特許第6019441号(P6019441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三笠製薬株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6019441-経皮吸収型介護臭ケアテープ剤 図000004
  • 特許6019441-経皮吸収型介護臭ケアテープ剤 図000005
  • 特許6019441-経皮吸収型介護臭ケアテープ剤 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019441
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】経皮吸収型介護臭ケアテープ剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20161020BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61K9/70 401
   A61K47/10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-217630(P2012-217630)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70049(P2014-70049A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039468
【氏名又は名称】三笠製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】五井 伸博
(72)【発明者】
【氏名】樋口 喜弘
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−312615(JP,A)
【文献】 特開2000−212053(JP,A)
【文献】 特開2001−226260(JP,A)
【文献】 特表2003−507536(JP,A)
【文献】 特表2002−504118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
A61K 8/00− 8/99
A61L 15/00−15/64
A61F 13/00−13/84
A61K 31/00−33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香物質としてモノテルペノールを含有し、身体からモノテルペノールを放出させることにより介護臭を改善する介護臭ケアテープ剤であって、モノテルペノールを配合量として0.1〜10w/w%含有する経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。
【請求項2】
上述モノテルペノールが、ゲラニオール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びメントールより選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。
【請求項3】
上述モノテルペノールの配合量が、1〜5w/w%である請求項1もしくは2に記載の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄臭もしくは体臭そのものを改善し、介護臭をケアするための経皮吸収型テープ剤に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、芳香物質として特定のモノテルペノールを含有することにより、排泄臭もしくは体臭そのものを改善し、介護臭をケアするための経皮吸収型テープ剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被介護者と介護者が共存する環境にあって、改善が望まれる課題の一つに「介護臭」がある。介護臭には例えば便臭もしくは尿臭が原因の排泄臭、口臭や腫瘍臭等が原因の体臭が挙げられ、その解決は容易ではない。
【0003】
排泄臭ケアは臭いの原因となる排泄物を速やかに除去することが基本となるが、全ての介護現場で細やかで迅速な処置を常時継続するのは困難である。体臭ケアは臭いの原因が被介護者自身であるため体内環境そのものの改善が求められ、排泄臭と同等もしくはそれ以上の高度なケアが必要である。
【0004】
介護臭を抑制する方法は従来から検討されており、例えば特許文献1では消臭機能を有するカーペット、特許文献2では消臭液体組成物、特許文献3では芳香物質と植物由来消臭成分及びシクロデキストリンを混合した消臭材を提供している。
【0005】
しかしながら、消臭剤は効果の発揮に一定時間を要するため少なからず排泄臭や体臭との共存が避けられない。又、芳香物質を用いた消臭材は芳香が空間を占有するため、芳香の趣向における個人差を考慮すると、他人の迷惑になるおそれがある。何より消臭及び芳香によるマスキングは発生する介護臭そのものの改善には至っていない。
【0006】
特許文献4は介護臭ケアを目的としていないものの、発生する体臭そのものを改善する目的でローズオットーの芳香物質(リナロール、シトロネロールやゲラニオール等)を飲食品として経口摂取し、腸管及び口腔粘膜から吸収することで、芳香物質を皮膚上の汗腺や細胞間隙より汗や水蒸気として放出させる経口体臭抑制剤を提供している。
この経口体臭抑制剤は、発生する汗そのものに香気成分を含有させるため、身体全体から放出される体臭そのものが改善する効果が期待できる。しかしながら、経口体臭抑制剤による芳香物質の放出は持続性に乏しいため、1日複数回の摂取が必要である。
【0007】
経口剤は健常人にとっては摂取が簡便な剤形であるが、嚥下障害者にとっては摂取が困難な剤形である。非特許文献1は要介護高齢者の4割が嚥下障害であることを報告している。嚥下障害者用の介護臭ケアを考える上では経口剤と異なる剤形の拡充が必要であり、特に継続的使用が容易な外用剤の拡充が必要である。
【0008】
以上のように、介護臭ケアを目的とする場合、介護臭の原因である排泄臭もしくは体臭そのものの改善が見込め、その効果が持続的であり、嚥下障害者にも使用が容易な経皮吸収型介護臭ケアテープ剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−125919号公報
【特許文献2】特開2002−253652号公報
【特許文献3】特開2006−296807号公報
【特許文献4】WO2006/129876号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】葛谷雅文他, 静脈経腸栄養. Vol.26, No.5, pp63−68, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたもので、その目的は、介護臭の原因である排泄臭もしくは体臭そのものを改善し、その効果が持続的であり、被介護者が嚥下障害者であっても使用が容易な経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究の結果、テープ剤に芳香物質として特定のモノテルペノールを加えることにより、介護臭の原因である排泄臭もしくは体臭そのものを改善し、さらにその効果が持続的であり、被介護者が嚥下障害者であっても使用が容易な経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を得ることができることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、発明は以下の(1)から(3)に示したものである。
(1)芳香物質としてモノテルペノールを含有し、身体からモノテルペノールを放出させることにより介護臭を改善する介護臭ケアテープ剤であって、モノテルペノールを配合量として0.1〜10w/w%含有する経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。
(2)上述モノテルペノールが、ゲラニオール、バニリン、リナロール、シトロネロール及びメントールより選ばれる少なくとも一つである(1)に記載の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。
(3)上述モノテルペノールの配合量が、1〜5w/w%である(1)もしくは(2)に記載の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明は、テープ剤に芳香物質として特定のモノテルペノールを加えることにより、介護臭の原因である排泄臭もしくは体臭そのものを改善し、さらにその効果が持続的であり、被介護者が嚥下障害者であっても使用が容易な経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、被験者が実施例1もしくは比較例1を3時間貼付後、被験者左手より1時間発生した汗に含有されるゲラニオール濃度を示したグラフである。
図2図2は、被験者が実施例2を継続貼付した際の、被験者左手より感じる香りの強さの経時的変化を示したグラフである。
図3図3は、ウサギに実施例3を24時間貼付後、新たな実施例3を24時間貼付する操作を7日間連続で繰り返す際の、ウサギ排泄臭改善効果の経時的変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を詳細に説明する。なお、本明細書に記載の例示は、本発明を特に限定するものではない。
本発明の「介護臭」とは、被介護者の排泄臭もしくは体臭を指すものとする。
【0016】
本発明の「排泄臭」とは、便臭もしくは尿臭を指すものとする。
【0017】
本発明の「体臭」とは、頭皮臭、口臭、腋臭、足臭、加齢臭及び腫瘍臭等身体より放出される気体臭もしくは唾液や汗等身体より放出される液体臭を指すものとする。
【0018】
本発明の「介護臭改善」とは排泄臭改善もしくは体臭改善を指すものであり、排泄臭改善とは便臭改善もしくは尿臭改善を指すものであり、体臭改善とは身体より放出される気体臭もしくは液体臭の改善を指すものとする。
【0019】
本発明の介護臭の「改善」とは、経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を貼付した際、介護臭の原因物質である汗や尿等に含有される芳香物質濃度が、特定のモノテルペノールを含有しないテープ剤を貼付した場合と比較し有意に増加した場合を指すものとする。検定にはダネット法を用いる。又、本発明の介護臭の「改善」とは、介護臭の原因物質である汗や尿等を対象とした簡易体感試験もしくは排泄臭改善確認試験において、評価基準を0点:芳香物質の香りを感じない、1点:芳香物質の香りを若干感じる、2点:芳香物質の香りを明らかに感じるとした際、パネリストの平均値が1点以上である場合を指すものとする。
【0020】
本発明の介護臭改善効果が「持続する」とは、上述簡易体感試験もしくは排泄臭改善確認試験において、パネリストの平均値が1点以上である期間が維持される状態を指すものとする。
【0021】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いるゲラニオールをはじめとする特定のモノテルペノールの配合量は、テープ剤の配合量全体の0.1〜10w/w%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜5w/w%である。モノテルペノールの配合量が1w/w%より少ないと、介護臭改善効果を示すのに十分な芳香を尿や汗等原因物質から感じることが出来ず、好ましくない。又、モノテルペノールの配合量が5w/w%より多いと、皮膚刺激及び皮膚感作を起こすおそれがあるため、好ましくない。
【0022】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤は、基剤、支持体、剥離材の3層により構成されるテープ剤である。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる基剤は、粘着性配合成分としてテルペン樹脂やアクリル系粘着剤等、必要に応じて軟化剤、吸収促進剤等により調製される。又、本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる支持体は合成樹脂フィルム等により調製され、剥離材は高分子材料フィルム等により調製される。
【0023】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる粘着性配合成分テルペン樹脂は、例えばYSレジン、YSレジンPX、YSレジンPXN、YSポリスター、マイティエース、YSレジンTO、YSレジンTR、クリアロンP、クリアロンM、クリアロンK、ダイマロン、YSオイルDA(以上、ヤスハラケミカル(株))、タマノル803L、タマノル901(以上、荒川化学工業(株))等が挙げられる。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いるテルペン樹脂の配合量は、特に制限はないがテープ剤の配合量全体の10〜20w/w%の範囲にあることが好ましい。テルペン樹脂の配合量が10w/w%より少ないと、十分な粘着性を得られず、テープ剤の剥がれ落ちや剥がれ捲れなどの問題が発生し、好ましくない。又、テルペン樹脂の配合量が20w/w%より多いと、皮膚への粘着性が強過ぎて、かぶれや剥がす際の物理的刺激が発生するおそれがあるため、好ましくない。
【0024】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる非水系粘着性配合成分は、例えばゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤等が挙げられる。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いるゴム系粘着剤は、例えば天然ゴム、合成イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブチルゴム等が挙げられ、少なくとも1種を使用することが好ましい。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いるアクリル系粘着剤は、例えばアルキル基の炭素数が4〜14のアルキル(メタ)アクリレートの配合量が60〜95w/w%の範囲で、酢酸ビニルの配合量が5〜40w/w%の範囲であるアクリル系共重合体等が挙げられる。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いるアクリル系粘着剤の配合量は、特に制限はないがテープ剤の配合量全体の70〜95w/w%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは75〜90w/w%である。アクリル系粘着剤の配合量が75w/w%より少ないと、十分な粘着力を得られず、好ましくない。又、配合量が90w/w%より多いと、皮膚への粘着性が強過ぎて、かぶれや剥がす際の物理的刺激が発生するおそれがあるため、好ましくない。
【0025】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に必要に応じて用いる軟化剤は、例えば流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソブチレン、ひまし油、ラノリン等が挙げられる。又、本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に必要に応じて用いる吸収促進剤は、例えばl−メントール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリコール類、油脂類、極性溶剤等が挙げられる。さらに本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に必要に応じて用いる酸化防止剤は、例えばジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0026】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤は、従来公知のテープ剤の常法で製造される。本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤の製造方法は、モノテルペノールを均一に混合する過程を経るものであれば、特に制限はないがその代表的な製造方法は、例えばモノテルペノールと残りの配合成分を有機溶媒に溶解させて均一な溶解物を得る溶剤法、モノテルペノールと残りの配合成分を加熱混合させて均一な溶融物を得るホットメルト法等が挙げられる。これら方法で得られた溶解および溶融物を適当な支持体表面に塗工し、使用時までテープ剤の粘着層を被覆する目的で剥離材を貼付し、所望の形状に切断してもよい。
【0027】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる伸縮性もしくは非伸縮性の支持体は、好ましくはモノテルペノールの放出に影響しないものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等合成樹脂フィルム、紙、布、不織布等が挙げられる。
【0028】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤に用いる剥離材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等高分子材料フィルム、シリコーンオイル等を塗布した紙が挙げられる。
【0029】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤の粘着層の厚みは、薄くなるとモノテルペノールを必要量含有できず、厚くなると皮膚に対する追従性の低下が発生してしまうおそれがある。従って10〜300μmが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す配合に基づき、後述する調製法1の方法により調製し、本発明の経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤1を得た。得られた経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤1を試験例1に従って体臭改善確認試験を実施した際の汗中ゲラニオール濃度は20.3ng/mLであり、体臭改善効果が示された。結果を図1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(調製法1)
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(1)54gとジブチルヒドロキシトルエン(2)1.0gを流動パラフィン(3)42g中に分散させ、160°Cで45分間練合した。練合液にテルペン樹脂(4)32gとジブチルヒドロキシトルエン(5)1.0g及び流動パラフィン(6)56gを加え、140°Cで15分間練合した。続いて練合液にゲラニオール(7)2.0gと流動パラフィン(8)12gを加え、140°Cで5分練合し脱気した。得られた練合液を140°Cで剥離材(Scotchpak1022、フッ素系剥離材、スリーエムヘルスケア(株))上に、連合液層の厚みが110μmとなるよう展延し、剥離材と相対する連合液層の露出面にポリエチレンテレフタート製のメリヤス(RD1723−2024、(株)エイゼット)を貼着・投錨し、経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤を得た。
【0033】
(試験例1)
体臭改善確認試験
実施例1の経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤を使用し、以下に示す方法で汗中ゲラニオール濃度を測定した。
実施例1(貼付面積70cm、ゲラニオール量7mg相当)を被験者(男性5名)の背中に貼付した。貼付3時間後、被験者の左手(手首から上の掌全体)を無香料石鹸で洗浄して乾燥させ、ポリフッ化ビニル製バッグに左手を入れ密閉した。1時間放置後、バッグ内で発生した汗を回収し、汗中ゲラニオール量をLC−MS/MSを用いて定量した。
【0034】
(比較例1)
実施例1においてゲラニオール(7)2.0gを配合せず、その分流動パラフィン(8)を12.0gから14.0gに増量した以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して、テープ剤1を得た。得られたテープ剤1を試験例1に従って体臭改善確認試験を実施した際の汗中ゲラニオール濃度は16.8ng/mLであり、体臭改善効果は示されなかった。結果を図1に示す。
【0035】
(実施例2)
実施例1において、ゲラニオール含量を2.0gから6.0gに増量し、その分流動パラフィン(8)を12.0gから8.0gに減量した以外は実施例1と全く同じ調製法を繰り返して、本発明の介護臭ケア用テープ剤2を得た。得られた介護臭ケア用テープ剤2を試験例2に従って簡易体感試験を実施した際の香りの強さは6時間まで持続した。よって、経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤2による体臭改善の効果は持続的であることが示された。結果を図2に示す。
【0036】
(試験例2)
簡易体感試験
実施例2の経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤を使用し、以下に示す方法で簡易体感試験を行った。
実施例2(1050cm、ゲラニオール105mg相当)を被験者(男性3名、女性1名)の背中に貼付した。評価は、実施例2を貼付してから1、2、4及び6時間後に次の通り行った。
各評価時間の30分前に、被験者の左手(手首から上の掌全体)を無香料石鹸で洗浄し乾燥した。被験者には評価時間の10分前から踏み台昇降運動を開始させることで汗放出を促した。10分間の運動後、パネリスト(男性2名、女性1名)は、被験者左手の香りを次の評価基準に従い採点し、その平均値を香りの強さとした。
[評価基準]
0点:ゲラニオールの香りを感じない
1点:ゲラニオールの香りを若干感じる
2点:ゲラニオールの香りを明らかに感じる
【0037】
(実施例3)
表2に示す配合に基づき、後述する調製法2の方法により調製し、本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤3を得た。得られた経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤3を試験例3に従ってウサギ排泄臭改善確認試験を実施した際の、尿中ゲラニオール感知度は経時的に増加し、一定期間後は排泄臭の改善効果が維持された。よって、経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤3を継続的に用いることで、排泄臭改善効果が持続することが明らかとなった。結果を図3に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
(調製法2)
アクリル粘着剤(1)90gとゲラニオール(2)5.0g及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(3)5.0gを混合し脱気した。得られた混合液を剥離材(Scotchpak1022、フッ素系剥離材、スリーエムヘルスケア(株))上に、混合液層の厚みが130μmとなるよう展延し、剥離材と相対する混合液層の露出面にポリエチレンテレフタート製のメリヤス(RD1723−2024、(株)エイゼット)を貼着・投錨し、室温で1時間乾燥させ経皮吸収型介護臭ケア用テープ剤を得た。
【0040】
(試験例3)
ウサギ排泄臭改善確認試験
実施例3の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤を使用し、以下に示す方法でウサギ排泄臭(尿臭)改善確認試験を行った。
実施例3(貼付面積70cm、ゲラニオール量0.7mg相当)を日本白色種(Kbs:JW)16−18週齢ウサギ(雌)4匹の背中に貼付した。貼付後24時間継続して尿を金属製トレイに採取した。貼付24時間後実施例3を剥離し、新たな実施例3を背中に貼付し、再び24時間継続して尿を採取する操作を7日間連続して行った。パネリスト(男性2名)は採取した尿の香りを次の評価基準に従い採点し、その平均値を排泄臭改善効果とした。
[評価基準]
0点:尿中にゲラニオールの香りを感じない
1点:尿中にゲラニオールの香りを若干感じ、排泄臭の一部改善を感じる
2点:尿中にゲラニオールの香りを明らかに感じ、排泄臭の十分な改善を感じる
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の経皮吸収型介護臭ケアテープ剤は、嚥下障害のある被介護者の介護臭改善を目的に使用して好適であるが、その他、嚥下障害のない被介護者の介護臭改善もしくは健康人の体臭改善を目的に使用して好適である。

図1
図2
図3