(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施例の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図2】第一実施例の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図3】第一実施例のトラップユニットを示す断面図である。
【
図4】第二実施例の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図5】第二実施例の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図7】第三実施例のトラップユニットを示す断面図である。
【
図8】第三実施例のトラップユニットを示す斜視図である。
【
図9】第三実施例のトラップユニットを示す、一部を切り欠きした斜視図である。
【
図10】第三実施例のトラップユニットの側面の展開図である。
【
図11】本発明を浴室の排水配管に採用した実施例の断面図である。
【
図12】本発明を流し台の排水配管に採用した、他の実施例の断面図である。
【
図13】従来の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【
図14】従来の排水配管を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【0016】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図3に示した、本発明の第一実施例の排水配管は、請求項1、請求項
3、及び請求項5に対応する実施例であって、以下に記載した、槽体としてのシンクSを備えた流し台N、排水器本体7、排水トラップとしてのトラップユニット1、排水管、蓋部材10、その他の部材より構成されてなる。
流し台Nは、平面状の天板Pと、天板Pのほぼ中央部分に備えた、底面に取付口を備えた、上方が開口した箱体からなる槽体としてのシンクSと、該シンクSを上方に備え、内部に排水配管を収納するキャビネット部Cと、から構成される。
排水器本体7は有底円筒形状の部材であって、上方の排水口8はシンクS底面の取付口に接続される。また、排水器本体7の側面にも排水を排出する排出口11が設けられてなり、該排出口11は排水配管に接続される。また、排水器本体7の内部には、排水中の厨芥などを排水から分離し、捕集するためのストレーナーSTが備えられてなる。
トラップユニット1は略円筒形状の部材であって、その内部に壁を設けて側面視略Sの字形状に区画し、内部の排水の流路の一部に、排水が満水状態にて溜まるように構成してなる。この時、排水が満水状体で留まる流路部5分を「封水部」、内部に溜まった排水を「封水」と呼ぶ。このような、封水によって下流側からの臭気や害虫類の逆流を防止する排水トラップを、「封水式排水トラップ」と呼ぶ。また、このトラップユニット1は、筒状体4の側面に、周縁に沿って連続して環状パッキング6を備えてなる。
排水管は円筒形状の管体であって、以下に記載したような直管型、及びエルボ型が用いられる。
直管型排水管は、直線状の管体であって、エルボ型排水管13と排水器本体7の排出口11、エルボ型排水管13と床下配管、の接続にそれぞれ用いられる。
エルボ型排水管13は、管体をL字形に分岐させた排水管であって、
図2に示したように、曲がり部分であって、管体の端部の開口の対向位置となる壁面に、内部に雌ネジを備えたトラップユニット1を取り出す開口部2を備えてなる。尚開口部2の周縁には平坦な当接面12が形成されてなる。
蓋部材10はエルボ型排水管13に設けた開口部2を閉塞する、有底円筒状の部材であって、円筒の側面部分に、取出口9の雌ネジに裸合する雄ネジを設けてなる。また、円筒の上端部分に外方向に向かって鍔部を備えてなり、該鍔部の下面にリング状パッキング14を備えてなる。
また、特に詳述しないが、上記各部材の接続部分においても、必要に応じ、接着やパッキングなどを利用し、水密的な接続が行われる。
【0017】
上記のように構成した排水配管の各部材は、以下のようにして、シンクS及びキャビネット部Cを備えた流し台Nに施工される。
まずシンクSの取付口に排水器本体7の排水口8を接続する。次に、エルボ型排水管13について、直管型排水管を介して、一端を排出口11に、他端を床下配管に、それぞれ接続する。
以下、排水器本体7とエルボ型排水管13との接続に用いられる直管型排水管を「第一の排水管15」、床下配管とエルボ型排水管13との接続に用いられる直管型排水管を「第二の排水管16」と呼ぶ。
次に、開口部2からトラップユニット1を挿通し、トラップユニット1の上端が、第一の排水管15の下端よりも低い位置になる高さ位置まで挿入して配置する。この時環状パッキング6が全周に渡って、エルボ型排水管13の内側面に当接することで、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面が、上流側と下流側とで水密的に分離される。更に、蓋部材10の雄ネジと開口部2の雌ネジを螺合させ、鍔部の下面がリング状パッキング14を介して開口部2の周縁の当接面12に当接するようにする。最後に、排水器本体7内にストレーナーSTを配置して、第一実施例の排水配管の施工が完了する。これらの排水配管は、
図1、
図2等で明らかなように、全てキャビネット部C内にて行われる。
【0018】
上記のように構成した排水配管は、以下のようにして使用される。
流し台Nを使用し、シンクS内に厨芥などを含んだ排水が生じると、まず生じた排水が排水口8を通過し、更にストレーナーSTを介して排出口11に排出される。この時、ストレーナーSTにて排水中の厨芥等が捕集される。更に、排水は、排出口11から、第一の排水管15、エルボ型排水管13、トラップユニット1、第二の排水管16の順に通過した上で、第二の排水管16に接続された床下配管に排出され、最終的に下水側に排出される。
また、上記のようにして、トラップユニット1内部を排水が通過すると、トラップユニット1の内部が、側面視略Sの字形状に区画されていることで、内部の排水部に、排水が封水として溜まり、これにより臭気や害虫類が下水側から屋内側に逆流することが防止される。
【0019】
また、排水機器である流し台Nを長期間に渡って使用すると、トラップユニット1内部や、排水管内に塵芥が堆積し、排水の流路が閉塞される場合がある。このような場合、キャビネット部Cの内部から以下の作業を行い、流路の閉塞を取り除くことができる。
まず蓋部材10と開口部2の螺合を解除し、蓋部材10を取り外し、エルボ型排水管13の開口部2を介してトラップユニット1を取り出す。この後、トラップユニット1内部の流路が閉塞した場合はトラップユニット1を清掃するか、または新しいものに交換することで流路の閉塞を解消できる。また、第二の排水管16内部の流路が堆積した塵芥により閉塞した場合は、取出口9から、ワイヤーを利用して第二の排水管16の流路に沿って可撓する洗浄器具や、高圧の洗浄水を吐出して堆積した塵芥を押し流す高圧洗浄器具を挿入し、排水管の塵芥による閉塞を解消することができる。第一の排水管15の流路に配管の閉塞部分が生じた場合は、排出口11又は開口部2を介して、第一の排水管15内に洗浄器具や高圧洗浄器具を挿入して清掃を行う。
尚、上記段落0018の記載事項から明らかなように、エルボ型排水管13において排水配管は90度屈曲しており、この屈曲部分に対して、トラップユニット1の上方に当たる位置(又は対向する位置)に、トラップユニット1を取り出すための開口部2が備えられている。即ち、本実施例は、開口部2が、排水配管の曲がり部分に設けられてなる。
【0020】
本発明のように、排水配管の一部に開口部2を設け、この開口部2からトラップユニット1を取り出すように構成した場合、次の2つの問題点が生じる。
問題点1.開口部2を水密的に閉塞することが困難である。
排水配管は内部に排水が流れるものであるため、蓋部材10等を用い、開口部2を閉塞しなければ、排水配管内部の排水が排水配管外部に漏水してしまう。しかしながら、単純に円形を成す管体の側面に開口部2を設けた場合、この開口部2の周縁を蓋部材10で水密的に閉塞することは困難である。何故なら、平面視円形の排水管に対して、側面の一方向に向かってのみ応力を加えるようにすると、応力に対して接線が平行となるような位置では、排水管の中心に向かう応力がほぼ0であるため、水密性が生じる事無く漏水が生じる。
開口部2を小さくすれば、このような、応力に対して接線が平行となるような位置での接続部分を無くすことができるが、これではトラップユニット1の取り出しが困難になり、必然的に小さなトラップユニット1しか使用できなくなる。しかし、トラップユニット1が小型化した分、排水管の内壁との間に隙間が生じやすくなり、後述する問題点2に記載した、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離する、という問題の解決が困難になる。また、ビス部材などを複数用意し、開口部2の周囲と蓋部材10との当接部分をビス部材で小さな間隔で取り付ければ、排水管の中心に向かう応力がほぼ0になる部分を無くすことができるが、この方法では、ビス部材の取り付け作業に大変手間がかかり、また多数のビス部材の一箇所でもビス部材の締め付けが緩いと緩い部分から漏水が起きやすくなる、という問題がある。
問題点2.排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離する必要がある。
トラップユニット1に求められるトラップ機能とは、下流側から上流側家の臭気や害虫類の逆流を防止する機能である。しかし、トラップユニット1を排水配管に組み込んだ場合に、トラップユニット1それ自体が上記のトラップ機能を備えていたとしても、トラップユニット1と、トラップユニット1を収納する排水配管の内側面との間に通気/通水の可能な隙間があり、この隙間を通って臭気や害虫類が逆流してしまうと、トラップユニット1の機能が無意味なものとなってしまう。
このため、トラップユニット1の外側面と排水配管の内側面との間の隙間を通じて臭気や害虫類が下流側から上流側に逆流を生じないように、トラップユニット1の外側面と、排水配管の内側面との間には全周に渡って水密的な接続が行われる必要がある。しかし、排水管に対して開口部2を小さくすれば、該開口部2から取り出すトラップユニット1の大きさも排水管に比べて小型化せざるを得なくなる。そして、トラップユニット1を排水管に比べて小型化すると、その分、排水管の内壁とトラップユニット1の間の隙間が大きくなり、間に配置するパッキングが大きなものとせざるを得ず、トラップユニット1外側面と排水管の内側面とを押し当てる応力が伝わりにくくなり、水密的な接続が困難になる、という問題がある。
【0021】
この段落0020に記載した2つの問題点に対して、本第一実施例は次のような方法で問題を解決している。
開口部2を水密的に閉塞することが困難である、という問題点1に対して、本実施例では、開口部2を排水配管の曲がり部分に配置することで、開口部2を、トラップユニット1が配置される排水管の、円筒状の側面ではなく、軸方向に設けるように構成した。これにより、開口部2を排水管の内面とほぼ同じ形状とすると共に、開口部2よりも大きく平坦な当接面12を開口部2の周囲に設けることが可能になった。これによって、蓋部材10と開口部2にそれぞれ設けたネジを螺合させることで、鍔部と当接面12の間をリング状パッキング14で押圧させ、容易に開口部2を水密的に接続させることが可能となった。
また、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離する必要がある、という問題点2に対して、本実施例では、以下のようにして解決している。まず上述のように、開口部2を排水管の内面とほぼ同じ形状とすることで、取り付けられる排水管の内面とほぼ同じ大きさのトラップユニット1を、開口部2から出し入れすることを可能とした。これにより、トラップユニット1とトラップユニット1が取り付けられる位置の排水管の内面との隙間を極めて狭いものとすることができた。次に、トラップユニット1の周囲に、全周に渡って環状パッキング6を配置し、この環状パッキング6が当接する面を、エルボ型排水管13の開口部2を備えない内周面とした。これによって、特に応力を加えなくても環状パッキング6の弾性だけで、トラップユニット1外側面と排水配管の内側面が水密的に当接するように構成した。この水密的な当接が、全周に渡って行われることで、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離するように構成されてなる。
【0022】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図4、
図5に示した、本発明の第二実施例の排水配管は、請求項2、請求項5、及び請求項6に対応する実施例であって、以下に記載した、槽体としてのシンクSを備えた流し台N、排水器本体7、排水トラップとしてのトラップユニット1、排水管、蓋部材10、その他の部材より構成されてなる。
流し台Nは、平面状の天板Pと、天板Pのほぼ中央部分に備えた、底面に取付口を備えた、上方が開口した箱体からなる槽体としてのシンクSと、該シンクSを上方に備え、内部に排水配管を収納するキャビネット部Cと、から構成される。また、天板Pの奥側に、内周部分に雌ネジを備えた取出口9を備えてなる。
排水器本体7は有底円筒形状の部材であって、上方の排水口8はシンクS底面の取付口に接続される。また、排水器本体7の側面にも排水を排出する排出口11が設けられてなり、該排出口11は排水配管に接続される。また、排水器本体7の内部には、排水中の厨芥などを排水から分離し、捕集するためのストレーナーSTが備えられてなる。
トラップユニット1は略円筒形状の部材であって、その内部に壁を設けて側面視略Sの字形状に区画し、内部の排水の流路の一部に、排水が満水状態にて溜まるように構成してなる。また、このトラップユニット1は、筒状体4の側面に、周縁に沿って連続して環状パッキング6を備えてなる。
排水管は円筒形状の管体であって、以下に記載したような直管型、及びT字型が用いられる。
直管型排水管は、直線状の管体であって、T字型排水管17と排水器本体7の排出口11、T字型排水管17と取出口9、T字型排水管17と床下配管、にそれぞれ用いられる。
T字型排水管17は、管体をT字型に分岐させた排水管であって、施工時にはT字を横に倒したような形で配管される。また、T字型状の横棒にあたる管の一端、施工完了時開口が上方を向く端部は、トラップユニット1を取り出す開口部2として機能する。
蓋部材10は流し台Nの天板P上に設けた開口部2を閉塞する、有底円筒状の部材であって、円筒の側面部分に、取出口9の雌ネジに裸合する雄ネジを設けてなる。また、円筒の上端部分に外方向に向かって鍔部を備えてなり、該鍔部の下面にリング状パッキング14を備えてなる。
また、特に詳述しないが、上記各部材の接続部分においても、必要に応じ、接着やパッキングなどを利用し、水密的な接続が行われる。
【0023】
上記のように構成した排水配管の各部材は、以下のようにして、シンクS及びキャビネット部Cを備えた流し台Nに施工される。
まずシンクSの取付口に排水器本体7の排水口8を接続する。次に、T字型排水管17について、開口部2を、直管型排水管を介して取出口9に、開口部2に向かい合う端部を、直管型排水管を介して床下配管に、T字型排水管17のT字の縦棒に相当する管の端部を、直管型排水管を介して排水器本体7の排出口11に、それぞれ接続する。
以下、排水器本体7とT字型排水管17との接続に用いられる直管型排水管を「第一の排水管15」、床下配管とT字型排水管17との接続に用いられる直管型排水管を「第二の排水管16」、取出口9と開口部2との接続に用いられる直管型排水管を「清掃用排水管18」と呼ぶ(正確には、「清掃用排水管18」は後述するように排水を流すことを目的として設けられる管体では無いが、排水配管に連通していること、そのため内部に排水が一時的に流れる場合があること、また部材として特に他の排水管と相違するものではないこと、等から排水管と呼ぶことに何ら支障は無い)。次に、取出口9からトラップユニット1を挿通し、トラップユニット1の上端が、第一の排水管15の下端よりも低い位置になる高さ位置まで挿入して配置する。この時環状パッキング6が全周に渡って、T字型排水管17の内側面に当接することで、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面が、上流側と下流側とで水密的に分離される。更に、蓋部材10の雄ネジに取出口9の雌ネジを螺合させ、鍔部の下面がリング状パッキング14を介して流し台Nの天板P上面に当接するようにする。最後に、排水器本体7内にストレーナーSTを配置して、第一実施例の排水配管の施工が完了する。
これらの配管接続は、
図4、
図5等で明らかなように、蓋部材10を除き、全てキャビネット部C内にて行われる。
【0024】
上記のように構成した排水配管は、以下のようにして使用される。
流し台Nを使用し、シンクS内に厨芥などを含んだ排水が生じると、まず生じた排水が排水口8を通過し、更にストレーナーSTを介して排出口11に排出される。この時、ストレーナーSTにて排水中の厨芥等が捕集される。更に、排水は、排出口11から、第一の排水管15、T字型排水管17、トラップユニット1、第二の排水管16の順に通過した上で、第二の排水管16に接続された床下配管に排出され、最終的に下水側に排出される。
また、上記のようにして、トラップユニット1内部を排水が通過すると、トラップユニット1の内部が、側面視略Sの字形状に区画されていることで、内部の排水部に、排水が封水として溜まり、これにより臭気や害虫類が下水側から屋内側に逆流することが防止される。
【0025】
また、排水機器である流し台Nを長期間に渡って使用すると、トラップユニット1内部や、排水管内に塵芥が堆積し、排水の流路が閉塞される場合がある。このような場合、蓋部材10と取出口9の螺合を解除し、蓋部材10を取り除き、T字管の開口部2、及び清掃用排水管18を介して取出口9からトラップユニット1を取り出すことができる。この後、トラップユニット1内部の流路が閉塞した場合はトラップユニット1を清掃するか、または新しいものに交換することで流路の閉塞を解消できる。また、第二の排水管16内部の流路が堆積した塵芥により閉塞した場合は、取出口9から、ワイヤーを利用して第二の排水管16の流路に沿って可撓する洗浄器具や、高圧の洗浄水を吐出して堆積した塵芥を押し流す高圧洗浄器具を挿入し、排水管の塵芥による閉塞を解消することができる(第一の排水管15の流路に配管の閉塞部分が生じた場合は、排出口11を介して、排水口8から第一の排水管15内に洗浄器具や高圧洗浄器具を挿入して清掃を行う)。
尚、上記段落0024の記載事項から明らかなように、排水配管の形状、及び排水の流れはT字型排水管17内で90度屈曲しており、この屈曲部分に対して、トラップユニット1の上方に当たる位置(又は対向する位置)に、トラップユニット1を取り出すための開口部2が備えられている。即ち、本実施例は、開口部2が、排水配管の曲がり部分に設けられてなる。
【0026】
また、段落0020に記載した2つの問題点に対して、本第二実施例は次のような方法で問題を解決している。
開口部2を水密的に閉塞することが困難である、という問題点1に対して、本実施例では、開口部2と清掃用排水管18を介し水密的に接続される取出口9を天板P上に設けてなる。これにより、開口部2よりも大きく平坦な当接面12を開口部2の周囲に設けることが可能になった。これによって、蓋部材10と開口部2にそれぞれ設けたネジを螺合させることで、鍔部と当接面12の間をリング状パッキング14で押圧させ、容易に開口部2を水密的に接続させることが可能となった。
また、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離する必要がある、という問題点2に対して、本実施例では、以下のようにして解決している。まず、開口部2を排水配管の曲がり部分に配置することで、開口部2を、トラップユニット1が配置される排水管の、円筒状の側面ではなく、軸方向に設けるように構成した。これにより、開口部2を排水管の内面とほぼ同じ形状とすることができた。このため、この開口部2に接続する直管状の清掃用排水管18、及び取出口9の内周面も、開口部2と同じ形状、またはそれ以上大きい形状とすることで、開口部2、清掃用排水管18、取出口9を介し、取り付けられる位置の排水管の内面とほぼ同じ大きさのトラップユニット1を、開口部2や清掃用排水管18を介して取出口9から出し入れすることを可能とした。これにより、トラップユニット1とトラップユニット1が取り付けられる位置の排水管の内面との隙間を極めて狭いものとすることができた。次に、トラップユニット1の周囲に、全周に渡って環状パッキング6を配置し、この環状パッキング6が当接する面を、T字型排水管17の開口部2を備えない内周面とした。これによって、特に応力を加えなくても環状パッキング6の弾性だけで、トラップユニット1外側面と排水配管の内側面が水密的に当接するように構成した。この水密的な当接が、全周に渡って行われることで、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離するように構成されてなる。
【0027】
次に、本発明の第三実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図6乃至
図10に示した、本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、請求項4に対応する実施例であって、以下に記載した、直管型排水管、十字型排水管19、トラップユニット1、その他の部材より構成されてなる。
直管型排水管は、直線状に成型された排水配管である。
十字型排水管19は、断面円形の管体を十字に交差させた形状に成型された配管であって、上下方向に設けられ、両端が開口してなり、上記直線状排水管に接続される排水用管部19aと、水平方向に設けられ、一端が開口してトラップユニット1を取り出す開口部2を成し、他端が閉塞したトラップ用管部19bとから構成される。尚、トラップ用管部19bの内径は、排水用管部19aの内径よりも2倍程度大きく、排水用管部19aとトラップ用管部19bとは交差部分で連通してなる。
トラップユニット1は、外径がトラップ用管部19bの内径にほぼ等しい略円筒形状の筒状体4を備えてなり、該筒状体4の内部に、筒状体4の軸に対して平行でない平面、この実施例では垂直な平面に沿って筒状体4を貫通するように設けた流路部5を設け、この流路部5に、後述する自封トラップと呼ばれる排水トラップからなるトラップ部3を備えてなる。
更に、側面視、筒状体4の中心軸と流路部5の中心軸との交点を通過し、且つ水平面に対して45度を成す角度で、この筒状体4の側面に沿って連続して第一の環状パッキング6aを設けてなる。この第一の環状パッキング6aによって、筒状体4の外側面は、二つの領域に分割されるが、
図10等より明らかなように、流路部5の両端は、この第一の環状パッキング6aによって区画される領域に対し、互いに異なる領域に配置されてなる。
上記トラップユニット1について、施工完了時、トラップ用管部19bの閉口した端部に近い側を先端側、開口部2に近い側を後端側と便宜上呼ぶが、トラップユニット1の後端側の側面に、周縁に沿って連続して第二の環状パッキング6bを備えてなる。この第二環状パッキング6は、第一の環状パッキング6a、またトラップユニット1の流路部5の両端の開口よりも後端側で、且つトラップ用管部19bの内側面に当接するように配置される。
トラップ部3を成す自封トラップは、軟質素材の筒状の部材であって、上流側端部は円筒形状を成し、下流側端部は対向する面同士が当接することによって閉塞されてなる。このように構成したため、上流側から排水が流れ込むと、軟質な素材によって成型されていることと、内部に加わった水圧によって、下流側端部は可撓して内部から押し広げられ、開口して内部の排水を排出する。それ以外の、内部に排水など液体の無い状態では、下端の開口は閉塞しているため、下流側からの臭気や害虫類の上流側への逆流を防止することができる。尚、流路部5の内側面と、自封トラップの上縁とは水密的に当接して固定されてなる。
また、特に詳述しないが、上記各部材の接続部分においても、必要に応じ、接着やパッキングなどを利用し、水密的な接続が行われる。
尚、上記の排水配管は、任意の排水機器、例えばエアコンの室外機のドレン排水などの、機器の使用によって生じた排水が排出される排出口11に接続される。
【0028】
上記のように構成した排水配管の各部材は、以下のようにして施工される。
十字型排水管19の、排水用管部19aの上端を排水機器の排出口11に、下端を床下配管に、それぞれ直管型排水管を介して接続する。以下、排水機器の排出口11と十字型排水管19との接続に用いられる直管型排水管を「第一の排水管15」、床下配管と十字型排水管19との接続に用いられる直管型排水管を「第二の排水管16」と呼ぶ。
次に、トラップ用管部19bの開口部2に、トラップユニット1を、流路部5の中心軸が、排水用管部19aの中心軸と一致する位置まで挿通する。この時、トラップユニット1を挿通し、流路部5の2つの開口の内、トラップ部3の上流側と連通している側の開口が排水用管部19aの上流側に、トラップ部3の下流側と連通している側の開口が排水用管部19aの下流側に、それぞれ連通するようにトラップユニット1を挿通し、固定して、本発明の第三実施例の排水配管の施工が完了する。
【0029】
上記のように構成した排水配管は、以下のようにして使用される。
排水機器の利用により、排水機器の排出口11に排水が発生すると、排出口11、第一の排水管15、十字型排水管19の排水用管部19a、トラップユニット1の流路部5、トラップ部3まで排水が通過する。トラップ部3として備えられた自封トラップの内部に排水が溜まると、前述したように、内部に加わった水圧によって、自封トラップの下流側端部が可撓して内部から押し広げられ、開口して内部の排水を排出する。これによって排水はトラップ部3を通過し、十字型排水管19、第二の排水管16、をそれぞれ通過し、第二の排水管16に接続された床下配管に排出され、最終的に下水側に排出される。
また、排水が終了して、トラップ部3の自封トラップ内の排水が無くなると、下端の開口が閉塞して、下流側からの臭気や害虫類の上流側への逆流を防止することができる。
【0030】
また、排水機器を長期間に渡って使用すると、トラップユニット1内部や、排水管内に塵芥が堆積し、排水の流路が閉塞される場合がある。このような場合、トラップユニット1を側面方向の開口部2から取り出して清掃をおこなうことができる。具体的には、トラップユニット1内部の流路が閉塞した場合はトラップユニット1(特にトラップ部3)を清掃するか、または新しいものに交換することで流路の閉塞を解消できる。また、第一の排水管15又は第二の排水管16内部の流路が堆積した塵芥により閉塞した場合は、開口部2から、ワイヤーを利用して第二の排水管16の流路に沿って可撓する洗浄器具や、高圧の洗浄水を吐出して堆積した塵芥を押し流す高圧洗浄器具を挿入し、排水管の塵芥による閉塞を解消することができる。
尚、上記段落0027の記載事項から明らかなように、排水配管の形状、及び排水の流れは、開口部2を備えた十字型排水管19において、排水用管部19aに沿って直進し、この排水用管部19aに対しほぼ90度を成す側面方向に、トラップユニット1を取り出す開口部2が備えられて成る。即ち、本実施例は、開口部2が、両端が直線上に配置される管体の側面に備えられてなる。
【0031】
また、段落0020に記載した2つの問題点に対して、本第三実施例は次のような方法で問題を解決している。
開口部2を水密的に閉塞する、という問題点1に対して、本実施例では、トラップユニット1の周囲に、全周に渡って第二の環状パッキング6bを配置し、この第二環状パッキング6が当接する面を、トラップ用管部19bの内周面とすることで、特に応力を加えなくても環状パッキング6の弾性だけで、トラップユニット1外側面と排水配管の内側面が水密的に当接するように構成してなる。この水密的な当接が、全周に渡って行われることで、トラップ用管部19bの内面とほぼ同じ大きさのトラップユニット1を、開口部2から出し入れすることを可能としつつ、開口部2を容易且つ確実に閉塞するように構成されてなる。
また、排水配管の中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離する、という問題点2に対して、本実施例では、第一の環状パッキング6aを備えることで問題を解決した。詳述すると、
図8、
図10等から明らかなように、側面視、筒状体4の中心軸と流路部5の中心軸との交点を通過し、且つ水平面に対して45度を成す角度で、この筒状体4の側面に沿って連続して第一の環状パッキング6aを設けてなる。このように構成することで、流路部5の両端は、この第一の環状パッキング6aによって区画される領域に対し、互いに異なる領域に配置することができ、第一の環状パッキング6aが内接するトラップ用管部19bの中で、トラップユニット1の外側面を、上流側と下流側とで水密的に分離することができる。
【0032】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記第一、第二実施例では、排水配管が備えられる槽体をキャビンネットを備えた流し台Nとしているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、キャビネット部Cを備えた洗面台の洗面ボウル等の槽体に使用しても構わない。また、必ずしもキャビネット部Cを備えた槽体に使用する必要も無く、洗濯機の防水パンや、
図11に示したような、浴室の排水配管に採用しても構わない。
図11に示した浴室の排水配管では、第二実施例と同様に取出口9と清掃用排水管18を利用し、自封トラップを採用したトラップユニット1によって、浴槽Bを備えた浴室の床面の表側からトラップユニット1を取り出し、適宜排水配管の閉塞を解消できる排水配管を構築している。これにより、排水口8からトラップ機構部を取り出す必要が無くなった為、排水口8を幅狭にして意匠性などを良好にすることができる(取出口9は化粧板などで覆い隠すことができる場所に配置する)。
また、キャビネット部Cを用いた排水配管についても、
図12に示した実施例のように、キャビネット部Cの、通常の収納空間よりも下方、いわゆるけこみ部分に配管を配置することで、キャビネット部C内の収納空間をより一層広く取ることができる。この
図12の実施例の場合、トラップ部3を取り出すには、まず引き出しHをキャビネット部Cより取り出した上で、蓋部材10を外して、取出口9と清掃用排水管18を介し、トラップ部3を取り出すようにする。