【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
(1)チャンバーと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のカソードと、
前記チャンバー内に配置される被成膜基板を保持する保持部と、
前記第1及び第2のアノードに電気的に接続された第1の直流電源と、
前記第1及び第2のカソードに電気的に接続された交流電源と、
前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
前記チャンバー内を排気する排気機構と、
第1のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加し、第2のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加するように制御する制御部と、
を具備し、
前記被成膜基板の一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように配置され、前記被成膜基板の他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置され、
前記第2の電圧は0Vより大きく、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きいことを特徴とするプラズマCVD装置。
【0015】
上記のプラズマCVD装置によれば、常に被成膜基板の一方側でのみ強いプラズマを生成させ、被成膜基板1の他方側では弱いプラズマを生成させるため、プラズマの相互干渉を抑制することができる。
【0016】
(2)上記(1)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とするプラズマCVD装置。
【0017】
上記(2)のプラズマCVD装置によれば、より安価にプラズマCVD装置を製造することができる。
【0018】
(3)上記(1)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上100Hz以下の範囲の周波数で繰り返し、
前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサによって前記周波数の制御を行うことを特徴とするプラズマCVD装置。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか一項において、
前記制御部は、前記第1及び第2のアノードの両方同時に前記第1の電圧が印加されることがなく、前記第1及び第2のアノードの両方同時に前記第2の電圧が印加されることがないように制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
【0019】
(5)上記(1)において、
前記制御部は、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの間に第3のタイミングを有し、前記第3のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの両方に前記第1の電圧を印加するように制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
【0020】
上記(5)のプラズマCVD装置によれば、被成膜基板の一方側に強いプラズマを生成させ、被成膜基板1の他方側に弱いプラズマを生成させるタイミングを設けることにより、プラズマの相互干渉を抑制することができる。
【0021】
(6)チャンバーと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のカソードと、
前記チャンバー内に配置される被成膜基板を保持する保持部と、
前記第1及び第2のアノードに電気的に接続された第1の直流電源と、
前記第1及び第2のカソードに電気的に接続された交流電源と、
前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
前記チャンバー内を排気する排気機構と、
第1のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加し、第2のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加するように制御する制御部と、
を具備し、
前記被成膜基板の一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように配置され、前記被成膜基板の他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置され、
前記第2の電圧は0Vであり、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きく、
前記制御部は、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの間に第3のタイミングを有し、前記第3のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの両方に前記第1の電圧を印加するように制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
【0022】
上記(6)のプラズマCVD装置によれば、被成膜基板の一方側でのみプラズマを生成させるタイミングを設けることによりプラズマの相互干渉を抑制することができる。
【0023】
(7)上記(5)または(6)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング、前記第3のタイミング、前記第2のタイミング及び前記第3のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とするプラズマCVD装置。
(8)上記(5)または(6)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング、前記第3のタイミング、前記第2のタイミング及び前記第3のタイミングを10Hz以上100Hz以下の範囲の周波数で繰り返し、
前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサによって前記周波数の制御を行うことを特徴とするプラズマCVD装置。
【0024】
(9)上記(1)乃至(8)のいずれか一項において、
前記第2の電圧は、前記第1の電圧の1〜50%(好ましくは10〜30%)の電圧であることを特徴とするプラズマCVD装置。
【0025】
(10)チャンバーと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと、
前記チャンバー内に配置された第1及び第2のカソードと、
前記チャンバー内に配置される被成膜基板を保持する保持部と、
前記第1及び第2のアノードに電気的に接続された第1の直流電源と、
前記第1及び第2のカソードに電気的に接続された交流電源と、
前記チャンバー内に原料ガスを供給するガス供給機構と、
前記チャンバー内を排気する排気機構と、
第1のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加し、第2のタイミングに、前記第1の直流電源によって前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加するように制御する制御部と、
を具備し、
前記被成膜基板の一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように配置され、前記被成膜基板の他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置され、
前記第2の電圧は0Vであり、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きく、
前記制御部は、前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とするプラズマCVD装置。
【0026】
上記(10)のプラズマCVD装置によれば、被成膜基板の両側で同時にプラズマを生成させることがなく、常に被成膜基板の一方側でのみプラズマを生成させるため、プラズマの相互干渉を抑制することができる。さらに、10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で電圧印加を行うため、プラズマCVD装置をより安価に製造することができる。
【0027】
(11)上記(1)乃至(10)のいずれか一項において、
前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記第1のアノード及び前記第1のカソードそれぞれとの間の空間を覆うように設けられ、フロート電位とされる第1のプラズマウォールと、
前記チャンバー内に配置され、前記保持部に保持された前記被成膜基板と前記第2のアノード及び前記第2のカソードそれぞれとの間の空間を覆うように設けられ、フロート電位とされる第2のプラズマウォールと、を具備することを特徴とするプラズマCVD装置。
【0028】
(12)上記(1)乃至(11)のいずれか一項において、
前記保持部に保持された前記被成膜基板に電気的に接続された第3の直流電源を具備することを特徴とするプラズマCVD装置。
【0029】
(13)上記(1)乃至(12)のいずれか一項に記載のプラズマCVD装置を用いた磁気記録媒体の製造方法において、
非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した被成膜基板を前記保持部に保持し、
前記チャンバー内で前記第1及び第2のカソードそれぞれと前記第1及び第2のアノードそれぞれとの間の放電により前記原料ガスをプラズマ状態とし、このプラズマを前記保持部に保持された被成膜基板の表面に加速衝突させて炭素が主成分である保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0030】
(14)チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと第1及び第2のカソードを有するプラズマCVD装置を用いて基板に成膜する成膜方法において、
前記チャンバー内に前記基板を、その一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように、且つその他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置し、
第1のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
第2のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
前記第1及び第2のタイミングに前記第1及び第2のカソードに交流電圧が印加されており、
前記第2の電圧は0Vより大きく、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きいことを特徴とする成膜方法。
【0031】
(15)上記(14)において、
前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とする成膜方法。
(16)上記(14)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上100Hz以下の範囲の周波数で繰り返し、
前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサによって前記周波数の制御を行うことを特徴とする成膜方法。
【0032】
(17)上記(14)において、
前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの間に第3のタイミングを有し、前記第3のタイミングに、前記第1及び第2のカソードに交流電圧が印加され、且つ前記第1及び第2のアノードの両方に前記第1の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜することを特徴とする成膜方法。
【0033】
(18)チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと第1及び第2のカソードを有するプラズマCVD装置を用いて基板に成膜する成膜方法において、
前記チャンバー内に前記基板を、その一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように、且つその他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置し、
第1のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
第3のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの両方に前記第1の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
第2のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
前記第1乃至第3のタイミングに前記第1及び第2のカソードに交流電圧が印加されており、
前記第2の電圧は0Vであり、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きいことを特徴とする成膜方法。
【0034】
(19)上記(17)または(18)において、
前記第1のタイミング、前記第3のタイミング、前記第2のタイミング及び前記第3のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とする成膜方法。
(20)上記(17)または(18)において、
前記制御部は、前記第1のタイミング、前記第3のタイミング、前記第2のタイミング及び前記第3のタイミングを10Hz以上100Hz以下の範囲の周波数で繰り返し、
前記制御部はシーケンサを有し、前記シーケンサによって前記周波数の制御を行うことを特徴とする成膜方法。
【0035】
(21)上記(14)乃至(20)のいずれか一項において、
前記第2の電圧は、前記第1の電圧の1〜50%(好ましくは10〜30%)の電圧であることを特徴とする成膜方法。
【0036】
(22)チャンバー内に配置された第1及び第2のアノードと第1及び第2のカソードを有するプラズマCVD装置を用いて基板に成膜する成膜方法において、
前記チャンバー内に前記基板を、その一方の面が前記第1のアノード及び前記第1のカソードに対向するように、且つその他方の面が前記第2のアノード及び前記第2のカソードに対向するように配置し、
第1のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に第1の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に第2の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
第2のタイミングに、前記第1及び第2のアノードの一方に前記第2の電圧を印加しながら前記第1及び第2のアノードの他方に前記第1の電圧を印加することにより、前記チャンバー内で前記原料ガスをプラズマ状態として前記基板に加速衝突させて成膜し、
前記第1及び第2のタイミングに前記第1及び第2のカソードに交流電圧が印加されており、
前記第2の電圧は0Vであり、前記第1の電圧は前記第2の電圧より大きく、
前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを10Hz以上400kHz以下(好ましくは10Hz以上1kHz未満)の範囲の周波数で繰り返すことを特徴とする成膜方法。
【0037】
(23)非磁性基板上に少なくとも磁性層を形成した後に炭素が主成分である保護層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、
上記(14)乃至(22)のいずれか一項に記載の成膜方法により保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。