また作業を容易化する作業台などを設置し、また機材の揃った環境で行うことができる。更に、遠隔操作式排水栓装置の組み立て自体も、浴槽Bに接続していないことから、排水栓本体8や操作部本体1などの部材を、作業者が視認しやすく作業しやすい手元に置き、且つ作業しやすい位置・角度に配置したり移動・回転させる等しながら作業を行うことができる。このため、この段階までの遠隔操作式排水栓装置の組み立て作業は、従来例に比較して遙かに容易とすることができる。このようにして、第三実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水栓本体8側は、
図27の状態まで組み立てられる(排水口側は、第一実施例とガイド管の有無を除き同じであるため省略)。
【0039】
次に、上記段落0038の段階まで組み立てられた浴槽B及び遠隔操作式排水栓装置と、その他の部材を、施工現場に搬入する。施工現場では、排水栓本体8側、操作部側にそれぞれ以下のような作業が行われる。
排水栓本体8側では、排水栓本体8の上面の開口に、接続部材の下端部分を挿入し、排水栓本体8の排水栓側係合部17と、接続部材の排水栓側係合部17とを当接させる。更に排水栓側C字リング21を両排水栓側係合部17と係合させ、排水栓本体8と接続部材とを接続固定する。
このような接続を行う事で、接続部材と排水栓本体8は高さ方向に対しては常に同じ高さ位置、即ち操作部本体1の操作部側係合部32と、接続アダプターの操作部側係合部32とが当接した状態となる高さ位置に接続される。このため、接続部材に設けられた止水面16aに対して、排水栓本体8は定まった高さ位置に配置される。
【0040】
操作部側では、支持部収納部材1bの上方の開口に、アダプター部材1aの下端部分を挿入し、更に支持部収納部材1bを上昇させてゆくと、アダプター部材1aの被係止段部28と、支持部収納部材1bの係止歯25とが係合する。更に支持部収納部材1bを上昇させると、支持部収納部材1bのスリット部24が拡径し、被係止段部28と係止歯25との係合が一段分上下にずれて、支持部収納部材1bがアダプター部材1aに対して位置を上昇させる。更に支持部収納部材1bを上昇させると、
図28に示したように、最終的に操作軸支持部2の操作軸2a以外の上面が、取り合い調整部7bの下端に当接した状態となる。この状態となったところで、バンド部材34を操作部本体1の溝部に嵌合させる。これにより、支持部収納部材1bのスリット部24の拡径が不可能となり、アダプター部材1aに対して支持部収納部材1bが上下方向に移動不能となって固定される。
この作業においては、位置決め冶具7がアダプター部材1aにネジを利用して固定されているため、施工者は位置決め冶具7を浴槽Bの表側から押さえる必要が無く、浴槽Bの裏側から、支持部収納部材1bを押し上げる作業に集中でき、作業を極めて容易に行うことができる。
この時、アダプター部材1aに対する支持部収納部材1b操作部本体1の位置は、位置決め冶具7によって、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となる位置になるように調整されて固定されている。
即ち、本実施例は、操作部本体1を、アダプター部材1aと支持部収納部材1bの2つの部品から構成し、係止歯25と被係止段部28からなる位置調整機構により、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとの間で、操作軸2aの軸方向に対して位置を調節し、固定する機能を備えた遠隔操作式排水栓装置である。また、この実施例において位置調節機構による位置調節は、係止歯25と被係止段部28が上下方向に1ミリメートル単位にて構成されていることから、1ミリメートルという一定のピッチを単位として行われるように構成されている。
尚、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となった状態を言う。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも上方に突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整するものとし、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも下方に配置されることはないものとする。
更に浴槽Bの表側から弁部材10を弁軸部11cに、ボタン部材3を操作軸2aに、それぞれ嵌合固定させて、遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0041】
上記のように施工された第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0028に記載した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置と同様に操作することで、
図25及び
図29乃至
図31に示した過程を経て、遠隔操作により排水装置排水口15を開閉できる。また、上記のように構成した第三実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、位置決め冶具7を利用しつつ、操作軸2aとボタン部材3との間で位置調整を行っている。このため、貫通孔H周辺の壁面の厚みがどの様に変化しても、施工完了時には、ボタン部材3の表側の面を、貫通孔H周辺の表側の面とほぼ面一とすることができる。
また、本実施例におけるボタン部材3の位置調節は、係止歯25と被係止段部28のピッチである1ミリメートル単位にて行われる。このため、本実施例で言う「略同一面」とは、できる限りボタン部材3の表側の面と貫通孔H周縁の表側の面との段差が無くなる、両者の高低差が1ミリメートル以内となる状態を示すものである。また、本実施例では、意匠的な観点から、この略面一とする場合において、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも上方に突出するように操作部本体1に対する操作軸支持部2の位置を調整してなる。このため、施工完了時に、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面と、完全に同一の状態から、1ミリメートル程度上方に突出している状態までのいずれかの状態になる。しかしながら、段落0030に記載した、第一実施例と同じ作用・効果によって、本実施例では、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも突出している場合の機能的及び意匠的な問題を解消している。
また、上記のように構成された第三実施例の遠隔操作式排水栓装置において、弁部材10、ボタン部材3、円弧ガイド部材、レリースワイヤ11等に破損が生じた場合、段落0036に記載した、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置と同じ手順で部材を取り外し、破損のない同部品と交換できる。
【0042】
次に、本発明の第四実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図32乃至
図36に示した、本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項6に対応する実施例であって、以下に記載する、槽体としての浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11、操作部、ガイド管30、から構成される。
この内、浴槽B、接続部材、排水栓本体8、支持部材9、弁部材10、レリースワイヤ11は、段落0024に記載した、第一実施例の各部材と同一なため説明は省略する。
操作部は、以下に記載する操作部本体1、操作軸支持部2、ボタン部材3、から構成されてなる。
操作部本体1は、貫通孔H裏面に取り付けられるアダプター部材1aと、該アダプター部材1aに下方から接続される支持部収納部材1bと、排水栓側C字リング21と、から構成されてなる。
更に詳述すると、アダプター部材1aは、略円筒形状の部材であって、その内径は貫通孔Hの内径とほぼ同一であり、また上方にビス部材Vを挿通するための開口を複数設けた鍔部23を備えてなる。
また、支持部収納部材1bは、略円筒形状の部材であって、上端部分の外周面には、操作部側係合部32を備えてなり、また上端の開口内部はアダプター部材1aの下部を収納するように構成されてなる。また、支持部収納部材1bの内部には、操作軸支持部2を着脱自在に収納固定するように構成されてなる。
排水栓側C字リング21は断面内向きに開口したコの字を成す、平面視C字形状の部材であって、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとにそれぞれ設けられた操作部側係合部32と係合して、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとを接続固定する部材である。
操作軸支持部2は、円筒形状の部材であって、その下端部分には、施工完了時レリースワイヤ11のアウターチューブ11aの一端が接続されると共に、その内部に、下端がインナーワイヤ11bに当接する操作軸2aを備えてなる。また、該操作軸2aの上端には、上方の側面に周縁に沿って突部27を備えてなる。尚、操作軸2aは、施工完了時、排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態における、操作軸2aの上端の高さ位置が、アダプター部材1aの上端と同じ位置となるように設計されてなる。
また、操作軸支持部2の内部には、施工完了時レリースワイヤ11の戻りスプリングを利用して機能する、スラストロック機構と呼ばれる機構を備えてなる。該スラストロック機構は、操作軸2aに上方から押し込み操作を加える毎に、操作軸2aを前進(降下)して固定/固定を解除してレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bに付勢されて後退(上昇)、を繰り返すように動作する。
ボタン部材3は、アダプター部材1aの内周面よりも若干小径な外径を有した、下方が開口となるように施工される有底円筒形状の部材であって、下面中央に円筒部3aを備え、該円筒部3aは操作軸2aを収納した状態で上下にスライドすると共に、下端部内周部分に、操作軸2aの突部27と係合し、比較的強い力(通常の使用では生じることはなく、ボタン部材3を意図的に外そうとしない限り生じない程度の力)で引き上げなければ操作軸2aから外れない抜け止め部3bを備えてなる。上記のように、この実施例においては、操作軸2aの突部27と、ボタン部材3の抜け止め部3bとで、ボタン部材3が操作部から飛び出すことを防止する係止機構を構成してなる。また、該ボタン部材3は、ボタン部材3の表側の面が、操作軸2aの上端から2ミリメートルの高さになる位置まで押し込まれた時、初めて操作軸2aを押し込む事が可能となるように構成されてなる(その高さ位置に達するまでは空押しとなる)。
また、該ボタン部材3と操作軸支持部2との間部分には、スプリングからなる上下方向に伸縮する弾性部材4を備えてなる。該弾性部材4は、ボタン部材3の重量には反発し、ボタン部材3を上限、即ち抜け止め部3bと突部27とが当接する位置まで押し上げるが、施工完了時に、ボタン部材3に押し込み操作が行われると、上下方向に容易に収縮するように構成されてなる。
尚、ボタン部材3が上限まで押し上げられた場合、ボタン部材3の表側の面は、アダプター部材1aの上端、即ち貫通孔H周縁の裏側の面の位置より、約25ミリメートルほど上方に位置するように構成されてなる。
ガイド管30は、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた塩化ビニールからなる長い筒状の部材であって、一端はエルボ部材の挿通筒19に、他端は支持部収納部材1bの下端部分に、それぞれ接続される。
【0043】
以上のように構成した本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽Bに施工・取り付けされる。尚詳述はしないが、特に記載の無い場合でも、部材同士の接続箇所において、水密性が必要とされる部分にはパッキングなどを用いて水密的な接続が行われる。
まず工場等において、槽体排水口12に接続部材を、貫通孔Hにアダプター部材1aを、それぞれ取り付け固定する。槽体排水口12と接続部材との取り付けにおいては、接続部材を浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、槽体排水口12と排水装置排水口15とを同心円状に配置し、フランジ部16の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、接続部材を浴槽Bの下方から取り付け固定する。また、貫通孔Hとアダプター部材1aとの接続においては、アダプター部材1aを浴槽Bの下方に配置した上で、冶具などを利用し、貫通孔Hとアダプター部材1aとを同心円状に配置し、鍔部23の開口を介してビス部材Vをビス穴部13に螺合させ、アダプター部材1aを浴槽Bの下方から取り付け固定する。
また、同じく工場にて、以下の手順にて、遠隔操作式排水栓装置の一部の組み立てを行う。
まずガイド管30の一端を排水栓本体8の挿通筒19に、他端を支持部収納部材1bの下端に、それぞれ接続する。
次に、レリースワイヤ11の弁軸部11cを備えない側の端部に操作軸支持部2を接続した上で、レリースワイヤ11を支持部収納部材1bに上方から挿通し、最終的に操作軸支持部2を支持部収納部材1bに収納固定させる。この時、レリースワイヤ11の先端は、ガイド管30、及び挿通筒19を介して、排水栓本体8内部に配置させる。
更に、レリースワイヤ11端部を引き上げ、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続固定した上で、支持部材9を排水栓本体8の凹凸部20に嵌合させて固定する。
これらの浴槽Bや遠隔操作式排水栓装置に対する作業は工場で行われるため、作業空間を広く取ることができ、また作業を容易化する作業台などを設置し、また機材の揃った環境で行うことができる。更に、遠隔操作式排水栓装置の組み立て自体も、浴槽Bに接続していないことから、排水栓本体8や操作部本体1などの部材を、作業者が視認しやすく作業しやすい手元に置き、且つ作業しやすい位置・角度に配置したり移動・回転させる等しながら作業を行うことができる。このため、この段階までの遠隔操作式排水栓装置の組み立て作業は、従来例に比較して遙かに容易とすることができる。このようにして、第四実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水栓本体8側は、
図34の状態まで組み立てられる(排水口側は、第一実施例とガイド管の有無を除き同じであるため省略)。
【0044】
次に、上記段落0043の段階まで組み立てられた浴槽B及び遠隔操作式排水栓装置と、その他の部材を、施工現場に搬入する。施工現場では、排水栓本体8側、操作部側にそれぞれ以下のような作業が行われる。
排水栓本体8側では、排水栓本体8の上面の開口に、接続部材の下端部分を挿入し、排水栓本体8の排水栓側係合部17と、接続部材の排水栓側係合部17とを当接させる。更に排水栓側C字リング21を両排水栓側係合部17と係合させ、排水栓本体8と接続部材とを接続固定する。
このような接続を行う事で、接続部材と排水栓本体8は高さ方向に対しては常に同じ高さ位置、即ち操作部本体1の操作部側係合部32と、接続アダプターの操作部側係合部32とが当接した状態となる高さ位置に接続される。このため、接続部材に設けられた止水面16aに対して、排水栓本体8は定まった高さ位置に配置される。
【0045】
操作部側では、支持部収納部材1bの上方の開口に、アダプター部材1aの下端部分を挿入し、支持部収納部材1bの操作部側係合部32と、アダプター部材1aの操作部側係合部32とを当接させる。
更に操作部側C字リング35を両操作部側係合部32と係合させ、アダプター部材1aと支持部収納部材1bとを接続固定する。
更に浴槽Bの表側から弁部材10を弁軸部11cに、ボタン部材3を操作軸2aに、それぞれ嵌合固定させて、
図32に示したような状態となり、遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
このように構成したことで、排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態においては、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面より突出してなる。具体的なボタン部材3の突出の程度は、貫通孔H周縁の裏側の面の位置より、約25ミリメートル上方となるため、貫通孔H周縁の厚みが4ミリメートルであれば21ミリメートル、貫通孔H周縁の厚みが10ミリメートルであれば15ミリメートル、それぞれボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面より突出することとなる。
【0046】
上記のように施工された第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように操作することで、遠隔操作により排水装置排水口15を開閉できる。
まず、弁部材10が降下し、弁部材10の当接部22が止水面16aに当接している状態とする。この状態において操作部のボタン部材3に押し込み操作を加えると、ボタン部材3内部の弾性部材4によって、ボタン部材3がまず空押しを生じる。
段落0042に記載したように、排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態において、操作軸2aはアダプター部材1aの上端と同じ位置であり、且つボタン部材3はボタン部材3の表側の面が、操作軸2aの上端から2ミリメートルの高さに達した時、初めて操作軸2aを押し込む事が可能である。従って、貫通孔H周縁の厚みが4ミリメートル乃至10ミリメートルである一般的な浴槽Bにおいて、本実施例の遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面と同じ高さとなり、更に下方に降下して、
図35に示したように、貫通孔H周縁の裏側の面より2ミリメートル高い位置に達するまで、ボタン部材3は空押しを続ける。
ボタン部材3の表側の面が、操作軸2aの上端より2ミリメートル高い位置に達すると、ボタン部材3に押されるようにして、
図36に示したように、操作軸2aが下方に押し込まれる。これにより、操作軸2aがインナーワイヤ11b側に突出し、それに伴ってインナーワイヤ11bがアウターチューブ11aに対し排水装置排水口15側へ突出し、弁部材10を押し上げて、止水面16aから当接部22が離間され、排水装置排水口15を開口する。使用者がボタン部材3の押し込みを終了させると、スラストロック機構により、この状態にて操作軸2aが固定され、排水装置排水口15の開口状態が維持される。また、弾性部材4も開放されるため、ボタン部材3は操作軸2a上を、抜け止め部3bと突部27とが当接する位置まで上昇した状態に戻る。
この状態から再度操作部のボタン部材3に押し込み操作を加えると、やはりボタン部材3の表側の面が、
図36の状態になるまで空押しした上で、ボタン部材3に押されるようにして操作軸2aが押し込まれる。これによってスラストロック機構が動作し、スラストロック機構による操作軸2aの固定が解除される。このため、使用者がボタン部材3の押し込みを終了させると、弁部材10の自重及び戻りスプリングの作用によりインナーワイヤ11bが操作部側に後退し、弁部材10が降下して当接部22と止水面16aとが当接し、排水装置排水口15が閉口した状態に戻る。また、弾性部材4も開放されるため、ボタン部材3は操作軸2a上を、抜け止め部3bと突部27とが当接する位置まで上昇した状態に戻る。以後、同様の操作を繰り返すことで、遠隔操作的に、排水装置排水口15の開口/閉口を行うことができ、開口時には浴槽B内の排水を排出することができる。
【0047】
本実施例において、排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態では、前述のようにボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面より突出してなる。具体的なボタン部材3の突出の程度は、貫通孔H周縁の厚みが4ミリメートルであれば21ミリメートル、貫通孔H周縁の厚みが10ミリメートルであれば15ミリメートル、それぞれボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面より突出することとなる。しかしながら、以下の理由によって、本実施例では、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面よりも突出している場合の機能的及び意匠的な問題を解消している。
ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出していることによる、機能的な問題としては、段落
0009の理由1.に記載したように、ボタン部材3が貫通孔H周縁のよりも突出しているため、浴槽Bに風呂蓋を被せたり、浴槽Bの使用者が誤ってボタン部材3に触れた時に、ボタン部材3を貫通孔H周縁と面一になるまで押し込んでしまい、結果遠隔操作式排水栓装置が誤作動してしまう、という問題が上げられる。しかしながら、本実施例の遠隔操作式排水栓装置では、ボタン部材3に弾性部材4を組み込み、ボタン部材3を貫通孔H周縁の裏側の面から2ミリメートル程迄の高さ位置に達するまで空押しする構成としている。段落
0009に記載したように、浴槽Bなどの槽体の厚みは、品物によってまちまちであるが、多くは4ミリメートルから10ミリメートル程度の間であるため、この範囲にある浴槽Bを使用する限り、ボタン部材3を貫通孔H周縁の表側の面より更に押し込まなければ操作軸2aの動作は起こらず、当然遠隔操作式排水栓装置が作動することもない。
このように、本実施例では、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔H周縁の表側の面と同じか、それよりも奥側に押し込まれた位置になるまではボタン部材3が空押しとなり、それよりも下方に移動した状態となった場合に、初めてボタン部材3が操作軸2aを押し込むように構成してなる。つまり、ボタン部材3を貫通孔H周縁と完全に面一になるまで押し込んだだけでは、ボタン部材3が確実に空押しとなり、遠隔操作式排水栓装置が誤作動を起こすことを防ぐ構成としている。
ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出していることによる、意匠的な問題としては、ボタン部材3の表側の面が平端面であるため、ボタン部材3の表側の面は、同じ平端面である貫通孔H周縁、ひいては浴槽Bの上縁部分の平面と完全に面一であるほうが、意匠的な美観が整うものであり、ボタン部材3の突出はこの美観を損ねる、という問題が上げられる。
しかしながら、意匠的な美観とはあくまで使用者の主観によるものであり、このため、ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも充分に突出している方が、使用者によって好まれる場合もありうるものと考えられる。
また、例えば上記した、「ボタン部材3の表側の面が平端面であるため、ボタン部材3の表側の面は、同じ平端面である貫通孔H周縁と完全に面一であるほうが意匠的な美観が整う」という問題は、ボタン部材3の表側の面の形状を、平端面ではなく、半円形、円錐台などボタン部材3が貫通孔H周縁から突出していても違和感を生じない形とするなどして容易に解決できうるものである。
尚、本実施例でのボタン部材3の、貫通孔H周縁に対する突出の程度は、貫通孔H周縁の厚みによってまちまちになるため、統一感が無い。しかしながら、この統一感が無い、という点に付いては、特に意匠的な問題が生じることはないと考えられる。なぜならば、浴槽Bを個別に見る限り、ほとんどの使用者にとっては、「ボタン部材3が貫通孔H周縁よりも突出している」以上の意匠的相違を生じるものではない。複数の浴槽Bを横並びにして比較すれば、突出の程度の相違に気が付くことも考えられるが、浴槽Bを複数横並びに配置することは通常無いので、「ボタン部材3の、貫通孔H周縁に対する突出の程度が浴槽Bごとに異なる」という点は、使用者にとって、気が付くことのない相違に過ぎず、問題を生じることはない。
【0048】
また、上記のように構成された第四実施例の遠隔操作式排水栓装置において、弁部材10、ボタン部材3、円弧ガイド部材、レリースワイヤ11等に破損が生じた場合、段落0035に記載した、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置と同じ手順で部材を取り外し、破損のない同部品と交換できる。
【0049】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、排水配管が備えられる槽体を浴槽Bとしているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、洗面台の洗面ボウル、流し台のシンクなど他の槽体に使用してももちろん構わない。
また上記実施例の遠隔操作式排水栓装置では、スラストロック機構を備え、操作体を押し込むことで排水口の開閉を行うように構成されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、スラストロック機構を省略し、操作体から操作軸2a、インナーワイヤ11b、弁軸、弁部材10までを嵌合などにより固定させ、操作体を押し引きすることで排水口を開閉するように構成しても良い。
また、上記第三実施例では、操作部本体1をアダプター部材1aと作動部収納部材の2つの部材から構成し、この2つの部材の間で位置調節を行うように構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、操作軸2aを2つの部材から構成したり、ボタン部材3(特に円筒部3a)を2つの部材から構成し、その2つの部材の間で位置調節を行うように構成しても構わない。
また、上記第四実施例では、貫通孔H周縁の厚みが最低でも2ミリメートル以上あるものとして、排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態において、操作軸2aの上端はアダプター部材1aの上端と同じ位置であり、且つボタン部材3の表側の面が、操作軸2aの上端2ミリメートルの高さ位置に達した際にボタン部材3が操作軸2aを押し込むように構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
排水口が閉口し、且つ使用者が何らかの操作を遠隔操作式排水栓装置に行っていない状態において、操作軸2aの上端はアダプター部材1aの上端より2ミリメートル下方に配置され、且つボタン部材3の表側の面が、操作軸2aの上端2ミリメートルの高さ位置に達した際にボタン部材3が操作軸2aを押し込むように構成してもよい。このように構成すれば、ボタン部材3の表側の面がアダプター部材1aの上端の高さ位置に達した際、つまりボタン部材3が貫通孔Hの裏面の高さ位置に達した際に、初めてボタン部材3が操作軸2aを押し込む構成となり、貫通孔H周縁の厚みがそれほど薄くなっても、誤作動の生じない遠隔操作式排水栓装置とすることができる。
また、上記各実施例では、遠隔操作式排水栓装置の操作部に加えられた操作を、排水栓本体8の弁部材10に伝達する部材として、レリースワイヤ11を採用してなるが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えば排水口の開閉の機構を電動式として操作の伝達を電線を介して行うようにするなど、様々な部材を操作の伝達部材として採用することができる。
【0050】
また、上記第四実施例では、貫通孔Hを円筒形状として構成してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図37に示した、請求項6及び請求項7に対応する実施例のように、第四実施例の構造に加えて、貫通孔Hの周縁に、貫通孔Hの表側から裏側に向けて拡がるテーパー面5を設け、更にボタン部材3の側面に、該テーパー面5と当接する当接面6を設けることで、排水口が閉口または開口した静止状態において、テーパー面5と当接面6とが当接して、ボタン部材3の表側の面が、貫通孔Hの周縁の表側の面と略同一面となるように構成してもよい。