(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両用充電装置の全体斜視図である(充電ケーブル収納時)。
【
図2】車両用充電装置の全体斜視図である(充電ケーブル引出時)。
【
図3】車両用充電装置の側面断面図である(充電ケーブル収納時)。
【
図4】ケーブル送出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】実施形態5、6におけるコネクタホルダの垂直断面図である。
【
図6】実施形態7におけるコネクタホルダの垂直断面図である。
【0015】
本発明の車両用充電装置1は、
図1、
図2に示すように、車両の充電時に車両と接続する充電コネクタ2を先端に備えた充電ケーブル3を一体に備えている。
【0016】
図3に示すように、車両用充電装置1を構成するスタンド筐体4の下部は、充電ケーブル3を収納する充電ケーブル収納部5となっている。
【0017】
充電ケーブル収納部5の上部には、スタンド筐体4から充電ケーブル3を送り出すケーブル送出手段としてケーブル送出装置7が設けられ、その下部には、ケーブル送出装置7を駆動する駆動手段として駆動装置8が、上部には、駆動装置8の駆動を制御する駆動制御手段として制御装置9が設けられている。
【0018】
車両の充電は、充電ケーブル3を充電ケーブル収納部5から引き出して、充電コネクタ2を車両側のコネクタに差し込んで行われるが、その際、本発明では、充電コネクタ2または充電ケーブル3の何れかの状態を判定する状態判定部10によって、充電コネクタ2または充電ケーブル3の何れかが後述する所定の状態にあると判断された場合、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行い、駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動され、充電ケーブル3が自動に送り出される。
【0019】
ケーブル送出装置7の内部には、
図4に示すように、一対のローラである上部ローラ11と下部ローラ12とが水平軸のまわりに回転できるように取り付けられている。これらのローラ11,12は充電ケーブル3の断面形状に対応した溝部13,14を備え、
図5のように充電ケーブル3を上下方向から挟持して送ることができる位置に配置されている。
【0020】
以下に、状態判定部10が充電コネクタ2の状態を判定するための具体的手段を、実施形態1〜3として説明する。
【0021】
(実施形態1)
ケーブル送出装置7には、充電ケーブル3の送出長さを計測する充電ケーブル送出長さ検出手段を備えている。充電ケーブル送出長さ検出手段は回転センサ25と制御装置9からなり、回転センサ25はローラ11,12の回転方向及び回転数を計測する。制御装置9は回転センサ25で計測された回転方向及び回転数から充電ケーブル3の送出長さを算出する。
【0022】
本実施形態では、この充電ケーブル送出長さ検出手段を、充電ケーブル3の送出長さを検出する検出センサとして使用している。
【0023】
検出センサからの検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10の判定回路が、駆動装置8が動作していない状態で送り出された充電ケーブル3の送出長さが所定値以上となったことを判定すると、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動されると、充電ケーブル3が自動に送り出される。
【0024】
本実施形態によれば、作業者が充電準備作業として、車両用充電装置1から充電コネクタ2を取り外し、充電ケーブル3を引っ張り始めると、充電ケーブル3が自動に送り出されてくるため、作業負担を大幅に軽減することができる。
【0025】
充電ケーブル3の送り出しは、所定の長さで自動停止するように制御することもできる。また、状態判定部10が充電コネクタ2の状態も合わせて判定し、充電コネクタ2が車両用充電装置1内のコネクタホルダ16に収納されたままであると判定した時にはケーブルの送り出しを禁止する制御を行うこともできる。
【0026】
(実施形態2)
ケーブル送出装置7には、充電ケーブル3の送出速度を計測する充電ケーブル速度検出手段を備えている。充電ケーブル速度検出手段は回転センサ25と制御装置9からなり、回転センサ25はローラ11,12の回転方向及び回転数を計測する。制御装置9は回転センサ25で計測された回転方向及び回転数から充電ケーブル3の送出速度を算出する。
【0027】
検出センサからの検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10の判定回路が、駆動装置8が動作していない状態で送り出された充電ケーブル3の送出速度が所定値以上となったことを判定すると、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動されると、充電ケーブル3が自動に送り出される。
【0028】
(実施形態3)
ケーブル送出装置7には、充電ケーブル3に働く外力を計測する外力検出手段を備えている。外力検出手段は張力センサ26からなり、張力センサ26はローラ11,12近傍に設けられ、充電ケーブル3にかかる張力を測定している。
【0029】
本実施形態では、この外力検出手段を、充電ケーブル3に働く外力を検出する検出センサとして使用している。
【0030】
検出センサからの検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10の判定回路が、駆動装置8が動作していない状態で充電ケーブル3に働く外力が所定値以上となったことを判定すると、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動されると、充電ケーブル3が自動に送り出される。
【0031】
(実施形態4)
本実施形態では、充電ケーブル収納部5に内部温度測定手段6を備えている。
【0032】
本実施形態では、この内部温度測定手段6を、充電ケーブル収納部5の内部温度を検出する検出センサとして使用している。
【0033】
検出センサからの検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10の判定回路が、充電中に充電ケーブル収納部5の内部温度が所定値以上となったことを判定すると、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動されると、充電ケーブル3が自動に送り出される。これにより充電ケーブル3の引出しが途中の状態で充電が行われても、充電ケーブル3からの発熱がスタンド筐体4の内部機器に影響することを回避できる。
【0034】
(実施形態5)
図5に示すように、スタンド筐体4の中央部には、充電コネクタ2を保持するコネクタホルダ16が形成されている。コネクタホルダ16は、充電コネクタ2の先端部を差し込んで嵌合させるインレット17を有し、このインレット17の上部に、充電コネクタ2の爪部18の位置を検出し、充電コネクタ2とインレット17との接続を検出する接続検出手段として検出センサ19が配置されている。
【0035】
検出センサ19により、充電コネクタ2とインレット17との接続が解除されたことが検出されると、その検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10の判定回路は、充電コネクタ2がコネクタホルダ16から取り外されたことを判定し、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル送出装置7が駆動されると、充電ケーブル3が自動に送り出される。
【0036】
以上に説明したように、本発明によれば、充電コネクタ2または充電ケーブル3の何れかが所定の状態にあるとき、自動に充電ケーブル3の送り出しが行われ、従来、作業者の負担になっていた充電ケーブル引き出し作業を不要とすることができる。
【0037】
なお、車両用充電装置1に、更に、使用後の充電ケーブル3を巻き取るケーブル巻取手段と、ケーブル巻取手段を駆動する駆動手段と、駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段は、充電コネクタ2の状態を判定する状態判定部10を有し、状態判定部10の判定結果に基づき駆動手段の駆動を制御するものとすることもできる。
【0038】
なおケーブル送出装置7のローラ11,12を逆回転させて、ケーブル巻取装置として使用し、制御装置9と駆動装置8は兼用することが好ましい。この場合、充電を終了すると、充電コネクタ2は車両側のコネクタから外されるが、その後、制御装置9内にあって充電コネクタ2の状態を判定する状態判定部10によって、充電コネクタ2が後述する所定の状態にあると判断された場合、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行い、駆動装置8を介して、ケーブル巻取装置が駆動され、充電ケーブル3が巻き取られる。ここで、制御装置9には、充電ケーブル3の送出長さを記憶する記憶手段(図示しない)を備えている。充電ケーブル3の送出長さは駆動ローラの回転方向及び回転数で計測され、充電ケーブル3の巻取制御は記憶手段に記憶した送出長さの範囲内で行われる。なお巻取制御は充電ケーブル3に制限範囲を示す検出金具を取り付け、検出金具を駆動ローラ近傍に設けた検出センサで検出した時に駆動装置を停止するように制御してもよい。巻取完了後には、充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されたとみなして外部信号を出力する。
【0039】
以下に、状態判定部10が充電コネクタ2の状態を判定して充電ケーブル3の巻取を行うための具体的手段を、実施形態6〜8として説明する。
【0040】
(実施形態6)
図5に示すように、スタンド筐体4の中央部には、充電コネクタ2を保持するコネクタホルダ16が形成されている。コネクタホルダ16は、充電コネクタ2の先端部を差し込んで嵌合させるインレット17を有し、このインレット17の上部に、充電コネクタ2の爪部18の位置を検出し、充電コネクタ2がインレット17に差し込まれたことを検出する検出センサ20が配置されている。
【0041】
検出センサ20により、充電コネクタ2がインレット17に差し込まれたことが検出されると、その検出信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この検出信号を受けて、状態判定部10は、充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されたことを判定し、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル巻取装置15が駆動されると、充電ケーブル3が巻き取られる。
【0042】
なお、本実施形態では、スタンド筐体4の中央部にコネクタホルダ16を形成しているが、コネクタホルダ16の位置は特に限定されず、例えば、スタンド筐体4とは別に独立して設けることもできる。また、充電コネクタ2がインレット17に差し込まれたことを検出する手段として、検出センサ20に変えて、インレット内部に回路を設け、電位変化に基づく検出を行うこともできる。
【0043】
(実施形態7)
図6に示すように、充電コネクタ2に、車両用充電装置1の個体を識別するICチップ21を内蔵し、このICチップ21が近接範囲内にあることを感知する感知手段となる識別センサ22を、コネクタホルダ16の近傍の下部に配置している。
【0044】
識別センサ22により、充電コネクタ2が識別センサ22の近接範囲内にあることが識別されると、その識別信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この識別信号を受けて、状態判定部10は、充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されたことを判定し、この判定結果を受けて、制御装置9は、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル巻取装置15が駆動されると、充電ケーブル3が巻き取られる。
【0045】
ICチップ21を識別センサ22で識別する本実施形態によれば、例えば、複数の車両用充電装置1が併設されていて、誤って隣接した車両用充電装置1のコネクタホルダ16に充電コネクタ2を戻した場合でも、識別センサ22がICチップ21の個体を識別し、充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されたことの判定が行われないため、充電ケーブル3が巻き取られることはなく、誤動作による事故を回避することができる。
【0046】
一方、ICチップ21を識別センサ22で識別する本実施形態によれば、充電コネクタ2のコネクタホルダ16への戻し方が不完全であった場合、具体的には、例えば、コネクタホルダ16内のインレット17への差し込みが不十分であった場合でも、充電ケーブル3の巻き取りは行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、充電コネクタ2にICチップ21を内蔵させているが、ICチップ21の取付け位置は特に限定されず、外側に貼付したものであってもよい。また識別センサ22の取付位置もスタンド筐体4内部やコネクタホルダ16の近傍であれば特に限定されない。
【0048】
(実施形態8)
車両用充電装置1は、充電制御信号(CPLT信号)で車両に対する充電制御(後述するモード2制御)を行うための、充電制御部23を備えている。CPLT信号とは、車両用充電装置1の定格電流の大きさに応じて設定されるデューティを有するパイロット信号であり、車両と車両用充電装置1との間で接続状態や車両用充電装置10の定格電流を車両に通知する。充電制御部23は、CPLT回路(図示せず)を有し、CPLT回路は、車両の接続状態に応じたCPLT信号を生成する。CPLT信号は車両が非接続の状態では、電位(車両へのコネクタ接続部の電位)が12V定電圧となり、車両が接続されると車両内部抵抗により分圧して9V定電圧となるように調整されている。車両が接続され、車両用充電装置側が充電可能な状態(タイマ制御なし・契約電流の問題なし等の条件を満たす場合)であれば、CPLT信号を発振させて、9V発振となる。続いて、車両側の充電許可スイッチが投入されると先の車両内部抵抗とは異なる車両内部抵抗との分圧により6V発振に移行する。充電制御部はこの状態において、車両への充電電路に設けたリレーに対し閉路信号を出力し(以下、モード2制御という)、車両側の制御により充電電路に充電電流が流れて車両に搭載された車載電池への充電が開始される。
【0049】
充電終了後には、車両側の充電許可スイッチが解除されてCPLT信号は9Vに戻る。また作業者が車両と充電コネクタ2の接続を解除されると12Vに戻り、充電中に車両と充電コネクタ2の接続を解除すると、CPLT信号は6Vから12Vに変位する。
【0050】
本実施形態では、作業者が車両と充電コネクタ2との接続を解除した際に生じる上記CPLT信号の変位を感知する変位感知手段24を充電制御部23に備えている。
【0051】
変位感知手段24により、CPLT信号の電位が9Vから12Vに変位したこと、あるいは、CPLT信号の電位が6Vから12Vに変位したことが感知されると、その感知信号は、制御装置9の状態判定部10に送られる。この感知信号を受けて、状態判定部10は、車両と充電コネクタ2の接続が作業者によって解除されたことを判定し、この判定結果を受けて、制御装置9は、所定時間経過後に、駆動装置8の駆動を開始する制御を行う。駆動装置8を介して、ケーブル巻取装置15が駆動されると、充電ケーブル3が巻き取られる。巻取完了後には、実際に充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されたとみなして外部信号を出力し、充電コネクタ2がコネクタホルダ16に戻されなくても車両の充電が完了した旨を通信することができる。
【0052】
以上に説明したように、車両用充電装置1に、更に、使用後の充電ケーブル3を巻き取るケーブル巻取手段を備える場合、充電コネクタ2が所定の状態にあるとき、自動に充電ケーブル3の巻取りが行われ、従来、使用後の充電ケーブル3の不適切な取り扱いにより生じていた各種の問題(充電ケーブルの汚れや損傷等)を回避することができる。巻取完了後に、外部信号を出力し、外部から充電状況を適切に把握することもできる。
【0053】
なお、安全対策として、充電コネクタ2には、充電ケーブル3の巻取りを停止する巻取停止ボタンを設けることが好ましい。巻取停止ボタンは、充電コネクタ2を車両の接続コネクタから取り外す操作を行う解除操作部を兼用することができる。例えば、解除操作部と連動するマイクロスイッチを充電コネクタ内部に備え、CPLT信号の電位が12Vの時に充電コネクタ2の解除操作部を所定回数押圧するとマイクロスイッチから無線信号が出力され巻取停止ボタンの押圧とみなすことができる。巻取停止ボタンの押圧より所定時間経過後、CPLT信号の電位が12Vならば巻き取りを再開させるものとすることもできる。
【0054】
また、状態判定手段の誤判定対策として、充電ケーブル3の巻取り中に充電電流を検出した場合には、駆動装置の動作を停止する手段を制御装置9に備えることが好ましい。
【0055】
更なる安全対策として、充電ケーブル3の巻取り中に、充電ケーブル3に所定値以上の張力が働いた場合、人を含む障害物に干渉していると判定して駆動装置の動作を停止する手段を制御装置9に備えることが好ましい。