【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
各実施形態では、蓋用ラベルの排出口から排出される高温排出物として、包装体内部で発生する高温の蒸気を例示する。高温の蒸気(以下、単に「蒸気」という)は、蓋用ラベルを構成する熱収縮性フィルムの熱収縮温度よりも高温であり、例えば、80℃〜130℃程度の温度を有する。また、各実施形態の蓋用ラベルは、
図4に例示する包装体30の開口部35を覆ってフランジ部36に貼り付けられるものとして説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1〜5を参照して、第1実施形態である蓋用ラベル10及びこれを備えた包装体30を詳細に説明する。
【0017】
図1〜3は、第1の排出口13が形成された第1フィルム11と、第2の排出口14が形成された第2フィルム12とを備え、第1フィルム11及び第2フィルム12が、第1の排出口13と第2の排出口14との間で蒸気が流通可能なように接合して構成され、少なくともいずれか一方(本実施形態では両方)が熱収縮性フィルムであり、該熱収縮性フィルムの排出口(第1の排出口13及び第2の排出口14)が、熱収縮方向に交差して切り込まれたカット線からなる蓋用ラベル10を示す。なお、
図3は、第2の排出口14に沿って蓋用ラベル10を切断した断面を模式的に示す図である。
図3では、図面の明瞭化のため、第1フィルム11と第2フィルム12とを離して示しているが、実際には、両フィルムが互いに接触し接着層17により接合されている。
図4は、開口部35を有し内容物100が収容される本体部31と、開口部35を覆って貼り付けられた蓋用ラベル10を含む蓋部32とを備える包装体30を示す。
図5は、熱収縮性フィルムが熱収縮することにより第1の排出口13及び第2の排出口14が拡開した様子を示す。
【0018】
まず、
図1〜3を参照し、蓋用ラベル10の構成について詳説する。
【0019】
図1,2に示すように、蓋用ラベル10は、第1フィルム11と、第1フィルム11の裏面側に接合された第2フィルム12とで構成される積層ラベルである。蓋用ラベル10は、平面視略円形状を呈しているが、その形状は、包装体30の形態に応じて適宜変更できる。例えば、平面視矩形形状等であってもよい。なお、蓋用ラベル10及び各フィルムの「裏面」とは、包装体30の本体部31に貼り付けられたときに、本体部31側を向く面を意味し、「表面」とは、本体部31と反対側に向く面を意味する。実施形態では、第2フィルム12の裏面がフランジ部36に貼り付けられる(
図4参照)。
【0020】
蓋用ラベル10には、平面視略円形状の周縁部を除く広範囲に、複数の第1の排出口13と、複数の第2の排出口14とがそれぞれ形成されている。第1の排出口13は、第1フィルム11を厚み方向に貫通して形成され、第2の排出口14は、第2フィルム12を厚み方向に貫通して形成される。第1の排出口13及び第2の排出口14は、いずれもカット線からなる。各カット線は、直線状であり、いずれも略同一の長さを有する。
【0021】
第1フィルム11及び第2フィルム12は、第1の排出口13となるカット線(以下、「第1のカット線13」とする)と、第2の排出口14となるカット線(以下、「第2のカット線14」とする)とが交差して重なるように接合される。
図1に例示する形態では、第1のカット線13と第2のカット線14とが、平面視略十字形状をなして、互いに略直交している。但し、蓋用ラベル10を表面側から見た場合、第2のカット線14は実際には見えないかくれ線である。
【0022】
つまり、蓋用ラベル10を表面側から見ると、複数の第1のカット線13が同一方向に延びて列状に並んでいる。この列は、複数(例えば、7列)設けられ、各列は、複数(例えば、2〜5つ)の第1のカット線13が所定の間隔(例えば、第1のカット線13と同じ長さ)をあけて切り込まれることで形成される。一方、蓋用ラベル10を裏面側から見ると、複数の第2のカット線14が同一方向に延びて列状に並んでいる。第2のカット線14は、第1のカット線13と同じ数だけ形成されることが好適である。
【0023】
蓋用ラベル10には、第1フィルム11と第2フィルム12とが接合された接合部17A(
図1のドットを付した部分)と、第1フィルム11と第2フィルム12とが接合されない複数の非接合部18A(
図1の点線で囲んだ部分)とが設けられる。接合部17Aは、ラベルの周縁部を含む領域に設けられている。非接合部18Aは、各第1のカット線13及び各第2のカット線14の周囲において、平面視略十字形状を呈するように、互いにつながらず離間して複数設けられる。1つの非接合部18Aである該略十字形状内には、第1の排出口13及び第2の排出口14が1つずつ含まれる。
【0024】
ここで、さらに
図3を参照し、蓋用ラベル10の層構造、構成材料、及び熱的特性等について詳説する。また、第1の排出口13及び第2の排出口14について補足説明する。
【0025】
図3に示すように、第1フィルム11は、第1フィルム基材15と、第1フィルム基材15の裏面上に形成された接着層17と、接着層17上に形成された非接着層18とを有する。接着層17は、第1フィルム基材15の裏面全体に形成することができる。第1フィルム11と第2フィルム12とは、この接着層17により互いに接合される。また、非接着層18は、接着層17上において、第1のカット線13の周囲に形成される。換言すると、非接着層18が形成される部分に第1のカット線13が切り込まれる。
【0026】
なお、接合部17Aは、第1フィルム11と第2フィルム12との間において、接着層17が形成された部分であって、且つ非接着層18が形成されない部分である。非接合部18Aは、第1フィルム11と第2フィルム12との間において、非接着層18が形成される部分である。接合部17A及び非接合部18Aの形成パターンは、例えば、非接着層18の形成パターンを変更することで任意に変更できる。
【0027】
第2フィルム12は、第2フィルム基材16と、第2フィルム基材16の裏面上に形成されたシーラント層19とを有する。シーラント層19は、加熱することにより溶融する層であって、第1フィルム基材16の裏面全体に形成することができる。蓋用ラベル10は、このシーラント層19により本体部31のフランジ部36に貼り付けられる。第2のカット線14は、第2フィルム12の表面上に第1フィルム11を積層した状態で、非接着層18と重なり、第1のカット線13と交差する位置に形成される。
【0028】
第1フィルム11及び第2フィルム12は、いずれも熱収縮性フィルムであり、第1フィルム基材15及び第2フィルム基材16が熱収縮性を有する基材層として機能する。基材層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10〜100μm、より好ましくは15〜80μm、特に好ましくは20〜60μmである。各基材層の厚みは、互いに異なっていてもよい。
【0029】
基材層には、従来公知の樹脂フィルムを適用できる。該樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムが例示できる。また、2種以上のフィルムの積層形態、不織布、金属蒸着層、発泡層等との積層形態とすることもできる。
【0030】
基材層は、一方向に延伸(一軸延伸)され、主に一方向に熱収縮性を有するフィルムを用いることが好ましい。延伸倍率は、例えば、主延伸方向に2〜6倍程度であることが好ましい。基材層は、主延伸方向と直交する方向の収縮、膨張を抑えるために、当該方向にも1.01〜2倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)することができる。基材層の熱収縮率は、主延伸方向に対して、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。特に、蒸気による内圧が高くなる前に開口させるためには、より低温で収縮するものを用いることが好ましく、80℃で20%〜80%であることが好ましい。主延伸方向に直交する方向に対しては、好ましくは−3〜15%、さらに好ましくは−1〜10%、特に好ましくは−1〜5%である(加熱処理条件:同上)。延伸温度は、樹脂の種類によっても異なるが、例えば、70〜100℃の温度範囲である。
【0031】
第1のカット線13は、第1フィルム11の熱収縮方向に交差して形成される(
図2参照)。好ましくは、第1フィルム11の熱収縮方向に略直交して第1のカット線13が形成される。同様に、第2のカット線14は、第2フィルム12の熱収縮方向に交差して形成され、好ましくは該熱収縮方向に略直交して形成される。そして、第1フィルム11と第2フィルム12とは、それぞれの熱収縮方向が互いに略直交するように積層されることが好ましい。
【0032】
本明細書において、熱収縮方向とは、熱収縮方向が一方向である場合には、その方向を、熱収縮方向が二方向である場合には、熱収縮率が大きな主収縮方向を意味する。即ち、一軸延伸のフィルム基材には、その延伸方向と略直交するカット線を形成することが好ましく、二軸延伸のフィルム基材には、主延伸方向と略直交する方向にカット線を形成することが好ましい。以下、各カット線は、対応する各フィルム基材の延伸方向又は主延伸方向に略直交するものとして説明する。
【0033】
接着層17は、特に限定されることなく種々の粘着剤や接着剤を用いて、周知慣用のコーティング法や印刷法によって形成できる。例えば、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体やスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体などの合成ゴム系、アクリル樹脂系、オレフィン樹脂系、ウレタン樹脂系、紫外線硬化樹脂系、エチレン‐酢酸ビニル共重合体などの常温で粘着性を有するものを使用できる。
【0034】
非接着層18は、第1の排出口13と第2の排出口14との間で蒸気の流通を可能とする。非接着層18は、特に限定されることなく、例えば、離型性に優れたシリコーン系樹脂、或いは、印刷インキに、各種ワックス、シリコーンオイル等の滑剤を添加したものを周知慣用の方法で塗工することにより形成できる。
【0035】
シーラント層19は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される。
【0036】
蓋用ラベル10には、内容物100の商品名や各種デザインなどを表示するための印刷層を設けることができる。印刷層は、種々の印刷インキを用いて、グラビア印刷等の公知の方法により形成できる。印刷層は、例えば、第1フィルム基材15の裏面上に形成することができ、この場合、印刷層上に接着層17が形成される。
【0037】
次に、
図4を参照し、包装体30の構成について詳説する。
【0038】
包装体30は、内容物100が収容される本体部31と、本体部31に貼り付けられた蓋用ラベル10を含む蓋部32とを備える。本体部31は、内容物100を収容可能な収容部34と、収容部34の上方に形成された開口部35とを有する。本体部31は、有底の略円筒形状を呈し、開口部35の周囲には、径外方向に突出したフランジ部36が形成されている。そして、蓋用ラベル10は、シーラント層19により、開口部35を覆ってフランジ部36の上面に貼り付けられる。
【0039】
包装体30では、蓋部32として、蓋用ラベル10と、フランジ部36に嵌合し、蓋用ラベル10の表面全体をカバーする外蓋33とを含む。外蓋33は、本体部31の形状に対応する平面視略円形状であり、例えば、円形状の中央部が膨出した形態を有する。なお、外蓋33は、貫通孔や切れ目を有し、フランジ部36に嵌合した状態で蒸気が抜ける形態であってもよい。
【0040】
本体部31及び外蓋33の構成材料としては、樹脂、紙、金属、ガラス、陶器などが例示でき、好ましくは樹脂である。当該樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等)などが例示できる。また、内容物100としては、電子レンジで熱処理されたときに蒸気が発生する食料品、使用時に蒸気が発生する薬剤などが例示できる。
【0041】
ここで、蓋用ラベル10及び包装体30の製造方法を例示する。
【0042】
蓋用ラベル10は、例えば、第1フィルム11の長尺体と、第2フィルム12の長尺体とを準備し、第1のカット線13及び第2のカット線14をそれぞれ形成した後、第2フィルム12の長尺体の表面上に第1フィルム11の長尺体を積層して、個々のラベルサイズにカットすることで得られる。
【0043】
第1フィルム11の長尺体は、例えば、TD方向(長手方向に直交する方向)に一軸延伸した第1フィルム基材15の長尺体を用いて、その一方の面(裏面となる面)上に接着層17を形成し、次いで接着層17上の一部に非接着層18を形成することにより作製できる。接着層17及び非接着層18は、公知の塗工機、例えば、コンマコーター(登録商標)やグラビア印刷機等を使用して形成できる。そして、非接着層18が形成された範囲において、延伸方向に直交する第1のカット線13を形成する。第1のカット線13(第2のカット線14も同様)は、ダイカットロールなどの刃物により形成できる。
【0044】
第2フィルム12の長尺体は、例えば、MD方向(長手方向)に一軸延伸された第2フィルム基材16の一方の面(裏面となる面)上に溶融押出し法によってシーラント層19を形成することにより作製できる。そして、延伸方向に直交する第2のカット線14を形成する。
【0045】
続いて、第1フィルム11の長尺体と第2フィルム12の長尺体との長手方向を一致させた状態で、第2フィルム12の長尺体の表面上に第1フィルム11の長尺体を積層する。これにより、各長尺体の延伸方向、即ち熱収縮方向が互いに略直交するようになる。また、非接着層18により非接合部18Aが設けられ、非接合部18Aに第2のカット線14が位置し、第1のカット線13と第2のカット線14とが略直交する。つまり、第1のカット線13及び第2のカット線14は、各長尺体が積層されたときに、当該位置関係となるように形成されている。こうして、蓋用ラベル10の長尺体が作製される。
【0046】
最後に、蓋用ラベル10の長尺体を個々のラベルサイズ、及び任意の形状にカットして、蓋用ラベル10が得られる。
【0047】
包装体30は、本体部31の収容部34に内容物100を充填した後、本体部31の開口部35を覆ってフランジ部36の上面に蓋用ラベル10の周縁部を貼り付け、蓋用ラベル10をカバーする外蓋33をフランジ部36に嵌合することで得られる。蓋用ラベル10は、例えば、シーラント層19を加熱溶融させてフランジ部36に接合する、所謂ヒートシールにより貼り付けられる。
【0048】
次に、包装体30の使用方法を例示しながら、
図5を適宜参照して、蓋用ラベル10の作用効果を詳説する。ここでは、内容物100を、電子レンジで熱処理されたときに蒸気が発生する食料品として説明する。
【0049】
包装体30は、外蓋33を取外し、蓋用ラベル10が装着された状態で、電子レンジにセットされる。包装体30を電子レンジでマイクロ波を照射すると、内容物100の温度が上昇し、収容部34において蒸気が発生する。発生した蒸気は、蓋用ラベル10の第2の排出口14から第1の排出口13を通って外部に排出される。このとき、発生した蒸気により、蓋用ラベル10の温度も上昇し、その温度はやがて第1フィルム11及び第2フィルム12の熱収縮温度に達する。これにより、第1フィルム11及び第2フィルム12の熱収縮が始まる。
【0050】
第1フィルム11及び第2フィルム12は、非接合部18Aで熱収縮し易く、第1のカット線13の縁部は、第1のカット線13が延びる方向と略直交する方向に、第2のカット線14の縁部は、第2のカット線14が延びる方向と略直交する方向にそれぞれ引っ張られる。そして、各カット線に沿って対向する縁部同士が互いに離間する。
【0051】
こうして、
図5に示すように、第1の排出口13及び第2の排出口14が大きく拡開する。各排出口は、互いの交差点において、ラベルの厚み方向に沿って連続する大きな開口部(網目部分)となり、蒸気の排出速度が大きく向上する。
【0052】
以上のように、包装体30によれば、開口部35が蓋用ラベル10及び外蓋33により覆われているため、流通時における内容物100の漏れ出しを抑制できる。蓋用ラベル10では、第1の排出口13及び第2の排出口14を、互いに交差して重なるカット線とすることにより、ラベルの厚み方向に連続する開口部を極力小さくしている。このため、流通時に内容物100が漏れ出し難い。また、外蓋33は、外部から汚染物質が収容部34に浸入することを防止する。
【0053】
一方、包装体30では、収容部34で発生する蒸気が、蓋用ラベル10の第1の排出口13及び第2の排出口14を通って外部に排出される。蓋用ラベル10には、第1フィルム11及び第2フィルム12が熱収縮する前でも、小さいながら開口部が存在するため、蒸気を排出可能である。さらに、第1フィルム11及び第2フィルム12が熱収縮すると、該開口部が容易に拡開するため、蒸気の排出速度が大きく向上する。包装体30では、各フィルムの熱収縮により、ラベルの厚み方向に沿って連続する大きな開口部が形成される。
【0054】
<第2実施形態>
図6,7を参照し、第2実施形態である蓋用ラベル40について説明する。
以下では、上記実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付して重複する説明を省略し、上記実施形態との相違点を説明する(第3,4実施形態についても同様)。
【0055】
図6,7に示すように、蓋用ラベル40は、第1フィルム41と、第2フィルム12とを備えた積層ラベルである。蓋用ラベル40では、第1の排出口42となるカット線(第1のカット線42)と、第2の排出口43となるカット線(第2のカット線43)とが、互いにずれて配置されている。つまり、第1フィルム41及び第2フィルム12は、第1のカット線42と第2のカット線43とが重なることなく配置されるように接合されている。
【0056】
一方、第1のカット線42及び第2のカット線43は、蓋用ラベル10の場合と同様に、いずれも直線状であり、第1のカット線42は、第1フィルム41の延伸方向に略直交して、第2のカット線43は、第2フィルム12の延伸方向に略直交して、それぞれ形成される。そして、第1フィルム41及び第2フィルム12は、互いの延伸方向が略直交するように接合される。
【0057】
また、蓋用ラベル40には、第1フィルム41と第2フィルム12とが、周縁部を含む領域に設けられた第1フィルム41の接着層により接合された接合部44A(
図5のドットを付した部分)と、第1フィルム41と第2フィルム12とが接合されない複数の非接合部45A(
図5の点線で囲んだ部分)とが設けられる。各非接合部45Aは、ラベルの周縁部を除く領域に設けられ、それぞれの非接合部45Aは、平面視略円形状を呈し、その円内に第1のカット線42及び第2のカット線43が1つずつ含まれる。なお、非接合部45Aは、接着層上に形成された非接着層により設けられる。
【0058】
蓋用ラベル40によれば、第1の排出口42及び第2の排出口43がラベルの厚み方向に沿って重ならないため、流通時において、収容部34から内容物100が漏れ出すことをより高度に防止できる。一方、第1フィルム41及び第2フィルム12が熱収縮すると、各排出口が拡開して、蒸気が排出し易くなる(
図6参照)。各排出口は、厚み方向に沿って連続していないが、各排出口の間には、非接合部45Aにより第1フィルム41と第2フィルム12との間を蒸気が流通可能となっているため、蒸気を排出することができる。
【0059】
<第3実施形態>
図8,9を参照して、第3実施形態である蓋用ラベル50を詳細に説明する。
【0060】
図8,9に示すように、蓋用ラベル50は、第1フィルム51と、第2フィルム12とを備えた積層ラベルである。蓋用ラベル50では、第1の排出口52となるカット線(第1のカット線52)と、第2の排出口53となるカット線(第2のカット線53)とが、互いに重なることなく、ずれて配置されている。この点で蓋用ラベル40と共通するが、蓋用ラベル50では、全てのカット線が同一方向に延びており、互いに平行に配置されている。
【0061】
蓋用ラベル50においても、第1のカット線52は、第1フィルム51の延伸方向に略直交して、第2のカット線53は、第2フィルム12の延伸方向に略直交して、それぞれ形成されることが好適である。つまり、各フィルムは、互いの延伸方向が略平行となるように接合されることが好適である。
【0062】
また、蓋用ラベル50には、第1フィルム51と第2フィルム12とが、第1フィルム51の接着層17により接合された接合部54A(
図8のドットを付した部分)と、第1フィルム51と第2フィルム12とが接合されない非接合部55A(
図8の点線で囲んだ部分)とが設けられる。非接合部55Aは、平面視略円形状を呈し、その円内に全てのカット線が含まれる。蓋用ラベル50において、接合部54Aは、ラベルの周縁部に沿った平面視リング形状を呈し、接着層17は該周縁部のみに形成される。そして、ラベルの周縁部を除いた領域全体に非接合部55Aが形成される。
【0063】
蓋用ラベル50によれば、蓋用ラベル40と同様に、第1の排出口52及び第2の排出口53がラベルの厚み方向に沿って重ならないため、流通時において、収容部34から内容物100が漏れ出すことをより高度に防止できると共に、第1フィルム51及び第2フィルム12が熱収縮すると、各排出口が拡開して、蒸気が排出し易くなる。なお、第1の排出口52及び第2の排出口53は、拡開した状態で互いに重なるように形成することができる。
【0064】
<
参考例>
図10,11を参照して、
参考例である蓋用ラベル60を詳細に説明する。
【0065】
図10,11に示すように、蓋用ラベル60は、第1フィルム51と、第2フィルム61とを備えた積層ラベルである。蓋用ラベル60では、第2フィルム61に形成された第2の排出口62が大きく開口した平面視略円形状を呈する。そして、第2フィルム61は、熱収縮性を有さない非熱収縮性フィルムであり、第2の排出口62は、これ以上拡開しない点で上記各実施形態と異なる。第2の排出口61と、カット線からなる第1の排出口52とは、互いに重なることなく、ずれて配置されており、第1フィルム51により第2の排出口62がカバーされている。
【0066】
蓋用ラベル50によれば、第1の排出口52及び第2の排出口62がラベルの厚み方向に沿って重ならないため、流通時において、収容部34から内容物100が漏れ出すことをより高度に防止できると共に、第1フィルム51が熱収縮すると、第1の排出口52が拡開して、蒸気が排出し易くなる。なお、第1の排出口52及び第2の排出口62は、第1の排出口52が拡開した状態で互いに重なるように形成することができる。
【0067】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
【0068】
例えば、上記実施形態では、第2フィルム層の裏面上にシーラント層19が形成されるものとして説明したが、シーラント層19の代わりに、常温で粘着性を有する接着層を形成してもよい。或いは、フランジ部36上に接着剤を塗工して、シーラント層19を形成しない形態としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1フィルム層の裏面上に接着層17が形成されるものとして説明したが、接着層17の代わりに、第2フィルム層とのヒートシールが可能なシーラント層を形成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、蓋用ラベルがフランジ部36に貼り付けられるものとして説明したが、蓋用ラベルは、フランジ部36又は開口部35に嵌合し、開口部を有する着脱可能なリング状の支持体を有し、該支持体の開口部に蓋用ラベル10が貼り付けられた形態であってもよい。当該形態によれば、例えば、開口部35を一旦開封して収容部34に水や各種薬剤を投入し、水や各種薬剤と内容物100との相互作用により蒸気が発生する用途にも利用できる。