(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣り合う前記正極活物質形成部の間、および、隣り合う前記負極活物質形成部の間には、それぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されていない未形成部が設けられ、
前記正極板および前記負極板が巻回された状態において、前記未形成部が折り曲げられ、前記正極活物質形成部および前記負極活物質形成部が平らとなる扁平形状とされていることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極群。
正極集電体上に正極活物質層が形成された帯状の正極板と、負極集電体上に負極活物質層が形成された帯状の負極板とを、前記正極板が前記負極板の内側に配置された状態で巻回した蓄電デバイス用電極群であって、
前記正極板には、前記正極活物質層が配置された正極活物質形成部が前記正極集電体を挟んで設けられ、
前記負極板には、前記負極活物質層が配置された負極活物質形成部が前記負極集電体を挟んで、前記正極活物質形成部よりも2つ多く設けられ、
前記正極活物質形成部および前記負極活物質形成部は、それぞれ、前記正極板および前
記負極板の長手方向に相互に分離されて配置され、
前記正極板および前記負極板は、前記正極板における最も内周の一方の端部に最も近い前記正極活物質形成部が、前記負極板における前記一方の端部から二番目に近い前記負極活物質形成部が対向する状態で重ね合わされて巻回されていることを特徴とする蓄電デバイス用電極群。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示されている電極構造では、電極として機能しない無駄な部分があり、エネルギー密度が不十分であるという問題があった。つまり、正電極板および負電極板を折り曲げて巻回構造を形成した際に、正電極板の活物質層と負電極板の活物質層とが対向して配置されない部分が形成されてしまい、活物質層が設けられている面積から期待されるエネルギー密度と比較して、実現できるエネルギー密度が不十分になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、電極として機能しない部分の形成を抑制することにより、エネルギー密度の低下を抑制することができる蓄電デバイス用電極群及び蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の蓄電デバイス用電極群は、正極集電体上に正極活物質層が形成された帯状の正極板と、負極集電体上に負極活物質層が形成された帯状の負極板とが、巻回された蓄電デバイス用電極群であって、前記正極板および前記負極板は、最も内周の端部の位置を一致させた状態で重ね合わされて巻回され、前記正極板および前記負極板には、それぞれ、前記正極活物質層が配置された正極活物質形成部、および、前記負極活物質層が配置された負極活物質形成部が設けられ、前記正極活物質形成部および前記負極活物質形成部は、それぞれ、前記正極板および前記負極板の長手方向に相互に分離されて配置され、|前記正極活物質形成部の総数−前記負極活物質形成部の総数|≦2であることを特徴とする。
【0009】
本発明の蓄電デバイス用電極群によれば、正極活物質形成部の総数と負極活物質形成部の総数との差の絶対値を2以下とすることで、正極板および負極板の最も内周の端部の位置を一致させた状態重ね合わせて巻回した際に、電極群における電極として機能しない部分が形成されることを抑制できる。
【0010】
さらに、正極板および負極板における最も内周の端部の位置を一致させて重ね合わせた状態で巻回して電極群を形成するため、例えば、最も内周の端部の位置をずらして重ね合わせた状態で巻回する場合と比較して電極群を形成しやすくなる。
【0011】
つまり、正極板および負極板の最も内周の端部の位置をずらして重ね合わせる場合には、正極活物質形成部および負極活物質形成部が位置を合わせて対向するように重ね合わせる必要があるため、重ね合わせの位置合わせが困難であった。これに対して、正極板および負極板の最も内周の端部の位置を一致させて重ね合わせる場合には、最も内周の端部の位置を一致させるだけで正極活物質形成部および負極活物質形成部の位置があった状態で対向するため、電極群の形成が行いやすくなる。
【0012】
上記発明において前記正極板および前記負極板は、長手方向の長さが同等とされていることが望ましい。
このように正極板および負極板における長手方向の長さを同等とすることにより、長さが異なる場合と比較して、正極板および負極板を重ね合わせた際に正極活物質形成部および負極活物質形成部を対向させやすくなる。
【0013】
上記発明において前記正極板は、巻回された状態において前記負極板の内側に配置され、前記正極活物質形成部の総数は、前記負極活物質形成部の総数以下であることが好ましい。
【0014】
このように内側に配置される正極板に設けられる正極活物質形成部の総数を、負極活物質形成部の総数以下とすることにより、電極群における電極として機能しない部分の形成が抑制され、エネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0015】
上記発明においては、隣り合う前記正極活物質形成部の間、および、隣り合う前記負極活物質形成部の間には、それぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されていない未形成部が設けられ、前記正極板および前記負極板が巻回された状態において、前記未形成部が折り曲げられ、前記正極活物質形成部および前記負極活物質形成部が平らとなる扁平形状とされていることが好ましい。
【0016】
このように正極板および負極板を未形成部において折り曲げ、正極活物質形成部および負極活物質形成部が平らとなる扁平形状に電極群を形成することにより、エネルギー密度の低下を抑制することができる。例えば、正極活物質形成部および負極活物質形成部が曲げられる場合と比較して、正極活物質形成部に設けられた正極活物質層や、負極活物質形成部に設けられた負極活物質形成層に応力が働きにくいため、破損等の不具合が発生しにくくなる。そのため、破損等の理由で正極活物質形成部および負極活物質形成部が電極として機能しなくなることを抑制でき、エネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0017】
上記発明において前記負極活物質形成部は、互いに分離されるとともに一方の端部から他方の端部に向かって並び、かつ、前記負極集電体を挟んで配置され、前記正極活物質形成部は、前記正極板が前記負極板の内側に配置されて巻回された状態において、前記負極活物質形成部と対向する位置にのみ配置されていることが好ましい。
【0018】
このようにすることにより、正極板が負極板の内側になるように重ね合わせた状態で巻回した際に、電極群の中心で互いに対向する正極活物質形成部がなくなる。言い換えると電極群の内部において電極として機能しない部分が減少し、電極群におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0019】
上記発明において前記正極板が前記負極板の内側に配置された状態で巻回され、前記負極活物質形成部は、互いに分離されるとともに一方の端部から他方の端部に向かって並び、かつ、最外周で前記負極活物質形成部が前記正極活物質形成部と対向しない位置を除き、前記負極集電体を挟んで配置され、前記正極活物質形成部は、互いに分離されるとともに一方の端部から他方の端部に向かって並び、かつ、最内周で前記正極活物質形成部が互いに対向する位置を除き、前記正極集電体を挟んで配置されていることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、正極板が負極板の内側になるように重ね合わせた状態で巻回した際に、電極群の中心で互いに対向する正極活物質形成部がなくなる。さらに、電極群の外周で、正極活物質形成部と対向しない単独の負極活物質形成部がなくなる。言い換えると電極群の内部、および、外周において電極として機能しない部分が減少し、電極群におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0021】
本発明の蓄電デバイス用電極群は、正極集電体上に正極活物質層が形成された帯状の正極板と、負極集電体上に負極活物質層が形成された帯状の負極板とを、前記正極板が前記負極板の内側に配置された状態で巻回した蓄電デバイス用電極群であって、前記正極板には、前記正極活物質層が配置された正極活物質形成部が前記正極集電体を挟んで設けられ、前記負極板には、前記負極活物質層が配置された負極活物質形成部が前記負極集電体を挟んで、前記正極活物質形成部よりも2つ多く設けられ、前記正極活物質形成部および前記負極活物質形成部は、それぞれ、前記正極板および前記負極板の長手方向に相互に分離されて配置され、前記正極板および前記負極板は、前記正極板における最も内周の一方の端部に最も近い前記正極活物質形成部が、前記負極板における前記一方の端部から二番目に近い前記負極活物質形成部が対向する状態で重ね合わされて巻回されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の蓄電デバイス用電極群によれば、正極板および負極板を重ね合わせた状態で巻回した際に、正極板における最も内周の一方端部は負極板に挟まれるため、電極群の中心で正極活物質形成部同士が対向しなくなる。言い換えると電極群の内部に電極として機能しない部分が形成されにくくなり、電極群におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0023】
本発明の蓄電デバイスは、上記本発明の蓄電デバイス用電極群と、電解質と、前記電極群および前記電解質を収容するケースと、が設けられていることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスによれば、上記本発明の蓄電デバイス用電極群が設けられているため、電極群の内部に電極として機能しない部分が形成されることが抑制され、高いエネルギー密度を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の蓄電デバイス用電極群及び蓄電デバイスによれば、正極活物質形成部の総数と負極活物質形成部の総数との差の絶対値を2以下とすることで、正極板および負極板の最も内周の端部の位置を一致させた状態で重ね合わせて巻回した際に、電極として機能しない部分の形成を抑制することができ、エネルギー密度の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る蓄電デバイス1について、
図1から
図9を参照しながら説明する。本実施形態では蓄電デバイス1が、リチウムイオンキャパシタである例に適用して説明する。なお、蓄電デバイス1は、上述のようにリチウムイオンキャパシタであってもよいし、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタであってもよく、その形式を特に限定するものではない。
【0027】
蓄電デバイス1には、
図1の模式図に示すように、電極群10と、正極タブリード(引出端子)31aおよび負極タブリード(引出端子)31cと、ラミネート外装型の角型ケース(ケース)41と、が主に設けられている。
【0028】
電極群10は蓄電デバイス1における充電および放電を行う中心的な構成要素である。電極群10は、
図2の電極群10の模式断面図に示すように、正極板11aと、負極板11cと、セパレータ21と、から主に構成され、負極板11c、セパレータ21、正極板11a、セパレータ21の順に積層された層が扁平状に巻回されて構成されたものである。
【0029】
なお、
図2に示す電極群10は、理解を容易にするために巻回の回数を3回として示しているものであり、巻回の回数を3回に限定するものではない。巻回の回数は、3回以上であってもよく、その回数を限定するものではない。本実施形態では、電極群10における巻回の回数を20回とした例に適用して説明する。
【0030】
ここで巻回の回数は、正極板11aおよび負極板11cにおける巻回の回数であり、かつ、後述する正極板11aおよび負極板11cに設けられたリード部15を除いた巻回の回数を意味する。言い換えると、セパレータ21における巻回の回数を意味するものではない。本実施形態の電極群10では、セパレータ21が正極板11aおよび負極板11cよりも1回多く巻回され、電極群10の最外周を覆っている。また、実際の電極群10では、正極板11a、負極板11cおよびセパレータ21を積層させた状態で巻回されている。なお、セパレータ21は、正極板11aおよび負極板11cよりも2〜3回多く巻回されていてもよい。
【0031】
図3は本実施形態における電極群10のサイズを示す図である。電極群10の最内周巻き幅Winは86(mm)であり、最小半径Rは0.5(mm)以下である。巻き幅Woutは93(mm)であり、厚さTは7.2+2R(mm)である。後述する正極板11aの正極活物質形成部14aや、負極板11cの負極活物質形成部14cが形成される領域の幅Wpは、正極活物質形成部14aでは79.6(mm)であり、負極活物質形成部14cでは81.6(mm)である。
【0032】
また、負極板11c、セパレータ21、正極板11a、セパレータ21の順に積層された層の厚さtは350(μm)である(
図2参照)。そのうち、正極板11aの厚さが190(μm)であり、負極板11cの厚さが100(μm)であり、2枚のセパレータ21の厚さの合計が60(μm)である。
【0033】
正極板11aは、
図4(a)および
図5に示すように、正極集電体13aと、正極活物質層が設けられる正極活物質形成部14aと、リード部15と、第1の未形成部16と、第2の未形成部17と、第3の未形成部(未形成部)18と、正極引出端子配置部19aとから主に形成されたものである。また、負極板11cは、
図4(b)および
図5に示すように、負極集電体13cと、負極活物質層が設けられる負極活物質形成部14cと、リード部15と、第1の未形成部16と、第2の未形成部17と、第3の未形成部18と、負極引出端子配置部19cとから主に形成されたものである。
【0034】
正極集電体13aは導電性を有する膜状の部材であり、正極活物質形成部14aと正極タブリード31aとの間を導電可能とするものである。正極集電体13aの表面には、正極活物質形成部14aおよび正極タブリード31aが形成される領域を除き、絶縁膜が設けられていてもよい。正極集電体13aの材料としては、例えばアルミニウムや、ステンレス鋼などを挙げることができる。また、絶縁膜を構成する材料としては、例えばポリイミド系、エポキシ系等の樹脂材料を挙げることができる。
【0035】
負極集電体13cは導電性を有する膜状の部材であり、負極活物質形成部14cと負極タブリード31cとの間を導電可能とするものである。負極集電体13cの表面には、負極活物質形成部14cおよび負極タブリード31cが形成される領域を除き、絶縁膜が設けられていてもよい。負極集電体13cの材料としては、例えば銅や、ステンレス鋼などを挙げることができる。また、絶縁膜を構成する材料としては、例えばポリイミド系、エポキシ系等の樹脂材料を挙げることができる。
【0036】
正極活物質形成部14aは正極集電体13aの上に設けられた矩形状の領域であり、正極活物質の層が設けられる部分である。上述の正極活物質層を形成する正極活物質としては、例えば活性炭粉末、導電性高分子、ポリアセン系有機半導体などを用いることができる。
【0037】
本実施形態の正極板11aでは、電極群10の最も内周の端部となるリード部15に最も近い位置P1、および、次に近い位置P2では、負極板11cと対向する面にのみ正極活物質形成部14aが設けられている。負極板11cに対して反対側の面には正極活物質形成部14aは設けられていない。三番目に近い位置P3から遠い位置では正極板11aを挟むように正極活物質形成部14aが設けられている。そのため、本実施形態では、38層の正極活物質形成部14aが正極板11aに設けられていることとなる。
【0038】
負極活物質形成部14cは負極集電体13cの上に設けられた矩形状の領域であり、負極活物質の層が設けられる部分である。上述の負極活物質層を形成する負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ポリアセン系有機半導体などを用いることができ、負極活物質にはリチウムイオンが吸蔵され、担持されている。本実施形態では、全ての位置において負極板11cを挟むように負極活物質形成部14cが設けられているため、40層の負極活物質形成部14cが設けられていることとなる。
【0039】
正極活物質層および負極活物質層は、正極活物質または負極活物質をバインダー等と共に溶媒中に分散させたスラリーを、間欠塗工等により集電体上に塗工し乾燥することによって形成することができる。このようにして形成された正極活物質層および負極活物質層は、通常、
図6に示すように、それぞれ正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cの端部で盛り上がり部BPを形成する。本実施形態では盛り上がり部BPの高さHが5(μm)以下である例に適用して説明する。かかる盛り上がり部BPの高さHが高すぎると、電極板をロール状に巻き取った場合に電極板が変形したり、蓄電デバイスの内部抵抗や容量にバラツキが生じたり、電極板を巻回する際に嵩張って所定のサイズに収まらなかったりする等の問題が生じやすくなる。
【0040】
正極活物質形成部14aは帯状の正極板11aにおける長手方向(
図4(a)の上下方向)に間隔をあけて離散的に配置され、負極活物質形成部14cは帯状の負極板11cにおける長手方向(
図4(b)の上下方向)に間隔をあけて離散的に配置されている。正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cの周囲には第1の未形成部16、第2の未形成部17および第3の未形成部18が主に配置されている。
【0041】
また、
図7に示すように、中心を合わせて正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cを対向して配置すると、言い換えると正極活物質層および負極活物質層を対向して配置すると、正極活物質形成部14aの端部は負極活物質形成部14cよりも内側に位置するように形成されている。正極活物質形成部14aの端部は、負極活物質形成部14cの端部よりも0.1(mm)から5(mm)の範囲で内側に位置することが好ましい。
【0042】
リード部15は、正極板11aおよび負極板11cの長手方向における一方の端部、より具体的には、巻回された際に内側になる端部に設けられた正極活物質層や、負極活物質層が設けられていない部分である。
【0043】
第1の未形成部16、第2の未形成部17および第3の未形成部18は、正極板11aにおける正極活物質形成部14aが設けられていない部分、または、負極板11cにおける負極活物質形成部14cが設けられていない部分である。
【0044】
第1の未形成部16は、正極板11aにおける一対の長辺の一方の端部を長手方向に延びる部分、または、負極板11cにおける一対の長辺の一方の端部を長手方向に延びる部分である。
【0045】
第2の未形成部17は、正極板11aにおける一対の長辺の他方の端部を長手方向に延びる部分、または、負極板11cにおける一対の長辺の他方の端部を長手方向に延びる部分である。第2の未形成部17は、第1の未形成部16と比較して横幅方向(
図4(a)および
図4(b)の左右方向)の長さが狭く形成されている。
【0046】
第3の未形成部18は、隣接する正極活物質形成部14aの間を正極板11aにおける一対の長辺の一方から他方に向かって延びる部分、または、隣接する負極活物質形成部14cの間を負極板11cにおける一対の長辺の一方から他方に向かって延びる部分である。第3の未形成部18は、負極板11c、セパレータ21、正極板11a、セパレータ21の順に積層された層を扁平状に巻回する際に、折り曲げられる部分である。
【0047】
また、第3の未形成部18における横幅方向(
図4(a)および
図4(b)の上下方向)の長さは、リード部15に近い第3の未形成部18から、遠い第3の未形成部18に向かうに従い連続的に広くなるように形成されている。言い換えると、隣接する正極活物質形成部14a、または、隣接する負極活物質形成部14cの中心間の距離L1,L2,L3,…、がリード部15から離れるに伴い連続的に広くなるように形成されている。
【0048】
正極引出端子配置部19aは正極タブリード31aが配置される部分であり、正極板11aの正極集電体13aが絶縁膜に覆われることなく露出している部分である。正極引出端子配置部19aは、正極板11aの第1の未形成部16であって、正極活物質形成部14aと並んで配置されている。負極引出端子配置部19cは負極タブリード31cが配置される部分であり、負極板11cの負極集電体13cが絶縁膜に覆われることなく露出している部分である。負極引出端子配置部19cは、負極板11cの第1の未形成部16であって、負極活物質形成部14cと並んで配置されている。
【0049】
セパレータ21は、
図2および
図5に示すように、正極板11aおよび負極板11cの間に配置され、扁平状に巻回された正極板11aと負極板11cとが互いに接触しないようにするものである。セパレータ21における巻回構造の内側の端部(
図5の下側の端部)は、正極板11aおよび負極板11cの端部と比較すると突出するように配置されている。このようにすることで、内側の端部における正極板11aと負極板11cとの短絡が抑制される。また、電極群10に含まれる一対のセパレータ21のうちの一方は、
図2に示すように、巻回構造の外側の端部が正極板11aおよび負極板11cよりも長い形状に形成され、電極群10の最外周を覆っている。
【0050】
セパレータ21としては、例えばガラス繊維、セルロース繊維、または、ポリプロピレン繊維などから形成された不織布が用いることができる。また、セパレータ21には電解液が含浸されている。電解液としては、例えばリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液を用いることができる。
【0051】
リチウム塩を構成する陰イオンとしては、例えばPF
6-、BF
4-、A
SF
6-、SbF
6-、N(CF
3SO
3)
2-、C(CF
3SO
3)
3-、CF
3(SO
3)
-、F
-、ClO
4-、AlF
4-、TaF
6-、NbF
6-、SiF
6-、CN
-、F(HF)
n-などが挙げられる。
【0052】
非プロトン性有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、スホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、フッ素化γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、フッ素化プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。
【0053】
次に、
図8を参照しながら正極板11aおよび負極板11cの重ね合わせ状態について説明する。
図8では正極板11aおよび負極板11cが重ね合わされた状態を負極板11c側から見ている。
【0054】
正極板11aおよび負極板11cは、正極活物質形成部14aと負極活物質形成部14cとが対向するように重ね合わされている。さらに、正極板11aおよび負極板11cは、正極板11aの第1の未形成部16と負極板11cの第2の未形成部17とが対向するとともに、正極板11aの第2の未形成部17と負極板11cの第1の未形成部16とが対向するように重ね合わされている。
【0055】
より具体的には、負極板11cにおける第2の未形成部17の端部は、正極板11aにおける第1の未形成部16の端部から8(mm)内側に配置されている。同様に、正極板11aにおける第2の未形成部17の端部は、負極板11cにおける第1の未形成部16の端部から8(mm)内側に配置されている。正極板11aにおける第1の未形成部16の端部から負極板11cにおける第1の未形成部16の端部までは100(mm)の間隔となるように正極板11aおよび負極板11cは重ね合わされている。
【0056】
さらに、正極引出端子配置部19a、および、負極引出端子配置部19cは、第1の未形成部16の端部から中心に向かって5(mm)、かつ、長辺に沿う方向に50(mm)の矩形状の領域として形成されている。
【0057】
また、セパレータ21の横幅方向(
図8の上下方向の長さ)の長さは86(mm)に形成されている。セパレータ21における一方の端部(
図8の上側の端部)は、正極板11aにおける第1の未形成部16の端部から8(mm)内側に配置され、他方の端部(
図8の下側の端部)は、負極板11cにおける第1の未形成部16の端部から8(mm)内側に配置されている。
【0058】
正極タブリード31aは、
図1および
図8に示すように、正極板11aの横幅方向(
図8の上下方向)に延びて、正極板11aに導電可能に接続されるものである。負極タブリード31cは、負極板11cの横幅方向に延びて、負極板11cに導電可能に接続されるものである。
【0059】
具体的には、正極タブリード31aは正極板11aの正極引出端子配置部19aにおいて、負極タブリード31cは負極板11cの負極引出端子配置部19cにおいて、溶接等により電気的に接続されている。
【0060】
正極タブリード31aおよび負極タブリード31cは、
図1に示すように、角型ケース41を貫通して配置され、電極群10から電流を外部に放電する際、または、外部から電極群10に電流を充電する際に用いられる端子である。
【0061】
角型ケース41は、電極群10、正極タブリード31aおよび負極タブリード31c、並びに、電解液を内部に収納する両端が閉じられた容器である。
上記の構成の電極群10(蓄電デバイス1)によれば、負極活物質形成部14cの総数から正極活物質形成部14aの総数を引いた数を2とすることで、正極板11aおよび負極板11cの最も内周の端部の位置を一致させた状態重ね合わせて巻回した際に、電極群10における電極として機能しない部分が形成されることを抑制できる。
【0062】
つまり、正極板11aが負極板11cの内側になるように重ね合わせた状態で巻回した際に、電極群10の中心で互いに対向する正極活物質形成部14aがなくなる。言い換えると電極群10の内部において電極として機能しない部分が減少し、電極群10におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0063】
さらに、正極板11aおよび負極板11cにおける最も内周の端部の位置を一致させて重ね合わせた状態で巻回して電極群10を形成するため、例えば、最も内周の端部の位置をずらして重ね合わせた状態で巻回する場合と比較して電極群10を形成しやすくなる。
【0064】
つまり、正極板11aおよび負極板11cの最も内周の端部の位置をずらして重ね合わせる場合には、正極活物質形成部14aと負極活物質形成部14cとが位置を合わせて対向するように重ね合わせる必要があるため、重ね合わせの位置合わせが困難であった。これに対して、正極板11aおよび負極板11cの最も内周の端部の位置を一致させて重ね合わせる場合には、最も内周の端部の位置を一致させるだけで正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cの位置があった状態で対向するため、電極群10の形成が行いやすくなる。
【0065】
さらに正極板11aおよび負極板11cにおける長手方向の長さを同等とすることにより、長さが異なる場合と比較して、正極板11aおよび負極板11cを重ね合わせた際に正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cを対向させやすくなる。
【0066】
また、上記の構成の電極群10(蓄電デバイス1)によれば、負極活物質形成部の総面積が正極活物質形成部の総面積より相対的に大きくなるため、負極板上に金属リチウムが針状に析出し正負極が短絡することを抑制することもできる。
【0067】
正極板11aおよび負極板11cを第3の未形成部18において折り曲げ、正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cが平らとなる扁平形状に電極群10を形成することにより、蓄電デバイス1のエネルギー密度の低下を抑制することができる。例えば、正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cが曲げられる場合と比較して、正極活物質形成部14aに設けられた正極活物質層や、負極活物質形成部14cに設けられた負極活物質形成層に応力が働きにくいため、破損等の不具合が発生しにくくなる。そのため、破損等の理由で正極活物質形成部14aおよび負極活物質形成部14cが電極として機能しなくなることを抑制でき、蓄電デバイス1の高いエネルギー密度を実現することができる。
【0068】
なお、正極タブリード31aおよび負極タブリード31cは、
図9に示すように、正極板11aや負極板11cの長手方向に延びて配置されていてもよい。言い換えると、上述の実施形態と比較して正極タブリード31aおよび負極タブリード31cが引き出される方向を90°程度回転させることにより、正極タブリード31aおよび負極タブリード31cが同一方向に延びて形成されていてもよい。
【0069】
図10は、
図9に示す電極群10を有する蓄電デバイス1の構成を示している。この場合、正極タブリード31aや負極タブリード31cは、それぞれ端部がまとめられた正極板11aの第1の未形成部16や負極板11cの第1の未形成部16と溶接されることにより電気的に接続されている。
【0070】
角型ケース41は、アルマイト処理を施した金属から形成された容器であり、その厚さは0.2(mm)程度である。
図10に示す角型ケース41は、電極群10を収納する部分から正極タブリード31aおよび負極タブリード31cが溶接される部分に向けて(正極タブリード31a側では
図9の右から左に向けて、負極タブリード31c側では
図9の左から右に向けて)、段階的に絞られる段差形状に形成されている。
【0071】
つまり、1つ目の段差は、電極群10が収納されている部分から、正極タブリード31aや負極タブリード31cが正極タブリード31aや負極タブリード31cと溶接されている部分に向かう領域に形成されている。2つ目の段差は、正極タブリード31aや負極タブリード31cが正極板11aの第1の未形成部16や負極板11cの第1の未形成部16と溶接されている部分から、角型ケース41が融着される部分に向かう領域に形成されている。
【0072】
1つ目の段差部は、
図10に示すように3(mm)程度の長さを有している。正極タブリード31aや負極タブリード31cが正極板11aの第1の未形成部16や負極板11cの第1の未形成部16と溶接されている部分は3(mm)程度の長さを有している。角型ケース41が融着される部分は10mm程度の長さを有している。
【0073】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について
図11および
図12を参照しながら説明する。本実施形態の蓄電デバイスの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、電極群の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、
図11および
図12を用いて電極群の構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0074】
本実施形態に係る蓄電デバイス101の電極群110は、
図11の電極群110の模式断面図に示すように、正極板11aと、負極板111cと、セパレータ21と、から主に構成され、負極板111c、セパレータ21、正極板11a、セパレータ21の順に積層された層が扁平状に巻回されて構成されたものである。
図11に示す電極群110は、理解を容易にするために巻回の回数を3回として示しているものであり、巻回の回数を3回に限定するものではない。
【0075】
なお、本実施形態では、電極群110における巻回の回数を20回とした例に適用して説明する。さらに、実際の電極群110では、正極板11a、負極板111cおよびセパレータ21を積層させた状態で巻回されている。
【0076】
負極板111cは、
図12に示すように、負極集電体13cと、負極活物質形成部14cと、リード部15と、第3の未形成部18と、から主に形成されたものである。なお、負極板111cには、第1の実施形態の負極板11cと同様に、第1の未形成部16と、第2の未形成部17と、負極引出端子配置部19cとが設けられている(
図4(b)参照)。
【0077】
本実施形態の負極板111cでは、電極群10の最も外周の端部(
図12の上側の端部)に最も近い位置P20、および、次に近い位置P19では、正極板11aと対向する面にのみ負極活物質形成部14cが設けられている。正極板11aに対して反対側の面には負極活物質形成部14cは設けられていない。三番目に近い位置P18からリード部15に近い位置では負極板111cを挟むように負極活物質形成部14cが設けられている。そのため、本実施形態では、38の負極活物質形成部14cが負極板111cに設けられていることとなり、負極活物質形成部14cの総数は、正極板11aに設けられた正極活物質形成部14aの総数と同じになる。
【0078】
上記の構成の電極群110(蓄電デバイス101)によれば、正極板11aが負極板111cの内側になるように重ね合わせた状態で巻回した際に、電極群110の中心で互いに対向する正極活物質形成部14aがなくなる。言い換えると、電極群110の中心で正極活物質形成部14a同士が(具体的には位置P1における反対側の正極活物質形成部14aと、位置P2における反対側の正極活物質形成部14aとが)対向しなくなる。
【0079】
さらに、電極群110の外周で、正極活物質形成部14aと対向しない単独の負極活物質形成部14c(具体的には位置P19における反対側の負極活物質形成部14c、および、位置P20における反対側の負極活物質形成部14c)がなくなる。言い換えると電極群110の内部、および、外周において電極として機能しない部分が減少し、電極群110におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0080】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について
図13および
図14を参照しながら説明する。
本実施形態の蓄電デバイスの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、電極群の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、
図13および
図14を用いて電極群の構成について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係る蓄電デバイス201の電極群210は、
図13の電極群210の模式断面図に示すように、正極板211aと、負極板211cと、セパレータ21と、から主に構成され、負極板211c、セパレータ21、正極板211a、セパレータ21の順に積層された層が扁平状に巻回されて構成されたものである。
図13に示す電極群210は、理解を容易にするために巻回の回数を3回として示しているものであり、巻回の回数を3回に限定するものではない。
【0082】
なお、本実施形態では、電極群210における巻回の回数を20回とした例に適用して説明する。さらに、実際の電極群210では、正極板211a、負極板211cおよびセパレータ21を積層させた状態で巻回されている。
【0083】
正極板211aは、
図14に示すように、正極活物質形成部14aと、第3の未形成部18と、から主に形成されたものである。なお、正極板211aには、第1の実施形態の負極板11cと同様に、正極集電体13aと、第1の未形成部16と、第2の未形成部17と、正極引出端子配置部19aとが設けられている(
図4(a)参照)。
【0084】
本実施形態の正極板211aは、リード部15が設けられていない点が第1の実施形態の正極板11aと異なり、電極群210の最も内周の端部から正極板211aを挟んで正極活物質形成部14aが設けられている。正極板211aには20の位置で正極活物質形成部14aが設けられているため、合計で40の正極活物質形成部14aが正極板11aに設けられている。
【0085】
負極板211cは、
図14に示すように、負極活物質形成部14cと、第3の未形成部18と、から主に形成されたものである。なお、負極板211cには、第1の実施形態の負極板11cと同様に、負極集電体13cと、第1の未形成部16と、第2の未形成部17と、負極引出端子配置部19cとが設けられている(
図4(b)参照)。
【0086】
本実施形態の負極板211cは、正極板211aと比較して長手方向(
図14の上下方向)に長く形成され、第1の実施形態の負極板11cと比較して、負極活物質形成部14cが設けられる位置が1つ増えている。そのため、本実施形態では、42の負極活物質形成部14cが負極板111cに設けられている。
【0087】
正極板211aおよび負極板211cは、巻回して電極群210とされる際に、正極板211aにおける最も内周の端部に最も近い位置P1の正極活物質形成部14aが、負極板211cにおける端部から二番目に近い位置P2の負極活物質形成部14cが対向する状態で重ね合わされる。次いで、負極板211cにおける位置P1の負極活物質形成部14cが、
図14の矢印で示すように、位置P1の正極活物質形成部14aを挟むように折り曲げられる。その後は第1の実施形態と同様に正極板211aおよび負極板211cが巻回され、電極群210となる。
【0088】
上記の構成の電極群210(蓄電デバイス201)によれば、正極板211aおよび負極板211cを重ね合わせた状態で巻回した際に、正極板211aにおける最も内周の端部は負極板211cに挟まれるため、電極群210の中心で正極活物質形成部14aが(具体的には位置P1の正極活物質形成部14aや、位置P2の正極活物質形成部14aが)負極活物質形成部14cと対向する。言い換えると電極群210の内部に電極として機能しない部分が形成されにくくなり、電極群210におけるエネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0089】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。