特許第6019462号(P6019462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6019462-法面施工方法 図000002
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  • 特許6019462-法面施工方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6019462
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】法面施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   E02D17/20 104C
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-73828(P2016-73828)
(22)【出願日】2016年4月1日
【審査請求日】2016年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516097778
【氏名又は名称】有限会社安藤建装
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭40−031248(JP,Y1)
【文献】 実開平05−073025(JP,U)
【文献】 実開平01−176115(JP,U)
【文献】 実開昭51−025521(JP,U)
【文献】 特開平07−229300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00〜 17/20
E02B 3/04〜 3/14
E04G 9/00〜 19/00
E04F 15/00〜 15/22
E01C 19/00〜 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面にコンクリートを施工する法面施工方法であって、
水平方向に延びる上部枠材および下部枠材を有するコンクリート型枠を法面に沿って設ける工程と、
前記コンクリート型枠の内部にコンクリートを打設する工程と、
打設した前記コンクリートに鉄筋を設け、前記鉄筋を格子状に結束し、溶接加工して格子状配筋とする工程と、
前記格子状配筋の上に網材を載せ、前記網材の上部から前記コンクリートにバイブレータをかける工程と、
前記網材をずらしながら、前記網材の上部から前記コンクリート面全体にバイブレータをかける工程と、
前記上部枠材および前記下部枠材の上部に1対のレール材を間隔をあけて架け渡す工程と、
スライド材と、前記スライド材に設けられ、各レール材の間隔で各レール材の鉛直方向の高さと同じ高さで突出するならし部と、柄部とを有するならし器具の前記スライド材を各レール材の上部に架け渡し、前記ならし部を各レール材の間に配置する工程と、
前記柄部を持って前記スライド材を各レール材に沿ってスライドさせ、前記ならし部材で各レール材の間のコンクリートの表面をならす工程とを、
有することを特徴とする法面施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面にコンクリートを打設するとき、ならし器具でコンクリート表面をならしていた。ならし器具としては、細長い板状のならし部に垂直に柄を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−23005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、ならし器具でコンクリート表面に均一に力を加えるには熟練を要し、慣れていないとコンクリート表面に凹凸ができやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができる法面施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に関連するならし器具は、コンクリート型枠の上部に配置される1対のレール材に沿ってコンクリートをならすためのならし器具であって、各レール材の上部に架け渡し可能なスライド材と、前記スライド材に設けられ、各レール材の間隔で各レール材の鉛直方向の高さと同じ高さで突出するならし部と、前記ならし部に垂直方向に伸びるよう設けられた柄部とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に関連するならし器具は、コンクリート表面をならすとき、平行な1対のレール材の上部にスライド材を架け渡し、ならし部を各レール材の間に配置する。柄部を持ってスライド材を各レール材に沿って移動させれば、ならし部により各レール材の下面と同じ高さでコンクリート面をならすことができる。これにより、熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができる。
【0008】
本発明に関連するレール材は、本発明に関連するならし器具とともに用いられる1対のレール材であって、前記コンクリート型枠は上部枠材および下部枠材を有して法面に設けられ、前記上部枠材および前記下部枠材に架け渡した状態で前記下部枠材と係合可能な突起を有することを、特徴とする。
本発明に関連するレール材は、上部枠材および下部枠材に架け渡した状態で突起を下部枠材と係合可能なため、コンクリート型枠の上部への配置が容易で、法面施工の効率化を図ることができる。
【0009】
本発明に係る法面施工方法は、法面にコンクリートを施工する法面施工方法であって、水平方向に延びる上部枠材および下部枠材を有するコンクリート型枠を法面に沿って設ける工程と、前記コンクリート型枠の内部にコンクリートを打設する工程と、打設した前記コンクリートに鉄筋を設け、前記鉄筋を格子状に結束し、溶接加工して格子状配筋とする工程と、前記格子状配筋の上に網材を載せ、前記網材の上部から前記コンクリートにバイブレータをかける工程と、前記網材をずらしながら、前記網材の上部から前記コンクリート面全体にバイブレータをかける工程と、前記上部枠材および前記下部枠材の上部に1対のレール材を間隔をあけて架け渡す工程と、スライド材と、前記スライド材に設けられ、各レール材の間隔で各レール材の鉛直方向の高さと同じ高さで突出するならし部と、柄部とを有するならし器具の前記スライド材を各レール材の上部に架け渡し、前記ならし部を各レール材の間に配置する工程と、前記柄部を持って前記スライド材を各レール材に沿ってスライドさせ、前記ならし部材で各レール材の間のコンクリートの表面をならす工程とを、有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る法面施工方法によれば、熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができ、法面のコンクリート施工を容易にすることができる。
コンクリートを打設する工程と1対のレール材を互いに平行に間隔をあけて架け渡す工程との間には、打設したコンクリートに鉄筋を設け、鉄筋を格子状に結束して溶接加工する工程と、溶接加工した格子状鉄筋(配筋)の上に網材を載せ、網材の上部からコンクリートにバイブレータをかける工程と、網材をずらしながら、網材の上部からコンクリート面全体にバイブレータをかける工程を有することにより、コンクリートの締め固めができ、ジャンカ防止が可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができる法面施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に関するならし器具をレール材に架け渡した状態を示す斜視図である。
図2図1のならし器具の下側を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に関するレール材の下部を示す斜視図である。
図4】法面に沿って設けられたコンクリート型枠に図2のレール材を配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2に示すように、ならし器具10は、スライド材11とならし部12と柄部13とを有している。
スライド材11は、細長い板状であって、平行に配置した各レール材20の上部に架け渡し可能な長さを有している。ならし部12は、細長い板状であって、スライド材11の下部にスライド材11の長さ方向に沿って固定され、スライド材11から各レール材20の間隔で各レール材20の鉛直方向の高さと同じ高さで突出する。スライド材11は、ならし部12より長く、両端がならし部12より突出している。ならし部12は、スライド材11に対し垂直に突出していても、スライド材11の後方に傾斜して突出していてもよい。この場合の傾斜角度は、例えば、スライド板の下面に対して120度である。
【0014】
柄部13は、ならし部12に垂直方向に伸びるよう設けられている。柄部13は、ならし部12に直接固定されていても、スライド材11を介して固定されていてもよい。ならし器具10は、スチールやアルミニウムなどの金属から成っていても、木材から成っていてもよい。柄部13とスライド材11とは、2枚の補強板14により結合されている。
【0015】
ならし器具10は、コンクリート型枠30の上部に配置される1対のレール材20に沿ってコンクリートをならすために用いられる。コンクリート型枠30は、上部枠材31および下部枠材32を有して法面に設けられている。
【0016】
図1および図3に示す1対のレール材20が、ならし器具10とともに用いられる。各レール材20は、下端側部21に突起22を有している。突起22は、下端側部21に切込みを入れ、垂直方向に立ち上げることにより形成することができる。突起22は、上部枠材31および下部枠材32に架け渡した状態で下部枠材32と係合可能である。
【0017】
本発明の実施の形態の法面施工方法では、以下の工程により法面にコンクリートを施工する。
まず、法面に砂利を敷設する。砂利の上にならしコンクリートを約10cmの厚さで打設する。コンクリート型枠30を法面に沿って設ける。コンクリート型枠30は、水平方向に延びる上部枠材31および下部枠材32を有する
【0018】
コンクリート型枠30の内部にコンクリートを打設する。コンクリートに鉄筋を設ける。鉄筋を格子状に結束し、溶接加工する。格子状配筋の上に網材を載せ、網材の上からコンクリートにバイブレータをかける。網材をずらしながら、網材の上からコンクリート面全体にバイブレータをかける。このように、網材(メッシュ)を敷くことにより、コンクリートの締め固めができ、ジャンカ、特に水切り板の上下にできるジャンカの防止が可能になる。また、コンクリート面に対し、外R面、内R面の仕上げも可能となる。
【0019】
上部枠材31および下部枠材32の上部に垂直に、1対のレール材20を互いに平行に間隔をあけて架け渡す。各レール材20は、上部枠材31および下部枠材32に架け渡した状態で突起22を下部枠材32と係合可能なため、コンクリート型枠30の上部への配置が容易で、法面施工の効率化を図ることができる。
ならし器具10のスライド材11を各レール材20の上部に架け渡し、ならし部12を各レール材20の間に配置する。
【0020】
柄部13を持って、スライド材11を各レール材20に沿ってスライドさせ、ならし部12により各レール材20の間のコンクリートの表面を各レール材20の下面と同じ高さでならす。
これにより、熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができ、法面のコンクリート施工を容易にすることができる。
【0021】
ならし器具10でならした後、コンクリートの上でトロウェールを稼動させ、コンクリート表面の目を細かくする。その後、コンクリートの表面に金ごてを当て、さらに刷毛引きを行う。
こうして、法面にコンクリートを施工することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 ならし器具
11 スライド材
12 ならし部
13 柄部
14 補強板
20 レール材
21 下端側部
22 突起
30 コンクリート型枠
31 上部枠材
32 下部枠材
【要約】
【課題】熟練していなくてもコンクリート表面を容易にならすことができるならし器具、レール材および法面施工方法を提供することができる。
【解決手段】 ならし器具10がスライド材11とならし部12と柄部13とを有する。コンクリート型枠が上部枠材および下部枠材を有して法面に設けられる。コンクリート型枠の上部に1対のレール材20が配置される。スライド材11は各レール材20の上部に架け渡し可能である。ならし部12はスライド材11に設けられ、各レール材20の間隔で各レール材20の鉛直方向の高さと同じ高さで突出する。柄部13はならし部12に垂直方向に伸びるよう設けられる。各レール材20は上部枠材および下部枠材に架け渡した状態で下部枠材と係合可能な突起を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4