(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1:はじめに
1−1:時間方向制御を行わないABL制御について(
図1)
1−2:テロップ出没時のABL制御例(
図4)
1−3:テロップ出没時のゲイン変化について(
図5)
2:基本構成(時間方向制御を行うABL制御)
2−1:表示装置10の構成(
図6)
2−2:時間方向制御部112
2−2−1:時間方向制御部112が行う処理(
図7)
2−2−2:高速でゲインを応答させる制御を行う場合の例(
図8)
2−2−3:低速でゲインを応答させる制御を行う場合の例(
図9)
2−2−4:入力される応答制御値(
図10)
2−2−5:時間方向制御部112の構成例(
図11)
2−3:制御値選択部110が行う処理(
図12)
2−4:処理の流れ
2−4−1:ABL制御部100が行う処理の流れ(
図13)
2−4−2:時間方向制御部112が行う処理の流れ(
図14)
2−4−3:制御値選択部110が行う処理の流れ(
図15)
2−5:時間方向制御による効果(
図16)
3:変形例
3−1:第1変形例(信号変換により応答制御値を算出;
図17)
3−2:第2変形例(2つの閾値により応答制御値を選択;
図18)
3−3:第3変形例(テロップの有無情報を利用;
図19)
3−4:第4変形例(Codec情報を利用;
図20)
4:まとめ
【0014】
<1:はじめに>
[1−1:時間方向制御を行わないABL制御について(
図1)]
まず、
図1〜
図3を参照しながら時間方向制御を行わない場合のABL制御について説明する。
【0015】
ABL制御は、OLED(Organic Light−Emitthing Diode)ディスプレイ、FED(Field Emission Display)、SED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)、PDP(Plasma Display Panel)などの自発光型の表示装置に対して行われる。
【0016】
図1は、時間方向制御を行わないABL制御について説明するための説明図である。
図1に示すように、ABL制御部500を含む表示装置に、画像信号又はビデオ信号が入力される。但し、当該画像信号又はビデオ信号は、後述する表示部118に表示した際に最適な表示状態になる信号であるとは限らない。
【0017】
そのため、まず、ABL制御部500のリニア変換部102は、入力された画像信号又はビデオ信号を、表示部118に最適な信号へとリニア変換(ウィンドウレベル変換)する。以下では、リニア変換の概要及びリニア変換部102が行う処理について説明する。
【0018】
リニア変換とは、γ空間に圧縮された画像信号又はビデオ信号を、光強度(輝度)に比例する値に変換することを言う。上述したように、輝度と電流値の関係は、比例しているので、電流値に変換する事と等価である。
【0019】
図2は、リニア変換について説明するための説明図である。xは、γ空間に圧縮された画像信号又はビデオ信号を表す。また、yは、光強度(輝度)に比例する信号を表す。リニア変換では、例えば
図2に示すように、関数y=x
2.2に従って、γ空間に圧縮された画像信号又はビデオ信号xを、光強度(輝度)に比例する信号yに変換する。
【0020】
以上、リニア変換の概要及びリニア変換部102が行う処理について説明した。次に、一画面電流平均値算出部104が行う処理について説明する。
【0021】
一画面電流平均値算出部104には、リニア変換部102により変換された画像信号として電流値が入力される。一画面電流平均値算出部104は、入力された画像に含まれる画素について、電流値の平均値を算出する。また、一画面電流平均値算出部104にビデオ信号が入力された場合には、各フレームに含まれる画素ごとの電流値の平均値を算出する。
【0022】
なお、本稿において、入力された画像に含まれる画素又は入力されたビデオ信号の各フレームに含まれる画素について算出された電流値の平均値を、一画面電流平均値ともよぶこととする。一画面電流平均値算出部104は、算出した一画面電流平均値を、ゲイン算出部106に出力する。また、一画面とは、画像信号における一画像、又はビデオ信号における一フレームをさす。
【0023】
ゲイン算出部106は、入力された一画面電流平均値に基づいて、各画面の輝度を調節するためのゲインを算出する。ゲイン算出部106のゲイン算出方法は、入力された一画面電流平均値によって、以下の2通りに分類できる。
【0024】
(入力された一画面電流平均値が閾値THより小さい場合)
ゲイン算出部106は、ゲインGを1.0(フルゲイン)と算出する。入力された一画面電流平均値Iが閾値TH以下である場合には、その値をそのまま表示部118に入力しても、表示部118の発光素子に過電流が流れることがないためである。
【0025】
(入力された一画面電流平均値が閾値TH以上の場合)
ゲイン算出部106は、ゲインGを、関数G=TH/Iに従って算出する。なお、Iは、ゲイン算出部106に入力される一画面電流平均値である。入力された一画面電流平均値Iが大きくなるほど、ゲインGは一画面電流平均値Iに反比例して小さくなるように算出される。
【0026】
入力された一画面電流平均値Iが閾値TH以上の場合には、そのままの値を表示部118に入力すると、表示部118の発光素子に過電流が流れてしまう。そのため、ゲインGを一画面電流平均値Iに反比例するように調節し、表示部118の発光素子に過電流が流れることを防止する。
【0027】
ゲイン算出部106は、上記2通りいずれかのゲイン算出方法によりゲインを算出すると、算出したゲインをゲイン制御部114に出力する。
【0028】
ゲイン制御部114には、上記のように、リニア変換部102により変換された画像信号又はビデオ信号が入力される。また、上記のように、ゲイン制御部114には、ゲイン算出部106により算出された各画面のゲインが入力される。
【0029】
ゲイン制御部114は、リニア変換後の画像又はビデオに含まれる各画素の電流値に、算出されたゲインを乗算することにより、表示部118に入力する画像信号又はビデオ信号を生成する。
【0030】
算出された一画面電流平均値が閾値THより小さい場合、リニア変換後の画像信号又はビデオ信号がそのまま表示部118に入力される。一方、算出された一画面電流平均値が閾値TH以上の場合、リニア変換後の画像信号又はビデオ信号の電流値に、ゲインGが乗算された値が表示部118に入力される画像信号又はビデオ信号となる。
【0031】
ゲイン制御部114は、ゲイン制御をした画像信号又はビデオ信号を、表示制御部116に出力する。表示制御部116は、入力された画像信号又はビデオ信号に基づいて表示部118の表示制御を行う。表示部118の入力がγ空間の信号を必要とする場合は、リニア変換部102で、リニア変換した信号をγ空間の信号に再変換する必要がある。表示部118の入力が、光強度(輝度)に比例する信号を必要とする場合は、このままでよい。
【0032】
図3は、γ変換について説明するための説明図である。x’は、光強度(輝度)に比例する信号を表す。また、y’は、γ空間に圧縮された画像信号又はビデオ信号を表す。γ変換では、例えば
図3に示すように、関数y’=x’
1/2.2に従って、光強度(輝度)に比例する信号x’を、γ空間の信号y’に再変換する。
【0033】
以上、
図1〜
図3を参照しながら、時間方向制御を行なわない場合のABL制御について説明した。
【0034】
[1−2:テロップ出没時のABL制御例(
図4)]
以下では、
図4を参照しながら、映像の途中でテロップが出没するビデオ信号が入力される場合に、ABL制御により生じる現象について説明する。
図4は、テロップ出没時のABL制御について説明するための説明図である。
【0035】
図4に示すように、ABL制御を行う対象となるあるフレームP
1に、人物H
1と、背景B
1と、テロップT
1とが含まれる場合について考える。但し、フレームP
1の前のフレームP
0にはテロップが含まれず、フレームP
1においてテロップが出現することとする。
【0036】
ここで、入力されたビデオ信号に対し、ABL制御部100は、リアルタイムで処理を行い、表示部118部にビデオ信号を出力する必要がある。そのため、一般に、ABL制御においては、入力ビデオ信号を制御するゲインを、フレームごとに算出する。つまり、入力ビデオ信号を、フレームに含まれる画素ごとに制御するわけではない。
【0037】
テロップT
1が出現すると、フレームP
1全体の電流平均値が高くなる。フレームP
1の一画面電流平均値がゲイン算出における上記閾値TH以上の場合、入力されたフレームP
1は、ABL制御によりフレームP
1ABLのように制御されて表示部118に表示されることとなる。
【0038】
図4に示すように、ABL制御後のフレームP
1ABLにおいて、輝度が安定してほしい人物H
1ABLや背景B
1ABLなどのテロップT
1ABL以外の部分が、テロップ出現時に瞬間的に暗くなってしまうことがある。
【0039】
また、テロップが消滅した場合には、輝度の変化が生じる。この場合でも、画面全体をABL制御される結果、テロップ以外の人物や背景の部分の輝度が瞬間的に変化してしまう。
【0040】
以上、
図4を参照しながら、映像の途中でテロップが出没するビデオ信号が入力される場合に、ABL制御により生じる現象について説明した。
【0041】
[1−3:テロップ出没時のゲイン変化について(
図5)]
以下では、
図5を参照しながら、テロップ出没によるゲイン変化について説明する。
図5は、テロップ出没によるゲイン変化について説明するための説明図である。
【0042】
図5に示すように、ゲイン算出部106は、入力される一画面電流平均値Iが閾値THまでは、ゲインGをフルゲインである1.0と算出する。また、ゲイン算出部106は、入力される一画面電流平均値Iが閾値TH以上のABL動作領域において、ゲインGを関数G=TH/Iに従って算出する。
【0043】
ABL動作領域において、テロップの出現により一画面電流平均値IがI
1からI
2に増加した場合、その増加に応じてゲインGはG
1からG
2へと減少する。また、テロップの消滅により一画面電流平均値IがI
2からI
1に減少した場合、その減少に応じてゲインGはG
2からG
1へと増加する。
【0044】
このように、テロップの出没などの画面の一部のみの入力信号の変化が生じた場合でも、当該画面のゲインが変化し、ABL制御後の画面の輝度が短時間に変化してしまう。時間的に連続的な動画コンテンツの輝度の時間方向に急峻な変化は、人間に知覚されやすく、画質劣化を引き起こす原因となる。
【0045】
一方で、動画コンテンツの再生において画面全体の入力信号の変化が生じる場合には、表示部118の発光素子や電源保護の観点から、過電流が流れないようにゲインを素早く調節する必要もある。
【0046】
上記のような現象を踏まえて鋭意検討した結果、本発明者は、入力ビデオ信号に対してゲインを素早く調節する(換言すれば、ゲインを高速で応答させる)か、遅く調節する(換言すれば、ゲインを低速で応答させる)かを、入力ビデオ信号に応じて適切に選択可能な以下の技術に想到した。
【0047】
具体的には、表示装置に入力ビデオ信号の電流値の増加が急峻な場合に、ゲインを入力ビデオ信号に高速で応答させ、増加が緩慢な場合に、ゲインを入力ビデオ信号に低速で応答させるABL制御を考えた。
【0048】
<2:基本構成(時間方向制御を行うABL制御)>
[2−1:表示装置10の構成(
図6)]
以下では、
図6を参照しながら、本開示の第1実施形態に係る表示装置10の全体構成について説明する。
図6は、本開示の第1実施形態に係る表示装置10の全体構成について説明するための説明図である。表示装置10は、例えば、静止画像を撮影可能なデジタルスチルカメラ、動画像を撮影可能なビデオカメラ、或いは、デジタルスチルカメラやビデオカメラと同等の撮像機能を搭載した携帯電話、ゲーム機、情報端末、パーソナルコンピュータなどである。
【0049】
なお、
図6に示した表示装置10の全体構成は一例であり、一部の構成要素を変更したり、追加したり、削除したりしても良い。以下では、
図6を参照しながら、表示装置10の全体構成について説明する。但し、以下に示す表示装置10の基本構成では、主にテロップの出現などによってビデオの輝度が増加する場合について説明する。ABL制御が必要な場合は主に、ビデオの輝度が瞬間的に増加する場合であるためである。
【0050】
表示装置10は、ABL制御部100と、表示制御部116と、表示部118とを主に備える。また、ABL制御部100は、リニア変換部102と、一画面電流平均値算出部104と、ゲイン算出部106と、フレーム間差分算出部108と、制御値選択部110と、時間方向制御部112と、ゲイン制御部114とを備える。
【0051】
ABL制御部100の構成要素のうち、リニア変換部102と、一画面電流平均値算出部104と、ゲイン算出部106と、ゲイン制御部114については時間方向制御を行なわないABL制御部500の構成要素の機能と同様である。
【0052】
表示装置10に入力されたビデオ信号は、リニア変換部102によりリニア変換される。リニア変換部102は、リニア変換したビデオ信号を、一画面電流平均値算出部104及びゲイン制御部114に出力する。
【0053】
一画面電流平均値算出部104は、ビデオ信号の各フレームについて一画面電流平均値を算出すると、算出した一画面電流平均値を、ゲイン算出部106及びフレーム間差分算出部108に出力する。
【0054】
ゲイン算出部106は、一画面電流平均値に基づいてゲインを算出すると、算出したゲインを、時間方向制御部112に出力する。
【0055】
フレーム間差分算出部108は、入力されたフレームの一画面電流平均値と、当該フレームの直前に入力されたフレームの一画面電流平均値との差分(以下、フレーム間差分ともよぶこととする。)を算出する。フレーム間差分算出部108は、算出したフレーム間差分を、制御値選択部110に出力する。
【0056】
テロップの出没などのように、フレームに含まれる一部の領域のみの輝度が変化する場合には、フレーム全体での一画面電流平均値の変化は小さい。そのため、動画コンテンツの場面転換など、フレーム全体の輝度が変化する場合と比較して、フレーム間差分は小さくなる。
【0057】
つまり、フレーム間差分を算出することにより、入力ビデオ信号のフレーム全体の輝度が変化したか、又は入力ビデオ信号のフレームの一部の輝度のみが変化したかを判別できる。
【0058】
制御値選択部110は、入力されたフレーム間差分に基づいて、時間方向制御部の応答制御値を2種類の値から選択する。制御値選択部110が行う処理の詳細については後述する。制御値選択部110は、算出した応答制御値を、時間方向制御部112に出力する。
【0059】
時間方向制御部112は、制御値選択部110から入力された応答制御値に基づいて、ゲイン算出部106から入力されたゲインの時間方向の特性を制御する。具体的には、ゲイン算出部106は、応答制御値に基づいて、ゲイン算出部106から算出されたゲインを調節することにより、入力ビデオ信号に対するゲインの応答速度を大きくしたり小さくしたりする。
【0060】
時間方向制御部112が行う処理については後述する。時間方向制御部112は、調節後のゲインを、ゲイン制御部114に出力する。
【0061】
ゲイン制御部114は、リニア変換部102から入力されたリニア変換後のビデオ信号及び時間方向制御部112から入力されたゲインに基づいて、ビデオ信号のゲイン制御を行なう。表示制御部116は、ゲイン制御後のビデオ信号に基づいて、表示部118の表示制御を行う。
【0062】
なお、以上では、一フレームを各部が行う処理の単位としたが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されない。例えば、一フレームを複数の領域に分割し、分割した領域ごとに平均電流値を算出し、算出した平均電流値に基づいてゲイン制御を行うようにしてもよい。
【0063】
かかる構成により、フレームの領域ごとに適切なABL制御を行うことが可能になる。
【0064】
以上、
図6を参照しながら、表示装置10の全体構成について説明した。
【0065】
[2−2:時間方向制御部112]
(2−2−1:時間方向制御部112が行う処理(
図7))
以下では、
図7〜
図9を参照しながら、時間方向制御部112が行う処理について説明する。
図7は、同実施形態に係る時間方向制御部112が行う処理について説明するための説明図である。
図8は、高速でゲインを応答させる制御を行う場合の出力値の時間変化について説明するための説明図である。
図9は、低速でゲインを応答させる制御を行う場合の出力値の時間変化について説明するための説明図である。
【0066】
図7に示すように、時間方向制御部112は、入力値S
INに対する出力値S
OUTの応答速度を制御する。時間方向制御部112は、入力値S
INの変化に対する出力値S
OUTの応答速度を小さい場合とは、入力値S
INが変化しても出力値S
OUTの変化が小さい場合をさす。換言すれば、時間方向制御部112は、直前の出力値S
OUTの値を維持するように出力値S
OUTを算出する。
【0067】
また、出力値S
INの変化に対する出力値S
OUTの応答速度が大きい場合とは、入力値S
INが変化すると、その変化に出力値S
OUTが素早く応答することをさす。
【0068】
時間方向制御部112が、入力値S
INの変化に対して出力値S
OUTをどのような速度で変化させるかについては、時間方向制御部112の外部から制御が可能である。
【0069】
表示装置10においては、時間方向制御部112の入力値S
INは、ゲイン算出部106により算出されたゲインである。また、時間方向制御部112の出力値S
OUTは、ゲイン制御部114が入力ビデオ信号のゲイン制御を行う際に利用するゲインである。
【0070】
(2−2−2:高速で応答させる制御を行う場合の例(
図8))
図8は、入力値S
INをaからbへと変化させた場合について、出力値S
OUTの時間変化を示している。
図8におけるt=0とは、入力値S
INをaからbへと変化させた瞬間を示す。
【0071】
図8に示すように、高速で応答させる制御を行う場合、入力値S
INの変化に応じて、出力値S
OUTもaからbへと急激に変化する。表示装置10の時間方向制御部112における入力値S
INは、入力ビデオ信号に基づいて、ゲイン算出部106により算出されたゲインG
INである。また、表示装置10の時間方向制御部112における出力値S
OUTは、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTである。
【0072】
図8に示すような応答制御を時間方向制御部112が行うことにより、ゲイン算出部106により算出されたゲインG
INに、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTが高速で応答することとなる。
【0073】
つまり、入力ビデオ信号の変化に、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTが高速で応答することとなる。
【0074】
その結果、入力ビデオ信号の変化に応じて表示制御を素早く行い、発光素子に過電流が流れることを防止することが可能である。
【0075】
(2−2−3:低速で応答させる制御を行う場合の例(
図9)
図9は、
図8と同様に入力値S
INをaからbへと変化させた場合について、出力値S
OUTの時間変化を示している。
【0076】
図9に示すように、低速で応答させる制御を行う場合、入力値S
INを変化させた時間t=0から、出力値S
OUTがbになる時間までが、
図8と比較して長くなる。出力値S
OUTは、aからbへと緩慢に変化する。
【0077】
表示装置10の時間方向制御部112における入力値S
INは、入力ビデオ信号に基づいて、ゲイン算出部106により算出されたゲインG
INである。また、表示装置10の時間方向制御部112における出力値S
OUTは、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTである。
【0078】
図9に示すような応答制御を時間方向制御部112が行うことにより、ゲイン算出部106により算出されたゲインG
INに、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTが低速で応答することとなる。
【0079】
つまり、入力ビデオ信号の変化に、ゲイン制御部114に入力されるゲインG
OUTが低速で応答することとなる。
【0080】
その結果、入力ビデオ信号の一部の変化があっても表示部118の輝度が安定し、画質劣化を防止することができる。
【0081】
(2−2−4:入力される応答制御値(
図10))
以下では、
図10を参照しながら、時間方向制御部112に入力される応答制御値について説明する。
図10は、本実施形態に係る時間方向制御部112に入力される応答制御値について説明するための説明図である。
【0082】
一画面電流平均値算出部104は、表示装置10に入力されたビデオ信号の各フレームについて、一画面電流平均値を算出する。フレーム間差分算出部108は、一画面電流平均値算出部104により算出された一画面電流平均値のフレーム間での差分(フレーム間差分)を算出する。
【0083】
制御値選択部110は、フレーム間差分算出部108により算出されたフレーム間差分に応じて、時間方向制御部112の応答制御を行うための応答制御値V
Cを算出し、時間方向制御部112に入力する。
【0084】
以上、
図7〜
図10を参照しながら、時間方向制御部112が行う処理について説明した。
【0085】
(2−2−5:時間方向制御部112の構成例(
図11))
以下では、
図11を参照しながら、上記処理を行う時間方向制御部112の構成の一例について説明する。
図11は、本実施形態に係る時間方向制御部112の構成の一例について説明するための説明図である。
【0086】
時間方向制御部112には、ゲイン算出部106により算出されたゲインG
INが入力される。時間方向制御部112に入力されたゲインG
INは、加算部122及び加算部126に入力される。
【0087】
ここで、時間方向制御部112の各種演算を経て算出されたゲインG
OUTは、時間方向制御部112のフレームメモリFM1に一時的に記憶され、演算に使用される。ある瞬間に入力されたゲインG
INに対して、その瞬間のフレームメモリFM1に記憶されている値は、その直前に入力されたゲインG
INに基づいて算出されたゲインG
OUTである。
【0088】
加算部122は、入力されたゲインG
INの符号を反転させた値と、フレームメモリFM1に記憶されている値とを加算する。加算部122は、算出した値V
1を、乗算部124に出力する。加算部122の出力値V
1は、ある瞬間に入力されたゲインG
INを、その瞬間の直前に出力されたゲインG
OUTから減算した値となる。
【0089】
直前に出力したゲインG
OUTより小さい値のゲインG
INが加算部122に入力された場合、加算部122の出力値V
1は正となる。一方、直前に出力したゲインG
OUTより大きい値のゲインG
INが加算部122に入力された場合、加算部122の出力値V
1は負となる。
【0090】
乗算部124は、加算部122の出力値V
1と、応答制御値V
Cとを乗算する。乗算部124は、算出した値V
2を、加算部126に出力する。加算部126は、入力されたゲインG
INと、乗算部124により入力された値V
2を加算する。加算部126は、算出した値を時間方向制御部112が出力するゲインG
OUTとして出力する。
【0091】
ここで、乗算部124に入力される応答制御値V
Cは、0よりも大きく、1よりも小さい値である。応答制御値V
Cが0に近いほど、加算部126の演算において、フレームメモリFM1に記憶されている値に基づいて算出された値V
1の影響が小さい。つまり、入力ビデオ信号の変化に応じて、ゲインを高速で応答させることとなる。
【0092】
また、応答制御値V
Cが1に近いほど、加算部126の演算において、フレームメモリFM1に記憶されている値に基づいて算出された値V
1の影響が大きい。つまり、入力ビデオ信号が変化しても、直前のフレームの値を維持するように、ゲインを低速で応答させることとなる。
【0093】
以上、
図11を参照しながら、上記処理を行う時間方向制御部112の構成の一例について説明した。
【0094】
[2−3:制御値選択部110が行う処理(
図12)]
以下では、
図12を参照しながら、制御値選択部110の構成の一例について説明する。
図12は、本実施形態に係る制御値選択部110の構成の一例について説明するための説明図である。
【0095】
上記のように、制御値選択部110は、応答制御値V
Cを、時間方向制御部112に出力する。以下では、制御値選択部110が予め設定された値であるK
1及びK
2の2値から選択したV
C1を、応答制御値V
Cとして時間方向制御部112に出力する場合について説明する。
【0096】
K
1は時間方向制御部112に高速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0に設定される。また、K
2は時間方向制御部112に低速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0.9に設定される。
【0097】
図12に示すように、制御値選択部110に入力されたフレーム間差分Dは、制御値選択部110の判定部132に入力される。判定部132は、フレーム間差分Dが、予め設定された閾値THより大きいか否かを判定する。
【0098】
フレーム間差分Dが閾値THより大きい場合、判定部132は1(真)を、セレクタ134に出力する。一方、フレーム間差分Dが閾値TH以下である場合、判定部132は0(偽)を、セレクタ134に出力する。
【0099】
判定部132から1が入力された場合に、セレクタ134は、応答制御値V
C1として高速の応答制御をさせるためのK
1を選択し、時間方向制御部112の乗算部124に出力する。一方、判定部132から0が入力された場合に、セレクタ134は、応答制御値V
C1として低速の応答制御をさせるためのK
2を選択し、時間方向制御部112の乗算部124に出力する。
【0100】
なお、上記では応答制御値K
1は約0に設定される場合について説明したが、その値に限られず、ゲインを高速で応答させるための応答制御値であればよい。また、上記では応答制御値K
2は約0.9に設定される場合について説明したが、その値に限られず、ゲインを低速で応答させるための応答制御値であればよい。
【0101】
以上、
図12を参照しながら、制御値選択部110の構成の一例について説明した。
【0102】
[2−4:処理の流れ]
(2−4−1:ABL制御部100が行う処理の流れ(
図13))
以下では、
図13を参照しながら、ABL制御部100が行う処理の流れについて説明する。
図13は、本実施形態に係るABL制御部100が行う処理の流れの一例について説明するための説明図である。
【0103】
図13に示すように、まず、リニア変換部102は、入力されたビデオ信号のリニア変換を行う(S102)。
【0104】
次に、一画面電流平均値算出部104は、リニア変換後のビデオ信号の各フレームについて、一画面電流平均値を算出する(S104)。
【0105】
次に、ゲイン算出部106は、算出された一画面電流平均値に基づいて、各フレームの輝度を調節するためのゲインを算出する(S106)。
【0106】
次に、フレーム間差分算出部108は、算出された一画面電流平均値について、フレーム間の差分(フレーム間差分)を算出する(S108)。
【0107】
次に、制御値選択部110は、算出されたフレーム間差分に基づいて、時間方向制御部112の応答制御を行なうための応答制御値を選択する(S110)。
【0108】
次に、時間方向制御部112は、算出されたゲインの時間方向の応答制御を行う(S112)。このとき、時間方向制御部112により、ゲインの応答速度が調節される。
【0109】
次に、ゲイン制御部114は、時間方向の応答制御が行なわれたゲインを用いて、リニア変換部102から入力された信号のゲイン制御を行なう(S114)。ゲイン制御部114は、ゲイン制御を行なうと、ゲイン制御を行なった後の信号を、表示制御部116に出力する。その後、ABL制御部100は、ABL制御に関する一連の処理を終了する。
【0110】
以上、
図13を参照しながら、ABL制御部100が行う処理の流れについて説明した。なお、一部の処理ステップについては、処理の順序を入れ替えてもよい。
【0111】
(2−4−2:時間方向制御部112が行う処理の流れ(
図14))
以下では、
図14を参照しながら、時間方向制御部112が行う処理の流れについて説明する。
図14は、本実施形態に係る時間方向制御部112が行う処理の流れの一例について説明するための説明図である。
【0112】
図14に示すように、時間方向制御部112は、まず、ゲインのフレーム間差分を算出する(S202)。フレーム間差分を算出する際に、ゲインのフレームメモリに一時的に記憶された値が利用される。
【0113】
次に、時間方向制御部112は、制御値選択部110により選択された応答制御値と、算出したゲインのフレーム間差分とを乗算する(S204)。
【0114】
次に、時間方向制御部112は、上記ステップS204で算出した値と、時間方向制御部112に入力されたゲインの値とを加算することにより、ゲインの時間方向の応答制御を行なう(S206)。
【0115】
時間方向制御部112は、入力される応答制御値の値によって、ゲインの時間方向の応答制御の速度を調節する。なお、応答制御値は各フレームの一画面電流平均値のフレーム間差分に基づいて算出されている。
【0116】
平均電流値のフレーム間差分が大きいときは、時間方向制御部112は、表示部118の発光素子や電源の保護の観点から、ゲインを高速で応答させる。一方、平均電流値のフレーム間差分が小さいときは、時間方向制御部112は、画質劣化を防止するために、ゲインを低速で応答させる。
【0117】
時間方向制御部112は、ゲインの時間方向の応答制御を行なうと、制御後のゲインをゲイン制御部114に出力し、一連の処理を終了する(S206)。
【0118】
以上、
図14を参照しながら、時間方向制御部112が行う処理について説明した。
【0119】
(2−4−3:制御値選択部110が行う処理の流れ(
図15))
以下では、
図15を参照しながら、制御値選択部110が行う処理の流れについて説明する。
図15は、本実施形態に係る制御値選択部110が行う処理の流れの一例について説明するための説明図である。
【0120】
図15に示すように、一画面電流平均値のフレーム間差分Dが入力されると(S302)、制御値選択部110は、一画面電流平均値のフレーム間差分Dが閾値THより大きい値であるか否かを判定する(S304)。
【0121】
一画面電流平均値のフレーム間差分Dが閾値THより大きい場合に、制御値選択部110は、応答制御値V
C1としてK
1を選択する(S306)。なお、K
1は、時間方向制御部112に高速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0に設定される。
【0122】
一方、一画面電流平均値のフレーム間差分Dが閾値TH以下である場合に、制御値選択部110は、応答制御値V
C1としてK
2を選択する(S308)。なお、K
2は、時間方向制御部112に低速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0.9に設定される。
【0123】
制御値選択部110は、選択した応答制御値V
C1を、時間方向制御部112に出力し、一連の処理を終了する(S310)。
【0124】
以上、
図15を参照しながら、制御値選択部110が行う処理の流れについて説明した。
【0125】
[2−5:時間方向制御による効果(
図16)]
以下では、
図5及び
図16を参照しながら、本実施形態による効果について説明する。
図5は、テロップ出没によるゲイン変化について説明するための説明図である。
図16は、本実施形態による効果について説明するための説明図である。
図16の横軸は、一画面電流平均値Iを表している。また、
図16の縦軸は、時間方向制御後のゲインG
OUTを表している。
【0126】
時間方向の応答制御を行わない場合、入力されるビデオ信号の一画面電流平均値の変化に対して、高速でゲインを応答させていた。それに対し、本実施形態によれば、入力されるビデオ信号の一画面電流平均値の変化に対して、ゲインを高速で応答させたり、低速で応答させたりすることができる。
【0127】
以下では、テロップが出没するなど、入力されるビデオ信号の一部のみに輝度変化があるときに行うABL制御について、時間方向の応答制御を行わない場合と、本実施形態によって時間方向の応答制御を行う場合とを比較しながら説明する。
【0128】
図5を参照しながら上述したように、時間方向の応答制御を行わないABL制御においては、テロップの出没などのビデオ信号の一部のみの輝度変化による一画面電流平均値Iの変化によっても、ゲインが大きく変化してしまっていた。
【0129】
一方、
図16に示すように、時間方向の応答制御を行う本実施形態によるABL制御においては、テロップ出没により、一画面電流平均値IがΔIだけ変化しても、算出されるゲインG
OUTの値は維持される。つまり、本実施形態によれば、関数G
OUT=TH/Iで表されるグラフと、そのグラフをΔIだけ平行移動したG
OUT=TH/Iのグラフとを移動しながらゲインG
OUTを算出することと同様の効果が得られる。
【0130】
これは、ABLが動作していないのと同様である。つまり、ABL制御部100への入力ビデオ信号の電流値の変化に応じて、表示部118へ出力するビデオ信号の電流値が変化することを意味している。
【0131】
このとき、表示部118へ出力するビデオ信号の電流値の変化量は、テロップ出没による入力ビデオ信号の一画面電流平均値Iの変化量ΔIと等しくなる。
【0132】
更に、ABL制御を行う一画面電流平均値Iの境界(ABLポイント)である閾値THを、予めこの変化量を見越して設定することにより、表示部118の発光素子への過電流防止と、表示部118の高画質化の両方を実現することが可能になる。
【0133】
ここで、大型の表示装置では、ABL制御による時間方向に連続な動画コンテンツの、時間方向に急峻な輝度変化による画質劣化が人間に特に知覚されやすい。そのため、大型の表示装置の場合、本実施形態に係る技術を適用することによる効果は特に高い。
【0134】
以上、
図16を参照しながら、本実施形態による効果について説明した。
【0135】
<3:変形例>
以上では、本実施形態に係るABL制御部100の基本構成について説明したが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されない。例えば、以下に例示する変形例についても当然に、本実施形態に係る技術の適用範囲に含まれる。
【0136】
[3−1:第1変形例(信号変換により応答制御値を算出;
図17)]
以下では、
図17を参照しながら、本実施形態に係る第1変形例について説明する。第1変形例に係るABL制御部は、上記のABL制御部100の基本構成に含まれる制御値選択部110を、下記の信号変換部111で置換した構成である。なお、信号変換部111以外の他のABL制御部100の構成要素については、上記の基本構成と同様であるため、説明を省略する。
【0137】
図17は、本実施形態に係る第1変形例について説明するための説明図である。
図17に示すように、信号変換部111には、フレーム間差分算出部108により算出された一画面電流平均値のフレーム間差分Dが入力される。
【0138】
信号変換部111は、一画面電流平均値のフレーム間差分Dを、応答制御値V
C2に変換する。信号変換部111が行う変換方法は、小さい値の一画面電流平均値のフレーム間差分Dを、ゲインの応答を遅くするような応答制御を行うための応答制御値V
C2に変換する変換方法であればよい。
【0139】
例えば、一画面電流平均値のフレーム間差分Dの値の最小値D
MINが入力された場合に、信号変換部111は、1を応答制御値V
C2として出力する。また、一画面電流平均値のフレーム間差分Dの最大値D
MAXが入力された場合に、信号変換部111は、0を応答制御値V
C2として出力する。
【0140】
一画面電流平均値のフレーム間差分Dとして最小値D
MIN及び最大値D
MAX以外の値が入力された場合には、信号変換部111は、入力された一画面電流平均値のフレーム間差分Dの値を線形変換して、0と1との間の値を出力する。
【0141】
上記のように、信号変換部111が出力する応答制御値V
C2は、0又は1の2値に限られない。そのため、一画面電流平均値のフレーム間差分Dに対応するゲインの応答制御を、より適切に行うことが可能になる。
【0142】
[3−2:第2変形例(2つの閾値により応答制御値を選択;
図18)]
以下では、
図18を参照しながら、本実施形態に係る第2変形例について説明する。本変形例は、2つの閾値により応答制御値を選択する構成に関する。本変形例によれば、ABL制御部100に入力されるビデオ信号の輝度が増加する場合だけでなく、輝度が減少する場合についても考慮して、ゲインの応答制御を行うことが可能になる。
【0143】
本変形例に係るABL制御部は、上記ABL制御部100の基本構成に含まれるフレーム間差分算出部108を、フレーム間差分算出部208で置換し、更に制御値選択部110を、制御値選択部210で置換した構成である。
【0144】
図18は、本変形例について説明するための説明図である。まず、フレーム間差分算出部208について説明する。
【0145】
図18に示すように、フレーム間差分算出部208は、一画面電流平均値IをフレームメモリFM2に格納する。あるフレームの一画面電流平均値Iがフレーム間差分算出部208に入力された瞬間のフレームメモリFM2には、その直前にフレーム間差分算出部208に入力されたフレームの一画面電流平均値Iが記憶されている。
【0146】
フレーム間差分算出部208の加算部222は、ある瞬間に入力された一画面電流平均値Iの符号を反転させた値と、フレームメモリFM2に記憶されている値とを加算する。加算部222は、算出した値D
1を、制御値選択部210の判定部232に出力する。
【0147】
ここで、ABL制御部100に入力されたビデオの輝度が減少した場合(換言すれば、明るいフレームから暗いフレームに切り替わった場合)に、加算部222の出力値D
1の符号は正になる。
【0148】
また、フレーム間差分算出部208の加算部224は、ある瞬間に入力された一画面電流平均値Iと、フレームメモリFM2に記憶されている値を反転させた値とを加算する。加算部224は、算出した値D
2を、制御値選択部210の判定部236及び判定部240に出力する。
【0149】
ここで、ABL制御部100に入力されたビデオの輝度が増加した場合(換言すれば、暗いフレームから明るいフレームに切り替わった場合)に、加算部224の出力値D
2の符号は正になる。
【0150】
なお、加算部222の出力値D
1と、加算部224の出力値D
2とは、絶対値が等しく、反対の符号を有する値である。
【0151】
以上、フレーム間差分算出部208が行う処理について説明した。
【0152】
次に、制御値選択部210が行う処理について説明する。制御値選択部210の判定部232は、入力された値D
1が、予め設定された閾値TH
1より大きいか否かを判定する。
【0153】
値D
1が閾値TH
1より大きい場合、判定部232は1(真)を、セレクタ234に出力する。一方、値D
1が閾値TH
1以下である場合、判定部232は0(偽)を、セレクタ234に出力する。
【0154】
セレクタ234は、応答制御値V
C3DとしてK
D1又はK
D2のいずれかを選択する。K
D1は時間方向制御部112に高速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0に設定される。また、K
D2は時間方向制御部112に低速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0.9に設定される。
【0155】
判定部232から1が入力された場合に、セレクタ234は、応答制御値V
C3Dとして高速の応答制御をさせるためのK
D1を選択し、セレクタ242に出力する。一方、判定部232から0が入力された場合に、セレクタ234は、応答制御値V
C3Dとして低速の応答制御をさせるためのK
D2を選択し、セレクタ242に出力する。
【0156】
また、判定部236は、入力された値D
2が、予め設定された閾値TH2より大きいか否かを判定する。
【0157】
値D
2が閾値TH2より大きい場合、判定部236は1(真)を、セレクタ238に出力する。一方、値D
2が閾値TH2以下である場合、判定部236は0(偽)を、セレクタ238に出力する。
【0158】
セレクタ238は、応答制御値V
C3UとしてK
U1又はK
U2のいずれかを選択する。K
U1は時間方向制御部112に高速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0に設定される。また、K
U2は時間方向制御部112に低速の応答制御をさせるための応答制御値であり、例えば約0.9に設定される。
【0159】
判定部236から1が入力された場合に、セレクタ238は、応答制御値V
C3Uとして高速の応答制御をさせるためのK
U1を選択し、セレクタ242に出力する。一方、判定部236から0が入力された場合に、セレクタ236は、応答制御値V
C3Uとして低速の応答制御をさせるためのK
U2を選択し、セレクタ242に出力する。
【0160】
また、判定部240は、入力された値D
2が正であるか否かを判定する。ABL制御部100に入力されたビデオ信号が暗いフレームから明るいフレームへ切り替わった場合に、値D
2は正となる。この場合、判定部240は、1(真)を、セレクタ242へ出力する。
【0161】
一方、ABL制御部100に入力されたビデオ信号が明るいフレームから暗いフレームへ切り替わった場合に、値D
2は負となる。この場合、判定部240は、0(偽)を、セレクタ242へ出力する。
【0162】
上記のように、セレクタ242には、フレーム間差分のうち、D
1に基づき選択された応答制御値V
C3Dと、D
2に基づき選択された応答制御値V
C3Uとが入力される。セレクタ242は、判定部240から入力された1又は0の2値に基づき、この2つの応答制御値V
C3D及びV
C3Uのいずれか一方を選択する。
【0163】
なお、値D
1は、明るいフレームから暗いフレームになる場合に正となる。また、値D
2は、暗いフレームから明るいフレームになる場合に正となる。
【0164】
セレクタ242は、明るいフレームから暗いフレームになる場合に、値D
1に基づき選択された応答制御値V
C3Dを選択する。つまり、セレクタ242は、判定部240から0が入力された場合に、応答制御値V
C3Dを選択する。
【0165】
セレクタ242は、暗いフレームから明るいフレームになる場合に、値D
2に基づき選択された応答制御値V
C3Uを選択する。つまり、セレクタ242は、判定部240から1が入力された場合に、応答制御値V
C3Uを選択する。
【0166】
セレクタ242は、選択した応答制御値V
C3を、時間方向制御部112へ出力する。
【0167】
以上、
図18を参照しながら、本実施形態に係る第2変形例について説明した。上記のように、本変形例によれば、ABL制御部100に入力されるビデオ信号が暗いフレームから明るいフレームへ切り替わる場合に加え、明るいフレームから暗いフレームへ切り替わる場合についても、ゲインの時間方向の応答制御を行うことが可能になる。
【0168】
更に、判定部232の閾値TH1と、判定部236の閾値TH2とは、異なる値に設定することも可能である。以下では、閾値TH1を閾値TH2より大きい値に設定する場合の例について説明する。
【0169】
閾値TH1を大きい値とすると、ABL制御部100に入力されるビデオ信号が明るいフレームから暗いフレームに切り替わった場合に、判定部232により0(偽)が出力される可能性が高くなる。この場合に、セレクタ234は、ゲインを低速で応答させる応答制御値K
D2を選択する可能性が高くなる。
【0170】
一方、閾値TH2を小さい値とすると、ABL制御部100に入力されるビデオ信号が暗いフレームから明るいフレームに切り替わった場合に、判定部236により1(真)が出力される可能性が高くなる。この場合に、セレクタ238は、ゲインを高速で応答させる応答制御値K
U1を選択する可能性が高くなる。
【0171】
本変形例によれば、暗いフレームから明るいフレームへの切り替えにおいては、表示部118の発光素子や電源への過電流の防止を優先して、入力ビデオ信号の変化にゲインを高速で応答させることが可能である。一方、明るいフレームから暗いフレームへの切り替えにおいては、表示部118の保護の必要性が低いため、画質を優先して、入力ビデオ信号の変化にゲインを低速で応答させることが可能である。
【0172】
このように、本変形例によれば、過電流の防止と高画質化を両立させることが可能になる。
【0173】
[3−3:第3変形例(テロップの有無情報を利用;
図19)]
以下では、
図19を参照しながら、本実施形態に係る第3変形例について説明する。第3変形例に係るABL制御部300は、上記のABL制御部100の基本構成に含まれるフレーム間差分算出部108を削除し、下記のテロップ出没判定部308を追加した構成である。
図19は、本変形例について説明するための説明図である。
【0174】
リニア変換部102は、リニア変換後のビデオ信号を、一画面電流平均値算出部104に加え、テロップ出没判定部308にも出力する。テロップ出没判定部308は、ABL制御部300への入力ビデオ信号の各フレームにテロップが含まれるか否かを判定する。テロップ出没判定部308は、例えば、入力されたビデオ信号のエッジ検出を行い、エッジ検出結果を用いてテロップに含まれる文字を検出することにより、入力信号のテロップの出没を判定する。
【0175】
テロップの検出方法については、例えば、特開2009−038671号公報を参照されたい。
【0176】
テロップ出没判定部308は、テロップの出没を検出した場合は、0を制御値選択部110へ出力し、テロップの出没を検出しない場合は、1を制御値選択部110へ出力する。
【0177】
テロップ出没判定部308と組み合わせた場合、制御値選択部110の判定部132は削除し、テロップ出没判定部308から入力された値がそのまま制御値選択部110のセレクタ134に入力されるようにする。
【0178】
テロップの出没が検出された場合、セレクタ134には0が入力される。この場合、セレクタ134は、応答制御値V
Cとして、低速でゲインを応答させる制御を行うためのK
2を選択する。また、テロップの出没が検出されない場合、セレクタ134には1が入力される。この場合、セレクタ134は、応答制御値V
Cとして、高速でゲインを応答させる制御を行うためのK
1を選択する。
【0179】
本変形例によれば、ゲインの応答速度の制御に先立ち、テロップの出没が直接判定される。そのため、テロップの出没に対するゲインの応答速度の制御を、より適切に行うことが可能になる。
【0180】
以上、
図19を参照しながら、本実施形態に係る第3変形例について説明した。
【0181】
[3−4:第4変形例(Codec情報を利用;
図20)]
以下では、
図20を参照しながら、本実施形態に係る第4変形例について説明する。第4変形例に係るABL制御部400は、上記のABL制御部100の基本構成に含まれるフレーム間差分算出部108を削除し、下記のCodec情報取得部408を追加した構成である。
図20は、本変形例について説明するための説明図である。
【0182】
Codec情報取得部408は、ABL制御部300への入力ビデオ信号の各フレームのCodec情報を取得する。一般に、表示装置に入力されるビデオ信号は、符号化された状態で入力される。そのため、表示装置は、信号の符号化及び復号化を行うCodecを備える。
【0183】
Codec情報取得部408は、表示装置10に含まれ、入力ビデオ信号の復号化を行うCodecから、復号化を行った際のCodec情報を取得する。Codec情報には、例えば、フレーム間差分に関する情報や、入力されたビデオに含まれる物体の動きベクトルに関する情報が含まれる。
【0184】
Codec情報に含まれるフレーム間差分に関する情報は、例えば、ABL制御部100の基本構成におけるフレーム間差分算出部108の出力値と同様に、制御値選択部110に扱われる。
【0185】
Codec情報に含まれる物体の動きベクトルに関する情報から、例えば、あるフレームに含まれていた物体が次のフレームに含まれないといったことが分かる。そのため、Codec情報に含まれる物体の動きベクトルは、ビデオ信号の変化の検出に用いることができる。
【0186】
また、例えば、物体の動きベクトルが小さいときは、輝度の変化が人間に知覚されやすいため、画質を優先して、ゲインを低速で応答させるために、制御値選択部110に0を出力したりしてもよい。
【0187】
一方で、物体の動きベクトルが大きいときは、表示部118の発光素子などの保護を優先して、ゲインを高速で応答させるために、制御値選択部110に1を出力したりしてもよい。
【0188】
Codec情報取得部408と組み合わせた場合、制御値選択部110の判定部132は削除し、Codec情報取得部408から入力された値がそのまま制御値選択部110のセレクタ134に入力されるようにする。
【0189】
セレクタ134に0が入力された場合、セレクタ134は、応答制御値V
Cとして、低速でゲインを応答させる制御を行うためのK
2を選択する。また、セレクタ134には1が入力された場合、セレクタ134は、応答制御値V
Cとして、高速でゲインを応答させる制御を行うためのK
1を選択する。
【0190】
本変形例によれば、ビデオ信号の符号化及び復号化の際に使用されるCodec情報を有効に活用し、入力ビデオ信号の変化に対するゲインの応答速度を制御することが可能になる。
【0191】
以上、
図20を参照しながら、本実施形態に係る第4変形例について説明した。
【0192】
<4:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、自発光型のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と同等の表示機能を搭載した携帯電話、ゲーム機、情報端末、パーソナルコンピュータなどに対して適用することができる。
【0193】
例えば、下記の(1)に記載の表示装置によれば、入力ビデオ信号の増加が急峻な場合に、ビデオ信号を制御するためのゲインが入力ビデオ信号に高速で応答する。その結果、発光素子や電源への過電流を防止される。一方、入力ビデオ信号の増加が緩慢な場合に、ビデオ信号を制御するためのゲインが入力ビデオ信号に低速で応答する。その結果、表示装置の画面の輝度が安定し、画質の劣化が防止される。
【0194】
(1)
入力ビデオ信号の増加が急峻な場合に、ビデオ信号を制御するためのゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させ、入力ビデオ信号の増加が緩慢な場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる時間方向制御部を備える表示装置。
【0195】
(2)
フレーム間における電流値の差分に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する応答制御値を選択する制御値選択部を更に備え、
前記時間方向制御部は、前記応答制御値に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する、
前記(1)に記載の表示装置。
【0196】
(3)
テロップが出没した場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させる高速応答制御値を選択し、テロップが出没していない場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる低速応答制御値を選択する制御値選択部を更に備え、
前記時間方向制御部は、前記応答制御値に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する、
前記(1)に記載の表示装置。
【0197】
(4)
Codecの情報に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する応答制御値を選択する制御値選択部を更に備え、
前記時間方向制御部は、前記応答制御値に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する、
前記(1)に記載の表示装置。
【0198】
(5)
前記制御値選択部は、
フレーム間における電流値の増加量が所定の閾値より大きい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させる高速応答制御値を選択し、フレーム間における電流値の増加量が所定の閾値より小さい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる低速応答制御値を選択する、
前記(2)に記載の表示装置。
【0199】
(6)
フレーム間における電流値の増加量を、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する連続値である前記応答制御値に変換する信号変換部を更に備え、
前記時間方向制御部は、
前記応答制御値に基づいて、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に応答させる速度を調節する、
前記(2)に記載の表示装置。
【0200】
(7)
前記制御値選択部は、
フレーム間における電流値が減少し、かつ、当該電流値の減少量が第1閾値より大きい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させる前記応答制御値として、第1高速応答制御値を選択し、
フレーム間における電流値が減少し、かつ、当該電流値の減少量が第1閾値より小さい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる前記応答制御値として、第1低速制御値を選択し、
フレーム間における電流値が増加し、かつ、当該電流値の増加量が第2閾値より大きい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させる前記応答制御値として、第2高速応答制御値を選択し、
フレーム間における電流値が増加し、かつ、当該電流値の増加量が第2閾値より小さい場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる前記応答制御値として、第2低速応答制御値を選択する、
前記(2)に記載の表示装置。
【0201】
(8)
自発光型の発光素子からなる表示部と、
ゲイン調整された前記入力ビデオ信号に応じて前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を更に備える、
前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置。
【0202】
(9)
入力ビデオ信号の増加が急峻な場合に、ビデオ信号を制御するためのゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させ、入力ビデオ信号の増加が緩慢な場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させる時間方向制御機能を有する集積回路。
【0203】
(10)
入力ビデオ信号の増加が急峻な場合に、ビデオ信号を制御するためのゲインを前記入力ビデオ信号に高速で応答させ、入力ビデオ信号の増加が緩慢な場合に、前記ゲインを前記入力ビデオ信号に低速で応答させるステップを含む制御方法。
【0204】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。