【実施例1】
【0030】
図1には、本発明に係るLED照明装置の一実施例の断面図が模式的に示されている。また、第1実施例のLED照明装置の側面図が
図2に示され、
図1の矢印B側から見た斜視図が
図3に示され、
図1の矢印C側から見た図が
図4に示され、
図1のAの領域の拡大図が
図5に示されている。
【0031】
図1、
図4、
図5に示されるように、第1実施例のLED照明装置1は、略真円形状の貫通穴2が形成されたドーナツ型円盤状の基板3と、基板3の貫通穴2を貫通する態様で設けられた筒状部位4とを有している。筒状部位4は基板3の片面(
図1、
図5の下側)から突出した筒状部位4aと反対側の面(
図1、
図5の上面)から突出した筒状部位4bとを有して基板3の両面から突出している。筒状部位4bは、例えばポリカーボネート等の樹脂製の部材により形成されており、軽量さと機械的強度および熱を伝えにくい特性を有している。筒状部位4(4b)の筒内にはLED光源6の電源11が収納可能と成しており、
図1〜5には、電源11が収納された状態が示されている。
【0032】
また、基板3の片面(
図1、
図5においては下側の面)はLED光源配設面5と成しており、LED光源配設面5には、
図4に示されるように、複数(例えば99個)のLED光源6が互いに間隔を介して点在して配設されている。なお、同図に示されるように、LED光源6は互いに、ほぼ等間隔または等間隔で配設されているが、LED光源6の配設間隔等の配設態様は限定されるものではなく適宜設定されるものである。LED光源配設面5と反対側の基板面7側には、前記筒状部位4bの外周を覆う態様で、LED光源6からの熱を放熱するためのヒートシンク8が設けられ、ヒートシンク8の基端面26(
図5、参照)が基板3に熱的に接続されてLED光源6の熱を放熱する構成と成している。
【0033】
ヒートシンク8は、例えば
図6に示されるように、中央部に貫通穴22を有するドーナツ型円盤状の底板(受熱用底板)23と、底板23に対して垂直に立つ態様で貫通穴22の中心部を中心として放射状に互いに間隔を介して底板23上に設けられた複数の板状のフィン(放熱フィン)24とを有しており、底板23の下側の面がヒートシンクの基端面26と成している。なお、
図6において、図を分かりやすくするために、底板23の表面に斜線を記している。
【0034】
底板23とフィン24は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、あるいは熱伝導性の樹脂により形成されるもので、本実施例では、アルミニウム製の板の表面にシリコン層が形成されたクラッド材により形成されており、底板23の厚みは3mm、フィン24の厚みは0.5mmに形成されている。ヒートシンク8の外周側には
図1〜
図5に示されるような樹脂製のカバー部材32が設けられており、カバー部材32には複数のスリット31が互いに間隔を介して形成されている。
【0035】
複数のフィン24はそれぞれ、筒状部位4の筒軸方向(Z方向)を伸長方向として形成されて互いに間隔を介して配設されており、カバー部材32のスリット31は、この間隔の形成位置に対応させて形成されている。それぞれのフィン24は、底板23から先端側に向かうにつれて幅が狭く形成されて、先端側には丸みが形成されており、各フィン24には、
図1、
図5、
図6に示されるように、筒状部位4の筒軸方向の中央部から先端部に至る領域に、複数の貫通の孔部25が互いに間隔を介して形成されている。
【0036】
図1〜
図3に示されるように、筒状部位4bは、筒軸方向(図のZ軸方向)の一端側がヒートシンク8の先端部よりも先方に突出し、その突出した筒状部位4bの側周壁部には、スリット状の通気口9が形成されている。また、筒状部位4bは、その筒孔の横断面形状(XY断面形状)が真円形状を呈しているが、筒状部位4bは通気口9が形成された部位が先端側(
図1、
図2の上側)に向かうにつれて連続的に径が小さくなる領域と段階的に径が小さくなる領域とを有して、先端部の径がヒートシンク8の配設領域における径に比べて小さく形成されており、筒状部位4bの先端部にはLED照明装置1をその取り付け箇所に取り付けるための口金30が形成されている。
【0037】
本実施例において、口金30は、JIS口金E39に規定された大きさに形成されており、この口金30に対応する照明装置としては、50W以上(LED光源の性能によるが最大300W程度)の高ワット数のLED照明装置1を形成できる。
【0038】
なお、口金30の大きさやLED照明装置1の大きさ等は特に限定されるものではなく適宜設定されるものであるが、通常、前記のような高ワット数のLED照明装置は大きさも大きくなることから、金属製の筒状部位4を設けて形成すると、LED照明装置の重量が重くなってしまい、地震に対する落下の危険性が生じたり、施工時に一人作業ができないといったこと等が問題となったりすることが想定される。それに対し、本実施例では、筒状部位4を樹脂製にして軽量化を図っており、このような問題が生じることはない。また、筒状部位4bが軽量である分だけ筒状部位4bの長さを、収納される電源11に対応させて収納の余裕を持った長さに形成することもできる。
【0039】
図1、
図5に示されるように、前記筒状部位4aは、基板3のLED光源配設面5側から突出して設けられ、その突出長さは、基板3の外径が250mmのときに例えば70mm位であり、突出先端部位(筒状部位4の筒軸方向の他端側)から基板3の周縁部にかけて透明カバー部材12が形成されている。透明カバー部材12は、LED光源配設面5と間隔を介してLED光源配設面5を覆う態様で設けられており、透明カバー部材12の内側には筒体15が透明カバー部材12と一体的に設けられている。
【0040】
また、筒体15の内側には筒体15と間隔を介して前記筒状部位4aが設けられ、筒状部位4aと筒体15とは連結板部27を介して連結されて、筒状部位4aと筒体15と透明カバー部材12とが一体的に形成されている。なお、筒状部位4aと筒体15と透明カバー部材12の形成材料は特に限定されるものではないが、例えばポリカーボネート等の樹脂により形成することができる。筒状部位4aの突出先端部には開口10が形成されており、開口10の径および筒状部位4aの筒内径は30mm以上(例えば80mm)に形成されている。
【0041】
なお、
図5に示されるように、本実施例において、ヒートシンク8の底板23の下面(基端面26)と透明カバー部材12の周縁部との接触部にはシール部材であるOリング33が設けられ、ヒートシンク8の底板23と筒体15との接触部にはシール部材であるOリング34が設けられており、透明カバー部材12と筒体15とに覆われたLED光源6の配設領域に水の浸入がないように、液密、かつ、大気に対して気密に形成されている。
【0042】
また、筒状部位4aの筒壁は,開口10側から基板3側に向かうにつれて厚みが厚く形成されているが、筒状部位4aの底板23との接触部側には、その接触部側を開口とした溝部35が筒状部位4aの全周にかけて形成されていて、筒状部位4aとヒートシンク8の底板23との接触面積が小さくなるように形成され、ヒートシンク8の底板23側から筒状部位4a側に熱が伝わりにくいように構成されている。
【0043】
本実施例において、LED光源6の駆動により発熱して基板3の温度が上昇すると、基板3からヒートシンク8の底板23に熱が伝わり、さらにフィン24に熱が伝わって、その熱がフィン24から放熱される。また、LED光源6の熱によって基板3の温度が上昇すると、ヒートシンク8のフィン24の間隔に上昇気流が生じて、
図8の矢印Aに示されるように、ヒートシンク8の外側からヒートシンク8の基端側(この基端側におけるフィン24同士の間隔)に入り込んだ空気が筒状部位4の外側の壁面側に沿ってヒートシンク8の先端側に流れて、該先端側から外部に導出される構成と成している。なお、フィン24に貫通の孔部25が形成されていることから、孔部25を通しても空気が流れ、ヒートシンク8内を空気がより流れやすくなっている。
【0044】
一方、筒状部位4に収納される電源11の温度の上昇により筒状部位4の筒内の空気の温度が上昇すると、
図8の矢印Bに示されるように、筒状部位4の筒内に上昇気流が生じて筒状部位4の開口10から筒状部位4の筒内に、外部から筒内の空気よりも低温の空気が導入され、この空気が筒内を流れて通気口9から導出されることにより電源11の冷却が行われる。このように、筒状部位4によって電源11の冷却の空気流とLED光源6の冷却の空気流とが絶縁されていることが本実施例の最も特徴的な構成である。
【0045】
また、本実施例では、
図5に示されるように、前記筒状部位4bのヒートシンク8に囲まれた部位の外周壁には断熱層13が形成されており、断熱層13は例えばプラスチック発泡体によって2〜4mm程度の厚みに形成されている。本実施例では、この断熱層13を設けることによって、電源11の冷却の空気流とLED光源6の冷却の空気流とが、より一層熱的に絶縁されている。
【0046】
さらに、本実施例では、筒状部位4の開口10が形成されている先端部位からヒートシンク8の先端部にかけて筒状部位4の外周側に沿って、
図8の矢印Cに示されるように、筒状部位4の筒軸方向に空気が通るようにする空気通路14が形成されている。この空気通路14は、
図5に示されるように、前記筒体15と筒状部位4aの外周側との間隔により形成された空気通路14aと、ヒートシンク8のフィン24の間隔において筒状部位4bに沿って空気が流れる空気通路14bと、これらの空気通路14a,14bを連通させるために、ヒートシンク8のフィン24の間隔形成位置に対応させて連結板部27に互いに間隔を介して形成された複数の貫通孔16(
図4も参照)とを有して形成されている。
【0047】
本実施例では、このように筒状部位4の外周側に空気通路14を形成することにより、より一層、電源11の冷却の空気流とLED光源6の冷却の空気流とが絶縁される。なお、空気通路14aを通る空気の流れは、透明カバー部材12がLED光源6からの熱に起因して加熱されて周囲の大気との温度差が生じることによって発生するものであり、空気通路14aの幅(筒状部位4の外周と筒壁15の内壁との間隔)を2mm〜10mmとすることが好ましい。
【0048】
また、透明カバー部材12と基板3との間隔が小さくて透明カバー部材12の基板3から先方に突出する筒状部位4aの突出長さが短いと、筒状部位4aの開口10が形成されている先端部位近傍の空気の温度が上昇しやすく、さらに、本実施例のようにLED光源6を互いに等間隔やほぼ等間隔で基板3に配設する構成においては、基板3の面積が大きくなるほどLED光源6の配設数も大きくなってLED光源6からの発熱量も大きくなる。例えば、本実施例においては、LED光源配設面5の近傍の空気の温度は50℃を超えて70℃にも達する。
【0049】
そこで、本発明者は、筒状部位4aのLED光源配設面5からの突出長さをhとして基板3の径をDとしたとき、h/Dの値を0.1以上に設定すると好ましいことを、表1および
図7の例から導き出した。なお、表1の結果および、
図7の特性線は、LED照明装置が設けられている雰囲気温度を23℃、Dの値を280mmとして、LED光源配設面5からの距離(突出長さhに対応)と、距離に応じた空気温度を求めた結果であり、ここで、距離を30mmとするとh/D=0.107148となり(つまり0.1以上)、空気温度を50℃未満にできる。また、Dの値を変えても、h/Dの値と空気温度との関係は、ほぼ同様であると想定される。
【0050】
【表1】
【0051】
また、h/Dを0.5より大きくしても、筒状部位4aの開口10近傍の空気温度を下げる効果に差が生じにくいため、h/Dの範囲は、0.1〜0.5の範囲内の適宜の値とするとよい。本実施例では、前記の如く、筒状部位4aの開口10が形成されている先端部位を直径250mmの基板3のLED光源配設面5から70mm以上離してh/Dを0.28としており、表1に示されるように、Dを280mmとしてhを60mmとしてh/Dを0.214286とすると、開口10近傍の温度をLED照明装置が設けられている雰囲気温度(ここでは23℃)+17℃以下に抑えることができるため、開口10近傍の温度をさらに低くできる。そして、それに対応させて透明カバー部材12もLED光源配設面5から離して形成しており、LED光源配設面5の温度が高くなることを防ぐことができる。
【0052】
さらに、
図1〜
図5、
図8には図示されていないが、本実施例において、筒状部位4に収納されているLED光源6の電源11には、
図9に示されるように、筐体17の外壁部に放熱フィン18が互いに間隔を介して複数形成されている。放熱フィン18の形成によって放熱面積(空気と接する面積)を拡大でき、かつ、本実施例では放熱フィン18が筒状部位4bの筒軸方向(Z軸方向)に伸長形成されているので、筒状部位4bの筒内を
図8の矢印Bに示したように、図の上部側に向けて流れる空気の通路と成すことができ、より放熱効率を向上することができ、電源11に放熱フィン18を設けることにより、電源11の温度を4〜5℃程度下げることができる。なお、放熱フィン18は筐体17の一つの面に形成されているが、2つ以上の面に形成してもよいし、放熱フィン18には放熱塗料を塗布してもよい。
【0053】
また、電源11にはAC入力ケーブル19とDC出力ケーブ20が接続されて電源11の筐体17から引き出されており、AC入力ケーブル19とDC出力ケーブル20の端部にはそれぞれ、防水コネクタ21,22が接続されている(
図1〜
図5、
図8には、AC入力ケーブル19と防水コネクタ21,22も図示せず)。
【0054】
なお、本発明は、前記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、前記実施例では、筒状部位4bの外周側にヒートシンク8の形成位置に対応させて断熱層13を設けたが、断熱層13は省略することができる。
【0055】
また、前記実施例では、筒状部位4の外周側に設けた空気通路14は、空気通路14aと貫通孔16と空気通路14bとにより形成したが、空気通路14bの形成に際し、例えば筒状部位4aの外周側に筒体15を設けた構成と同様に、ヒートシンク8側にも筒状部位4(4b)の外周側に筒状部位4bと間隔を介した筒体を設け、この筒体と筒状部位4bの外周側との間隔を空気通路14bとしてもよい。また、例えば貫通孔16は円形状とするとは限らず、多角形状等の他の形状としてもよい。さらに、空気通路14は省略することもできる。
【0056】
さらに、前記実施例では、筒状部位4の筒穴は真円形状としたが、多角形状としてもよいし、それ以外の形状としてもよい。また、その穴の大きさも特に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
【0057】
さらに、前記実施例では、筒状部位4の筒穴に電源11を収納する構成としたが、電源11を収納せずに外付けとしてもよい。
【0058】
さらに、前記実施例では、基板3およびヒートシンク8の底板23の形状を中心部に円形の貫通穴2,22を有する円盤状に形成したが、基板3や基板3に対応させて形成される底板23の形状は、貫通穴が形成されていれば、例えば角型の板状としても、その他の形状としてもよい。
【0059】
さらに、前記実施例では、ヒートシンク8のフィン24に貫通の孔部25を形成したが、孔部25は省略することもできる。
【0060】
さらに、例えば
図8の破線Fに示されるように、筒状部位4の筒内において、基板2の貫通穴2の近傍に対応する部位等に、筒状部位4の開口10側から通気口9側への空気の流れを強制的に生じさせるファン等の強制冷却手段を設けてもよい。この場合、ファンFの電源は、LED光源6の電源11と共通で使えるものを選定することができ、強制冷却手段の配設によって、電源11の冷却効率を向上させることができる。
【0061】
また、このように、ファンF等の強制冷却手段を設ける構成において、電源11と電源筐体17の温度の少なくとも一方を検知する温度手段と、該温度検出手段により検出された温度が予め設定される強制冷却開始温度を超えたときには強制冷却手段を稼動開始する制御構成を設けてもよい。なお、強制冷却開始温度は、例えば電源11内に設けられているコンデンサ等の電子部品の耐熱温度に基づいて定められるものであり、例えば80℃に設定される。なお、ファンF等の強制冷却手段の存在は、その強制冷却手段が稼動していない時にも筒状部位4内の自然対流を妨げないものであり、また、筒状部位4内の通風とLED光源の冷却のためのヒートシンク8の放熱の空気流とが分離されているので、筒状部位4内に電源11が配設されていてファン等による強制冷却を行う場合でも、その強制冷却に要する消費電力を極めて小さいものとすることができる。
【0062】
さらに、LED照明装置のカバー部材32またはヒートシンク8に、照明装置の触れ止めを固定する固定部を設けてもよい。