特許第6019442号(P6019442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019442空間光伝送を使用するコンテンツ提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019442
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】空間光伝送を使用するコンテンツ提供システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20161020BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20161020BHJP
   G09F 27/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H04B9/00 116
   G09F19/00 Z
   G09F27/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-249399(P2012-249399)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-27643(P2014-27643A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-141046(P2012-141046)
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507299758
【氏名又は名称】株式会社アウトスタンディングテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】村山 文孝
(72)【発明者】
【氏名】黒川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】成澤 博樹
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−206620(JP,A)
【文献】 特開2011−055397(JP,A)
【文献】 特開2008−073088(JP,A)
【文献】 特開2005−347827(JP,A)
【文献】 特開2012−010269(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0225645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
G09F 19/00
G09F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身のID情報を記憶するID情報記憶部を有し、該ID情報を重畳した空間光を投光する投光部を設けた空間光送信器と、
コンテンツ情報を該ID情報に対応して記憶するコンテンツ記憶手段を有し、該コンテンツ記憶手段から読み出したコンテンツ情報を、テキスト、画像、動画または音声として再生するコンテンツ再生手段を設けた携帯端末と、
該携帯端末に接続され、該空間光送信器の該投光部から投光された空間光を受光する受光部を有した空間光受信器と、を備え、
該受光部の受光信号から空間光に重畳して送信されたID情報を取得するID情報取得手段該携帯端末に設けられ、
該空間光受信器には、該受光部の受光信号を入力する受光回路及び該受光回路からの受光信号を出力する出力端子が設けられ、該空間光受信器の該出力端子が該携帯端末のマイク入力端子に接続され、該ID情報取得手段が、該マイク入力端子を通して該ID情報を含む該受光信号を入力して、該受光信号から該ID情報を抽出し、
該空間光受信器の受光部は、利用者が該携帯端末を携帯して該空間光送信器の近傍に移動したとき、該空間光送信器から投光される空間光を受光し、該ID情報取得手段が該受光部の受光信号から空間光に重畳されるID情報を取得し、該携帯端末のコンテンツ再生手段が、該コンテンツ記憶手段から該ID情報に基づき選択されたコンテンツ情報を読み出し、該コンテンツ情報を再生することを特徴とする、空間光伝送を使用するコンテンツ提供システム。
【請求項2】
前記空間光送信器は、本体ケースの先端部に、投光素子から空間光を投光する投光部を設けて構成され、該本体ケース内に、該投光素子を投光動作させる投光駆動回路と、該空間光送信器或いはその設置場所のID情報を予め記憶するID情報記憶部と、少なくとも該ID情報を含む情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成し、該投光駆動回路に出力する伝送信号生成部と、電源入力部として電球の口金部を通して供給される電力を入力し、直流電力を該投光駆動回路、該伝送信号生成部に供給する電源回路と、が配設され、該電源入力部として該本体ケースの端部に該電球の口金部が取り付けられることを特徴とする請求項1記載の空間光伝送を使用するコンテンツ提供システム。
【請求項3】
前記空間光送信器は、液晶パネルに光素子光源を設けた液晶ディスプレイ装置内に内蔵され、該液晶ディスプレイ装置の該光素子光源が該空間光送信器の該投光器の投光素子として使用され、該光素子光源の投光駆動回路に、自身のID情報を記憶したID情報記憶部から読み出したID情報を変調した伝送信号を供給し、該光素子光源から照射される可視光に該伝送信号を重畳して投光することを特徴とする請求項1記載の空間光伝送を使用するコンテンツ提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共施設などで利用者にコンテンツを提供する際に使用されるコンテンツ提供システムに関し、特に、空間光に重畳してID情報(識別情報)を伝送し、ID情報に基づき選択したコンテンツを利用者に提供する、空間光伝送を使用するコンテンツ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、公共施設などの来場者に、施設の案内、展示物の説明、各施設の誘導などの音声案内を、赤外線通信により提供する装置として、下記特許文献1に記載されるような音声案内装置が提案されている。
【0003】
この従来の音声案内装置は、音声信号を記録するレコーダ部、レコーダ部から再生した音声信号をFM変調するFM送信回路、FM送信回路から出力される送信信号を赤外線に重畳して赤外線を放射する赤外線発光部を備え、施設の各展示場所などの各エリアに設置される。
【0004】
また、各音声案内装置には、人を検知する赤外線センサが設けられ、施設に来場した来場者は、赤外線FM受信器を持って音声案内を受信するように構成される。赤外線FM受信器を持った来場者がその音声案内装置の付近に近寄ったとき、赤外線センサによりその来場者を検知し、音声案内装置から音声案内を赤外線に重畳してFM受信器に送信し、FM受信器を通して来場者が音声案内を聞くように使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−24619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の音声案内装置は、例えば、例えば体育館、公会堂、博物館、美術館など、各種の施設における各々の複数場所に設置する場合、各施設における各々の設置場所ごとに、音声案内が異なるため、それらの音声案内データを記録したレコード部を作成し、各設置場所用の音声案内装置に記憶させる必要があり、さらに、それらの個別の音声案内装置を、各々の設置場所に取り付ける施工工事を行なう必要があり、その設置のための施工工事に手間や時間がかかる課題があった。
【0007】
また、例えば、博物館や美術館の音声案内装置の場合、各展示品ごとに、音声案内装置が設置され、それらの音声案内装置は、展示品が変わるごとに、その音声案内を変更する必要があるが、やはり上記と同様に、変更した音声案内データを各音声案内装置に記憶させる必要があり、そのための作業に手間と時間がかかる課題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、各種施設などの複数の場所で、空間光によるID情報の伝送に基づき、携帯端末を通して利用者に必要なコンテンツを簡便に提供することができる、空間光伝送を使用するコンテンツ提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の空間光伝送を使用するコンテンツ提供システムは、
自身のID情報を記憶するID情報記憶部を有し、該ID情報を重畳した空間光を投光する投光部を設けた空間光送信器と、
コンテンツ情報を該ID情報に対応して記憶するコンテンツ記憶手段を有し、該コンテンツ記憶手段から読み出したコンテンツ情報を、テキスト、画像、動画または音声として再生するコンテンツ再生手段を設けた携帯端末と、
該携帯端末に接続され、該空間光送信器の該投光部から投光された空間光を受光する受光部を有した空間光受信器と、を備え、
該受光部の受光信号から空間光に重畳して送信されたID情報を取得するID情報取得手段該携帯端末に設けられ、
該空間光受信器には、該受光部の受光信号を入力する受光回路及び該受光回路からの受光信号を出力する出力端子が設けられ、該空間光受信器の該出力端子が該携帯端末のマイク入力端子に接続され、該ID情報取得手段が、該マイク入力端子を通して該ID情報を含む該受光信号を入力して、該受光信号から該ID情報を抽出し、
該空間光受信器の受光部は、利用者が該携帯端末を携帯して該空間光送信器の近傍に移動したとき、該空間光送信器から投光される空間光を受光し、該ID情報取得手段が該受光部の受光信号から空間光に重畳されるID情報を取得し、該携帯端末のコンテンツ再生手段が、該コンテンツ記憶手段から該ID情報に基づき選択されたコンテンツ情報を読み出し、該コンテンツ情報を再生することを特徴とする。
【0010】
ここで、空間光とは、可視光、赤外光(赤外線)、及び紫外光(紫外線)を含めた概念である。
【0011】
また、上記コンテンツ情報とは、テキスト、音声、動画等のコンテンツ情報本体、またはアプリケーションソフトウエア情報本体、アプリケーションソフトウエアの起動情報等の制御情報、及び、テキスト、音声、動画、またはアプリケーションソフトウエアを提供する被参照サーバのコンテンツ参照情報URLを含む概念である。
【0012】
また、上記コンテンツ記憶手段が記憶するコンテンツ情報の記憶形態は、そのコンテンツ情報がコンテンツ参照情報URLの場合のように、被参照サーバにアクセスする際に一時記憶する記憶状態、及び表示等の再生のためにコンテンツ情報本体を一時記憶する記憶形態を含む概念である。
【0013】
この発明によれば、例えば美術館のような広い施設内に多数の展示物が配置され、それらの展示物についての解説コンテンツを利用者に提供する場合、携帯端末を携帯する利用者が、各展示物に接近したとき、空間光に重畳されて送信されるID情報に基づき当該展示物の解説コンテンツが選択されて再生されるため、各展示物の解説コンテンツ等を自動的に、携帯端末を通して利用者に提供することができる。また、空間光により空間光送信器から各携帯端末の空間光受信器に伝送する情報はID情報のみとすることができるため、コンテンツ情報をそのまま伝送する場合に比して、空間光送信器、空間光受信器ともに回路構成を簡単化して小型化することができ、しかも伝送時の雑音等の影響を受けにくく、適正なコンテンツを迅速に提供することができる。
【0014】
また、各展示物等の近傍には、簡単な構成の空間光送信器(各空間光送信器にはID情報のみを記憶すればよい)を設置し、投光部から空間光によりそのID情報を送信すればよいため、多数の空間光送信器を必要な箇所に非常に簡単に設置することができる。さらに、展示物等を変更する場合、ID情報に対応するコンテンツを変更するのみで、簡便に対応することができる。
【0016】
また、例えば、美術館などで展示物が変わり、解説コンテンツが変更される場合、管理用コンピュータなどを使用して、ネットワーク上のコンテンツサーバにアクセスし、ID情報に対応したコンテンツをアップロードして変更することができ、コンテンツの変更時、携帯端末はコンテンツサーバにアクセスし、変更後のコンテンツをダウンロードしてコンテンツ記憶手段に取り込み、変更されたコンテンツを容易に利用者に提供することができる。
【0017】
また、ID情報に対応したコンテンツ情報が、例えば商品の広告用(デモ用)のアプリケーションソフトウエアであってコンテンツサーバに記憶される場合、携帯端末はID情報を取得したとき、ネットワーク上のコンテンツサーバにアクセスして、その広告用のアプリケーションソフトをダウンロードし、広告用のビデオ映像などを携帯端末上で自動的に再生することができる。
【0018】
さらに、上記コンテンツ情報は、携帯端末上で動作するアプリケーションソフトウエアの起動情報等の制御情報として、ネットワーク上のコンテンツサーバに、上記ID情報に対応して記憶することができる。この場合、携帯端末は、そのID情報に基づき、コンテンツサーバから制御情報を取得し、その制御情報に基づき携帯端末内で動作するアプリケーションソフトウエアの起動等の制御を行なうこととなる。
【0019】
例えばID情報に対応したアプリケーションソフトの制御情報が特定の相手に電話をかけるための電話帳ソフトの起動情報の場合、携帯端末は、ID情報を取得したとき、そのID情報に基づき、コンテンツサーバから電話用アプリケーションソフトの起動情報を得て電話帳ソフトを自動的に起動し、特定の相手に電話をかけることができる。また、例えばID情報に対応したアプリケーションソフトの制御情報が店舗位置などを表示する地図表示用ソフトの起動情報の起動情報の場合、携帯端末は、ID情報を取得したとき、そのID情報に基づき、コンテンツサーバから地図表示用アプリケーションソフトの起動情報を得て地図表示用ソフトを自動的に起動し、店舗位置などを表示することができる。
【0020】
さらに、上記コンテンツ情報は、コンテンツ参照情報URLとして、ネットワーク上のコンテンツサーバに、上記ID情報に対応して記憶することができる。この場合、携帯端末は、そのID情報に応じてコンテンツサーバからコンテンツ参照情報URLを取得し、コンテンツ参照情報URLに基づき、ネットワーク上の別の被参照サーバにアクセスして、被参照サーバから例えば画像や動画などのコンテンツ情報本体を収集し、再生することができる。
【0023】
また、空間光受信器には、受光部の受光信号を入力する受光回路及び受光回路からの受光信号を出力する出力端子が設けられ、空間光受信器の出力端子携帯端末のマイク入力端子に接続され、ID情報取得手段が、マイク入力端子を通してID情報を含む受光信号を入力して、受光信号からID情報を抽出するように構成されるので、空間光受信器の構成を、受光部と受光回路のみとし、空間光受信器を非常に小型化することができ、ID情報取得手段は携帯端末にインストールされるソフトウエアから構成することができる。
【0024】
さらに、上記空間光送信器は、本体ケースの先端部に、投光素子から空間光を投光する投光部を設けて構成され、本体ケース内に、投光素子を投光動作させる投光駆動回路と、空間光送信器或いはその設置場所のID情報を予め記憶するID情報記憶部と、少なくともID情報を含む情報信号により、搬送波を変調して伝送信号を生成し、投光駆動回路に出力する伝送信号生成部と、電源入力部として電球の口金部を通して供給される電力を入力し、直流電力を投光駆動回路、伝送信号生成部に供給する電源回路と、を配設し、電源入力部として本体ケースの端部に電球の口金部を取り付けて構成することができる。
【0025】
この発明によれば、各種案内などのコンテンツを提供する公共施設等の必要な箇所に、電球ソケットを照明用と兼用して設置する簡単な工事を行なうのみで、それらの電球ソケットに空間光送信器の口金部をねじ込むことにより、非常に簡便に多数の空間光送信器を設置し且つ電源接続することができる。
【0028】
また、上記空間光送信器は、液晶パネルに光素子光源を設けた液晶ディスプレイ装置内に内蔵され、液晶ディスプレイ装置の光素子光源を空間光送信器の投光器の投光素子として使用することができる。この場合、光素子光源の投光駆動回路に、自身のID情報を記憶したID情報記憶部から読み出したID情報を変調した伝送信号を供給し、光素子光源から照射される可視光に伝送信号を重畳して投光する。なお、上記光素子光源としては、バックライトとして白色光を照射するLED或いは有機EL等を使用することができる。
【0029】
この発明によれば、例えばイベント会場などで、各種の画像、テキスト、動画などを表示するために設置した液晶ディスプレイ装置において、その液晶パネルの光素子光源から、ID情報を重畳して可視光が照射されるので、空間光送信器を別個に設置する必要がなく、利用者は携帯端末を液晶ディスプレイ装置の前で翳せば、ID情報が空間光受信器を通して携帯端末に取り込まれ、そのID情報に応じて、商品説明、解説動画などのコンテンツを利用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の空間光伝送を使用するコンテンツ提供システムによれば、各種施設などの複数の場所で、空間光によるID情報の伝送に基づき、携帯端末を通して利用者に、必要なコンテンツを簡便に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態を示すコンテンツ提供システムの構成図である。
図2】コンテンツ提供システムで使用する空間光送信器の正面図である。
図3】同空間光送信器の斜め上から見た斜視図(a)、斜め下から見た斜視図(b)である。
図4】同空間光送信器の分解斜視図である。
図5】同空間光送信器の縦断面図である。
図6】同空間光送信器の回路の構成ブロック図である。
図7】データフレームの構成図である。
図8】空間光受信器の構成ブロック図である。
図9】コンテンツ提供システムの携帯端末のネットワーク構成図である。
図10】携帯端末の構成ブロック図である。
図11】他の実施形態のコンテンツ提供システムの構成図である。
図12】他の実施形態の空間光受信器の構成ブロック図である。
図13】他の実施形態の空間光送信器の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。このコンテンツ提供システムは、例えば美術館、博物館などにおいて、展示物の解説を行なう解説コンテンツなどを、携帯端末40を通して利用者に提供するシステムであり、図1に示すように、複数の場所に取り付けられ、自身のID情報(識別情報)を記憶するID情報記憶部8を有し、ID情報を重畳した空間光を投光する投光部2を設けた空間光送信器1と、複数のコンテンツ情報をID情報に対応して記憶するコンテンツ記憶手段を有し、コンテンツ記憶手段から読み出したコンテンツを、テキスト、画像、動画或いは音声として再生するコンテンツ再生手段を設けた携帯端末40と、携帯端末40に接続され、空間光送信器1の投光部2から投光された空間光を受光する受光部31を有し、受光部31の受光信号から空間光に重畳して送信されたID情報を復調して取得するID情報取得手段を設けた空間光受信器30と、を備えて構成される。
【0033】
このコンテンツ提供システムは、利用者が携帯端末40を携帯して、例えば各展示物の上方等に取り付けられた空間光送信器1の近傍に移動したとき、空間光受信器30の受光部31が、空間光送信器1から投光される空間光を受光する。空間光受信器30のID情報取得手段が、受光部31の受光信号から空間光に重畳されるID情報を復調して取得し、ID情報を携帯端末40に送出する。携帯端末40のコンテンツ再生手段は、入力されたID情報に基づき選択されたコンテンツを再生する。
【0034】
空間光を投光して空間光伝送を行なう空間光送信器1は、図2図5に示すように、その本体ケース1aが、先端に投光部2を設けた電球型に形成され、空間光伝送としての可視光通信に必要な回路を本体ケース1a内に収納している。この空間光送信器1は、例えば美術館、博物館等の各展示物の近傍、つまり解説コンテンツを利用者に提供する場所に設置されるが、設置のための施工工事を簡単化し、且つ照明器具と兼用して、空間光送信器1を目障りや違和感なく簡単に設置できるように、電球型となっている。
【0035】
空間光送信器1は、電球型に形成された本体ケース1aを有しており、本体ケース1aの先端部に投光素子3から空間光を投光する投光部2が設けられ、末端部に口金部12が取付部兼電源入力部として設けられる。これにより、空間光送信器1は、施設内などの設置場所、例えば解説コンテンツ(音声ガイド)を提供する場所に設けられ、交流電源に接続された電球用ソケットに、口金部12を介して簡単に取り付けられる構造となっている。
【0036】
投光部2の投光素子3には、例えば白色光を投光する可視光発光ダイオードが使用され、図5に示すように、椀状の反射器19の中央にそのLEDモジュールが取り付けられ、投光部2の前面が透明板により覆われ、後述の如く、ID情報及び型式情報等の任意情報を含む伝送信号を重畳した可視光を前方に照射する。投光部2の投光素子3から照射される可視光は、例えば10〜20度の角度範囲で上方から展示物近傍に向けて投光されるようになっている。
【0037】
なお、投光素子3には、例えば白色発光ダイオードが用いられ、装置としては可視光通信の空間光送信器を構成するが、赤外線(近赤外光)を発光する赤外線発光ダイオードを使用することもできる。この場合、目に見えない近赤外光が投光され、空間光伝送の範疇に入ることになる。
【0038】
本体ケース1aは、円筒状に形成された上ケース16とその下部に接続された下ケース17とからなる。この例では、本体ケース1aは上ケース16と下ケース17で分割されているが、一体に形成することもできる。
【0039】
上ケース16の上部には投光部2が固定され、上ケース16内に、図6に示す如く、投光素子3を投光動作させる投光駆動回路5と、例えば28.8kHzの副搬送波を発振し出力する副搬送波発振器6と、空間光送信器1のID情報を含む情報信号により、副搬送波を変調して伝送信号を生成し、投光駆動回路5に出力する伝送信号生成部7と、空間光送信器1のID情報を予め記憶するID情報記憶部8と、が収納される。なお、上記副搬送波を発振出力する副搬送波発振器6は、伝送媒体である光を主搬送波とする場合の称呼であり、単に搬送波を発振出力する搬送波発振器でもある。
【0040】
下ケース17内には上記回路の電源となる電源回路11が収納される。電源回路11は商用電源などの交流電源を、所定電圧の直流に変換するAC/DC変換器から構成され、交流電源は、本体ケース1aの末端部に配した口金部12から供給される。AC/DC変換器は、スイッチングインバータ回路が使用され、小形の回路で商用電源の交流を例えばDC12Vの直流に変換可能である。
【0041】
口金部12は、ねじ部としてのシェル部13と、シェル部13の下側中央に絶縁体15を介して取り付けられたアイレット部14とから構成される。アイレット部14には電源回路11の一方の入力端子が内側で接続され、シェル部13には他方の入力端子が内側で接続される。このような口金部12は、E17、E18,E26等の規格化された口金部として形成され、所定の電球用ソケットにねじ込み、簡単に取り付けを行うことができるようになっている。なお、取付部兼電源入力部としての口金部12は、ねじ式のシェル部13を有しているが、ねじ式シェル部以外の例えば円筒型の取付接続部材であってもよい。
【0042】
上記伝送信号生成部7及びID情報記憶部8は、ワンチップ型のマイクロコンピュータ10から構成され、予めメモリに記憶されたプログラムデータに基づき、上記副搬送波信号を、空間光送信器1のID情報により、例えば4値PPM変調(パルスポジション変調)にて変調し、変調された送信伝送信号を、投光駆動回路5に出力するように構成される。ワンチップ型のマイクロコンピュータ10、副搬送波発振器6、及び投光駆動回路5は、図5のように、本体ケース1a内の回路基板18に実装される。
【0043】
ID情報記憶部8は、コンテンツ提供システムで使用される各々の空間光送信器1のID情報(識別番号)を記憶する記憶部であり、各々の空間光送信器1が設置される場所を特定するID情報を書き込む記憶部でもある。ID情報記憶部8には、ID情報とともに、任意の追加情報を記憶することもできる。
【0044】
マイクロコンピュータ10の伝送信号生成部7は、図7に示すように、データフレームを作成し、プリアンブルとフレームタイプからなるスタートフレームに続き、ペイロードとして例えばID情報と型式情報のデータを配し、エンドフレームとしてチェック用にCRC(周期冗長コード)を配するように、伝送信号のデータフレームを生成する。
【0045】
さらに、伝送信号生成部7は、副搬送波発振器6から入力する副搬送波を、上記データフレームのデータ、つまり機器のID情報等を含むデータにより4値PPM変調して、情報伝送信号を出力するように構成される。4値PPMの変調回路は、伝送するデータを2ビット単位に区切り、例えば「00」を「1000」、「01」を「0100」、「10」を「0010」、「11」を「0001」とするように、4個の2ビットデータに応じて、符号の位置を特定するパルスを発生させ、副搬送波をそのデータパルスで変調するように動作する。これにより、データに拘わらず一定の照度の可視光を照射するようになっている。
【0046】
なお、伝送信号生成部7では、副搬送波を情報伝送信号により4値PPM変調し、伝送信号を生成しているが、ASK変調、FSK変調、或いはPSK変調等を行なって、伝送信号を生成することもでき、若しくは搬送波の変調なしに、ベースバンド方式で情報伝送信号をパルス化し、パルス化した伝送信号を空間光に重畳して伝送することもできる。
【0047】
投光駆動回路5は、マイクロコンピュータ10の伝送信号生成部7から送られる変調された情報伝送信号を入力し、投光部2の投光素子3を駆動して可視光を投光すると共に、情報伝送信号をその可視光に重畳させるように構成される。
【0048】
一方、空間光受信器30は、利用者が携帯する携帯端末40に接続して使用され、接続形態はUSB接続である。図8に示すように、空間光受信器30はUSBデバイス機器として携帯端末40のUSB端子に接続され、携帯端末40がUSBホスト機器として、電源が携帯端末40から空間光受信器30に供給される。また、図8に示す如く、空間光受信器30には、携帯端末40が接続されるUSBポート39が設けられ、USB接続を制御するUSBコントローラ38が設けられる。
【0049】
USBコントローラ38は、USBポート39が携帯端末40のUSB端子に直接或いはUSBケーブルを介して接続され、電源が供給されたとき、シリアルデータインターフェースとして機能し、空間光受信器30の記憶部36に記憶されるID情報を読み出し、USBプロトコルにしたがって、ID情報を携帯端末40に出力する。なお、空間光受信器30をUSBホスト機器として構成し、USBデバイス機器となる携帯端末に電源を供給する構成とすれば、USBデバイス機能のみを有する携帯端末に対してUSB接続を行なってID情報を携帯端末に出力することもできる。
【0050】
図8に示す空間光受信器30の受光部31は、可視光を受光して受光信号を出力するフォトダイオード等の受光素子32を備え、空間光送信器1の投光部2から投光される可視光を受光し受光信号を出力する。空間光送信器1の投光素子3に、赤外線(近赤外光)を発光する赤外線発光ダイオードが使用される場合、空間光としての赤外線を受光する赤外線用フォトダイオードが受光素子32として使用される。
【0051】
受光部31には受光回路33が接続され、受光回路33は、受光素子32から出力される微弱な受光信号をアンプで増幅した後、コンパレータを通して、復調に必要なレベルのパルス信号に変換し、波形整形回路を通して波形整形した後、マイクロコンピュータ37の復調部34に出力するように構成される。
【0052】
復調部34、デジタル処理部35、及び記憶部36は、ワンチップ型のマイクロコンピュータ37から構成され、マイクロコンピュータ37は、取り込まれたパルス信号を復調部34で、PPM変調された伝送信号の復調を行い、4値のパルスの位置に基づき、伝送信号をデジタル信号に変換し、空間光送信器1から送信されたID情報を取得するようになっている。空間光受信器30の上記ID情報取得手段は、このような受光回路33、復調部34、及びデジタル処理部35から構成される。
【0053】
なお、空間光送信器1の伝送信号生成部7でPPM変調以外の例えばASK変調、FSK変調、PSK変調などを行なっている場合、復調部34は、ASK変調、FSK変調、PSK変調などに対応した復調を行なうこととなる。
【0054】
空間光受信器30には、USBポート39の接続部となるUSBコネクタ部が、例えば外部に突出する形態で設けられ、空間光受信器30はそのUSBコネクタ部を、携帯端末40に設けたUSBポート45のUSB端子に差し込み、或いはUSBケーブルを介して接続される。空間光受信器30は、受光部31及びマイクロコンピュータ37を含めて、例えばUSBスティックメモリ程度の大きさ、つまり携帯端末40の大きさより遥かに小形に形成することができる。このため、空間光受信器30は、携帯端末40のUSB端子に、そのUSBコネクタ部を直接差し込んだ状態で使用することができる。なお、空間光受信器30は、物理的には、携帯端末40のケースに内蔵することも可能である。
【0055】
携帯端末40は、無線LANに接続可能なPDA、タブレット型端末、或いは携帯電話通信網や無線LANに接続可能な携帯電話機から構成され、図9に示す如く、無線LAN43を通してインターネット等のネットワークに接続される。また、携帯端末40は、図10に示すように、マイクロコンピュータからなるプロセッサ48を主要部として構成され、例えば各種機能スイッチ入力用のタッチ入力が可能で、且つ動画、静止画、テキスト等を表示するタッチ感知ディスプレイ57、タッチ感知ディスプレイ57の制御を行なうディスプレイコントローラ56、USB接続が可能なUSBポート45及びUSBコントローラ44を備える。さらに、携帯端末40は、無線LANに或いは携帯電話通信網に接続するためのRF回路54を備え、周辺インターフェイス53及びRF回路54を通して、無線LANに或いは携帯電話通信網に接続可能である。
【0056】
また、携帯端末40の記憶部50には、ブラウザソフト、音声再生ソフトなどが予め記憶され、携帯端末40はネットワークを通して取り込んだテキスト、画像、動画、或いは音声を再生することができる。さらに、携帯端末40は、アプリケーションソフトウエアとして、ネットワーク上のコンテンツサーバ42からダウンロードした、上記ID情報に対応した複数のコンテンツを、上記コンテンツ記憶手段としての記憶部50に記憶するようになっている。さらに、図10に示す如く、携帯端末40には、コンテンツの音声信号を再生するためのオーディオ回路46及びディスプレイ57が上記コンテンツ再生手段として設けられ、オーディオ回路46の出力側には、スピーカー52が接続され、入力側にはマイク51が接続される。
【0057】
携帯端末40のプロセッサ48は、空間光受信器30から送出されたID情報を、USBポート45を通して取り込み、そのID情報に対応した記憶部50内のコンテンツ情報を選択して読み出し、そのコンテンツ情報の音声はオーディオ回路46を通してスピーカー52から再生し、コンテンツのテキスト、画像、或いは動画はディスプレイコントローラ56を通してディスプレイ57で表示するようになっている。なお、携帯端末40側では、USBポート45に空間光受信器30が接続されたとき、その接続を検知して、プラグアンドプレイで、コンテンツ提供用のソフトウエアを自動的に起動する構成とすることができる。
【0058】
図10に示す携帯端末40のRF(Radio Frequency)回路54は、アンテナシステムやチューナーを含み、RF信号を送信或いは受信し、インターネット等に接続される無線LANのアクセスポイント或いは携帯電話通信網の基地局との間で、電波による通信を行う。
【0059】
図9に示す如く、携帯端末40は、無線LAN43或いは携帯電話通信網を介してインターネットなどのネットワークに接続し、画像、動画、テキスト或いは音声情報など、各種情報の送信或いは受信を行う。ネットワーク上にはコンテンツサーバ42及び管理用コンピュータ41が設置され、コンテンツサーバ42には、管理用コンピュータ41の操作により、本システムで取り扱うコンテンツ情報、例えば美術館の各展示物の解説コンテンツ情報が、上記ID情報に対応して格納される。
【0060】
この場合、管理者は、管理用コンピュータ41を使用して、予め作成した解説コンテンツ情報をコンテンツサーバ42にアップロードし、コンテンツサーバ42の不揮発性メモリに、コンテンツ情報を上記ID情報に対応して格納する。そして、携帯端末40からそれらの解説コンテンツをダウンロードするためのアクセスがあったとき、コンテンツサーバ42はそのID情報に対応したコンテンツ情報を読み出し、携帯端末40に配信するように構成される。
【0061】
上記構成のコンテンツ提供システムの空間光送信器1は、例えば美術館、博物館などにおいて、展示物の解説コンテンツ(音声ガイド)を提供するために使用する場合、その施設等における展示物の近傍など、利用者に解説コンテンツ(音声ガイド)を提供する場所に設置される。設置場所には、電球用ソケットが例えば下向きに設けられ、空間光送信器1は、その電球用ソケットに口金部12をねじ込むことにより、その投光部2を下方に向けた状態で取り付けられる。各空間光送信器1には異なるID情報が割り当てられて設定され、各々の空間光送信器1のID情報記憶部8には、固有のID情報が記憶される。
【0062】
展示物の上方付近には、通常、照明器具が配設され、その照明器具用の電球用ソケットが使用できる場合、空間光送信器1はその電球用ソケットに口金部12をねじ込んで取り付けるのみの簡単な作業で、空間光送信器1を所定の場所に設置し、同時に電源接続を行うことができる。
【0063】
これは、美術館、博物館のように、多数の展示物が広範囲にわたって設置されている場合、各展示物の近傍に空間光送信器1を設置する際に、特に有利であり、簡単に効率良く設置することができる。
【0064】
例えば、美術館、博物館のように、展示物の解説用機器として携帯端末40を利用者に貸し出して使用する場合、それらの携帯端末40には、予め各ID情報(各展示物に対応するID)に対応して解説コンテンツ情報が取り込まれ、記憶部50に記憶される。
【0065】
これらのコンテンツ情報は、予めネットワーク上のコンテンツサーバ42内にID情報とともに格納されており、展示開催の際、携帯端末40を操作して、図9に示すネットワークを介してコンテンツサーバ42にアクセスし、携帯端末40にコンテンツ情報をダウンロードし、使用する。これにより、新たな展示会を美術館、博物館などで開催する場合、開始時に予めその解説用のコンテンツをダウンロードし、携帯端末40の記憶部50に格納しておけば、その展示会の開催中は、携帯端末40をネットワークに接続することなく、そのまま使用することができる。
【0066】
コンテンツ提供システムの各空間光送信器1は、例えば美術館などの施設が開館され、照明が点灯している間、その投光部2が投光動作して、展示物近傍のある程度の範囲内に、上方から下方に向けて投光部2から投光し、照明と兼用して空間光送信の投光を行なうことができる。空間光送信器1の送信時、伝送信号生成部7は、データフレームを作成し、データフレームは、図7のように、スタートフレームに続き、ペイロードのID情報及び任意の追加情報のデータをフレームに入れ、伝送信号が生成される。
【0067】
さらに、伝送信号生成部7は、副搬送波発振器6から送られる副搬送波を、機器のID情報を含む上記データにより例えば4値PPM変調して、情報伝送信号を出力する。伝送信号生成部7から出力された情報伝送信号は、投光駆動回路5に入力され、投光駆動回路5は、投光部2の投光素子3を駆動して空間光(例えば白色に近い可視光)を投光すると共に、情報伝送信号をその空間光に重畳させ、投光部2から下方に向けて投光する。
【0068】
美術館、博物館などの利用者は、携帯端末40を携帯して各展示物を見ながら移動し、各展示物近傍に移動したとき、携帯端末40に接続された空間光受信器30の受光部31は、その展示物の近傍に設置される空間光送信器1の投光部2から、展示物に対し照明光として投光される、空間光を受光する。
【0069】
このとき、空間光受信器30の受光部31の受光回路33は、受光素子32から出力される微弱な受光信号をアンプで増幅した後、コンパレータを通して、復調に必要なレベルのパルス信号に変換し、波形整形回路を通して波形整形した後、マイクロコンピュータ37の復調部34に出力する。
【0070】
復調部34は、PPM変調された伝送信号の復調を行い、4値のパルスの位置に基づき、伝送信号をデジタル信号に変換し、空間光受信器30は空間光送信器1から送信されたID情報を取得する。空間光受信器30は取得したID情報を、記憶部36に記憶すると共に、USBコントローラ38及びUSBポート39を通して、携帯端末40に送出する。
【0071】
携帯端末40は、空間光受信器30から空間光により送信されたID情報を入力すると、そのID情報に対応したコンテンツを、コンテンツ記憶手段である記憶部50から読み出し、コンテンツの画像、動画等は端末のディスプレイ57に表示し、その音声信号はオーディオ回路46により再生して、イヤホン型スピーカーなどのスピーカー52から音声を出力する。これにより、携帯端末40の利用者は、展示物を見ながら、その展示物の解説(音声ガイド)を聞き、或いはディスプレイ57に表示されたテキスト、画像などを見ることができる。
【0072】
一方、展示の変更などにより、各展示物が変わり、それに対応した解説コンテンツが変更される場合、管理者は管理用コンピュータ41を使用して、ネットワーク上のコンテンツサーバ42にアクセスし、コンテンツサーバ42に格納されるコンテンツ情報を、新たなコンテンツ情報に更新する操作を行なう。新たに格納されるコンテンツ情報は、上記と同様に、ID情報に対応してコンテンツサーバ42の不揮発性メモリに格納される。
【0073】
そして、変更された展示物の展示が開始されるとき、各携帯端末40はコンテンツサーバ42にアクセスし、コンテンツサーバ42から変更されたコンテンツ情報をID情報とともに取り込み、記憶部50に記憶して、コンテンツを更新する。利用者が携帯端末40を使用して音声ガイドを利用する際には、上記と同様に、空間光送信器1の近傍に近づき、空間光受信器30が空間光を受光して送信されたID情報を取得し、ID情報が空間光受信器30から携帯端末40に送られると、携帯端末40はそのID情報に対応するコンテンツを記憶部50から読み出し、コンテンツ画像等をディスプレイ57に表示し、音声信号をオーディオ回路46により再生処理して、スピーカー52から音声を出力する。なお、携帯端末40の使用方法によっては、携帯端末40は、ID情報を入力したとき、ID情報を指定してコンテンツサーバ42からダウンロードしたテキスト、画像、動画等のコンテンツを、そのまま再生することもできる。
【0074】
また、他の実施形態として、コンテンツ情報は、ID情報に対応してネットワーク上のコンテンツサーバ42に、アプリケーションソフトウエアの起動情報、設定変更情報等の制御情報として記憶することもできる。この場合、携帯端末40は、ID情報に基づき、コンテンツサーバ42から制御情報を取得し、制御情報に基づき携帯端末内で動作するアプリケーションソフトウエアの起動、設定変更等の制御を行なう。
【0075】
例えば、携帯端末40にアプリケーションソフトとして電話帳アプリケーションソフトが記憶される場合、ID情報がその起動情報として取り込まれたとき、電話帳アプリケーションソフトが起動し、設定された相手電話にダイヤルし呼び出す。或いは、そのアプリケーションソフトが地図アプリケーションソフトであって、その起動情報がID情報として取り込まれた場合、地図アプリケーションソフトが起動し、設定された地図が携帯端末40の表示部に表示される。
【0076】
一方、携帯端末40が再生可能なコンテンツ情報として、例えば商品広告用のデモンストレーションソフトを利用者に提供する場合、コンテンツサーバ42にその商品デモンストレーションソフトを格納しておき、携帯端末40のアクセスに応じて、その商品デモンストレーションソフトをダウンロードさせ、ダウンロード時、直ちに携帯端末40でコンテンツを再生するように使用することができる。
【0077】
すなわち、例えば各種店舗、ブース、展示場などの特定の場所で、コンテンツ情報としての商品広告用のデモンストレーションビデオを、顧客の来店時に自動的に再生したい場合、特定の場所に設置した空間光送信器1からID情報を空間光に重畳して送信する。携帯端末40を持った顧客が来店し、携帯端末40に接続された空間光受信器30が空間光に重畳して送信されたID情報を取得し、携帯端末40にそのID情報が送られると、携帯端末40は、無線LAN43或いは携帯電話通信網を通してコンテンツサーバ42にアクセスし、ID情報に基づきコンテンツサーバ42から商品広告用のデモンストレーションソフトをダウンロードし、そのテキスト、画像、動画、音声などを再生し表示する。
【0078】
また、更に他の実施形態として、コンテンツ情報は、ID情報に対応してネットワーク上のコンテンツサーバ42に、コンテンツ参照情報URLとして記憶することもできる。この場合、携帯端末40は、ID情報に基づき、コンテンツサーバ42からコンテンツ参照情報URLを取得し、そのコンテンツ参照情報URLに基づき、ネットワーク上の別の被参照サーバにアクセスして、被参照サーバからコンテンツ情報本体を収集し、コンテンツ情報本体をID情報に対応して記憶部50に一時記憶し、コンテンツを画面表示し或いは音声を再生する。
【0079】
このように、ID情報に対応したコンテンツ情報がコンテンツ自体ではなく、コンテンツ参照情報URLとなっている場合でも、携帯端末40はID情報に基づき、コンテンツサーバ42からそのコンテンツ参照情報URLを入力すると、対応するURLの別の被参照サーバにアクセスし、被参照サーバ上にあるテキスト、画像、動画、アプリケーションソフトウエア等のコンテンツ情報本体を収集し、再生することができる。
【0080】
このように、携帯端末40は、空間光に重畳して送信されたID情報を空間光受信器30が受信したとき、そのID情報をトリガとして、ID情報に応じて予め記憶部50に記憶されたコンテンツ自体の再生、コンテンツサーバ42へのアクセスによるコンテンツ情報の取り込み、ネットワーク上のURLの参照による被参照サーバへのアクセス機能、或いはID情報に応じたアプリケーションソフトウエアの起動やその連係機能を実行することができる。
【0081】
さらに、空間光により空間光送信器1から各携帯端末40の空間光受信器30に伝送する情報は略ID情報のみであるため、コンテンツ情報をそのまま伝送する場合に比して、瞬時に伝送することができ、空間光送信器1、空間光受信器30ともに回路構成も、簡単化して小型化することができる。しかも、伝送時の雑音等の影響を受けにくく、適正なコンテンツを迅速に提供することができる。
【0082】
図11は他の実施形態のコンテンツ提供システムの構成図を示し、図12はそのシステムの空間光受信器60及び携帯端末40の構成図を示す。このコンテンツ提供システムのID情報取得手段は、携帯端末40に設けられ、空間光受信器60はID情報を含むアナログオーディオ信号を携帯端末40に出力するように構成される。この空間光受信器60は、図12のように、空間光を受光する受光素子62を有した受光部61と、その受光信号を増幅する受光回路63とから構成される。
【0083】
受光素子62は、可視光等の空間光を受光して受光信号を出力するフォトダイオード等からなり、空間光送信器1の投光部2から投光される空間光を受光し受光信号を受光回路63に出力する。受光回路63は、受光素子62から出力される微弱な受光信号をアンプで増幅し、そのままアナログの受光信号(オーディオ信号)を出力端子64から、携帯端末40のマイク入力端子49に出力する構成である。空間光受信器60の出力端子64と携帯端末40のマイク入力端子49間は汎用の接続ケーブルまたはマイク用プラグとコネクタにより接続される。なお、携帯端末40のマイク入力端子49がイヤホン端子と一体のコネクタ部として形成される場合には、そのコネクタ部のマイク入力端子のみを接続して使用することとなる。
【0084】
図12に示すように、携帯端末40は、受光回路63から送られる受光信号を、マイク入力端子49から入力し、オーディオ回路46で増幅した後、そのアナログ信号をサンプリング回路47でサンプリングしてデジタル値に変換する。サンプリング回路47は周辺インターフェイス53内に設けられ、周辺インターフェイス53には上記と同様、無線LAN及び携帯電話通信網用のRF回路54が接続される。携帯端末40のプロセッサ48は、サンプリング回路47でサンプリングしたデジタル値から、例えば4値PPM信号を復調して、ID情報を取得する。なお、空間光送信器1の伝送信号生成部7において、PPM変調以外の例えばASK変調、FSK変調、PSK変調などを行なっている場合、CPU48は、ASK変調、FSK変調、PSK変調などに対応した復調を行なう。
【0085】
利用者がコンテンツ情報の提供のために、空間光受信器60を接続した携帯端末40が使用される際、空間光送信器1から送信された空間光を空間光受信器60の受光部61が受光すると、受光回路63からその受光信号が出力される。その受光信号は、ID情報を含むアナログオーディオ信号であり、空間光受信器60から携帯端末40のマイク入力端子49に入力される。携帯端末40のプロセッサ48は、ソフトウエアにより、入力されたID情報を含むアナログ信号を、所定の周期でサンプリングし、それをデジタル値に変換する。さらに、プロセッサ48は、ソフトウエアにより、そのデジタル値である4値PPM信号を復調し、ID情報を取得する。
【0086】
このようなソフトウエアは、携帯端末40の記憶部50に、アプリケーションソフトとして予め記憶されており、携帯端末40は、空間光受信器60の接続時に、そのアプリケーションソフトを起動し、空間光受信器60から入力したアナログオーディオ信号をサンプリングし、サンプリングにより得られた4値PPM信号を復調し、ID情報を取得することができる。携帯端末40は、得られたID情報に基づき、コンテンツ情報を選択し、再生する。
【0087】
このように、マイク入力端子接続型の空間光受信器60を使用することにより、携帯端末40は、そのマイク入力端子49を通して入力したID情報を含む受光信号から、プロセッサ48がソフトウエアにより4値PPM信号を復調してID情報を取得し、これにより、空間光受信器60は、受光部61と受光回路63のみの非常に簡単な回路構成となり、ハードウエアとしての空間光受信器60は極めて小型化することができる。
【0088】
また、携帯端末40には、マイク入力端子49を備えた既存の携帯端末をそのまま使用することができ、小型で簡単な構成の空間光受信器60を接続し、且つID情報の取得処理を行なうアプリケーションソフトウエアを携帯端末40にインストールすれば、コンテンツ提供システムを簡便に製作することができる。また、受光部61と受光回路63からなる空間光受信器60は小型に構成できるため、携帯端末40に内蔵することも容易に可能となる。
【0089】
なお、受光部61の受光素子62の受光時に、S/N比の良好な受光電圧信号が得られ、携帯端末40側で受光信号からID情報を抽出可能であれば、受光信号を増幅するアンプは必ずしも必要ではない。したがって、ID情報を取得可能な程度に高いS/N比で、受光素子62の受光電圧信号が得られる場合、受光回路63は不要となり、例えば受光素子62のアノードとカソードを直接マイク入力端子49に接続しても、携帯端末40のオーディオ回路46は有効な受光信号を取り込むことができる。
【0090】
また、例えば携帯端末40のマイク入力端子49が電源の不要なダイナミックマイク用の入力端子として構成され、携帯端末40から直流電源を供給しない場合、空間光受信器60は受光素子62には、S/N比の良好な受光電圧信号を得られる受光素子を使用することが望ましい。この場合、空間光受信器60の受光回路は外部から供給される直流電源を必要としない構成とし、受光素子62の信号の起電力で受光回路63を動作させて、有効なアナログ信号をマイク入力端子49に入力する。或いは、空間光受信器は受光素子のみから構成し、その受光信号を直接携帯端末40のマイク入力端子49に入力することができる。
【0091】
図13は、さらに他の実施形態の空間光送信器20を示している。上記図6に示す空間光送信器1の構成と同じ構成部分については、図13に同じ符号を付して、その説明は省略する。この空間光送信器20は、各種画像や動画を表示する液晶ディスプレイ装置25内に内蔵される。
【0092】
液晶ディスプレイ装置25には、液晶パネル24の背面側に、バックライトとなる光素子光源23が配設され、このバックライトとしての光素子光源23が空間光送信器20の投光部として機能する。液晶ディスプレイ装置25は、例えば各種イベント会場或いは公共施設等に設置され、来場した利用者に各種の情報等を表示するものである。光素子光源23としては、白色光を照射する白色LED,有機EL素子等を使用することができる。
【0093】
液晶ディスプレイ装置25の光素子光源23は、空間光送信器20の投光駆動回路5の出力側に接続され、投光駆動回路5は、マイクロコンピュータ10の伝送信号生成部7から送られる変調されたID情報を含む情報伝送信号を入力し、光素子光源23を駆動して可視光を投光すると共に、情報伝送信号をその可視光に重畳させる。光素子光源23は液晶パネル24のバックライトとして機能するため、液晶ディスプレイ装置25が表示動作を行なう間、ID情報を重畳した可視光が液晶パネル24の前方に照射される。
【0094】
利用者が、携帯端末40を翳して液晶ディスプレイ装置25の前に移動すると、携帯端末40に接続された空間光受信器30の受光部31は、空間光送信器20を内蔵した液晶ディスプレイ装置25の光素子光源23から照射される、ディスプレイのバックライトとしての可視光を受光する。
【0095】
このとき、空間光受信器30の受光部31の受光回路33は、図8の説明と同様に、受光素子32から出力される微弱な受光信号をアンプで増幅した後、コンパレータを通して、復調に必要なレベルのパルス信号に変換し、波形整形回路を通して波形整形した後、マイクロコンピュータ37の復調部34に出力する。
【0096】
復調部34は、PPM変調された伝送信号の復調を行い、4値のパルスの位置に基づき、伝送信号をデジタル信号に変換し、受信した空間光送信器1のID情報を、記憶部36に記憶すると共に、USBコントローラ38及びUSBポート39を通して携帯端末40に出力する。
【0097】
或いは、図12に示す空間光受信器60が、受光部61により受光した受光信号を受光回路63で増幅し、増幅したID情報を含む受光信号を、出力端子64、マイク入力端子49を通して携帯端末40に送出する。
【0098】
携帯端末40は、空間光受信器30、60から、空間光により送信されたID情報を入力し、或いは受光信号を復調してID情報を取得すると、そのID情報に対応したコンテンツ情報を記憶部50から読み出し、若しくはコンテンツサーバ42にアクセスしてコンテンツ情報を取得し、携帯端末40のディスプレイ57にコンテンツを表示し、その音声を再生する。
【0099】
また、携帯端末40は、ID情報に対応したコンテンツ情報がコンテンツ参照情報URLの場合には、当該URLに基づき別の被参照サーバにアクセスしてコンテンツ情報を取得し、コンテンツ画像等を端末のディスプレイ57に表示すると共に、その音声信号をオーディオ回路46により再生して、イヤホン型のスピーカー52から音声を出力する。これにより、携帯端末40の利用者は、例えば、液晶ディスプレイ装置25の表示する画面に関係した解説や案内(音声ガイド)などを、携帯端末40を通して見聞きすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 空間光送信器
1a 本体ケース
2 投光部
3 投光素子
5 投光駆動回路
6 副搬送波発振器
7 伝送信号生成部
8 ID情報記憶部
10 マイクロコンピュータ
11 電源回路
12 口金部
13 シェル部
14 アイレット部
15 絶縁体
16 上ケース
17 下ケース
18 回路基板
19 反射器
20 空間光送信器
23 光素子光源
24 液晶パネル
25 液晶ディスプレイ装置
30 空間光受信器
31 受光部
32 受光素子
33 受光回路
34 復調部
35 デジタル処理部
36 記憶部
37 マイクロコンピュータ
38 USBコントローラ
39 USBポート
40 携帯端末
41 管理用コンピュータ
42 コンテンツサーバ
43 無線LAN
44 USBコントローラ
45 USBポート
46 オーディオ回路
47 サンプリング回路
48 プロセッサ
49 マイク入力端子
50 記憶部
51 マイク
52 スピーカー
53 周辺インターフェイス
54 RF回路
56 ディスプレイコントローラ
57 タッチ感知ディスプレイ
60 空間光受信器
61 受光部
62 受光素子
63 受光回路
64 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13