特許第6019370号(P6019370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019370薄膜トランジスタ及びその製造方法、表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019370
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20161020BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20161020BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 616K
   H01L29/78 616V
   G02F1/1368
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-3211(P2012-3211)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-143495(P2013-143495A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島山 努
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣年
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−306167(JP,A)
【文献】 特開平07−326756(JP,A)
【文献】 特開2010−283326(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
酸化物半導体からなり、チャネルが構成される半導体層と、
前記ゲート電極及び前記半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、
トランジスタのソース・ドレイン電極の電極層と、
前記半導体層の上面及び側面を覆い、絶縁材からなる酸化膜により構成された保護膜とを備え、
前記保護膜は、前記半導体層と前記電極層との間に設けられ、前記半導体層と前記電極層とを電気的に接続する第1の保護膜領域と、前記半導体層の前記電極層と対向しない部分に接して設けられ、前記第1の保護膜領域よりも酸素の組成比が大きい第2の保護膜領域とを有する
薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記第2の保護膜領域の密度は、前記第1の保護膜領域の密度よりも大きい、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に、前記半導体層の上面及び側面を覆い、絶縁材からなる酸化膜により保護膜を形成する工程と、
前記保護膜上に、電極層を形成する工程と、
前記電極層に開口を形成してソース・ドレイン電極を形成するとともに、前記保護膜に前記半導体層と前記ソース・ドレイン電極とを電気的に接続する第1の保護膜領域を形成する工程と、
前記開口の下の部分の前記保護膜に酸素を導入して、前記保護膜に、前記第1の保護膜領域よりも酸素の組成比が大きい第2の保護膜領域を形成する工程とを有する
薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記第2の保護膜領域の密度が、前記第1の保護膜領域の密度よりも大きくなるように前記第2の保護膜領域を形成する、請求項3に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
表示素子と、前記表示素子を駆動する薄膜トランジスタとを備え、
前記薄膜トランジスタは、
ゲート電極と、
酸化物半導体からなり、チャネルが構成される半導体層と、
前記ゲート電極及び前記半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、
トランジスタのソース・ドレイン電極の電極層と、
前記半導体層の上面及び側面を覆い、絶縁材からなる酸化膜により構成された保護膜とを含み、
前記保護膜は、前記半導体層と前記電極層との間に設けられ、前記半導体層と前記電極層とを電気的に接続する第1の保護膜領域と、前記半導体層の前記電極層と対向しない部分に接して設けられ、前記第1の保護膜領域よりも酸素の組成比が大きい第2の保護膜領域とを有する
表示装置。
【請求項6】
前記第2の保護膜領域の密度は、前記第1の保護膜領域の密度よりも大きい、請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、薄膜トランジスタ及びその製造方法に係わる。また、薄膜トランジスタを備えた表示装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛や酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)等の酸化物半導体は、優れた半導体特性を有しており、薄膜トランジスタ(TFT)等への応用が検討されている。
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタと比較して、電子移動度が大きく、優れた電気特性を有している。また、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、オフ特性も良好であり、室温付近の温度でも高い移動度が期待できる。
【0003】
しかしながら、酸化物半導体は耐熱性が充分でないため、酸化物半導体を薄膜トランジスタに適用した場合に、薄膜トランジスタの製造時の熱処理工程において、酸素や亜鉛等が脱離して格子欠陥を形成する。この格子欠陥は、電気的には浅い不純物準位を形成し、酸化物半導体の低抵抗化を引き起こす。
【0004】
そこで、酸化物半導体層の上に、絶縁材料から成る保護層を形成することにより、酸化物半導体層からの酸素等の脱離を抑制することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−60419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成のように、酸化物半導体層上に保護層を形成した場合、保護層を形成する際に、酸化物半導体層へダメージが入ることが懸念される。
また、保護層(絶縁層)の上にソース・ドレイン電極層を形成した場合、酸化物半導体層と電極層とのコンタクトが取れなくなることから、電極層を形成する前に保護層にコンタクトホールを開口する加工をする必要がある。そのため、工程数が多くなるという問題があり、また、加工の際に酸化物半導体層へダメージが入ることも懸念される。
酸化物半導体層へダメージが入ると、薄膜トランジスタの特性が劣化して、製造歩留まりが低下する。
【0007】
本技術の目的は、製造時の酸化物半導体層へ与えるダメージを抑制することができ、信頼性の高い、薄膜トランジスタを歩留まり良く製造することが可能な構成の薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供するものである。また、この薄膜トランジスタを備えた表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の薄膜トランジスタは、ゲート電極と、酸化物半導体からなり、チャネルが構成される半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、トランジスタのソース・ドレイン電極の電極層と、半導体層の上面及び側面を覆い、絶縁材からなる酸化膜により構成された保護膜とを含む。
そして、保護膜は、半導体層と電極層との間に設けられ、半導体層と電極層とを電気的に接続する第1の保護膜領域と、半導体層の電極層と対向しない部分に接して設けられ、第1の保護膜領域よりも酸素の組成比が大きい第2の保護膜領域とを有する。
【0009】
本技術の薄膜トランジスタの製造方法は、ゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる半導体層を形成する工程と、半導体層上に、半導体層の上面及び側面を覆い、絶縁材からなる酸化膜により保護膜を形成する工程とを有する。
そして、保護膜上に電極層を形成する工程と、電極層に開口を形成してソース・ドレイン電極を形成するとともに、保護膜に半導体層とソース・ドレイン電極とを電気的に接続する第1の保護膜領域を形成する工程と、開口の下の部分の保護膜に酸素を導入して、保護膜に、第1の保護膜領域よりも酸素の組成比が大きい第2の保護膜領域を形成する工程とを有する。
【0010】
本技術の表示装置は、表示素子と、表示素子を駆動する薄膜トランジスタとを備えたものである。そして、薄膜トランジスタが、上記本技術の薄膜トランジスタの構成である。
【0011】
上述の本技術の薄膜トランジスタの構成によれば、半導体層とソース・ドレイン電極の電極層との間に、疎な絶縁材から成る第1の保護膜が形成されている。これにより、疎な絶縁材から成る第1の保護膜において、トンネル電流によるリークを生じるので、半導体層とソース・ドレイン電極の電極層との十分な導通が可能になる。
また、半導体層の電極層と対向しない部分には、第1の保護膜よりも緻密な絶縁材からなる第2の保護膜が形成されているので、この第2の保護膜によって、その部分の半導体層を保護して、かつ十分に絶縁することが可能になる。
【0012】
上述の本技術の薄膜トランジスタの製造方法によれば、酸化物半導体からなる半導体層上に、疎な絶縁材によって保護膜を形成し、この保護膜の上に電極層を形成するので、電極層を形成する際に保護膜によって半導体層を保護することができる。そして、保護膜を疎な絶縁材によって形成するので、半導体層と電極層との導通を取ることが可能になる。
さらに、電極層に開口を形成して、この開口の下の部分の保護膜に酸素を導入して、酸素が導入されていない第1の保護膜と、酸素が導入された第2の保護膜を形成するので、第2の保護膜は酸素が導入されて緻密になり、十分な絶縁性を有する。これにより、第2の保護膜によって、その下の部分の半導体層を絶縁し、開口の両側の電極層を絶縁することができる。
【0013】
上述の本技術の表示装置の構成によれば、表示素子を駆動する薄膜トランジスタが本技術の薄膜トランジスタの構成であることから、薄膜トランジスタにおいて、半導体層と電極層との導通及び半導体層の他の部分を十分に保護し絶縁することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
上述の本技術によれば、第1の保護膜において、半導体層とソース・ドレイン電極の電極層との十分な導通が可能になる。また、第2の保護膜によって半導体層を保護して、かつ十分に絶縁することが可能になる。
従って、本技術により、製造時の半導体層へ与えるダメージを抑制することができ、信頼性が高く、歩留まり良く製造することが可能な構成の薄膜トランジスタを実現することができる。
また、保護膜を加工する工程が不要になることから、従来の薄膜トランジスタの構成と比較して、製造工程数を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施の形態の薄膜トランジスタの概略構成図(断面図)である。
図2】A〜C 図1の薄膜トランジスタの製造方法を示す製造工程図である。
図3】D〜F 図1の薄膜トランジスタの製造方法を示す製造工程図である。
図4】A、B 第2の実施の形態の表示装置の概略構成図である。
図5】第2の実施の形態の表示装置の一画素の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(薄膜トランジスタ)
2.第2の実施の形態(表示装置)
3.変形例
【0017】
<1.第1の実施の形態(薄膜トランジスタ)>
第1の実施の形態の薄膜トランジスタの概略構成図(断面図)を、図1に示す。
図1に示す薄膜トランジスタ20は、ガラス基板等の絶縁基板11上に形成された、ゲート電極12と、絶縁層13と、チャネルが形成される半導体層14と、電極層16とを有して構成されている。
また、薄膜トランジスタ20の全体を覆って、絶縁層18が形成されている。
【0018】
ゲート電極12は、例えば、Mo,Al等の金属又は合金から成り、所定のパターンに形成されている。
絶縁層13は、薄膜トランジスタ20のゲート絶縁層となるものであり、ゲート電極12上を覆って形成されている。絶縁層13の材料には、例えば、SiOx(酸化シリコン)等を使用することができる。
半導体層14は、酸化物半導体から成り、絶縁層13の上に所定のパターンで形成されている。半導体層14の酸化物半導体としては、IGZO(インジウムゲルマニウム錫酸化物)、AZTO(AlZnSnO)、ZnO、TiO、SrTiO、ITO(インジウム錫酸化物)、ZTO(亜鉛錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZTO(GaZnSnO)等を使用することができる。
電極層16は、薄膜トランジスタ20のソース・ドレイン電極となるものであり、半導体層14の図中右側の部分の上と、半導体層14の図中左側の部分との上に、それぞれ1つずつ形成されている。電極層16の材料には、例えば、Ti,Al,Mo等を使用することができる。また、複数の異なる電極材料を積層して電極層16を形成することも可能である。
【0019】
本実施の形態の薄膜トランジスタ20では、半導体層14上を覆って、かつ電極層16の下に、保護膜が形成されており、特に、この保護膜が、電極層16の下の部分の第1の保護膜15と、2つの電極層16の間の開口の部分の第2の保護膜17とから成る。
第1の保護膜15は、半導体層14と電極層16とのコンタクトが可能なように、疎な絶縁材(酸化物や窒化物等)から成る膜によって形成されている。
第2の保護膜17は、第1の保護膜15と同種の材料を使用して、酸化の程度がより進んでいる絶縁材から成ることにより、第1の保護膜15よりも緻密になっている。第2の保護膜17は、半導体層14の開口の下の部分、即ち電極層16とは対向していない部分に形成されている。
【0020】
第1の保護膜15と第2の保護膜17の材料としては、SiOx,HfOx,TixOy,MoxOy,AlxOy,SiON,FexOy,MgxOy,ZrxOy,SnxOy,GexOy等の酸化物を使用することができる。
第2の保護膜17は、第1の保護膜15と比較して、酸素の組成比yが大きい構成とすればよい。
【0021】
第1の保護膜15は、酸化物等の絶縁材から成るので、本来ならば絶縁体である。
しかし、第1の保護膜15は疎な絶縁材から成る膜であることから、電流をリークさせることが可能であり、トンネル電流により、第1の保護膜15を挟んだ半導体層14と配線層16との間で十分な導通が得られる。
【0022】
第1の保護膜15の膜厚の適切な範囲は、使用する材料にも依存するが、下限は、安定した成膜が可能であり、かつ、半導体層14の保護ができる膜厚であり、上限は、半導体層14と配線層16との間で必要な導通が得られる膜厚である。
【0023】
また、半導体層14は、上面だけでなく、側面も第1の保護膜15で覆われている。これにより、配線層16を形成する際の半導体層14の側面へのダメージを抑制することができる。
【0024】
図1の薄膜トランジスタ20は、例えば以下に説明するようにして、製造することができる。
【0025】
まず、ガラス基板等の絶縁基板11上に、ゲート電極12を所定のパターンに形成する。
そして、ゲート電極12の上を覆って、全面に絶縁層13を形成する。
さらに、図2Aに示すように、絶縁層13上に、酸化物半導体から成る半導体層14を形成する。
半導体層14の酸化物半導体としては、IGZO(インジウムゲルマニウム錫酸化物)等の前述した各種材料を使用する。
【0026】
次に、半導体層14を所定のパターンにパターニングした後に、図2Bに示すように、半導体層14の上面及び側面を覆って、疎な膜である第1の保護膜15を薄く形成する。
第1の保護膜15を形成する方法としては、ALD(原子層成長)法、リモートプラズマソースCVD法、シリコンを含む材料とオゾン等酸素を含む材料を組み合わせた熱CVD法等が挙げられる。これらの方法では、下地の層へのダメージ、即ち図1の薄膜トランジスタでは半導体層14へのダメージを、小さく抑えることが可能である。
第1の保護膜15の材料としては、SiO、HfO等の前述した各種材料を使用することができる。
第1の保護膜15は、厚さを、例えば、1nm〜50nmの範囲内で形成する。
【0027】
次に、第1の保護膜15を加工しないで、図2Cに示すように、第1の保護膜15上を覆って、スパッタ法等により、電極層16を形成する。このとき、半導体層14の上面及び側面が第1の保護膜15で被覆されているため、電極層16を形成する際の半導体層14へ与えるダメージを抑制することができる。
電極層16の材料としては、前述した材料、例えば、Ti,Al,Moを使用することができる。また、例えばTi/Al/Tiのように、複数の異なる材料を積層して電極層16を形成することもできる。
【0028】
次に、図3Dに示すように、電極層16に対してエッチング加工を行って、開口を形成して、電極層16を開口の左右に分離する。このとき、半導体層14の上を第1の保護膜15で覆っているので、開口を形成する際に半導体層14へ与えるダメージを抑制することができる。
第1の保護膜15のうち、主に図中矢印で示す部分付近で、半導体層14と電極層16との導通が取られる。そして、第1の保護膜15が疎な膜であるため、トンネル電流によってリークが生じやすく、十分な導通を取ることができる。
【0029】
次に、図3Eに示すように、酸素を含むガスを使用して、プラズマ処理又は熱処理を行う。
これにより、電極層16に開口を形成する際に半導体層14に生じたダメージを回復することができる。また、電極層16の間の開口の下の第1の保護膜15に酸素を供給して、第1の保護膜15の開口の部分のみを酸化させて、緻密な第2の保護膜17に変化させることができる。また、半導体層14へのプラズマ等によるダメージを、第2の保護膜17で抑制することができると共に、十分なチャネル性能回復効果が得られる。
【0030】
次に、図3Fに示すように、全体を覆って、厚い絶縁層18を形成する。
この絶縁層18は、例えば、CVD法、スパッタ法、塗布法により形成することができる。この際も、半導体層14が第1の保護膜15及び第2の保護膜17で覆われているので、半導体層14へのダメージを抑制することができる。
このようにして、図1に示した薄膜トランジスタ20を製造することができる。
【0031】
上述の本実施の形態の薄膜トランジスタ20の構成によれば、チャネルが構成される半導体層14と、ソース・ドレイン電極となる電極層16との間に、疎な絶縁材から成る膜である第1の保護膜15が形成されている。そして、この第1の保護膜15が、半導体層14の上面及び側面を覆って形成されている。
これにより、第1の保護膜15が疎な絶縁材から成る膜であるため、第1の保護膜15内で電流のリークを生じることから、第1の保護膜15を挟む、半導体層14と電極層16との導通を十分に取ることができる。
そして、第1の保護膜15で半導体層14の上面及び側面を覆っているので、薄膜トランジスタ20を製造する際の、電極層16を形成する工程や電極層16を加工して開口を形成する工程において、半導体層14へのダメージを抑制することができる。
【0032】
さらに、電極層16の開口の下の部分、即ち電極層16と対向しない部分の半導体層14上に、第1の保護膜15よりも緻密な第2の保護膜17が形成されている。
これにより、第2の保護膜17で電極層16の開口の下の半導体層14を保護することができる。また、第2の保護膜17が緻密であることから、第2の保護膜17の下の部分の半導体層14を十分に絶縁し、左の電極層16と右の電極層16との間を十分に絶縁することができる。
【0033】
また、上述の本実施の形態の薄膜トランジスタ20の構成及び上述した製造方法によれば、第1の保護膜15で半導体層14の上面及び側面を覆っており、第1の保護膜15を全体に形成したまま、第1の保護膜15上に電極層16を形成している。
これにより、電極層16を形成する前に第1の保護膜15を加工する必要がなく、保護膜を加工することによる半導体層14へのダメージは生じない。
【0034】
そして、薄膜トランジスタ20の半導体層14へのダメージを抑制することができるので、半導体層14へのダメージによる薄膜トランジスタの特性の劣化を抑制することができ、製造歩留まりの向上を図ることが可能になる。
また、第1の保護膜15を加工する必要がなくなることから、保護膜を加工する工程がなくなる分、従来の構成と比較して、製造工程数を削減することが可能になる。
【0035】
上述の実施の形態の薄膜トランジスタ20の構成等の、本技術に係る薄膜トランジスタは、各種の表示装置において、表示素子の駆動を行うための駆動トランジスタとして、使用することが可能である。
本技術に係る薄膜トランジスタを適用可能な表示装置としては、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機ELディスプレイ)等が挙げられる。また、エレクトロデポジション型表示素子やエレクトロクロミック型表示素子を用いた表示装置等にも、本技術に係る薄膜トランジスタを適用可能である。
また、画像を表示する表示装置(テレビジョン装置やモニタ等)に限らず、表示部を含む機器に、本技術を適用することが可能である。表示部を含む機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯電話機等を挙げることができる。
【0036】
続いて、本技術の薄膜トランジスタを、表示装置に適用した実施の形態を、以下に示す。
【0037】
<2.第2の実施の形態(表示装置)>
第2の実施の形態の表示装置の概略構成図を、図4A及び図4Bに示す。図4Aは表示装置の一画素の要部の平面図を示し、図4B図4AのX−X´における断面図を示している。
本実施の形態の表示装置は、有機EL素子による発光素子を表示素子として用いた、OLED(有機ELディスプレイ)に、本技術の薄膜トランジスタを適用した構成である。
【0038】
図4Aに示すように、ソース配線41とゲート配線42と電源線43で囲まれた領域に、第1電極層61、容量素子44、2つの薄膜トランジスタ45,46を有する画素が構成されている。
容量素子44は、上部電極51、下部電極52、及びこれらの電極51,52の間に形成された、図示しない誘電体膜を有する。
第1の薄膜トランジスタ45は、ゲート電極53と、酸化物半導体から成る半導体層54と、電極層55,56とを有する。そして、右の電極層55が電源線43と接続され、左の電極層56がコンタクト部62を介して第1電極層61に接続されており、ゲート電極53が容量素子44の下部電極52と接続されている。
第2の薄膜トランジスタ46は、ゲート電極57と、酸化物半導体から成る半導体層58と、電極層59,60とを有する。そして、右の電極層59が容量素子44の下部電極52と接続され、左の電極層60がソース配線41に接続されており、ゲート電極57がゲート配線42と接続されている。
第1電極層61は、有機EL素子による発光素子を構成する電極であり、第1の薄膜トランジスタ45及び第2の薄膜トランジスタ46によって、発光素子が駆動される。
【0039】
第1の薄膜トランジスタ45及び第2の薄膜トランジスタ46には、第1の実施の形態の薄膜トランジスタ20等、本技術の薄膜トランジスタを使用することができる。
本実施の形態の表示装置では、第1の薄膜トランジスタ45及び第2の薄膜トランジスタ46の少なくとも一方には、本技術の薄膜トランジスタを使用する。
【0040】
図4Bの断面図は、図4Aの第1の薄膜トランジスタ45に、第1の実施の形態の薄膜トランジスタを使用した構成の断面図を示しており、図4Aの各部の符号と、図1の各部の符号とを付している。
薄膜トランジスタの左の電極層56(16)と第1電極層61を接続するコンタクト部62は、絶縁層18に埋め込まれた導電体層によって形成されている。
第1電極層61は、絶縁層18の平坦化された表面上に形成されている。そして、第1電極層61の右端部上を覆って、絶縁層18上に、絶縁体から成る隔壁63が形成されている。
第1電極層61上から隔壁63上にわたって、電界発光層64が形成されている。この電界発光層64を覆って、第2電極層65が形成されている。第1電極層61と電界発光層64と第2電極層65の3層により、発光素子が構成される。
【0041】
電界発光層64は、発光性の有機化合物を含有する、有機材料層によって形成する。電界発光層64は、単層の有機材料層で形成されていても、複数層の有機材料層によって形成されていても良い。
第1電極層61には、例えば、仕事関数が小さい材料、例えば、Ca,Al,CaF,MgAg,AlLi等を使用することができ。
第2電極層65には、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電材料を使用することができる。
隔壁63には、例えば、有機樹脂膜、無機絶縁膜、有機ポリシロキサンを使用することができる。
【0042】
第1電極層61と電界発光層64と第2電極層65の3層が積層された部分で、第1電極層61と第2電極層65の間に電圧を印加すると、電界発光層64において発光を生じる。
【0043】
なお、図4Bの絶縁層18は、同一の絶縁材料から成る絶縁層一層のみに限定されるものではなく、異なる絶縁材料から成る複数の絶縁層によって構成されていてもよい。
【0044】
図4A及び図4Bに示す構成の表示装置の一画素の等価回路図を、図5に示す。第1の薄膜トランジスタ45のソース・ドレインの一方と発光素子47とが接続されている。
図5の発光素子47は、図4Bの第1電極層61と電界発光層64と第2電極層65の3層により構成される。
【0045】
上述の本実施の形態の表示装置の構成によれば、第1の薄膜トランジスタ45及び第2の薄膜トランジスタ46の少なくとも一方に、本技術の薄膜トランジスタを使用する。これにより、薄膜トランジスタにおいて、半導体層と電極層との導通及び半導体層の他の部分を十分に保護し絶縁することが可能になる。
従って、製造時の半導体層へ与えるダメージを抑制することができ、表示装置の信頼性を向上し、表示装置を歩留まり良く製造することを可能にする。
【0046】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)ゲート電極と、酸化物半導体からなり、チャネルが構成される半導体層と、前記ゲート電極及び前記半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、トランジスタのソース・ドレイン電極の電極層と、前記半導体層と前記電極層との間に形成された、疎な絶縁材から成る膜である第1の保護膜と、前記半導体層の前記電極層と対向しない部分に接して形成された、前記第1の保護膜よりも緻密な絶縁材から成る第2の保護膜とを含む薄膜トランジスタ。
(2)前記第1の保護膜が、前記半導体層の上面及び側面を覆って形成されている前記(1)に記載の薄膜トランジスタ。
(3)ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程と、前記ゲート絶縁層上に、酸化物半導体からなる半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に、疎な絶縁材によって保護膜を形成する工程と、前記保護膜上に、電極層を形成する工程と、前記電極層に開口を形成して、ソース・ドレイン電極を形成する工程と、前記開口の下の部分の前記保護膜に酸素を導入して、酸素が導入されていない第1の保護膜と、酸素が導入された第2の保護膜を形成する工程とを有する薄膜トランジスタの製造方法。
(4)前記保護膜を形成する工程において、前記半導体層の上面及び側面を覆って前記保護膜を形成する前記(3)に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
(5)表示素子と、前記表示素子を駆動する薄膜トランジスタとを備えた表示装置であって、前記表示素子と、ゲート電極と、酸化物半導体からなり、チャネルが構成される半導体層と、前記ゲート電極及び前記半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、トランジスタのソース・ドレイン電極の電極層と、前記半導体層と前記電極層との間に形成された、疎な絶縁材から成る膜である第1の保護膜と、前記半導体層の前記電極層と対向しない部分に接して形成された、前記第1の保護膜よりも緻密な絶縁材から成る第2の保護膜とを含む、前記薄膜トランジスタとを備えた表示装置。
(6)前記薄膜トランジスタの前記第1の保護膜が、前記半導体層の上面及び側面を覆って形成されている、前記(5)に記載の表示装置。
【0047】
本技術は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0048】
11 絶縁基板、12,53,57 ゲート電極、13,18 絶縁層、14,54,58 半導体層、15 第1の保護膜、16,55,56,59,60 電極層、17 第2の保護膜、20 薄膜トランジスタ、41 ソース配線、42 ゲート配線、43 電源線、44 容量素子、45 第1の薄膜トランジスタ、46 第2の薄膜トランジスタ、47 発光素子、51 上部電極、52 下部電極、61 第1電極層、62 コンタクト部、63 隔壁、64 電界発光層、65 第2電極層
図1
図2
図3
図4
図5