(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、主に芝刈車両が旋回指示具及び加速指示具の両方の機能を有する構成として、左右2つの操作レバーを有する左右レバー式操作子を使用する場合を説明するが、これは例示であって、ステアリングハンドルであるステアリング操作子を旋回指示具として使用し、座席の前側に設けられた操作子であるアクセルペダルを加速指示具として使用してもよい。また、以下では、芝刈車両に補助モータであるデッキモータが3つ設けられる場合を説明するが、デッキモータは、1つまたは2つまたは4つ以上でもよい。また、以下では、モータ駆動車両が補助モータで駆動される装置として、対地作業を行う作業機である芝刈り機を有する芝刈車両の場合を説明するが、これも例示であって、モータ駆動車両は電動モータで駆動される車輪を有するものであれば、補助モータで駆動される耕うん機、掘削機等の他の作業機を有する対地作業車両や、補助モータで駆動される清掃機等の別の装置を有する他の車両としてもよい。なお、以下ではすべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
【0016】
図1から
図4は、本発明の第1実施形態を示す図である。
図1は、本実施形態のモータ制御システム12を搭載するモータ駆動車両である芝刈車両10の構成を上方から見た概略構成(a)と、コントローラユニット14の構成(b)とを示す図である。
【0017】
まず、芝刈車両10の全体構成を説明し、その後、モータ制御システム12の構成を説明する。
図1(a)に示すように、エンジン非搭載型の乗用型対地作業車両である芝刈車両10は、車体を構成するメインフレーム16と、左右2つのキャスタ輪18,20と、左右2つの車輪22,24と、作業機である芝刈り機25を構成する芝刈り機本体30と、左右2つの操作レバー34,36と、モータ制御システム12とを備える。モータ制御システム12については後で詳しく説明する。メインフレーム16は、鉄等の金属により構成され、上部に横方向にかけ渡された図示しない板部が固定され、その板部の上側に図示しない座席が固定される。
【0018】
左右のキャスタ輪18,20は、メインフレーム16の前側である
図1(a)の左側に支持される。各キャスタ輪18,20は、前側車輪である操向輪である。各キャスタ輪18,20は、鉛直方向である
図1の表裏方向の軸を中心とする360度以上の自由操向を可能とする。左右の車輪22,24は、メインフレーム16の後側である
図1(a)の右側に支持される。左右の車輪22,24は、後側車輪である主駆動輪であり、後述する左右の電動モータである走行モータ26,28により駆動される。
【0019】
なお、キャスタ輪18,20は、2つ以外、例えば、1つのみを芝刈車両10に設けることもでき、3つ以上の複数個を設けることもできる。また、本実施の形態では、主駆動輪である左右車輪22,24を後輪として、キャスタ輪18,20を前輪としているが、主駆動輪である左右車輪22,24を前輪として、キャスタ輪18,20を後輪とすることもできる。
【0020】
芝刈り機本体30は、モアと呼ばれるもので、メインフレーム16の前後方向中間部で下側に支持されている。芝刈り機本体30は、モアデッキ40と、モアデッキ40の内側にそれぞれ鉛直方向の軸を中心として回転可能な芝刈り用回転工具である図示しない3つの芝刈り用ブレードとを含む。芝刈り用ブレードは、鉛直方向の軸の周りに配置された複数の切断用ブレード要素を含み、切断用ブレード要素が回転されることで芝等を破断して刈り取り可能とする。このような芝刈り機本体30の芝刈り用ブレードは、それぞれ後述するモア関係電動モータであるデッキモータ42により駆動される。
【0021】
芝刈り用ブレードの回転により芝の刈り取りが可能であり、刈り取られた芝は、モアデッキ40の内側から車両の幅方向片側に排出される。なお、芝刈車両10に図示しない集草タンクを搭載するとともに、集草タンクとモアデッキ40とをダクトにより接続し、刈り取った芝を集草タンクに集める構成を採用してもよい。
【0022】
また、芝刈り機の芝刈用回転工具として、芝刈り用ブレード型以外に、地表に平行に回転軸を有するシリンダに例えばらせん状の刃を配置し、芝等を挟み取って刈り取る機能を有し、デッキモータにより駆動される芝刈用リール型も使用できる。
【0023】
左右2つの操作レバー34,36は、運転席の左右両側において、左右方向に向いた水平軸を中心に前後方向の揺動可能に設けられる。各操作レバー34,36は、揺動により対応する側の走行モータ26,28を、揺動側に回転させることを指示する機能を有する。各操作レバー34,36は、直立した中立状態で、走行モータ26,28の回転停止を指示する機能も有する。例えば右の操作レバー36を直立位置から前側に倒すように揺動させることで右の走行モータ28を停止状態から前進方向に回転させることを指示する。また、右の操作レバー36を後側に倒すように揺動させることで右の走行モータ28を後進方向に回転させることを指示する。
【0024】
また、旋回指示具としてステアリングホイール等のステアリング操作子を使用する場合には、ステアリング操作子の操作量及び操作方向を操舵センサにより検出し、操作子である加速指示具としてアクセルペダルを使用する場合には、アクセルペダルの操作量をアクセルセンサにより検出する。
【0025】
以上が芝刈車両10の全体構成であり、次にこの芝刈車両10に搭載されるモータ制御システム12を説明する。モータ制御システム12は、左右2つの走行モータ26,28と、3つの補助モータであるデッキモータ42と、バッテリ43と、左右のレバーセンサ46,48と、再始動許可手段であり、メインスイッチであるキースイッチ58と、コントローラユニット14とを備える。
【0026】
左右の走行モータ26,28は、3相の同期モータまたは誘導モータ等の電動モータであり、それぞれ対応する側の車輪22,24を独立に走行駆動する。左右の走行モータ26,28は、左右車輪22,24のそれぞれに、図示しない減速機構を含む動力伝達部を介して動力の伝達可能に接続される。動力伝達部に設けられる減速機構として、例えば1段または複数段の減速歯車装置を使用してもよい。
【0027】
左右の走行モータ26,28の駆動により左右車輪22,24の回転速度が一致すると、車両の直進走行が可能となる。一方、左右車輪22,24の回転速度差が発生すると、車両の旋回走行が可能となる。
【0028】
図1では、左右の走行モータ26,28及び減速機構は、左右のモータ収容ケース38内に設けられ、各モータ収容ケース38は、メインフレーム16の左右両側に支持されている。なお、左右車輪22,24に減速機構を介さずに走行モータ26,28の動力が伝達される構成を採用してもよい。
【0029】
3つのデッキモータは、モア関係電動モータであり、芝刈り機本体30を構成するモアデッキ40の上側等に設けられ、3つの芝刈り用ブレードの回転軸にそれぞれ連結されている。各デッキモータ42と、
図1に示す芝刈り機本体30とにより、芝刈り機25が構成される。デッキモータ42の起動及び起動停止は、後述する
図2に示すデッキスイッチ44で指示される。
【0030】
バッテリ43は、直流電源であり、各走行モータ26,28及び各デッキモータに接続され、それぞれに電力を供給する。バッテリ43は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウム電池等を採用でき、例えば48V等の電圧を有する。バッテリ43は、外部の商用交流電源から充電器を介して充電可能としてもよい。
【0031】
なお、芝刈車両10は、エンジン及び発電機を備えていわゆるハイブリッド式としてもよい。この場合、エンジンの動力を用いて発電機を発電させ、発電させた電力をバッテリ43に供給可能とする。また、バッテリ43の代わりにキャパシタ等の他の蓄電部を用いてもよい。
【0032】
左右のレバーセンサ46,48は、対応する側の操作レバー34,36の揺動方向及び揺動角度を検出し、検出された信号をコントローラユニット14に送信する。
【0033】
キースイッチ58は、キーを入れた状態でオンオフ操作されるキー操作部がユーザによってオン操作及びオフ操作されたことをそれぞれ取得可能である。すなわちキーがキー操作部に差し込まれて回転されることでキースイッチのオンとオフとが切り換わる。キースイッチ58は、バッテリ43とECU50との間に接続され、オン操作されることでバッテリ43からECU50への電力供給を可能とする。ECU50は、電力が供給されることで起動する。
【0034】
一方、キースイッチ58がオフ操作されると、すべての走行モータ26,28及びデッキモータ42の回転停止を条件として、バッテリ43からECU50への電力供給が遮断され、ECU50の起動が停止される。このような機能は、
図2に示す自己保持リレー60と図示しないスイッチ接続リレーで実現されるが詳細は後で説明する。また、キースイッチ58がオン操作されたことを表す信号は再始動許可信号として、後述するメインコントローラ50に送信される。
【0035】
図1(b)に示すように、コントローラユニット14は、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を制御するもので、ECUと呼ばれる上位コントローラであるメインコントローラ50と、2つの左右走行モータコントローラ52,54と、3つのデッキモータコントローラ56とを含む。なお、
図1(b)では簡略化のため、3つのデッキモータコントローラ56を1つのブロックで示している。以下、メインコントローラは、ECUという。ECU50は、CPU、メモリ等を有するマイクロコンピュータを含む。ECU50は、左右の操作レバー34,36の検出揺動角度から左右の走行モータ26,28の目標回転速度を算出し、対応する下位コントローラである走行モータコントローラ52,54へ目標回転速度を出力する。各走行モータコントローラ52,54は、ドライバである図示しない走行インバータと、走行インバータを制御する図示しない走行制御回路とを含む。走行制御回路は、CPU、メモリ等の記憶部等を含み、ECU50から目標回転速度を表す信号が入力される。走行制御回路は、対応する走行モータ26,28を目標回転速度で回転させるように走行インバータを制御する。なお、本願明細書で「回転速度」には、一般的な回転速度の意味と、毎分等の単位時間当たりの回転数との両方の意味が含まれる。
【0036】
また、ECU50は、充電算出部64と、充電低下処理部66と、第2充電低下処理部68との機能構成を有する。これらの機能構成については後で詳しく説明する。
【0037】
図2は、
図1に示されるモータ制御システム12の全体構成を示すブロック図である。デッキスイッチ44は、図示しない座席の近くに、運転者の操作可能な位置に設けられ、運転者の操作によりオンまたはオフが切り換えられ、オン操作またはオフ操作を表す信号をECU50に送信する。ECU50は、デッキスイッチ44のオンまたはオフを表す信号が送信されると、各デッキモータコントローラ56へ制御信号を出力し、各デッキモータコントローラ56を介して各デッキモータ42の作動状態を制御する。
【0038】
デッキモータコントローラ56は、下位コントローラであり、デッキモータ42を駆動するドライバである図示しないデッキインバータと、デッキインバータを制御する図示しないデッキ制御回路とを含む。デッキ制御回路は、CPU、メモリ等の記憶部等を含み、ECU50からデッキモータ42の目標回転速度を表す信号が入力される。この目標回転速度は予め設定された所定値としてもよい。デッキ制御回路は、対応するデッキモータ42を目標回転速度で回転させるように対応するデッキインバータを制御する。各デッキモータコントローラ56は、ECU50にCAN通信線70で接続される。
【0039】
各走行モータコントローラ52,54も、ECU50にCAN通信線70で接続される。なお、デッキモータコントローラ56は、ECU50及び各走行モータコントローラ52,54を含むコントローラユニットと一体に設けても、分離して設けてもよい。また、各モータコントローラ52,54,56及びECU50を芝刈車両10上で分離して配置してもよい。
【0040】
また、バッテリ43と各走行モータコントローラ52,54との間に2つのリレー80が接続されており、各リレー80はECU50によりオンオフ状態が制御される。各走行モータコントローラ52,54は、バッテリ43に対し互いに並列に接続される。また、バッテリ43と各デッキモータコントローラ56との間にも2つのリレー81が接続されており、各リレー81もECU50によりオンオフ状態が制御される。各デッキモータコントローラ56も、バッテリ43に対し互いに並列に接続される。
【0041】
ECU50は、左右のレバーセンサ46,48(または操舵センサ及びアクセルセンサ)の検出信号に応じて、対応する方向に対応する速度で車両を走行させるために、左右の走行モータ26,28の目標トルクを図示しない目標トルク算出部で算出してもよい。この場合、ECU50は、各走行モータコントローラ52,54に、対応する走行モータ26,28の目標トルクを送信し、各走行モータ26,28の作動を制御する。なお、
図2では、左右のレバーセンサ46,48をメインとサブとのそれぞれ2つずつ設けた場合を示している。このように各レバーセンサ46,48で2つのセンサを用いることで同じ側のセンサ同士で異なる検出値が検出された場合にECU50がセンサに異常が生じたと判定し、車両を停止させる等、異常対応処理を実行することができる。ただし、左右のレバーセンサ46,48は、それぞれ1つずつのみを設けることもできる。
【0042】
インジケータ72は、運転席の周辺部に設けられ、ECU50が車両に異常が発生したと認識した場合にその異常の発生を表示したり、点灯部等でユーザに知らせる機能を有する。インジケータ72において、外部交流電源によりバッテリ43を充電している場合に、充電中を表示する機能を持たせてもよい。
【0043】
また、ECU50は、DC/DCコンバータ74と、キースイッチ58に接続された図示しないスイッチ接続リレーとを介してバッテリ43に接続される。DC/DCコンバータ74は、バッテリ43の電圧を降圧してECU50に供給する。例えば、バッテリ43の電圧が48Vである場合、DC/DCコンバータ74で12Vに降圧してECU50に供給し、ECU50を起動させる。
【0044】
自己保持リレー60は、バッテリ43とECU50との間に、キースイッチ58と並列に接続され、ECU50からの制御信号によりオンとオフとが切り換えられる。キースイッチ58がオンされたときにはバッテリ43からDC/DCコンバータ74及びスイッチ接続リレーを介してECU50に電力が供給され、ECU50は自己保持リレー60をオンする。これによって、自己保持リレー60は、バッテリ43とECU50とを、バッテリ43の電力をECU50に供給可能に接続する。一方、キースイッチ58がオンからオフに切り換えられたときには、スイッチ接続リレーは遮断されるが、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42のすべてが停止されるまでは、自己保持リレー60をオンのまま維持する。各走行モータ26,28及び各デッキモータ42のすべてが停止されると、ECU50は自己保持リレー60にオンからオフに切り換える制御信号を出力し、自己保持リレー60のオフによりバッテリ43からECU50への電力供給が遮断される。このような構成により、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42のいずれか1つでも駆動中であれば、誤ってキースイッチ58がオフされてもECU50の電力がすぐに遮断されることはない。勿論、自己保持リレー60を備えず、バッテリ43からDC/DCコンバータ74とキースイッチ58とを介してECU50に電力を供給する構成としてもよい。
【0045】
電流センサ76及び電圧センサ78は、それぞれバッテリ43に接続され、バッテリ43の入出力電流及び出力電圧を検出する。電流センサ76及び電圧センサ78により検出された入出力電流及び出力電圧を表す信号はECU50に入力される。警告ブザー62は、運転席周辺部に設けられ、ECU50から制御信号が入力されることにより作動が制御される。
【0046】
ECU50が有する充電算出部64は、入力された出力電流及び出力電圧を用いてバッテリ43の充電量であるSOCを算出する。なお、電流センサ76または電圧センサ78の一方のみを設けて、この一方のセンサによりSOCを算出する構成としてもよい。また、ECU50が有する充電低下処理部66は、「車両ロックステップ」と、「減速走行ステップ」とを各モータコントローラ52,54,56を用いて実行する。
【0047】
「車両ロックステップ」は、算出されたSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達すると、各デッキモータ42及び各走行モータ26,28をすべて作動不能状態とする「車両ロックモード」を実行する。ここで、モータの作動不能状態とは、モータの駆動中ではモータを停止させ、モータの駆動停止中では
図1の左右の操作レバー34,36やデッキスイッチ44の操作の有無にかかわらず、対応するモータの駆動を実行させないように、ECU50から対応するモータコントローラへ駆動用の制御信号を出力しないようにすることである。
【0048】
また、「減速走行ステップ」は、キースイッチ58がオフされた後、再始動許可信号としてのキースイッチ58が再度オンされたことを表す信号がECU50で受け取られると、減速走行モードである「ローパワーモード」を実行する。「ローパワーモード」は、各走行モータ26,28の作動不能状態を解除するとともに、走行モータ26,28の回転速度として、対応する操作レバー34,36の操作量である揺動角度に応じた許可速度を、通常時の許可速度である通常許可速度に対し所定割合X%に低下させる。例えば、右の操作レバー36を中立位置から前側に所定角度分倒す場合がある。この所定角度が通常時に右の走行モータ28を所定回転速度で回転させる場合に対応すると、ローパワーモードではこの所定回転速度から100%未満の所定割合であるX%、例えば50%に減少した回転速度で右の走行モータ28を回転させる。左の走行モータ26の場合も同様である。
【0049】
ECU50が有する第2充電低下処理部68は、算出されたSOCが第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下(SOC≦Tsoc2<Tsoc1)に達すると、各走行モータ26,28を再び作動不能状態とする「モータ再作動不能化ステップ」を実行する。
【0050】
また、ECU50は、SOCが第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達すると、キースイッチ58がオフされるまで警告ブザー62を作動させる。
【0051】
なお、ECU50の各機能は、記憶されたプログラムの実行等によりソフトウェアで実現することもできるが、一部または全部をハードウェアで実現することもできる。
【0052】
このようなモータ制御システム12は、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を
図3に示す制御方法により制御する。
図3は、本実施形態のモータ制御システム12を用いて走行モータ26,28及びデッキモータ42を制御する方法を示すフローチャートである。ステップS10(以下、ステップSは単にSという。)において、充電低下処理部66は、充電算出部64により算出されたSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S12で「車両ロックモード」を実行し、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を作動不能状態とする。
【0053】
次いで、S14で充電低下処理部66は、キースイッチ58がオフされた後、キースイッチ58が再度オンされると、S16で「ローパワーモード」を実行する。ローパワーモードでは、各デッキモータ42の作動不能状態を維持した状態で、各走行モータ26,28の作動不能状態を解除するとともに、各走行モータ26,28の対応する操作レバー34,36の操作に応じた速度である許可速度を、通常許可速度に対し予め設定された所定割合であるX%に低下させる。この場合、車両走行時に車両ロックモードが実行されると、車両が停止するので、キースイッチ58のオン操作後、ローパワーモードの実行で各操作レバー34,36を中立位置から例えば前側に倒すことで車両の前進走行が可能となる。この場合、操作レバー34,36の操作に対応する通常時の車速に対して車速がX%に減速される。例えば車両の最高車速も通常時の最高車速のX%に低下する。
【0054】
次いで、S18でさらにSOCが低下して第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下(SOC≦Tsoc2)に達すると、第2充電低下処理部68は、各走行モータ26,28を再び作動不能状態とする「モータ再作動不能化ステップ」を実行する。
【0055】
また、S10でECU50は、SOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S22で警告ブザー62を作動させ、S22,S24でキースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。ECU50は、キースイッチ58がオフされたら、警告ブザー62の作動を停止させる。
【0056】
なお、警告ブザー62の代わりに、インジケータ72を警告部として使用し、S22からS26でインジケータ72で「充電要」を表す表示、例えば「CHARGE」の文字をキースイッチ58がオフされるまで表示させてもよい。また、警告部として
図2に示すLED等の警告点灯部82を使用し、S22からS26でキースイッチ58がオフされるまで警告点灯部82で点灯または点滅させてもよい。
【0057】
このようなモータ制御システム12を搭載した芝刈車両10によれば、操作レバー34,36を揺動させることで、前進側または後進側に車両を加速させることができる。また、左右の操作レバー34,36の倒し量を変えることで左右の車輪22,24の回転速度差を生じさせ、車両を旋回させることができる。
【0058】
また、上記のモータ制御システム12によれば、バッテリ43のSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下に達すると、すべての走行モータ26,28及びデッキモータ42を作動不能状態とし、再始動する場合でもデッキモータ42の作動不能状態を維持する。このため、SOCの低下の場合に運転者に待避走行の必要を認識させ、退避走行の機会を提供できるとともに、その提供後のSOCの低下を抑制して車両の走行可能距離を長くできる。
【0059】
また、SOCが第1閾値Tsoc1以下になり、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42が作動不能状態とされた後、各走行モータ26,28の作動不能状態が解除された場合に、各走行モータ26,28の許可速度が低下するローパワーモードが行われるので、SOCの低下をより有効に抑制でき、走行可能距離をより長くできる。
【0060】
図4は、本実施形態において、許可最高車速で車両が走行する場合に、バッテリ43の充電量であるSOCが徐々に低下する様子を示す図である。
図4に実線αで示すように、SOCが低下して第1閾値Tsoc1以下に達すると、すべての走行モータ26,28及びデッキモータ42を作動不能にした後の再始動後でもデッキモータ42の作動不能状態を維持する場合、時間t1以降でSOCの低下速度が緩やかになる。このため、SOCがさらに低下して第2閾値Tsoc2に達して走行モータ26,28が再び作動不能状態となるまでの走行可能距離を長くできる。例えば、本実施形態と異なり、
図4に破線βで示すように、SOCが第1閾値Tsoc1以下になったときでもデッキモータ42を作動不能とせず、しかも走行モータ26,28の許可速度を低下させるローパワーモードを行わない場合、SOCがすぐに第2閾値Tsoc2に達して走行モータ26,28が作動不能状態となる。この場合、SOCの低下速度が急激になるので、本実施形態の場合に比べて走行可能距離がt2からt3までの時間taに対応する距離分短くなる。
【0061】
図5は、本実施形態の別例の制御システムにおいて、走行モータ26,28及びデッキモータ42を制御する方法を示すフローチャートである。上記では、再始動許可手段をキースイッチ58としていたが、
図5に示す別例では、再始動許可手段を
図2に示すレバースイッチ84またはLEDスイッチ86としている。まず再始動許可手段をレバースイッチ84とする場合を説明する。
図2に示すように、レバースイッチ84として左右2つが設けられる。左右のレバースイッチ84は、左右の操作レバー34,36の直立状態でユーザが左右の操作レバー34,36の間隔を広げるように特定方向である左右両側に倒すように移動させることで操作部がオン操作される。左右のレバースイッチ84は、操作部がオン操作されたことを電気信号として取得して、ECU50に再始動許可信号を送信する。再始動許可信号がECU50で受け取られると、ECU50は上記と同様にローパワーモードを実行する。また、レバースイッチ84はニュートラルスイッチの機能を持たせて、レバースイッチ84がオン操作され続ける状態で、ECU50により電磁ブレーキを作動させる等により車両停止状態を維持することもできる。
【0062】
また、再始動許可手段をLEDスイッチ86とする場合、LEDスイッチ86は、運転席の周辺部に設けられ、LEDから構成される操作部を含む。LEDスイッチ86は、操作部がオン操作されたことを電気信号として取得して、ECU50に再始動許可信号を送信する。再始動許可信号がECU50で受け取られると、ECU50は上記と同様にローパワーモードを実行する。
【0063】
図5のフローチャートのS30,S32は、
図3のフローチャートのS10,S12と同様である。S34でレバースイッチ84またはLEDスイッチ86がオン操作されると、S36に移行してローパワーモードが実行される。
図5のフローチャートのS36からS40も、
図3のフローチャートのS16からS20と同様である。
【0064】
また、S30でECU50は、SOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S42で警告ブザー62等の警告部を作動させ、S42,S44でキースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。ECU50は、キースイッチ58がオフされると、S46でECU50へのバッテリ43からの給電が停止されオフされるので、警告部の作動も停止する。このような別例の構成の場合も、
図1から
図4に示した実施形態と同様に、SOCの低下を有効に抑制でき、走行可能距離を長くできる。
【0065】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態の制御システムにおいて、走行モータ及びデッキモータを制御する方法を示すフローチャートである。以下の説明では、
図1、
図2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。本実施形態の基本構成は、上記の第1実施形態と同様である。本実施形態では、キースイッチ58を再始動許可手段としては使用しない。その代わりに、ECU50が有する充電低下処理部66は、バッテリ43の充電量であるSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下に達すると、デッキモータ42を作動不能状態にするステップを行う「デッキロックモード」を実行する。また、充電低下処理部66は、デッキモータ42を作動不能状態にした後にバッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下に達すると、走行モータ26,28の許可速度を通常許可速度に対し所定割合に低下させる減速走行モードである「ローパワーモード」を行わせるステップを実行する。また、ECU50が有する第2充電低下処理部68は、ローパワーモードの実行後にバッテリ43のSOCが第2閾値Tsoc2よりも低い第3閾値Tsoc3以下に達すると、走行モータ26,28を作動不能状態にする「モータ作動不能化ステップ」を実行する。
【0066】
また、ECU50は、バッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1以下に達すると、バッテリ43とECU50との間に接続されるキースイッチ58がオフされるまで警告部を作動させる。
【0067】
次に、
図6のフローチャートを用いて、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を制御する方法を説明する。S50において、充電低下処理部66は、充電算出部64により算出されたSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S52で「デッキロックモード」を実行し、各デッキモータ42を作動不能状態とする。
【0068】
次いで、S54で充電低下処理部66は、SOCがさらに低下して第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下(SOC≦Tsoc2)に達すると、S56で各走行モータ26,28の対応する操作レバー34,36の操作に応じた速度である許可速度を、通常許可速度に対し予め設定された所定割合であるX%に低下させるローパワーモードを実行させる。この場合、デッキモータ42の作動不能状態を維持する。
【0069】
次いで、S58でさらにSOCが低下して第2閾値Tsoc2よりも低い第3閾値Tsoc3以下(SOC≦Tsoc3)に達すると、第2充電低下処理部68は、各走行モータ26,28を作動不能状態とする「モータ作動不能化ステップ」を実行する。
【0070】
また、S50でECU50は、SOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S62で警告ブザー62等の警告部を作動させ、S62,S64でキースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。ECU50は、キースイッチ58がオフされると、S66でECU50へのバッテリ43からの給電が停止されオフされるので、警告部の作動も停止する。
【0071】
上記のモータ制御システムによれば、バッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1以下に達すると、デッキモータ42を作動不能状態とするデッキロックモードが行われるので、バッテリ43のSOCの低下を有効に抑制でき、走行可能距離を長くできる。また、バッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下に達すると、走行モータ26,28の許可速度を低下させるローパワーモードが行われるので、バッテリ43のSOCの低下をより有効に抑制でき、走行可能距離をより長くできる。また、SOCが第1閾値Tsoc1以下に達してから第2閾値Tsoc2以下に達するまではデッキモータ42が作動不能状態となるが走行モータ26,28の許可速度を低下させずにすみ、長時間の走行性能の低下を抑制できる。
【0072】
図7は、本実施形態において、許可最高車速で車両が走行する場合に、バッテリ43のSOCが低下する様子を示す図である。
図7に実線γで示すように、SOCが低下して第1閾値Tsoc1以下に達すると、すべてのデッキモータ42が作動不能状態となるので、時間t1以降でSOCの低下速度が緩やかになる。また、SOCがさらに低下して第2閾値Tsoc2に達すると、走行モータ26,28の許可速度を低下させるローパワーモードが行われるので、時間t2以降でSOCの低下速度がさらに緩やかになる。このため、SOCがさらに低下して第3閾値Tsoc3に達して走行モータ26,28が作動不能状態となるまでの走行可能距離を長くできる。例えば、本実施形態と異なり、
図7に破線βで示すように、SOCが第1閾値Tsoc1以下になったときでもデッキモータ42を作動不能とせず、しかも走行モータ26,28の許可速度を低下させるローパワーモードを行わない場合、SOCが第2閾値Tsoc2に達して走行モータ26,28が作動不能状態となる。この場合、SOCの低下速度が急激になるので、本実施形態の場合に比べて走行可能距離がt3からt4までの時間tbに対応する距離分短くなる。その他の構成及び作用は、上記の第1実施形態と同様である。
【0073】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態の制御システムにおいて、走行モータ及びデッキモータを制御する方法を示すフローチャートである。以下の説明でも、
図1、
図2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。本実施形態の基本構成は、上記の第1実施形態と同様である。本実施形態でも、キースイッチ58を再始動許可手段としては使用しない。その代わりに、ECU50が有する充電低下処理部66は、バッテリ43の充電量であるSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下に達すると、デッキモータ42を作動不能状態にするステップを行う「デッキロックモード」を実行する。また、充電低下処理部66は、デッキモータ42を作動不能状態にした後にバッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下に達すると、走行モータ26,28を作動不能状態とする「モータ作動不能化ステップ」を実行する。
【0074】
また、ECU50は、バッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1以下に達すると、バッテリ43とECU50との間に接続されるキースイッチ58がオフされるまで警告部を作動させる。
【0075】
次に、
図8のフローチャートを用いて、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を制御する方法を説明する。S70において、充電低下処理部66は、充電算出部64により算出されたSOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S72で「デッキロックモード」を実行し、各デッキモータ42を作動不能状態とする。
【0076】
次いで、S74で充電低下処理部66は、SOCがさらに低下して第1閾値Tsoc1よりも低い第2閾値Tsoc2以下(SOC≦Tsoc2)に達すると、S76で各走行モータ26,28を作動不能状態とする「モータ作動不能化ステップ」を実行する。
【0077】
また、S70でECU50は、SOCが予め設定された第1閾値Tsoc1以下(SOC≦Tsoc1)に達したと判定すると、S78で警告ブザー62等の警告部を作動させ、S78,S80でキースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。ECU50は、キースイッチ58がオフされると、S82でECU50へのバッテリ43からの給電が停止されオフされるので、警告部の作動も停止する。
【0078】
上記のモータ制御システムによれば、バッテリ43のSOCが第1閾値Tsoc1よりも低い第1閾値Tsoc2以下に達すると、デッキモータ42を作動不能状態とするデッキロックモードが行われるので、バッテリ43のSOCの低下を有効に抑制でき、走行可能距離を長くできる。このような構成は、上記の第2実施形態でローパワーモードを省略したのと同様である。
【0079】
[第4実施形態]
図9は、本発明の第4実施形態の制御システムにおいて、走行モータ及びデッキモータを制御する方法を示すフローチャートである。以下の説明でも、
図1、
図2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。本実施形態は、上記の
図8に示した第3実施形態において、デッキロックモードの実行及び走行モータの作動不能化の実行を行うためにバッテリ43のSOCで判定せず、バッテリ43の電圧で判定している。すなわち、ECU50は図示しない電圧低下処理部を有する。電圧低下処理部は、
図2の電圧センサ78で検出されたバッテリ43の検出電圧が予め設定された閾値Tmv以下に達すると、デッキロックモードを実行するステップを行う。また、電圧低下処理部は、バッテリ43の検出電圧が電圧上昇後、再度閾値Tmv以下に達すると、すべての走行モータ26,28を作動不能状態とする「モータ作動不能化ステップ」を行う。
【0080】
また、ECU50は、検出電圧が予め設定された閾値Tmv以下に達したと判定すると、警告ブザー62等の警告部を作動させ、キースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。
【0081】
次に、
図9のフローチャートを用いて、各走行モータ26,28及び各デッキモータ42を制御する方法を説明する。S90において、電圧低下処理部は、検出電圧が予め設定された閾値Tmv以下に達したと判定すると、S92で「デッキロックモード」を実行し、各デッキモータ42を作動不能状態とする。
【0082】
次いで、S94で電圧低下処理部は、検出電圧が上昇後、再度閾値Tmv以下に達すると、S96で各走行モータ26,28を作動不能状態とする「モータ作動不能化ステップ」を実行する。
【0083】
また、S90でECU50は、検出電圧が予め設定された閾値Tmv以下に達したと判定すると、S98で警告ブザー62等の警告部を作動させ、S98,S100でキースイッチ58がオフされるまで作動させ続ける。ECU50は、キースイッチ58がオフされると、S102でECU50へのバッテリ43からの給電が停止されオフされるので、警告部の作動も停止する。
【0084】
上記構成のモータ制御システムによれば、バッテリ43の検出電圧が閾値Tmvに達すると、デッキモータ42を作動不能状態とするデッキロックモードが行われるので、バッテリ43のSOCの低下を有効に抑制でき、走行可能距離を長くできる。その他の構成及び作用は、上記の
図8に示した第3実施形態と同様である。