【文献】
藤原広行・東宏樹・内藤昌平・先名重樹・中村洋光・はお憲生・吉田稔,“「i地震」を用いたセンサー・クラウド構築に向けた取り組み”,日本地震工学会大会梗概集,日本,一般社団法人日本地震工学会,2012年11月,2012,p.292−293
【文献】
計測震度の算出方法,気象庁,URL,http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/kaisetsu/calc_sindo.htm
【文献】
堀内茂木・中村洋光・功刀卓・堀内優子,“100Hz単独観測データを用いた地震警報システムのためのノイズ除去手法”,日本地震学会大会講演予稿集,日本,(社)日本地震学会,2010年10月 1日,2010年度秋季、P1−29,p.169
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地震動を検出するための地震センサを有する地震動検出部と、前記地震センサの出力に基づいて震度の概算値を計測可能な計測震度概算部と、を備えた計測震度概算システムにおいて、
前記地震センサが、震度3未満の微小な地震動であってもノイズの少ない加速度データが得られる高性能の加速度センサと比較して震度3未満の震度が小さい領域において震度計測に影響する大きなノイズがセンサの出力に含まれる低性能の加速度センサであり、
前記計測震度概算部は、前記地震センサの出力を周波数解析して各周波数成分の振幅特性を求める周波数解析手段と、前記周波数解析手段の出力に対して、前記各周波数成分の振幅特性に基づいてホワイトノイズを除去するノイズ成分除去手段と、前記ノイズ成分除去手段の出力に対して前記周波数解析の逆変換を行う周波数逆変換手段と、を備えていることを特徴とする計測震度概算システム。
前記計測震度概算部は、前記逆変換により再構成したノイズ除去後の地震センサのデータを出力する機能を有する震度情報出力手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の計測震度概算システム。
前記計測震度概算システムが、前記地震動検出部と前記計測震度概算部とが1つの筐体に収容された構成の計測震度概算装置を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の計測震度概算システム。
前記計測震度概算システムが、前記地震動検出部と前記計測震度概算部とを備えた計測震度概算装置と外部コンピュータとが所定の通信手段を介して通信可能に接続された構成のコンピュータネットワークシステムを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の計測震度概算システム。
前記地震センサが、携帯情報端末に搭載されているMEMS型加速度センサであり、前記計測震度概算システムが、前記計測震度概算システムが、携帯情報端末に搭載されている加速度センサを前記地震動検出部の地震センサとして用い、前記計測震度概算部を構成する各手段として前記携帯情報端末のコンピュータを機能させるプログラムを備えた携帯情報端末を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の計測震度概算システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法では、地震計で計測される振動を周波数成分に対する振動レベルに分解し、所定周波数について、所定値を超える信号をノイズとして除去するようにしている。しかしながら、この方法は所定の周波数内に限定され、かつ周波数成分に対する振動レベルでノイズを判定しているので、震度を正確に計測できない問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示された方法では、時間領域フィルタによりフィルタ処理された地動加速度の時系列を振幅時系列に変換し、その振幅時系列を換算した震度換算振幅時系列を離散化して各離散化震度換算振幅値を取得して、その離散化震度換算振幅値について継続時間をカウントし、そのカウント数と上記各離散化震度換算振幅値とから計測震度を算出するようにしている。このように、FFT(Fast Fourier Transform)を用いずに、時間領域のフィルタを用いることで、即時性がある装置を提供することが可能となる。しかしながら、特許文献2に開示された方法は、ノイズの除去に関しては、フィルタのカットオフ周波数を既定してノイズを低減する処理が開示されているだけである。そのため、高性能の加速度センサ(例えば震度3未満の微小な地震動であってもノイズの少ない加速度データが得られるセンサ)を地震センサとして用いた場合には問題にならないが、MEMS型加速度センサのような低性能の加速度センサ(特に震度3未満の震度が小さい領域において震度計測に影響する大きなノイズが発生するセンサ)を地震センサとして用いた場合、特許文献1と同様に、微小な地震動においては正確に震度を計測することができないと考えられる。
【0007】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、安価な地震センサを用いて、適正な信号処理を行うことによりノイズに影響されることなく微小な地震動においても正確に震度を算出することができる計測震度概算システム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地震動を検出するための地震センサを有する地震動検出部と、前記地震センサの出力に基づいて震度の概算値を計測可能な計測震度概算部と、を備えた計測震度概算システムに関するものであり、本発明の上記目的は、前記地震センサが、震度3未満の微小な地震動であってもノイズの少ない加速度データが得られる高性能の加速度センサと比較して震度3未満の震度が小さい領域において震度計測に影響する大きなノイズがセンサの出力に含まれる低性能の加速度センサであり、
前記計測震度概算部は、前記地震センサの出力を周波数解析して各周波数成分の振幅特性を求める周波数解析手段と、前記周波数解析手段の出力に対して、前記各周波数成分の振幅特性に基づいて
ホワイトノイズを除去するノイズ成分除去手段と、前記ノイズ成分除去手段の出力に対して前記周波数解析の逆変換を行う周波数逆変換手段と、を備えていることによって達成される。
【0009】
さらに、本発明の上記目的は、
前記ノイズ成分除去手段は、
ノイズ除去用の閾値THは、前記各周波数成分の振幅特性に対して設定されること、
前記計測震度概算部は、前記逆変換により再構成したノイズ除去後の地震センサのデータを出力する機能を有する震度情報出力手段を備えていること、
前記計測震度概算システムが、前記地震動検出部と前記計測震度概算部とが1つの筐体に収容された構成の計測震度概算装置を含むこと、
前記計測震度概算システムが、前記地震動検出部と前記計測震度概算部とを備えた計測震度概算装置と外部コンピュータとが所定の通信手段を介して通信可能に接続された構成のコンピュータネットワークシステムを含むこと、
前記地震センサが、携帯情報端末に搭載されているMEMS型加速度センサであり、前記計測震度概算システムが、前記計測震度概算部を構成する各手段として前記携帯情報端末のコンピュータを機能させるプログラムを備えた携帯情報端末を含むこと、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0010】
本発明は、地震センサの出力に基づいて震度を概算する計測震度概算方法に関するものであり、本発明の上記目的は、
震度3未満の微小な地震動であってもノイズの少ない加速度データが得られる高性能の加速度センサと比較して震度3未満の震度が小さい領域において震度計測に影響する大きなノイズがセンサの出力に含まれる低性能の加速度センサとして用い、その地震センサの出力から得られる加速度信号を用いて周波数解析を行う第1のステップと、前記周波数解析により得た各周波数成分の振幅特性から前記地震センサの
ホワイトノイズパターンの閾値以下の信号を除去した後、前記周波数解析の逆変換を行って前記地震センサの加速度信号を再構成する第2のステップと、前記再構成された加速度信号に基づいて前記震度の概算値を算出する第3のステップと、を有することによって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、地震センサのデータから、周波数成分の振幅特性に基づいてノイズ成分を除去する手段(ステップ)を具備しているので、安価な地震センサを用いても、微小な地震動に対しても常に正確な震度を計測することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来、安価なMEMSセンサでは震度3以上でないと正確な震度が得られなかったが、本実施の形態では、震度3未満、さらに震度1程度の微小な地震動であっても正確な震度が得られる安価な計測震度概算方法、並びにその方法を用いた計測震度概算装置及びシステムを提案する。
【0014】
なお、ここで言う「計測震度概算装置」とは、地震の揺れを波形として記録する機能を有する地震計、震度を演算する機能を有する震度計、若しくは、両者の機能を有する装置のことを言い、また、本発明で言う「計測震度概算システム」とは、上記計測震度概算装置を含む、少なくとも後述の計測震度概算部を備えた1以上の装置を含むデータ処理システムのことを言う。
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る計測震度概算システムの主要部の構成を概略的に示すブロック図である。
図1において、計測震度概算システム1は、地震動を検出するための地震動検出部10と、その地震動検出部10から出力される検出信号を解析してノイズ成分を除去した震度情報を出力する計測震度概算部20と、を備えている。
【0017】
地震動検出部10は、地震動を検出するためのセンサ(以下「地震センサ」と呼ぶ)10aを含んで構成される。その地震センサ10aとしては、高性能ではあるが高価なセンサと比較して、携帯情報端末等に搭載されているMEMS型加速度センサのような低性能だが安価なセンサが好適に適用される。
【0018】
本発明においては、このような低性能センサを地震センサ10aとして用い、そのセンサ出力に含まれるノイズ成分を除去することによって、その低性能センサを高性能の地震センサとして機能させるようにしている。なお、地震センサ10aとして適用するセンサは、アナログ出力、デジタル出力のいずれのセンサでも良く、アナログ出力のセンサを適用した場合は、計測震度概算部20内のAD変換器を通してデジタル信号に変換される。
【0019】
計測震度概算部20は、本実施の形態においては、CPU,メモリ,入出力回路,電源回路などから構成されるコンピュータを計測震度概算システムとして動作させるためのソフトウェア(コンピュータプログラム,制御データ等)を含んで構成される。
【0020】
計測震度概算部20では、地震動検出部10の検出データを入力し、震度情報を出力する機能を備えている。
【0021】
ここで言う「震度情報」とは、計測震度概算部20から出力される計測情報であり、例えば、地震動検出部10で検出した信号からノイズ成分を除去したデータ(例えば地震センサ10aが加速度センサの場合は加速度データ)、若しくはそのデータを基に概算した計測震度(若しくは計測震度を震度階級に変換した気象庁震度階級)や地震の波形等を示すデータである。また、震度情報としては、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機能若しくは計測地点の設定機能を計測震度概算部20に備えた形態とした場合は、計測地点の3次元位置情報が含まれる。
【0022】
その震度情報の出力先は、無線若しくは有線の情報伝達手段を介して通信可能に接続される外部コンピュータ(全国規模の地震計測センター、計測地点に対応する特定地域の警報システム、利用者が所有する携帯情報端末やPC等)としても良く、計測震度概算部20に接続される地震情報表示手段としての機器、例えば、即時警報や震度の計測情報を報知するためのスピーカ,ディスプレイ等を出力先としても良く、また、外部コンピュータ及び上記地震情報表示手段の両方を出力先としても良い。
【0023】
本発明においては、前述のように、MEMS型加速度センサのような安価なセンサを高性能の地震センサとして機能させるようにしており、例えば、地震動検出部10と計測震度概算部20とを一体的に設けた構成とすることで、
図1の計測震度概算システム1を、安価且つ高性能の計測震度概算装置として提供することができる。
【0024】
ここで、本発明の課題を解決するための計測震度概算部20の構成を説明する前に、本発明による改善結果について説明する。
【0025】
図2は、本発明による改善前と改善後の震度に対する出力値例を示す図であり、
図2(A)が改善前の出力値例、
図2(B)が改善後の出力値例を示している。ここでは、計測震度概算機能を備えた計測震度概算部20の震度演算結果を出力値例としており、図中の横軸は計測震度計による計測震度を示し、縦軸はMEMSセンサによる計測震度相当値を示している。
【0026】
これらの
図2(A)及び(B)に示すように、改善前は、安価なMEMSセンサでは、震度3以上のように大きい地震動(震度3以上)でないと正しい震度が得られなかったが、改善後は、小さい地震動(震度3未満)でも正しい震度を得ることが可能となった。
【0027】
次に、計測震度概算機能を備えた計測震度概算部20の構成について説明する。
【0028】
図3は、本発明に係わる計測震度概算部20の構成例を示す機能ブロック図であり、同図を参照して各々の構成要素の機能及びその動作の概要について説明する。
【0029】
計測震度概算部20は、周波数解析手段21と、ノイズ成分除去手段22と、周波数逆変換手段23と、震度情報出力手段24と、を備えている。なお、これらの手段21〜24は、本実施の形態では計測震度概算部20内のCPUによって制御されるコンピュータプログラムで実現され、そのプログラムは、コンピュータによって読取り可能な所定の記憶媒体に記憶されている。また、各手段21〜24は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成を限定するものではない。
【0030】
以下に、
図3に示される各手段21〜24の処理について順次説明する。
(1)周波数解析手段21
周波数解析手段21は、地震センサ10aの出力(地震動検出信号)を周波数解析して各周波数成分の振幅特性を求める手段である。
【0031】
周波数解析手段21では、例えばCooley-Tukey型FFTアルゴリズムのような所定の高速フーリエ変換のアルゴリズムを用いて、地震動検出部10の地震センサ10aから出力される検出信号(本例ではデジタルの加速度データ)を周波数帯域の信号(周波数スペクトル若しくはパワースペクトル)に変換して地震センサ10aからの信号の中にどの周波数成分がどれだけ含まれているかを解析し、解析した各周波数成分の振幅特性を示す振幅特性データを解析結果として出力する処理を実行する。なお、この処理は加速度の成分毎に行われ、例えば互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度成分を検出する3軸タイプのセンサの場合には、加速度の3成分(水平動2成分、上下動1成分)についての周波数解析及び地震動検出信号に含まれる各周波数成分の振幅特性データの抽出処理が実行される。
(2)ノイズ成分除去手段22
ノイズ成分除去手段22は、周波数解析手段21によって得た各周波数成分の振幅特性データに基づいて、地震センサ10aの出力に含まれるノイズ成分を除去する手段(フィルタリング処理手段)である。
【0032】
ノイズ成分除去手段22では、周波数解析手段21の出力に対して、各周波数成分の振幅特性データに基づいてノイズ成分(本例では全ての周波数で同じ強度となるホワイトノイズ)を除去する処理を実行する。言い換えると、ノイズの除去は、本発明においては、従来のように振動の所定周波数について所定値を超える信号をノイズとして除去するのではなく、各周波数成分の振幅特性から、地震センサ10aのノイズパターンの閾値以下の信号を除去することにより行う。
《従来のフィルタリング方式との相違について》
ここで、従来のフィルタリング方式(周波数によるフィルタリング方式)との相違について説明する。
〈従来のフィルタリング方式〉
周波数によるフィルタリング方式では、
図2(A)の改善前の震度演算結果に示したように、小さい地震動の場合は、計測震度(
図2(A)中の震度演算結果)が本来の震度の値まで下がらないと言う欠点がある。先ず、その理由について説明する。
【0033】
図4は、
図2(A)中の符号Pで示す破線枠内の部分の拡大図であり、震度が小さい領域におけるノイズ例を示している。この拡大図では、縦軸が加速度(Gal)、横軸が時間(秒)を示している。この
図4に示すように、安価な地震センサの出力は、震度が小さい領域では、センサ出力に含まれるノイズが大きく、従来のフィルタリング方式では、
図2(A)に例示したように、計測震度が本来の震度の値まで下がらずに常に1.3以上となる。
【0034】
次に、震度演算に影響するノイズ成分について説明する。
【0035】
図5(A)及び(B)は、震度3未満の微小な地震動が発生した際における地震センサ10aの出力波形(自然地震データ)の一例を示しており、
図5(A)は、縦軸を加速度(Gal)、横軸を時間(秒)としたときの地震データを示し、
図5(B)は、縦軸をフーリエスペクトル、横軸を周波数(Hz)としたときの地震データを示している。また、
図5中の符号s11,s12で示す波形グラフが、高価な地震センサの地震データを示し、
図5中の符号s21,s22で示す波形グラフが、安価な地震センサの地震データを示している。
【0036】
図5(A)に示すように、安価な地震センサの出力波形(s21)は、高価な地震センサの出力波形(s11)と比較して、正しい出力(本例では加速度信号)を得ることができない。
【0037】
図5(B)中の破線枠内は、安価な地震センサの出力(s22)を用いた場合の震度演算に影響するノイズ成分を示しており、周波数によるフィルタでは、ノイズ成分を除去できるのは所定周波数内に限られるため、それ以外の周波数に対してはノイズ成分を除去することができない。特に、地震によって卓越周期は様々なので、周波数によるフィルタではノイズを低減することが不可能である。
〈本発明のフィルタリング方式〉
本発明では、地震計で計測される振動の所定周波数に対してフィルタをかけるのではなく、各周波数の振幅に対してフィルタをかける方式としている。
【0038】
図6は、フィルタリング処理に用いる閾値の一例を示しており、ノイズ除去用の閾値THは、各周波数成分の振幅特性に対して設定される。
【0039】
ノイズ成分除去手段22では、地震センサ10aの出力に含まれるノイズは各周波数に対する振幅がある閾値TH以下の場合にノイズと見なし、ノイズと見なした該当の周波数成分(ノイズ成分)を取り除く処理を実行し、その処理結果を出力する。
(3)周波数逆変換手段23
周波数逆変換手段23は、ノイズ成分除去手段22の出力に対して周波数解析の逆変換を行う手段である。その逆変換は、例えば逆FFT(Inverse FFT)のアルゴリズムを用いると言うように、逆変換は、周波数解析手段21で用いたFFTと同じアルゴリズムを使って算出することができる。すなわち、周波数逆変換手段23では、周波数解析手段21で行った周波数解析の逆変換によって地震動検出信号のデータを再構成し、その処理結果を出力する。言い換えると、周波数逆変換手段23では、地震動検出部10で検出した地震動検出信号からノイズ成分を低減した信号を処理結果(本例ではノイズ除去後の加速度データ)として出力する。
【0040】
図7(A)及び(B)は、その処理結果の一例を示す波形グラフであり、
図7(A)が、
図5(A)で例示した地震センサの元波形を示し、
図7(B)が、その元波形からノイズ成分を減らした波形を示している。
【0041】
このように、本発明によれば、
図7(B)に示すように、安価な地震センサを用いても、そのセンサ出力のフィルタリング処理後の出力波形(s21)は、微小な地震動に対しても高価な地震センサの出力波形(s11)に近い波形となり、低性能センサの出力から常に正確な震度を計測することが可能となる。
(4)震度情報出力手段24
震度情報出力手段24は、逆変換により再構成したノイズ除去後の地震センサ10aのデータに基づいて求めた震度情報)を出力する手段であり、本例では、周波数逆変換手段23によって再構築された地震動の検出信号に基づく情報(周波数軸から時間軸の信号に逆変換された加速度データ等の震度情報)を外部コンピュータ若しくは周辺機器に出力する機能を有している。なお、出力する機能の他に、外部コンピュータからの要求に応じて加速度波形や計測震度の記録情報の記録データを出力する機能を備えた形態としても良い。
【0042】
震度情報出力手段24から出力する震度情報は、前述のように、例えば、地震動検出部10で検出した地震動検出信号(本例では加速度データ)からノイズ成分を除去した情報、若しくはその信号を基に概算した震度(計測震度又は震度階級)を示す情報である。加速度波形から震度を求める方法は公知であるため、その方法については説明を省略する。
【0043】
この震度情報出力手段24は付加的な構成要素であり、周波数逆変換手段23によって再構築された地震動検出信号のデータを震度に変換しない形態とした場合、例えば外部コンピュータ側で震度を概算する形態とした場合には、周波数逆変換手段23によって再構築された地震動の情報が、計測震度概算部20の入出力回路(通信回路等)を介して外部コンピュータに送信される。言い換えると、震度情報出力手段24は、計測震度概算装置側に備える形態としても良く、外部コンピュータ側に備える形態としても良い。
【0044】
図8(A)及び(B)は、震度情報出力手段24から出力される震度情報(震度演算結果)の一例を、
図2(B)に対応させて示す図である。
図2(B)の例では、ノイズ成分除去手段22で用いるノイズ除去用の閾値TH=基準閾値の場合を例としているが、
図8(A)は、基準閾値よりも小さい閾値を用いた場合の例を示し、
図8(B)は、基準閾値よりも大きい閾値を用いた場合の例を示している。
【0045】
図8(A)及び(B)に示すように、閾値の取り方によって処理結果に違いが生じるので、閾値の決め方はあらかじめセンサによって、計測震度計などの結果と比較して適切な値に設定しておく必要がある。
【0046】
以上のように、本発明のフィルタリング方式によれば、小さい地震だけがフィルタの対象になり、大きい地震は、センサ出力に含まれるノイズ成分が閾値より大きくなるためにフィルタの対象にならないため、そのまま処理することが可能である。また、本発明のフィルタリング方式は、震度演算に特に必要な0.5Hzから2Hz程度の範囲に卓越周期が無い地震に最も効果があると想定される。逆に周波数全体が盛り上がるような地震に対しては効果が低いが、それ以外の地震に対しては微小な地震動に対しても常に正確な震度を計測することが可能となる。
【0047】
次に、前述の計測震度概算部20を備えた計測震度概算装置の動作例について、
図9のフローチャートを参照して説明する。なお、既に説明した処理については省略若しくは簡略化して説明する。
【0048】
計測震度概算装置の計測震度概算部20は、地震動検出部10(地震センサ10a)から出力される地震動検出信号を入力し(ステップS1)、周波数解析手段21によって地震動検出信号のデータを各周波数成分の信号データ(周波数スペクトル若しくはパワースペクトル)に変換する(ステップS2)。
【0049】
続いて、計測震度概算部20は、上記ステップS2で変換した各周波数成分の振幅特性から地震センサ10aのノイズパターンの閾値以下の信号データ(ノイズ成分データ)をノイズ成分除去手段22によって除去し、ノイズ除去後の各周波数成分の信号データを出力する(ステップS3)。
【0050】
続いて、計測震度概算部20は、上記ステップS2でノイズ成分を除去した各周波数成分の信号を、周波数逆変換手段23によって逆FFTのアルゴリズムを用いて地震動検出信号に逆変換し(ステップS4)、ノイズ除去後の地震動検出信号のデータ若しくはそのデータを基に震度情報出力手段24が生成した震度情報(震度の概算値等の情報)を出力する(ステップS5)。なお、ステップS5において、例えば、地震が発生した際の即時警報や震度の計測情報を出力する形態とすることで、警報機能等を有する地震計として計測震度概算装置を機能させることができる。
【0051】
次に、本発明に係わる計測震度概算システムの態様について、
図10(A)〜(C)を参照して説明する。
【0052】
本発明に係わる計測震度概算システム1は、前述のように、少なくとも地震動検出部10と計測震度概算部20とを備えた1以上の装置から構成されるシステムのことを言い、その態様(実施の形態)としては、例えば次のような形態がある。
(1)地震動検出部10と計測震度概算部20とを一体的に設け、それらが1つの筐体に収容された構成の計測震度概算装置(地震計,震度計,地震警報装置,震度情報記録装置等)として提供する形態
(2)地震動検出部10を構成する地震計と、計測震度概算部20を備えた計測震度概算装置としての汎用コンピュータ(PC,携帯情報端末等)とを、無線若しくは有線による所定の通信手段を介して通信可能に接続した形態
(3)
図10(A)に示すように、上記形態(1)の計測震度概算装置1Aと、外部コンピュータである携帯情報端末30(若しくは音声やランプ表示、震動や地震情報に基づく警報を出力する警報装置40)とを、所定の通信手段(インターネット若しくは専用の通信ネットワーク等)を介して通信可能に接続し、携帯情報端末30で震度情報を表示可能とした形態
(4)
図10(B)に示すように、複数の計測地点に配置された上記形態(1)の計測震度概算装置1Aと地震計測センター50(地震活動の監視,計測情報の公開,地震緊急速報の提供などを行うデータ処理システム)のコンピュータとを、所定の通信手段を介して通信可能に接続した形態
(5)
図10(C)に示すように、複数の計測地点に配置された地震動検出部10(地震センサ10aを備えた地震計)と、計測震度概算部20を備えた計測震度概算装置1Bとを、無線ネットワーク等の情報伝達手段を介して通信可能に接続した形態
(6)複数の上記計測震度概算装置1Bと
図10(B)中の地震計測センター50のコンピュータとを、無線ネットワーク等の情報伝達手段を介して通信可能に接続した形態
なお、上述した実施の形態においては、固定設置型の計測震度概算装置を例として説明したが、MEMS型加速度センサのような加速度センサを有する利用者の携帯情報端末(携帯電話機,タブレット型端末,ゲーム機等)において、その加速度センサを地震センサ10aとして用い、上記利用者の携帯情報端末を計測震度概算装置として動作させる計測震度概算用アプリケーションプログラム(計測震度概算部20を構成するコンピュータプログラム)と、そのプログラムを提供するWebサーバとを備えたシステム構成、あるいは、上記携帯情報端末に予め計測震度概算用アプリケーションプログラムを備えた構成とし、利用者が所有する携帯情報端末を、即時警報機能等を有する地震計若しくは震度計として機能させるようにしても良い。その場合、前者のシステム構成とした場合には、計測震度概算用アプリケーションプログラムを携帯情報端末側で実行する形態、Webサーバ側で実行する形態のいずれとしても良い。
【0053】
また、上述した実施の形態においては、計測震度概算部20は、ソフトウェアで実現する場合を例として説明したが、FFT回路、フィルタ処理回路、IFFT回路などのハードウェアで構成したものも本発明に含まれる。