(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二可動部材が前記第一可動部材に対して変位している間は、前記切替部材が前記第一許容部内に位置することで、当該切替部材が前記第二誘導部内から前記第一誘導部内に入り込むことが阻止され、前記第一可動部材が前記ベース部材に対して変位しないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機は、駆動源の動力を各可動部材に伝達する歯車やラック(動力伝達部材)の数が多く、駆動機構が大型化する。つまり、遊技者の興趣を惹くような面白みのある動きをする可動部材にしようとすると、可動部材の駆動機構が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、コンパクトな駆動機構によって遊技者の興趣を惹く動きをする可動部材を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、所定の演出を行う演出装置を備えた遊技機において、前記演出装置は、ベース部材と、前記ベース部材に固定された駆動源と、前記ベース部材に対して変位可能に支持された第一可動部材と、前記第一可動部材に対して変位可能に支持された第二可動部材と、前記第一可動部材に対して変位可能に支持された部材であって、前記駆動源と前記第一可動部材との間の動力伝達機構の少なくとも一部、および前記駆動源と前記第二可動部材との間の動力伝達機構の少なくとも一部を構成する動力伝達部材と、第一位置と第二位置との間を移動可能で前記駆動源の動力の伝達対象を前記第一可動部材または前記動力伝達部材のいずれか一方に切り替える切替部材と、を備え、前記切替部材が第一位置に位置するときには、当該切替部材によって前記第一可動部材に対して前記動力伝達部材の変位が阻止されることで、前記駆動源の動力が前記動力伝達部材を介して前記第一可動部材に伝達され、前記第二可動部材が前記第一可動部材に対して変位しない状態で前記動力伝達部材と前記第一可動部材が前記ベース部材に対して変位する一方、前記切替部材が第二位置に位置するときには、前記第一可動部材に対して前記動力伝達部材の変位が許容されることで、前記駆動源の動力が前記動力伝達部材を介して前記第二可動部材に伝達され、前記第一可動部材が前記ベース部材に対して変位しない状態で前記動力伝達部材と前記第二可動部材が前記第一可動部材に対して変位するように構成され、前記動力伝達部材は、前記第一可動部材の一側面に回転自在に支持された部材であり、当該動力伝達部材には、その回転方向に延びる長穴である第一許容部、およびこの第一許容部に連なり当該回転方向に交差する方向に延びる長穴である第一規制部が形成され、前記切替部材が前記第一位置に位置するときには、当該切替部材が前記第一規制部内に位置することで、前記第一可動部材に対する前記動力伝達部材の回転が阻止され、前記駆動源の動力が前記動力伝達部材を介して前記第一可動部材に伝達される状態となる一方、前記切替部材が前記第二位置に位置するときには、当該切替部材が前記第一許容部内を相対的にスライド可能な位置に位置することで、前記第一可動部材に対する前記動力伝達部材の回転が許容され、前記駆動源の動力が前記動力伝達部材を介して前記第二可動部材に伝達される状態となるように構成されて
おり、前記第一可動部材には、第二規制部およびそれに連なる第二許容部を含む回転方向に交差する方向に延びる長穴が形成され、前記切替部材が前記第一位置に位置するときには、当該切替部材が前記第一規制部内および前記第二規制部内に位置することで、前記第一可動部材に対する前記動力伝達部材の回転が阻止された状態となる一方、前記切替部材が前記第二位置に位置するときには、当該切替部材が前記第一許容部内および前記第二許容部内に位置することで、前記第一可動部材に対する前記動力伝達部材の回転が許容された状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の遊技機において、前記第二可動部材が前記第一可動部材に対して変位している間は、前記切替部材が前記第一許容部内に位置することで、当該切替部材が前記第二誘導部内から前記第一誘導部内に入り込むことが阻止され、前記第一可動部材が前記ベース部材に対して変位しないように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
または請求項
2に記載の遊技機において、前記ベース部材に対する前記第一可動部材の回転軸と、前記第一可動部材に対する前記動力伝達部材の回転軸は一致しており、当該回転軸から前記第一誘導部までの距離と、当該回転軸から前記第一許容部までの距離とは異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明では、切替部材が第一位置に位置するときには、駆動源の動力が第一可動部材に出力される一方、切替部材が第二位置に位置するときには、駆動源の動力が第二可動部材に出力される。すなわち、切替部材の位置によって駆動源の動力の出力対象が異なるものである。このように、一の駆動源で複数の部材が変位する、コンパクトかつ面白みのある演出装置とすることが可能である。
また、動力伝達部材に、回転方向に延びる第一許容部、および回転方向に交差する方向に延びる第一規制部を形成することで、切替部材が第一規制部内に位置するときには、第一可動部材に対する動力伝達部材の回転が阻止され、切替部材が第一許容部内に位置するときには第一可動部材に対する動力伝達部材の回転が許容される構成とすることが可能である。つまり、切替部材の位置によって動力伝達部材の第一可動部材に対する回転が許容されるか否かによって、駆動源の動力の出力が切り替えられる構成とすることが可能である
。
また、第一可動部材に第二規制部および第二許容部を形成することで、切替部材が第一規制部内および第二規制部内に位置しているときには第一可動部材に対する動力伝達部材の相対的な回転が確実に阻止される構成とすることが可能である。
【0012】
請求項
2に記載の発明のように、切替部材が第一許容部内に位置することで、当該切替部材が第二誘導部内から第一誘導部内に入り込むことが阻止される構成とすれば、第二可動部材が第一可動部材に対して変位している際、第一可動部材がベース部材に対して変位しない構成とすること、すなわち、両可動部材がそれぞれ単独で変位する構成とすることが可能である。
【0013】
請求項
3に記載の発明のように、回転軸から第一誘導部までの距離と回転軸から第一許容部までの距離が異なるようにすることで、第一可動部材がベース部材に対する相対位置を原位置から終端位置に変位させたときに、切替部材が誘導部によって第一位置から第二位置に移動する構成を簡単に構築することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】センターベースおよびそれに取り付けられた演出装置を示した図である。
【
図4】ベース部材が原位置に位置するときの演出装置の正面図である。
【
図5】ベース部材が進出位置に位置するときの演出装置の正面図であって、第一可動部材および第二可動部材が原位置に位置する状態を示したものである。
【
図6】ベース部材が進出位置に位置するときの演出装置の正面図であって、第一可動部材が終端位置に位置し、第二可動部材が原位置に位置する状態を示したものである。
【
図7】ベース部材が進出位置に位置するときの演出装置の正面図であって、第一可動部材および第二可動部材が終端位置に位置する状態を示したものである。
【
図8】第一可動部材および第二可動部材が原位置に位置するときの正面図(a)、およびA−A線断面図(b)である。なお、(b)の拡大図は、切替部材を取り外した状態での当該箇所の拡大図である。
【
図9】第一可動部材が原位置と終端位置との間に位置するときの正面図(a)、およびB−B線断面図(b)である。
【
図10】第一可動部材が終端位置に位置し、第二可動部材が原位置に位置するときの正面図(a)、およびC−C線断面図(b)である。
【
図11】第一可動部材および第二可動部材が終端位置に位置するときの正面図(a)、およびD−D線断面図(b)である。
【
図12】切替部材と切替部材が入り込む各長穴や溝との関係を説明するための断面図(模式図)である。
【
図13】第一可動部材および動力伝達部材の回転方向位置と切替部材の位置関係を演出装置の動作に沿って示した図であって、(a)は第一可動部材が原位置に位置した状態、(b)は第一可動部材が終端位置に到達する直前、(c)は第一可動部材が終端位置に位置した状態、(d)は第二可動部材が終端位置に位置した状態、を示したものである。
【
図14】ベース部材と切替部材の位置関係を演出装置の動作に沿って示した図であって、(a)は第一可動部材が原位置に位置した状態、(b)は第一可動部材が終端位置に到達する直前、(c)は第一可動部材が終端位置に位置した状態(第二可動部材の位置は問わない)、を示したものである。
【
図15】動力伝達部材の第二歯車部から第二可動部材までの動力伝達経路(歯車列)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤90の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤90の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは
図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは
図1における左右方向をいうものとする。
【0016】
まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、
図1では、遊技機1の枠体、遊技球を発射する発射装置、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は省略している。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0017】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球(本発明における遊技媒体に相当する)を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0018】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0019】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0020】
このような遊技機1では、発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0021】
本実施形態にかかる遊技機1は、所定の演出実行時に表示装置91の表示画面の前方に進出し、遊技盤90の開口901を通じて視認可能となる可動部材を有する演出装置1mを備える。
図2に示すように、演出装置1mは、遊技盤90の後方に設けられるセンターベース25に取り付けられている。以下、
図3〜
図15を参照して当該演出装置1mの構成について詳細に説明する。
【0022】
本実施形態における演出装置1mは、ベース部材10、駆動源20、第一可動部材30、第二可動部材40、動力伝達部材50、切替部材60を備える。ベース部材10は、センターベース25の上側に取り付けられている。ベース部材10は、略長方形状の部材であり、原位置では長手方向が上下方向に沿うように位置し(
図4参照)、進出位置では長手方向が幅方向に沿うように位置する(
図5参照)。ベース部材10が原位置に位置するときには、それに取り付けられた第一可動部材30や第二可動部材40は遊技盤90の開口901より上側に覆われる。ベース部材10が進出位置に位置するときには、第一可動部材30や第二可動部材40が遊技盤90の開口901を通じて視認可能となる。本実施形態では、ベース駆動モータ11によってベース部材10が原位置と進出位置との間を往復動作可能である。具体的には、ベース駆動モータ11を正転させると原位置に位置するベース部材10が時計回りに回動し進出位置に到達する。ベース駆動モータ11を逆転させると進出位置に位置するベース部材10が反時計回りに回動し、原位置に到達する。ベース駆動モータ11の動力をベース部材10に伝達する駆動機構はどのような構成であってもよいため説明は省略する。なお、以下の各構成の説明は、特に明示した場合を除き、ベース部材10が進出位置に位置する状態を基準としていうものとする。
【0023】
ベース部材10の下面には、下方に向かって突出する壁部によって構成される溝(ベース部材10を貫通する長孔であってもよい)が形成されている。当該溝は、詳細を後述する第一可動部材30の回転方向に延びる第一誘導部13と、この第一誘導部13に連なり、第一可動部材30の回転方向に交差する方向に延びる第二誘導部14を含む(
図8〜
図11、
図14等参照)。第二誘導部14は、第一誘導部13側から端部にかけて径方向外側に向かうように延びる溝である。本実施形態では、第一誘導部13と第二誘導部14のなす角度は、90度超に設定されている。
【0024】
このベース部材10の上側には、後述するように動作する第一可動部材30や第二可動部材40の駆動源20(本実施形態ではモータ)が固定されている。この駆動源20の動力は、第一可動部材30や第二可動部材40に駆動源20の動力を伝達する動力伝達機構の一部を構成する駆動歯車(図示せず)に直接または間接的に(別の歯車を介して)伝達される。駆動歯車は、ベース部材10の下側に位置する。
【0025】
第一可動部材30は、演出効果を発現する部材であって、ベース部材10に対し変位可能に取り付けられた部材である。第一可動部材30を上下方向に直交する平面で切断した断面の大きさは、当該平面方向におけるベース部材10の大きさと略同じである。つまり、当該断面の形状は略長方形状である。第一可動部材30には、上方に向かって突出する軸状部31が形成されている。ベース部材10には、上方に向かって突出する筒状部12が形成されている。第一可動部材30の軸状部31は、ベース部材10の筒状部12の内側に挿入されている。第一可動部材30は、筒状部12の内側に挿入された軸状部31の中心軸を回転中心としてベース部材10に対し回転自在である。第一可動部材30は、ベース部材10に対し、ベース部材10と回転方向位置が一致する(上方から見て第一可動部材30がベース部材10に覆われる)原位置と終端位置との間を回転自在である。軸状部31の上端には、筒状部12の内径よりも大きい鍔状部32が取り付けられている。この筒状部12により、ベース部材10から第一可動部材30が脱落してしまうこと(軸状部31が筒状部12から抜けてしまうこと)が防止されている。
【0026】
第一可動部材30の上面(後述する第一歯車部51と第二歯車部52の間の壁部)には、その回転方向に交差する方向に延びる長穴(溝)が形成されている。本実施形態は径方向に延びる長穴である。この長穴は、径方向内側の回転阻止部35(本発明における第二規制部に相当する)および径方向外側の回転可能部36(本発明における第二許容部に相当する)を含む(
図8〜
図11、
図13等参照)。両部の詳細については後述する。
【0027】
原位置に位置する第一可動部材30の前面には一方側装飾面33が形成されている。第一可動部材30のその反対側の面(第二演出位置に位置する第二可動部材40の前面)には他方側装飾面34が形成されている。両装飾面の態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、透明な板に所定の態様の装飾(凹凸)が施され、その装飾が後方に設けられた光源から出射される光によって照らされる態様となっている。ベース部材10が原位置に位置するときには、一方側装飾面33または他方側装飾面34は遊技盤90に覆われた状態となるが、ベース部材10が進出位置に位置するときには、一方側装飾面33または他方側装飾面34は遊技盤90の開口901を通じて視認可能となる。
【0028】
第二可動部材40は、第一可動部材30とともに演出効果を発現する部材であって、第一可動部材30に対し変位可能に取り付けられた部材である。本実施形態では、二つの第二可動部材40(左第二可動部材および右第二可動部材)が設けられている。左第二可動部材は第一可動部材30の他方側装飾面34の左側縁に回転自在に支持され、右第二可動部材は第一可動部材30の他方側装飾面34の右側縁に回転自在に支持されている。両第二可動部材が原位置に位置するときには、他方側装飾面34の略左半分を左第二可動部材が覆い、他方側装飾面34の略右半分を右第二可動部材が覆う。原位置に位置する両第二可動部材40が互いに離れる方向に回転し、終端位置に到達すると他方側装飾面34が露出する。なお、両第二可動部材40は透明な板で構成されているため、両第二可動部材40が原位置に位置するときに第一可動部材30に設けられた光源を駆動すると、その光源から出射された光に第二可動部材40も照らされる。そのため、両第二可動部材40にも所定の態様の装飾(凹凸)が施されている。
【0029】
左第二可動部材の左側縁、右第二可動部材の右側縁には支持軸41が固定されている。この支持軸41は、第一可動部材30の幅方向両側に形成された貫通孔内に回転自在に通されている。両支持軸41の上端には駆動源20から第二可動部材40までの動力伝達機構を構成する出力歯車42が固定されている。この出力歯車42が回転することによって両第二可動部材40が第一可動部材30に対して回転する。
【0030】
動力伝達部材50は動力伝達機構の一部を構成する部材であって、第一可動部材30に対して変位可能に支持されている。具体的には、動力伝達部材50の中央には貫通孔が形成されており、この貫通孔内に第一可動部材30の軸状部31が通されている。つまり、動力伝達部材50は、その貫通孔(第一可動部材30の軸状部31)の中心を回転中心軸として第一可動部材30に対して回転可能に支持されている。動力伝達部材50は、上下方向に並び、一体的に回転する二つの歯車部を有する(いわゆる複合歯車であるともいえる)。上側の第一歯車部51には、駆動源20によって回転する駆動歯車が噛み合っている。下側の第二歯車部52には、駆動源20から第二可動部材40までの動力伝達機構を構成する入力歯車43が噛み合っている(
図15参照)。入力歯車43の回転は直接または間接的(
図15に示した構成のように別の歯車44を介して)に二つの出力歯車42に伝達される。つまり、入力歯車43が回転すると出力歯車42が回転する。これら第二歯車部52や駆動源20から第二可動部材40までの動力伝達機構は、第一可動部材30に支持されている。
【0031】
また、動力伝達部材50の第一歯車部51が形成された部分の外周より内側には、上下方向に貫通する長穴が形成されている。この長穴は、動力伝達部材50の回転方向に延びる回転許容部53(本発明における第一許容部に相当する)と、この回転許容部53に連なり、回転方向に交差する方向(本実施形態では動力伝達部材50の径方向)に延びる回転規制部54(本発明における第一規制部に相当する)と、を含む(
図8〜
図11、
図13等参照)。
【0032】
この回転許容部53および回転規制部54と、上述したベース部材10の第一誘導部13および第二誘導部14、ならびに第一可動部材30の回転阻止部35および回転可能部36との位置関係(ベース部材10に対する第一可動部材30の位置が原位置であり、第一可動部材30に対する第二可動部材40の位置が原位置であるときの位置関係)は次の通りである。
【0033】
回転規制部54および回転規制部54と回転許容部53の交わる部分(回転許容部53の回転規制部54側端部)は、上下方向において第一可動部材30の回転阻止部35および回転可能部36と重なる。具体的には、回転規制部54と回転阻止部35が重なり、回転規制部54と回転許容部53の交わる部分が回転可能部36と重なる(
図8等参照)。つまり、回転許容部53の径方向位置(第一可動部材30の回転中心軸からの距離をいう。以下同じ)は、回転可能部36と一致する。一方、回転規制部54および回転阻止部35の径方向位置は、第一誘導部13の径方向位置と一致する。また、回転許容部53および回転可能部36の径方向位置は、第二誘導部14の先端の径方向位置と一致する。したがって、回転許容部53の径方向位置は、第一誘導部13の径方向位置より外側である。
【0034】
切替部材60は、駆動源20の出力を切り替えるための部材(ピン)であって、
図12等に示すように、上側軸部61、下側軸部62、およびこの上側軸部61と下側軸部62を区画する区画部63を有する。上側軸部61は、ベース部材10に形成された第一誘導部13内または第二誘導部14内に入り込む部分である。下側軸部62は、動力伝達部材50に形成された回転規制部54内または回転許容部53内と、ベース部材10に形成された回転阻止部35内または回転可能部36内に入り込む部分である。区画部63は、上側軸部61と下側軸部62の境界に設けられた鍔状の部分であって、動力伝達部材50に形成された回転規制部54または回転許容部53の周縁部上に位置し、切替部材60が重力方向下向きに移動してしまうことを防止するための部分である。
【0035】
この切替部材60は、第一可動部材30(回転阻止部35または回転可能部36)に対して移動可能である。具体的には、相対的に径方向内側である第一位置と、径方向外側である第二位置との間を移動可能である。
【0036】
上記構成を有する演出装置1mの動作(作用)について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。なお、以下の動作は、図示されない遊技機1の制御手段(演出等を制御する基板)によって制御される。
【0037】
演出装置1mを用いた演出を実行する段になったときには、ベース駆動モータ11を正転させる。これにより、ベース部材10が原位置から進出位置に移動する(
図4に示す状態から
図5に示す状態に変位する)。このベース部材10の移動に伴って、それに支持されている第一可動部材30、第二可動部材40、動力伝達部材50、切替部材60も移動する。
【0038】
ベース部材10が進出位置に移動したとき、ベース部材10に対する相対的な位置が原位置である第一可動部材30は、一方側装飾面33が前方に向けられた状態にある(
図5参照)。当該一方側装飾面33を用いた演出(以下、第一演出と称することもある)を行うときには、一方側装飾面33の後方に設けられた光源を駆動し、一方側装飾面33を照らす。
【0039】
ベース部材10が進出位置に位置した状態で駆動源20を駆動(正転)させると、その動力は次のようにして第一可動部材30に出力される。ベース部材10に対する第一可動部材30の位置が原位置であるとき、切替部材60は第一位置に位置し、その上側軸部61が第一誘導部13、下側軸部62が回転規制部54および回転阻止部35に入り込んだ状態にある(
図8、
図13(a)、
図14(a)等参照)。そうすると、駆動源20の動力が駆動歯車21を介してそれに噛み合う第一歯車部51を有する動力伝達部材50に伝達される。これにより、第一可動部材30に対して回転自在に支持された動力伝達部材50は、一方に回転しようとする。しかし、切替部材60の下側軸部62が動力伝達部材50の回転規制部54と第一可動部材30の回転阻止部35に入り込んだ状態にあるため、第一可動部材30に対する動力伝達部材50の相対的な回転は切替部材60によって阻止される。つまり、第一位置に位置し、回転方向に交差する方向に延びる回転規制部54に入り込んでいる切替部材60は、動力伝達部材50に対する回転方向位置を変化させることができない状態にあるため、第一可動部材30に対する動力伝達部材50の相対的な回転を阻止する。
【0040】
このように第一可動部材30に対する動力伝達部材50の相対的な回転が阻止された状態にあるということは、回転方向についてみれば、第一可動部材30と動力伝達部材50は一体であるということである。したがって、駆動源20の動力が動力伝達部材50に伝達されると、この動力伝達部材50とともにそれを支持する第一可動部材30も回転する(
図9、
図13(b)、
図14(b)等参照)。このようにして第一可動部材30がベース部材10に対して相対的に回転し、終端位置に到達する(
図10、
図13(c)、
図14(c)等参照)。終端位置に到達した第一可動部材30は、他方側装飾面34が前方に向けられた状態にある。また、第一可動部材30に対する第二可動部材40の相対的な位置は原位置であるから、他方側装飾面34は第二可動部材40に覆われた状態にある。当該第二可動部材40に覆われた状態にある他方側装飾面34を用いた演出(以下、第二演出と称することもある)を行うときには、他方側装飾面34の後方に設けられた光源を駆動し、他方側装飾面34および第二可動部材40を照らす。
【0041】
ベース部材10に対して第一可動部材30が回転していくと、切替部材60の上側軸部61は回転方向に沿って設けられた第一誘導部13内を第二誘導部14に向かってスライドしていく。そして、第一可動部材30が終端位置に到達する直前に、切替部材60の上側軸部61は第二誘導部14内に進入し(
図14(b))、この第二誘導部14によって径方向外側に誘導される(
図14(c))。本実施形態では、第一誘導部13と第二誘導部14のなす角度は90度超に設定されているから、切替部材60の上側軸部61はスムーズに第二誘導部14に進入する。第一可動部材30が終端位置に到達すると、切替部材60の上側軸部61は第二誘導部14の先端に到達する。このようにして、切替部材60は第一位置から第二位置に移動する。
【0042】
第一可動部材30が終端位置に到達した状態で、さらに駆動源20を駆動(正転)させると、その動力は次のようにして第二可動部材40に出力される。切替部材60が第二位置に位置すると、その下側軸部62は回転許容部53(回転規制部54と回転許容部53の交わる部分)および回転阻止部35に入り込んだ状態となる(
図10、
図13(c)、
図14(c)等参照)。つまり、切替部材60の下側軸部62は回転方向に沿って形成された回転許容部53に入り込んだ状態にあるから、当該回転許容部53の長さ分、動力伝達部材50の回転は許容される。したがって、駆動源20の動力によって動力伝達部材50は、第一可動部材30に対して相対的に回転する。このとき、切替部材60の下側軸部62は回転許容部53内に位置するため、切替部材60が第一誘導部13内に入り込むことが阻止され、第一可動部材30はベース部材10に対して変位しない。換言すれば、第一可動部材30が終端位置に到達すると、駆動源20の動力は第二可動部材40に伝達されなくなるということである。
【0043】
動力伝達部材50が第一可動部材30に対して相対的に回転すると、動力伝達部材50の第二歯車部52に噛み合う入力歯車43から出力歯車42までの動力伝達機構を構成する各歯車(
図15参照)が回転する。なお、入力歯車43から出力歯車42までの各歯車は、第一可動部材30に対して回転自在に支持されている。出力歯車42が回転すると、一端にこの出力歯車42が固定された支持軸41が回転する。つまり、第二可動部材40(左第二可動部材および右第二可動部材)が第一可動部材30に対して回転し、終端位置に到達する(
図11、
図13(d)等参照)。第二可動部材40が終端位置に到達すると、この第二可動部材40に覆われていた第一可動部材30の他方側装飾面34が露出する。この第二可動部材40に覆われた状態にない(露出した)他方側装飾面34を用いた演出(以下、第三演出と称することもある)を行うときには、他方側装飾面34の後方に設けられた光源を駆動し、他方側装飾面34を照らす。
【0044】
このように、本実施形態における演出装置1mは、駆動源20を駆動すると、まず、その動力が動力伝達部材50を介して第一可動部材30に伝達され、第一可動部材30がベース部材10に対して相対的に回転する。第一可動部材30が終端位置に到達すると、切替部材60が第一位置から第二位置に移動することで、駆動源20の動力が動力伝達部材50を介して第二可動部材40に伝達され、第二可動部材40が第一可動部材30に対して相対的に回転し、第二可動部材40が終端位置に到達する。なお、第二可動部材40が終端位置に到達した状態で、駆動源20を逆方向に駆動(逆転)させれば、終端位置に位置する第二可動部材40が原位置に戻り、その後、終端位置に位置する第一可動部材30が原位置に戻ることになる。
【0045】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1は、切替部材60が第一位置に位置するときには、駆動源20の動力が第一可動部材30に出力される一方、切替部材60が第二位置に位置するときには、駆動源20の動力が第二可動部材40に出力される。具体的には、切替部材60が第一位置に位置するときには、第一可動部材30に対する第二可動部材40の相対位置が原位置のまま、ベース部材10に対し第一可動部材30が回転し、第一可動部材30が終端位置に到達すると、切替部材60が第二位置に移動し、ベース部材10に対する第一可動部材30の相対位置が終端位置のまま、第一可動部材30に対し第二可動部材40が回転する。このように、一の駆動源20で複数の部材が変位する(第一演出、第二演出、および第三演出という複数の演出を行うことができる)、コンパクトかつ面白みのある演出装置1mとすることが可能である。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
上記実施形態にかかる演出装置1mは、ベース部材10に対し第一可動部材30が回転し、第一可動部材30に対し第二可動部材40が回転する、という動きをするものであることを説明したが、当該動きは「回転」に限られるものではない。つまり、ベース部材10に対し第一可動部材30が変位し、第一可動部材30に対し第二可動部材40が変位する、という動きをするものであれば、原位置から終端位置に第一可動部材30が変位することで切替部材60が移動し、その切替部材60の移動によって駆動源20の出力対象(可動部材)を切り替えるという、本発明の技術思想は適用可能である。