(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸引手段は、固定手段によって前記ステムの所定位置に固定されているとともに、前記固定手段によって、前記吸引手段と前記マグネットフロートとの間にギャップが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフロート式液面レベル検出装置。
前記マグネットフロートの可動範囲において、前記反発手段の反発力と、前記吸引手段の吸引力との和である合成力Fが下記式(1)を満たし、かつ、前記マグネットフロートの上端位置において、前記反発手段の反発力と、前記吸引手段の吸引力との和である合成力F'が下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフロート式液面レベル検出装置。
F>A−C×G ・・・式(1)
F'<A ・・・式(2)
但し、
Fは、マグネットフロートが可動範囲にある場合の反発手段の反発力と吸引手段の吸引力の合成力(g重)、
F'は、マグネットフロートが上端位置にある場合の反発手段の反発力と吸引手段の吸引力の合成力(g重)、
Aは、マグネットフロートの重量(g重)、
Cは、マグネットフロートの体積(cm3)、
Gは、被検出液体の密度(g重/cm3)、
とする。
【背景技術】
【0002】
従来、液面レベルを検出する機構として、液面に浮くように形成されたフロートを用いて、このフロートの位置変化を検知することにより、液面レベルの変化を検出するフロート式液面レベル検出装置が知られている。
【0003】
図6は、従来の液面レベル検出装置の一例を示す概略構成図である。
図6に示すように、従来の液面レベル検出装置100は、略円筒形状のステム102と、磁性を有する磁性フロート104と、磁性フロート104が近接することによってスイッチがONとなる磁気感応素子106と、磁気感応素子106から信号を取り出すためのリード線108とから構成される。
【0004】
なお、磁性フロート104は、中央に貫通孔を有するリング形状に成形されており、貫通孔にステム102を挿通し、ステム102に沿って上下動可能な状態で配置されている。また、磁性フロート104は、液面レベルを検出する液体(以下、「被検出液体」という)よりも比重が小さくなるように形成されている。
【0005】
このように構成された液面レベル検出装置100は、被検出液体が貯留される容器に、略鉛直状に取り付けられる。磁性フロート104は、被検出液体の液面に浮いているため、この状態で液面レベルが変化、例えば、液面レベルが上昇したり、下降したりすることによって所定位置に達した場合に、磁気感応素子106がONとなり、リード線108を介してON信号が出力される。
【0006】
これによって、被検出液体の液面レベルが変化、例えば、液面レベルが上昇したり、下降したりすることによって所定位置に達したことを検出することができる。
【0007】
なお、フロート式液面レベル検出装置に用いられる磁性フロート104としては、例えば、焼結磁石とプラスチックの発泡体を一体的に成形したいわゆる発泡プラスチックフロート、焼結磁石とニトリルゴム(NBR)などのゴムの発泡体を一体的に成形したいわゆる発泡NBRフロート、あるいは、中空金属内に焼結磁石を内蔵したいわゆる金属フロートなどが用いられている。
【0008】
しかしながら、発泡プラスチックフロートは、発泡部分が連続気泡となっているため、フロート外面の発泡が進んでいない薄いプラスチック層であるスキン層が傷ついたり、熱水中において蒸気の透湿があったりすると、フロート内に液体が蓄積し、フロート自身の重量変化によって、液面に対するフロートの位置が変化し、場合によっては、フロートが液体中に沈んでしまうおそれがある。
【0009】
一方、発泡NBRフロートは、発泡部分が独立気泡であるため、フロート外面が傷ついたりした場合にも、フロート内部に液体が浸入することはない。しかしながら、60℃以上の熱水では発泡NBRが膨潤するため、フロート自身の重量変化が生じたり、一体化している焼結磁石がフロートから脱落してしまうおそれがある。
【0010】
また、金属フロートは、溶接部の信頼性が充分ではなく、例えば、フロート内部に液体が浸入するなどして、フロートが液体中に沈んでしまうおそれがあるため、使用可能な液体や仕様温度条件などの使用環境条件に適したフロートを使い分ける必要がある。
【0011】
このため、耐薬品性を有する合成樹脂に磁性粉末を混合して成形したマグネットフロートが提案されている(特許文献1)。このようなマグネットフロートでは、合成樹脂を発泡させたものと、発泡させないものが存在するが、合成樹脂を発泡させたものでは、上述する発泡プラスチックフロートと同様な問題が生じるため、合成樹脂を発泡させないマグネットフロートとすることが好ましい。
【0012】
しかしながら、合成樹脂の比重は、通常0.95〜2.0程度であり、また、磁性粉末の比重は3〜9程度であるため、これらの混合成形体であるマグネットフロートの比重は、合成樹脂と磁性粉末の混合比にもよるが、1以上となってしまう。
【0013】
マグネットフロートの比重が1以上となってしまうと、該フロートを用いて、比重が1である水や、比重が0.8程度の油類の液面レベル検出することは、マグネットフロートの浮力が足りず、液体中に沈んでしまうため、できない。
【0014】
このようなマグネットフロートを用いた場合の問題を解決するため、マグネットフロートの磁極に対して、反発磁界を形成するように配置した磁石を用いて、マグネットフロートに付加浮力を与える方法が提案されている(特許文献2,3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、磁石の磁力は距離の二乗に反比例するため、このようなフロート式液面検出装置では、マグネットフロートと磁石との間隙が大きくなると、マグネットフロートに対して充分な付加浮力が与えられずに、マグネットフロートが被検出液体中に沈んでしまう可能性がある。
【0017】
また、このようなフロート式液面検出装置を、輸送機器など振動によって液面の波立ちが発生する機器に用いた場合には、フロートが波立ちの影響を受け上下動してしまう。
【0018】
このため、液面レベル検出装置に組み込まれた磁気感応素子がON−OFFを繰り返すチャタリング現象が生じ、液面レベルを正確に検出することができないという問題も有している。
【0019】
なお、液面の波立ちの影響を軽減するため、液面レベル検出装置のフロート外形よりもやや大きめの筒によって、フロートを覆う方法などもあるが、液面レベル検出装置の構造が複雑となり、製造コストも上昇してしまう。
【0020】
本発明は、このような現状に鑑み、マグネットフロートの比重が被検出液体の比重よりも大きい場合であっても、マグネットフロートの可動範囲全域において、マグネットフロートに対して充分に付加浮力が与えられ、マグネットフロートが被検出液体中に沈んでしまうことがないフロート式液面レベル検出装置を提供することを目的とする。
【0021】
さらに本発明では、被検出液体の液面レベルが上昇して、マグネットフロートの位置が上昇したとしても、マグネットフロートの上面側に生じる吸引力によってマグネットフロートが安定させられ、液面の波立ちの影響を受けにくく、正確に液面レベルの変化を検出することができる液面レベル検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、前述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の液面レベル検出装置は、磁性を有するマグネットフロートを、略鉛直に配置されるステムの外周に沿って上下動するように挿管し、マグネットフロートの位置の変化から、被検出液体の液面レベルの変化を検出するフロート式液面レベル検出装置であって、
前記マグネットフロートの下面側に反発力を生じさせるための反発手段と、
前記マグネットフロートの上面側に吸引力を生じさせるための吸引手段と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
また、前記吸引手段は、前記マグネットフロートの磁極に対して、吸引磁界を形成する吸引用磁石であることが好ましい。
さらに、前記吸引手段は、固定手段によって前記ステムの所定位置に固定されているとともに、前記固定手段によって、前記吸引手段と前記マグネットフロートとの間にギャップが形成されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明のフロート式液面レベル検出装置では、前記マグネットフロートの可動範囲において、前記反発手段の反発力と、前記吸引手段の吸引力との和である合成力Fが下記式(1)を満たし、かつ、前記マグネットフロートの上端位置において、前記反発手段の反発力と、前記吸引手段の吸引力との和である合成力F'が下記式(2)を満たすことが好ましい。
【0025】
F>A−C×G ・・・式(1)
F'<A ・・・式(2)
但し、
Fは、マグネットフロートが可動範囲にある場合の反発手段の反発力と吸引手段の吸引力の合成力(g重)、
F'は、マグネットフロートが上端位置にある場合の反発手段の反発力と吸引手段の吸引力の合成力(g重)、
Aは、マグネットフロートの重量(g重)、
Cは、マグネットフロートの体積(cm
3)、
Gは、被検出液体の密度(g重/cm
3)、
とする。
【0026】
なお、前記反発手段は、前記マグネットフロートの磁極に対して、反発磁界を形成する反発用磁石であってもよい。
また、前記反発手段は、前記マグネットフロートの下面に取り付けられた圧縮バネであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、マグネットフロートの下面側に反発力を生じさせるための反発手段及びマグネットフロートの上面側に吸引力を生じさせるための吸引手段を備えているため、被検出液体よりも比重の大きいマグネットフロートを用いることができる。
【0028】
このため、例えば、発泡プラスチックや発泡ゴムなど、被検出液体中に浸漬した場合に、マグネットフロートに被検出液体が浸入または膨潤してしまうような材料を用いる必要がなく、品質劣化のおそれがないマグネットフロートとすることができる。
【0029】
また、液面レベルの上昇に伴ってマグネットフロートが可動範囲の上端位置近傍に至った場合に、吸引手段によってマグネットフロートが吸引されることになるため、液面の波立ちの影響を受けにくくすることができる。
【0030】
また、吸引手段、反発手段として、磁石を用いた場合には、被検出液体中に混入するおそれがある金属磁性粉をこの磁石によって吸着し、被検出液体中から除去することができる。これにより、液面レベル検出装置を取り付けた機器の長寿命化を図ることができる。
【0031】
さらに、反発手段として、圧縮バネを用いた場合には、磁石と比べて安価であるため、液面レベル検出装置の製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の液面レベル検出装置の一例における断面図である。
図1に示すように、この実施例の液面レベル検出装置10は、略円筒形状のステム12と、磁性を有するマグネットフロート14と、マグネットフロート14が近接することによってスイッチがONとなる磁気感応素子16と、磁気感応素子16から信号を取り出すためのリード線18と、マグネットフロート14の下面側に反発力を生じさせる反発用磁石20と、マグネットフロート14の上面側に吸引力を生じさせる吸引用磁石22とを備えている。
【0034】
ステム12は、フランジ部12aの上端部にねじ部12bが一体的に形成されており、被検出液体が貯留される容器(図示せず)に、例えば、図示しないパッキン及びナットを介して略鉛直状に取り付けられる。
【0035】
また、磁気感応素子16としては、例えば、リードスイッチなどを用いることができ、磁気感応素子16とリード線18とは、例えば、はんだ付けなどの方法によって電気的に接続されている。
【0036】
磁気感応素子16は、ステム12内の所定位置に配置され、リード線18が、例えば、ブッシングなどの絶縁手段32と、防水防滴構造とすることを目的としたエポキシ樹脂などのモールド材34とによって固定されている。
【0037】
なお、リード線18の一方の端部は、ステム12の外部に導出され、図示しない制御回路に接続されている。後述するように、磁気感応素子16からのON信号が制御回路によって検出されることによって、被検出液体の液面レベルが変化したことが検出される。
【0038】
また、マグネットフロート14は、特に限定されることはなく、既知のマグネットフロートを用いることができるが、フロート内に液体が浸入することがなく、耐薬品性にも優れることから、耐薬品性を有するプラスチック樹脂材に、ストロンチウムフェライト等のフェライト磁石や希土類磁石などの粉末、特に、コストパフォーマンスおよび磁気特性などの点から、好ましくはストロンチウムフェライト粉末を適量混合してリング状に射出成形し、
図1において、マグネットフロート14の厚み方向において、N極およびS極となるように着磁されたものが望ましい。
【0039】
なお、本実施例では、
図1において、マグネットフロート14の上面側がS極、下面側がN極となるように着磁されている。
また、反発用磁石20は、マグネットフロート14の下面側に反発力を生じさせるための反発手段として作用し、マグネットフロート14の磁極に対して反発磁界を形成するように、本実施例では、磁石20の上面側がN極、下面側がS極となるように、ステム12の底面付近に、例えば、圧入、接着、溶着などの方法によって、脱落しないように固定されている。
【0040】
また、吸引用磁石22は、マグネットフロート14の上面側に吸引力を生じさせるための吸引手段として作用し、マグネットフロート14の磁極に対して吸引磁界を形成するように、本実施例では、磁石22の上面側がS極、下面側がN極となるように、ステム12の所定位置に、例えば、Eリング、Cリング、スナップリングなどの非磁性材料からなる固定手段24によって、脱落しないように取り付けられている。
【0041】
このような反発用磁石20および吸引用磁石22としては、特に限定されるものではないが、例えば、プラスチック磁石、ゴム磁石、焼結磁石、希土類磁石などを用いることができ、反発用磁石20および吸引用磁石22の形状も特に限定されるものではない。
【0042】
なお、固定手段24は、吸引用磁石22を所定位置に固定する目的以外に、マグネットフロート14と吸引用磁石22との間にギャップを形成する目的を有している。
マグネットフロート14が液位の上昇に伴って吸引用磁石22に密着した場合、この密着面に被検出液体が介在すると、この被検出液体の表面張力による粘着力が生じ、液面レベルの下降に伴うマグネットフロート14の下降動作が遅れることになる。
【0043】
この現象を防ぐ目的で、固定手段24を取り付けることによって、マグネットフロート14と吸引用磁石22との間にギャップを形成し、マグネットフロート14と吸引用磁石22との粘着を防いで、マグネットフロート14の下降時の動きを滑らかにすることができる。
【0044】
なお、本実施例においては、反発用磁石20の上面から固定手段24の下面までが、マグネットフロート14が上下動することができる可動範囲となり、マグネットフロート14の下面が反発用磁石20の上面に最接近した位置がマグネットフロート14の「下端位置」、マグネットフロート14の上面が固定手段24の下面と最接近した位置がマグネットフロート14の「上端位置」としている。
【0045】
なお、後述する表1および
図4に示すように、反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力の変動が大きい場合には、合成力の変動幅が小さい範囲でのみマグネットフロート14が上下動するように、ストッパー(図示せず)などを用いて、マグネットフロート14の可動範囲を限定することもできる。
【0046】
また、本実施例では、磁気感応素子16は、マグネットフロート14の上端位置近傍に配置されており、液面レベルの上昇に伴いマグネットフロート14が上端位置近傍に達したときに、リード線18を介してON信号が出力されるように構成されている。
【0047】
このように構成された液面レベル検出装置100では、マグネットフロート14の下面側に反発力が生じるとともに、マグネットフロート14の上面側には吸引力が生じることになる。
【0048】
このため、液面レベルが上昇してマグネットフロート14と反発用磁石20との間隙が大きくなり、反発用磁石20の反発磁力が小さくなったとしても、マグネットフロート14と吸引用磁石22との間隙が小さくなり、吸引用磁石22の吸引磁力が大きくなり、マグネットフロート14に対する付加浮力が充分に与えられることになる。
【0049】
このように、マグネットフロート14に対する付加浮力を充分に与えるためには、下記式(1)で表される条件を満たすように、マグネットフロート14、反発用磁石20、吸引用磁石22の形状および磁力を適宜選定することが好ましい。
【0050】
F>A−C×G ・・・式(1)
但し、
Fは、マグネットフロート14が可動範囲にある場合の反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力(g重)、
Aは、マグネットフロート14の重量(g重)、
Cは、マグネットフロート14の体積(cm
3)、
Gは、被検出液体の密度(g重/cm
3)、
とする。
【0051】
また、マグネットフロート14を被検出液体の液面レベルの変化に伴って上下動させるために、下記式(2)で表される条件を満たすように、マグネットフロート14、反発用磁石20、吸引用磁石22の形状および磁力を適宜選定することが好ましい。
【0052】
F'<A ・・・式(2)
但し、
Fは、マグネットフロート14が上端位置にある場合の反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力(g重)、
Aは、マグネットフロート14の重量(g重)、
とする。
【0053】
式(1)および(2)を満たす合成力は、マグネットフロート14を被検出液体に浮かばせるための必要浮力である。このように選定することによって、マグネットフロート14を被検出液体の液面に浮かばせることができ、被検出液体の液面レベルの変化に伴って、マグネットフロート14がステム12における可動範囲を上下動することになる。
【0054】
なお、マグネットフロート14が下端位置にある場合の反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力Fが、マグネットフロート14の重量Aよりも大きい場合に、マグネットフロート14は反発用磁石20と密着せず、合成力Fと重量Aが釣り合う位置で浮いた状態となる。
このため、マグネットフロート14の可動範囲は、反発用磁石20の上面から固定手段24の下端までよりも、反発用磁石20の上面から、合成力Fと重量Aが釣り合う位置で浮いた状態のマグネットフロート14の下面との距離だけ短くなるため、液面レベル検出範囲が狭くなり好ましくない。
従って、前記合成力Fは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
【0055】
A>F>A−C×G ・・・式(3)
但し、F、A、CおよびGは、前記と同様である。
【0056】
ステム12の全長を伸ばすことによって、液面レベル検出範囲を広くすることができるが、設計が複雑になったり、製造コストが上昇したりする傾向にある。
式(3)を満たすようにマグネットフロート14、反発用磁石20、吸引用磁石22の磁力を選定することによって、被検出液体の液面レベルの変化に伴って、マグネットフロート14が正確に上下動するとともに、マグネットフロート14の可動範囲を最大とすることができる。
【0057】
このように構成される液面レベル検出装置10を、例えば、輸送機器や発電機などの潤滑油の液面レベルを検出するために使用する場合、機器の使用時間の経過に伴い、潤滑油中に磁性金属粉が混入することがある。
【0058】
この場合、機器の寿命に影響する問題が生じるため、通常は、フィルターの交換や潤滑油の交換が必要となる可能性があるが、磁性金属粉は、液面レベル検出装置10の反発用磁石20および吸引用磁石22に吸着されることになる。
【0059】
このように、潤滑油などの被検出液体中の磁性金属粉を、液面レベル検出装置10の反発用磁石20および吸引用磁石22によって除去することができるため、液面レベル検出装置10を取り付けた機器の長寿命化が期待される。
【0060】
なお、磁性金属粉は、マグネットフロート14へはごくわずかにしか付着しないため、マグネットフロート14とステム12との間に磁性金属粉が混入して、マグネットフロート14の動きが阻害されることもない。
【0061】
図2は、マグネットフロート14の別の形状の例を示す概略構成図であり、
図2(a)は、マグネットフロート14の平面図、
図2(b)は、マグネットフロート14の中央断面図である。
【0062】
図2に示すように、このマグネットフロート14は、合成樹脂、好ましくは耐薬品性を有するプラスチック樹脂によって形成される円筒リング形状のフロート本体26と、フロート本体の上下面に、例えば、ゴム磁石などの薄板リング形状の薄板磁石28を取り付けたものである。
【0063】
なお、
図2において符号26aは、薄板磁石28に設けられた固定用孔28aに挿入した状態で、熱溶着などの方法で固定するための薄板磁石取り付けリブである。なお、薄板磁石取り付けリブ26aは、マグネットフロート14と反発用磁石20および吸引用磁石22とが密着しないようにするためのギャップを形成する効果も有する。
【0064】
なお、これまでの実施例では、吸引手段として吸引用磁石を、反発手段として反発用磁石を用いているが、これには限らず、例えば、反発手段として、以下に示すように圧縮バネを用いることもできる。
【0065】
図3(a)は、
図3(a)は、マグネットフロート14に圧縮バネ30を取り付けた例の中央断面図であり、
図3(b)は、マグネットフロート14の下面側に取り付けられる圧縮バネ30の底面図である。
図3(a)に示すように、反発手段として圧縮バネを用いる場合には、このマグネットフロート14の下面側には、圧縮バネ30が取り付けられている。
【0066】
なお、圧縮バネ30は、例えば、0.03mm〜0.10mm程度のステンレス板やリン青銅などのバネ用板材を型で打ち抜き、荷重をかけて円錐状に成形し、熱処理を行ってバネとしたものである。
【0067】
このようにして製作された圧縮バネ30の最大荷重は、数グラム程度と小さくすることができ、マグネットフロート14の下面側に反発力を生じさせることができ、反発用磁石20の代わりに用いることができる。
【0068】
なお、圧縮バネ30の材料は特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック樹脂材やゴム材などを用いてもよい。
【0069】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、マグネットフロート14、反発用磁石20、吸引用磁石22の磁極の対向関係を、本実施例とはそれぞれ反対となるように取り付けることもできる。
【0070】
また、本実施例では、液面レベルが上昇してマグネットフロート14が上端位置近傍に達したときに、リード線18を介してON信号が出力されるように構成したが、磁気感応素子16をマグネットフロート14の下端位置近傍に配置することによって、液面レベルが下降してマグネットフロート14が下端位置近傍に達したときに、リード線18を介してON信号が出力されるように構成することもできるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
本発明の液面レベル検出装置の実施例におけるマグネットフロート14の下面と反発用磁石20の上面との間隙と、反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力との関係性を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
本実施例1において使用したマグネットフロート14は、ポリプロピレン樹脂にストロンチウムフェライトの磁性粉末を混合してリング状に射出成形し、厚み方向において、N極およびS極となるように着磁したものである。
【0074】
マグネットフロート14は、外径:18.5mm、内径:6.5mm、厚さ:8mm、重量:1.952g重、体積:1.593cm
3、比重:1.225、磁力:12.7mTである。
【0075】
このため、このマグネットフロート14が被検出液体に浮かばせるために必要な浮力は、例えば、比重1の水であれば、1.952−1.593×1.0=0.359(g重)であり、比重0.8の油であれば、1.952−1.593×0.8=0.678(g重)である。
【0076】
表1は、マグネットフロート14を電子秤に乗せ、反発用磁石(反発用磁石20に相当)および吸引用磁石(吸引用磁石22に相当)を、それぞれ、マグネットフロート14に対して、平行かつ同軸に配置して、マグネットフロート14と反発用磁石または吸引用磁石との間隙を0.5mmずつ変化させたときの重量変化を測定したものである。
【0077】
なお、間隙0.0mmの位置は、
図1において、マグネットフロート14の下面が、反発用磁石20の上面に近接する位置、すなわち、下端位置にある場合を表し、間隙0.5mmの位置は、
図1において、マグネットフロート14の下面が、反発用磁石20の上面から0.5mm離れた位置にある場合を表す。また、表1において間隙の最大値は、マグネットフロート14の上面が、固定手段24の下面に近接する位置、すなわち、上端位置にある場合を表す。
【0078】
図4は、表1の測定結果をグラフ化したものであり、合成力の値は、上述の式(3)を満たしている。
【0079】
このように反発用磁石(反発用磁石20)および吸引用磁石(吸引用磁石22)の磁力を選定することによって、マグネットフロート14が上端位置近傍に至ると、マグネットフロート14は吸引用磁石(吸引用磁石22)の強い吸引力を受けるため、液面の波立ちの影響を受けにくくなる。
【0080】
[実施例2]
本発明の液面レベル検出装置の別の実施例におけるマグネットフロート14の下面と反発用磁石20の上面との間隙と、反発用磁石20の反発力と吸引用磁石22の吸引力の合成力との関係性を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
本実施例2において使用したマグネットフロート14は、実施例1と同じ材料・方法によって形成されている。一方で、反発用磁石20及び吸引用磁石22の外径はマグネットフロート14の外径の半分程度とし、かつ、吸引磁石の磁力を強くする(30.00mT)構成としている。
【0083】
このように、本実施例2では、マグネットフロートの体積を同一として、外径を大きく、厚さを薄くするとともに、反発用磁石20及び吸引用磁石の外径をできるだけ小さく、磁力を強くする構成とすることによって、マグネットフロート14、反発用磁石20、吸引用磁石22の磁力が互いに効率よく作用するため、合成力の変化を少なくすることができる。
【0084】
本実施例2のような液面レベル検出装置としては、マグネットフロート14の可動範囲全域における合成力の最小値が、マグネットフロート14の可動範囲全域における合成力の最大値の80%以上である装置が好ましく、90%以上である装置がより好ましい。
【0085】
図5は、表2の測定結果をグラフ化したものである。
図5に示すように、
図4と比べて、マグネットフロート14の可動範囲全域における合成力の変化が少なくなっている。すなわち、マグネットフロート14の可動範囲全域において、被検出液体中のマグネットフロート14の浮き代がほとんど変化せず、液面レベルの検出をより正確に行うことができる。
【0086】
このように、反発用磁石(反発用磁石20)および吸引用磁石(吸引用磁石22)の形状や磁力の選定により、特性の異なる液面レベル検出装置とすることができることを示しており、使用用途によって使い分けが可能となる。