(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の接続部を前記ノズルが兼ねて前記本体部と前記ノズルが接続され、前記第2のせん断室は、前記第2の接続部の長手方向に代えて、前記本体部と前記ノズルを連通する連通孔の長手方向に対して垂直に曲折する円筒状に形成され、前記ノズルの連通孔は前記本体部から前記第2のせん断室の円筒内周面の接線方向に向けて穿設されることを特徴とする請求項1記載の微細気泡生成器。
前記第1の接続部内に少なくともその一部が介挿され、前記吐出配管から気液混合流体を導入して前記第1のせん断室内に放出するベンチュリー管を備える微細気泡増生成部を有し、前記ベンチュリー管はその絞り部に設けられた吸込部から前記第1のせん断室に放出された気液混合流体の一部を再度吸い込んで前記ベンチュリー管の吐出部から放出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細気泡生成器。
吐出部を備えた容器内に、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細気泡生成器を配置し、前記微細気泡生成器の第1の接続部を前記容器の吸込部として、前記微細気泡生成器で生成された微細気泡を一旦前記容器内に貯留させて前記吐出部より放出することを特徴とする微細気泡生成装置。
液体貯留槽に接続された吸込配管から吸い込まれた液体と吸引配管から吸引される気体を混合させて気液混合流体を吐出するポンプと、このポンプと前記液体貯留槽を接続する吐出配管と、この吐出配管の液体貯留槽側の端部に設置される微細気泡生成器と、を有する微細気泡生成システムであって、前記微細気泡生成器は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細気泡生成器であることを特徴とする微細気泡生成システム。
液体貯留槽に接続された吸込配管から吸い込まれた液体と吸引配管から吸引される気体を混合させて気液混合流体を吐出するポンプと、このポンプと前記液体貯留槽を接続する吐出配管と、この吐出配管の液体貯留槽側の端部に設置される微細気泡生成装置と、を有する微細気泡生成システムであって、前記微細気泡生成装置は、前記請求項4に記載の微細気泡生成装置であることを特徴とする微細気泡生成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示される技術では、気液混合流体は旋回流によるせん断力によって気泡が微細化されるものであり、流路の向きが急激に変化することで付与されるせん断力の効果を発揮させる構造ではあったものの、気泡の微細化を効率的かつ効果的にして多量かつより微細な気泡を発生させるためのメカニズムを改善する余地があるという課題があった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、構造を簡単にしながら流路の向きを急激に変化させることで、気液混合流体中の気泡に対してせん断力を強く作用させ、気泡を引きちぎって効率的かつ効果的に微細気泡を生成する微細気泡生成器、微細気泡生成装置及び微細気泡生成システムを提供することを目的としている。
また、流路の向きの急激な変化を連続して2段形成することで簡素化された構造においてさらに効率的かつ効果的に微細気泡を生成する微細気泡生成器、微細気泡生成装置及び微細気泡生成システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明である微細気泡生成器は、気液混合流体を導入する吐出配管に接続される第1の接続部と、この第1の接続部に接続され前記第1の接続部の長手方向に対して垂直
かつ平面状に流路を拡張して形成され、
前記気液混合流体の流れを前記第1の接続部から旋回させずに垂直に変更させる第1のせん断室を備える本体部と、この本体部に第2の接続部を介して接続され前記第2の接続部の長手方向に対して垂直に曲折して形成される第2のせん断室とこの第2のせん断室の端部に形成されたノズル孔を備えるノズルと、を有するものである。
上記構成の微細気泡生成器では、気液混合流体が第1のせん断室においてせん断力を受けて微細気泡を生成し、その後にその第1のせん断室から第2の接続部を介して第1のせん断室における流路の方向とは異なる第2のせん断室に導かれることで、連続した2段の流路の急激な変化によって、連続した2段の異なる方向のせん断力が作用する。従って、微細気泡にせん断力を加えてさらに微細化を促進するように作用し、また、気液混合流体中に新たな微細気泡を生成するように作用する。
【0009】
また、第2の発明である微細気泡生成器は、第1の発明である微細気泡生成器において、前記第2の接続部を前記ノズルが兼ねて前記本体部と前記ノズルが接続され、前記第2のせん断室は、前記第2の接続部の長手方向に代えて、前記本体部と前記ノズルを連通する連通孔の長手方向に対して垂直に曲折する円筒状に形成され、前記ノズルの連通孔は前記本体部から前記第2のせん断室の円筒内周面の接線方向に向けて穿設されることを特徴とするものである。
上記構成の微細気泡生成器では、第2の接続部をノズルが兼ねることから、第1のせん断室と第2のせん断室の間の距離がさらに短縮される。従って、せん断力の作用が強まり、第1の発明の作用をより強めるように作用する。
しかも、第2のせん断室が円筒状に形成され、ノズルの連通孔が本体部から第2のせん断室の円筒内周面の接線方向に向けて穿設されることから、気液混合流体が第2のせん断室に入射する際に旋回力が働くように作用し、旋回力によってせん断力が作用する。
【0010】
第3の発明である微細気泡生成器は、第1又は第2の発明である微細気泡生成器において、前記第1の接続部内に少なくともその一部が介挿され、前記吐出配管から気液混合流体を導入して前記第1のせん断室内に放出するベンチュリー管を備える微細気泡増生成部を有し、前記ベンチュリー管はその絞り部に設けられた吸込部から前記第1のせん断室に放出された気液混合流体の一部を再度吸い込んで前記ベンチュリー管の吐出部から放出することを特徴とするものである。
上記構成の微細気泡生成器では、第1又は第2の発明の作用に加えて、第1のせん断室において発生した微細気泡を含む気液混合流体の一部をベンチュリー管の絞り部、すなわちのど部から吸い込んで吐出部から放出することによって、ベンチュリー管の内部でせん断力を付加するように作用する。そのせん断力は気液混合流体中の微細気泡をさらに微細化するように作用し、また、新たに微細気泡を発生させるように作用する。
【0011】
第4の発明である微細気泡生成装置は、吐出部を備えた容器内に、第1乃至第3の発明のいずれかの発明である微細気泡生成器を配置し、前記微細気泡生成器の第1の接続部を前記容器の吸込部として、前記微細気泡生成器で生成された微細気泡を一旦前記容器内に貯留させて前記吐出部より放出することを特徴とするものである。
上記構成の微細気泡生成装置では、第1乃至第3の発明のいずれかの作用に加えて、容器が微細気泡生成器を保護するように作用し、また、微細気泡生成器によって生成された微細気泡の散逸を防止して、容器の吐出部からまとめて放出するように作用する。
【0012】
第5の発明である微細気泡生成システムは、液体貯留槽に接続された吸込配管から吸い込まれた液体と吸引配管から吸引される気体を混合させて気液混合流体を吐出するポンプと、このポンプと前記液体貯留槽を接続する吐出配管と、この吐出配管の液体貯留槽側の端部に設置される微細気泡生成器と、を有する微細気泡生成システムであって、前記微細気泡生成器は、第1乃至第3のいずれかの微細気泡生成器であることを特徴とする微細気泡生成システムである。
上記構成の微細気泡生成システムでは、第1乃至第3の発明の作用に加えて、液体貯留槽が吸込配管を介して液体を供給するように作用し、吸引配管が気体を吸引して供給するように作用し、ポンプが液体と気体を混合して気液混合流体を供給するように作用する。
【0013】
そして、第6の発明である微細気泡生成システムは、液体貯留槽に接続された吸込配管から吸い込まれた液体と吸引配管から吸引される気体を混合させて気液混合流体を吐出するポンプと、このポンプと前記液体貯留槽を接続する吐出配管と、この吐出配管の液体貯留槽側の端部に設置される微細気泡生成装置と、を有する微細気泡生成システムであって、前記微細気泡生成装置は、第4の微細気泡生成器であることを特徴とする微細気泡生成システムである。
上記構成の微細気泡生成システムでは、第4の発明の作用に加えて、液体貯留槽が吸込配管を介して液体を供給するように作用し、吸引配管が気体を吸引して供給するように作用し、ポンプが液体と気体を混合して気液混合流体を供給するように作用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の発明である微細気泡生成器では、連続した2段の流路の急激な変化に伴う連続した2段の異なる方向へのせん断力によって、微細気泡の更なる微細化が可能であり、また、連続して気液混合流体中に新たな微細気泡を生成するすることができる。すなわち、気泡の微細化をより効果的かつ効率的に促進することが可能である。
【0015】
本発明の第2の発明である微細気泡生成器では、、第1のせん断室と第2のせん断室の間の距離がさらに短縮されることから、連続した2段の流路の急激な変化がより急激となるため、第1の発明の効果をより強めることが可能である。
また、第2のせん断室が円筒状に形成され、気液混合流体が第2のせん断室に入射する際に旋回力が働くように作用するため、その旋回力によるせん断力によって微細気泡の更なる微細化が可能であり、その点でも第1の発明の効果をより強めることが可能である。
【0016】
本発明の第3の発明である微細気泡生成器では、第1及び第2の発明の効果に加えて、ベンチュリー管の内部でせん断力を付加することができるので、第1のせん断室でせん断力を受けて生成された微細気泡がさらに微細化され、また、気液混合流体中に新たに微細気泡を生成させることが可能である。そして、その後に第2のせん断室に導かれることから、さらにせん断力を付加させることが可能である。すなわち、コンパクトな微細気泡生成器の内部で3段の流路の急激な変化を生じさせ、3段のせん断力の付加によって微細気泡を効果的かつ効率的に生成することが可能である。
【0017】
本発明の第4の発明である微細気泡生成装置では、第1乃至第3の発明の効果に加えて、微細気泡生成器を容器内に収納することで保護することができ、また、微細気泡生成器によって生成される微細気泡は複数の方向へ散逸する可能性が高いが、吐出部を備えた容器に収納することで、微細気泡を吐出部からまとめて放出することができる。
【0018】
本発明の第5の発明である微細気泡生成システムでは、第1乃至第3の発明の効果と同様の効果を発揮することができる。
【0019】
本発明の第6の発明である微細気泡生成システムでは、第4の発明の効果と同様の効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る微細気泡生成システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る微細気泡生成システムの構成図である。
図1において、微細気泡生成システム1は、大きくは渦流ポンプ2と、この渦流ポンプ2に液体8を供給する液体貯留槽5とから構成されている。渦流ポンプ2は、ケーシング3内にインペラー4を備えた構造で、吸込孔7と吐出孔9を備えている。
その他には、液体貯留槽5から渦流ポンプ2に液体8を供給するための吸込配管6、渦流ポンプ2に気体8aを供給するために吸込配管6から分岐して接続される吸引配管12a、渦流ポンプ2内で気液混合流体8bを生成して液体貯留槽5に返戻する吐出配管10を有している。
また、吸引配管12aには大気から空気を吸い込むための吸引孔12を備えており、吸引配管12a途中には吸込配管6から液体8が逆流することなく吸引孔12から吸引された気体8aが渦流ポンプ2に供給されるために逆止弁11が介挿されている。
なお、液体8としては水、気体8aとしては空気が一般的であるが、気液混合流体8bにおける液体8や気体8aの選択は、微細気泡の用途によって様々な選択が可能である。
さらに、液体貯留槽5内には、吐出配管10に対して、第1の接続部13を介して微細気泡生成器14が設置されている。あるいは、この微細気泡生成器14に代えて後で説明する微細気泡生成装置41が設置されている。
【0022】
このように構成される微細気泡生成システム1では、液体貯留槽5に貯留される液体8は、吸込配管6の途中で吸引配管12aから供給される気体8aが、吸引配管12aの下流側の吸込配管6で混合しながら、気液混合流体8bとして渦流ポンプ2の吸込孔7へ供給される。
渦流ポンプ2のインペラー4によって撹拌、昇圧された気液混合流体8bは、吐出孔9から吐出配管10に供給されて、液体貯留槽5内に設置された微細気泡生成器14内で微細気泡を生成して液体貯留槽5内へ放出する。
このような構成を備えた微細気泡生成システム1によれば、十分に撹拌されて昇圧された気液混合流体8bを生成することができ、そして、微細気泡生成器14あるいは微細気泡生成装置41によって微細気泡を生成して、液体貯留槽5内を微細気泡で充満させることができる。
【0023】
以下、
図2を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る微細気泡生成器について説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る微細気泡生成器の(a)は正面構造図であり、(b)は側面構造図である。
図2(a),(b)において、微細気泡生成器14aは、
図1に示された吐出配管10に接続するための第1の接続部13aを備え、この第1の接続部13aの吐出配管10に接続される端部とは異なる他の端部に接続され、その4側面の各々に形成される1対の円筒状のソケット16とを有する直方体状の本体部15と、この本体部15のソケット16に第2の接続部20を介して接続されるノズル19を備えている。
本体部15の側壁にはソケット16と符合させた位置にソケット孔17が穿設されており、ノズル19の第2の接続部20内に形成される円筒状の流路と第1のせん断室25は連通している。さらに、第2の接続部20内の流路は、ノズル19のヘッダー部21内に形成される第2のせん断室27に接続されている。ヘッダー部21の両端部には端面の中央にノズル孔22が形成されており、第2のせん断室27内部に導入された気液混合流体8bはノズル孔22から液体貯留槽5内に放出される。
【0024】
吐出配管10を介して第1の接続部13aの流入孔18aから第1のせん断室25内に導入される気液混合流体8bは、第1の接続部13aの長手方向(流入方向)における中心軸に対して垂直方向に拡がる流路を形成した本体部15内の第1のせん断室25に導入される。
この第1の接続部13aによって形成される流路から急激に第1のせん断室25内に形成される流路の方向が変更となることから気液混合流体8bに対してせん断力が働き微細気泡が発生する。
第1のせん断室25内で拡がった気液混合流体8bは、それぞれソケット孔17、ソケット16から第2の接続部20を介してノズル19のヘッダー部21内に形成される第2のせん断室27に流入する。
このソケット孔17、ソケット16及び第2の接続部20によって形成される流路とノズル19のヘッダー部21によって形成される流路は、その長手方向(流路方向)に対してそれぞれ垂直に配置されている。
従って、ソケット孔17、ソケット16及び第2の接続部20によって形成される流路から第2のせん断室27の流路へと急激に向きが変化するため、第2のせん断室27で再度気泡の微細化が生じる。すなわち、気泡の微細化が第1のせん断室25と第2のせん断室27の連続した2段階で促進され、微細気泡に対しては更に微細化が強化され、また、気液混合流体8b中に新たに微細気泡を生成させることが可能である。
【0025】
本実施の形態では、吐出配管10に接続される側の第1の接続部13aの端部に対して符号Aで示されるようにねじ溝部を形成し、吐出配管10と脱着可能にねじ留めできるようにした。これは微細気泡生成器14aを取り外してメンテナンスしたり、交換を可能とするために形成したものであるが、溶接等で吐出配管10に接続するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、本体部15の4側面にそれぞれ1対、計8個のソケット16を設けたが、この数は特に限定するものではなく、本体部15の形状や第1の接続部13aから流入する気液混合流体8bの流量に応じて適宜増減させてもよい。
さらに、本体部15の形状として平らな直方体を選択しているが、平らな円柱体としてもよいし、水平断面が多角形の角柱体としてもよい。また、本実施の形態においては、ノズル19のヘッダー部21及び第2のせん断室27として長手方向に垂直な断面が矩形状のものを採用しているが、円筒状に形成してもよい。
【0026】
次に、
図3を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る微細気泡生成器について説明する。
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る微細気泡生成器の(a)は正面構造図であり、(b)は側面構造図である。
図3(a),(b)において、微細気泡生成器14bは、
図1に示された吐出配管10に接続するための第1の接続部13bを備え、この第1の接続部13bの吐出配管10に接続される端部とは異なる他の端部に接続される直方体状の本体部23を備えている。この本体部23の4側面には、第2の実施の形態ではソケット16(
図2(a),(b)参照)を介して接続されていたノズル29が、その側面を直に接合している。従って、本体部23の連通孔26aとノズル29の連通孔26bが符合して、本体部23内に形成される第1のせん断室25とノズル29内に形成される第2のせん断室27が、第2の実施の形態に係る微細気泡生成器14aよりも短距離で接続されている。しかも、ノズル29は第2の実施の形態のノズル19が備えていた管状の第2の接続部20を備えておらず、ノズル29の連通孔26bが第2の接続部20の機能を発揮して兼ねており、両端の側面中央に穿設されるノズル孔28を有するヘッダー部24のみで構成されるので、より短距離で本体部23に接続されることになる。
さらに、第2のせん断室27は円筒状に形成され、本体部23の連通孔26aとノズル29の連通孔26bは、本体部23から第2のせん断室27の円筒内周面の接線方向に向けて穿設されている。円筒内周面の接線方向とは、円筒中心軸に垂直方向断面で形成される円に対する接線方向の意味である。
なお、本体部23とノズル29及び本体部23と第1の接続部13bは図中に黒色三角で示されるような箇所をすみ肉溶接等で接合するとよい。
【0027】
吐出配管10を介して第1の接続部13bの流入孔18bから第1のせん断室25内に導入される気液混合流体8bは、第1の接続部13bの長手方向(流入方向)における中心軸に対して垂直方向に拡がる流路を形成した本体部23内の第1のせん断室25に導入される。
第2の実施の形態に係る微細気泡生成器と同様に、この第1の接続部13bによって形成される流路から急激に第1のせん断室25内に形成される流路の方向が変更となることから気液混合流体8bに対してせん断力が働き微細気泡が発生する。
第1のせん断室25内で拡がった気液混合流体8bは、それぞれ本体部23の連通孔26a及びノズル29のヘッダー部24の連通孔26bを介して、ヘッダー部24内に形成される第2のせん断室27に流入する。その際、気液混合流体8bは、本体部23の第1のせん断室25からノズル29の第2のせん断室27に、
図3(b)で反時計回りに旋回しながら流入する。
これら2つの連通孔26a及び連通孔26bによって形成される流路とノズル29のヘッダー部24によって形成される流路は、その長手方向(流路方向)に対してそれぞれ垂直に配置されつつ、さらにヘッダー部24の両端面中央に穿設されたノズル孔28から放出されるために円筒状の外周面から内周面に向かう旋回流を生じさせるように配置されている。
従って、連通孔26a,26bによって形成される流路から第2のせん断室27の流路へと急激に向きが変化すること、さらに、第2のせん断室27内の旋回力によってせん断力が発生し、第2のせん断室27内で再度気泡の微細化が生じる。すなわち、第2のせん断室27内だけで連続した2段階の気泡の微細化を生じさせているとも言える。
よって、微細気泡に対しては更に微細化が促進され、また、気液混合流体8b中に新たに微細気泡を生成させることが可能である。しかも、第2の実施の形態よりも第1のせん断室25と第2のせん断室27を連通させる流路(連通孔26a,26b)長が短いことから、より急激に流路の向きの変化が生じることになる。
気泡の微細化が第1のせん断室25と第2のせん断室27の連続した2段階で促進された後に、気液混合流体8bはヘッダー部24の両端のノズル孔28から液体貯留槽5内に放出される。
【0028】
本実施の形態においては、吐出配管10に接続される側の第1の接続部13bの端部の内側に符号B1で示されるようなねじ溝部を形成している。これは、
図4を参照しながら説明する微細気泡増生成部を、第1の接続部13bの流入孔18b内に装着するためのねじ溝部B1である。もちろん、第2の実施の形態と同様に外周にねじ溝部を設けて吐出配管10と着脱可能にねじ留めできるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、ノズル29を本体部23の外形に合わせて4個設けたが、ノズル29の数は特に限定するものではなく、本体部23の形状や第1の接続部13bから流入する気液混合流体8bの流量に応じて適宜増減させてもよい。また、本体部23の連通孔26aとノズル29の連通孔26bが、
図3(b)では第1の接続部13bに近い側、すなわち上流側に偏心して設けられているが、これを第1の接続部13bに遠い側(下流側)に偏心させて設けてもよい。
さらに、本体部23の形状として平らな直方体を選択しているが、平らな円柱体としてもよいし、水平断面が多角形の角柱体としてもよい。
【0029】
図4及び
図5を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係る微細気泡生成器の微細気泡増生成部について説明する。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る微細気泡生成器の微細気泡増生成部の(a)は正面構造図であり、(b)は側面構造図である。また、
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る微細気泡生成器の(a)は正面組立構造図であり、(b)は側面組立構造図である。第4の実施の形態に係る微細気泡生成器14cは、第3の実施の形態に係る微細気泡生成器14bに
図4(a),(b)に示される微細気泡増生成部31を組み合わせたものであるので、
図5では、
図3及び
図4において示した構成と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(a),(b)において、微細気泡増生成部31は、内周部にねじ溝部Cを有する基部32と、外周部に
図3に示される第1の接続部13bの内周部のねじ溝部B1と螺合するねじ溝部B2を備えつつ内部にベンチュリー管30の吸入孔38が形成された吸入部33と、内部にベンチュリー管30の吸入孔38に続く絞り部36とこの絞り部36に続く吐出孔35が形成された吐出部34を有している。また、絞り部36には
図5(b)に示されるように、微細気泡増生成部31の少なくとも一部を第1の接続部13bの内部に装着した際に、第1のせん断室25から流入孔18bを介して気液混合流体8bを吸い込むための吸込孔37が設けられている。
本実施の形態では、ベンチュリー管30を内部に形成させ、その吸入孔38から絞り部36にかけて気液混合流体8bの流速を速めることで静圧を減少させて、微細気泡生成器14cの第1のせん断室25及び流入孔18b内から気液混合流体8bを絞り部36に吸い込んでいる。
微細気泡生成器14cの第1のせん断室25で微細化された気泡を含む気液混合流体8bは、ベンチュリー管30の絞り部36に吸引される際に減圧されるので、気泡が膨張し、その後に吐出孔35内で気液混合流体8bの流速が減少して静圧が高まることで気泡が圧縮力を受ける。この一連の気泡に対する減圧膨張と加圧圧縮によって気泡がせん断力を受けて微細化が促進されることになる。
【0030】
第1のせん断室25内とベンチュリー管30内を循環するような流路が形成されているので、気液混合流体8bは、第1のせん断室25とベンチュリー管30の両方で繰り返し連続してせん断力を受けることができ、微細気泡に対しては更に微細化が促進され、また、気液混合流体8b中に新たに微細気泡を生成させることも可能である。
加えて、第1のせん断室25から連通孔26a,26bを介してノズル29のヘッダー部24内に形成される第2のせん断室27に前述したとおり旋回しながら導かれるので、更にせん断力を連続的に受けることが可能である。従って、コンパクトな空間内で、第1のせん断室25と第2のせん断室27にベンチュリー管30を加えて、いわば3段階に気泡の微細化を促進させることが可能である。
微細気泡増生成部31は、微細気泡生成器14cの内部に介挿されることで、微細気泡の生成の効率と効果を高めることが可能である。しかも、微細気泡生成器14cの内部に介挿されるため、微細気泡生成器14cの外形が維持されており容積の増加を伴うことなく、単位容積当りとしても微細気泡の生成を効率的かつ効果的に促進することができる。
本実施の形態に係る微細気泡生成器14cにおいては、微細気泡増生成部31の基部32において、吸入部33側とは反対側の端部にねじ溝部Cが形成されているが、これは吐出配管10に着脱可能に接続されるために形成されたり、あるいは次に
図6及び
図7を参照しながら説明する微細気泡生成装置41のケーシング42に接続するために形成されるものである。
また、本実施の形態に係る微細気泡生成器14cでは、ベンチュリー管30の吸入孔38を微細気泡増生成部31の吸入部33内に形成し、絞り部36と吐出孔35を吐出部34に形成したが、これらの配置については特に限定するものではない。但し、吸込孔37が絞り部36と連通するように穿設される必要があり、吸込孔37の位置では第1のせん断室25に存在する気液混合流体8bを吸込み可能な第1の接続部13bの内部の隙間が必要となることから、吐出部34の外径を吸入部33の外径よりも小さくして流路を確保するか、第1のせん断室25と吸込孔37を連通させる別個の流路等を用意しておく必要がある。
なお、本実施の形態においては、第3の実施の形態に係る微細気泡生成器14bに微細気泡増生成部31を装着したが、第2の実施の形態に係る微細気泡生成器14aの第1の接続部13aの径を大きくし、これに微細気泡増生成部31を装着してもよい。
【0031】
最後に
図6及び
図7を参照しながら、本発明の第5の実施の形態に係る微細気泡生成装置について説明する。
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る微細気泡生成装置の側面構造図であり、
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る微細気泡生成装置の正面構造図である。
図6及び
図7において、微細気泡生成装置41は、本発明の第4の実施の形態に係る微細気泡生成器14cをフランジ43を備えるケーシング42内に収容し、フランジ43と吐出配管45を備えるフランジ44をボルト孔49にボルトを挿通して締めたものである。
微細気泡増生成部31は、基部32の内周に形成されたねじ溝部Cと接続配管46に形成されたねじ溝部Dを螺合させる。さらに、接続配管46は、ケーシング42の吐出配管10側に設けられた第1の接続部13c内に形成されたねじ溝部Eとねじ溝部Dを螺合させることで固定される。
このようにして微細気泡増生成部31はケーシング42内に固定されて収容される。なお、微細気泡増生成部31の基部32と第1の接続部13cの間に介挿部材47を設けてもよい。介挿部材47を設けることで、接続配管46の長さと第1の接続部13cの長さの相対的な位置を容易に設定できるのと同時に、メンテナンス等で容易に着脱することができる。
以上のように構成される微細気泡生成装置41においては、吐出配管10から供給される気液混合流体8bを第1の接続部13cの吸入孔48から導入し、さらに微細気泡増生成部31内のベンチュリー管30に導くことで、既に第4の実施の形態として説明した微細気泡増生成部31による作用や第3の実施の形態として説明した微細気泡生成器14bによる作用を発揮して、ケーシング42内の微細気泡充満室51に微細気泡を滞留させることができる。
微細気泡充満室51に滞留する微細気泡は、吐出配管45の吐出孔50から放出される。
【0032】
微細気泡生成器14cでは、ノズル29の両端に穿設されたノズル孔28から微細気泡が本体部23を中心に放射状に放散されてしまうのに対して、微細気泡生成装置41では、ケーシング42内に微細気泡生成器14cが収容されているので、吐出配管45の吐出孔50から方向性を持たせて放出させることが可能である。
また、微細気泡生成器14cで生成された微細気泡はケーシング42の微細気泡充満室51内で滞留して放出されるため、均質化した微細気泡を安定的に供給することができる。
さらに、微細気泡生成器14cをケーシング42が保護する効果も発揮することができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、微細気泡生成装置41として、ケーシング42内部に微細気泡生成器14cを収容したが、もちろん微細気泡生成器14bや微細気泡生成器14aのみを収容してもよい。いずれの微細気泡生成器14a−14cを収容しても前述の微細気泡生成装置41に関わる効果を発揮することが可能である。
【0034】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態である微細気泡生成器、微細気泡生成装置及び微細気泡生成システムにおいては、流路の向きの急激な変化を第1のせん断室内と第2のせん断室内の2段形成することで簡素化された構造においてさらに効率的かつ効果的に微細気泡を生成することができる。また、微細気泡増生成部を備える微細気泡生成器では、ベンチュリー管を用いて微細気泡を含む気液混合流体を絞り部に吸引し、減圧膨張と加圧圧縮によってせん断力を加えて、微細気泡の生成をより効率的かつ効果的に促進することができる。さらに、微細気泡生成装置では微細気泡生成器によって生成された微細気泡の放出に方向性を持たせつつ、均質化した微細気泡を安定供給することが可能である。
【課題】気液混合流体中の気泡に対してせん断力を強く作用させ、気泡を引きちぎって効率的かつ効果的に微細気泡を生成する微細気泡生成器、微細気泡生成装置及び微細気泡生成システムを提供する。
【解決手段】気液混合流体8bを導入する吐出配管10に接続される第1の接続部13bと、この第1の接続部13bに接続され前記第1の接続部13bの長手方向に対して垂直に拡張して形成される第1のせん断室25を備える本体部15と、この本体部15に第2の接続部20を介して接続され前記第2の接続部20の長手方向に対して垂直に曲折して形成される第2のせん断室27とこの第2のせん断室27の端部に形成されたノズル孔22を備えるノズル19とを有する。